(1)業績
当連結会計年度におけるわが国経済は、企業収益や雇用・所得環境の改善が進み、緩やかではありますが景気の回復基調が続いております。一方で海外経済は、英国のEU離脱問題やアジア新興国等の経済の成長鈍化に加え、米国大統領選の影響等による金融市場の急激な変動もあり、景気の先行きは依然として不透明な状況となっております。
当社グループの主要事業の業績に影響を与える海外出国者数につきましては、円高の影響等により2016年のほぼ全ての月において対前年同月比で増加し、2016年全体では17,116千人で前年比5.6%増となりました(日本政府観光局(JNTO)調べ)。
海外からの訪日外客数は、クルーズ船寄港数の増加や航空路線の拡充、これまでの継続的な訪日旅行プロモーション、ビザの緩和、消費税免税制度の拡充等により、前年比21.8%増で過去最高の24,039千人となりました。
当社の主要業務である海外における日本人顧客向けの医療アシスタンスサービスにとって海外出国者数の増加は追い風の環境であり、海外旅行保険の付帯サービス、事業法人向けアシスタンスサービス、留学生危機管理サービス、セキュリティ・アシスタンスサービスの提供が堅調に推移しました。
また、国際医療事業についても日本の医療ツーリズムに対する認知度の向上と訪日外客数の増加を受けて着実に実績をあげました。
一方で、一部不採算契約の契約更新見送りの影響から海外旅行保険付帯サービスの一部で短期的に売上が減少し、トータルの売上高は2,509百万円(前期比0.9%減)となりました。
費用に関しましては、春から秋にかけての円高メリットを享受して海外センターコストが抑制されましたが、円安時に為替ヘッジを行ったことにより円高効果をフルに寄与させるまでには至りませんでした。
特にアシスタンスオペレーション業務においては競争優位の獲得を目指した「オペレーショナル・エクセレンス」を実践しつつ、人員の適正化、ITの更なる活用等を推進し、コスト抑制に努めました。
また、高まる法人・大学からの危機管理対応ニーズに応えるため営業要員を増員し営業体制の強化も実施しました。
この結果、当連結会計年度の売上原価は1,864百万円(前期比4.0%減)、販売費及び一般管理費が494百万円(前期比8.9%増)となり、営業利益は150百万円と前期比11.1%の増益となりました。
また、海外での医療費等立替払用の外貨建預金の評価替え等により為替差損28百万円が発生し、営業外費用が膨らんだことにより、経常利益は118百万円(前期比9.5%減)となりました。
なお、税務上の繰越欠損金が前連結会計年度に解消したため、法人税等は前期に比べると増加しております。
以上の結果、親会社株主に帰属する当期純利益は64百万円(前期比28.4%減)となりました。
セグメントの状況は次のとおりであります。
(医療アシスタンス事業)
前述のとおり、海外出国者数は円高の進展等により堅調に推移しており、加えてシニア層の海外旅行が増えているため、事故や病気などのトラブルが増え、医療アシスタンスサービスに対するニーズは高まる傾向にあります(海外旅行者における50歳以上の割合は2015年の統計で36.0%になります。法務省「出入国管理統計」)。
このような状況の中で、以下の全てのサービスの提供が好調に推移しました。
① 海外旅行保険の付帯サービス
海外出国者数の堅調な伸びを受けて売上(当社サービス提供に紐づくケース売上)も順調に推移しております。当社は世界中の医療機関とネットワークを結んでおり、電話の一時受けによる医療機関の紹介から重症患者の医療搬送までワンストップで顧客に医療アシスタンスサービスを提供して、海外で活躍する顧客に安全・安心を提供しております。
一方で一部不採算契約の契約更新見送りの影響から売上が前年並みとなりました。
② 事業法人向けアシスタンスサービス、留学生危機管理サービス、セキュリティ・アシスタンスサービス
2016年12月19日にドイツ首都ベルリンにおける大型トラック突入のテロ、12月のトルコ、エジプト各地での爆弾テロなど世界各国でセキュリティリスクが高まっており、海外でグローバルに活動する企業や大学では医療のみならずセキュリティも含めたトータルリスク管理に対するニーズが増えております。
当社は大手セキュリティリスクマネジメント専門会社とパートナーシップ契約を締結し全世界各地でセキュリティアシスタンスのサービスを提供しております。セキュリティ及び医療アシスタンスサービスをワンストップで提供することで、法人・大学に対する売上高も着実に増加しております。
また、大手セキュリティマネジメント専門会社へ研修のための人材派遣や、新しい安否確認システムの開発等様々な施策を実施し、今後も顧客の安全管理を更に強化する方針です。
③ 国際医療事業
国際医療事業につきましては、海外からの外国人患者受入事業は着実に増加しております。今後も現地におけるプロモーション活動や関連業種との連携により受入患者数増加を目指します。
2017年1月31日には「ジャパン インターナショナル ホスピタルズ」28医療機関のうち22医療機関から医療渡航支援企業として指定されました。残りの6医療機関に関しても、当社は過去に医療コーディネートを実施するなど交流実績があり、今後もケースによっては当社が医療コーディネートをサポートいたします。
※「ジャパン インターナショナル ホスピタルズ」は一般社団法人Medical Excellence JAPAN(MEJ)が、日本の医療機関に海外からの渡航受診の受入を促進するため、渡航受診者受入に意欲と取組みのある病院を推奨したものであり、「医療渡航支援企業」を通じて外国人への渡航受診を実施することとされております。
海外からの訪日外客数の増加に伴い、外国人に病気や怪我など不測の事態が起こった場合や国内医療機関からの協力要請に応じてアシスタンスサービスを提供するケースも増加しております。
こうした緊急対応型アシスタンスに関しては、2016年12月には全国旅行業協会が開始するインバウンド旅行補償制度の中でアシスタンスサービスの提供を開始し、また2017年1月には株式会社ジャルパックがタイ人向けに販売を開始した商品「JAL訪日ダイナミックパッケージ」の中でアシスタンスサービスを提供開始することになりました。
保険等で医療費の支払が担保されない場合の対応は困難ですが、上記のように、旅行に最初から損害保険や当社の医療アシスタンスが含まれている場合には、訪日外国人の緊急時に当社の医療アシスタンスサービスをスムーズに提供することができます。
当社は今後も関連業種との提携を進め、訪日外国人の緊急対応型アシスタンスをスムーズに提供できるような仕組みづくりに力を入れていきます。
④ その他
「イベント救護」サービスにおいては、国内のマラソン大会やコンサート会場へ社内外の救急救命士・看護師の派遣を実施し、実績を積み重ねました。
当セグメントの費用に関しましては円高の影響で海外センターコストは抑制されました。
加えて、2016年の業務目標である「オペレーショナル・エクセレンス」に取組み、同業他社に対する競争優位の獲得を目指しつつ、効率的なサービス提供体制構築に取り組んだ結果、費用については前年より抑制することができました。
これらの結果、医療アシスタンス事業の売上高は2,066百万円(前期比2.1%減)、セグメント利益は403百万円(前期比6.3%増)となりました。
(ライフアシスタンス事業)
ライフアシスタンス事業においても2016年の目標である「オペレーショナル・エクセレンス」を実施し同業他社が追随できない高品質のサービス提供を追求しました。
提携会社のカード会員であるお客様のあらゆる要望にお応えできるように海外センターを含めた社内体制を強化し、コンシェルジュサービスノウハウの蓄積と厳しい品質管理・社内教育の実施でサービス品質の向上に努め、提携会社の営業拡大に貢献しました。
一方で、更なる品質強化を図るため、2017年2月には業務管理システムの更新も実施いたしました。
この結果、ライフアシスタンス事業の売上高は443百万円(前期比5.5%増)、セグメント利益は126百万円(前期比21.4%増)となりました。
(2)キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度における現金及び現金同等物の期末残高は、前連結会計年度末に比べ259百万円増加し、957百万円となりました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における営業活動によるキャッシュ・インフローは、421百万円(前連結会計年度は240百万円のキャッシュ・インフロー)となりました。この主な要因は、税金等調整前当期純利益を118百万円計上しましたが、減価償却費を69百万円計上したことに加え、保険会社等に対する立替金178百万円の減少、国際医療事業における前受金54百万円の増加、国際医療事業に関する仕掛品43百万円の減少、ライフアシスタンス事業等の前受収益29百万円の増加、及び海外センター等に対する未払金16百万円の増加によるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における投資活動によるキャッシュ・アウトフローは、46百万円(前連結会計年度は94百万円のキャッシュ・アウトフロー)となりました。この主な要因は、高性能電話システムの機能強化・基幹業務システムの改修に係る無形固定資産の取得による支出24百万円、海外センターオフィス移転等に係る有形固定資産の取得による支出16百万円によるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における財務活動によるキャッシュ・アウトフローは、104百万円(前連結会計年度は81百万円のキャッシュ・アウトフロー)となりました。この主な要因は、長期借入金の返済による支出76百万円、短期借入金の返済による支出20百万円、配当金の支払による支出が12百万円あったことによるものであります。
(1) 生産実績
当社グループはアシスタンス業務の提供を主たる事業として行っており、生産に該当する事項はありません。
(2) 受注状況
当社グループの主たる事業であるアシスタンス業務の提供は、提供するサービスの性格上、受注の記載になじまないため、当該記載を省略しております。
(3) 販売実績
当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
|
セグメントの名称 |
当連結会計年度 (自 平成28年1月1日 至 平成28年12月31日) |
前年同期比(%) |
|
医療アシスタンス事業 (千円) |
2,066,173 |
△2.1 |
|
ライフアシスタンス事業(千円) |
443,016 |
+5.5 |
|
合計 (千円) |
2,509,189 |
△0.9 |
(注)1.最近2連結会計年度の主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりであります。
|
相手先 |
前連結会計年度 (自 平成27年1月1日 至 平成27年12月31日) |
当連結会計年度 (自 平成28年1月1日 至 平成28年12月31日) |
||
|
販売高(千円) |
割合(%) |
販売高(千円) |
割合(%) |
|
|
損害保険ジャパン日本興亜株式会社(注)3 |
1,175,219 |
46.4 |
1,179,511 |
47.0 |
|
American Express International Inc. |
371,737 |
14.7 |
399,038 |
15.9 |
2.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
3.損害保険ジャパン日本興亜株式会社の企業集団に属するSompo America Insurance Services LLCへの販売高を集約して記載しております。
2017年度の当社の事業は、昨年後半からの極めて不透明な経済・社会情勢の中で、今まで以上に難しい課題に直面しつつの運営となります。
しかしながら、当社の事業の現状を見ると、売上高規模、事業別の収支状況、当社の事業モデルおよび保有するイ
ンフラに対する世間からの評価等から、当社の事業はこれまでとは一段高い新たなステージへと移行しつつあると考
えられます。
2017年度は、こうした上昇機運にある当社の現状をより確実なものとし、中期的な発展を目指さなければなりませ
ん。
こうした観点から、今年度の重点事業目標を下記の四項目と定め、2017年度事業推進の基本方針とします。
2017年度は、全役員・社員の力を結集し、この目標を確実に達成し、強固な事業基盤の上に新規事業領域を拡大し
続ける、長期的な発展企業を目指します。
① 仕事の質の追求
言うまでもなく、当社業務は品質が最も重要で、他社との差別化もこれが勝負を決するポイントと言っても過言
ではありません。
今年度は「仕事の質の追求」と表現を変えて、業務品質の向上に再度挑戦する年とします。
② 社内(グループ内)コミュニケーションの改善
今年度は、上記①の仕事の質の向上に合わせて、社内(グループ内)コミュニケーションの抜本的な向上に取り
組み、EAJグループの組織力の強化を進めたいと思います。
③ 売上高営業利益率6%以上の確保
今年度は、上記①②の重点事業目標とともに、予算で掲げた売上高および営業利益を確保し、売上高営業利益率
6%を必達するとともに、引き続き営業利益率の高い会社作りを進めます。
④ 営業活動の強化による既存事業売上の大幅アップ
当社は、すでに同業他社に引けを取らないしっかりとした事業基盤を築き保有しています。
医療アシスタンス部門では、グローバルで365日、24時間をカバーするアシスタンス体制、そのインフラとして
の大規模なネットワークおよびクレーム処理体制を保有しています。
コンシェルジュ部門でも、365日、24時間をカバーし、グローバルな対応が可能な体制を持ち、国際医療では、
国内の医療機関との強固な提携関係と、外国人患者を日本の医療機関に紹介しその業績向上に貢献する他社にな
いノウハウを築き上げています。国際プロジェクトでも同様な基盤を築きあげています。
こうした基盤を更に活用し、応用し、組み合わせて新しい需要を獲得して行けば、それ程多くのコストをかける
ことなく、売上の増加が図れ、利益率の向上にもつながります。
今年度は、各組織の営業活動を一層強化し、こうした既存の事業基盤を活用した売り上げの大幅増をはかり、利
益率の向上にもつなげていきます。
本書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項には、以下のようなものがあります。なお、文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において当社グループが判断したものであります。
①在外駐在者、海外渡航者数の急激な減少について
当社グループの中核的な事業は、主に海外駐在者、海外渡航者に対するアシスタンスサービスの提供であります。そのため、国内外の不況、急激な円安、海外の政情不安や治安悪化、地域紛争、戦争、航空運賃の高騰、伝染病の流行などにより、海外駐在者、海外渡航者数が急激に減少した場合、アシスタンスサービス提供数が減少し、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
②官公庁からの受託業務に係るリスクについて
官公庁からの受注事業である国際プロジェクト事業等につきましては、官公庁からの発注は一般競争入札にもとづいており、当社が落札できない可能性があり、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。また、計画どおりに予算が執行されず受託業務が減少した場合には、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
③個人情報の漏洩について
当社グループは、業務の性質上多数の個人情報を保有しており、いわゆる個人情報保護法に定める「個人情報取扱事業者」に該当し、個人情報の取扱いに関して一定の義務を負っております。そのため、当社では「プライバシーマーク」を取得するとともに、個人情報保護関連の諸規程を整備し運用するなど、社内の管理体制には万全を期しております。また、特に機微な個人情報を扱う部署への入室資格者の制限とビデオカメラ撮影による記録の保存、自社サーバー内のデータへのアクセス権限の厳格な管理、従業員への定期的な個人情報保護関連研修などを実施しております。しかしながら、個人情報が外部へ漏洩するような事態が発生した場合には、当社グループの信頼低下による大口顧客の契約解除、業務範囲の縮小による売上の減少や損害賠償による費用の発生などにより、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
④システムトラブルについて
当社グループの基幹業務システムのトラブルを防止及び回避するために、データベースサーバ及びWEBサーバの冗長化や定期的なバックアップ等を実施しております。しかしながら、万が一予期せぬ大規模災害や人為的な事故等によるシステムトラブルが発生した場合には、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
⑤立替金について
当社グループでは、医師・医療機関への事前の支払のため保険会社等に対する立替金が発生し、事業拡大に伴いその金額も大きくなる傾向があるため、当社グループのキャッシュ・フローに影響を与える可能性があります。保険会社に対する立替は、信頼ある保険会社との間の契約に従い実施しているものであり、回収にかかるリスクは限定的と考えております。また、保険会社以外につきましては、原則、顧客より予想される立替金額を上回る前受金を収受するか、もしくは信用ある法人に対しては当社の与信管理基準に従いつつ、顧客から支払い確約書を入手した上で行う等の対応をしております。しかしながら、万が一多額の立替金の回収遅れや回収不能な事態が生じた場合には、当社グループの財政状態及び業績に影響を及ぼす可能性があります。
⑥法令・規制の変更について
現在、当社グループが関連する業界においては特定の許認可制度などはないものの、今後、新たな自主規制が設けられたり、公的、準公的資格の取得が義務付けられたりする可能性があります。当社グループの想定を超えた法的規制及び自主規制等が設けられた場合、当社グループのビジネスモデル等に影響を及ぼす可能性があります。そのため、業界動向等については十分に注意をしております。
⑦人材の確保及び育成について
医療アシスタンス事業における二カ国語以上を話すスキルと医療や保険などに関する深い知識を持ったアシスタンスコーディネーター及びライフアシスタンス事業における、二カ国語以上を話し、且つコンシェルジュサービスに関する豊富な知識と経験を持つ従業員は当社グループの重要な資産であります。しかし、サービス提供に必要な人材が早期に確保・育成できなかった場合には事業展開の速度に影響を及ぼす可能性があります。そのため、年齢、性別にこだわらず間口を大きく広げた採用活動や内部での研修強化により人材の確保と育成に努めています。
⑧カントリーリスクについて
当社グループでは、現在、米国、中国、タイ国、シンガポール、バングラデシュに子会社、英国に支店を置き、世界各国をサービス提供エリアとした事業展開を行っております。そのため、これらの国々で軍事クーデター、内乱・大規模な騒乱、国家経済の破綻、法的制度の大幅な変化などが生じた場合、当社グループの業務執行に影響が生じる場合があります。また日本人の海外滞在者の多い地域や全世界を範囲とするような上記の事象が生じた場合にも、海外渡航者数の減少により、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
⑨自然災害について
重大な自然災害が発生した場合には、円滑な業務遂行に影響が出ることは避けられず、その結果、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。そのため、このような場合に備えてリスク管理基本規程を定め、会社経営に重大な影響を及ぼす事態が発生した場合に速やか且つ的確な対応を行うため、社長を委員長とするリスク管理委員会を設置しております。また、自然災害や広域感染症、その他の重大事故発生時に備えて非常事態等対策規程を定めて運用しております。さらに米国、英国、中国、タイ国、シンガポール、バングラデシュにアシスタンスセンター及び子会社を設置しており、アシスタンスセンター間は高機能電話システムを導入し、万一の事態に至っても顧客へ通常のサービスを提供できる体制を確保しています。
⑩訴訟・クレームに関するリスクについて
これまで当社グループが国内外で行っている事業に関連した訴訟は発生しておりませんが、当社グループの提供するサービス等をめぐる訴訟やクレーム等が発生した場合には、当社グループの財政状態及び業績に影響を及ぼす可能性があります。
|
契約会社名 |
相手方の名称 |
契約内容 |
契約期間 |
|
日本エマージェンシーアシスタンス株式会社(当社) |
損害保険ジャパン 日本興亜株式会社 |
相手方の海外旅行保険を購入した顧客(被保険者)へのアシスタンスサービスの提供 |
平成27年2月1日より平成28年1月31日まで(以降1年ごとの自動更新) |
|
日本エマージェンシーアシスタンス株式会社(当社) |
海外のプロバイダー |
相手方は当社コーディネーターの指示に従い顧客へのサービスを提供する。 |
原則として1年ごとの自動更新 |
|
日本エマージェンシーアシスタンス株式会社(当社) |
国内外の協力病院 |
相手方がキャッシュレスサービスを提供する。(注) |
原則として1年ごとの自動更新 |
(注)相手方が提供するサービスは以下のとおりです。
キャッシュレスサービスの提供(当社が契約した個人又は当社と契約した法人とアシスタンスサービスの契約を締結した個人が医療機関で支払いをすることなく受診できるサービス。当社は医療機関に対し医療費の立替払いを行いますが、キャッシュレスサービスに対する医療機関への役務提供料等の支払いはありません)。
当社グループは、研究開発活動は実施しておりませんので該当事項はありません。
以下の記載における将来に関する事項は、本書提出日現在において、当社グループが判断したものであります。
(1)重要な会計方針及び見積り
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成にあたり、売掛金等に対する貸倒引当金、及び資産・負債の報告数値ならびに財務諸表の開示内容に影響を与えるその他の事項について、過去の実績や状況に応じ合理的と考えられる判断や見積りを行っております。従って、実際の結果がこれらの見積り額と異なることがあり、結果として連結財務諸表に重要な影響を与えることがあります。重要な会計方針については「第5 経理の状況、1 連結財務諸表等」に記載しております。
(2)財政状態の分析
当連結会計年度末の総資産につきましては、前連結会計年度末に比べ30百万円増加し、2,079百万円となりました。
主な増減要因としては、営業キャッシュ・フローが増加したことによる現金及び預金258百万円の増加、立替金179百万円の減少、仕掛品43百万円の減少、売掛金27百万円の増加、有形固定資産19百万円の減少がありました。
負債につきましては、前連結会計年度末に比べ22百万円減少し、1,357百万円となりました。主な増減要因としては、短期借入金の返済による20百万円の減少、長期借入金の返済による76百万円の減少、前受金54百万円の増加、前受収益29百万円の増加がありました。
純資産につきましては、前連結会計年度末に比べ52百万円増加し721百万円となりました。これは主に、親会社株主に帰属する当期純利益が64百万円発生し、新株予約権が9百万増加したこと、為替換算調整勘定が13百万円減少し、前連結会計年度分の配当金の支払いのために利益剰余金が12百万円減少したことによるものであります。
(3)経営成績の分析
当連結会計年度におけるわが国経済は、企業収益や雇用・所得環境の改善が進み、緩やかではありますが景気の回復基調が続いております。一方で海外経済は、英国のEU離脱問題やアジア新興国等の経済の成長鈍化に加え、米国大統領選の影響等による金融市場の急激な変動もあり、景気の先行きは依然として不透明な状況となっております。
当社グループの主要事業の業績に影響を与える海外出国者数につきましては、円高の影響等により2016年のほぼ全ての月において対前年同月比で増加し、2016年全体では17,116千人で前年比5.6%増となりました(日本政府観光局(JNTO)調べ)。
一方、海外からの訪日外客数は、クルーズ船寄港数の増加や航空路線の拡充、これまでの継続的な訪日旅行プロモーション、ビザの緩和、消費税免税制度の拡充等により、前年比21.8%増で過去最高の24,039千人となりました。
当社の主要業務である海外における日本人顧客向けの医療アシスタンスサービスにとって海外出国者数の増加は追い風の環境であり、海外旅行保険の付帯サービス、事業法人向けアシスタンスサービス、留学生危機管理サービス、セキュリティ・アシスタンスサービスの提供が堅調に推移しました。
また、国際医療事業についても日本の医療ツーリズムに対する認知度の向上と訪日外客数の増加を受けて着実に実績をあげました。
一方で、一部不採算契約の契約更新見送りの影響から海外旅行保険付帯サービスの一部で短期的に売上が減少し、トータルの売上高は2,509百万円(前期比0.9%減)となりました。
費用に関しましては、春から秋にかけての円高メリットを享受して海外センターコストが抑制されましたが、円安時に為替ヘッジを行ったことにより円高効果をフルに寄与させるまでには至りませんでした。
特にアシスタンスオペレーション業務においては競争優位の獲得を目指した「オペレーショナル・エクセレンス」を実践しつつ、人員の適正化、ITの更なる活用等を推進し、コスト抑制に努めました。
また、高まる法人・大学からの危機管理対応ニーズに応えるため営業要員を増員し営業体制の強化も実施しました。
この結果、当連結会計年度の売上原価は1,864百万円(前期比4.0%減)、販売費及び一般管理費が494百万円(前期比8.9%増)となり、営業利益は150百万円と前期比11.1%の増益となりました。
また、海外での医療費等立替払用の外貨建預金の評価替え等により為替差損28百万円が発生し、営業外費用が膨らんだことにより、経常利益は118百万円(前期比9.5%減)となりました。
なお、税務上の繰越欠損金が前連結会計年度に解消したため、法人税等は前期に比べると増加しております。
以上の結果、親会社株主に帰属する当期純利益は64百万円(前期比28.4%減)となりました。
(売上高)
売上高は前年比0.9%減の2,509百万円になりました。
医療アシスタンス事業において、海外旅行保険の付帯としてのサービス提供に関する売上は増加し、国際医療事業サービスにおける受入外国人患者数は増加し、また法人・大学の危機管理意識の高まりにより、事業法人向けアシスタンスサービス、留学生危機管理サービス、セキュリティ・アシスタンスサービスの提供数が増加し、ライフアシスタンス事業においては提携会社の営業拡大に貢献したため売上が増加しました。
一方で、一部不採算契約の契約更新見送りの影響から海外旅行保険付帯サービスの一部で短期的に売上が減少しました。
(売上原価)
売上原価は前年比4.0%減の1,864百万円となりました。
円高の影響で海外センターコストは抑制されたことに加えて、2016年の業務目標である「オペレーショナル・エクセレンス」に取組み、同業他社に対する競争優位の獲得を目指しつつ、効率的なサービス提供体制構築に取り組んだ結果、費用については前年より抑制することができました。
(販売費及び一般管理費)
販売費及び一般管理費は前年比8.9%増の494百万円となりました。
増加要因は、高まる法人・大学からの危機管理対応ニーズに応えるため営業要員を増員し営業体制の強化を実施したためであります。
(営業外収益及び営業外費用)
営業外収益は助成金収入1百万円、受取利息1百万円等があり2百万円となりました。
営業外費用は円高の影響による為替差損28百万円と支払利息4百万円の計上等があり34百万円となりました。
(特別利益及び特別損失)
特筆すべき特別利益及び特別損失の計上はありません。
以上に加え、課税所得に対する法人税が発生したこと等により法人税等合計は54百万円となりました。この結果、親会社株主に帰属する当期純利益は64百万円となりました。
(4)資本の財源及び資金の流動性についての分析
①キャッシュ・フローの状況
キャッシュ・フローの分析については、「第2.事業の状況、1.業績等の概要 (2)キャッシュ・フローの状況」を参照してください。
②資金需要及び資金調達
当社グループは医療機関に対して立替払いを実施するため、また事業規模の拡大と収益源の多様化を求めるために必要に応じて資金調達を実施いたします。投資のための資金調達は基本的には銀行からの固定金利での長期借入金によっております。また機動的な資金確保のため取引銀行9行と当座貸越契約を締結しております。
(5)経営成績に重要な影響を与える要因について
当社グループは、クロスカルチャー・クロスボーダーの環境下で生活をされる方々にサービス提供を行っております。そのため、国家間の戦争や世界的なテロ、世界同時不況、自然災害等が発生し、国際的な活動が大幅に制限されることになった場合には、サービスの提供対象となるサービス受益者が減少することにより、経営成績に重大な影響を受けることが予想されます。一方で危機管理意識の高まりにより、緊急医療や不安定な情勢にある国からの緊急脱出等のニーズが生まれ、プラス要素となる場合もありますが、当社グループが提供するサービス自体が制限されたり、不可抗力により提供出来ないことになる可能性があります。
(6)経営戦略の現状と見通し
当社グループは、引き続き主力事業である海外旅行保険およびクレジットカードの付帯としてのアシスタンス事業の拡充を目指してまいります。今後は顧客に世界最高品質のサービスを提供することで、顧客満足の向上を図り、高い信頼を得ることが目標です。
また、法人・大学がグローバル化を推し進め、駐在員や留学生が増加する中で、海外で事故や病気になる件数が増加しており、医療アシスタンスサービスに対する需要は増加しております。
また、医療アシスタンスだけでなく、昨今のテロやデモ・暴動など、世界各国において多様化、高度化、複雑化するセキュリティ・リスクへの対応が求められており、セキュリティ分野においても当社サービスを提供することで企業様のニーズに対応し、医療アシスタンスとセキュリティアシスタンスを合わせたトータルリスク管理を支援していきたいと考えております。
日本の医療の国際展開事業においては外国人患者の受入支援事業を中心に着実な売上増加を見込んでおります。「医療渡航支援企業」に認定されたことと「ジャパン インターナショナル ホスピタルズ」の中の多くの医療機関が利用する「医療渡航支援企業」に指定されたことで認知度が向上し、信頼が増し、訪日医療患者の数も堅調に推移することが予想されます。
また、円安基調及び2020年までに訪日外国人を4,000万人にするという政府の目標を背景とした訪日外国人の増加という環境を生かして、これらの人々へのアシスタンス提供事業でも万全の処理体制を構築し、更なるビジネス拡大を図りたいと考えております。
そして、ライフアシスタンス事業については、これまでに培ったノウハウや既存顧客から獲得している高い信用を生かし、高品質のサービス提供を武器に事業拡大を進めます。
(7)経営者の問題意識と今後の方針について
グローバル化の進展に伴い、当社グループが提供するサービスすなわちアシスタンスへの需要は今後も増加するものと考えております。それは一方では当社グループのお客様が世界のあらゆる場所で活躍される機会が増え、慣れない場所での自然災害やパンデミック、テロなど予期しない出来事に遭われる可能性が高まることを意味します。このような事態に迅速に対応するために、世界の隅々までサービスを提供できるオペレーション能力の向上とサービス体制の構築が必要であると考えます。
また、当社グループのサービスは日本人の視点に立った、細やかな「ジャパンスタンダード」のアシスタンスであり、グローバル化が進む中では日本人のお客様のみならず世界のお客様へ一人一人の気持ちになって真に求められているサービスを提供していく必要があります。そのため、変化に対応できる柔軟な組織体制の構築とサービスのより一層の質の向上のための設備投資及び社員教育を行ってまいります。
「アシスタンスでお客様の世界を広げる」を合言葉として、さらなる規模の拡大を目指してまいります。