第2【事業の状況】

1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

当社グループの経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、以下のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1) 経営方針

当社グループは、「いいモノを世の中に広め、人々を幸せに」を経営理念としてかかげ、顧客である企業等のメディアを活用した生活者とのコミュニケーション戦略をサポートする事業を展開しています。従来より当社グループが手掛けるPRサービスの分野にとどまらず、技術の進化とともに刻々と変化するメディア環境にもいち早く対応しながら、顧客のコミュニケーション戦略において必要となる実効性の高いサービスを総合的に提供することで、顧客にとっての最適なコミュニケーション環境の構築をサポートすることを目指しております。

 

(2) 経営戦略等

当社グループは、顧客である企業等によるメディアを介したコミュニケーション戦略を幅広くサポートするためのサービスの拡充や体制の強化を継続的に推し進めることで成長を実現させてまいりました。

従来のPRサービス分野にとどまらず、目まぐるしく変化を続けるメディア環境や技術の進化にも対応しながら実効性の高いサービスを積極的に取り込み、顧客の「いいモノを世の中に広める」ためのコミュニケーション戦略において必要となる幅広いサービスをタイムリーかつ高いコスト効率によりワンストップで提供する「FAST COMPANY」としてのサービスの拡充と体制の強化に取り組んでおります。

特に最近では急速に技術進歩をしながら成長を続けるデジタルマーケティング領域のサービス強化を目的として、M&Aを含むグループ基盤の強化に取り組んでおります。

今後も市場の動向や技術の進歩も踏まえながら将来にわたってより安定的かつ効率的な収益を確保できるサービスの拡充に取り組み、顧客のコミュニケーション戦略を総合的にサポートできる事業強化を継続的に進めることで、業界における競争優位性を強化し企業価値の向上に取り組んで参ります。

 

(3) 経営環境

当社グループがターゲットとしている広告市場は、2024年(1~12月)の日本の総広告費は7兆6,730億円(前年比4.9%増)と好調な企業収益や消費意欲の活発化、世界的なイベント、インバウンド需要の高まりなどに支えられ、3年連続で過去最高を更新しました。その中でも、インターネット広告費は3兆6,517億円(同9.6%増)と社会のデジタル化を背景に継続して成長し、広告市場全体を牽引しました。(出所:株式会社電通)

 

(4) 優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題

当社グループは、将来にわたってグループの成長を継続させ企業価値の向上を実現するために、以下の課題に積極的に対処して参ります。

 

① 顧客のマーケティング戦略を総合的にサポートする事業体制の強化

当社グループは、顧客のマーケティング戦略を総合的にサポートするための体制を整え、従来のPRサービスの枠組にとらわれない広範な事業に取り組み成長を実現して参りましたが、将来にわたって当社グループの成長を継続させるためには、従来にも増して目まぐるしく進化を続けるメディア環境やインターネット等の技術の進化にもいち早く対応できるための事業基盤の強化を継続的に進めるとともに、事業の拡大に応じたグループ運営体制の強化を着実に実行していくことが必須であると考えております。

顧客が求めるサービスの拡充を時機を逃さずに継続的に進めるとともに、それらの新しい事業分野を当社グループのサービスラインナップとして効率的に取り込み、顧客に対して最適なパッケージサービスとして提供するために、グループとして運営体制の強化に取り組んで参ります。

 

② M&Aによる事業領域の拡大および成長の加速

当社グループは、M&Aを積極的に推進することで、既存事業の拡大と付加価値の向上を図り、顧客のマーケティング戦略を総合的にサポートする事業体制を強化していく方針を掲げております。

M&Aを検討する際には、当社グループ会社とのシナジー、戦略との整合性、デューデリジェンスによる財務・法務上のチャンスやリスクの精査、買収後の統合効果を最大化することを重要視しております。今後も、当社グループ企業とのシナジーに関する検討を十分行うとともに、財務状況とのバランスを考慮しながら、成長を加速させるM&Aを進めて参ります。

 

③ コーポレート・ガバナンスの強化

当社グループは、会社の永続的な発展のために、経営の透明性、効率性及び健全性を確保するとともに経営責任の明確化を進めております。当社グループは国内のみならず海外においてもグループ会社が増加しており、新しいサービス分野も含めその事業領域を急速に広げながら成長を継続しております。特に最近においては、新しいサービス分野を中心にM&Aや事業譲受なども行いながら積極的に事業体制の強化を進めており、それらの新しい事業リソースを当社グループの経営管理体制に効率的に統合するとともに、その運営においても、新しい事業分野や事業地域で適用される法令やルールを遵守するための体制の整備が重要であると認識しております。

その実現のために、事業規模の拡大に対応した効率的な経営管理体制の整備を進め、法令及び社内諸規程を遵守した業務執行の定着を推進するとともに、内部監査を継続的に実施し、会社業務の適正な運営ならびに財産の保全を図り、さらにその実効性を高めていくための経営効率化に取り組んで参ります。

 

(5) 経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等

当社グループは、現時点においても成長途上であると認識しており、営業基盤の拡大による企業価値の継続的拡大を目指していることから、営業基盤の指標として『営業利益』を重視しております。

2【サステナビリティに関する考え方及び取組】

当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取組は、以下のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1) サステナビリティ全般への取組

当社グループは、創業以来の当社グループビジョンである「いいモノを世の中に広め、人々を幸せに」の精神に則り、事業を通じてさまざまな社会課題の解決に取り組むことで、社会全体の持続可能な発展への貢献に努めております。サステナビリティの方針としましては、「SDGs/ESGの取り組みを世の中に広め全てのステークホルダーを幸せに」という理念を掲げ、当社グループが提供するPRを主軸としたコミュニケーションサービスを通じて、クライアント企業のSDGs/ESGの取り組みをサポートするなど、時代にあったサービスを提供することで、自社だけでなく、クライアントの社会課題を解決する取り組みを推進しております。今後も事業活動を通じ、サステナビリティの実現に向けた取り組みを行ってまいります。

① ガバナンス

当社グループは、サステナビリティへの取り組みを推進するため、サステナビリティ委員会を設置し、年に数回不定期に開催しております。サステナビリティ委員会では、サステナビリティに関する方針や考え方の整備、サステナビリティ推進体制の構築、取り組み状況のモニタリングを行っております。サステナビリティ委員会で検討、協議された方針や課題において、特に重要な事項については経営会議、取締役会に報告され決定しております。

 

② 戦略

a.当社グループの重要課題(マテリアリティ)とその選定方法について

当社グループは、ステークホルダーの期待や要請に応えていくため、優先的に取り組むべき重要課題(マテリアリティ)を策定しています。当社グループのSDGs/ESG理念を実現する重要課題および重要課題の策定プロセスは下記のとおりであります。

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イ.重要課題特定フロー

Step1.課題候補項目の抽出

重要な社会課題としてグローバルサステナビリティテーマであるSDGs (国連の持続可能な開発目標) といった国際的な指標を参照し、当社の事業活動や企業文化に関連性の高い社会課題を抽出しております。

Step2.ビジネスとの関連性の評価

「ベクトルグループのビジネスとの関連性」について、事業との関連度で重要性を評価し、抽出した社会課題の重みづけを行っております。

Step3.自社の重要課題の評価と策定

「ビジネスとの関連性」を評価し、ベクトルグループにおける重要課題を策定しております。抽出した社会課題について、サステナビリティ委員会や経営会議を通じて、当社経営戦略との関連性を評価し、経営会議を経て、優先的に取り組むべき重要課題を策定しております。

ロ.今後の運用方針

サステナビリティ委員会が中心となり、決定した6つの「ベクトルグループマテリアリティ」における具体的な取り組みを推進し、目標達成に努めてまいります。また、定期的なステークホルダーの皆様との対話を通じ、その時々の社会課題の変化や経営戦略に沿ってマテリアリティの見直しを行ってまいります。

b.人的資本経営に向けた取り組み

人的資本に関して、主に下記に記載の取組みを行っております。

イ.多様な人材の採用と活躍推進

当社グループは、役員・従業員一人ひとりが、お互いの多様性・人格・個性を尊重し、人種・宗教・国籍・年齢・性別・性自認・性的指向・障がいの有無その他による差別、個人の尊厳を傷つけるハラスメントを自ら行わず、また、容認することがないよう、人間尊重の企業文化の確立に取り組んでおります。また、あらゆる形態の児童労働・強制労働を認めません。
人権尊重の取り組みを推進し、その責務を果たすための指針として、国連「ビジネスと人権に関する指導原則」の考え方に基づいて行動しております。

性別や国籍など属性による多様性のみならず、経験や異なる文化、専門分野などの多様性を確保するため、様々なバックグランドを持つ人材の採用を積極的に行っております。また、高い専門性やスキルを保有しているだけではなく、当社グループの企業理念やビジョンへの共感度を重視した採用を行っており、入社後においては、経験や能力の保持だけではなく、しっかりと成果や実績を出した従業員に公平に報いる評価及び登用の機会を設けております。

(多様な働き方と女性の活躍推進)

当社グループは、正社員の5割以上を女性が占め、女性管理職の割合も3割を超えております。今後においても、この比率を維持・向上するために、女性社員が働きがいを持ち、仕事とプライベートを両立できる環境を整備してまいります。なお、推進体制としましては、サステナビリティ委員会を設け、随時課題の吸い上げや課題に対する対応状況等を共有し、対処しております。

なお、当社グループは、国連グローバル・コンパクト(UNGC)とUNWomen(United Nations Entity for Gender Equality and the Empowerment of Women)が女性の活躍推進に積極的に取り組むための行動原則を示した「女性のエンパワーメント原則(Women’s Empowerment Principles、WEPs)」の趣旨に賛同し、同原則に基づき行動するためのステートメントに署名いたしました。署名を機により一層、女性活躍やジェンダー平等の推進に取り組んでいくことを社内外に表明するとともに、WEPsの行動原則をグループ全体の指針と捉え、ダイバーシティ推進の活動を加速させてまいります。また、取締役会を含む企業の意思決定機関、基幹職にしめる女性割合の向上を目的とした世界的キャンペーンである「30% Club Japan」の趣旨に賛同し、加盟いたしました。「30%Club Japan」への加盟により、経営・意思決定機関の多様性を確保していくことで、社会の持続的な成長への貢献と企業価値の向上を図ってまいります。
(注)女性従業員および女性管理職の割合は、当社および主要PR子会社のみの数値となります。

(障がい者雇用の推進)

当社グループは、当社出資先のサービスである「障害者雇用バンク」を通して、障がい者雇用の推進を啓蒙するとともに、障がい者の就労機会の創出や活躍機会の拡大についても取り組んでおります。

ロ.次世代リーダーの育成

当社グループは、事業や組織拡大に伴う変化に対応しながら継続的な成長を牽引する次世代リーダーの育成に取り組んでおります。また、当社グループの競争優位性は人であり、優秀な人材の確保のため、長期的な業績成長や企業価値向上につなげるためのインセンティブとして新株予約権制度及び譲渡制限付株式報酬制度を活用しております。

 

(人材育成の仕組みづくり)

当社グループは、主力事業であるPR事業を中心とした、人材育成プログラムを実施しております。PRのプロフェッショナル人材育成や柔軟なキャリアステップの実現を目的とした、ベクトルグループ独自の「プロフェッショナル研修」を実施し、切れ目の無い研修フォローにより、キャリア形成を支援し、先進性や創造性を発揮する人材の育成に努めております。また、ベンチャー教育や起業家支援により今後の未来を担う人材の成長を支援するアントレプレナー制度を設置し、次世代の経営者の育成にも努めております。

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c.気候変動に対する取り組み

当社グループは、中長期的な企業価値の向上、並びに持続可能な社会を実現していく上で、気候変動への対応を重要な経営課題の一つと認識しており、事業活動を通じ、温室効果ガスの削減や廃棄物の削減に取り組んでおります。国内外の主なオフィスからの排出や環境負荷低減に引き続き注力し、事業効率の向上と総CO2排出量の削減の両立に努めてまいります。

当社グループは、2021年7月「気候変動関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)」による提言への賛同を表明するとともに、2021年8月に賛同する企業や金融機関等の間で議論する場として設立された「TCFDコンソーシアム」に加盟しました。TCFD提言に基づく積極的な情報開示と透明性向上に努めております。

イ.モニタリング

当社グループでは、サステナビリティ委員会において、気候変動に関する方針や重要課題への対応について検討を行い、その対応状況や特に重要な事項等については、適宜経営会議および取締役会に報告され、経営会議および取締役会の指示・助言のもとモニタリングを行っております。

ロ.シナリオ分析

気候変動に関する事業影響を把握し、気候関連リスク・機会への適応力を強化することを目的として、TCFDが提唱するフレームワークに基づいたシナリオ分析を実施しております。パリ協定を踏まえて低炭素経済に移行する1.5℃シナリオ分析を行っております。これによって特定した事業上のリスク、機会は下表のとおりであります。下記のシナリオ分析を踏まえ、今後サステナビリティ委員会にて、特定されたリスクについて対応策を検討してまいります。

 

(想定されるリスクと機会の一覧)

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(1)リスク

・移行リスク

GHG(温室効果ガス)排出規制が強化され、様々な技術革新や生活様式の変化が生じると想定されます。短/中期的には、原材料や電気価格の高騰による悪影響が想定されますが、長期的には変化への対応により、いずれもリスクが低下することが予想されます。

・物理的リスク

GHG(温室効果ガス)排出規制が強化され規制強化、技術や生活様式などの変化により、気候変動の物理的悪影響はある程度抑制されると想定されます。そのため、短/中/長期的にも大きなリスクは予見されません。

(2)機会

・ビジネス機会

施設・流通の効率化、低炭素エネルギー源への代替、新技術の利用などが進むと想定されます。中期的には低炭素燃料コストが低下し、情報通信業もメリットが大きくなると期待されます。また、事業の一つであるデジタルサイネージやDX化の事業は物質循環を削減することができる意味で、環境配慮型サービスであり、機会増が予見されます。

 

③ リスク管理

当社グループは、経営に対して大きな影響を及ぼすリスクに適切かつ迅速に対応するため、代表取締役社長を委員長とするコンプライアンス・リスク管理委員会を設置し、事業活動を行う上で対処すべきリスクを認識・特定して、対策を協議しております。サステナビリティ委員会で特定した重要なリスクについては、コンプライアンス・リスク管理委員会と連携し、全社リスクに統合して分析や把握を行うことでリスクの低減、未然防止等を図っております。

 

④ 指標及び目標

重要課題に関連する評価指標は、下記の通りです。

a.人材の育成及び社内環境整備の方針に関する指標の実績及び目標

当社グループの従業員全体における女性従業員の割合は57.7%、管理職に占める女性従業員の割合は31.4%となっております。2030年までに管理職に占める女性従業員の割合を40%以上にすることを目指してまいります。

この目標達成に向けて、「フレックスタイム勤務制度」、「短時間社員制度」や「在宅勤務制度」といった柔軟な働き方を推進する制度を導入し、仕事と子育て、プライベートの両立ができる体制を整備することで、事業成長に寄与する人材の定着に努めてまいります。

(注)女性従業員および女性管理職の割合は、当社および主要PR子会社のみの数値となります。

b.環境における指標及び目標

当社グループは、2030年(2031年2月期)までにScope1,2の実質排出量を0に、Scope3の排出量を2021年(2022年2月期)を基準年として50%削減することを目標として定めています。この排出削減目標を達成するため、2021年からの9年間でScope3排出量を3,155t-CO2削減できるように努めてまいります。

 

GHG(温室効果ガス)排出量の実績

 

単位

2022年2月期

(基準年)

2024年2月期

2025年2月期

Scope1

t-CO

28.672

27.998

23.289

Scope2

t-CO₂

586.216

457.538

502.522

Scope1,2の合計

t-CO

614.888

485.536

525.811

Scope3

t-CO₂

6,310.722

10,225.548

9,470.350

Scope1,2,3の合計

t-CO₂

6,925.610

10,711.084

9,996.161

(注)1.Scope1は、当社におけるガス直接使用にかかる温室効果ガス排出量。

2.Scope2は、当社における電気使用にかかる温室効果ガス排出量。

3. Scope3は、Scope1・2以外の事業者の活動に関連する他社の温室効果ガス排出量。

4.GHG(温室効果ガス)排出量は、当社および主要PR子会社のみの数値。

 

 

 

3【事業等のリスク】

有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を及ぼす可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。

なお、文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1)事業環境に係るリスク

①災害・事故等に関わるリスク

[リスクの内容と顕在化した際の影響]

企業の広告宣伝・広報関連予算は、自然災害、電力その他の社会的インフラの障害、流通の混乱、大規模な事故、伝染病、パンデミックの再発、戦争、テロ、政情不安、社会不安等が発生した場合、その影響を受けやすい傾向にあります。したがって、これらの災害・事故等が発生した場合、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

[リスクが顕在化する可能性の程度や時期]

当該リスクが顕在化する可能性は相応にあるものと考えられます。また時期については常に発生する可能性が考えられます。

[リスクへの対応策]

当社グループでは、戦略PRサービスにおいて、従来の広告予算より低価格でサービスを提供していることに加え、様々な産業セクターへ継続取引を基本としたリテナーサービスを提供しており、特定産業に偏らない収益基盤づくりに努めているうえに、ダイレクトマーケティング事業などの一般消費者を対象としたサービスを展開することにより、企業の広告宣伝・広報関連予算減少のリスク低減に努めています。

また、ベクトルグループにおいて受託した業務を早期に再開し、顧客の業務活動復旧の一助となるよう、従業員の安否確認システムの導入、リモート対応ができるようなシステム環境を整備する等、事業継続への影響を最小限に抑える事業継続計画(BCP)を定期的に検討をしています。

 

②与信管理に関するリスク

[リスクの内容と顕在化した際の影響]

当社グループの主力事業である戦略PR事業の主要顧客は大手広告代理店や大規模企業でありますが、デジタル広告事業の成果報酬型広告や運用型広告に関する取引の一部において財務基盤が強固ではない企業との取引が発生いたします。これらの取引においては経済情勢の変化により急速に経営状況が悪化するなど、予測不能な事態が生じた場合には売上債権の回収に支障をきたし、当社グループの業績および財務状況に影響を与える可能性があります。

[リスクが顕在化する可能性の程度や時期]

当該リスクが顕在化する可能性は相応にあるものと考えられます。また時期については常に発生する可能性が考えられます。

[リスクへの対応策]

当社のデジタル広告事業及び同様のリスクが存在する連結子会社においては、成果報酬型広告や運用型広告に関する取引によって生じる固有のリスクを踏まえた与信管理規程及び与信管理業務マニュアルを既存の戦略PR事業を前提とした与信管理ルールと別途で定め、外部調査機関の情報を活用して各取引先の信用評価を行い、取引先ごとに取引限度額を設定しております。また、信用力が低く一定の売上債権を有する取引先に対しては、定期的に取引条件の見直しや債権保全方法及び撤退等の取引方針の検討を行っています。このような与信管理体制を講じることによって、売上債権の貸倒損失の防止に努めております。

 

③在庫管理に関するリスク

[リスクの内容と顕在化した際の影響]

当社グループのダイレクトマーケティング事業においては、顧客の需要予測をもとに適正在庫を保有しながら販売活動を行っております。しかしながら、顧客の需要や外部環境の変化等によって販売不調となった場合には、過剰在庫が発生し、商品評価損の計上等によって、当社グループの業績および財務状況に影響を与える可能性があります。

[リスクが顕在化する可能性の程度や時期]

当該リスクが顕在化する可能性は低いものと考えられます。また時期については常に発生する可能性が考えられます。

 

[リスクへの対応策]

当社グループでは、顧客の需要予測をもとに立案した販売計画によって商品を発注し、在庫システムで一元管理を行い、在庫の受払い及び保有状況を日次で管理しております。また、販売業績の把握及び管理を行って、顧客の需要動向等の外部環境に応じた販売戦略を適時に見直して発注量を管理することによって、過剰在庫や滞留在庫等が発生するリスクの軽減を図っております。

 

(2)事業戦略に係るリスク

①海外展開

[リスクの内容と顕在化した際の影響]

当社グループは、アジア・ASEAN地域を中心とした海外市場において、積極的な事業展開を推進しております。

各国における急激な法規制・税制の変更および、カントリーリスクのほか、当該地域のマーケットと事業戦略とのずれ等のリスクが存在し、それらによる損失の発生により当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

[リスクが顕在化する可能性の程度や時期]

当該リスクが顕在化する可能性は相応にあるものと考えられます。また時期については常に発生する可能性が考えられます。

[リスクへの対応策]

現地子会社及びグローバル本部と定期的に情報を共有し、海外市場の動向を慎重に見極め、リスクコントロールを徹底することにより、当該リスクの低減に努めています。

 

②新規事業

[リスクの内容と顕在化した際の影響]

当社グループは、企業価値の向上と事業領域の拡大を目的に、M&A・事業提携、新規事業や新規市場の開拓を積極的に推進する方針です。しかしながら、財務状況の悪化、予測と異なる状況による事業計画との著しい乖離等により、当社グループの業績および財務状況に影響を与える可能性があります。

[リスクが顕在化する可能性の程度や時期]

当該リスクが顕在化する可能性は相応にあるものと考えられます。また時期については常に発生する可能性が考えられます。

[リスクへの対応策]

当社グループでは、市場状況・事業環境のタイムリーで的確な把握と、事業計画の進捗把握と改善に注力し、適時適切な撤退判断等、当該リスクの低減に努めています。

 

③インベストメントベンチャー活動

[リスクの内容と顕在化した際の影響]

当社グループは、2023年2月期より投資活動を事業化し、優良ベンチャー企業への投資活動にも取り組んでおります。ベンチャー企業に対して、当社グループの中核事業である戦略PRやIRサービスを提供するのとあわせて、出資を行うことにより資本面での支援もあわせて行い、投資先の総合的な企業成長の支援をするものです。

投資先である企業は、その将来性における不確定要素により業績が悪化し、投資が回収できず、当社グループの損益に影響を与える可能性があります。

[リスクが顕在化する可能性の程度や時期]

当該リスクが顕在化する可能性は相応にあるものと考えられます。また時期については常に発生する可能性が考えられます。

[リスクへの対応策]

当社グループでは出資額に応じて定めた適切な意思決定機関で、事業予測や投資の回収可能性等のリスクを総合的かつ慎重に検討し、投資の実施判断を行い、当該リスクの低減に努めています。

また、重要な投資に対して期待される効果が計画から大きく乖離していないかを四半期決算時に確認し取締役会にて報告をしています。乖離した場合には、関係部門が必要に応じて今後の方向性や業績改善のための対策を検討しています。

 

(3)事業運営に係るリスク

①人財確保

[リスクの内容と顕在化した際の影響]

当社グループの成長力および競争力は、優秀な人財の獲得と維持による人的資本に依存します。今後、優秀な人財の獲得が困難となる場合又は現在在職する人財の社外流出が生じた場合、当社グループの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

[リスクが顕材化する可能性の程度や時期]

当該リスクが顕在化する可能性は相応にあるものと考えられます。また時期については常に発生する可能性が考えられます。

[リスクへの対応策]

当社グループは、人財採用及び人財育成を重要な経営課題と位置づけております。当社グループでは、離職抑制及び多様性のある人財が集い活躍できる場を整備(公正で柔軟な人事制度の導入、社内公募制度)することで、人財獲得においての優位性を維持できると考えております。また、労務環境のさらなる改善等も推進しており、当該リスクの低減に努めています。

 

②メディアとの関係及び新たなメディアの成長

[リスクの内容と顕在化した際の影響]

当社グループのPR事業領域においては、マスメディアおよびデジタルメディア各社に対し有用な情報を長期的かつ継続的に提供することにより、メディアの意思決定者と継続的かつ良好な関係を維持することが、顧客へ提供するサービスの品質・効果における重要な要素となります。誤った情報の提供等の理由によりメディアとの信頼関係を失った場合、またインターネット環境の整備及びスマートフォン等の新しいデバイスの普及による新興メディアの考査が十分に機能しなかったこと等によるレピュテ―ションリスクが発生した場合には、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

[リスクが顕在化する可能性の程度や時期]

当該リスクが顕在化する可能性は相応にあるものと考えられます。また時期については常に発生する可能性が考えられます。

[リスクへの対応策]

当社グループでは、社内研修や外部講師を招いた研修等を通じてメディアに対し有用かつ正しい情報を提供できるように人財の育成に努めており、当該リスクの低減に努めています。

 

③PR業界における取引習慣

[リスクの内容と顕在化した際の影響]

当社グループのPR事業領域においては、PRの計画や内容に柔軟かつ機動的な変更を要求される業界特有の取引習慣となっているため、役務提供過程においても企画内容、実施時期、報酬額及びその支払時期等が変更される場合もあります。取引条件について取引先との認識の相違や係争が発生した場合には、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

[リスクが顕在化する可能性の程度や時期]

当該リスクが顕在化する可能性は相応にあるものと考えられます。また時期については常に発生する可能性が考えられます。

[リスクへの対応策]

当社グループでは、契約書、発注書の変更に対して覚書等の文書を取り交わすこととしており、取引条件の明確化に努めています。

 

④法規制

[リスクの内容と顕在化した際の影響]

当社グループの事業は様々な法規制の影響を受けております。特にダイレクトマーケティング事業領域においては、「薬機法(医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律)」等の各種法令や、監督官庁の指針、ガイドライン等による規制を受けております。これらの法令の制定や改正、新たなガイドライン等により規制が強化された場合、当社グループの業績及び今後の事業展開に影響を及ぼす可能性があります。

[リスクが顕在化する可能性の程度や時期]

当該リスクが顕在化する可能性は相応にあるものと考えられます。また時期については常に発生する可能性が考えられます。

[リスクへの対応策]

当社グループは、各規制に従って業務を遂行しております。法律の改定状況をモニタリングし、社内研修による周知等、法令違反を防止する社内管理体制を構築し、当該リスクの低減に努めています。

 

⑤知的財産権

[リスクの内容と顕在化した際の影響]

当社グループが事業推進において第三者の知的財産権を侵害した場合には、当該第三者から損害賠償請求や使用差止請求等の訴訟を提起されるなどして、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

[リスクが顕在化する可能性の程度や時期]

当該リスクが顕在化する可能性は相応にあるものと考えられます。また時期については常に発生する可能性が考えられます。

[リスクへの対応策]

当社グループは、第三者の知的財産権を侵害しない体制として、社内教育の実施や顧問弁護士による調査・チェックを実施し、リスクの低減に努めています。

 

⑥情報セキュリティ

[リスクの内容と顕在化した際の影響]

当社グループは、事業活動を行う上で多くの機密情報や個人情報を有しております。当社グループでは、情報セキュリティ基本規程等を定め、年々変化するサイバー犯罪の手法に対して情報セキュリティの対策を検討しております。しかしながら、当社の想定を超えた技術による不正アクセスやコンピューターウイルス、その他予測不可能な事象などにより、顧客情報の漏えい、業務システムの停止等が発生した場合には、当社グループの業績及び財政状態に影響を与える可能性があります。

[リスクが顕在化する可能性の程度や時期]

当該リスクが顕在化する可能性は相応にあるものと考えられます。また時期については常に発生する可能性が考えられます。

[リスクへの対応策]

当該リスクを低減するために当社では次のような対策をとっております。

・全従業員を対象に、情報セキュリティに関する研修を定期的に実施しております。

・ISMSにおいて定期的に情報セキュリティリスクの特定と分析を行うとともに、顧客等ステークホルダーからの要求や法令等の規制を考慮して情報セキュリティに関する手順と組織的、人的、物理的、技術的セキュリティ対策を整備し運用することでリスク低減を行っています。なお、当社グループでは2013年1月にISO27001の認証を取得しております。

・個人情報や機密情報の電子化と、一定基準のセキュリティ設定をした社給端末への集約を推進し、書類の紛失による情報流出リスクに対応しております。

・サイバー攻撃等に対するセキュリティ強化のため、各システムに必要なサーバー機器等を情報セキュリティ対策の施された商用データセンターにハウジングする等により、物理的なアクセス制御を行っております。

 

⑦内部管理

[リスクの内容と顕在化した際の影響]

事業の急速な拡大等により、十分な内部管理体制の構築が間に合わない状況が発生した場合、適切な業務運営が困難となり、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

[リスクが顕在化する可能性の程度や時期]

当該リスクが顕在化する可能性は相応にあるものと考えられます。また時期については常に発生する可能性が考えられます。

[リスクへの対応策]

当社グループは、コーポレート・ガバナンスの強化を進めており、業務の適正性及び財務報告の信頼性を確保するとともに、これらに係る内部統制が有効に機能するため定期的に改善及び見直しを検討しPDCAサイクルを回すことで、当該リスクの低減に努めています。

 

⑧企業活動におけるレピュテーションリスク

[リスクの内容と顕在化した際の影響]

当社グループの事業活動やイメージについて批判的な評価や誤った情報が拡散した場合等、様々な要素によって当社グループのブランド価値や信用が低下し、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

[リスクが顕在化する可能性の程度や時期]

当該リスクが顕在化する可能性は相応にあるものと考えられます。また時期については常に発生する可能性が考えられます。

[リスクへの対応策]

当社グループでは、社内で連携し適切な情報発信ができる体制となっております。また、当社では日頃から、これら風評の早期発見及び影響の極小化に努め、当該リスクの低減に努めています。

 

4【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1)経営成績等の業績の概要

当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。

 

① 財政状態及び経営成績の状況

当連結会計年度におけるわが国経済は、円安に伴う物価上昇等の影響があるものの、インバウンド需要の回復や雇用・所得環境が改善する下で、緩やかな回復が続きました。一方で欧米における高い金利水準の継続に伴う影響や、中国経済の先行き懸念等による海外景気の下振れリスク、通商政策などアメリカの今後の政策動向、中東地域をめぐる情勢等、先行きは十分注意をする必要がある状況が続いております。

当社グループは、戦略PRサービスを起点とした最先端のコミュニケーション手法によりシンプルかつスピーディにモノを広めるという考えを基軸とし、従来の広告予算より低価格でサービスを提供していることに加え、様々な産業セクターへ継続取引を基本としたリテナーサービスを提供しており、特定産業に偏らない収益基盤づくりに努めていることから、景況感の悪化による業績への影響は軽微であり、今後もこの傾向が継続するものと考えております。

広告業界においては、株式会社電通が2025年2月に発表した「2024年日本の広告費」によると、2024年(1~12 月)の日本の総広告費は7兆6,730億円(前年比4.9%増)と好調な企業収益や消費意欲の活発化、世界的なイベント、インバウンド需要の高まりなどに支えられ、3年連続で過去最高を更新しました。その中でも、インターネット広告費は3兆6,517億円(同9.6%増)と社会のデジタル化を背景に継続して成長し、広告市場全体を牽引しました。

このような市場環境のもと、当社グループは、顧客の「いいモノを世の中に広める」ためのマーケティング戦略をワンストップで総合的にサポートする「FAST COMPANY」として、当社グループが有する既存顧客を中心にサービスを展開しました。また、前期までにM&A等で拡充を図ってきたデジタルマーケティング領域を中心としたサービスの販 売を強化いたしました。

また、英国の広告業界向け専門メディア「Provoke Media」による企業業績をもとにした世界のPR会社ランキング 「GLOBAL TOP 250 PR AGENCY RANKING2024」において、世界6位に選出され、アジアでは引き続き1位となりまし た。

以上の結果、当連結会計年度の売上高は59,254百万円(前年同期比0.1%増)、営業利益は8,029百万円(前年同期比15.7%増)、経常利益は7,655百万円(前年同期比11.4%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は4,195百万円(前年同期比10.5%減)となりました。

 

セグメント業績は、次のとおりであります。

なお、2024年9月17日に公表いたしました「当社完全子会社間の合併に関するお知らせ」に記載のとおり、株式会社イニシャルを存続会社とし、株式会社Starbankおよび株式会社INFLUENCER BANKを消滅会社として吸収合併することに伴い、第2四半期連結会計期間より、株式会社INFLUENCER BANKを「ダイレクトマーケティング事業」から「PR・広告事業」に変更して計上しております。以下の前年同期比較については、前年同期の数値を変更後のセグメント区分に組み替えた数値で比較しております。

 

・PR・広告事業

PR・広告事業においては、コンサルティングを基本とする戦略PRサービスを起点としながら、タクシーの車内に設置するタブレットを活用したIoTサイネージやSNSなどを活用したデジタルマーケティングを駆使し、顧客に合ったコミュニケーション戦略をワンストップで提供しております。

モノの広め方がよりデジタルに移行し、当社の掲げる「FAST COMPANY」という戦略に時代が適合してきたことに加え、前期に積極的に行ったデジタルマーケティング領域のM&A等によりサービスの拡充を図り、これまで以上に顧客のコミュニケーション戦略を総合的にサポートできる体制を構築できました。当連結会計年度においては、2023年10月に実施した子会社の株式譲渡による影響や、他社商材の売上を取り込まない自社完結型のSNS運用などに代表されるオンライン施策の増加等により減収になりましたが、昨年度の一過性の費用計上の反動等で引き続き増益となりました。

以上の結果、PR・広告事業における売上高は32,493百万円(前年同期比6.1%減)、営業利益は3,636百万円(同39.2%増)となりました。

 

・プレスリリース配信事業

株式会社PR TIMESが手掛けるプレスリリース配信事業においては、プレスリリース配信サイト「PR TIMES」をはじめとした多数のWebサイトにプレスリリースを配信・掲載しており、社会インフラとして多くの企業に活用され、2025年2月には利用企業社数が108,000社を突破し、過去最高の売上高を更新しました。また、期初の計画通り、地方企業による「PR TIMES」の利用促進や新規事業への広告投下を実施しました。

以上の結果、プレスリリース配信事業における売上高は8,003百万円(前年同期比17.1%増)、営業利益は1,877百万円(同7.5%増)となりました。

 

・ダイレクトマーケティング事業

株式会社ビタブリッドジャパン等が手掛けるダイレクトマーケティング事業においては、第1四半期連結会計期間 において他社発の紅麹原料によるサプリメント健康被害問題に端を発した機能性表示食品に対する消費者心理の変化を念頭に、新規顧客獲得効率を踏まえた販促投資の縮小を実施したことで、想定の売上増による利益増が確保できずに減益となりました。一方で、第2四半期連結会計期間中盤以降より同問題は解消しており、販促投資を加速した結果、過去最高の売上高となりました。

以上の結果、ダイレクトマーケティング事業における売上高は13,520百万円(前年同期比5.3%増)、営業利益は747百万円(前年同期比35.4%減)となりました。

 

・HR事業

株式会社あしたのチームにおいては、販売戦略の見直しや営業人員の強化を行いつつ、機能改善を企図した開発等 を強化したものの、当連結会計年度中には課題を残す形となりましたが、129百万円の営業利益を計上しました。

動画を活用した採用プラットフォーム「JOBTV」においては、収益基盤の構築に向け、新卒・転職ともに登録者数の増加を図るための広告費や採用プラットフォームの機能改善に向けた開発費を投下しました。また、JOBTVの収益拡大を目的として、2024年3月には採用支援及び採用広告企画事業を展開する株式会社FINDAWAYを連結子会社化した こと等により、前期から赤字幅が134百万円縮小し、55百万円の営業損失となりました。

以上の結果、HR事業における売上高は2,977百万円(前年同期比6.8%増)、営業利益は74百万円(前年同期比23.3%減)となりました。

 

・投資事業

投資事業においては、一部の投資先において評価損を計上しましたが、下期に保有株式を一部売却したことにより、過去最高の営業利益を更新しました。

また、出資先に対してPRおよびIRもあわせたサポートを提供しており、その結果として、株式会社ハッチ・ワ ークが2024年3月26日に東京証券取引所グロース市場へ、株式会社ROXXが2024年9月25日に東京証券取引所グロース 市場への上場を果たしました。

以上の結果、投資事業における売上高は2,540百万円(前年同期比3.3%増)、営業利益は1,694百万円(前年同期比27.8%増)となりました。

 

②キャッシュ・フローの状況

当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下、「資金」という。)は17,125百万円と、前連結会計年度末に比較して1,305百万円の増加となりました。

当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は、次のとおりであります。

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

営業活動により得られた資金は5,675百万円となりました(前連結会計年度比27.4%増)。これは主に、税金等調整前当期純利益の計上7,290百万円、前払金の減少額1,016百万円などによる資金の増加、法人税等の支払額3,036百万円などによる資金の減少によるものであります。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

投資活動により支出した資金は1,478百万円となりました(前連結会計年度は1,146百万円の支出)。これは主に、有形固定資産の取得による支出360百万円、無形固定資産の取得による支出670百万円、出資金の払込による支出231百万円、連結の範囲の変更を伴う子会社株式の取得による支出271百万円などの資金の減少によるものであります。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

財務活動により支出した資金は2,901百万円となりました(前連結会計年度は882百万円の支出)。これは主に、長期借入れによる収入645百万円などの資金の増加、及び長期借入金の返済による支出2,040百万円、配当金の支払額1,359百万円などの資金の減少によるものであります。

 

③生産、受注及び販売の実績

a.生産実績

当社グループの主たる業務は、PR・広告事業であるため、生産に該当する事項はありません。

 

b.受注実績

当社グループの主たる業務であるPR・広告事業は、提供するサービスの性格上、受注の記載に馴染まないため、当該記載を省略しております。

 

c.販売実績

当連結会計年度の販売実績は次のとおりであります。

事業の名称

当連結会計年度

(自 2024年3月1日

至 2025年2月28日)

前年同期比(%)

PR・広告事業(百万円)

32,366

93.9

プレスリリース配信事業(百万円)

7,879

117.5

ダイレクトマーケティング事業

(百万円)

13,518

105.5

HR事業(百万円)

2,949

106.2

投資事業(百万円)

2,540

103.3

合 計(百万円)

59,254

100.1

(注) セグメント間の取引については相殺消去しております。

 

(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。

 

①財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容

a.財政状態の分析

(資産の部)

当連結会計年度末における総資産は、前連結会計年度末に比べ739百万円減少し、42,881百万円となりました。

流動資産におきましては、当連結会計年度末残高は32,346百万円と前連結会計年度末に比べ900百万円の減少となりました。これは、現金及び預金が1,305百万円、受取手形、売掛金及び契約資産が528百万円、流動資産その他に含まれている未収入金が1,147百万円増加した一方で、営業投資有価証券が3,017百万円、流動資産その他に含まれている前払金が1,038百万円減少したことが主な要因となります。

固定資産におきましては、当連結会計年度末残高は10,534百万円と前連結会計年度末に比べ161百万円の増加となりました。これは、のれんが657百万円減少した一方で、ソフトウエアが517百万円、繰延税金資産が481百万円増加したことが主な要因となります。

 

(負債の部)

当連結会計年度末における負債は、前連結会計年度末に比べ2,101百万円減少し、21,544百万円となりました。

流動負債におきましては、当連結会計年度末残高は14,265百万円と前連結会計年度末に比べ592百万円の増加となりました。これは、未払法人税等が355百万円減少した一方で、短期借入金が312百万円、未払金が483百万円、流動負債その他に含まれている未払費用が198百万円増加したことが主な要因となります。

固定負債におきましては、当連結会計年度末残高は7,278百万円と前連結会計年度末に比べ2,693百万円の減少となりました。これは、長期借入金が1,524百万円、リース債務が231百万円、繰延税金負債が661百万円、固定負債その他に含まれている長期未払金が228百万円減少したことが主な要因となります。

 

b.経営成績の分析

(営業利益の状況)

営業利益の詳細につきましては、「4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の業績の概要 ①財政状態及び経営成績の状況」をご参照ください。

 

(経常利益の状況)

貸倒引当金繰入額を196百万円計上している一方で、営業利益が前連結会計年度に比べ1,089百万円増加しております。

これらを主な要因として、経常利益は前連結会計年度に比べ784百万円増加の7,655百万円(前連結会計年度比11.4%増)となりました。

 

(親会社株主に帰属する当期純利益の状況)

法人税等合計を2,490百万円、非支配株主に帰属する当期純利益を605百万円計上しております。

これを主な要因として、親会社株主に帰属する当期純利益は、4,195百万円(前連結会計年度比10.5%減)となりました。

 

当社グループは、現時点においても成長途上であると認識しており、営業基盤の拡大による企業価値の継続的拡大を目指していることから、営業基盤の指標として営業利益を重視しております。

当連結会計年度における営業利益は前連結会計年度に比べ1,089百万円増加し8,029百万円(前連結会計年度比15.7%増)となりました。

 

②キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報

当連結会計年度のキャッシュ・フローの状況については、「4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の業績の概要 ②キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。

 当社グループにおける主な資金需要は、運転資金及びベンチャー投資事業における投資資金となります。運転資金としては、主に人件費及び広告宣伝費等の販売費及び一般管理費の支払となります。これらの資金につきましては、内部資金、金融機関から借入及び社債により調達しております。当連結会計年度における現金及び預金は17,125百万円、短期借入金は2,351百万円、長期借入金(一年内返済予定を含む)は8,127百万円となっております。

 

③重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成しております。この連結財務諸表を作成するにあたって、資産、負債、収益及び費用の報告額に影響を及ぼす見積り及び仮定を用いておりますが、これらの見積り及び仮定に基づく数値は実際の結果と異なる可能性があります。

連結財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 (重要な会計上の見積り)」に記載しております。

 

5【経営上の重要な契約等】

当社は、2025年4月30日付で株式譲渡契約を締結し、同日付で株式会社gracemodeの全株式を取得いたしました。また、当社の連結子会社であるVectorcom Inc.は、2025年4月30日付で株式譲渡契約を締結し、同日付でStoricity, Inc.の全株式を取得し、連結子会社化(当社の孫会社化)いたしました。

詳細は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 注記事項(重要な後発事象)」に記載の通りであります。

 

6【研究開発活動】

当連結会計年度において、当社グループ全体の研究開発活動の金額は、170百万円であります。

当研究開発活動は、PR・広告事業セグメントに係るものであり、主な内容は新サービスの開発であります。