(1) 業績
当連結会計年度(平成27年4月1日~平成28年3月31日)における金融市場は値動きの荒い展開が続き、投資家のリスク回避の動きから株式、商品などのリスク資産が下落し、安全資産と見做される債券が買われる結果となりました。
株式市場は、期初は堅調に推移しましたが、ギリシャ問題や米利上げ観測、また、中国株急落などを受け6月以降は軟調に転じ、8月の人民元切り下げを契機に世界的な株安が進みました。第3四半期には株式市場が反発する局面もありましたが、年明け以降は、中国リスクや原油価格の一段安などから世界同時株安が加速しました。原油価格が反転した2月半ば以降年度末にかけては、米追加利上げ観測が後退したこともあって株価は反発基調を辿りました。
国内株式市場は、業績改善見通しを背景に当初堅調に推移し、第1四半期の日経平均株価指数は2万円台での推移が続きましたが、世界的なリスク回避の動きが加速した8月以降は下落に転じ、9月末には一時17,000円を割り込みました。第3四半期の反発局面では20,000円台を回復する場面もありましたが、12月以降のリスクオフ局面で世界的な株価急落に連れ安となり、2月には円高の進行も嫌気され一時15,000円を割り込む水準まで下落しました。年度末にかけては、原油価格の回復傾向から過度なリスク回避姿勢が後退し、日経平均は17,000円を窺う水準まで反発しました。
債券市場は総じて堅調に推移しました。行き過ぎた金利低下の巻き戻しなどから、主要先進国の長期国債利回りは期初に急速に上昇(価格は下落)しましたが、6月以降は安全資産として買いを集め、国債利回りは低下に向かいました。米利上げ観測が高まった10月以降に債券利回りは再び上昇しましたが、年明け以降のリスクオフ局面では再度低下に向かい、2月半ばのリスクオン局面で一旦上昇した後は、米早期追加利上げ観測が後退したことなどから再び低下基調を辿りました。当期末の主要先進国10年国債利回りは、北欧諸国と欧州周縁国を除いた全ての市場で前年度末比低下しました。社債の信用スプレッドは、原油価格の下落とともに資源セクター主導で拡大し、特に年明け以降は急拡大となりましたが、原油価格が底入れとなった2月半ば以降は縮小基調となりました。
商品市況は軟調に推移しました。原油価格は期初こそ堅調に推移したものの、軟調な需給見通しからその後は下落基調を辿りました。12月のOPEC総会で減産合意に至らなかったことから下げが加速し、年明けのWTI先物価格は一時30ドル割れまで下落しましたが、2月半ばに底入れした後は年度末にかけ40ドル台まで反発しました。金価格は、米ドル高が進むなか軟調な推移を続け、米利上げ観測が高まった10月以降に下げ足を速めました。しかしながら、世界的な金融不安が高まった年明けのドル安局面では急反発に転じ、年度末価格は1,200ドル台と前年度末比上昇して期を終えました。穀物価格は、北米産地の洪水などから6月に急騰する場面もありましたが、作付面積の拡大や作柄改善などにより7月以降は緩やかな下落基調を辿りました。非鉄金属はドル安が進んだ5月に高値を付けた後、中国経済に対する不安感等から下落基調を辿りましたが、年明け2月以降のリスクオン局面では小反発して期を終えました。
当社グループの中核事業の一つとなった再生可能エネルギー関連事業に関しては、「再生可能エネルギーの加速度的な利用促進」がわが国のエネルギー政策の基本の一つであることについては、何ら変更がされておらず、温暖化ガス排出抑制の強化政策とも連動して、更に積極積な推進がなされる見込みです。しかしながら、「太陽光発電」については、「再生可能エネルギー固定価格買取制度(FIT)」に基づく買取価格が、平成26年度の32円(税抜)から、当連結会計年度には、29円、27円と更に引き下げられました。景気回復及び震災復興事業による建設業を中心とする人手不足は継続しており、発電設備建設コストが高止まりする中、新規案件で、投資が期待する利回りを確保することは、より難しくなってきております。
このような市場環境及び経済環境等のもと、当社の当連結会計年度の営業収益は3,035百万円(前年同期間比1,365百万円(31.0%)の減少)、営業費用は2,747百万円(前年同期間比1,073百万円(28.1%)の減少)、経常利益は160百万円(前年同期間比394百万円(71.0%)の減少)となり、親会社株主に帰属する当期純利益は159百万円(前年同期間比353百万円(68.9%)の減少)となりました。
セグメント毎の業績及び取組み状況は次のとおりです。
当事業は、主にアストマックス投信投資顧問株式会社が推進しており、金融商品取引業と商品投資顧問業を行っております。
当連結会計年度においては、世界金融市場が値動きの大きい展開となる中、4月は新年度入りに伴う投資家の利益確定の解約等により、運用資産残高が減少する場面もありましたが、本年度の新たな投資方針等に基づく投資信託の新規設定や既存の投資信託への追加投資の動きもあり、運用資産残高合計は6月末時点で前連結会計年度末比183億円増加の2,657億円となりました。7月に入ると投資家による解約等の動きも見られ、運用資産残高が減少する場面もありましたが、8月以降は投資信託の新規設定等を背景に運用資産残高は再び増加に転じ、9月末の運用資産残高は前連結会計年度末比390億円増加の2,864億円となりました。10月以降も投資家の積極的な投資姿勢が継続したことなどを背景に運用資産残高の増加基調が続き、11月末の運用資産残高は3,328億円を上回る水準となりました。12月以降は投資家の利益確定等の解約が新規投資及び追加投資等を上回り、2016年2月末の運用資産残高は3,000億円を下回る水準まで減少しましたが、3月に入ると既存の投資信託への追加投資の動きもあり、当連結会計年度末の運用資産残高は前連結会計年度末比553億円の増加の3,028億円となりました。
なお、当事業では、当連結会計年度において、海外業者との提携によるセカンダリー・ファンドのビジネス、大学発ベンチャーキャピタルの運用事業など、新たな事業の展開を開始しております。
運用資産残高が前連結会計年度を上回る水準で推移したことなどから、営業収益の総額は前年同期間比で大幅に増加しました。
以上の結果、当事業における当連結会計年度の営業収益は1,677百万円(前年同期間比577百万円(52.6%)の増加)となり、セグメント利益は344百万円(前年同期間比264百万円(334.0%)の増加)となりました。
当事業では、投資信託の販売会社並びに国内外の運用会社等との協業を通じて運用資産残高の積み上げに努めるとともに、事業ポートフォリオの分散化及び多様化、収益基盤の拡充にも取り組んでまいります。
当事業は、主にアストマックス・トレーディング株式会社(以下、「ASTRA社」という。)及びアストマックス・エナジー株式会社が推進し、東京商品取引所、CME、ICE等、国内外の主要取引所において商品先物を中心に、金融先物、現物株式等を自己勘定取引にて行っております。
本項の冒頭で説明されている市場環境の中、当第4四半期の商品市場の取引は活発でありました。当社の主力取引である商品裁定取引を多く行う東京商品取引所の取引高・取組高も、原油市場やゴールドスポット100市場での活況を受け比較的高い水準での推移となりました。特に年末から2月にかけての原油市場の価格変動が大きく、それに伴い国内原油市場には東京証券取引所上場のETNを通じて取引資金が流入し活発な取引となりました。当事業の中心戦略である裁定取引は収益機会を捉え、一定の利益を上げることができました。
以上の結果、当事業における当連結会計年度の営業収益は912百万円(前年同期間比64百万円(7.6%)の増加)、セグメント利益は119百万円(前年同期間比2百万円(2.0%)の減少)となりました。
当事業では、第1四半期末までに管理システムの刷新を完了しておりますが、今後とも経費節減に努めると同時に、ディーリング資金の効率的な運用を行い、引続き高い収益力を目指す所存です。
当事業は主にASTRA社等が推進しております。当事業では主として再生可能エネルギー等を利用した発電及び電気の供給に関する事業を行っております。
再生可能エネルギー関連事業につきましては、進捗状況につき継続的に開示しておりますが、当連結会計年度における同事業の進捗状況は以下のとおりです。
太陽光発電設備の建設は平成27年3月に完了し全13区画中6区画の売却及び引渡しが済んでおりましたが、電力会社側の工事が完了する平成27年11月の設備引渡しに向けて、残る7区画の内6区画を平成27年7月に、1区画については平成27年10月にそれぞれ売買契約を締結し、すべての区画の販売が完了しました。なお、今期販売の7区画の設備売却による収益は、設備の引渡しが完了した平成27年11月に計上しております。
当初の計画に比べ太陽光発電設備の建設が遅れておりましたが、平成27年10月28日に完工し、翌29日に売電が開始されました。本案件につきましては、地元金融機関である株式会社栃木銀行との間で金銭消費貸借契約を平成27年8月26日に締結、平成27年8月31日付で同行より融資が実行されました。また、本案件は、当社グループとしての事業リスクを限定するために、SPC(特別目的会社)及び匿名組合契約(ASTRA社を出資者とし、SPCを営業者とする契約)を使った投資スキームを利用しております。なお売電開始後、SPCによる売電事業並びにASTRA社による同サイトの管理・オペレーション業務を開始いたしました。
本案件につきましては、平成27年8月に工事計画届が受理され、平成27年9月に造成が完了、同月より太陽光発電設備工事を着工しております。本案件の運転開始は、平成28年8月を見込んでおります。
他社開発である茨城県鹿嶋市、神栖市の50キロワット低圧太陽光発電設備各1区画を投資家へ紹介し、紹介料を平成28年3月に計上しております。なお、売電開始後、ASTRA社による同サイトの管理・オペレーション業務を開始いたしました。
ASTRA社では、ベースロード電源である地熱等を利用した発電事業への取組みを進めております。このうち地熱発電事業につきましては、宮崎県えびの市尾八重野地域において、地元の方々のご理解を得ながら、2メガワット規模の試掘井掘削の手続きを進めており、来年度の掘削を予定しております。このほかに、100から300キロワット規模のバイナリー発電と呼ばれる小規模地熱発電の事業化についても取組みを進めており、大分県日田市で地表調査を実施しております。一方、北海道八雲町鉛川地区における2メガワット規模の地熱発電事業につきましては、地表調査を平成28年2月に完了いたしましたが、パートナー企業との協業解消に伴い、来年度以降、本事業から撤退することといたしました。本年度における、本撤退にかかる損失の発生は軽微且つ限定的です。
また、当社より長万部地方創生事業に係る調査業務をASTRA社に委託し、平成28年3月に調査報告が完了しております。
さらに、ASTRA社は、平成28年4月からの電力小売自由化を見据え、平成28年3月に小売電気事業者の登録を完了しております。
なお、平成27年11月19日付で開示しましたとおり、ASTRA社では新たな展開として、平成28年4月より自由化される日本の電力小売市場において電力小売事業を行う企業様をサポートするシステム及びサービスの提供に取り組むべく、アストマックス・エナジー・サービス株式会社(以下、「AES社」という。)を平成27年11月に設立いたしました。AES社では、米国のエネルギー小売市場向けアウトソーシング・サービス提供のリーディング・プロバイダであるEnergy Services Group, Inc.と業務提携し、電力小売事業者の皆さまのニーズに応えるサービスのご提供に努めてまいります。当連結会計年度は、本格的な事業展開のための準備期間と位置付けております。
再生可能エネルギー関連事業においては、前述のとおり、茨城県石岡の小口分譲案件を平成27年11月に完売、また平成28年3月に50キロワットの低圧案件2区画を紹介しましたが、その他の売却を計画していた太陽光発電設備等について、「再生可能エネルギー固定価格買取制度」上の権利を保有しているものの、土地の開発に係る手続きに遅れが生じている案件の売却が予定どおり進みませんでした。加えて、電力連系の実施時期が大幅に遅延する可能性が高まったこと等により、再生可能エネルギー発電事業への新たな投資を見直す投資家も現れたこと、現在開発中である発電所の先行コスト(建設コストを賄うための銀行借入に対する諸手数料や金利負担等)や電力小売事業者様向けの事業のコストを先行して負担していること、さらに、平成28年3月期においては、稼動を開始した太陽光発電設備が増加したことを受け、事業開始当初のコストが大きくなる定率法による減価償却の影響もセグメント損益に影響を与えております。
一方、平成28年3月31日付で開示しましたとおり、官民ファンドである一般社団法人グリーンファイナンス推進機構から当事業開発案件への出資を受けることを決定しました。平成29年3月期に、再生可能エネルギー関連事業として保有している持分の一部を当該ファンドへ売却する予定ですが、本案件においては、売却時に一括して利益を計上する契約形態をとらず、今後、当該ファンドの管理報酬等の一部として当該ファンドの運営期間に収益を認識する契約形態となっております。
上記の通り、現時点におきましては、当事業開発案件に関して、売却時に一括して利益を計上することが確定している具体的な案件はございませんが、太陽光発電設備のセカンダリー市場(中古売買市場)での案件取得や譲渡を行うこと及び、売買仲介を行うこと等を含め、今後も継続して期間利益の獲得を目指してまいります。平成29年3月期より太陽光発電設備の減価償却方法を、定額法へ変更する予定です。
なお、前述致しました電力小売事業者向けの事業は平成29年3月期より新たなセグメントとして再生可能エネルギー関連事業セグメントから独立する予定です。
以上の結果、当事業における当連結会計年度の営業収益は461百万円(前年同期間比2,009百万円(81.3%)の減少)、セグメント損失は302百万円(前年同期間は364百万円のセグメント利益)となりました。
当事業では引き続き新規案件への投資機会を追求しておりますが、当社グループによる設備の継続保有と開発案件設備の売却とのバランスを取りつつ、投資資金及び期間利益を確保していく予定です。
上記、セグメント利益又は損失は連結財務諸表の経常利益と調整を行っており、連結会社間の内部取引消去等の調整額が含まれております。
報告セグメントについての詳細は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 注記事項(セグメント情報等)」に記載のとおりであります。
(2) キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度における現金及び現金同等物は、1,956百万円(前年同期間比6.9%増)となりました。
営業活動によるキャッシュ・フローは、主として税金等調整前当期純利益による収入(161百万円)、ブローカー等に対する差入保証金の減少による収入(295百万円)、非資金項目である減価償却費(188百万円)等により、572百万円(前年同期は1,086百万円)となりました。
投資活動によるキャッシュ・フローは、太陽光発電事業に係る有形固定資産の取得による支出(△2,778百万円)が主な要因となり、△3,080百万円(前年同期は△1,293百万円)となりました。
財務活動によるキャッシュ・フローは、主として長期借入れによる収入(長期借入金の返済による支出との純額は2,677百万円)、短期借入金による収入(短期借入金の返済による支出との純額は110百万円)等により、2,633百万円(前年同期は643百万円)となりました。
当連結会計年度における営業収益実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称 | 当連結会計年度 (自 平成27年4月1日 至 平成28年3月31日) | 前年同期比(%) | |
アセット・マネジメント事業 | (千円) | 1,660,290 | 53.1 |
うち管理報酬 | (千円) | 124,693 | △5.0 |
うち成功報酬 | (千円) | 44,582 | 17.5 |
うちその他 | (千円) | 10,813 | △20.2 |
うち投信委託者報酬 | (千円) | 1,480,200 | 64.2 |
ディーリング事業 | (千円) | 912,119 | 7.6 |
再生可能エネルギー関連事業 | (千円) | 457,458 | △81.5 |
その他収益 | (千円) | 5,979 | - |
合 計 | (千円) | 3,035,848 | △31.0 |
(注) 1 セグメント間取引については、相殺消去しております。
2 上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
3 当社グループのアセット・マネジメント事業、ディーリング事業は、生産、受注といった区分が困難であるため、「生産・受注及び販売の状況」に代わり「営業収益の状況」を記載しております。また、同様の理由で「主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合」について記載をしておりません。
以下の表は、当連結会計年度の運用資産残高の状況を示したものです。
| 平成27年 | 6月 | 9月 | 12月 | 平成28年 | |
商品 | (百万円) | 3,569 | 2,155 | 1,505 | 1,465 | 1,330 |
証券 | (百万円) | 243,871 | 263,595 | 284,973 | 315,576 | 301,483 |
合計 | (百万円) | 247,440 | 265,751 | 286,478 | 317,041 | 302,813 |
以下の表は、東京商品取引所の総取引高における自己勘定投資事業の取引高の比率の推移を示したものです。
| 平成27年 | 5月 | 6月 | 7月 | 8月 | 9月 |
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取引所における | 3,712,046 | 3,392,690 | 4,072,850 | 4,825,778 | 4,811,704 | 4,178,550 |
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ディーリング事業が占める取引高の比率(%) | 3.20 | 3.91 | 4.04 | 4.47 | 4.26 | 3.75 |
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| 10月 | 11月 | 12月 | 平成28年 | 2月 | 3月 | 年間 |
取引所における | 4,027,636 | 3,830,776 | 4,247,330 | 4,898,562 | 5,348,160 | 4,973,234 | 52,319,316 |
ディーリング事業が占める取引高の比率(%) | 3.89 | 4.79 | 4.19 | 4.54 | 4.13 | 4.79 | 4.19 |
(注) 1 上記に記載した取引所における総取引高は、東京商品取引所発表の取引高を記載しております。
2 上記は、当社グループにおける東京商品取引所での自己売買取引の比率を記載しておりますが、それ以外にも国内取引所や海外取引所において取引を実施しております。
当社グループは今後更なる事業及び収益の拡大を図るために、以下の課題に取り組む所存であります。
当社は、上場企業として「収益力を高め、利益を拡大し、企業価値の向上を目指すこと」並びに、「継続企業として、将来にわたってステークホルダーに付加価値を提供し続けること」を目標としております。
2カ年計画の1年目である平成27年3月期は、全ての事業において経常利益及び税金等調整前当期純利益を確保することができました。2カ年計画2年目の平成28年3月期は、アセット・マネジメント事業で大幅な増収増益を達成したほか、ディーリング事業でも前年並みの黒字を確保しましたが、再生可能エネルギー関連事業が赤字となったため、連結ベースでは前年比減収減益となり、黒字幅が減少しました。
当社は、引き続き事業展開の優先度、経営資源の適正な配分と各事業会社の設定目標の進捗管理の強化等を通じて、平成29年3月期以降も、継続してこの課題を十分に認識し、対処してまいる所存です。
上記の目標達成のためには、当社グループの事業展開のスピードアップを図り、経営効率を上げていかなければなりません。平成24年10月1日付の組織再編により、新設持株会社の傘下にアセット・マネジメント事業と、ディーリング事業及び再生可能エネルギー関連事業を営む、2つの事業会社を中心とする子会社を擁する組織といたしました。これにより、各事業の管理業務は新設持株会社である当社に集約され、当社グループ全体の管理業務の効率化及び管理コストの削減を図ると共に、各事業におけるファイア・ウォール(業務隔壁)の更なる徹底と各々の事業会社の迅速な意思決定を可能とする体制を構築しました。また、その後平成27年11月に電力小売市場において電力小売事業を行う企業様をサポートするシステム及びサービスの提供に取組むアストマックス・エナジー・サービス株式会社を設立しました。引き続き、当社グループは、経営資源の効率的な配分及びリスクの効果的な管理に取り組んでいく所存です。
アストマックス投信投資顧問株式会社は平成25年3月期の投資運用会社2社の買収を経て、事業規模拡大を図ってまいりました。組織再編後3年を経過し、投資家の皆様の様々なニーズにお応えできる運用業務・管理業務遂行体制固めもほぼ完了することができ、運用資産残高は平成27年3月末の2,474億円から平成28年3月末は3,028億円へと大幅に増加しました。今後も、運用商品ラインアップの多角化及び営業ラインの更なる強化に取り組んでまいる所存です。
投資家の皆様からの信頼を勝ち得るためのブランド力の強化、商品の多様化、効率的な営業力の拡充、運用のより一層の内製化、海外運用会社との協業及び、オルタナティブ資産運用と伝統的資産運用のアセットミックス(最適ポートフォリオ)の提供、並びにリテール事業強化について、引き続きスピード感をもって進めていく所存です。
ディーリング事業においては、新規取引対象の調査・分析、取引インフラの整備等を進め、収益源の多様化と収益力の拡大を目指しております。またディーリング事業全体のポートフォリオ分析を深化させ、より効率的に資金を運用し、個々のディーラーがその能力を十分に発揮できる体制を維持してまいります。他方、リスク管理の面では、管理手法の高度化と管理体制の効率化を両立させ、更に低コストで十分な管理運営を行う体制構築を推進してまいります。
再生可能エネルギー関連事業においては、再生可能エネルギー関連事業の発掘、開発、アレンジメント及び投資への取組み並びに農業生産法人への出資を行っております。当事業は平成27年3月期から再生可能エネルギー関連事業セグメントとして当社グループの中核的事業の一つとして位置付けております。当社グループとしては、「発電事業に投資し自ら発電事業を営むとともに一部をファンド化する等の展開により投資資金の早期回収を行い再投資する。」というビジネス展開を継続してまいる方針です。太陽光発電事業のみならず、地熱等の再生可能エネルギーへの展開や、新電力(PPS)をサポートする業務等の推進に引き続き注力しております。これらの取組みを通じて中長期的に安定した事業セグメント収益の実現に繋げていきたいと考えております。平成29年3月期以降には、当社グループが自ら直接間接に売電収益を得られる再生可能エネルギーの発電事業の大幅拡大を見込んでおり、再生可能エネルギー関連事業については、運営経費の削減と合わせて、売電収益のみでの同事業黒字化を早期に実現したいと考えております。
上場企業としてグループ内に顧客資産の運用に携わる事業会社を擁する当社グループは、極めて公共性の高いビジネスの担い手であると強く認識しております。よって役職員一人一人に高いモラルが求められており、当社グループの全役職員に対して社内規程で法令等の遵守を求めると共に、誓約書を提出させております。コンプライアンスについては、継続的な啓蒙活動とチェックが必要であり、引き続きその徹底を図っていく所存です。
当社グループでは、各事業会社で、商品先物市場及び金融商品市場等において、アセット・マネジメント事業とディーリング事業を行っております。両事業は以前よりオフィスを物理的に隔離し、ICカードキーにより入室者を限定する等、相互に立ち入りができないオフィス管理体制を取っておりましたが、より両事業における情報遮断等を徹底すべく、平成24年10月にはそれぞれの事業を別会社化いたしました。また、両事業の取引データを含む業務上の全てのデータにはアクセス権を設定し厳格なファイア・ウォール体制を築いております。上記コンプライアンスの徹底同様、このファイア・ウォール体制についても役職員の高い意識が重要であるとの認識のもと、今後も継続して役職員の啓蒙、意識の醸成に努めてまいります。
(注) ファイア・ウォールとは、元来は、米国における銀行業務と証券業務を分離するための業務隔壁を指します。また、証券会社の引受部門やM&A部門と、株式部門のディーラーや営業部門との間における未公開情報の交換を防ぎ、インサイダー取引等を未然防止するための隔壁は「チャイニーズ・ウォール」とも呼ばれています。
当社グループの事業の状況及び経理の状況等に関する事項のうち、リスク要因となる可能性があると考えられる主な事項及びその他投資者の判断に重要な影響を及ぼすと考えられる事項を記載しております。当社グループは、これらのリスク発生の可能性を認識した上で、発生の回避及び発生した場合の対応に努める所存ですが、当社の株式に関する投資判断は、本項及び本書中の本項以外の記載内容も併せて、慎重に検討した上で行われる必要があると考えております。
なお、文中における将来に関する事項は、本書提出日現在において当社グループが判断したものであります。
当社グループの主たる事業であるアセット・マネジメント事業及びディーリング事業は、主に国内外の商品先物市場及び金融市場等を運用の対象市場としております。従って、当社グループの業績は市場動向の影響を排除できない面があり、世界的な政治、経済、社会情勢等の動きがこれらの市場に対して大きな影響を与えています。
当社グループのディーリング事業においては短期から中期的なトレーディング及び裁定取引戦略が主たる取引であることもあり、市場における上昇トレンド・下降トレンドそのものが事業収益に直接大きな影響を与えるわけではありません。一方、アセット・マネジメント事業においては市場連動型の金融商品の運用も行っていることから、市場環境悪化に伴う解約に加え、良好な市場環境においても利益確定の解約が発生することがあります。また、商品先物市場もしくは金融市場の値動きが極端に小さくなるような市場環境が継続した場合、当社グループと同様または優れた手法を駆使するディーリング事業を展開する新規参入者が増加した場合においては、ディーリング事業の収益が低迷する可能性があります。同様にアセット・マネジメント事業においても新規参入者の増加及び既存業者との競合が厳しくなる事態等の発生による受託競争が激化した場合には同事業の業績が悪化する可能性があります。この他、戦争、テロ、疫病、天災、大規模事故等の世界的事件・事故が発生し、商品先物市場または金融市場の閉鎖、取引中断、大幅な取引ルールの変更等の予期せぬ事態が発生した場合、当社グループの事業活動及び業績は大きな影響を受ける可能性があります。
当社グループのアセット・マネジメント事業における収益は、その運用資産残高によって大きく変動します。当社グループでは、安定的な収益拡大のために新たな運用資産の獲得を目指し、運用収益率の向上、新規運用商品の開発及びマーケティングの強化を図っております。しかしながら、市場環境や政治経済情勢の変化、運用成績の悪化、顧客等の投資方針の変更等により、顧客との間の投資顧問契約等が解除され、短期間で運用資産残高が減少する可能性があります。また、投資信託等の資産運用ビジネスにおいては、良好な運用成績などを背景に基準価額が値上がりした際に、利益確定のための契約の解約を受けて、逆に運用資産が減少することもあります。
当社グループは、アセット・マネジメント事業で顧客資産の運用を指示する者をポートフォリオマネージャーまたはファンドマネージャー(以下総称して、ファンドマネージャー等という。)、その指示を受けて取引執行を行う者をトレーダー、そしてディーリング事業において、自己資産の運用を行う者をディーラー、ディーラー候補で育成過程の者をトレーニーと称しており、当社グループの収益はこれらのファンドマネージャー等及びディーラーの運用成績の影響を受けます。
当社グループのアセット・マネジメント事業では、平成28年3月末現在8名のファンドマネージャー等が運用を行っています。運用業務の一部においてはファンドマネージャー等の固有の判断・手法に依存する割合が高いものもあり、当該運用業務に従事するファンドマネージャー等が退職した場合、また、グローバルに運用業務を展開できる等の知見を有するキャリア豊富なファンドマネージャー等が退職した場合における運用業務への影響は大きく、運用業務の一部を取り止めなければならない可能性も含め、業務に大きな支障が出る可能性があります。このような事態を避けるため、個々のファンドマネージャー等のノウハウ等の共有を促進しておりますが、こうした対応が十分な状況に至る前に既存のファンドマネージャー等の退職という事態が発生した場合、当社グループの業績に悪影響を与える可能性があります。
ディーリング事業においても実績があり収益力が高いディーラーが退職した場合、また優秀なディーラーの確保が順調に進まなかった場合、当社グループの業績に悪影響を与える可能性があります。
当社グループのASTRA社では、平成24年7月25日開催の取締役会にて再生可能エネルギー事業へ参入することを目的に事業計画の概要と事業化調査を開始することを機関決定いたしました。また、平成24年8月1日開催の臨時株主総会において定款を一部変更し、農林水産物の生産並びに加工・販売に関する事業、再生可能エネルギー等を利用した発電及び電気の供給に関する事業を行うことを可能といたしました。平成24年7月1日より「再生可能エネルギー全量買取制度」が開始されたことに加え、電力不足対策や環境負荷低減などの社会貢献性の観点からも、本事業への参入は当社グループにとりまして非常に意義のあるものと考えております。
既に、当社ホームページ等で開示の通り、当社グループ開発案件としては、これまでに全国7箇所で太陽光発電設備が既に完成しております。また太陽光発電以外では主として地熱等を利用した発電事業等への取組も進めております。それぞれの案件の事業化に当たっては、関係者との連携を図りつつ、且つ厳格な調査に基づき事業化の是非を検討して進めております。しかしながら、本事業においては、ビジネスの進展が必ずしも予定通りに進まない事態が発生し得ること、想定しきれないコストが発生すること等により、事業採算が悪化するおそれがあります。特に地熱発電事業に関しては、地表調査を実施し、引き続き地元関係者の方々のご理解を得ながら、地熱発電の事業化を目指して試掘井の掘削を進めていく予定ですが、試掘井の掘削の結果、想定した蒸気等が得られなかった場合は開発を断念せざるを得ず、その場合これまでにかけた費用の大半を失うというリスクが存在します。また、事業用地の取得を伴うケースがあることから、固定資産税その他諸費用の変動、不動産に係る欠陥・瑕疵の存在、災害等による不動産価値の毀損、所有権その他不動産の権利関係、有害物質の存在、環境汚染、不動産価値の急激な低下による減損等の新たなリスクを負うことになると共に、第三者に対し損害を及ぼし賠償責任を負うというリスクも存在します。こうした問題が発生した場合には、当社グループに対する信頼の失墜に繋がる可能性があります。その際には、当社グループの経営成績及び財務状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
また、再生可能エネルギー関連事業においては、当社グループの自己資金に加えて銀行借入等を利用し、レバレッジをかけて投資を行うケースがあります。その際には当社グループが拠出した投資額を上回る規模の事業を行うこととなり、事業採算の僅かな悪化が、当社グループの損益に相対的に大きな影響を与えるおそれがあります。さらに、再生可能エネルギーについては、政府のエネルギー政策によっては諸規則等の改正またはその解釈や運用の変更が行われる可能性もあり、その内容によっては今後の業務展開や業績に悪影響を及ぼすおそれがあります。
また、再生可能エネルギー関連事業の一環として、平成28年4月より自由化される日本の電力小売市場において電力小売事業を行う企業等をサポートするシステム及びサービスの提供に取り組むべく、アストマックス・エナジー・サービス株式会社を設立いたしましたが、事業計画通りに顧客を確保できない場合は、サポートシステム等先行投資した資産を減損処理する等のリスクが存在します。
アストマックス投信投資顧問株式会社(以下、ASTAM社という。)は、「投資信託及び投資法人に関する法律」に定める投資信託委託会社として公募・私募の投資信託の設定を行っていることから、金融商品取引法を始めとする各種法令及び所属する各種協会の自主規制ルール等を遵守し、投資信託等の運用及び管理を適切に行うことが求められるほか、「商品投資に係る事業の規制に関する法律」に定める商品投資顧問業者として、同法を始めとする各種法令等の遵守が求められます。また、金融商品取引法に定める金融商品取引業(投資運用業、投資助言・代理業及び第二種金融商品取引業)に加え、それらに付随する業務も営んでおり、これらの金融商品取引業務においても、同様に、金融商品取引法を始めとする各種法令及び金融商品取引法に定める各自主規制機関の自主規制ルール等に関する厳格な遵守体制が求められております。
一方、平成28年12月に新設したアストマックス・ファンド・マネジメント株式会社(以下、AFM社という。)及びASTRA社においては、金融商品取引法第63条に基づく「適格機関投資家等特例業務」の届出を行っておりますが、適格機関投資家等特例業務を行う業者に関する金融商品取引法の一部を改正する法律(「平成27年改正金商法」)が、平成28年3月1日に施行され、適格機関投資家等特例業務を行う業者の行為規制等が強化されました。
当社グループとしては、コンプライアンス態勢及び内部管理体制水準の確立・維持に努め、今後も更なる徹底を図るべく継続努力していく所存でありますが、監督当局等から行政上の指導あるいは処分を受けるというような事態が生じた場合には、その内容によっては通常の営業活動が制限され顧客ビジネスの展開に支障をきたす可能性もあります。また、投資信託の基準価額に大きな誤りがあった場合を始め、ASTAM社の事務ミス等の過失により投資信託または投資信託の投資者に損害が生じた場合等には、損害賠償責任を負う可能性があり、当社グループの業績に悪影響を及ぼすおそれがあります。
一方、ASTRA社等が営むディーリング事業は、商品先物取引法等の関係法令を中心に、国内外の主要取引所の諸規則の遵守を求められており、また再生可能エネルギー関連事業は、電気事業者による再生可能エネルギー電気の調達に関する特別措置法や電気事業法等の規制を受けることとなります。当社グループとしては、これら事業においても、法令遵守の下に事業を進めていく努力をしておりますが、万一法令違反等が発生した場合には、監督当局等から行政上の指導あるいは処分を受けることがあり、また損害賠償責任を負う可能性もあります。そのような事態の発生は当社グループの業績に悪影響を及ぼすおそれがあります。
当社は、平成24年10月1日付で、株式移転によりASTRA社の完全親会社として設立され、即日、大阪証券取引所JASDAQ(スタンダード)(現東京証券取引所JASDAQ)に上場いたしました。当社は事業会社を通じて事業運営を行うと共に、事業会社の管理業務を受託することにより、事業会社からの業務委託料収入及び配当金収入を主な収益の源泉とする持株会社となりました。この結果、各事業の管理業務(リスク管理業務を除く)は新設持株会社に集約され、当社グループ全体の管理業務の効率化及び管理コストの削減を図ると共に、各事業におけるファイア・ウォール(業務隔壁)の更なる徹底と各々の事業会社の迅速な意思決定を可能とする体制を構築いたしました。しかしながら、持株会社体制が十分に機能しない場合には、当社グループの事業展開、経営成績及び財政状況に悪影響を及ぼす可能性があります。
当社グループは、平成24年8月1日付でマネックス・オルタナティブ・インベストメンツ株式会社(以下、MAI社という。)の発行済全株式を取得し、平成24年10月1日付で新設された当社の100%子会社化すると共に、ASTRA社のアセット・マネジメント事業を吸収分割によりMAI社に統合(同日付でアストマックス投資顧問株式会社(以下、ASIM社という。)に商号変更。)いたしました。その後、平成24年12月28日付で当社は、ITCインベストメント・パートナーズ株式会社(以下、IIP社という。)の発行済株式の99%を取得して子会社化し、平成25年4月1日付で、IIP社はASIM社を吸収合併により統合して、商号をアストマックス投信投資顧問株式会社に変更いたしました。ASTRA社の旧アセット・マネジメント事業と旧MAI社及び旧IIP社の事業は、運用戦略・商品設計、顧客層、及び運用商品の販売会社等がいずれも相互に補完できる関係となっており、事業基盤の拡充とビジネスシナジー効果の活用により、投資家の皆様の様々なニーズにお応えできる運用業務遂行体制を構築いたしました。しかしながら、今後、事業展開が計画通りに進まない場合には、MAI社株式の保有にかかる「のれん」の減損損失を計上することになるリスクがあり、当社グループの経営成績及び財務状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
当社は、上場企業として、当社グループ各社を含めたコンプライアンスの徹底を最重要課題の一つとして取り組んでおります。前述のとおり、当社グループが営む業務には、それぞれの営む事業毎に様々な法的規制や業界団体による自主規制ルールがあり、これらをグループ各社が企業として遵守することのみならず、役職員一人一人にモラルが求められていると考えております。当社グループでは、全役職員に対して社内規程で法令等の遵守を要求するとともに、毎年度、その旨誓約書を提出させており、加えて継続的な啓蒙活動とチェックを実施することにより、その徹底を図っております。しかしながら、万一役職員による不祥事等が発生した場合は当社グループのイメージが失墜し、当社グループの事業活動及び業績に重大な影響を及ぼす可能性があります。
当社グループのコンピュータ・システムは、主に以下の分野で使われており、業務上不可欠なインフラとなっております。
・運用プログラム
・投資信託の基準価額算出
・運用サポートシステム
・顧客別運用資産の管理、損益管理、リスク管理
・ディーリング業務における取引発注、ポジション管理、損益管理、資金管理、リスク管理
・経理業務、各種データの作成
・電力小売事業サポートシステム
現状、重要なデータについては外部のデータセンター利用を通じたバックアップ体制を確立するなど、業務上及びセキュリティー上必要とされる水準を備えていると考えておりますが、ハードウェア、ソフトウェアの不具合や人為的ミス、天災、停電、コンピュータウィルス、テロ等によりコンピュータ・システムに障害が発生する可能性はあります。システム障害のレベルによっては、当社グループの事業活動及び業績に重大な影響を及ぼす可能性があります。
当社グループが平成19年6月に旧三井物産フューチャーズ株式会社(当時)の全株式を取得して以来抱えていた6件の被告事案は全件和解が成立しております。しかしながら、旧三井物産フューチャーズ株式会社の顧客等から訴訟を提起される可能性は残されております。この他にも、「① 当社グループの事業内容について 4.再生可能エネルギー関連事業について」及び「② 当社グループを取り巻く法的規制等に関するリスクについて 1.企業買収後の法的規制等について」に記載された事項に係る訴訟の可能性があります。
これらのほかにも様々なリスクが存在しており、ここに記載されたリスクが当社グループの全てのリスクを表すものではありません。
該当事項はありません。
該当事項はありません。
本文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社が判断したものであります。
当社の連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。
当社の経営者は、連結財務諸表の作成に当たり、会計方針の採用や、資産・負債及び収益・費用の計上及び開示に関する見積りを必要とします。経営者はこれらの見積りについて、過去の実績等を勘案して合理的に判断しておりますが、実際の結果は、見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りと異なる場合があります。
アセット・マネジメント事業においては、平成25年3月期に、マネックス・オルタナティブ・インベストメンツ株式会社とITCインベストメント・パートナーズ株式会社(以下、IIP社という。)を買収し、平成25年4月1日をもってIIP社を存続会社とする吸収合併を行いました(アストマックス投信投資顧問株式会社に商号変更)。3社統合後、約2年間にわたり、組織の見直しを推進すると共に業務効率化を図ることで、事業全体の損益分岐点低下を図ってまいりました。一方、同事業の営業収益に大きく影響する運用資産残高は、平成26年3月末の1,341億円から「中期事業計画2014」を経た平成28年3月末には3,028億円に増加しました。これは地方銀行を中心とする機関投資家ビジネスの拡大に加え、商品価格連動型を中心とした公募投信への資金流入等を受けたものであり、中期経営計画の目標としていた運用資産残高を大幅に上回る水準です。このため、平成28年3月期は、継続的に実施してきた経費削減策の効果もあり、安定的な黒字体質となっております。
当事業では、中期経営計画の重点施策である、個人向けビジネスの展開や海外業者との提携によるセカンダリー・ファンドのビジネス、大学発ベンチャーキャピタルの運用事業等新たな事業もスタートいたしました。
ディーリング事業においては、組織的な運用体制の構築による収益力の向上と安定化、並びにコスト圧縮による損益分岐点の引き下げを進めてまいりました。これに加え、平成28年3月期は、当社の主力取引である商品裁定取引を多く行う東京商品取引所の出来高・取組高も、原油市場やゴールドスポット100市場での活況を受け比較的高い水準での推移となり、特に年末から2月にかけての原油市場の価格変動が大きく、国内原油市場には東京証券取引所上場のETNを通じて取引資金が流入し活発な取引となりました。このように当事業にとっての良好な市場環境が続いたこともあり、前年並みの営業収益を計上することができました。
再生可能エネルギー関連事業については、「1 業績等の概要 (1)業績 ③再生可能エネルギー関連事業」にて記載したとおり、平成28年3月期は平成27年3月期に比べ、事業が計画通りに進捗しなかったことに加え、稼働を開始した太陽光発電設備が増加したことを受け、事業開始当初のコストが大きくなる定率法による減価償却の影響やファイナンス等のアレンジメント費用等の一時的な負担が大きかったことを受けて結果として前期比大幅な減収、セグメント損失となりました。一方、太陽光発電に比べて発電量が大きく、天候や昼夜を問わず常時電力供給できる地熱発電やバイナリー発電については、宮崎県えびの市で地質調査を完了し、試掘井掘削に向けて準備を進めております。
また、平成27年11月に平成28年4月より自由化される日本の電力小売市場において電力小売事業を行う企業様をサポートするシステム及びサービスの提供に取り組むべく新会社を設立いたしました。米国のエネルギー小売市場向けアウトソーシング・サービス提供のリーディング・プロバイダであるEnergy Services Group, Inc.と業務提携し、電力小売事業者の皆さまのニーズに応えるサービスのご提供に努めてまいります。なお、本電力小売事業者向けの事業は事業の開始に伴い、平成29年3月期より新たなセグメント(電力取引関連事業)として再生可能エネルギー関連事業セグメントから独立する予定です。
なお、事業の種類別セグメント情報の詳細については、「1 業績等の概要 (1)業績」に記載のとおりです。
当連結会計年度の世界経済の情勢については、金融市場は値動きの荒い展開が続き、投資家のリスク回避の動きから株式、商品等のリスク資産が下落し、安全資産と見做される債券が買われる結果となりました。また、国内の投資信託市場は、公募投信が平成27年3月末の97兆円から5月末には102兆円まで増加したものの、平成28年3月末は91兆円に減少しましたが、私募投信は平成27年3月末の51兆円から平成28年3月末現在64兆円と右肩上がりで増加しております。
この様な環境下、当社のアセット・マネジメント事業は、前述の通り前連結会計年度から引続き運用資産を増加させ、平成28年3月末の運用資産残高は、前期末の2,474億円から3,028億円に拡大しました。運用資産別配分としては、低金利下における収益向上を狙った投資対象の多様化も反映し、債券投資の割合が前期末の48%から51%に微増しました。また、通期を通して原油価格が下落傾向にあった中、原油価格の上昇を投資目的とする公募投信や毎月分配型の日本株の公募投信への資金流入も拡大しました。さらに年末には予てより計画していた積立型の公募投信がスタートしました。本積立型の公募投信は中期的なコア事業として今後も注力してまいります。
同事業においては、当社グループの『中期事業計画2014』で公表した通り、顧客層の拡充・事業基盤の拡大に努めてはおりますが、依然として、債券市場・外国為替市場・株式市場・商品市場等の動きによっては、投資家による利益確定または損失限定のための解約が集中する可能性もあり、同事業の業績が影響を受ける可能性があります。
ディーリング事業の業績におきましては、前述のとおり、平成28年3月期も前年度並みの黒字を確保することができました。同事業においては、運用対象の多角化を進めているものの、証券ディーリングは計画通りの進捗をみることができず、依然として東京商品取引所を中心とする商品先物市場での収益が大半を占めております。平成28年3月期においては、円高に加えて原油価格が長く下落した後底値から反発する等商品価格の値動きが大きくなったため、東京商品取引所の出来高・取組高は、共に高位安定傾向にありますが、市場環境によっては、同事業の収益が大きく影響を受ける可能性があります。
再生可能エネルギー関連事業は、平成26年4月以降、独立した事業セグメントとして取り扱うこととなり、積極的に経営資源を投入して太陽光発電事業の更なる拡大と地熱発電等への取組みを継続しております。同事業は、市場の変動の影響を受けにくい安定収益源として営業収益への貢献が期待できる一方で、「事業等のリスク」に記載の通り、不測の事態が生じて、経営成績にマイナスの影響を与える可能性もあります。なお、平成28年3月期から事業化の準備を進めてまいりました電力小売事業者向けに展開するサービス業務につきましては、平成29年3月期より新たなセグメント(電力取引関連事業)として認識した上で、決算短信や四半期報告書等で進捗を報告してまいります。
営業費用の面では、引き続きグループ全体としての経費削減努力を継続しつつ、業容が拡大している事業については、必要な新規投資、人員の拡充も行っていく予定です。
当社グループとしては、事業の分散を始めとする、投資対象の分散やマーケティングチャネルや顧客層の分散等、様々な側面で適度な分散化を図ることで、経営成績の安定度を更に高め、持続的成長を目指してまいります。
当社グループの主要事業は、「アセット・マネジメント事業」と「ディーリング事業」、及び「再生可能エネルギー関連事業」の3つです。
アセット・マネジメント事業につきましては、運用戦略とマーケティングチャネルの拡大を進め、顧客層の拡充、投資対象商品の多様化に取り組みつつ、さらなる運用資産の積み上げに努めてまいります。商品企画・運用・顧客サービスから、投信計理等の管理部門・法務コンプライアンスに至るまで、機動的かつ効率的に業務を遂行しつつ、的確な相互連携と、適切な牽制機能の発揮を共存させて優先課題への迅速な対応を行ってまいります。また、グループ内の再生可能エネルギー関連事業と協働して、インフラファンド等への取組み及び海外運用会社との協業による事業展開の強化を通じて、ソリューション提案力とクライアントサービスの質的水準を向上させた、独自性の高い資産運用会社を目指してまいります。さらに、マーケティング及び商品企画を中心とした協業可能なパートナーとの関係を強化して、一層の事業展開を図ってまいります。
なお、当社グループのアセット・マネジメント事業において、組織統合以前の中心となってきたコモディティを投資対象とした顧客資産運用についても、引き続き、当社グループの運用商品の重要な一角を占めるものと考えており、十分な潜在的成長余力もあるものと考えて、注力してまいります。
ディーリング事業につきましては、従前より積極的に取組んでまいりましたコモディティの国内及び海外市場を対象とした裁定取引に加えて、引続き株式市場においても取引を継続します。さらに平成29年3月期中に予定されている電力先物取引も視野に入れ、収益の多角化を図る取組みも継続していくと共に、資金効率の一層の向上、管理コストの削減等の努力も継続してまいります。また、新セグメントとなる電力取引関連事業との間では、リスク管理を含む市場取引の経験においてグループ事業間のシナジーを、一層高め事業価値の向上を図る予定です。
一方、再生可能エネルギー関連事業においては、太陽光発電事業について、既に公表済の案件の他、全国で新規案件への取組みを継続すると共に、既に公表済の案件を中心に、地熱発電等に対しての具体的な取組を開始しております。太陽光発電事業を中心にファンド化等を通じ、アセット・マネジメント事業と連携した展開も継続していく予定であり、直接の売却に加えて、ファンド化により回収される当社グループの投資資金を新たな案件に再投資していくビジネスモデルの展開を図ってまいります。多くの発電所の管理・運営業務は、売却またはファンド化後も当社グループが引き続き行い、将来にわたって手数料収入も獲得していく方針です。今後も、新規事業を推進する上での管理・運営体制を強化し、継続して再生エネルギー関連事業へ取組んでまいります。また当事業は、電力取引関連事業との間では電力源の供給において、グループ事業間のシナジーを一層高め事業価値の向上を図る予定です。
当社グループでは、平成24年10月に持株会社体制へ移行いたしましたが、上記の各事業の取組みを進めるにあたり、持株会社を中心に、適切な内部管理体制の確立と業務効率の向上、最適な経営資源の配分及び、意思決定の迅速化を図ってまいります。その上で、公開企業として十分な株主還元を実現するとともに、将来の事業展開に必要な内部留保を確保できる純利益を計上することにより、企業価値を向上させることに全力を挙げて取組んでまいります。
株主の皆様ならびに投資家の皆様に、当社の取組みと目指す方向性をより明確にお伝えすべく、適時適切な開示に加え、会社説明会の開催等IR活動を一層充実させてまいります。
当連結会計年度における総資産は、太陽光発電事業の推進に伴い機械及び装置(純額)の増加(202百万円)及び建設仮勘定の増加(2,432百万円)等により、9,203百万円(前年同期比41.6%増)となりました。
負債は、太陽光発電事業の推進に伴い長期借入金の増加(2,444百万円)等により、4,743百万円(前年同期比131.6%増)となりました。
純資産は、親会社株主に帰属する当期純利益計上による利益剰余金の増加(159百万円)及び剰余金の配当による利益剰余金の減少(154百万円)等により、4,459百万円(前年同期比0.2%増)となりました。
当連結会計年度における現金及び現金同等物は、1,956百万円(前年同期間比6.9%増)となりました。
営業活動によるキャッシュ・フローは、主として税金等調整前当期純利益による収入(161百万円)、ブローカー等に対する差入保証金の減少による収入(295百万円)、非資金項目である減価償却費(188百万円)等により、572百万円(前年同期は1,086百万円)となりました。
投資活動によるキャッシュ・フローは、太陽光発電事業に係る有形固定資産の取得による支出(△2,778百万円)が主な要因となり、△3,080百万円(前年同期は△1,293百万円)となりました。
財務活動によるキャッシュ・フローは、主として長期借入れによる収入(長期借入金の返済による支出との純額は2,677百万円)、短期借入金による収入(短期借入金の返済による支出との純額は110百万円)等により、2,633百万円(前年同期は643百万円)となりました。
当社の経営陣は、現状の事業環境及び入手可能な情報に基づき最善の経営方針を立案するよう努めておりますが、当社を取り巻く経営環境は、依然として、内外の金融商品市場及び商品先物市場等の動向等の諸経済情勢により大きく影響を受けるものとなっております。このため、金融商品市場及び商品先物市場等に関する情報を幅広く入手し、市場動向に迅速に対応すべく努力する一方、前述のとおり、当社グループの事業について、市場動向の影響を受けにくい体質への改善を進めております。今後については、上記のほか我が国の再生可能エネルギー等に対する政策の動向も踏まえつつ、業績と事業計画に大きな乖離が生じる可能性がある場合には、事業計画を抜本的に見直すことも含めて、環境変化への対応を適切に行ってまいります。