当社グループの経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、以下のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
当社グループは「みんなで幸せになれる会社にすること」「今から100年続く会社にすること」という経営理念のもと、“Ateam Purpose”である「Creativity × Techで、世の中をもっと便利に、もっと楽しくすること」の実現に向け、中長期的な成長戦略を掲げております。以下11点を主な経営課題として認識し、迅速に対処してまいります。
(1)中長期的な成長に向けた事業ポートフォリオの強化
当社グループは、自社サービス開始以降、経営の安定性と高い成長性のバランスを実現するために、事業の転換・拡大を継続して行ってまいりました。現在はデジタルマーケティング事業、エンターテインメント事業を展開しております。今後は、これまで培ってきたデジタルマーケティングノウハウ、ビジネス展開戦略及び技術力を活かし、法人向けに集客支援コンサルティングや業務支援ツールを提供し、クライアント企業の売上向上を支援する「売上向上支援カンパニー」として変革していくことを基本方針とし、新たな事業ポートフォリオの構築を行ってまいります。
今後も持続的な成長並びに中長期的な企業価値の向上を目指し、新たな事業の創出や他の企業との協業、M&A等多様な戦略を用いて、先行投資を進めながら事業ポートフォリオの強化を図ってまいります。
(2)デジタルマーケティング事業における既存サービスの強化及びM&Aによる新規ソリューションの拡充
「メディア・ソリューション」「D2C」の2つのサブセグメントから構成される「デジタルマーケティング事業」では、日常生活に密着した比較サイト・情報サイトの企画・開発・運営や法人向けにデジタル集客など売上向上に繋がる各種支援サービスの提供、複数の商材を取り扱うECサイトの運営を行っております。広告運用・コンテンツ運用・メディア運用を自社で統合して実施することで、他社にはないデジタルマーケティング力を実現するとともに、ユーザーデータを蓄積し、活用しながら独自価値を向上させることで市場での優位性の構築に取り組んでおります。
今後は、集客やサービス運営に関するコンサルティング、業務支援ツール等の売上向上に必要なソリューションをM&Aにより取り込むことで、拡充を図ってまいります。
(3)エンターテインメント事業におけるグローバル市場での成長
グローバル全体のモバイルゲーム市場(App Store及びGoogle Playにおける収益)規模は12兆円を超え、市場成長率は前年から2桁成長を遂げています(『ファミ通モバイルゲーム白書2025』)。今後も市場規模は伸びると予測されているものの、国内外多くのゲームメーカーの本格参入により競争が激化しています。このような事業環境の中、持続的な成長を遂げるために、モバイルゲームのみならず、グローバルのデジタル配信ゲーム市場(モバイルゲーム、PCゲームデジタル配信、家庭用ゲームデジタル配信)全体をターゲットに、グローバルで人気のIPと連携し、展開することを中長期方針とし、さらなる成長を狙います。
また、今後はこれまでのゲームアプリ開発で培ったスキルやノウハウを活かし、他社協業案件による安定的な収益基盤の確立も進めてまいります。
(4)優秀な人材の確保と育成
優秀な人材を確保することは当社グループの持続的な成長に必要不可欠であります。そのため、多様な働き方を実現する職場環境の改善、福利厚生の充実、人事考課制度の整備・運用及び採用活動の多様化に努め、人材の確保に力を入れております。
採用においては優れた専門性のみならず、人間性・協調性を重視した人材の選考を心がけており、企業文化と経営理念の共有により、みんなで協力し合いながら長く楽しく働ける組織作りを大切にしております。
また、社内外での研修・教育の強化等を含む人材育成制度の整備を進めるとともに、ジョブポスティング制度・フリーエージェント制度等といった機動的な人材活用を制度的にも実施しながら、事業間で経験とノウハウを共有することで企業とともに成長していく人材の育成に努めております。
(5)コーポレートブランドの向上
当社グループが持続的な成長と中長期的な企業価値の向上を実現していくためには、提供するサービス自体のユーザビリティ、品質等に加え、各サービスの認知度・知名度を向上し、利用者数を拡大していくことが不可欠であります。
また、グループ全体の事業を支える優秀な人材の獲得や他社との提携等をより有利に進めるためにも、当社グループでは、今後も費用対効果を見極めながら、サービスの広告宣伝活動のみならず、企業認知度の向上や企業イメージの確立に取り組んでまいります。なお、ステークホルダーに対する適切かつ積極的な情報開示及び広報活動を実施することにより、コーポレートブランドの向上を目指してまいります。
(6)サステナビリティ経営の推進
当社グループの経営理念である「みんなで幸せになれる会社にすること」「今から100年続く会社にすること」のもと、“Ateam Purpose”である「Creativity × Techで、世の中をもっと便利に、もっと楽しくすること」の実現を目指すためには、当社グループにおける持続的な事業成長と併せて、持続可能な社会の実現に貢献することが重要だと認識しております。気候変動問題をはじめとした環境問題への対応は、今後に向けて取り組むべき課題であると認識しており、経営基盤の強化が進んだ段階で、機関形成及び体制整備を検討してまいります。また、従業員の働く環境や安全衛生、ダイバーシティ・エクイティ&インクルージョン等の人的資本に関しても積極的に取り組んでまいります。
さらに、当社グループは「エイチームグループ人権方針」に則り、人権尊重をサステナビリティ経営における重要課題の一つと位置づけるとともに、当社グループが直面するビジネス上の人権リスクへの対応を企業の社会的責任と捉え、「国際人権章典」をはじめとする人権に関わる国際規範や国際基準を支持し、人権遵守に向けた取組を推進してまいります。
今後、特定した重要課題への取組を推進し、顧客・取引先・株主・従業員、社会・環境を含むすべてのステークホルダーから必要とされ続ける存在を目指してまいります。
(7)グループ経営体制及びコーポレートガバナンスの強化
当社グループは、国内連結子会社11社及び海外連結子会社1社により構成されたグループ企業体制であります。
持続的な成長と中長期的な企業価値向上のため、経営の公正性・透明性を確保するとともに、取締役会及び監査等委員会による内部統制の強化並びにコーポレートガバナンス・コードの基本原則に沿った各種施策の実施、取締役会の実効性評価・分析・改善に継続的に取り組んでまいります。
(8)コンプライアンス及びリスク管理体制の強化
当社グループは、グループ企業としての持続的な成長と中長期的な企業価値の向上に向けて経営基盤を強化し、コンプライアンス及びリスク管理体制を強化し、企業倫理の一層の向上を図ってまいります。
(9)情報セキュリティ・サイバーセキュリティ
当社グループは、お客様の個人情報や新規事業に関わる情報等、機密情報を多数保有しており、情報セキュリティリスクは経営上の最重要課題の一つと認識しております。
サイバー攻撃の高度化・巧妙化・商業化に対応するため、最新の脅威情報やセキュリティ技術のトレンドを常に把握し、ゼロトラストモデルのコンセプトに基づいた多層的なセキュリティ対策を継続的に強化してまいります。
(10)新技術の活用
当社グループが属するスマートデバイス向けゲーム業界を含むインターネット業界は、技術革新が絶え間なく行われております。このような環境のもと、持続的な成長と中長期的な企業価値の向上を実現していくためには、AI及びブロックチェーンをはじめとする様々な新技術に適切に対応していくことが必要不可欠であると考えております。また、グループ横断プロジェクトとして技術研究活動を行い、新技術を活用できる人材育成に取り組んでまいります。
(11)商品・サービスの品質と安全性の確保
当社グループは、スマートデバイス向けゲームや比較サイトや情報メディア等のオンラインサービスの提供に加え、D2C事業においては化粧品やドッグフード等を取り扱っております。すべての商品・サービスにおいて利用者が安全かつ安心して利用でき、高い品質が担保されるよう努めてまいります。
当社グループは、経営理念である「みんなで幸せになれる会社にすること」「今から100年続く会社にすること」のもと、「Creativity × Techで、世の中をもっと便利に、もっと楽しくすること」という“Ateam Purpose”の実現を目指しております。この経営理念にある「幸せ」に向けたサステナブルな経営と社会を実現することで、従業員、ユーザー・消費者、取引先・パートナー企業、株主・投資家、自治体・地域社会等、あらゆるステークホルダーの皆さまの「幸せ」の実現が可能になるものと考えております。
経営理念で掲げる「幸せ」の実現には、持続的な企業成長とともに、社会に対して継続的に価値を提供し続けることが求められます。そして、当社グループにおける持続的な成長及び継続的な価値とは、インターネットを軸に多様な事業を展開するIT企業として、価値の源泉である「技術力」と「創造性」を駆使して、世の中に「もっと楽しく」「もっと便利に」を提供することです。
当社グループに関わるすべてのステークホルダーの皆さまに対する積極的な情報開示と透明性の向上に努めることで相互理解を深め、当社グループに対する期待や要望を的確に把握し、応えていくことで、持続的な企業の成長及び社会の実現を目指すとともに、企業価値の向上に努めてまいります。
当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取組として、「(Ⅰ)人的資本に関する考え方及び取組」、「(Ⅱ)情報セキュリティに関する考え方及び取組」、「(Ⅲ)人権尊重に関する考え方及び取組」についての項目を記載します。
|
サステナビリティ全般 |
当社グループのサステナビリティの考え方 |
|
主な3つのテーマ |
(Ⅰ)人的資本に関する考え方及び取組 |
|
(Ⅱ)情報セキュリティに関する考え方及び取組 |
|
|
(Ⅲ)人権尊重に関する考え方及び取組 |
(1)ガバナンス
当社グループの持続可能性に関わる中長期的なサステナビリティに関して、そのリスク、機会の特定・分析及び取組への対応は、取締役会等の重要会議で審議され、代表取締役より実行組織へと展開されます。サステナビリティ推進・法務・人事・労務・情報システム等のコーポレート部門が実行組織として機能し、各事業部門と連携を図りながら各取組を推進します。
当社グループのガバナンスに関しては、「
(2)戦略
当社グループのサステナビリティについての具体的な取組内容については、以下の「(Ⅰ)人的資本に関する考え方及び取組」、「(Ⅱ)情報セキュリティに関する考え方及び取組」、「(Ⅲ)人権尊重に関する考え方及び取組」に記載した内容に加え、「
また、当社グループのサステナビリティへの基本的な考え方として、国籍、人種、性別、年齢、宗教、信条、社会的身分、性的志向、性同一性、障がいの有無等を理由とする、一切の差別やハラスメント(いやがらせ)を認めず、人権や多様性を尊重するダイバーシティ・エクイティ&インクルージョン(DE&I)を推進してまいります。
(Ⅰ)人的資本に関する考え方及び取組
1.基本方針
当社グループは、人的資本が価値創造の源泉であると認識しており、社員の成長を促すことで付加価値の高いサービスを創出でき、企業と社会の持続可能な成長につながると考えております。
そのため、“Ateam People”(当社グループが大切にする価値観及びそれを体現する人たち)(注1)を人材方針と定め、社員の活躍を推進すべく、4つの企業文化(注2)を基盤とし、人材育成及び環境整備に努めております。
また、ビジネス領域の異なる多様な事業を展開していることから、多様な人材を積極的に採用しております。社員が最大限パフォーマンスを発揮できる環境を整えることによって、事業活動の質を上げ、ひいては当社グループの発展につながると考えております。
(注1)“Ateam People”6つの価値観
1.お互いを認め合える
2.「儲ける」を理解する
3.「勝つ」にこだわる
4.貢献欲を持っている
5.自分をオープンにできる
6.学び続ける
(注2)4つの企業文化
|
みんなで経営について考える文化 |
社員だれでも参画できるオープンでフラットな経営 |
|
お互いを認め合う文化 |
お互いの長所を見つけ、認め合い、不足を補い合う |
|
コミュニケーションを大切にする文化 |
一緒に働く仲間同士がお互いをオープンにし、チームで仕事に取り組む |
|
挑戦と変化を楽しむ文化 |
急速に変化し続けるIT業界で、未来の挑戦と変化を楽しむ |
2.人材育成方針及び環境整備方針について
当社グループは、付加価値の高いサービスを創出すべく、「才能の発見」と「成長の促進」というテーマのもと人材育成方針を、「知の共有」「コミュニケーション基盤の構築」「多様な働き方の推進」というテーマのもと環境整備方針を定めております。また、人材育成と環境整備を支える土台として、労働安全衛生やコンプライアンスに関する取組についても推進しております。
〈人的資本に関する考え方取組の全体図〉
① 人材育成方針:「才能の発見」「成長の促進」
「才能の発見」に関する取組については、社員誰もが新規事業を企画・提案できる新規事業案コンテスト「A+(エープラス)」、高い成果を収めた社員を称える全社表彰式「Ateam AWARD」、社員自身が講師となりお互いに学び合う・高め合う自発型研修制度「チームラーニング」、多様なキャリアの機会を獲得できる異動制度(ジョブポスティング制度及びフリーエージェント制度)等を行っております。
また、「成長の促進」に関する取組については、上司・部下間での1on1ミーティング、管理監督者を対象としたマネジメント研修や新入社員(新卒・中途)向けの研修、全社員対象のAI基礎研修、個人と組織の成長を目指す評価制度の導入等を行っております。なお、評価制度では、半年に1度の目標設定を行い、行動・スキル・成果の観点から目標を設定し、達成に向けた支援を行うことで、社員の継続的な成長とパフォーマンス向上を促しております。
② 環境整備方針:「知の共有」「コミュニケーション基盤の構築」「多様な働き方の推進」
ナレッジマネジメントである「知の共有」の取組は、社員個人の暗黙知を形式化し、組織・グループ全体へと循環させることで、社員と組織の成長を促し、ひいては事業及び企業の成長につながるものと考えております。
具体的には、毎週1回社員全員が参加しグループ全体の状況を共有する「エイチーム全体ミーティング」、全社表彰式「Ateam AWARD」の受賞者のナレッジをまとめた社内報「Knowledge Book」、ナレッジ共有ツールを活用した社員間の情報共有、自発型研修制度「チームラーニング」や「グループ横断勉強会」等を実施しております。
「コミュニケーション基盤の構築」に関する取組については、全社懇親会「Ateam PARTY」、上司・部下間だけでなく社員の相互理解を深める「1on1ミーティング」、業務の進捗や知見を共有し合うコミュニケーションツールの活用、社員食堂「LaPyuta」をはじめ社員同士の交流を促すオフィス設計等があります。
「多様な働き方の推進」に関する取組としては、育児や介護をする社員とその家族を支える「ファミリーサポート制度」、フレックスタイム制の採用、状況に応じてオフィス出社と在宅勤務を選択できるハイブリッドワークの導入、社員一人ひとりのキャリア形成を支援する「キャリア面談」等を行っております。
③ 人材育成と環境整備を支える土台:労働安全衛生及びコンプライアンス
a.労働安全衛生について
社員の安全・健康に配慮した制度の整備・拡充や啓蒙活動を行い、円滑に職務を遂行できる環境を整えるため、以下の取組を実施しております。
・予防医療として、ストレスチェックの実施や産業医面談等のメンタルヘルス相談対応、追加健診補助制度の設置
・超過勤務管理等の労務管理の徹底
・キャリアや働き方、人間関係等について人事へ直接相談できる窓口の設置
・長期休暇取得制度「A-LOHAS(連続5営業日有給休暇取得可能)」の利用促進
・食から健康をサポートする社員食堂「LaPyuta」
・社員の健康面をサポートする社内マッサージ室の設置等
b.コンプライアンスについて
社員のコンプライアンスの強化に向け、以下の取組を通して、倫理観を養い法令についての基礎知識を得ることで、社員の意識の向上に努めております。
・新入社員向け研修
・新任管理監督者向け研修
・管理監督者向けハラスメント研修等
・法改正をはじめとした法律に関する研修
3.人的資本に関する課題
当社グループでは経営戦略と人材戦略の連動を図りながら、人的資本の向上を目指した取組を行っています。当社グループの社会的意義を言語化した“Ateam Purpose”(「Creativity × Techで、世の中をもっと便利に、もっと楽しくすること」)を実現するうえでの人や組織に関わる課題、及び従業員エンゲージメントサーベイの分析結果に基づき重要テーマを設定し、施策を実行してまいります。
(Ⅱ)情報セキュリティに関する考え方及び取組
1.セキュリティの位置づけ及び考え
当社グループは、事業の継続性及び当社を取り巻くステークホルダーの皆さまをはじめとした社会からの信頼の構築及び向上を最重要課題と捉え、情報セキュリティ対策を経営の根幹として位置づけています。
近年、サイバー攻撃は高度化・巧妙化・商業化の一途をたどっており、企業を取り巻くセキュリティリスクは増大しています。当社グループは、これらのリスクに対応するため、セキュリティポリシーに基づいたリスクアセスメントを行い、従来の「境界型防御(注1)」に代わり、「ゼロトラストセキュリティ(注2)」の考え方を取り入れ、多層防御によるセキュリティ体制の強化に取り組んでいます。万が一のセキュリティインシデント発生時にも、事業を継続し、社会及びステークホルダーの皆さまからの信頼を損なうことのないよう、セキュリティ対策を継続的に改善してまいります。
(注1)境界型防御:社内ネットワークと社外ネットワークの間に明確な「境界」を設定し、その境界線上にファイアウォールといった装置を設置して、外部からの脅威の侵入を防ぐことに重点を置く考え方です。
(注2)ゼロトラストセキュリティ:全てのアクセスを検証するセキュリティの考え方です。従来の「境界型防御」のように、社内ネットワークを安全とみなすのではなく、社内外の通信を全て信頼せず、アクセスするたびに認証・認可を行うことで、セキュリティを確保します。
2.具体的な取組及び対策
① ゼロトラストセキュリティの取組対策
当社グループでは、ゼロトラストセキュリティの考え方に基づき、社内ネットワーク、クラウドサービス、社員の端末等、あらゆる場所に存在する情報資産を保護しています。具体的には、社員等のアクセスを厳格に管理し、許可されたユーザーのみが適切な情報にアクセスできるように管理及び制御を行っております。また、最新のセキュリティ技術を導入し、不正アクセスや情報漏えいを防ぐための対策を講じています。
② 外部からのサイバー攻撃に対する対策
高度化・巧妙化・商業化する外部からのサイバー攻撃に対し、多層防御による強固なセキュリティ体制を構築しています。具体的には、以下のとおりです。
|
EDR (Endpoint Detection and Response) |
エンドポイントにおける不審な挙動をリアルタイムに検知・分析し、迅速な対応を可能にします。 |
|
EASM (External Attack Surface Management) |
インターネット上に公開されているシステムやサービスを継続的に監視し、潜在的な脆弱性を特定・管理します。 |
|
脆弱性管理 |
システムやソフトウェアの脆弱性を定期的に診断し、適切な対策を講じることで、攻撃のリスクを低減します。 |
これらの対策に加え、最新のサイバー攻撃に関する情報を収集・分析することで、不審な通信の遮断や、攻撃に悪用される可能性のあるソフトウェアの利用制限等、予防的な対策を実現しています。
3.情報セキュリティに関する社内研修・啓発
①一般社員及び管理監督者向け研修
新卒・中途入社社員に対しては、新入社員向け研修の中で、情報セキュリティに関する基礎知識や社内ルール等を教育・指導することで周知徹底・啓蒙を行っております。また、管理監督者はセキュリティリスク管理、セキュリティインシデント対応、部下への指導・教育に取り組んでおります。このような管理監督者を対象として責任と役割を理解するための研修を実施しています。
さらに、全社員を対象に、最新の脅威情報やセキュリティ対策を学ぶeラーニング、標的型攻撃メール訓練等を実施し、常に最新のセキュリティ知識を習得できる機会及び環境を提供しています。
②セキュリティ人材の育成
当社グループでは、効果的なセキュリティ対策を講じるために、日頃よりセキュリティ人材の育成に力を入れています。社外のセキュリティセミナーへの参加、一般社団法人日本シーサート協議会(以下、「NCA」という。)(注1)の会合への参加を通して、専門知識・スキルの向上を支援しています。また、「NISC/NCA連携全分野一斉演習(注3)」への参加を通じて、実践的なセキュリティインシデントへの対応能力の向上を図っております。
(注1)一般社団法人日本シーサート協議会(NCA):日本国内のシーサート(CSIRT)(注2)間の緊密な連携を図り、シーサートにおける課題解決に貢献するための組織。
(注2)CSIRT(Computer Security Incident Response Team):コンピュータセキュリティの事故やセキュリティインシデントに対応するチーム。当社グループでは社内にセキュリティ監視・対応チームとして「Ateam-CSIRT」を設置し、NCAに加盟しております。
(注3)NISC/NCA連携全分野一斉演習:NISC(内閣サイバーセキュリティセンター)とNCAが連携して実施する、大規模なサイバー攻撃を想定した演習。
4.セキュリティインシデント対応
当社グループでは、セキュリティインシデント(情報セキュリティ事故や事象)発生時の対応を適切に行うため、専門チーム「Ateam-CSIRT(注1)」を中心とした体制を構築し、対応フローを整備しております。セキュリティ製品の運用やネットワーク監視等の技術的な対策を講じることで、セキュリティインシデントの発生を未然に防ぐよう努めています。
重大なセキュリティインシデント発生時には Ateam-CSIRTが、取締役に事象の報告を行い、必要に応じて取締役やAteam-SOC(注2)及び外部専門機関と連携し、専門的な知見や技術を活用して対応にあたります。過去のセキュリティインシデント対応の経験を活かし、対応フローや体制を継続的に改善することで、より強固なセキュリティ体制を構築し、大切な情報資産を保護してまいります。
(注1)Ateam-CSIRT:セキュリティインシデント発生時に、統一性、一貫性を持った対応ができるように当社グループ全体を所管とする組織として、法務担当、広報担当及びAteam-SOCで構成されます。セキュリティインシデント対応時に取締役、コーポレート部門、セキュリティインシデント対象のグループ会社及び外部組織と適宜連携を行うことで被害を最小化し、迅速な復旧を支援します。
(注2)Ateam-SOC:セキュリティインシデントの監視、検知、及び技術的な対応を行う、高度なセキュリティ知識を有するセキュリティ管理者で構成される組織です。
インシデント発生時の体制図
(Ⅲ)人権尊重に関する考え方及び取組
当社グループは、従業員や取引先をはじめとした事業活動に関わるすべてのステークホルダーの基本的人権を尊重することを宣言するとともに、国際人権基準として「国際人権章典」や「ビジネスと人権に関する指導原則(UNGP)」をはじめとする人権に関わる国際規範や国際基準を支持し、「エイチームグループ人権方針」を定めております。本方針は、当社グループの経営理念、パーパス及び企業行動指針・行動規範等の社内規程に基づいて、人権尊重へのコミットメントと取組を表明するものです。
1.人権尊重に向けた考え方
経営理念で掲げる「幸せ」の実現に向け、社会からの期待に応えるためには、基本的人権の尊重を出発点とし、多様性・公平性・包括性(DE&I)を重視した組織づくりと事業推進が重要であると認識しています。特に、変化が著しいIT業界においては、多様な価値観や視点を受け入れ、環境の変化に柔軟に適応する力が競争力の源泉につながります。こうした観点からも、人権の尊重は当社グループにとって当然の責務であり、同時に、事業の成長と持続性を支える重要課題と位置付けております。
一方で、予測困難な社会の変化と急速なデジタル技術の発展は、意図せず人々の権利を侵害する可能性を否定できません。そのため、当社グループが直面するビジネスにおける人権リスクへの対応は、企業が果たすべき社会的責任であると考えております。国際人権基準に従って、人々の人権を尊重し、社会的責任を果たすことが企業の責務であり、社会への貢献の1つであると信じています。
2.人権デュー・ディリジェンス
当社グループは、人権方針に定める人権推進体制のもとで、国連の「ビジネスと人権に関する指導原則(UNGP)」や「OECD責任ある企業行動に関する多国籍企業行動指針」の枠組みに沿って人権リスクのインパクト評価を実施し、潜在的な人権への負の影響の防止と軽減に取り組んでいます。具体的には、以下の4つの主要な取組により、人権への対応を推進しております。
a.人権リスクのインパクト評価の実施
b.当該評価を踏まえた当社グループの事業活動と関連性が高い人権リスク(重点領域)の特定
c.重点領域における取組及び負の影響の防止・是正措置
d.苦情処理メカニズム(通報・相談窓口)の設置・運用
①人権リスクのインパクト評価の実施
人権リスクの特定に向けて、業種、業態、企業固有のリスクを踏まえ評価を行い、当社グループの事業活動領域と照らし合わせて関連性の高いリスクを特定しています。
インパクト評価において関連性が低いリスクに関しても、国際規範や日本国内の関係法令及び規制に基づき尊重されるべき基本的人権については、当社グループにおいても当然として取り組むべき人権への対応として位置付けております。
②重点領域の特定
当社グループの事業活動に関わるライツホルダーにおいて発生し得る潜在的な人権リスクを抽出し、「深刻度」及び「発生可能性」の両面から考察・評価しました。考察・評価した人権課題について、自社との関連性を勘案したうえで、優先的に取り組むべき課題を特定しました。なお、考察・評価に関しては、法務・コンプライアンス及び人事・労務を中心としたコーポレート部門、事業活動を推進する事業部門にヒアリングをしたうえで、人権リスクに関する過去の社内調査資料等を用いて情報を補い、重要な人権リスクの領域を特定しました。
人権リスクのインパクト評価の実施方法、インパクト評価で特定した人権リスク及び防止・是正措置等については、当社のコーポレートサイトに公表しております。
3.人権尊重に向けた人権課題への対応
当社グループは、強制労働、人身売買、児童労働、差別、ハラスメント、劣悪な労働環境、いじめ、不公平な扱いを認めません。そして、企業活動において、国籍、人種、性別、言語、年齢、宗教、信条、政治的・その他の意見、階級・社会的身分、性的指向・性同一性、障がい、出生等を理由とした差別や人権侵害を認めません。また、表現の自由、無意識の差別(アンコンシャスバイアス)、プライバシー、テクノロジーやAIの活用により影響を受ける人権についても遵守します。
これらの人権を遵守するとともに、人権デュー・ディリジェンスの結果を踏まえて、以下を人権課題として認識し、基本的人権を保護・尊重します。
1.職場の安全衛生
2.子どもの権利の尊重と保護
3.労働時間・適正賃金の管理
4.同一労働同一賃金
5.表現の自由の確保
6.結社の自由・団体交渉の権利
7.差別の禁止
8.ハラスメントの禁止
9.多様性に配慮した情報発信や対応
10.ユーザーの安心と安全の確保
11.情報セキュリティとプライバシーの尊重
12.テクノロジーと人権(AIの活用に伴う配慮)
13.知的財産権の尊重
14.通報者の保護と救済措置
4.人権尊重に向けた救済措置
当社グループは、人権侵害や法令違反、企業倫理に反する行為を早期に発見し、適切に対応するために、企業内の不正や法令違反、その他重要なコンプライアンス違反の通報を受け付ける内部通報制度を導入しています。社内外に通報窓口を設置し、通報者のプライバシーと通報内容の機密性を厳守するとともに、通報を理由とした不利益な取り扱いが生じないよう、通報者の保護を徹底します。
人権侵害が確認された場合には、ライツホルダーに対し、速やかに適切な救済措置を講じ、再発防止に向けた是正措置を実施します。さらに、事業活動が人権への負の影響を与えていることが明らかになった場合、厳正に対処するとともに、取引先や調達先等のビジネスパートナーを通じた働きかけを含め、適切な手段を用いて是正に取り組みます。
また、当社グループが取り組むべき優先的な人権課題に対処するために、教育・啓発活動を行っています。
①内部通報制度
当社グループは、法令やコンプライアンス、当社グループの企業行動指針・行動規範、その他の社内規程違反のおそれがある場合、従業員が相談・通報できる内部通報制度として内部通報窓口を設置しています。この相談・通報窓口は社内規程に基づく「内部通報制度」に則って運用され、法令違反や不正行為等のコンプライアンス違反の発生、またはそのおそれのある状況を知った場合に適切に対応できるよう、管理部 部長・内部監査室 室長・顧問弁護士が窓口となり、誰でも直接通報ができる仕組みとして設置しています。
法令や社内規程違反等に該当しない場合でも、機会均等や多様な働き方について相談できる窓口も設置しています。プライバシーに配慮したうえで、迅速かつ適切に対応し、守秘義務の徹底や相談者への不利益な取り扱いを禁止しています。
②外部通報制度
当社グループでは、2024年から社外からの通報窓口を設置しております。当社グループの役員及び従業員によるコンプライアンスに反する行為や人権侵害にあたる行為、またはそれらに該当するおそれのある行為が発覚した場合、通報・ご相談を受け付けております。通報・相談内容は機密情報として扱います。当社グループは、社内規程等に従い、通報者のプライバシーを保護するとともに、報復行為を禁止し、不利益な取り扱いは一切認めていません。報告された通報・ご相談は、関係法令及び社内規程に従って調査のうえ、適切に対処いたします。
③ご意見・苦情の受付と対応
ユーザーの安心・安全の確保に向け、各事業においてはカスタマーサポート部門を設置し、寄せられた問い合わせや意見・苦情に対して誠実かつ迅速に対応しています。また、取引先との関係においても、各事業の営業部門等が窓口となり、要望やフィードバックを適切に受け止め、継続的な対話と改善に努めています。寄せられた意見・苦情の傾向や内容を真摯に受け止め、業務運営やサービスの見直しに活かす等、再発防止や是正に取り組んでいます。
④教育・啓発活動
当社グループが取り組むべき優先的な人権課題に対処するために、定期的に研修・啓発活動を行っています。「役員向け人権研修」では、人権の基礎となる概念やビジネスと人権を取り巻く社会の動向、当社グループの事業活動において発生し得る人権リスク等をテーマとして実施しました。各種法令や規則、倫理やモラル等を学ぶ「コンプライアンス研修」、ハラスメントがチームに及ぼす影響、会社に与える損害、管理監督者に生じる責任等に関する「ハラスメント研修」、情報セキュリティに関する基礎知識や社内ルール等を学ぶ「情報セキュリティ研修」、その他法令遵守に向けた各種研修を実施しております。
(3)リスク管理
当社グループが認識しているリスクに関しては、「
サステナビリティへのリスク
サステナビリティに関わる取組に関しては、国際的な開示基準であるSASBスタンダードに準拠した取組・開示を推進しております。当社グループが認識すべきサステナビリティにおけるリスク及び課題、取組については、SASBスタンダードを参考に検討・特定し、経営方針や事業活動の状況に応じて優先度を決めて取り組んでおります。また、サステナビリティの方針及び取組、各ESG評価機関によるスコアリング等について、毎年1回以上の頻度で取締役会に報告しております。
なお、準拠する取組・開示基準に関しては、今後の国際的な要請や開示基準の整備に伴い、必要に応じて適切に判断してまいります。
(Ⅰ)人的資本への取組に関するリスク
当社グループにおける人的資本への取組に関するリスクは、「3 事業等のリスク」に記載の「(3)組織体制に関するリスク」をご参照ください。特に、「①特定経営者への依存について」「②内部管理体制について」「③人材の確保、育成について」に関して、重要な人的資本への取組に関するリスクとして特定しております。
(Ⅱ)情報セキュリティに関するリスク
当社グループにおける情報セキュリティに関するリスクは、「3 事業等のリスク」に記載の「(5)情報セキュリティに関するリスク」をご参照ください。特に「①コンピューターシステムや通信ネットワークについて」「②サイバーセキュリティ」「③情報セキュリティ体制」「④IT投資」に関して、重要な情報セキュリティリスクとして特定しております。
(Ⅲ)人権尊重の取組に関するリスク
当社グループにおける人権尊重の取組に関するリスクは、「2 サステナビリティに関する考え方及び取組」に記載の「(2)戦略 (Ⅲ)人権尊重に関する考え方及び取組」をご参照ください。なお、人権リスクのインパクト評価の実施方法、インパクト評価で特定した人権リスク及び防止・是正措置等については、当社のコーポレートサイトに公表しております。
気候関連問題リスクへの対応
当社グループは、2022年9月にTCFD(気候関連財務情報開示タスクフォース)の提言への賛同を表明しており、「CDP気候変動質問書2025」においては2025年8月に回答書を提出いたしました。今後、TCFDの枠組みに沿った情報開示を進めてまいりますが、企業価値向上に向けて、まず第一に刷新した成長戦略の遂行による成長性及び収益性の向上を重要事項として位置づけ、優先的に社内リソースを投下しております。
気候関連問題への対応については、プライム市場上場企業として取り組むべき重要課題であると認識しているものの、当社グループがIT・情報セクターであり、かつ当社グループとしては差し迫った優先事項ではないため、その他の優先事項(「
また、温室効果ガスの排出に関する目標と指標は、現時点においては設定しておりません。スコープ1については、排出量の算出を行いましたが、燃料の使用や工業プロセスにおいて当社グループが直接排出する項目はありませんでした。また今後5年間についても、スコープ1の排出は発生しない見込みです。
スコープ2及びスコープ3については、算出の対象が広範囲に及ぶと同時に、高い専門性が要求されるため当連結会計年度における排出量の算出を見送っております。算出に必要とされる社内リソースの確保や事業活動に関するデータを収集できる仕組みが整い次第、排出量目標を設定する予定です。
(4)指標及び目標
当社グループでは、「情報セキュリティ」及び「人権尊重への取組」において、現時点では明確な指標及び目標は定めておりません。各戦略に基づき、適切な指標及び目標の設定を検討してまいります。
(Ⅰ)人的資本
当社グループでは、多様な人材が長期的に安心して働けるよう、働き方を支援する制度の充実をはかっております。働きやすい環境をつくることによって、社員が仕事とプライベートや生活を両立させることができ、すべての社員がその能力を充分に発揮できるようにするため、女性の職業生活における活躍の推進に関する法律(以下、「女性活躍推進法」という。)及び次世代育成支援対策推進法(以下、「次世代法」という。)に基づき、「一般事業主行動計画(次世代法・女性活躍推進法 一体型)」を策定し、取組を実施しております。
|
|
目標 |
指標 |
目標設定時 (2020年) |
取組結果 (2025年) |
|
1 |
当社グループ社員における女性労働者の割合を |
|
45.4% |
|
|
|
27.3% |
|
||
|
2 |
女性労働者の働く環境を整備することで、女性労働者自らが力を伸ばし、長く活躍できる環境を支援する |
女性労働者の 育休復帰率 |
75.9% |
|
|
女性労働者の 平均勤続年数 |
3.7年 |
|
なお、当グループでは「人材育成方針」「環境整備方針」に直接紐づく指標及び目標は、現時点において定めておりません。今後、「(2)戦略」に記載の重要テーマに基づく指標及び目標の設定を検討してまいります。
有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。また、リスク要因に該当しない事項についても、投資者の投資判断上重要であると考えられる事項については、投資者に対する積極的な情報開示の観点から開示してまいります。当社グループは、これらのリスク発生の可能性を十分に認識したうえで、発生の回避及び発生した場合の迅速な対応に努める方針であります。
なお、以下の記載のうち将来に関する事項は、別段の記載がない限り、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであり、不確実性を内在しているため、実際の結果と異なる可能性があります。また、将来において発生の可能性があるすべてのリスクを網羅するものではありません。
(1)事業環境に関するリスク
① IT市場の外部環境
当社グループの事業領域であるモバイルゲーム市場、インターネット市場及びEC市場はスマートフォンの普
及、インターネット利用者の増加により高度な成長を続けてまいりました。しかしながら、今後、市場規模の縮小や景況感の悪化、実際の景気変動の影響等を受けた場合には、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
また、当社グループのD2C事業においては、急激な原油高や原材料の供給不足等が起因となり原材料価格が高
騰した場合、当社グループの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。
② 競合について
当社グループは、インターネットを使った様々なコンテンツやサービスを提供しております。競争力向上のため、特色あるコンテンツの提供や最適なユーザビリティを追求したインターネットサイトの構築に努め、サービスの多様化、カスタマーサポートの充実等に取り組んでおります。
しかしながら、類似サービスを提供する企業や新規参入者との競合が激化することにより、当社グループの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。
③ 災害・感染症の拡大・事故等に関するリスク
地震、台風、津波等の自然災害、火災、停電、国際紛争、又は新型コロナウイルス感染症を含む伝染病の拡大等が発生した場合、当社グループの事業運営に深刻な影響を及ぼす可能性があります。当社グループのサービス展開地域において大規模な自然災害等が発生した場合には、止むを得ずサービスの提供を一時的に停止する可能性があります。また設備の損壊や電力供給の制限等、事業継続に支障をきたす事象が発生した場合、各種災害や国際紛争等による物的・人的損害が甚大である場合には事業の継続自体が困難又は不可能となる可能性があります。このような事態が発生した場合には、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
(2)事業に関するリスク
① 売掛金の回収について
当社グループは事業・サービスの展開において様々な事業者と取引を行っております。それらの事業者はそれぞれがおかれる市場環境・競合の状況等により、事業戦略の見直し、撤退や他社との事業統合等の経営判断を行う可能性があります。そのため、当社グループは安定的且つ健全な事業運営を継続できる事業者とパートナーシップを組むよう努めておりますが、今後、上記の理由等により事業者の事業継続に支障が生じた場合等には当該事業者にかかわる売上代金の回収遅延、回収不能が生じる恐れがあります。このような場合、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
② 暗号資産保有に関するリスク
当社グループでは、主に株式会社Paddleにおける暗号資産に交換可能なポイントアプリの運営のために暗号資産を保有しております。保有する暗号資産については適切なセキュリティ対策を実施したうえで監視体制を強化しておりますが、悪意のある第三者による不正アクセスが行われた場合には、当社グループが保有している暗号資産の流出や消失等の可能性を否定できず、当社グループの事業及び業績に大きな影響を及ぼす可能性があります。
また、暗号資産は短期的に取引価格が大きく変動する可能性があり、これにより当社グループの業績に大きな影響を及ぼす可能性があります。
③ 為替による影響について
当社グループのエンターテインメント事業では、一部において海外向けのアプリケーションを配信専用のプラットフォームや海外現地のパブリッシャーを介して海外の利用者にコンテンツを提供しており、コンテンツ内で販売したアイテム等の売上は海外のプラットフォーム運営事業者を通じて現地の通貨にて回収されます。このため、為替レートの変動が、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。
④ 商品の品質管理について
当社グループでは、デジタルマーケティング事業のD2Cを中心に複数の商品をオンラインで販売しております。当社グループで取り扱う商品の生産に関しましては、高品質な商品の製造、原材料の調達が可能であるなど、信頼性のある取引先の選定を行っております。また、取引先との連携を深め、必要に応じて自ら製造工場に立会検査を行う等、品質管理の徹底を図り、社員教育、法令遵守に向けた啓発等を行っております。
しかしながら、販売している商品の使用に起因して、お客様の健康等に悪影響が発生する可能性があります。また、将来的に、当社グループのD2C事業等に関連する法令の新設、社会情勢の変化があった場合にも、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。
⑤ 投資育成及びM&A(企業買収等)について
当社グループは、高い成長力を持つ企業を早期から育成・支援することを目的にベンチャー投資及び投資事業有限責任組合(ファンド)への出資を行っております。当該出資等が対象とする未公開企業は、市場環境の変化並びに開発能力、経営管理能力の不足等、将来性に対する不確定要素を抱えており、これら不確定要素の現出により期待した成果を上げることができず業績が低迷、悪化した場合には、これらの投資が回収できず、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。
また、投資育成に加え、事業の成長及び拡大を目指すため、M&Aを行っております。M&Aにあたっては、対象企業について財務内容等の審査に努め、リスクを検討したうえで進めてまいりますが、買収後に偶発債務の発生や未認識債務の判明等事前の調査で把握できなかった問題が生じる場合には、当社グループの業績及び財政状態等に影響を与える可能性があります。
(3)組織体制に関するリスク
① 特定経営者への依存について
当社代表取締役社長 林高生氏は当社グループの創業者であり、また、技術者としての豊富な経験を有していることから、当社グループの設立以来成長を支え、経営戦略等多岐にわたり極めて重要な役割を果たしております。当社グループは、同氏に過度に依存しない経営体制の構築に努めておりますが、何らかの理由により、同氏が経営に参画できなくなった場合、当社グループの業績及び今後の事業展開に影響を及ぼす可能性があります。
② 内部管理体制について
当社グループは、持続的な成長と中長期的な企業価値の向上を図るにはコーポレートガバナンスが有効に機能することが不可欠であると認識しております。そのため、事業規模の拡大に合わせて経営基盤の強化を継続的に進めていくとともに、より効率的且つ適正な経営を行うため、内部管理体制の整備・充実を推進していく方針であります。
しかしながら、事業の急速な拡大に対して、十分な内部管理体制の構築が追い付かない場合、当社グループの業績及び事業展開に影響を与える可能性があります。
③ 人材の確保、育成について
当社グループにおいて、今後事業拡大や企業運営を円滑に遂行していく上で、優秀な人材を確保することが極めて重要であります。しかしながら、必要な人材を適時適切に確保できない場合、又は社内の有能な人材が流出した場合には、経常的な業務運営や事業展開に支障が生じ、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
(4)コンプライアンスに関するリスク
① 法的規制について
当社グループの運営事業領域に適用される主な法規則として、「不当景品類及び不当表示防止法」、「個人情報の保護に関する法律」、「特定商取引に関する法律」、「資金決済に関する法律」、「医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律」、「特定電子メールの送信の適正化等に関する法律」等があります。
このような法令の制定や改正、監督官庁による行政処分、新たな規制の策定又は改定等により、当社グループが提供するコンテンツやサービスが制約を受ける可能性があります。その場合、当社グループの事業、業績及び企業イメージに影響を及ぼす可能性があります。
② 知的財産権について
当社グループは、運営する事業に関する知的財産権の保護に努めるとともに、第三者の知的財産権を侵害しないよう十分な注意を払っております。また、当社グループが提供するサービスにおいて、当社グループが所有する知的財産権を第三者に使用許諾する場合や、第三者の所有する知的財産権の使用許諾を受ける場合があり、その場合は使用許諾契約の締結等により適切な管理を行っております。
しかしながら、知的財産権の範囲や契約条件の解釈の齟齬等により、認識外で第三者の知的財産権を侵害した場合、当社グループは第三者から知的財産権侵害の訴訟、使用差止請求等を受ける可能性があります。その結果、解決に多額の費用と時間がかかり、当社グループの業績及び今後の事業展開に影響を及ぼす可能性があります。
③ 個人情報の管理について
当社グループは、提供するサービスやコンテンツの利用者の個人情報を取得する場合があります。個人情報の外部漏洩・改ざん等の防止のため、個人情報の取扱いに際し業務フローや権限体制を徹底し、「個人情報の保護に関する法律」に従い厳正な管理を行っております。
しかしながら、コンピューターウィルス、不正侵入や故意又は過失の事態により、個人情報の漏洩や不正使用等のトラブルが発生した場合、当社グループへの損害賠償請求や当社グループに対する信頼損失及び企業イメージの悪化等により、当社グループの業績や事業展開に影響を及ぼす可能性があります。
④ サービスの安全性及び健全性について
当社グループが提供するサービスやコンテンツは、不特定多数の個人利用者が、利用者間において独自にコミュニケーションを取ることができます。青少年保護、健全性維持・向上のため、利用規約において不適切な利用の禁止を明示し、モニタリングを常時行い、規約違反者に対しては、改善の要請や退会の措置を講じる等の対応を行うことで、サービスの安全性及び健全性の確保に努めております。しかしながら、コンテンツ利用者が急速に拡大し、利用者のコンテンツ内における行為を完全に把握することが困難となり、利用者の不適切な行為に起因するトラブルが生じた場合には、利用規約の内容にかかわらず、当社グループが法的責任を問われる可能性があります。また、法的責任を問われない場合においても、コンテンツのブランドイメージの悪化等により当社グループの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。
⑤ 訴訟等について
当社グループは、法令遵守を基本としたコンプライアンスの推進により、法令違反等の防止に努めております。しかしながら、当社グループの役員、従業員の法令違反等の有無にかかわらず、利用者、取引先、その他第三者との不測のトラブル、訴訟等の発生及び上記知的財産権、個人情報、サービスの安全性及び健全性についても訴訟のリスクがあるものと考えております。
かかる訴訟の内容及び結果によっては、当社グループの事業及び業績に影響を与える可能性があります。また、多大な訴訟対応費用の発生や企業イメージの悪化により、当社グループの業績及び事業展開に影響を及ぼす可能性があります。
(5)情報セキュリティに関するリスク
① コンピューターシステムや通信ネットワークについて
当社グループの事業は、モバイル端末やPC等のコンピューターシステムを結ぶ通信ネットワークにより、利用者にサービスを提供しております。システムの安定的な稼働を図るためにサーバーの分散化・定期的バックアップ・稼働状況の監視等により、システムトラブルの未然防止又は回避に努めております。しかしながら、不測の事故(社内外の人的要因によるものを含む)等により通信ネットワークの切断や支障が発生した場合には、当社グループの事業及び業績に大きな影響を及ぼす可能性があります。
また、当社グループの運営する各サイト等へのアクセスの急激な増加によるサーバーの過負荷や電力供給の停止等不測の様々な要因によって、システムが作動不能に陥った場合、サービスが停止する可能性があります。この結果、当社グループの業績及びサービスのブランドイメージに影響を及ぼす可能性があります。
② サイバーセキュリティ
サイバー攻撃は、当社グループの事業継続に重大なリスクをもたらす可能性があります。システムの不具合や外部からの不正アクセスは、業務停止や顧客データの漏洩、金銭的な損失に繋がりかねません。特に、近年ではサイバー攻撃の手法が高度化・巧妙化・商業化しており、標的型攻撃やランサムウェアなど、企業にとって深刻な脅威となっています。
当社グループは、IDaaS(Identity as a Service)を導入しており、多要素認証によるなりすましの抑制や、セキュリティポリシーに沿ったアイデンティティ管理の運用を徹底しております。また、ゼロトラストモデルのコンセプトに基づいてEDR(Endpoint Detection and Response)やSSE(Security Service Edge)などのセキュリティ製品を導入し多岐にわたる対策を講じております。しかしながら、これらの対策を講じても、サイバー攻撃のリスクを完全に排除することはできません。
万が一、重大なサイバー攻撃が発生した場合、復旧までに時間を要し、事業活動が停止する可能性があります。また、顧客情報や企業秘密の漏洩は、社会的信用を失墜させ、当社グループの業績に深刻な影響を及ぼす可能性があります。
③ 情報セキュリティ体制
セキュリティインシデント発生時の対応が不十分な場合、当社の事業活動に重大な影響を及ぼす可能性があることから、当社は情報セキュリティ体制の強化に継続的に取り組んでおります。具体的には、Ateam-CSIRT(Computer Security Incident Response Team)を設置して、グループ全体への情報セキュリティに関するガバナンス強化やサイバー攻撃に対応する包括的・多面的なシステム運用体制の構築を行っております。また、全社員へのセキュリティ教育に加えて、セキュリティ担当者にはセキュリティインシデント演習など、より実践的な教育も実施しています。
しかしながら、情報セキュリティリスクは完全に排除できるものではなく、システムの脆弱性や人的ミスによる情報漏洩、不正アクセスなどのリスクは依然として存在します。
当社は、これらのリスクを認識し、セキュリティ対策の更なる強化に取り組んでまいります。万が一、情報セキュリティ上の重大な事故が発生した場合には、当社グループの事業及び業績に大きな影響を及ぼす可能性があります。
④ IT投資
IT投資は、企業の競争力強化や業務効率化に不可欠な要素ですが、同時に様々なリスクを伴います。多額の投資が必要となるため、投資に見合った効果が得られない、あるいは期待した効果が得られるまでに時間を要する可能性があります。また、IT技術は急速に進歩するため、継続的なシステム更新や追加投資が必要となることも考えられます。
当社グループは、IT投資のリスクを十分に認識し、投資効果を最大化するための取組を行っております。具体的には、情報セキュリティリスク評価に基づくIT投資計画の精査、システム導入前の綿密な検証など、様々な対策を講じております。しかしながら、導入時のトラブル、システム障害が発生した場合には、当社グループの事業及び業績に大きな影響を及ぼす可能性があります。
(6)その他のリスク
① M&Aにおけるのれん等の減損に関するリスク
当社グループは当連結会計年度末時点で、M&Aにより生じたのれんを1,300百万円、顧客関連資産を248百万円、マーケティング関連資産を21百万円計上しており、主に「microCMS」を運営する株式会社microCMSののれん1,140百万円であります。これらの資産については、被買収企業及び当社グループが持つデジタルマーケティングの強みを掛け合わせたことにより、買収時と比較して事業成長している状況であり、減損に関する評価等は適正に行っております。しかしながら、今後の市場環境の急激な変化等により買収時の収益計画と著しい乖離が生じた場合には、のれんの減損処理を行う可能性があり、当該のれんの減損処理が生じた場合には、当社グループの業績及び財政状態に影響を与える可能性があります。
② 新株予約権行使による株式価値希薄化に関するリスク
当社とAASC II P, L.P.との引受契約に基づく新株予約権及び無担保転換社債型新株予約権付社債については、2029年6月26日までの期間に複数回に渡る段階的な行使が予想されるため、希薄化が即時に生じる新株式の発行とは異なり、当社株式の株式市場への供給が一時的に過剰となる事態が回避されやすいと考えられ、既存株主の利益への影響を一定程度抑えることができると考えております。なお、2025年6月13日に無担保転換社債型新株予約権社債の一部(2,721,617株)が行使されたため、本新株予約権及び本新株予約権付社債の目的である当社普通株式数は、調整がなされる場合を除いて、5,054,383株で固定されており、株価動向にかかわらず、最大交付株式数が限定されているため、希薄化率が当初予定より増加することはありません。
また、当社は、中長期的な当社の業績拡大及び企業価値の増大を目指すにあたり、より一層意欲及び士気を向上させ、当社及び当社子会社の結束力をさらに高めることを目的として、当社の従業員並びに当社子会社の取締役及び従業員に対して、新株予約権(有償ストック・オプション)を発行しております。これらの新株予約権の行使がなされた場合は、当社の1株当たりの株式価値が希薄化する可能性があります。しかしながら、本新株予約権は、あらかじめ定める業績及び株価目標の達成が行使条件とされており、その目標が達成されることは株式価値の向上に資するものと認識しております。
2024年6月3日に行われた株式会社microCMSとの企業結合について、前連結会計年度において暫定的な会計処理を行っておりましたが、当連結会計年度に確定したため、前連結会計年度との比較分析にあたっては、暫定的な会計処理の確定による見直し後の金額を用いております。
(1) 経営成績等の状況の概要
① 経営成績
当社グループは「Creativity × Techで、世の中をもっと便利に、もっと楽しくすること」という“Ateam Purpose”を掲げております。この“Ateam Purpose”のもとすべての役員及び従業員が一丸となり、様々な技術領域・ビジネス領域においてサービスを提供しております。具体的には、日常生活に密着した比較サイト・情報メディア・ツールなどの様々なウェブサービスの企画・開発・運営、法人向けにデジタル集客支援に関する事業支援の提供を行う「メディア・ソリューション」と様々な商材を取り扱う複数のD2Cサイトの企画・開発・運営を行う「D2C」の2つのサブセグメントから構成される「デジタルマーケティング事業」、及び「人と人とのつながりの実現」をテーマに、世界中の人々に娯楽を提供するゲームやツールアプリケーションの企画・開発及び運営を行う「エンターテインメント事業」を展開しております。
当連結会計年度の連結売上高につきましては、デジタルマーケティング事業においてM&Aにより取得した企業が新たに連結の対象となったことに加え、デジタルマーケティング事業の自動車関連事業が増収となり好調に推移したものの、エンターテインメント事業においてゲームアプリ全体で引き続き減収傾向であるため、全体としては横ばいとなりました。営業利益、経常利益、親会社株主に帰属する当期純利益につきましては、暗号資産に関わる販売促進引当金繰入額、株主優待に関する費用、M&Aに伴うのれん償却額など、各種費用が前連結会計年度と比較して増加したものの、デジタルマーケティング事業及びエンターテインメント事業の利益確保を優先した事業運営により、ともに増益となったことに加え営業外収益として暗号資産評価益及び特別利益として投資有価証券売却益並びに2025年6月に「ライフドット(Life.)」事業を譲渡したことによる事業譲渡益を計上したことにより、増益となりました。
具体的には、当連結会計年度の売上高は23,917百万円(前連結会計年度比0.0%減)、営業利益は845百万円(前連結会計年度比50.3%増)、経常利益は1,585百万円(前連結会計年度比160.3%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は1,036百万円(前連結会計年度比8.7%増)となりました。
当連結会計年度におけるセグメント別の経営成績は以下のとおりであります。
なお、当連結会計年度より、報告セグメントの区分を変更しており、以下の前連結会計年度比較については、前連結会計年度の数値を変更後のセグメント区分に組み替えた数値で比較しております。
<メディア・ソリューション>
デジタルマーケティング事業のメディア・ソリューションでは、日常生活に密着した比較サイト・情報サイトの運営や法人向けデジタル集客支援に関する事業支援サービスを提供しております。
メディア・ソリューションの比較サイト・情報サイト等は、ユーザーの課題・悩みを元に適切な情報や選択肢を提示することで、パートナー企業の選択・意思決定を支援し報酬をいただくビジネスモデルです。広告運用・コンテンツ運用・メディア運用を自社で統合して実施することで、他社にはないデジタルマーケティング力を実現するとともに、ユーザーデータを蓄積し、活用しながら独自価値を向上させることで市場での優位性の構築に取り組んでおります。個人のユーザーへは基本無料でサービスを提供し、主な売上はパートナー企業に当該ユーザーを見込顧客として紹介することに対する紹介手数料及び成約報酬であります。
法人向けには、メディア運営で培ってきた「デジタルマーケティング力」を最大限に活用し、集客やサービス運営に関するコンサルティング、業務支援ツール等の売上向上に必要なソリューションの提供を行います。
当連結会計年度の売上高につきましては、M&Aにより取得した企業の売上高が計上されたことに加え、主に自動車関連事業及び引越し関連事業が前連結会計年度比で増収となり好調に推移したため増収となりました。セグメント利益につきましては、利益確保に向けた各事業の取組が奏功し自動車関連事業、引越し関連事業及びブライダル事業において増益となったものの、金融メディア事業における減収による減益に加え、暗号資産に関わる販売促進引当金繰入額を計上したことにより費用が増加したため、前連結会計年度比で微減益となりました。
以上の結果、当連結会計年度におけるメディア・ソリューションの売上高は17,469百万円(前連結会計年度比1.8%増)、セグメント利益は1,327百万円(前連結会計年度比5.2%減)となりました。
<D2C>
デジタルマーケティング事業のD2Cでは、化粧品ブランド「lujo(ルジョー)」をはじめ、複数の商材を取り扱うECサイトを運営しております。当社グループ内で商品の企画・開発・販促を行い、製造のみ外部に委託するOEM(Original Equipment Manufacturer)生産を行っており、主に、継続的にご購入いただく定期販売モデルです。
今後も品揃えや販売方法、配送品質を日々改善し、ユーザーの期待を大きく超える購買体験ができるサービスを提供してまいります。
当連結会計年度の売上高につきましては、利益確保を優先した事業運営方針に則り、広告投資を抑制したことにより新規顧客数が減少したため、前連結会計年度比で微減収となりました。セグメント利益につきましては、前述のとおり利益確保を優先した事業運営方針に則り運営効率化を図ったため、前連結会計年度の赤字から黒字に転じました。
以上の結果、当連結会計年度におけるD2Cの売上高は2,248百万円(前連結会計年度比4.4%減)、セグメント利益は7百万円(前連結会計年度は152百万円の損失)となりました。
<エンターテインメント>
エンターテインメント事業では、主に自社で開発したスマートデバイス向けゲームアプリケーション(以下「ゲームアプリ」という。)をApple Inc.が運営するApp Store及びGoogle LLCが運営するGoogle Play等の専用配信プラットフォームを通じて、世界中の人々に提供しております。ゲームアプリ自体は基本無料で提供しており、主な売上はユーザーがゲームをより効率よく優位に進めるためのゲーム内アイテム購入代金であります。
近年のグローバルにおけるゲーム市場環境及びユーザーニーズの変化、そして技術の進化等を踏まえ、エンターテインメント事業はスマートフォンゲームのみならず、グローバルのデジタル配信ゲーム市場(モバイルゲーム、PCゲームデジタル配信、家庭用ゲームデジタル配信)全体をターゲットに、グローバルで人気のIPと連携し、展開することを中長期方針とし、さらなる成長を狙います。また、今後はこれまでのゲームアプリ開発で培ったスキルやノウハウを活かし、他社協業案件による安定的な収益基盤の確立も進めてまいります。
当連結会計年度の売上高につきましては、ゲームアプリ全体で引き続き減収傾向であるため、前連結会計年度比で減収となりました。セグメント利益につきましては、既存タイトルの効率的な運用やコスト抑制の実施に加え協業案件の比率が増加したため増益となり、前連結会計年度の赤字から黒字に転じました。
以上の結果、当連結会計年度におけるエンターテインメント事業の売上高は4,199百万円(前連結会計年度比4.6%減)、セグメント利益は518百万円(前連結会計年度は38百万円の損失)となりました。
② キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度末に比べ1,749百万円減少し、当連結会計年度末には6,301百万円となりました。当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は以下のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度において営業活動の結果得られた資金は、1,624百万円(前連結会計年度は808百万円の収入)となりました。これは主に、税金等調整前当期純利益1,875百万円等の影響によるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度において投資活動の結果得られた資金は、382百万円(前連結会計年度は992百万円の支出)となりました。これは主に連結の範囲の変更を伴う関係会社株式の取得による支出361百万円があったものの、投資有価証券の売却による収入430百万円等の影響によるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度において財務活動の結果使用した資金は、3,710百万円(前連結会計年度は2,220百万円の収入)となりました。これは主に、自己株式の取得による支出3,222百万円等の影響によるものであります。
③ 生産、受注及び販売の実績
a.生産実績
該当事項はありません。
b.受注実績
当連結会計年度における受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
|
セグメントの名称 |
受注高(百万円) |
前年同期比(%) |
受注残高 (百万円) |
前年同期比(%) |
|
メディア・ソリューション |
31 |
- |
1 |
- |
|
D2C |
- |
- |
- |
- |
|
エンターテインメント |
692 |
275.5 |
- |
0.0 |
|
合計 |
723 |
288.0 |
1 |
1.1 |
c.販売実績
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
|
セグメントの名称 |
販売高(百万円) |
前年同期比(%) |
|
メディア・ソリューション |
17,469 |
1.8 |
|
D2C |
2,248 |
△4.4 |
|
エンターテインメント |
4,199 |
△4.6 |
|
合計 |
23,917 |
△0.0 |
(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
① 財政状態の分析
a.資産
当連結会計年度末における総資産は15,209百万円となり、前連結会計年度末に比べ1,180百万円減少いたしました。これは主に、暗号資産の増加1,209百万円があった一方で、現金及び預金の減少1,749百万円及び投資有価証券の減少630百万円によるものであります。
b.負債
当連結会計年度末における負債は6,039百万円となり、前連結会計年度末に比べ76百万円減少いたしました。これは主に、販売促進引当金の増加932百万円、未払法人税等の増加312百万円及び買掛金の増加214百万円があった一方で、転換社債型新株予約権付社債の減少1,750百万円によるものであります。
c.純資産
当連結会計年度末における純資産は9,169百万円となり、前連結会計年度末に比べ1,104百万円減少いたしました。これは主に、自己株式の減少1,477百万円、資本金の増加875百万円及び資本剰余金の増加855百万円があった一方で利益剰余金の減少4,043百万円によるものであります。
② 経営成績の分析
a.売上高
当連結会計年度における売上高は23,917百万円(前連結会計年度比0.0%減)となりました。
デジタルマーケティング事業のメディア・ソリューションでは、M&Aにより取得した企業の売上高が計上されたことに加え、主に自動車関連事業及び引越し関連事業が前連結会計年度比で増収となり好調に推移し、売上高は17,469百万円(前連結会計年度比1.8%増)となりました。
デジタルマーケティング事業のD2Cでは、利益確保を優先した事業運営方針に則り、広告投資を抑制したことにより新規顧客数が減少したため、売上高は2,248百万円(前連結会計年度比4.4%減)となりました。
エンターテインメントでは、ゲームアプリ全体で引き続き減収傾向であり、売上高は4,199百万円(前連結会計年度比4.6%減)となりました。
b.売上原価
当連結会計年度における売上原価は、エンターテインメント事業における外注加工費の減少等により、3,395百万円(前連結会計年度比4.3%減)となりました。
c.販売費及び一般管理費
当連結会計年度における販売費及び一般管理費は、暗号資産関連事業に関する販売促進引当金繰入額が増加したものの、利益確保を優先とした事業運営方針にもとづく各事業の広告宣伝費の減少やエンターテインメント事業における売上高の減少に伴うキャリア手数料の減少等により、19,676百万円(前連結会計年度比0.7%減)となりました。
d.営業利益
当連結会計年度における営業利益は、デジタルマーケティング事業のメディア・ソリューションにおいては前連結会計年度比で微減益となったものの、D2Cにおいては前連結会計年度の赤字から黒字に転じ、エンターテインメントにおいても前連結会計年度の赤字から黒字に転じたため、845百万円(前連結会計年度比50.3%増)となりました。
e.経常利益
当連結会計年度における経常利益は、営業利益が増益となったことに加え、暗号資産評価益を計上したため、1,585百万円(前連結会計年度比160.3%増)となりました。
f.親会社株主に帰属する当期純利益
当連結会計年度における親会社株主に帰属する当期純利益は、投資有価証券売却益並びに2025年6月に「ライフドット(Life.)」事業を譲渡したことによる事業譲渡益を計上したことにより、1,036百万円(前連結会計年度比8.7%増)となりました。
③ 資本の財源及び資金の流動性についての分析
a.キャッシュ・フロー
当連結会計年度のキャッシュ・フローの概況につきましては、「(1)経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」をご参照ください。
b.資金需要
当社グループの資金需要のうち主なものは、通常の運転資金のほか、オフィス及びIT関連の設備に関する投資並びにM&Aにおける投資資金であります。
c.財務政策
当社グループは、運転資金につきましては、自己資金で対応することを原則としておりますが、金利動向や負債と資本のバランスに配慮しつつ、必要に応じて金融機関からの借入を実施しております。
資金の流動性については、グループ間の資金管理契約によりグループ各社における余剰資金の有効活用に努めるとともに、さらに金融機関との間でコミットメントライン契約や当座貸越契約を締結する等により、急な資金需要の不測の事態にも備えております。
なお、当連結会計年度末における借入金の残高は34百万円であります。また、現金及び預金6,301百万円を保有しており、必要な資金は確保されていると認識しております。
④ 経営者の問題認識と今後の方針について
経営者の問題認識と今後の方針につきましては、「1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載のとおりであります。
⑤ 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成しております。この連結財務諸表の作成には、資産・負債及び収益・費用に影響を与える見積りを必要とする箇所があります。
なお、当社グループの連結財務諸表で採用する重要な会計方針、重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項) 4.会計方針に関する事項」及び「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載しております。
(1)事業提携契約
当社は、2024年6月7日開催の当社取締役会において、アドバンテッジアドバイザーズ株式会社(現 株式会社アドバンテッジパートナーズ。以下「アドバンテッジパートナーズ」という。)と事業提携契約を締結するとともに、アドバンテッジパートナーズの親会社が出資するファンドであるAASC II P, L.P.(c/o Walkers Corporate Limited, 190 Elgin Avenue, George Town, Grand Cayman KY1-9008, Cayman Islands)(以下「割当先」という。)に対して第三者割当の方法により第9回新株予約権及び第1回無担保転換社債型新株予約権付社債を発行することを決議し、同日付にて本事業提携契約及び引受契約を締結いたしました。
1.事業提携の目的
当社グループは「Creativity × Techで、世の中をもっと便利に、もっと楽しくすること」という“Ateam Purpose”を掲げております。この“Ateam Purpose”のもとすべての役員及び従業員が一丸となり、様々な技術領域・ビジネス領域において、インターネットを通じて利用者の皆様に支持・利用していただける比較サイトや情報サイト、ゲームコンテンツ、ECサイトなどの企画・開発及び運営を行っています。具体的には、日常生活に密着した比較サイト・情報メディア・ツールなどの様々なウェブサービスの企画・開発・運営、法人向けにデジタル集客支援に関する事業支援の提供を行う「メディア・ソリューション」と様々な商材を取り扱う複数のD2Cサイトの企画・開発・運営を行う「D2C」の2つのサブセグメントから構成される「デジタルマーケティング事業」、及び「人と人とのつながりの実現」をテーマに、世界中の人々に娯楽を提供するゲームやツールアプリケーションの企画・開発及び運営を行う「エンターテインメント事業」を展開しております。
当社グループが展開する上記2事業において、「デジタルマーケティング事業」の「メディア・ソリューション」では、既存サービスの成長余地が小さくなってきており、競合が多い中での新規領域でのサービス展開も容易ではなく、成長が鈍化してきております。また、「デジタルマーケティング事業」の「D2C」は、投資フェーズから収益フェーズへの移行時期であり、当社グループへの収益貢献が限定的な状況にあります。さらに、「エンターテインメント事業」では、スマホゲーム市場の成長の鈍化や一タイトルあたりの開発費の高騰が進んでおり、ヒットタイトルが生まれにくい環境に変化しております。このような事業環境において、当社は、資本市場からの期待に十分応えることができておらず、2022年10月27日付「上場維持基準の適合に向けた計画書」において公表しておりますとおりプライム市場の上場維持基準に適合しない状態となっており、事業提携契約時点においてもその状態が継続しておりました。
このような状況の下、当社は、2024年6月7日付で公表した「第三者割当により発行される第9回新株予約権及び第1回無担保転換社債型新株予約権付社債の募集に関するお知らせ」のとおり、資金調達に加えて、M&A推進や経営管理力強化等の当社の取組に関して高度な経営支援を受けることができ、当社の企業価値の向上を図ることが可能であると考えられる事業提携先として、複数の上場会社への戦略的なアドバイスの提供実績があるアドバンテッジパートナーズを選定いたしました。当社は、割当先に対して、第9回新株予約権及び第1回無担保転換社債型新株予約権付社債を発行いたしました。また、アドバンテッジパートナーズとの間で、2024年6月7日付で事業提携契約を締結いたしました。当社は、アドバンテッジパートナーズから受けるノウハウを活用することにより、企業価値向上のための諸施策の検討と着実な実行を積極的に推進してまいります。
2.事業提携の内容
アドバンテッジパートナーズからは、以下の各事項を含む支援を受けております。なお、2024年6月7日付で公表した「第三者割当により発行される第9回新株予約権及び第1回無担保転換社債型新株予約権付社債の募集に関するお知らせ」のとおり、当社は、割当先に対して、第9回新株予約権及び第1回無担保転換社債型新株予約権付社債を割り当てております。
(1)M&A推進支援・PMI支援
(2)マーケティングによる利益水準向上支援
(3)経営管理力強化支援/人材採用支援
(4)その他当社とアドバンテッジパートナーズが別途合意する業務
また、割当先との引受契約において、当社は、割当日から2029年6月26日又は割当先が当社の株式又は新株予約権、新株予約権付社債その他の潜在株式(以下「株式等」と総称する。)を保有しなくなった日のいずれか早い日までの間、割当先の事前の書面又は電磁的方法による同意なく、株式等の発行、処分又は付与をしないこと(但し、株式付与ESOP信託又は業績連動型株式報酬制度(以下「本株式報酬制度」という。)に基づき、当社グループの従業員又は取締役(社外取締役及び監査等委員である取締役を除く。)に対して、当社の普通株式を交付する場合は、この限りではない。)、また、同様の期間、第三者に対して、株式等の発行等をしようとする場合(株式報酬制度に基づき当社グループの従業員又は取締役(社外取締役及び監査等委員である取締役を除く。)に対して当社の普通株式を交付する場合を除く。)、当該第三者との間で当該株式等の発行等に合意する前に、割当先に対して、当該株式等の内容及び発行等の条件を通知した上で、当該株式等の全部又は一部について当該条件にて引き受ける意向の有無を確認し、割当先がかかる引受けを希望する場合、当社は、当該第三者の代わりに又は当該第三者に加えて、割当先に対して当該株式等を当該条件にて発行等することを合意しております。
3.事業提携先の概要
|
(1)商号 |
株式会社アドバンテッジパートナーズ(旧 アドバンテッジアドバイザーズ株式会社) |
|
|
(2)所在地 |
東京都港区虎ノ門四丁目1番28号 虎ノ門タワーズオフィス17階 |
|
|
(3)代表者の役職・氏名 |
代表取締役 笹沼 泰助 ・ 喜多 慎一郎 |
|
|
(4)事業内容 |
経営コンサルタント業 |
|
|
(5)資本金 |
48百万円 |
|
|
(6)設立年月日 |
1992年12月17日 |
|
|
(7)大株主及び持株比率 |
Advantage Partners Pte. Ltd. 100% |
|
|
(8)当社との関係等 |
資本関係 |
該当事項はありません。 |
|
|
取引関係 |
該当事項はありません。 |
|
|
人的関係 |
該当事項はありません。 |
|
|
関連当事者への該当状況 |
該当事項はありません。 |
|
(9)当該会社の最近3年間の連結経営成績及び連結財政状態 |
||
|
事業提携先の要望により公表を控えさせていただきます。 |
||
4.日程
|
(1)事業提携契約の締結の取締役会決議 |
2024年6月7日 |
|
(2)事業提携契約締結日 |
2024年6月7日 |
|
(3)事業提携開始日 |
2024年6月26日 |
(2)株式譲渡契約
当社は、2024年5月28日に株式会社Paddleの株式を取得し、子会社化することについて取締役会にて決議し、同日付で株式譲渡契約を締結いたしました。
なお、詳細につきましては「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等(1)連結財務諸表 注記事項(企業結合等関係)(取得による企業結合)」に記載のとおりであります。
当社は、2025年5月15日に当社の連結子会社である株式会社エイチームフィナジーの発行済株式全てをSasuke Financial Lab株式会社に譲渡することについて取締役会にて決議し、同日付で株式譲渡契約を締結いたしました。
なお、詳細につきましては「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(重要な後発事象)(子会社株式の譲渡)」に記載のとおりであります。
当社は、2025年9月30日に株式会社シグニティの株式を取得し、子会社化することについて取締役会にて決議し、同日付で株式譲渡契約を締結いたしました。
なお、詳細につきましては「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(重要な後発事象)(取得による企業結合)」に記載のとおりであります。
当社グループは、日々技術革新を続ける、インターネットやデジタル配信ゲーム(モバイルゲーム、PCゲームデジタル配信、家庭用ゲームデジタル配信)、Web3領域に対し、確実に技術適応し、市場のニーズにすばやく対応していくため、各事業において研究開発に取り組んでおります。
当連結会計年度における研究開発費の総額は