(1)業績
当連結会計年度における我が国経済は、企業の業績や雇用情勢の改善などにより、景気は緩やかな回復基調が続いております。一方で、米国新政権の政策や欧州の政治リスク、東アジアの地政学的リスクが与える影響の懸念などもあり、景気の先行きは不透明な状況が続いています。
当社グループの主要事業の業績に影響を与える海外出国者数につきましては、景気回復の影響等により2017年のほぼ全ての月において対前年同月比で増加し、2017年全体では17,889千人で前年比4.5%増となりました(日本政府観光局(JNTO)調べ)。
海外からの訪日外客数は、航空路線の拡充やクルーズ船寄港数の増加、ビザの緩和に加え、これまでの継続的な訪日旅行プロモーション等により、前年比19.3%増で過去最高の28,691千人となりました(日本政府観光局(JNTO)調べ)。
当社の主要業務である海外における日本人顧客向けの医療アシスタンスサービスにとって海外出国者数の増加は好環境であり、事業法人向けアシスタンスサービス、留学生危機管理サービス、セキュリティ・アシスタンスサービスの提供は堅調に推移しました。
海外旅行保険の付帯サービスに関しては上期は請求業務の企業間競争、テロ等の影響による欧州での売上低迷により売上が伸びませんでしたが、下期は売上が前年同期比でプラスとなり底打ちの兆しが見られます。
また、外国人患者受入を実施する国際医療事業についても日本の高度医療に対する認知度の向上と外国人受入医療機関の増加を受けて着実に実績をあげております。
以上の結果、当連結会計年度の売上高は2,567百万円(前期比2.3%増)と増収になりました。
一方で、業務量増加に対応した要員増に伴う人件費の増加等により、当連結会計年度の売上原価は1,954百万円(前期比4.8%増)、販売費及び一般管理費が550百万円(前期比11.4%増)となり、営業利益は62百万円(前期比58.3%減)、経常利益は38百万円(前期比67.3%減)、親会社株主に帰属する当期純利益は25百万円(前期比60.6%減)となりました。
セグメントの状況は次のとおりであります。
(医療アシスタンス事業)
(ⅰ)海外旅行保険の付帯サービス
海外旅行保険の付帯サービスに関しては請求業務の不振を脱すべく取引先・医療機関等に対するアプローチを積極的に実施することで収益回復に努めた結果、下期は売上が前年同期比でプラスとなりました。
(ⅱ)事業法人向けアシスタンスサービス、留学生危機管理サービス、セキュリティ・アシスタンスサービス
当社は企業・大学が求める海外リスク管理サービスを総合的に提供することでリスクマネジメントの負担軽減、コスト抑制を図るワンストップサービスを提供しています。昨今の企業や大学の海外における危機管理意識の高まりを受け、サービスの利用が増え、企業・大学に対する売上高は増加しています。
(ⅲ)国際医療事業
国際医療事業につきましては現地におけるプロモーション活動や関連業種との連携を進めております。11月にはSNSサービスによる情報提供としてFacebookに加え中国グループ会社でWeChatにおける情報配信を始めております。
上述のとおり、患者受入環境の好転と相まって患者受入数は着実に増加しました。
官公庁等からの受注事業として11月に厚生労働省の平成29年補助事業「医療機関における外国人患者受入れ環境整備事業」における電話医療通訳サービス利用促進事業者と医療通訳養成支援間接事業の実施団体に選定され、12月には一般財団法人沖縄観光コンベンションビューローからインバウンド対応緊急医療体制整備事業を受託しました。
また、海外からの訪日外客数の増加に伴い、外国人に病気や怪我など不測の事態が起こった場合のスムーズな医療提供ニーズが高まっており、国内医療機関と協力してアシスタンスサービスを提供する緊急対応型アシスタンスに関しても需要が増加しています。
当セグメントの費用に関しましては、ビジネス拡大のための人材・設備投資により増加しました。また、昨今の採用難により採用コストや人件費単価が増加しました。
これらの結果、医療アシスタンス事業の売上高は2,100百万円(前期比1.7%増)、セグメント利益は359百万円(前期比10.7%減)となりました。
(ライフアシスタンス事業)
ライフアシスタンス事業においては新規契約の締結や当社サービスへの需要が増加し、売上高は堅調に推移しました。一方で増大する顧客対応業務に対応するべく人員採用を進め人件費が増加しました。
この結果、ライフアシスタンス事業の売上高は466百万円(前期比5.3%増)、セグメント利益は95百万円(前期比24.5%減)となりました。
(2)キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度における現金及び現金同等物の期末残高は、前連結会計年度末に比べ62百万円減少し、894百万円
となりました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における営業活動によるキャッシュ・インフローは、151百万円(前連結会計年度は421百万円のキ
ャッシュ・インフロー)となりました。この主な要因は、税金等調整前当期純利益を38百万円計上しましたが、減価
償却費を74百万円計上したことに加え、売上債権の30百万円の減少、未払金29百万円の増加、前受収益19百万円の増
加、法人税等の52百万円の支払によるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における投資活動によるキャッシュ・アウトフローは、183百万円(前連結会計年度は46百万円の
キャッシュ・アウトフロー)となりました。この主な要因は、定期預金の預入による支出58百万円、無形固定資産の
取得による支出54百万円、有形固定資産の取得による支出41百万円、貸付けによる支出22百万円、敷金及び保証金の
差入による支出17百万円、定期預金の払戻による収入8百万円によるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における財務活動によるキャッシュ・アウトフローは、24百万円(前連結会計年度は104百万円のキャッシュ・アウトフロー)となりました。この主な要因は、長期借入金の返済による支出71百万円、長期借入れによる収入58百万円、配当金の支払による支出が12百万円あったことによるものであります。
(1) 生産実績
当社グループはアシスタンス業務の提供を主たる事業として行っており、生産に該当する事項はありません。
(2) 受注状況
当社グループの主たる事業であるアシスタンス業務の提供は、提供するサービスの性格上、受注の記載になじまないため、当該記載を省略しております。
(3) 販売実績
当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
|
セグメントの名称 |
当連結会計年度 (自 平成29年1月1日 至 平成29年12月31日) |
前年同期比(%) |
|
医療アシスタンス事業 (千円) |
2,100,682 |
+1.7 |
|
ライフアシスタンス事業(千円) |
466,340 |
+5.3 |
|
合計 (千円) |
2,567,022 |
+2.3 |
(注)1.最近2連結会計年度の主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりであります。
|
相手先 |
前連結会計年度 (自 平成28年1月1日 至 平成28年12月31日) |
当連結会計年度 (自 平成29年1月1日 至 平成29年12月31日) |
||
|
販売高(千円) |
割合(%) |
販売高(千円) |
割合(%) |
|
|
損害保険ジャパン日本興亜株式会社(注)3 |
1,179,511 |
47.0 |
1,204,495 |
46.9 |
|
American Express International Inc. |
399,038 |
15.9 |
390,263 |
15.2 |
2.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
3.損害保険ジャパン日本興亜株式会社の企業集団に属するSompo America Insurance Services LLCへの販売高を集約して記載しております。
2018年度の当社の事業環境を想定すると、訪日外客数の急増を受けて、行政機関、医療機関、損害保険会社等からの新たな事業ニーズが数多く寄せられており、既存事業分野でも、企業や大学等からの需要はますます高まる傾向にあります。こうした期待に応えるとともに、新規ニーズを確実に当社事業として取込み、事業拡大を図る大きなチャンスが到来しています。
もちろん、多くの分野で競争が激化するとともに、人手不足の影響を受けて人材の確保が非常に難しくなっており
これにかかる経費も増加しています。事業拡大にはいくつもの困難な障壁がありますが、最優先課題として業務プロ
セスの抜本的な見直しを行って業務品質の一層の向上と効率化を推し進め、競争力を高め、一段高いステージへの成
長を目指さねばなりません。
こうした観点から、今年度の重点事業目標を下記のように定めました。
2018年度は、全役員・社員の力を結集し、この目標を確実に達成し、強固な事業基盤の上に新規事業領域を拡大し
続ける、長期的な発展企業を目指します。
①全グループあげての業務プロセスの見直し
グループ内の全組織で、業務プロセスの見直しまでさかのぼった、徹底した業務改善に取り組み、業務の高品質
化、効率化を実現し、どこにも負けない競争力を身につけ、厳しい競争に打ち勝てる企業体質を作り上げます。
②海外センターの自立推進
各海外センターは、既存事業において独自の施策を取り入れて収益の向上をはかるとともに、その国の事業環境
に合った独自の事業も開拓し、高収益構造の自立した企業体質づくりに取り組みます。
③既存事業の売上拡大
特にニーズの高まりつつある以下の事業の大幅拡大に取り組みます。
・海外旅行保険付帯医療アシスタンス事業売上の大幅拡大
・国際医療コーディネートサービスの拡大
・コーポレート契約等の自社商品の販売拡大
④新規事業の早期事業化
・訪日外客数の飛躍的な伸びに焦点を当てたインバウンド医療アシスタンス事業の確立と拡大
・日本医療への信頼性向上を背景にしたアウトバウンド医療アシスタンス事業の確立
⑤従業員のやりがいを高める仕組みの構築
人手不足の環境にあって、優秀な人材確保競争に打ち勝てる魅力的な企業づくりに取り組みます。
本書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項には、以下のようなものがあります。なお、文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において当社グループが判断したものであります。
①在外駐在者、海外渡航者数の急激な減少について
当社グループの中核的な事業は、主に海外駐在者、海外渡航者に対するアシスタンスサービスの提供であります。そのため、国内外の不況、急激な円安、海外の政情不安や治安悪化、地域紛争、戦争、航空運賃の高騰、伝染病の流行などにより、海外駐在者、海外渡航者数が急激に減少した場合、アシスタンスサービス提供数が減少し、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
②官公庁からの受託業務に係るリスクについて
官公庁からの受注事業である国際プロジェクト事業等につきましては、官公庁からの発注は一般競争入札にもとづいており、当社が落札できない可能性があり、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。また、計画どおりに予算が執行されず受託業務が減少した場合には、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
③個人情報の漏洩について
当社グループは、業務の性質上多数の個人情報を保有しており、いわゆる個人情報保護法に定める「個人情報取扱事業者」に該当し、個人情報の取扱いに関して一定の義務を負っております。そのため、当社では「プライバシーマーク」を取得するとともに、個人情報保護関連の諸規程を整備し運用するなど、社内の管理体制には万全を期しております。また、特に機微な個人情報を扱う部署への入室資格者の制限とビデオカメラ撮影による記録の保存、自社サーバー内のデータへのアクセス権限の厳格な管理、従業員への定期的な個人情報保護関連研修などを実施しております。しかしながら、個人情報が外部へ漏洩するような事態が発生した場合には、当社グループの信頼低下による大口顧客の契約解除、業務範囲の縮小による売上の減少や損害賠償による費用の発生などにより、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
④システムトラブルについて
当社グループの基幹業務システムのトラブルを防止及び回避するために、データベースサーバ及びWEBサーバの外部データセンターへの移設及び冗長化や定期的なバックアップ等を実施しております。しかしながら、万が一予期せぬ大規模災害や人為的な事故等によるシステムトラブルが発生した場合には、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
⑤立替金について
当社グループでは、医師・医療機関への事前の支払のため保険会社等に対する立替金が発生し、事業拡大に伴いその金額も大きくなる傾向があるため、当社グループのキャッシュ・フローに影響を与える可能性があります。保険会社に対する立替は、信頼ある保険会社との間の契約に従い実施しているものであり、回収にかかるリスクは限定的と考えております。また、保険会社以外につきましては、原則、顧客より予想される立替金額を上回る前受金を収受するか、もしくは信用ある法人に対しては当社の与信管理基準に従いつつ、顧客から支払い確約書を入手した上で行う等の対応をしております。しかしながら、万が一多額の立替金の回収遅れや回収不能な事態が生じた場合には、当社グループの財政状態及び業績に影響を及ぼす可能性があります。
⑥法令・規制の変更について
現在、当社グループが関連する業界においては特定の許認可制度などはないものの、今後、新たな自主規制が設けられたり、公的、準公的資格の取得が義務付けられたりする可能性があります。当社グループの想定を超えた法的規制及び自主規制等が設けられた場合、当社グループのビジネスモデル等に影響を及ぼす可能性があります。そのため、業界動向等については十分に注意をしております。
⑦人材の確保及び育成について
医療アシスタンス事業における二カ国語以上を話すスキルと医療や保険などに関する深い知識を持ったアシスタンスコーディネーター及びライフアシスタンス事業における、二カ国語以上を話し、且つコンシェルジュサービスに関する豊富な知識と経験を持つ従業員は当社グループの重要な資産であります。しかし、サービス提供に必要な人材が早期に確保・育成できなかった場合には事業展開の速度に影響を及ぼす可能性があります。そのため、年齢、性別にこだわらず間口を大きく広げた採用活動や内部での研修強化により人材の確保と育成に努めています。
⑧カントリーリスクについて
当社グループでは、現在、米国、中国、タイ国、シンガポール、バングラデシュに子会社、英国に事業所を置き、世界各国をサービス提供エリアとした事業展開を行っております。そのため、これらの国々で軍事クーデター、内乱・大規模な騒乱、国家経済の破綻、法的制度の大幅な変化などが生じた場合、当社グループの業務執行に影響が生じる場合があります。また日本人の海外滞在者の多い地域や全世界を範囲とするような上記の事象が生じた場合にも、海外渡航者数の減少により、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
⑨自然災害について
重大な自然災害が発生した場合には、円滑な業務遂行に影響が出ることは避けられず、その結果、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。そのため、このような場合に備えてリスク管理基本規程を定め、会社経営に重大な影響を及ぼす事態が発生した場合に速やか且つ的確な対応を行うため、社長を委員長とするリスク管理委員会を設置しております。また、自然災害や広域感染症、その他の重大事故発生時に備えて非常事態等対策規程を定めて運用しております。さらに米国、英国、中国、タイ国、シンガポール、バングラデシュにアシスタンスセンター及び子会社を設置しており、アシスタンスセンター間は高機能電話システムを導入し、万一の事態に至っても顧客へ通常のサービスを提供できる体制を確保しています。
⑩訴訟・クレームに関するリスクについて
これまで当社グループが国内外で行っている事業に関連した訴訟は発生しておりませんが、当社グループの提供するサービス等をめぐる訴訟やクレーム等が発生した場合には、当社グループの財政状態及び業績に影響を及ぼす可能性があります。
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契約会社名 |
相手方の名称 |
契約内容 |
契約期間 |
|
日本エマージェンシーアシスタンス株式会社(当社) |
損害保険ジャパン 日本興亜株式会社 |
相手方の海外旅行保険を購入した顧客(被保険者)へのアシスタンスサービスの提供 |
平成27年2月1日より平成28年1月31日まで(以降1年ごとの自動更新) |
|
日本エマージェンシーアシスタンス株式会社(当社) |
海外のプロバイダー |
相手方は当社コーディネーターの指示に従い顧客へのサービスを提供する。 |
原則として1年ごとの自動更新 |
|
日本エマージェンシーアシスタンス株式会社(当社) |
国内外の協力病院 |
相手方がキャッシュレスサービスを提供する。(注) |
原則として1年ごとの自動更新 |
(注)相手方が提供するサービスは以下のとおりです。
キャッシュレスサービスの提供(当社が契約した個人又は当社と契約した法人とアシスタンスサービスの契約を締結した個人が医療機関で支払いをすることなく受診できるサービス。当社は医療機関に対し医療費の立替払いを行いますが、キャッシュレスサービスに対する医療機関への役務提供料等の支払いはありません)。
当社グループは、研究開発活動は実施しておりませんので該当事項はありません。
以下の記載における将来に関する事項は、本書提出日現在において、当社グループが判断したものであります。
(1)重要な会計方針及び見積り
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成にあたり、売掛金等に対する貸倒引当金、及び資産・負債の報告数値ならびに財務諸表の開示内容に影響を与えるその他の事項について、過去の実績や状況に応じ合理的と考えられる判断や見積りを行っております。従って、実際の結果がこれらの見積り額と異なることがあり、結果として連結財務諸表に重要な影響を与えることがあります。重要な会計方針については「第5 経理の状況、1 連結財務諸表等」に記載しております。
(2)財政状態の分析
当連結会計年度末の総資産につきましては、前連結会計年度末に比べ40百万円増加し、2,119百万円となりました。
主な増減要因としては、有形固定資産20百万円の増加、立替金10百万円の増加がありました。
負債につきましては、前連結会計年度末に比べ11百万円増加し、1,369百万円となりました。主な増減要因としては、未払金35百万円の増加、未払法人税等31百万円の減少、前受収益19百万円の増加、前受金10百万円の減少がありました。
純資産につきましては、前連結会計年度末に比べ28百万円増加し750百万円となりました。これは主に、親会社株主に帰属する当期純利益が25百万円発生し、新株予約権が5百万円増加したこと、為替換算調整勘定が9百万円増加し、前連結会計年度分の配当金の支払いのために利益剰余金が12百万円減少したことによるものであります。
(3)経営成績の分析
当連結会計年度における我が国経済は、企業の業績や雇用情勢の改善などにより、景気は緩やかな回復基調が続いております。一方で、米国新政権の政策や欧州の政治リスク、東アジアの地政学的リスクが与える影響の懸念などもあり、景気の先行きは不透明な状況が続いています。
当社グループの主要事業の業績に影響を与える海外出国者数につきましては、景気回復の影響等により2017年のほぼ全ての月において対前年同月比で増加し、2017年全体では17,889千人で前年比4.5%増となりました(日本政府観光局(JNTO)調べ)。
海外からの訪日外客数は、航空路線の拡充やクルーズ船寄港数の増加、ビザの緩和に加え、これまでの継続的な訪日旅行プロモーション等により、前年比19.3%増で過去最高の28,691千人となりました(日本政府観光局(JNTO)調べ)。
当社の主要業務である海外における日本人顧客向けの医療アシスタンスサービスにとって海外出国者数の増加は好環境であり、事業法人向けアシスタンスサービス、留学生危機管理サービス、セキュリティ・アシスタンスサービスの提供は堅調に推移しました。
海外旅行保険の付帯サービスに関しては上期は請求業務の企業間競争、テロ等の影響による欧州での売上低迷により売上が伸びませんでしたが、下期は売上が前年同期比でプラスとなり底打ちの兆しが見られます。
また、外国人患者受入を実施する国際医療事業についても日本の高度医療に対する認知度の向上と外国人受入医療機関の増加を受けて着実に実績をあげております。
以上の結果、当連結会計年度の売上高は2,567百万円(前期比2.3%増)と増収になりました。
一方で、業務量増加に対応した要員増に伴う人件費の増加等により、当連結会計年度の売上原価は1,954百万円(前期比4.8%増)、販売費及び一般管理費が550百万円(前期比11.4%増)となり、営業利益は62百万円(前期比58.3%減)、経常利益は38百万円(前期比67.3%減)、親会社株主に帰属する当期純利益は25百万円(前期比60.6%減)となりました。
(売上高)
売上高は前年比2.3%増の2,567百万円になりました。
医療アシスタンス事業において、海外旅行保険の付帯としてのサービス提供に関する売上は増加し、国際医療事業サービスにおける受入外国人患者数は増加し、また法人・大学の危機管理意識の高まりにより、事業法人向けアシスタンスサービス、留学生危機管理サービス、セキュリティ・アシスタンスサービスの提供数が増加し、ライフアシスタンス事業においては提携会社の営業拡大に貢献したため売上が増加しました。
海外旅行保険の付帯サービスに関しては上半期の請求業務の不振を回復するべく取引先・医療機関等に対するアプローチを積極的に実施することで収益回復に努めた結果、下期は売上が前年同期比でプラスとなりました。
(売上原価)
売上原価は前年比4.8%増の1,954百万円となりました。
ビジネス拡大や業務量増加に対応するための人材・設備投資により増加しました。また、昨今の人手不足による採用コスト増や昇給による人件費単価も増加しました。
(販売費及び一般管理費)
販売費及び一般管理費は前年比11.4%増の550百万円となりました。
アシスタンスサービス体制強化のための投資及び昇給による人件費単価増加のために販売費及び一般管理費は増加しました。
(営業外収益及び営業外費用)
営業外収益は受取利息等により1百万円となりました。
営業外費用は円高の影響による為替差損16百万円と支払利息4百万円の計上等があり25百万円となりました。
(特別利益及び特別損失)
特筆すべき特別利益及び特別損失の計上はありません。
以上の結果、親会社株主に帰属する当期純利益は25百万円となりました。
(4)資本の財源及び資金の流動性についての分析
①キャッシュ・フローの状況
キャッシュ・フローの分析については、「第2.事業の状況、1.業績等の概要 (2)キャッシュ・フローの状況」を参照してください。
②資金需要及び資金調達
当社グループは医療機関に対して立替払いを実施するため、また事業規模の拡大と収益源の多様化を求めるために必要に応じて資金調達を実施いたします。投資のための資金調達は基本的には銀行からの固定金利での長期借入金によっております。また機動的な資金確保のため取引銀行9行と当座貸越契約を締結しております。
(5)経営成績に重要な影響を与える要因について
当社グループは、クロスカルチャー・クロスボーダーの環境下で生活をされる方々にサービス提供を行っております。そのため、国家間の戦争や世界的なテロ、世界同時不況、自然災害等が発生し、国際的な活動が大幅に制限されることになった場合には、サービスの提供対象となるサービス受益者が減少することにより、経営成績に重大な影響を受けることが予想されます。一方で危機管理意識の高まりにより、緊急医療や不安定な情勢にある国からの緊急脱出等のニーズが生まれ、プラス要素となる場合もありますが、当社グループが提供するサービス自体が制限されたり、不可抗力により提供出来ないことになる可能性があります。
(6)経営戦略の現状と見通し
当社グループは、引き続き主力事業である海外旅行保険およびクレジットカードの付帯としてのアシスタンス事業の拡充を目指してまいります。引き続き顧客への世界最高品質のサービス提供を追求することで、顧客満足度の向上を図り、高い信頼を得ることが目標です。加えて医療アシスタンス事業では国内外の医療機関とのより一層の関係強化を図り、顧客に対して信頼性が高くよりきめ細かいサービスを提供していきます。
また、法人・大学がグローバル化を推し進め、駐在員や留学生が増加する中で、海外で事故や病気になる件数が増加しており、医療アシスタンスサービスに対する需要は増加しております。
また、医療アシスタンスだけでなく、昨今のテロやデモ・暴動など、世界各国において多様化、高度化、複雑化するセキュリティ・リスクへの対応が求められており、セキュリティ分野においても当社サービスを提供することで企業様のニーズに対応し、医療アシスタンスとセキュリティアシスタンスを合わせたトータルリスク管理を支援していきたいと考えております。
日本の医療の国際展開事業においては外国人患者の受入支援事業を中心に着実な売上増加を見込んでおります。当社は「医療渡航支援企業」に認定され、「ジャパン インターナショナル ホスピタルズ」の中の多くの医療機関が利用する「医療渡航支援企業」にも指定されていることで認知度および信頼性が向上しており、訪日医療患者の数も堅調に推移することが予想されます。
また、円安基調及び2020年までに訪日外国人を4,000万人にするという政府の目標を背景とした訪日外国人の増加、外国人を実際に受け入れている医療機関の増加という環境を生かして、これらの人々へのアシスタンス提供事業でも万全の処理体制を構築し、更なるビジネス拡大を図りたいと考えております。
そして、ライフアシスタンス事業については、これまでに培ったノウハウや既存顧客から獲得している高い信用を生かし、高品質のサービス提供を武器に事業拡大を進めます。
(7)経営者の問題意識と今後の方針について
グローバル化の進展に伴い、当社グループが提供するサービスすなわちアシスタンスへの需要は今後も増加するものと考えております。それは一方では当社グループのお客様が世界のあらゆる場所で活躍される機会が増え、慣れない場所での自然災害やパンデミック、テロなど予期しない出来事に遭われる可能性が高まることを意味します。このような事態に迅速に対応するために、世界の隅々までサービスを提供できるオペレーション能力の向上とサービス体制の構築が必要であると考えます。
また、当社グループのサービスは日本人の視点に立った、細やかな「ジャパンスタンダード」のアシスタンスであり、グローバル化が進む中では日本人のお客様のみならず世界のお客様へ一人一人の気持ちになって真に求められているサービスを提供していく必要があります。そのため、変化に対応できる柔軟な組織体制の構築とサービスのより一層の質の向上のための設備投資及び社員教育を行ってまいります。
「アシスタンスでお客様の世界を広げる」を合言葉として、さらなる規模の拡大を目指してまいります。