第2 【事業の状況】

 

1 【業績等の概要】

(1) 業績

当社グループのセグメントは、前連結会計年度末まで、「アセット・マネジメント事業」、「ディーリング事業」、「再生可能エネルギー関連事業」の3事業に区分しておりましたが、当連結会計年度より、「再生可能エネルギー関連事業」から「電力取引関連事業」を分け、4事業に区分しております。従いまして、前連結会計年度との比較については、前連結会計年度のセグメント別を当連結会計年度のセグメント別に組み替えて比較しております。

 

当連結会計年度(平成28年4月1日~平成29年3月31日)における金融市場は、政治イベントが予想外の結果となる波乱もありましたが、世界的な景況感の改善や投資家のリスク選好の回復を背景に金利が上昇し、リスク資産の価格が堅調に推移する展開となりました。

株式市場は世界的に上昇しました。米国の金融政策動向や英国のEU離脱を巡る混乱、トランプ氏の米大統領選勝利結果などから乱高下する場面もありましたが、歴史的な水準に低下した長期金利や世界的な景況感の改善に下支えられ、史上最高値更新を続ける米国株式が主導し、年度後半の株式市場は世界的に上昇基調を強めました。国内株式市場は円高が進んで下落する局面もありましたが、日経平均株価指数は米大統領選後の急激な円安を受け12月には19,000円台まで上昇、年度末にかけてはレンジ取引となりました。

世界的な低インフレが続く中、主要中央銀行による金融緩和スタンスが維持され、主要先進国の長期国債利回りは7月には過去最低水準まで低下しました。その後、米国経済が雇用増を伴う緩やかな拡大基調を辿るのに伴い、米国債利回りは上昇し、11月の米大統領選後にはトランプ新政権の政策期待から投資家のリスク選好姿勢が回復しました。その結果、主要国の長期金利は米国の動きに追随する形で年末にかけ上昇基調となり、年度末にかけてはレンジ内での推移が続きました。

商品市場の値動きはまちまちに推移しました。原油価格はレンジ内での取引が続いた後、OPECが8年ぶりの減産合意に達した11月以降に上昇しましたが、高水準の米原油在庫を嫌気して3月に再び値を下げる動きとなりました。銅などのベースメタル価格は、トランプ大統領によるインフラ投資拡大方針を受けた需要拡大見通しから急伸しました。一方、貴金属価格は、ドル安が進んだ7月にかけ金価格主導で上昇した後、10月以降のドル高が売り材料視され年末にかけ軟調に推移しましたが、ドル安に転じた年明け以降に反発するなど、方向感の無い動きとなりました。コーン、小麦、大豆などの穀物価格は、天候や作柄が良好となった北米の豊作が重石となって、6月をピークに下落基調を辿り、下期は概ねレンジ内での値動きに終始しました。

 

再生可能エネルギーを取り巻く環境については、国による導入促進に係る制度改革の議論が行われ、現行の固定価格買取制度(FIT)が見直され、改正FIT法が平成29年4月から施行されることとなりました。

これは、再生可能エネルギーの最大限の導入と国民負担の抑制の両立に向けて、「エネルギーミックスを踏まえた電源間でバランスの取れた導入の促進」、「国民負担の抑制のためコスト効率的な導入の促進」、「電力システム改革の成果を活かした効率的な電力の取引及び流通」を実現するためのものです。

「太陽光発電」については、FIT価格が、平成27年度の29円及び27円(税抜)から、当連結会計年度には24円(税抜)と更に引き下げられ、平成29年度においては21円(税抜)となり特別高圧案件は入札制度が導入されます。また、現行のFIT法において、未稼働案件は平成29年3月31日までに接続契約を締結していないものについては、原則として認定が失効するほか、改正FIT法により、未稼働案件の発生防止の仕組みが盛り込まれます。

 

このような市場環境等のもと、当社の当連結会計年度の営業収益は3,522百万円(前年同期間比486百万円(16.0%)の増加)、営業費用は3,313百万円(前年同期間比566百万円(20.6%)の増加)、経常利益は100百万円(前年同期間比60百万円(37.7%)の減少)となり、親会社株主に帰属する当期純利益は2百万円(前年同期間比157百万円(98.7%)の減少)となりました。

 

親会社株主に帰属する当期純利益について、特記すべき事項は次のとおりです。

 

平成28年8月8日付でヤフー株式会社(以下、「Yahoo! JAPAN」という。)との間で締結した、資本・業務提携契約(以下、「本資本・業務提携契約」という。)により、当社は、当社が保有する連結子会社であるアストマックス投信投資顧問株式会社(以下、「ASTAM社」という。)の株式を2段階に分けて50.1%までYahoo! JAPANに譲渡することに合意しております。

当社が保有するASTAM社株式においては過去の資本剰余金を原資とした剰余金の配当等により会計上の簿価と税務上の簿価に将来加算一時差異が発生していることから、本株式譲渡合意の結果、連結財務諸表において当該差異に法定実効税率を乗じたうえで、第2四半期連結累計期間に繰延税金負債及び法人税等調整額を約31百万円計上いたしました。なお、平成28年10月3日付でASTAM社株式の33.4%の株式譲渡が完了していることから、当連結会計年度では、当該株式譲渡に対応して約21百万円の繰延税金負債の取り崩しが発生し、本株式譲渡に関わる繰延税金負債は通期で約10百万円となりました。

さらに、本株式譲渡実行により、財務諸表では約11億円の譲渡利益を計上しておりますが、連結財務諸表上の取り扱いについては、「連結財務諸表に関する会計基準(企業会計基準第22号 平成25年9月13日)」に従い、子会社株式の一部売却後も引き続き親会社と子会社の支配関係が継続する場合に該当するため、本株式譲渡にかかる売却持分と売却価額との間に生じた差額等を当連結会計年度末に約9億円の資本剰余金として処理しております。

一方、本資本・業務提携契約にかかる弁護士報酬や監査法人への報酬、及び財務諸表で収益計上していることに伴う事業税付加価値割の負担増加分等の関連費用合計額を、連結損益計算書に約30百万円計上しております。

なお、「九州再生可能エネルギー投資事業有限責任組合」は第2四半期連結会計期間から、ASTAM社は第3四半期連結会計期間から、それぞれ外部の出資持分を、非支配株主に帰属する当期純利益として控除しております。

 

セグメント毎の業績及び取組み状況は次のとおりです。

 

① アセット・マネジメント事業

当事業は、主にASTAM社が推進しており、金融商品取引業と商品投資顧問業等を行っております。

当連結会計年度においては、4月以降は投資家の積極的な投資姿勢が継続する中、新年度入りに伴う新たな投資方針等に基づく投資信託の新規設定や既存の投資信託への追加投資の動きもあり、運用資産残高合計は7月末時点で3,701億円まで増加しました(前連結会計年度末は3,034億円)。8月以降は投資家による解約等の動きも見られ、9月末の運用資産残高は3,562億円となりました。10月以降は、再び投資家の積極的な投資姿勢が見られる中、投資信託の新規設定等を背景に運用資産残高は11月末時点で3,798億円まで増加しました。12月にはYahoo! JAPANとの協働により開発した公募の投資信託「Yjamプラス!」を新規に設定(当初設定元本総額80億円)しましたが、私募の投資信託で投資家の利益確定等の解約の動きも見られたことなどから平成29年1月にかけて運用資産残高も一時的に減少しました。しかしながら、2月以降は投資信託の新規設定や既存の投資信託への追加投資の動きなどから運用資産残高は再び増加に転じ、当連結会計年度末では前連結会計年度末比820億円増加の3,854億円と月末として過去最高額を更新しました。運用資産残高が前連結会計年度を上回る水準で推移したことなどから、前年同期間比増収増益となりました。なお、平成28年2月に当社グループのアストマックス・ファンド・マネジメント株式会社にて組成した、学校法人東京理科大学が主に出資する大学発ベンチャーキャピタルファンドについても、順調に投資を積み上げてきております。

以上の結果、当事業における当連結会計年度の営業収益は、2,041百万円(前年同期間比363百万円(21.7%)の増加)となり、セグメント利益は405百万円(前年同期間比61百万円(17.8%)の増加)となりました。

当事業では、今後とも拡充した事業基盤を活用し、投資信託の販売会社並びに海外の運用会社等との協業を通じて運用資産残高の積み上げに努めるとともに、収益基盤の拡充にも取り組んでまいります。なお、ASTAM社の既存主力事業である機関投資家ビジネスに加え、個人投資家向けの積立型長期資産形成ビジネスについても、一層の強化を図るべく、平成28年10月、ASTAM社発行済株式総数の約3分の1に相当する株式をYahoo! JAPANに譲渡すると共に協働を開始しております。投資未経験者を含む個人投資家の皆様に対しても、既存の対面型営業による個人投資家向け長期積立型投資信託事業に加え、ファイナンシャル・テクノロジーを活用した長期資産形成に貢献できる事業を展開してまいります。また、Yahoo! JAPANとの協働により平成28年12月に設定した公募の投資信託「Yjamプラス!」及び平成29年4月設定の「Yjamライト!」については、販路を順次拡大してまいりたいと考えております。

 

② ディーリング事業

当事業は、主にアストマックス・トレーディング株式会社(以下、「ASTRA社」という。)及びアストマックス・エナジー株式会社が推進し、東京商品取引所、CME、ICE等、国内外の主要取引所において商品先物を中心に、株価指数等の金融先物、現物株式等を取引対象とした自己勘定取引を行っております。

本項の冒頭で説明されている市場環境の中、当社主力の商品市場は、6月の英国民投票時と11月の米国大統領選挙時に全体的に取引量が増加しましたが、期を通じて低インフレの影響もあり投資家の注目度は低く、動きの鈍い一年となりました。原油市場はOPECの減産合意で上昇しましたがその後は反落、レンジ内での取引に終始しました。金市場はドル市場と反比例する動きが中心となり、独自の方向性はあまり出ず大きな動きはありませんでした。この影響で、多くの銘柄で価格の歪みが限定的となり、当社グループが注力する市場間・限月間・商品間での裁定取引は、取引機会が少なく十分な収益を獲得することができず前年同期間比大幅な減収、セグメント損失となりました。

以上の結果、当事業における当連結会計年度の営業収益は650百万円(前年同期間比261百万円(28.6%)の減少)、セグメント損失は18百万円(前年同期間は119百万円のセグメント利益)となりました。

当事業では、引き続き市場の変動に備え機会を逃すことなく収益をあげられるよう体制を整え、戦略の分析と研究を継続していきます。

 

③ 再生可能エネルギー関連事業

当事業は主にASTRA社等が推進しております。当事業では主として再生可能エネルギー等を利用した発電及び電気の供給に関する事業を行っております。

当事業の進捗状況については継続的に開示しておりますが、当連結会計年度における状況は以下のとおりです。

(太陽光発電事業等)
1. 熊本県菊池市 出力規模:約7.8メガワット

既に開示しておりますとおり、ASTRA社は、平成27年7月1日付で太陽光発電所を設置する株式会社への匿名組合出資を行いましたが、平成28年3月31日付で九州における地熱、温泉熱、太陽光発電の再生可能エネルギー事業を投資対象とする「九州再生可能エネルギー投資事業有限責任組合」(以下、「本LPS」という。)をファンド運営者として組成し、環境省所管の一般社団法人グリーンファイナンス推進機構より有限責任組合出資を受けることになりました。これに伴い平成28年6月30日付で匿名組合契約を解除し、本LPSからの匿名組合出資に切り替えております。本案件では、本LPS運営期間に亘り管理報酬等を収益として認識する契約形態としており、本LPSは当社の連結子会社となります。なお、昨年の熊本地震及び集中豪雨による同発電所への被害は軽微なものであり、工事関係者のご協力もあり、スケジュールに大きな遅延はなく、平成28年7月11日に引渡しが完了し、同日に運転を開始しております。 

2. 鹿児島県霧島市 出力規模:約2.2メガワット

既に開示しておりますとおり、土地の開発に関わる手続きに遅れが生じておりましたが、平成28年10月に手続きが完了し、着工の運びとなりました。本案件につきましては、当社グループとしての事業リスクを限定するために、SPC(特別目的会社)及び匿名組合契約(ASTRA社を出資者とし、SPCを営業者とする契約)を使った投資スキームを利用しており、平成28年12月16日付にて太陽光発電設備を設置する合同会社に対し出資をしております。稼働開始は、平成30年3月を見込んでおり、稼働後はASTRA社による管理・オペレーション業務を行います。

3. 熊本県山鹿市

他社開発である熊本県山鹿市の50キロワット低圧太陽光発電設備2区画を投資家へ紹介し、紹介料を平成29年3月に計上しております。 

太陽光発電事業においては、前述のほか、未稼働ID及びセカンダリー市場(完成した発電所の売買市場)での案件取得に取り組んでまいりましたが、競合他社の参入、優良案件の減少等により競争率が高く、案件取得が困難な状況です。調達及び譲渡が決定している特定の案件は現時点においてはありませんが、今後におきましても、引き続き太陽光発電設備の未稼働ID及びセカンダリー市場での案件取得に取り組み、譲渡を行うこと等を含め、期間利益の獲得を目指してまいります。また、保有している既存発電設備においても、一部ポートフォリオの入替や、採算性向上のため増設等を行うことを予定しており、これらを通じた事業採算の向上に取り組んでまいります。

前述の熊本県菊池市の太陽光発電所の稼働により、事業規模の更なる拡大が見込まれるのを契機に、機械及び装置の使用状況等を検討した結果、当社グループが保有する機械及び装置は、毎期安定的に稼働し発電する見込みであるため、定額法による減価償却方法が使用実態をより適切に反映させることができると判断し、当連結会計年度より太陽光発電設備(機械及び装置)の減価償却方法を定率法から定額法へ変更しております。

(地熱発電事業等)

ASTRA社では、ベースロード電源である地熱・小水力等を利用した発電事業への取組みを進めております。地熱発電事業につきましては、宮崎県えびの市尾八重野地域において、地元の方々のご理解を得ながら、2メガワット規模の地熱発電の事業化を目指した調査井の掘削に向けた準備を進めてまいりましたが、平成28年7月27日付けで独立行政法人石油天然ガス・金属鉱物資源機構による「平成28年度地熱資源開発調査事業費助成金交付事業」の採択を受け、平成29年3月末までの期間で調査井の掘削が完了しております。今後は、坑内温度の回復を待った上で、噴気試験を行うほか、更なる地表調査・調査井の掘削をすることによって2メガワット以上の開発を視野に入れつつ、引き続き事業化に向けて取り組んでまいります。なお、平成28年9月28日付けで経済産業省による「平成28年度地熱開発理解促進関連事業」の採択を受け、平成29年2月末まで農業ハウスへの熱水輸送計画立案及び農業ハウス事業性の調査を行いました。こうした活動を通じ、地元の方々の地熱開発への更なる理解促進が進んだものと考えております。このほかに、100から300キロワット規模のバイナリー(温泉)発電と呼ばれる小規模地熱発電の事業化についても取組みを進めており、平成28年5月に地表調査を完了した大分県日田市においても、平成29年3月に掘削の申請をいたしました。なお、宮崎県えびの市、大分県日田市の両案件においては、九州電力株式会社主宰の電源接続案件募集プロセス(電源接続案件募集プロセスとは、平成27年4月に設立された電力広域的運営推進機関により、新たに規定されたルール。発電設備等を電力系統に連系するにあたり、近隣の電源接続案件(系統連系希望者)を募り、複数の系統連系希望者により工事費負担金を共同負担する手続きのこと。)に移行しております。

地熱発電以外では、小水力発電等について、前連結会計年度同様、長万部地方創生事業に係る調査業務を受託し、検討を行っております。

前述のとおり、熊本県菊池市の太陽光発電設備の売電は第2四半期連結会計期間から開始しましたが、前連結会計年度に続き発電所の開発にかかるコスト(建設費を賄うための銀行借入に対する諸手数料や金利負担等)が先行していたため、当事業における当連結会計年度の営業収益は557百万円(前年同期間比95百万円(20.7%)の増加)、セグメント損失は76百万円(前年同期間は226百万円のセグメント損失)となりました。

 

④ 電力取引関連事業

当事業は電力小売事業を行う企業(小売電気事業者)等を対象にシステム及び付帯サービスを提供するアストマックス・エナジー・サービス株式会社(以下、「AES社」という。)と、小売電気事業者であり日本卸電力取引所の会員でもあるASTRA社による協業により推進しております。

当連結会計年度末をもって、電力小売りの全面自由化から1年が経過しましたが、経済産業省の認可法人である電力広域的運営推進機関によると、電力小売りの全面自由化で電力契約を切り替えた件数は平成29年3月末時点で343万件弱(契約総数の約5.5%相当)となっております。また、経済産業省によれば、同省に登録した小売電気事業者数は389事業者にのぼりました。こうした中、AES社では、電力自由化の先進国である米国において実績のあるEnergy Services Group, LLC (Energy Services Group, Inc.から改組。以下、「ESG社」という。)の電力小売事業サポートシステムの日本版を独占提供するとともに、ASTRA社との協業による需要予測等を含む需給管理業務並びに顧客のための電力調達業務等を通じて、小売電気事業者等の個別のニーズに応えるべくきめ細かいサービス及びソリューションの提供に取り組みました。ESG社システムの日本版完成が当初計画より遅れたこと等で費用先行となり、当連結会計年度においては計画未達となりましたが、ESG社との協業関係の強化等を通じて拡販に向けた体制は整ったと認識しております。

以上の結果、当事業における当連結会計年度の営業収益は276百万円(前年同期間は0円)、セグメント損失は185百万円(前年同期間は76百万円のセグメント損失)となりました。

 

上記、セグメント利益又は損失は連結財務諸表の経常利益と調整を行っており、連結会社間の内部取引消去等の調整額が含まれております。

報告セグメントについての詳細は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 注記事項(セグメント情報等)」に記載のとおりであります。

 

(2) キャッシュ・フローの状況

当連結会計年度における現金及び現金同等物は、3,685百万円(前年同期間比88.4%増)となりました。

営業活動によるキャッシュ・フローは、主として税金等調整前当期純利益(98百万円)、非資金項目である減価償却費(258百万円)、自己先物取引差金(借方)の減少(192百万円)等により、367百万円(前年同期は572百万円)となりました。

投資活動によるキャッシュ・フローは、主として太陽光発電事業に係る有形固定資産の取得による支出(△1,370百万円)等により、△1,247百万円(前年同期は△3,080百万円)となりました。

財務活動によるキャッシュ・フローは、主として連結の範囲の変更を伴わない子会社株式の売却による収入(1,703百万円)、非支配株主からの払込みによる収入(338百万円)等により、2,608百万円(前年同期は2,633百万円)となりました。 

 

 

2 【営業収益の状況】

(1) 営業収益実績

当連結会計年度における営業収益実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

当連結会計年度

(自 平成28年4月1日

至 平成29年3月31日)

前年同期比(%)

アセット・マネジメント事業

(千円)

2,035,300

22.6

うち管理報酬

(千円)

187,804

50.6

うち成功報酬

(千円)

-

△100

うちその他

(千円)

6,370

△41.1

うち投信委託者報酬

(千円)

1,841,126

24.4

ディーリング事業

(千円)

650,866

△28.6

再生可能エネルギー関連事業

(千円)

550,508

20.3

電力取引関連事業

(千円)

276,280

-

その他収益

(千円)

9,879

65.2

 

合 計

(千円)

3,522,835

16.0

 

(注) 1 セグメント間取引については、相殺消去しております。

2 上記の金額には、消費税等は含まれておりません。

3 当社グループのアセット・マネジメント事業、ディーリング事業は生産・受注といった区分が困難であるため、「生産・受注及び販売の状況」に代わり「営業収益の状況」を記載しております。また、同様の理由で「主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合」について記載をしておりません。

 

(2) 運用資産残高の状況[アセット・マネジメント事業]

以下の表は、当連結会計年度の運用資産残高の状況を示したものです。

 

平成28年
3月

6月

9月

12月

平成29年
3月

商品

(百万円)

1,330

1,337

1,104

483

470

証券

(百万円)

302,074

343,424

355,127

377,828

384,985

 合計

(百万円)

303,404

344,762

356,231

378,311

385,455

 

 

(3) 自己資産運用における取引高比率の推移[ディーリング事業]

以下の表は、東京商品取引所の総取引高における自己勘定投資事業の取引高の比率の推移を示したものです。

 

平成28年
4月

5月

6月

7月

8月

9月

 

取引所における
総取引高(枚)

4,682,528

4,174,664

5,073,440

4,886,526

3,907,270

3,419,854

 

ディーリング事業が占める取引高の比率(%)

4.40

4.74

5.33

4.89

5.03

4.61

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

10月

11月

12月

平成29年
1月

2月

3月

年間

取引所における
総取引高(枚)

3,382,432

3,382,432

4,914,030

4,080,928

3,854,500

4,091,920

49,850,524

ディーリング事業が占める取引高の比率(%)

4.12

6.03

3.88

4.31

4.26

5.05

4.71

 

(注) 1  上記に記載した取引所における総取引高は、東京商品取引所発表の取引高を記載しております。

2  上記は、当社グループにおける東京商品取引所での自己売買取引の比率を記載しておりますが、それ以外にも国内取引所や海外取引所において取引を実施しております。

 

 

3 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

(1) 会社経営の基本方針

当社グループは、「ステークホルダーの期待に応え、広く社会に貢献する企業グループを目指すこと。」及び、「高潔な倫理観と柔軟な発想をもって、全力で事業目的を達成すること。」を会社の基本理念としております。 

この基本理念の下、安定的な収益を確保できる事業基盤を確立し、持続的な企業価値の向上とステークホルダーに付加価値を提供することを目指しております。また、事業活動を通じ幅広い人材を育成すると共に、経済合理性と強い倫理観を併せ持った企業活動及び社会活動を行ってまいりたいと考えております。

 

(2) 目標とする経営指標

当社グループは収益力を高め期間利益を安定的に確保するためには、株主資本を最も効率的に活用することが重要であるとの認識のもと、ROE(株主資本利益率)を念頭においた経営を進めておりますが、持続的成長性を計る手段として「純資産額の増加」、「フリーキャッシュ創造力」についても重視してまいります。

また、アセット・マネジメント事業においては上記に加え運用資産残高の推移を重視しております。

 

(3) 中長期的な会社の経営戦略

当社グループは、従来、経営資源を資産運用業(アセット・マネジメント事業及びディーリング事業)に集中してきました。しかしながら、企業グループとしての収益基盤の安定及び収益力の強化を目指すために、市場動向の影響を受けにくい事業へ参入することを決定し、再生可能エネルギー関連事業および電力取引関連事業への取組みも積極的に進めております。

平成29年3月期においては、2020年(平成32年3月期)の当社グループのあるべき姿を定め、以下の骨子のとおり、今後4年間の中期ビジョン「Innovation & Governance for 2020」を策定しました。

① 株主還元と再投資による成長力の強化とバランスを重視した経営を行います。

② 4事業を通じて社会に貢献できる企業を目指します。

③ 当社グループは積極的にイノベーションに取組み、それを支えるガバナンス体制の充実を目指します。

(イノベーション)以下の事項に沿って事業を展開します。

1. 従来型の概念にとらわれることなく、新たな事業の発掘と既存事業の進化と深化により、社会的意義のあ

  る新たな価値を創造

2. 異なる組織及び機能との融合により、新たな知見を獲得し独自性を発揮

3. 自発的な人材の育成と人材を活かす組織を構築し、会社と社会に幅広い変革を推進

4. あらゆるステークホルダーからの信頼の確保

(ガバナンス)

1. 業務執行体制と取締役会の監督機能を強化

2. 迅速且つ牽制の効いた機関決定

3. バランスシートマネジメントを重視

 

(4) 会社の対処すべき課題

文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものであります。

 

当社グループは今後更なる事業及び収益の拡大を図るために、以下の課題に取り組んでまいります。

 ① 継続的な経常利益及び税金等調整前当期純利益の確保

当社グループは、「ステークホルダーの期待に応え、広く社会に貢献する企業グループを目指すこと。」及び、「高潔な倫理観と柔軟な発想をもって、全力で事業目的を達成すること。」を会社の基本理念としております。

平成27年3月期に策定した中期経営計画(2ヵ年)は、初年度において同計画の目標の一つであった全セグメントにおける黒字化を達成しました。しかしながら同計画2年目の平成28年3月期においては、アセット・マネジメント事業で大幅な増収増益を達成したものの、再生可能エネルギー関連事業において新たに進出した電力取引関連事業において費用先行となったこと及び前期の収益に寄与した太陽光発電設備の売却案件がなかったこと等もあり、連結ベースでは前年比減収減益となりました。

上記2ヵ年計画終了後の平成29年3月期においては、持続的な企業価値の向上に向けて、2020年3月期の当社グループのあるべき姿を定め、今後4年間の中期ビジョン「Innovation & Governance for 2020」を策定しました。同ビジョン1年目である平成29年3月期は、アセット・マネジメント事業で前年比増収増益を達成しましたが、その他3事業は想定通りのセグメント利益を確保できず、当社連結決算は前年度比大幅な減収減益となりました。なお、前述のとおり、子会社株式の一部譲渡による収益は、「連結財務諸表に関する会計基準」により、連結財務諸表においては期間収益として認識しないこととなった一方で、弁護士報酬や監査法人への報酬、及び財務諸表では収益計上していることに伴う事業税付加価値割の負担増加分等の関連費用の合計額を、連結損益計算書に約30百万円計上しております。上記子会社株式の一部譲渡を経て、連結での「非支配株主持分」を含む純資産額は、前連結会計年度末の約45億円から約60億円に、また株主資本も、前連結会計年度末の約45億円から約53億円に増加しており、当社グループが企業価値の向上を図る上で重要視している純資産は着実に増加しております。

4ヵ年中期ビジョンの1年目は上記のとおりの結果となりましたが、当社グループは、会社の基本理念及び中期ビジョンに基づき、引き続き事業展開の優先度、経営資源の適正な配分と各事業会社の設定目標の進捗管理強化、人材育成等を通じて、平成30年3月期以降も、継続してこの課題を十分に認識し、対処してまいります。

 

② 持株会社体制下での経営資源の効率的な配分及びリスクの効果的な管理

上記の目標達成のためには、当社グループの目指す姿を共有し、事業展開のスピードアップを図り経営効率を上げていかなければなりません。平成24年10月1日付の組織再編以降、各事業会社の管理業務は新設持株会社である当社に集約され、当社グループ全体の管理業務の効率化及び管理コストの削減を図ると共に、各事業において必要なファイア・ウォール(業務隔壁)については引き続き徹底しつつ、各々の事業会社の迅速な意思決定を可能とする体制を構築しております。また、中期ビジョンの目指す姿の達成に向け、持株会社はグループ事業を支援する専門家集団として、グループ内の事業を積極的にサポートすると共に、人材育成に注力し、引き続き経営資源の効率的な配分及びリスクの効果的な管理に取り組んでまいります。

 

③ アセット・マネジメント事業における顧客本位の事業展開と収益基盤の拡充

ASTAM社は平成25年3月期の投資運用会社2社の買収を経て、事業規模拡大を図ってまいりました。運用資産残高は平成25年3月末の1,437億円から4年後の平成29年3月末は3,854億円へと大幅に増加し、当連結会計年度におきましても820億円の流入超過となりましたが、引き続き、運用資産残高の拡大を図るべく、本事業の事業基盤を拡充してまいります。

また、平成28年10月にはASTAM社株式の33.4%をYahoo! JAPANに譲渡し、資本・業務提携を行いましたが、これは当社グループにおける国民の長期資産形成に資する投資運用事業を着実に取り組んでいくことの一環であると考えております。今後も、機関投資家向けの投資運用業の品質の一層の向上に加え、投資家の皆様の長期資産形成に貢献できる投資運用会社としての態勢を構築してまいります。

 

④ ディーリング事業の一層の効率化

ディーリング事業は、ここ数年にわたり、取引対象の拡大や取引インフラの整備、事業全体のポートフォリオ分析等を進め、収益源の多様化と収益力の拡大を目指してまいりましたが、平成29年3月期は売上総利益(営業収益から売上原価を差し引いた収益)は確保できたものの、販売管理費を賄うことはできず、3期ぶりにセグメント損失となりました。当事業は市場環境に左右される側面があることは否めないものの、世界的には先物市場の規模が拡大傾向にあることから、引き続き上記施策に取り組みつつ、資本効率を向上させるとともにリスク管理手法の高度化と管理体制の効率化を両立させ、更に低コストで十分な管理運営を行う体制の構築を推進して収益率を高め、利益率の好転を図ります。

また、電力OTC市場の発展及び東京商品取引所への上場を見据え、これまでのディーリング業務で蓄積してきた経験と知識を応用して電力取引関連事業でも活用し、電力取引の収益化に繋げる体制を構築してまいる所存です。

 

⑤ 再生可能エネルギー関連事業における事業基盤の拡充

再生可能エネルギー関連事業においては、再生可能エネルギー関連事業の発掘、開発、アレンジメント及び投資並びに農業生産法人への出資を行っております。当社グループとしては今後も「発電事業に投資し自ら発電事業を営むと共に、全部または一部をファンド化する等の事業展開により投資資金の早期回収を行い再投資を行う。」というビジネス展開をベースに事業を推進していく方針です。太陽光発電事業のみならず、地熱等の再生可能エネルギー事業の展開も進めており、これらの取組みを通じて中長期的に安定した事業基盤を早期に確立していきたいと考えております。既に当社グループでは平成29年3月末現在、太陽光発電設備約12.4メガワットを保有しておりますが、既に着工し今後完工予定の太陽光発電事業案件を合わせると、当社グループが自ら保有する太陽光発電所からの売電収益によって当事業の黒字化が実現可能となる見込みです。また、調査井の掘削が無事完了した地熱発電事業についても、再生可能エネルギー事業の新たな中核の一つとなる様、着実に取組んでまいります。

 

⑥ 電力取引関連事業における事業基盤の確立

電力取引関連事業は、電力小売全面自由化を契機に平成29年3月期より再生可能エネルギー関連事業から独立したセグメントにいたしました。ESG社と電力小売事業者向けのシステムの国内独占販売契約を締結し、同システムの日本仕様化及び販売を進めてまいりました。電力小売全面自由化から1年が経った現在、本格的なシステム導入や既に高圧で実績のある会社がシステムの入替等を検討する段階にあることは、当事業にとって顧客基盤を拡大する事業機会であると考えております。また、当社グループのディーリング事業において主たる取引の場である東京商品取引所では、今年度中に電力先物の上場を予定しており、電力の調達においてもディーリング事業で培ったノウハウが貢献し得るものと考えております。ESG社システムの日本版完成が当初計画より遅れたこと等で費用先行となり、電力取引関連事業としての黒字化が計画より遅れておりますが、前述の事業機会を確実にとらえ、早期黒字化と収益力の拡大を目指し、事業基盤の確立に努めてまいります。

 

⑦ コンプライアンスの徹底

上場企業としてグループ内に顧客資産の運用に携わる事業会社を擁する当社グループは、極めて公共性の高いビジネスの担い手であると強く認識しております。よって役職員一人一人に高いモラルが求められており、当社グループの全役職員に対して社内規程で法令等の遵守を求めると共に、誓約書を提出させております。コンプライアンスについては、継続的な啓蒙活動とチェックが必要であり、引き続きその徹底を図ってまいります。

 

⑧ 情報管理の徹底

当社グループでは、各事業会社で、商品先物市場及び金融商品市場等において、アセット・マネジメント事業とディーリング事業を行っております。両事業は以前よりオフィスを物理的に隔離し、ICカードキーにより入室者を限定する等、相互に立ち入りができないオフィス管理体制を取っておりましたが、より両事業における情報遮断等を徹底すべく、平成24年10月にはそれぞれの事業を別会社化いたしました。また、両事業の取引データを含む業務上の全てのデータにはアクセス権を設定し、サーバーも物理的に別々のものとする等、厳格なファイア・ウォール体制を築いております。しかしながら、上記コンプライアンスの徹底同様、このファイア・ウォール体制についても役職員の高い意識が重要であるとの認識のもと、今後も継続して役職員の啓蒙、意識の醸成に努めてまいります。

 

 

4 【事業等のリスク】

当社グループの事業の状況及び経理の状況等に関する事項のうち、リスク要因となる可能性があると考えられる主な事項及びその他投資者の判断に重要な影響を及ぼすと考えられる事項を記載しております。当社グループは、これらのリスク発生の可能性を認識した上で、発生の回避及び発生した場合の対応に努める所存ですが、当社の株式に関する投資判断は、本項及び本書中の本項以外の記載内容も併せて、慎重に検討した上で行われる必要があると考えております。

なお、文中における将来に関する事項は、本書提出日現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1) 当社グループの事業内容について

① 商品先物市場・金融市場等の動向について

当社グループの主たる事業であるアセット・マネジメント事業及びディーリング事業は、主に国内外の商品先物市場及び金融市場等を運用の対象市場としております。従って、当社グループの業績は市場動向の影響を排除できない面があり、世界的な政治、経済、社会情勢等の動きがこれらの市場に対して大きな影響を与えています。

当社グループのディーリング事業においては短期から中期的なトレーディング及び裁定取引戦略が主たる取引であることもあり、市場における上昇トレンド・下降トレンドそのものが事業収益に直接大きな影響を与えるわけではありません。一方、アセット・マネジメント事業においては市場連動型の金融商品の運用も行っていることから、市場環境悪化に伴う解約に加え、良好な市場環境においても利益確定の解約が発生することがあります。また、商品先物市場もしくは金融市場の値動きが極端に小さくなるような市場環境が継続した場合、当社グループと同様または優れた手法を駆使するディーリング事業を展開する新規参入者が増加した場合においては、ディーリング事業の収益が低迷する可能性があります。同様にアセット・マネジメント事業においても新規参入者の増加及び既存業者との競合が厳しくなる事態等の発生による受託競争が激化した場合には同事業の業績が悪化する可能性があります。この他、戦争、テロ、疫病、天災、大規模事故等の世界的事件・事故が発生し、商品先物市場または金融市場の閉鎖、取引中断、大幅な取引ルールの変更等の予期せぬ事態が発生した場合、当社グループの事業活動及び業績は大きな影響を受ける可能性があります。

② アセット・マネジメント事業における運用資産残高について

当社グループのアセット・マネジメント事業における収益は、その運用資産残高によって大きく変動します。当社グループでは、安定的な収益拡大のために新たな運用資産の獲得を目指し、運用収益率の向上、新規運用商品の開発及びマーケティングの強化を図っている他、我が国における国民の長期資産形成に資するため、積立型の投資信託の取組に力を入れております。しかしながら、市場環境や政治経済情勢の変化、運用成績の悪化、顧客等の投資方針の変更等により、短期間で運用資産残高が減少する可能性があります。また、投資信託等の資産運用ビジネスにおいては、良好な運用成績などを背景に基準価額が値上がりした際に、利益確定のための契約の解約を受けて、逆に運用資産が減少することもあります。

③ 優秀なファンドマネージャー、ディーラー等の確保について

当社グループは、アセット・マネジメント事業で顧客資産の運用を指示する者をポートフォリオマネージャーまたはファンドマネージャー(以下、総称して、「ファンドマネージャー等」という。)、その指示を受けて取引執行を行う者をトレーダー、そしてディーリング事業において、自己資産の運用を行う者をディーラー、ディーラー候補で育成過程の者をトレーニーと称しており、当社グループの収益はこれらのファンドマネージャー等及びディーラーの運用成績の影響を受けます。

当社グループのアセット・マネジメント事業では、運用業務の一部においてはファンドマネージャー等の固有の判断・手法に依存する割合が高いものもあり、当該運用業務を展開できる等の知見を有するキャリア豊富なファンドマネージャー等が退職した場合における運用業務への影響は大きく、運用業務の一部を取り止めなければならない可能性も含め、業務に大きな支障が出る可能性があります。このような事態を避けるため、個々のファンドマネージャー等のノウハウ等の共有を促進しておりますが、こうした対応が十分な状況に至る前に既存のファンドマネージャー等の退職という事態が発生した場合、当社グループの業績に悪影響を与える可能性があります。

ディーリング事業においても実績があり収益力が高いディーラーが退職した場合、また優秀なディーラーの確保が順調に進まなかった場合、当社グループの業績に悪影響を与える可能性があります。

 

④ 再生可能エネルギー関連事業について

当社グループのASTRA社では、平成24年8月1日開催の臨時株主総会において定款を一部変更し、農林水産物の生産並びに加工・販売に関する事業、再生可能エネルギー等を利用した発電及び電気の供給に関する事業を行うことを可能といたしました。平成24年7月1日より「再生可能エネルギー全量買取制度」が開始されたことに加え、電力不足対策や環境負荷低減などの社会貢献性の観点からも、本事業への参入は当社グループにとりまして非常に意義のあるものと考えております。

既に、当社ホームページ等で開示の通り、当社グループ開発案件としては、これまでに全国8箇所で太陽光発電設備が既に完成しております。また太陽光発電以外では主として地熱等を利用した発電事業等への取組も進めております。それぞれの案件の事業化に当たっては、関係者との連携を図りつつ、且つ厳格な調査に基づき事業化の是非を検討して進めております。しかしながら、本事業においては、ビジネスの進展が必ずしも予定通りに進まない事態が発生し得ること、想定しきれないコストが発生すること等により、事業採算が悪化するおそれがあります。特に地熱発電事業に関しては、事業化にむけて地表調査及び調査井の掘削が完了しましたが、平成30年3月期に予定している噴気試験において、想定した蒸気等が得られなかった場合は開発を断念せざるを得ず、その場合これまでにかけた費用の大半を失うというリスクが存在します。また、事業用地の取得を伴うケースがあることから、固定資産税その他諸費用の変動、不動産に係る欠陥・瑕疵の存在、災害等による不動産価値の毀損、所有権その他不動産の権利関係、有害物質の存在、環境汚染、不動産価値の急激な低下による減損等の新たなリスクを負うことになると共に、第三者に対し損害を及ぼし賠償責任を負うというリスクも存在します。こうした問題が発生した場合には、当社グループに対する信頼の失墜に繋がる可能性があります。その際には、当社グループの経営成績及び財務状態に悪影響を及ぼす可能性があります。

また、再生可能エネルギー関連事業においては、当社グループの自己資金に加えて銀行借入等を利用し、レバレッジをかけて投資を行うケースがあります。その際には当社グループが拠出した投資額を上回る規模の事業を行うこととなり、事業採算の僅かな悪化が、当社グループの損益に相対的に大きな影響を与えるおそれがあります。さらに、再生可能エネルギーについては、政府のエネルギー政策によっては諸規則等の改正またはその解釈や運用の変更が行われる可能性もあり、その内容によっては今後の業務展開や業績に悪影響を及ぼすおそれがあります。

⑤ 電力取引関連事業について

再生可能エネルギー関連事業の一環として、平成28年4月より自由化された日本の電力小売市場において電力小売事業を行う企業等をサポートするシステム及びサービスの提供に取り組むべく、アストマックス・エナジー・サービス株式会社を設立いたしましたが、事業計画通りに顧客を確保できない場合、または顧客となる電力小売事業者の取り扱う電力量が計画比下回った場合には、サポートシステム等先行投資した資産を減損処理する等のリスクが存在します。

 

(2) 当社グループを取り巻く法的規制等に関するリスクについて

① 企業買収後の法的規制等について

ASTAM社は、「投資信託及び投資法人に関する法律」に定める投資信託委託会社として公募・私募の投資信託の設定を行っていることから、金融商品取引法を始めとする各種法令及び所属する各種協会の自主規制ルール等を遵守し、投資信託等の運用及び管理を適切に行うことが求められるほか、「商品投資に係る事業の規制に関する法律」に定める商品投資顧問業者として、同法を始めとする各種法令等の遵守が求められます。また、金融商品取引法に定める金融商品取引業(投資運用業、投資助言・代理業及び第二種金融商品取引業)に加え、それらに付随する業務も営んでおり、これらの金融商品取引業務においても、同様に、金融商品取引法を始めとする各種法令及び金融商品取引法に定める各自主規制機関の自主規制ルール等に関する厳格な遵守体制が求められております。

一方、平成28年12月に新設したアストマックス・ファンド・マネジメント株式会社(以下、「AFM社」という。)及びASTRA社においては、金融商品取引法第63条に基づく「適格機関投資家等特例業務」の届出を行っておりますが、適格機関投資家等特例業務を行う業者に関する金融商品取引法の一部を改正する法律(「平成27年改正金商法」)が、平成28年3月1日に施行され、適格機関投資家等特例業務を行う業者の行為規制等が強化されました。

当社グループとしては、コンプライアンス態勢及び内部管理体制水準の確立・維持に努め、今後も更なる徹底を図るべく継続して取組んでまいりますが、監督当局等から行政上の指導あるいは処分を受けるというような事態が生じた場合には、その内容によっては通常の営業活動が制限され顧客ビジネスの展開に支障をきたす可能性もあります。また、投資信託の基準価額に大きな誤りがあった場合を始め、ASTAM社の事務ミス等の過失により投資信託または投資信託の投資者に損害が生じた場合等には、損害賠償責任を負う可能性があり、当社グループの業績に悪影響を及ぼすおそれがあります。

一方、ASTRA社等が営むディーリング事業は、商品先物取引法等の関係法令を中心に、国内外の主要取引所の諸規則の遵守を求められており、また再生可能エネルギー関連事業は、電気事業者による再生可能エネルギー電気の調達に関する特別措置法や電気事業法等の規制を受けることとなります。当社グループとしては、これら事業においても、法令遵守の下に事業を進めていく努力をしておりますが、万が一法令違反等が発生した場合には、監督当局等から行政上の指導あるいは処分を受けることがあり、また損害賠償責任を負う可能性もあります。そのような事態の発生は当社グループの業績に悪影響を及ぼすおそれがあります。

 

(3) 当社グループの事業体制について

① 持株会社化について

当社は、平成24年10月1日付で、株式移転によりASTRA社の完全親会社として設立され、即日、大阪証券取引所JASDAQ(スタンダード)(現東京証券取引所JASDAQ)に上場いたしました。当社は主に事業会社を通じて事業運営を行うと共に、事業会社の管理業務を受託することにより、事業会社からの業務委託料収入及び配当金収入を主な収益の源泉とする持株会社となりました。この結果、各事業の管理業務(リスク管理業務を除く。)は新設持株会社に集約され、当社グループ全体の管理業務の効率化及び管理コストの削減を図ると共に、各事業におけるファイア・ウォール(業務隔壁)の更なる徹底と各々の事業会社の迅速な意思決定を可能とする体制を構築いたしました。しかしながら、持株会社体制が十分に機能しない場合には、当社グループの事業展開、経営成績及び財政状況に悪影響を及ぼす可能性があります。

② 企業買収と統合について

当社グループは、平成24年8月1日付でマネックス・オルタナティブ・インベストメンツ株式会社(以下、「MAI社」という。)の発行済全株式を取得し、平成24年10月1日付で新設された当社の100%子会社化すると共に、ASTRA社のアセット・マネジメント事業を吸収分割によりMAI社に統合(同日付でアストマックス投資顧問株式会社(以下、「ASIM社」という。)に商号変更。)いたしました。その後、平成24年12月28日付で当社は、ITCインベストメント・パートナーズ株式会社(以下、「IIP社」という。)の発行済株式の99%を取得して子会社化し、平成25年4月1日付で、IIP社はASIM社を吸収合併により統合して、商号をアストマックス投信投資顧問株式会社に変更いたしました。ASTRA社の旧アセット・マネジメント事業と旧MAI社及び旧IIP社の事業は、運用戦略・商品設計、顧客層、及び運用商品の販売会社等がいずれも相互に補完できる関係となっており、事業基盤の拡充とビジネスシナジー効果の活用により、投資家の皆様の様々なニーズにお応えできる運用業務遂行体制を構築いたしました。しかしながら、今後、事業展開が計画通りに進まない場合には、MAI社株式の保有にかかる「のれん」の減損損失を計上することになるリスクがあり、当社グループの経営成績及び財務状態に悪影響を及ぼす可能性があります。

③ コンプライアンスの徹底について

当社は、上場企業として、当社グループ各社を含めたコンプライアンスの徹底を最重要課題の一つとして取り組んでおります。前述のとおり、当社グループが営む業務には、それぞれの営む事業毎に様々な法的規制や業界団体による自主規制ルールがあり、これらをグループ各社が企業として遵守することのみならず、役職員一人一人にモラルが求められていると考えております。当社グループでは、全役職員に対して社内規程で法令等の遵守を要求するとともに、毎年度、その旨誓約書を提出させており、加えて継続的な研修を含む啓蒙活動とチェックを実施することにより、その徹底を図っております。しかしながら、万一役職員による不祥事等が発生した場合は当社グループのイメージが失墜し、当社グループの事業活動及び業績に重大な影響を及ぼす可能性があります。

④ アセット・マネジメント事業に関する株主間・業務提携契約の解除に関して

当社は、平成28年8月8日の臨時取締役会において、Yahoo! JAPANとの間で、当社の子会社であるASTAM社に関する資本・業務提携を実施するべく、株主間契約及び業務提携契約を締結することを決議し、同日付けで締結いたしました。当社は、当社が保有する連結子会社であるASTAM株式を2段階(第1譲渡及び第2譲渡)に分けてYahoo! JAPANに譲渡することとなっております。第1譲渡においては平成28年6月30日現在の発行済株式総数の33.4%に相当する23,757株を譲渡すること、また、第2譲渡においては平成28年6月30日現在の発行済株式総数の50.1%に相当するASTAM社株式をYahoo! JAPANが保有することとなるよう、11,878株を下記発動条件付きで第1譲渡と同じ譲渡価格にてYahoo! JAPANが買い取ることができるコールオプションを付与することにつき、合意しています。

第2譲渡は、投資運用業の経営に実績のある当社が、一定期間、現経営体制を維持すると共に、既存顧客への様々なサービス等を継続して提供を続けることの重要性を充分に認識し、両社が協働して推進する事業の規模が、おおよそ現時点におけるASTAM社の既存事業規模に達することを発動条件として行使できるコールオプションが実行されることにより実現します。

平成28年10月3日に第1譲渡が完了し、両社は事業目標達成のために最大限の努力をいたしますが、両社が合意している事業計画におけるミニマム・ガイドラインを一定期間にわたりクリアできない状態が継続した場合においては、本株主間・業務提携契約を解除する可能性があります。

その際、当社は、当該契約解除時に算定する第三者評価による評価価格にてYahoo! JAPANからASTAMの株式を買取るオプションを保有しており、買取るオプションを行使するためには多額の現金が必要となります。

 

(4) その他

① 当社グループのコンピュータ・システムについて

当社グループのコンピュータ・システムは、主に以下の分野で使われており、業務上不可欠なインフラとなっております。

・運用プログラム
・投資信託の基準価額算出
・運用サポートシステム
・顧客別運用資産の管理、損益管理、リスク管理
・ディーリング業務における取引発注、ポジション管理、損益管理、資金管理、リスク管理
・経理業務、各種データの作成
・電力小売事業サポートシステム

現状、重要なデータについては外部のデータセンター利用を通じたバックアップ体制を確立するなど、業務上及びセキュリティー上必要とされる水準を備えていると考えておりますが、ハードウェア、ソフトウェアの不具合や人為的ミス、天災、停電、コンピュータウィルス、テロ等によりコンピュータ・システムに障害が発生する可能性はあります。システム障害のレベルによっては、当社グループの事業活動及び業績に重大な影響を及ぼす可能性があります。

 

② 訴訟の可能性について

当社グループが平成19年6月に旧三井物産フューチャーズ株式会社(当時)の全株式を取得して以来抱えていた6件の被告事案は全件和解が成立しております。しかしながら、旧三井物産フューチャーズ株式会社の顧客等から訴訟を提起される可能性は残されております。この他にも、「① 当社グループの事業内容について 4.再生可能エネルギー関連事業について」及び「② 当社グループを取り巻く法的規制等に関するリスクについて 1.企業買収後の法的規制等について」に記載された事項に係る訴訟の可能性があります。

 

これらのほかにも様々なリスクが存在しており、ここに記載されたリスクが当社グループの全てのリスクを表すものではありません。

 

 

5 【経営上の重要な契約等】

(1) 投資事業有限責任組合への出資の履行

当社の連結子会社であるASTRA社は、平成27年7月1日付でくまもとんソーラープロジェクト株式会社(以下、「本SPC」という。)に出資し、熊本県菊池市において太陽光発電事業の開発を行ってまいりましたが、平成28年7月11日付で完工し、同日付で売電を開始いたしました。

売電開始に際し、ASTRA社が本SPCとの間で締結していた匿名組合契約を平成28年6月30日付で解除し、ASTRA社が無限責任組合員として運営している九州再生可能エネルギー投資事業有限責任組合(以下、「本LPS」という。)から本SPCへの匿名組合出資に切替え、ASTRA社は本LPSへ出資を行いました。

なお、本LPSは平成28年3月31日に組成されたため、第1四半期連結会計期間より連結の範囲に含めております。

 

① 投資事業有限責任組合の概要

(1)名称      :九州再生可能エネルギー投資事業有限責任組合

(2)組成目的    :九州における地熱発電、温泉熱発電、太陽光発電の再生可能エネルギー事業に対する投資

(3)所在地     :東京都品川区東五反田二丁目10番2号

(4)組成日      :平成28年3月31日

(5)無限責任組合員:アストマックス・トレーディング株式会社

② 投資事業有限責任組合出資額及び投資事業有限責任組合出資割合

(1)出資総額    :678,000千円

(2)出資割合    :50.03%(うち、間接保有49.96%)

③ 日程

(1)ASTRA社取締役会決議日                               :平成28年6月20日

(2)当社取締役会決議日                 :平成28年6月22日

 

(2) ヤフー株式会社との資本・業務提携契約締結及び重要な子会社の株式の一部譲渡

当社は、平成28年8月8日開催の臨時取締役会において、下記のとおり、Yahoo! JAPANとの間で、当社の子会社であるASTAM社に関する本資本・業務提携契約を実施するべく、株主間契約及び業務提携契約(以下総称して、「本株主間・業務提携契約」という。)を締結することを決議し、同日付で締結いたしました。また、本資本・業務提携契約に従い、平成28年10月3日に当社の連結子会社であるASTAM社の株式を一部譲渡いたしました。

 

① 本資本・業務提携の旨及びその理由

当社の主要な事業の一つであるアセット・マネジメント事業を担うASTAM社は、平成25年3月期の投資運用会社2社の買収を経て、投資家の皆様の様々なニーズにお応えできる運用業務・管理業務の遂行及び管理体制の強化に努めてまいりました。その結果、運用資産残高は機関投資家ビジネスを中心に、平成26年3月末の1,341億円から平成28年6月末は3,448億円へと大幅に増加いたしました。

日本の個人金融資産約1,707兆円のうち、約半数以上の51.7% が現金・預金で占められており(※1)、米国と比較すると現金・預金の比率は依然として高い水準にあるといえます。将来の社会保障費等にかかる個人負担が増加していく可能性が高いことを考えますと、投資運用会社が個人の計画的な資産形成と経済的自立を側面的にサポートすることの社会的意義は、今後ますます高まってくるであろうと認識しております。

ASTAM社では既に昨年より個人投資家向け長期積立型投資信託事業を開始しておりますが、今般、当社はYahoo! JAPANと本株主間・業務提携契約を締結した上で、顧客のニーズを充分に踏まえ、個人投資家や投資未経験者を含む潜在投資家が抱える長期資産形成にかかる様々な課題をテクノロジーの力で解決してまいります。投資運用業にテクノロジーを駆使した高品質のサービスを提供することは、両社が協働することによってこそ初めて実現できる新たな投資運用業の姿の一つであると考え、事業を協働して展開するためであります。

 (※1)出典:日本銀行「資金循環統計」2015年6月29日

 

 

② 本資本・業務提携の内容
1. 資本提携の内容

当社は、当社が保有する連結子会社であるASTAM社株式を2段階(第1譲渡及び第2譲渡)に分けてYahoo! JAPANに譲渡いたします。第1譲渡においては平成28年6月30日現在の発行済株式総数の33.4%に相当する23,757株を譲渡すること、また、第2譲渡においては平成28年6月30日現在の発行済株式総数の50.1%に相当するASTAM社株式をYahoo! JAPANが保有することとなるよう、11,878株を下記発動条件付きで第1譲渡と同じ譲渡価額にてYahoo! JAPANが買い取ることができるコールオプションを付与することにつき合意しています。

第2譲渡は、投資運用業の経営に実績のある当社が、一定期間、現経営体制を維持すると共に、既存顧客への様々なサービス等を継続して提供を続けることの重要性を充分に認識し、両社が協働して推進する事業の規模が、おおよそ現時点におけるASTAM社の既存事業規模に達することを発動条件(一定条件、※2)として行使できるコールオプションが実行されることにより実現します。なお、一定条件が成就するまで本コールオプションはYahoo! JAPANが保持しますが、現時点において、第2譲渡にかかるコールオプションの行使時期は平成31年度または平成32年度を想定しています。

2. 業務提携の内容

当社とYahoo! JAPANは、Yahoo! JAPANが保有する様々なビッグデータ及びサービス・機能を活用し、ASTAM社が顧客ニーズに即した顧客本位かつ利便性の高い資産運用サービスを提供することによって、顧客の長期資産形成に寄与するとともに、確固たる投資家保護体制の構築を目指してまいります。また、両社は両社の強みを生かしそれぞれの役割と責任を果たしてまいります。新しい事業の進捗については今後適切に開示いたします。

なお、両社はASTAM社における既存事業基盤の維持と成長戦略の重要性を充分に認識し、新たな事業と既存事業の双方に対し、ASTAM社の経営資源を積極的に投入してまいります。

 

③ 契約の相手会社の名称及び事業内容

名称

ヤフー株式会社

事業内容

インターネット上の広告事業、イーコマース事業、
会員サービス事業、その他事業

 

 

④ 譲渡する子会社の名称及び事業内容

名称

アストマックス投信投資顧問株式会社

事業内容

金融商品取引業(第二種金融商品取引業、投資運用業、投資助言・代理業)、商品投資顧問業

 

 

⑤ 本資本・業務提携等の時期

取締役会決議日

平成28年8月8日

資本・業務提携契約締結日

平成28年8月8日

株式譲渡実行日(第1譲渡)

平成28年10月3日

 

 

 

⑥ 譲渡する株式の数、譲渡価額、譲渡損益及び譲渡後の持分比率等(第1譲渡)

譲渡する株式の数

23,757株

株式譲渡実行時の株式売却代金

合計 1,703,376千円

譲渡損益(個別)

平成29年3月期の当社個別財務諸表で、売却株式の簿価と売却価額との差額である約11億円を特別利益として処理する予定であります。

譲渡損益(連結)

「連結財務諸表に関する会計基準(企業会計基準第22号 平成25年9月13日)」に従い、「子会社株式の一部売却」の会計処理については、子会社株式の一部売却後も引き続き当社とASTAM社の支配関係が継続するため、売却持分と売却価額との間に生じた差額は資本剰余金として処理いたします。

譲渡後の持分比率

66.2%(直接保有)

その他

上記②(1)に記載しているとおり、両社が目指している一定条件(※2)に達した場合には、Yahoo! JAPANがコールオプションを行使することによって、第2譲渡が実行されることにつき、合意しておりますが、当社は、第1譲渡実行時に当該コールオプションに対応する義務として負債を約3億円計上いたします。当該負債を計上することにより、会計上の売却価額は株式売却代金から当該負債の額を控除した約14億円となります。また、 当該負債の額については、個別財務諸表ではコールオプションに対応する義務の履行時又は消滅時は利益として認識する予定です。一方、連結財務諸表ではコールオプションに対応する義務の履行時は利益、コールオプションに対応する義務の消滅時は資本剰余金として認識する予定です。

 

 

⑦ その他重要な特約等

第1譲渡後、両社は事業目標達成のために最大限の努力をいたしますが、両社が合意している事業計画におけるミニマム・ガイドラインを一定期間(※3)にわたり達成できない状態が継続した場合においては、本資本・業務提携契約を解除する可能性があります。その際、当社は当該契約解除時に算定する第三者評価による評価価格にてYahoo! JAPANからASTAM社の株式を買い取るオプションを保有しております。

 

なお、※2及び※3については、両社の合意により、非開示とさせていただきます。

 

6 【研究開発活動】

該当事項はありません。

 

 

7 【財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

 本文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社が判断したものであります。

(1) 重要な会計方針及び見積り

当社の連結財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。

当社の経営者は、連結財務諸表の作成に当たり、会計方針の採用や、資産・負債及び収益・費用の計上及び開示に関する見積りを必要とします。経営者はこれらの見積りについて、過去の実績等を勘案して合理的に判断しておりますが、実際の結果は、見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りと異なる場合があります。

 

(2) 経営成績の分析

当社グループの当連結会計年度の経営成績は、連結営業収益は前期比486百万円増加し3,522百万円に、また連結営業費用も前期比566百万円増加し3,313百万円となりました。この結果、連結経常利益は、前期比60百万円減少の100百万円、連結当期純利益は前期比96百万円減少の63百万円となり、前期比増収減益となりました。尚、このうち親会社株主に帰属する当期純利益は前期比157百万円減少し、2百万円となりました。

ASTAM社株式の一部売却は、当該子会社株式売却後も当社が支配権を有することから、連結財務諸表では売却益相当額が資本勘定に組み入れられる一方、当該子会社株式売却に関連する費用は当連結会計年度に費用として計上いたしました。また、太陽光発電事業のプロジェクトファイナンスとして調達している長期借入金の借り換えに伴う一時費用も計上し、これらの費用計上が連結営業費用増加の主な要因となっております。

なお、当社が最も重視している財務指標の1つである連結純資産額は、当該子会社株式の一部売却等により、前期比1,527百万円増加し5,987百万円となりました。また、現金及び預金は前期比1,629百万円増加し3,685百万円となりました。

 

当社グループは、当連結会計年度において2020年に向けた中期ビジョンを策定し、「持続的な企業価値の向上」と「外部環境に耐性のある安定的収益基盤の強化」を謳っております。

アセット・マネジメント事業においては、前年度比21.7%増と順調に営業収益を伸ばしており、既存の機関投資家向け事業に加え、対面型営業とファイナンシャル・テクノロジーを活用した個人投資家向け事業を展開し、国民の長期資産形成の担い手になるという中長期的目標に向って、着実にその歩みを進めております。

ディーリング事業は前年度比28.6%の大幅な減収となりましたが、本事業におきましては、電力OTC市場の発展と平成30年3月期中に予定されている電力先物の東京商品取引所への上場という事業機会を的確に捉え、電力先物取引の早期収益化を目指すとともに、ディーリング資金の効率的な活用と経費率の改善を図ることによって本事業の収益率を改善させてまいりたいと考えております。

再生可能エネルギー関連事業の営業収益は、出力規模約7.8メガワットの太陽光発電所が平成28年7月に売電を開始したことも寄与し20.7%の増収となりました。今後についても、建設中の太陽光発電所の稼働により本事業の事業採算性は更に改善され、長期に亘る安定的な収益事業になるものと考えております。また、地熱発電事業はその事業化と収益化にはまだ時間を要しますが、宮崎県で進めている案件の調査井の掘削が完了し、今後は噴気試験を開始するとともに当初計画を上回る規模の発電量の可能性に関する調査も併せて行う予定です。

当連結会計年度より独立したセグメントとした電力取引関連事業においては、当連結会計年度においても前期に続き費用が先行している状況になっております。本年度以降、積極的な事業展開が予想される米国電力小売り事業者の本邦進出を有望な事業機会として的確に捉え、電力小売事業者向けのサポートシステムの販売および業務代行における新規顧客確保に努め、早期黒字化を達成してまいりたいと考えております。

 

なお、当連結会計年度の経営成績と事業の種類別セグメント情報の詳細やその背景となる当社を取り巻く環境等につきましては、「第2 事業の状況 1 業績等の概要 (1)業績」をご参照ください。

 

 

(3) 経営成績に重要な影響を与える要因について

当社グループの経営成績に重要な影響を与える要因は、以下の事項であると考えております。

(アセット・マネジメント事業)

顧客層の拡充・事業基盤の拡大に努めてはおりますが、依然として、債券市場・外国為替市場・株式市場・商品市場等の動きによっては、投資家による利益確定または損失限定のための投資行動などにより解約が集中する可能性もあり、同事業の業績が影響を受ける可能性があります。また、個人投資家を対象とする長期資産形成の事業は、一定規模の事業規模を達成するためには、時間を要する事業と認識しております。

(ディーリング事業)

平成29年3月期においては、英国の国民投票、米国大統領選挙等の結果によって、一時的に商品価格の値動きが大きくなることはありましたが、東京商品取引所の取引は全般に保合相場に終始して、ディーリング事業にとって取引機会の少ない展開でした。今後も同取引所における出来高が大きく減少するなどの市場環境によっては、同事業の収益が大きく影響を受ける可能性があります。

(再生可能エネルギー関連事業)

引き続き積極的に経営資源を投入し、太陽光発電事業の更なる拡大と地熱発電事業等への取組みを継続しております。同事業は、市場の変動の影響を受けにくい安定収益源として営業収益への貢献が期待できる一方で、「事業等のリスク」に記載の通り、不測の事態が生じて、経営成績にマイナスの影響を与える可能性もあります。

(電力取引関連事業)

本事業は、平成28年4月より独立した事業セグメントとして取り扱うことといたしました。市場環境としては、本邦における電力契約の切替ニーズが当社グループの経営成績に影響を与えることとなります。一方、当社グループとしては、システムや業務代行サービスを利用していただく顧客の確保、及び顧客の取り扱う電力量が経営成績に影響を与えることとなります。

 

(4) 資本の財源及び資金の流動性についての分析

① 資産、負債及び純資産の状況

当連結会計年度における総資産は、太陽光発電事業の推進に伴い機械及び装置(純額)の増加(2,549百万円)及び当社が保有するASTAM社株式の一部(33.4%)をYahoo! Japanへ譲渡したことに伴い現金及び預金の増加(1,629百万円)等により、12,117百万円(前年同期比31.7%増)となりました。

負債は、太陽光発電事業の推進に伴い長期借入金の増加(608百万円)等により、6,130百万円(前年同期比29.2%増)となりました。

純資産は、前述におけるASTAM社株式の一部譲渡等に伴う資本剰余金の増加(943百万円)及び前述における本LPSへ外部からの出資を受けていることに伴い非支配株主持分の増加(637百万円)等により、5,987百万円(前年同期比34.2%増)となりました。

② キャッシュ・フローの状況

当連結会計年度における現金及び現金同等物は、3,685百万円(前年同期間比88.4%増)となりました。

営業活動によるキャッシュ・フローは、主として税金等調整前当期純利益(98百万円)、非資金項目である減価償却費(258百万円)、自己先物取引差金(借方)の減少(192百万円)等により、367百万円(前年同期は572百万円)となりました。

投資活動によるキャッシュ・フローは、主として太陽光発電事業に係る有形固定資産の取得による支出(△1,370百万円)等により、△1,247百万円(前年同期は△3,080百万円)となりました。

財務活動によるキャッシュ・フローは、主として連結の範囲の変更を伴わない子会社株式の売却による収入(1,703百万円)、非支配株主からの払込みによる収入(338百万円)等により、2,608百万円(前年同期は2,633百万円)となりました。 

 

ASTAM社株式の一部売却によって増加した手元流動性は、今後、電力取引関連事業のファイナンス資金需要、再生可能エネルギー関連事業への投資、アセット・マネジメント事業等における新規投資等に充当する予定ですが、再生可能エネルギー関連事業における主たる資金需要については、プロジェクトファイナンスによって投資資金を確保することを想定しております。なお、手元流動性を超える資金需要の増加が見込まれる場合におきましては、一層の資金効率化を図ることよるフリーキャッシュフローの創出と同時に銀行借り入れ等による財務活動を通じた資金調達も視野にいれております。

 

(5) 経営者の問題認識と今後の方針について

当社の経営陣は、現状の事業環境及び入手可能な情報に基づき最善の経営方針を立案するよう努めておりますが、当社を取り巻く経営環境は、依然として、内外の金融商品市場及び商品先物市場等の動向等の諸経済情勢により大きく影響を受けるものとなっております。このため、金融商品市場及び商品先物市場等に関する情報を幅広く入手し、市場動向に迅速に対応すべく努力する一方、前述のとおり、当社グループの事業について、市場動向の影響を受けにくい体質への改善を進めております。また、アセット・マネジメント事業におきましては、投資運用業者が求められる社会的役割を十分に認識し、今後一層、個人投資家向け長期資産形成事業への注力度を上げてまいります。上記のほか我が国の再生可能エネルギー等に対する政策の動向も踏まえつつ、業績と事業計画に大きな乖離が生じる可能性がある場合には、事業計画を抜本的に見直すことも含めて、環境変化への対応を適切に行ってまいります。