第2 【事業の状況】

 

1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1) 会社の経営の基本方針

当社グループは、「すべての人に働くよろこびを」の企業理念のもと、雇用の拡大により社会に貢献することを使命とし、「日本一親身な人材サービスカンパニー」をめざして求職者の方々に多様な就業の機会を提供していくことを経営の基本方針として、顧客の多様なニーズに対して的確な人材及び役務をタイムリーに提供するとともに求職者の方々に多様な就業の機会を提供することで、彼らが将来に亘って希望が持てる人生を送れるよう支援することを通して社会的貢献を果たしてまいります。また、当社グループは、人材サービス企業として、コンプライアンス及び経営管理体制の一層の強化を図るとともに、さらなる企業価値の向上に努めてまいります。

 

(2) 目標とする経営指標

当社グループは、グループ全体の資本コストを的確に把握するとともに、売上高、営業利益、親会社株主に帰属する当期純利益及び自己資本当期純利益率(ROE)を重要な経営指標としております。

 

(3) 中長期的な会社の経営戦略

当社グループは、地方自治体向け及び民間企業向けの企画提案型BPO案件を中心に業容を拡大するため、地方自治体を中心に新規取引先の拡大及び既存取引先である地方自治体での受注量のシェア拡大とBPO事業者等からの受注量拡大に注力してまいります。また、地方自治体の取引及びBPO事業者等からの受注量拡大に応じて支店、営業所、BPOセンターなどの拠点網の充実を機動的に実施するとともに要員の増強を図り、各拠点に必要な人材を適時配置して競争力強化を図ってまいります。製造系人材サービス事業においても拠点網の充実を図り、受注拡大を推進し、事務系人材サービス事業に次ぐ事業への成長を図ってまいります。

また、企業理念である「すべての人に働くよろこびを」に則り、雇用の拡大や様々な職種及び多様な時間帯での働く機会の提供を始めダイバーシティ&インクルージョンについて積極的に取り組む他、コーポレート・ガバナンスとリスク・レジリエンスの強化、気候変動などの環境問題に対する多角的な取り組みなどにより、当社グループの持続的成長と中長期的な企業価値の向上並びに企業としての社会的責任及び社会的貢献に努めてまいります。

 

(4) 経営環境

当連結会計年度における我が国経済は、新型コロナウイルス感染症の感染拡大状態が3度に亘りましたが、緊急事態宣言及びまん延防止等重点措置が発動されなかったことを背景に社会経済活動が回復してきた一方で、円安の進行や生活必需品の物価上昇の影響が顕在化し、国内景気は回復基調にあったものの、先行き不透明な状況でありました。また、世界経済は、経済活動が回復してきたものの、ロシアによるウクライナ侵攻などによる世界的な資源価格の高騰と供給面での制約及びそれらに端を発したインフレ懸念などから、世界経済は依然として不透明な状況でありました。

そのような状況下、我が国人材サービス業界を取り巻く環境は、個人消費の緩やかな回復及び企業収益が好調に推移したことを背景に企業の雇用拡大意欲が旺盛になってきたことなどから、有効求人倍率も上昇基調となりました。

このような経営環境の中、当社グループでは、事務系人材サービス事業では、地方自治体、BPO事業者等からの案件受注に取り組むとともに新規取引先開拓に努め、また、製造系人材サービス事業では、新規取引先開拓及び営業拠点間の連携強化による取引高の拡大に努めてまいりました。

 

(5) 優先的に対応すべき事業上及び財務上の課題

上記(1)会社の経営の基本方針及び(3)中長期的な会社の経営戦略を実行するうえで、当社グループは、引き続き、BPO関連事業を中心に案件の受注量拡大に注力するなど事業展開を積極的に推進し、当社グループの持続的な成長と中長期的な企業価値の向上を図るとともにSDGs他企業としての社会的責任を果たし、持続可能な社会実現に貢献するため、優先的に対応すべき事業上及び財務上の課題については以下のとおりであります。

 

 

① 「中期経営計画」の推進

当社グループでは、計画期間を3年間(2025年3月期から2027年3月期まで)とする中期経営計画を策定しており、事業環境に応じて重点課題を見定め、数値目標の達成に向けて事業活動に取り組んでいます。

1年目となる2025年3月期は、事務系人材サービス事業の主力であるBPO関連事業部門の地方自治体取引については、2024年3月期に引き続き、事業地域及び業務領域のダブル広域化などに積極的に取り組む他、製造系人材サービス事業では、食品加工部門、製造加工部門双方において、新規取引先開拓を積極的に取り組むなどにより業容の拡大を図り、2027年3月期の売上高60,543百万円達成の基盤を構築してまいります。また、利益面では、販売費及び一般管理費を始めとする経費の効率的運用を推進して、2027年3月期営業利益5,013百万円、営業利益率8.3%達成に向けて体質強化を推進してまいります。

 

2025年3月期

2026年3月期

2027年3月期

売上高

48,000百万円

52,648百万円

60,543百万円

営業利益

3,495百万円

3,928百万円

5,013百万円

営業利益率

7.3%

7.5%

8.3%

 

 

② 企業価値の向上と社会的貢献の推進

当社グループの企業理念である「すべての人に働くよろこびを」を実践することにより、様々な求職者及び就業スタッフのライフスタイルやキャリアプランにマッチした就業機会の提供や教育訓練の実施など親身な就業支援並びに顧客企業の業務効率化等を実現する企画提案型の業務処理請負及び人材派遣を引き続き積極的に推進してまいります。

また、社会環境の変化を先取りし、「事業の芽」を育成すべくトライ&エラーを繰り返してまいります。そのうえで様々な就業機会を創出して「すべての人に働く」機会を継続的に提供して当社グループの持続的な成長と中長期的な企業価値の向上並びに持続可能な社会を実現するための社会的責任を果たしてまいります。

 

③ BPO関連事業の全国展開

当社グループが主力事業とするBPO関連事業では、今後とも、官公庁特に地方自治体における公的業務の外部委託が進展していくことが予想されることから、当社グループの活動する地域、業務範囲は引き続き拡大していくものと考えています。当社グループはこれまで培ってきた効率的業務処理及びBPO業務の運用技術を活用するとともに、品質管理、リスク管理についてはプロアクティブな管理態勢を整備して引き続き受注拡大に注力してまいります。

また、BPO関連事業の拡大に伴い、事業地域が広がることにより、地域社会とのつながりを強固にするために事業展開地域の雇用創出を中心とした地域社会活性化への貢献に取り組んでまいります。

 

④ 経営基盤の強化、成長速度に適した人材確保及び情報システムの充実
a.人材の採用・育成と組織体制の充実

人材サービス事業を営む当社グループの一番の経営資源は“人”そのものであるとの認識と事業展開の多様化を推進し、社会環境の変化に先行した社内態勢を構築するためには、人材の採用と教育・育成が必要であることから、優秀な人材の採用並びに教育研修制度の充実による人材の育成に注力してまいります。

また、「働き方改革」を推進するために人事制度の一層の充実を図るとともに社員の自己啓発意欲醸成とその支援に取り組むことで社員の質的向上に努めてまいります。

また、外部環境、内部環境の変化に応じて組織を機動的に組成するなど、組織の隅々まで統制の取れた企業統治、経営管理を実現するため、当社グループの成長度合いに即した組織体制の充実を図ってまいります。

 

b.イノベーション・テクノロジーの開発

BPO関連事業を中心とした事業規模の拡大と多様化に伴い持続的な競争力の維持・向上のためには、堅牢性の高い情報セキュリティレベルを維持・向上と並行して請負案件などの業務処理にAIの活用などによるDX化を始めとするイノベーション・テクノロジーを積極的に業務に取り入れて活用していくことが重要であることから、新しい情報技術や案件運用手法などを今後とも積極的に取り入れることにより、顧客満足度の向上、就業スタッフ支援体制の充実並びに働き方改革に取り組んでまいります。

 

c.ダイバーシティ&インクルージョンの推進

当社グループは、多様な価値観を持つ人材が集い活躍することが当社グループの持続的な機動性と柔軟性、躍動感を併せ持つ企業文化を醸成すると考えており、女性・ハンディキャップをお持ちの方・外国籍の方がその個性と能力を十分に発揮し、活躍することを目指し、雇用を始め、配置・育成・教育訓練の機会均等、取締役への登用及び管理職比率の向上等を推進してまいります。

 

⑤ コンプライアンスの重視

人材サービス業は“人”を介して役務を提供するものであり、その運営には高い倫理性の保持とコンプライアンスの徹底が重要であります。

当社グループは事業規模が拡大していく中、労働基準法、職業安定法、労働者派遣法及び関連諸法令の遵守を始めとして、事業運営に関わる全ての法令・ルールを遵守することが、当社グループが果たすべき社会的責任の基本であると強く認識してまいります。

当社グループは、労働基準法等関係法令に則った社内諸規程及び業務マニュアルを整備し、当社代表取締役社長を委員長とするコンプライアンス委員会を毎月開催するなど、コンプライアンスの状況を監視する体制を整えて、コンプライアンスの徹底管理を推進しておりますが、今後ともコンプライアンス体制の実効性を確保するための適切な運営を継続してまいります。

 

<コンプライアンス体制図>

2024年6月26日現在


 

2 【サステナビリティに関する考え方及び取組】

当社は、企業理念である「すべての人に働くよろこびを」を追求するためには、ESGの観点から諸課題に対し取り組むことが重要であると考えています。雇用の拡大や様々な職種及び多様な時間帯での働く機会の提供をはじめ、ダイバーシティ&インクルージョンへの積極的な取り組み、コーポレート・ガバナンスとリスク・レジリエンスの強化、気候変動といった環境問題に対する多角的な取り組み等により当社の成長を実現して持続可能な社会実現への貢献を果たしてまいります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1) ガバナンス

当社グループは、企業理念のもと、雇用の拡大や様々な職種及び働く機会の提供等を通じて、持続可能な社会への貢献を果たしていくことが当社の重要な経営課題であると認識し、サステナビリティに関する諸課題に対し積極的に取り組んでおります。今後も事業活動を通じて、持続的な企業価値の向上を図るとともに、持続可能な社会の実現への貢献をめざすことを目的に、2024年4月1日よりサステナビリティ委員会を設置いたしました。

本委員会は、危機管理委員会との連携やサステナビリティ委員会事務局からの経過・成果報告を通じて、当社グループのサステナビリティ基本方針、戦略、活動計画の審議並びに執行側の活動の評価をするとともに、気候関連財務情報開示タスクフォース(以下、「TCFD」という。)の提言をまとめた最終報告書(以下、「TCFD提言」という。)への対応を含むサステナビリティに関する開示事項等について審議し、その結果を取締役会に報告並びに答申いたします。一方で、取締役会で承認された事項については、本委員会がサステナビリティ委員会事務局に指示、事務局から各業務執行部門に助言をすることで、グループ会社における実行へと繋げます。

なお、本委員会メンバーは、委員長を当社代表取締役社長とした、取締役営業本部長及び取締役管理本部長、監査等委員及び非常勤社外取締役で構成しており、気候変動を含むサステナビリティ基本方針や対応についての責任は代表取締役社長が担っています。

 

2024年6月26日現在


 

(2) 戦略

① サステナビリティ共通

当社は、サステナビリティ基本方針に5つの取り組みを掲げ、その取り組みに基づいて以下のように戦略を設定しています。

a.サステナビリティ基本方針の取り組み 企業理念である「すべての人に働くよろこびを」の実践については、当社を取り巻く環境の変化などの諸リスクを認識したうえでそれらのリスクに対処することで当社の基盤強化を図るべく4つの戦略を設定しています。

(a) 事業機会

社会環境の変化を先取りして「事業の芽」をトライ&エラーにより収益機会に育て、その実績を次のビジネスに繋げ、「面」で業容を拡大し、持続的な成長を実現する。

継続的なトライ&エラーの追求により、様々な事業機会の創出を実現して、「すべての人に働く」機会を継続的に提供していくことをめざす。

(b) 人材マネジメント

事業の多様化展開と社会環境の変化に先行した態勢構築を実現して、持続的な成長を確固とするために社員、スタッフ従業員のタレント開発と将来を担うべき人材の確保・育成及び自己実現を重視したエンゲージメント経営をめざす。

(c) お客さまに対する責任

お客さまからの持続的な絶対的信頼を頂きかつ強固にして「当社ファン」を増やし、営業基盤の盤石化を図るため品質、法令遵守のリスク管理についてプロアクティブでありかつ社会環境の変化、価値観の変化に合致して自己修正・発展する管理態勢を構築する。

(d) 地域社会

営業基盤を拡大し、強固にするために地域の雇用創出を中心とした地域社会活性化への貢献を積極的に展開する。

 

b.サステナビリティ基本方針の取り組み 「働き方改革」の推進については、少子高齢化、DX化などの社会的構造の変化に伴うリスクを認識したうえでこれらに対処することで新たな競争力の源泉を生み出すべく3つの戦略を設定しています。

(a) 社会リスク

少子高齢化社会に柔軟な動きを可能にするため、多様な勤務形態と年齢・ハンディキャップ・国籍等にとらわれない採用と教育訓練を積極的に推進する。

(b) テクノロジーリスク

持続的な競争力維持・向上のためにDX化を始めとするイノベーション・テクノロジー開発に取り組み、従業員の負荷軽減、業務処理の精緻化・効率化向上と堅牢性の高いセキュリティレベルを実現する。

(c) 労働環境

環境の変化に対応できる態勢を構築するために、多様化する従業員の価値観と従業員各人のライフステージの双方を重視したソーシャル・インクルージョンを実践できる体制を構築する。

 

c.サステナビリティ基本方針の取り組み ダイバーシティの推進については、当社に多様な価値観を持つ人材が集い活躍することが持続的な機動性と柔軟性、躍動感を持つ企業文化を醸成する重要な事項であると認識したうえで1つの戦略を設定しています。

(a) 人権

環境の変化に対応できる態勢を構築するために、女性・ハンディキャップをお持ちの方・外国籍の方の自己実現欲求に応えることを主眼としたダイバーシティ⇒インクルージョン⇒プロモートのプランを策定して具体化する。

 

d.サステナビリティ基本方針の取り組み コンプライアンス及び健全なガバナンス体制並びにリスク・レジリエンスの維持は、当社の持続的成長に必要不可欠な課題であると認識したうえでこれに対処することでより強靭な組織を構築するべく1つの戦略を設定しています。

(a) コーポレート・ガバナンス

社会環境の変化、価値観の変化に対して柔軟に対応するとともに強靭なリスク・レジリエンスを持つ法令等遵守、法精神尊重及びガバナンス体制を構築して維持する。

 

 

e.サステナビリティ基本方針の取り組み 気候変動などの環境問題への取り組みは、企業に求められる重要な社会的使命であるとともに将来の当社企業活動に多大な制約が課せられるというリスクを回避するものと認識し、1つの戦略を設置しております。

(a) 気候変動

気候変動などの環境問題に対して、自社への取り組みに止まらず、社外の取り組みに対しても積極的な支援と協力を行う。

なお、「TCFD提言」への対応は、後述「② 気候変動対応(TCFDに基づく気候関連財務情報開示)」のとおりである。

 

② 気候変動対応(TCFDに基づく気候関連財務情報開示)

TCFD提言の求めに従い、様々な気候関連シナリオを考慮したうえで、気候変動に関するリスク及び機会について、事業戦略や財務に及ぼす影響を把握し、以下のように戦略を設定しています。

 

a.シナリオ分析の前提条件

(a) 実施対象範囲


 

(b) 参照したシナリオ

設定シナリオ

4℃シナリオ

※気候変動により自然災害の甚大化と頻度が増加

1.5-2℃シナリオ

※急速に脱炭素社会が実現

現象

産業革命以前と比較して平均気温上昇が4℃程度。気候変動対策の政策・法規制及び脱炭素社会への移行が進まず、気候変動による物理的なリスクが顕在化。

産業革命以前と比較して平均気温上昇が1.5℃程度。気候変動対策の政策・法規制が大幅に強化され、この結果、脱炭素に向けて社会変容が発生する。災害等の物理的リスクは現状比不変。

参照

シナリオ

物理面

IPCC SSP5-8.5

IPCC SSP1-1.9

移行面

IEA WEO2023 STEPSシナリオ
(Stated Policies Scenario)

IEA WEO2023 APS シナリオ
(Announced Pledges Scenario)

IEA WEO2023 NZE シナリオ
(New Zero Emissions Scenario)

 

IEA(International Energy Agency):国際エネルギー機構

IPCC(Intergovernmental Panel on Climate Change):国連気候変動に関する政府間パネル

 

(c) 時間軸、影響度の評価基準

時間軸は、参照シナリオ及び日本の温室効果ガス排出削減目標の時間軸にあわせ、短期:5年以内、中期:5~10年以内、長期:10年以上に設定しました。影響度の評価基準は、当社グループのリスクマネジメント評価基準を基に、「財務」、「人命・安全」、「民事・刑事、行政処分」、「業務影響」、「環境」、「社会からの評判」などの観点からリスク影響度:1~4に、発生確率:1~5にレベル分けし、リスク影響度と発生確率を掛け合わせたものをリスクの大きさとして、「小」「中」「大」の3つで評価しています。

 

 

b.シナリオ分析のステップ


気候変動により想定されるリスクと機会を洗い出した後、対象事業と関係のあるシナリオを参照し、当社グループにとって重要度の高いリスクと機会を特定・評価しました。特定・評価したリスクと機会に対して、定性的な事業インパクト評価を行った結果、1.5-2℃シナリオでは移行リスクの影響が大きく、4℃シナリオでは物理的リスクの影響が大きいことが分かりました。

 

(a) 特定した気候関連のリスク・機会及びインパクトの定性評価

主には移行リスク:IEAのSTEPS、APS、NZE、物理的リスク:IPCCのSSP5-8.5、SSP1-1.9のシナリオを用いて、リスクと機会の特定と評価を行いました。これらのリスクが当社グループの事業に与えるインパクトを定性的に評価し、対応策の検討を行っています。特定したリスクの当社グループへの影響については、今後も対応策の検討を深めていくとともに、定量的な影響の評価も進めていく予定です。

なお、特定した気候関連のリスク・機会及びインパクトの定性評価の詳細につきましては、当社HPに掲載しているTCFDレポートをご参照ください。

<TCFDレポート>

https://ir.careerlink.co.jp/sustainability/index.html

 

(b) シナリオ分析結果を踏まえた対応策の検討

シナリオ分析結果を踏まえ、特に事業へのインパクトが大きいリスクについて以下のとおり対応策を検討してまいります。


 

 

(3) リスク管理

当社では、オペレーショナルリスク及びハザードリスクを中心とする諸リスクに対する管理態勢の強化を図るため、リスク管理PTにおいてリスク・シナリオ分析及びBCP(事業継続計画)の充実について立案及び検討し、その結果をリスク管理会議において審議を行っております。この審議及び検討内容については、当社代表取締役社長を委員長とし、取締役執行役員全員、同社内部監査室長及び同社監査等委員会が指名する監査等委員等で構成され、非常勤監査等委員全員がオブザーバー出席する危機管理委員会にて適宜報告と改めて審議を行うほか、重要施策の進捗管理を行っており、その内容を取締役会に報告し、方針等の重要事項については取締役会に諮り決定しております。

一方、2024年4月1日設置のサステナビリティ委員会では、当社グループの気候変動リスクを含むサステナビリティ関連リスク及び危機管理委員会での審議内容を参考に戦略リスク(中長期的重要リスク)への対応について、中長期的な視点で当社グループ事業への影響を審議し、その結果は、取締役会に報告されるとともに方針等の重要事項については取締役会に諮り決定しております。さらにサステナビリティ委員会で審議された内容については、適宜サステナビリティ委員会事務局を通じてリスク管理PT及び各業務執行部門に助言され、オペレーショナルリスク及びハザードリスクと戦略リスクへの対応について平仄を合致させています。

なお、気候変動においては、今後シナリオ分析を高度化し、インパクトを定量化していくことで、より精緻にリスクをモニタリングできる体制を構築していきます。

会議体

開催頻度

役割

危機管理委員会

毎月

・リスク情報の収集と分析

・リスクマネジメント全般の調整

・事業リスク関連事項の当社取締役会の報告

・その他、これらに付随する事項

リスク管理会議

毎月

・リスクアセスメントの実施

・全社重要リスクの特定及びその所管部門の任命、対策計画の承認

・全社重要リスクの対応状況の進捗確認・有効性評価・必要な是正指示

・部門重要リスクの対応状況の確認

・その他、これらに付随する事項

リスク管理PT
(リスク管理担当者会議)

毎月

・リスク管理会議及び危機管理委員会への上程内容に関する検討

・全社重要リスク対応計画及び進捗状況に関する情報共有

・部門重要リスク対応状況に関する情報共有

・リスクマネジメント対応に関する部門間調整・連携に関する検討

・その他、リスク管理会議等の指示への対応

 

 

(4) 指標と目標

① サステナビリティ共通

当社は、各戦略につきまして、以下のとおり目標を設定していますが、今後、具体的な指標を要すると考えられる項目については適宜、社内で検討して設定する予定です。

 

 

短期的(約1年後)

中期的(約3年~5年後)

長期的(約5年後以降)

事業機会

・未取引地方自治体取引営業開拓(目標取引地方自治体数161)

・BPO案件受注業務領域拡大

・中長期案件受注比率増加

・民間BPO案件受注拡大

・多様な新規ビジネスモデルの開発

・それに伴う新たな雇用機会の創造

・短期的市場変化、中長期的な社会構造の変化双方に柔軟に対応できるポートフォリオの構築

DX化、AIなどを活用した新規ビジネスモデルの開発

人材マネジメント

・各社員のタレント管理(As is-To beギャップ分析等)の充実

・ギャップ分析に基づいた社員リスキリング体系の構築

・システマテックな中核人材育成を主眼とした人事制度見直し

・新人事制度に対するトライ&エラーを経て柔軟な人事運用制度の確立

・高い社員中途入社比率を踏まえた多様な価値観を包摂するエンゲージメント確立

社員とのエンゲージメントをベースにしたスタッフとのエンゲージメント確立

お客さまに対する責任

品質管理・情報セキュリティ・法令等遵守について外部知見を活用した自主点検制度の確立

業務の多様化、新技術の導入等を踏まえ、リスク・シナリオ分析を行い、それに基づくプロアクティブなリスク抑制体制の構築

地域社会

地方における雇用機会拡大

キャリア・コンサルティングによる人材育成と雇用機会拡大

地域における気候変動、生物多様性損失の阻止に向けた取り組みへの参加

社会リスク

多様な勤務形態を組み合わせた高年齢層を主力としたオペレーションの開発及び定着

DX化、AIなどを活用した高年齢層を主力とした業務運営・少人数による業務運営を想定したオペレーションの開発及び定着

多様な勤務形態とDX化、AIなどを活用したハンディキャップをお持ちの就業者、外国籍の就業者の割合が高いオペレーションの開発

テクノロジーリスク

高い堅牢性を持つシステム体系の見直し及び社内業務のBPRの展開

・効率化と高品質の双方を追求したIT技術の導入の推進

・次世代基幹システムの「グランドデザイン」の検討

・次世代基幹システム(堅牢性・効率性・高品質)の基盤整備

・AI等を導入したイノベーション・テクノロジー開発の推進

労働環境

ILO国際労働基準を踏まえた就業規則等の改訂・整備

個人の価値観とライフワークバランスを尊重した人事制度設計と運用

当社グループに在籍される外国籍従業員に対する出身国事情を踏まえた諸制度整備

人権

・女性・ハンディキャップをお持ちの方・外国籍の方の雇用推進

・女性・ハンディキャップをお持ちの方・外国籍の方を含めた「キャリアパス」整備

・女性・ハンディキャップをお持ちの方・外国籍の方の人材開発教育プログラム開発

・組織運営や経営の意思決定への参画

・適材適所の人材登用実現

・定期的な「人権デューデリジェンス」実施による「態勢」維持

2025年3月期目標値
(当社グループ)
・女性の社員比率 35.7%
・ハンディキャップをお持ちの方の社員比率 2.6%
・外国籍社員比率 4.6%
・女性社員の全社横断重要プロジェクト参加人数(取締役、部長を除く。) 5名
・女性社員の外部研修派遣人数 22名
・女性・ハンディキャップをお持ちの方・外国籍の方の管理職比率 19.7%

コーポレート・ガバナンス

社員法務リテラシーの底上げを目的とした社員全員に対する法務研修の実施

各社員のステータスに合せた専門性を追求した職務別、職位別等カリキュラムによる法務研修の実施

プロアクティブに課題とリスクを認識し、予防的措置が実施できる「オーバーカム」企業体質の定着

気候変動

(後述「②気候変動対応(TCFDに基づく気候関連財務情報開示)」を除く。)

・紙使用量削減の計画的実施

(目標数値:2024年3月期比30%減)

・在宅勤務、時差出勤比率の向上

従業員の気候変動、環境問題へのリテラシー向上を目的としたボランティア活動を積極的に実施する人事制度の整備

 

 

② 気候変動対応(TCFDに基づく気候関連財務情報開示)

当社グループでは、Scope1,2を対象に、2030年度にCO2排出量を2023年度比29.6%削減、2050年にカーボンニュートラルをめざすことを目標としています。今後はScope3の算定と、CO2排出量削減に向けた具体的な道筋について検討し、対応策を講じていくことが重要であると認識しています。


 

(5) 人材の育成及び社内環境整備に関する方針、戦略、及び方針に関する指標の内容並びに当該指標を用いた目標及び実績、指標及び目標

① 人材の育成方針
a.社員の能力開発と次世代人材の育成

当社グループは、事業展開の多様化と社会環境の変化に先行した社内態勢を構築するために、社員の能力・スキル開発と次世代を担う人材の確保・育成につきまして、具体的に以下のとおり、取り組んでいます。

なお、当社においては、関連する指標データ管理とともに、具体的な取り組みが行われているものの、e-ラーニング及びキャリア・コンサルティングの実施、社員の執行役員会参加については、連結グループに属する全ての会社では行われてはいないため、連結グループにおける記載が困難であります。このため、当該指標に関する目標及び実績は、連結グループにおける主要な事業を営む提出会社の実績数値を記載しております。

(a)社員育成について、業務知識やマネジメント手法、リーダーシップの育成等を習得する研修を集合形式、e-ラーニング形式、外部研修形式で実施しています。さらに、キャリア・コンサルティングを活用し、社員のキャリア志向や適性の把握に努めるとともに、一人ひとりのレベルや課題に合わせた教育を実現するために育成体系の構築に着手しています。

 

指標及び目標

研修形式

2024年3月期実績

2025年3月期目標

プログラム数

延べ人数

プログラム数

延べ人数

集合研修

43件

(目標比 +33件)

2,293

(目標比 +1,893名)

34件

2,150

e-ラーニング

24件

(目標比 +9件)

12,827

(目標比 +2,327名)

35

13,380

外部研修

8件

(目標比 -5件)

38

(目標比 -262名)

16

70

 

 

 

2024年3月期実績

2025年3月期目標

キャリア・コンサルティング人数

57

(目標比 +7名)

62

 

 

(b)管理職社員に対して、所属組織運営への助言、指導及び全社的な課題認識を共有することなどを目的に執行役員会への参加を推奨しています。また、外部人材との交流を促進すべく、外部研修やセミナーへの参加を積極的に実施しています。

 

指標及び目標

 

2024年3月期実績

2025年3月期目標

社員の執行役員会参加人数

60

(目標比 -20名)

80

 

 

 

2024年3月期実績

2025年3月期目標

プログラム数

延べ人数

プログラム数

延べ人数

管理職の外部研修参加(女性管理職含む)

3件

(目標比 -2件)

※うち女性1件

7

(目標比 -73名)

※うち女性1名

9件

25

 

 

b.社員の自己啓発意欲の醸成と支援

当社は、社員の自己啓発意欲の醸成を図るため、具体的に以下のとおり、支援策を実施しています。

なお、当社においては、関連する指標データ管理とともに、具体的な取り組みが行われているものの、連結グループに属する全ての会社では行われてはいないため、連結グループにおける記載が困難であります。このため、次の指標に関する目標及び実績は、連結グループにおける主要な事業を営む提出会社の実績数値を記載しております。

(a)2,000以上の講座を有し、ビジネススキルを体系的に学べるオンライン学習サービスを導入しています。

2025年3月期は、「受講済延べ講座数」について目標を設定せず、「受講済延べ時間数」を目標とします。

(講座により2分~120分程度と時間差が大きく、受講済講座数による自己啓発意欲の把握は不確定要素が大きいため)

(b)50種類の資格を対象に受検料全額と対象資格の一部資格について資格取得に要する講座受講費用の50%を支援する制度を設けております。

2025年3月期は、対象資格を10種類追加し、合計60種類の資格を対象として支援範囲を拡大いたします。

 

指標及び目標

自己啓発支援策

2024年3月期実績

2025年3月期目標

オンライン学習

対象社員数

924

950

(目標比 -76名)

受講社員数

609

665

(目標比 -91名)

受講済延べ講座数

13,844講座

(目標比 +10,344講座)

受講済延べ時間数

5,931時間

6,000時間

(目標比 -14,069時間)

支援制度による資格取得者

25

30

(目標比 ±0名)

 

 

 

② 人材の多様性確保方針
a.女性・ハンディキャップをお持ちの方・外国籍人材の雇用推進

当社グループが、事業展開の多様化と社会環境の変化に対応して持続的成長を実現するためには、各社員それぞれの多様な考え、価値観及び経験を活用することが必要であると考えております。そのような考えのもと、2025年3月期は、女性社員比率35.7%以上、障がい者雇用率2.6%以上、外国籍社員比率4.6%以上を実現することを目標とします。

採用においては、スタッフからの登用も含めた多彩な採用方法により、ジェンダー、年齢、経験等多様な人材を確保しております。

 

指標及び目標

 

2024年3月期実績

2025年3月期目標

女性の社員比率(人数)

32.0

35.7

(目標比 -4.5%)

ハンディキャップをお持ちの方の社員比率

2.45

2.6

(目標比 -0.15%)

外国籍社員比率

4.4

4.6

(目標比 -0.8%)

 

 

b.女性・ハンディキャップをお持ちの方・外国籍人材の育成と積極的な組織運営、経営への参画推進

当社は、女性、ハンディキャップをお持ちの方、外国籍の方に対して、組織運営、経営への参画を促進するために、全社横断の重要プロジェクトについて特に若手女性社員を中心に積極的な参画を推奨するとともに、他社人材との交流を伴う外部研修に派遣することを実施しています。このような動きは、現在、女性社員を中心に取り組んでおりますが、今後は、ハンディキャップをお持ちの方、外国籍の方にもフォーカスを当てて取り組む予定です。

なお、当社においては、関連する指標データ管理とともに、具体的な取り組みが行われているものの、連結グループに属する全ての会社では行われてはいないため、連結グループにおける記載が困難であります。このため、次の指標に関する目標及び実績は、連結グループにおける主要な事業を営む提出会社の実績数値を記載しております。

 

指標及び目標

 

2024年3月期実績

2025年3月期目標

女性社員の全社横断重要プロジェクト参加人数(取締役、部長を除く。)

5

5

(目標比 ±0

名)

 

 

 

2024年3月期実績

2025年3月期目標

プログラム数

延べ人数

プログラム数

延べ人数

女性社員の外部研修参加(女性管理職含む)

4件

(目標比 -9件)

11

(目標比 -89名)

9件

22

 

 

c.女性・ハンディキャップをお持ちの方・外国籍人材の登用

当社グループは、全管理職に占める女性・ハンディキャップをお持ちの方・外国籍の方の管理職の比率を2025年3月期は19.7%以上に増加させるべく、今後、職務経験-自己啓発・外部研修派遣-サポート・フォロー体制から成る「人材開発プログラム」を構築して、社員の意識調査などを実施することを計画しています。

 

 

指標及び目標

 

2024年3月期実績

2025年3月期目標

女性・ハンディキャップをお持ちの方・外国籍の方の管理職比率

18.9

19.7

(目標比 -4.3

%)

 

 

③ 社内環境整備方針(働き方改革)
a.労働環境の整備

当社グループは、スタッフを含めた従業員が、心身ともに健康であることが持続的成長に必要であると考えており、今後とも以下の項目を中心に積極的に改善に取り組んでまいります。

 

指標及び目標

 

2024年3月期実績

2025年3月期目標

健康診断受診率

86.2

100.0

(目標比 -13.8

%)

ストレスチェック受診率

67.3

85.0

(目標比 -17.7

%)

内、高ストレス者比率

12.4

12.4

(目標比 -1.1

%)

 

 

 

3 【事業等のリスク】

当社グループの事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。なお、文中における将来に関する事項は、本書提出日現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1) 法的規制について

当社グループは、企業としての社会的責任を遂行するため、労働基準法、職業安定法、労働者派遣法及び関連諸法令に則った社内諸規程及び業務マニュアルを整備するとともに、担当部署で関係法令の改正情報の早期入手及び対策を講じ、当社代表取締役社長を委員長とするコンプライアンス委員会を毎月1回開催するなどコンプライアンスの状況を監視する体制を整え、コンプライアンスの徹底を図っております。今後とも、コンプライアンス体制の実効性を確保するための適切な運営を継続してまいりますが、社員並びに外部委託先等による重大な過失、不正、違法行為等が生じ、当社グループが行政指導・改善命令を受けた場合、又は、訴訟や損害賠償等に至った場合には、当社グループの事業活動及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

また、当社グループに関連する主要な法的規制である労働基準法、職業安定法、労働者派遣法及び関連諸法令については、労働市場を取り巻く状況の変化や政策等に応じて改正が適宜行われておりますが、改正内容によっては、当社グループの事業活動及び経営成績に影響が及ぶ可能性があります。

 

① 人材派遣

人材派遣は、労働者派遣法に基づき厚生労働大臣の「一般労働者派遣事業許可」を受けて行っており、許可の有効期間は5年であります。

労働者派遣事業の適正な運営を確保するために「許可の取消し等」を定めている労働者派遣法第14条において、派遣元事業主(派遣事業を行う者、法人である場合にはその役員を含む。)が同条第1項のいずれかに該当するときは、許可の取消しができる旨を定めております。

現時点において、当社グループが上記の取消し事由に抵触することはありませんが、今後何らかの理由で許可が取り消された場合、当社グループの事業活動が制限され、経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。

 

② 請負

昭和61年労働省告示第37号により、請負と派遣の区分基準が示されており、請負を行うにはこの基準に準拠する必要があります。

当社グループは、労働省告示第37号の遵守を徹底しておりますが、当社グループが請負で受託した取引が、万一、各都道府県労働局により、実質的には人材派遣であると認定された場合には、「偽装請負」と見做され、それにより、業務停止等の処分を受けた場合には、当社グループの経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。

 

③ 人材紹介

人材紹介は、職業安定法に基づく厚生労働大臣の「有料職業紹介事業許可」を受けて行っており、許可の有効期間は5年であります。

職業紹介事業等が労働力の需要供給の適正かつ円滑な調整に果たすべき役割に鑑み、その適正な運営を確保するために「許可の取消し等」を定めている職業安定法第32条の9において、有料職業紹介事業者が同条の9第1項のいずれかに該当するときは、許可の取消しができる旨を定めております。

現時点において、当社グループが上記の取消し事由に抵触することはありませんが、今後何らかの理由で許可が取り消された場合、当社グループの事業活動が制限され、経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。

 

④ 紹介予定派遣

紹介予定派遣は、上記①人材派遣及び③人材紹介の事業展開と重なるため、「一般労働者派遣事業許可」及び「有料職業紹介事業許可」を受けて行っております。

従って、紹介予定派遣を事業展開するに当たってのリスクは上記①及び③それぞれの記載内容を合わせたものであり、現時点においては、当社グループが両事業許可取消事由に抵触することはありませんが、今後何らかの理由で許可が取り消された場合、当社グループの事業活動が制限され、経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。

 

(2) 特定の事業部門への依存について

2024年3月期において、当社グループ全売上高に対する事務系人材サービス事業 BPO関連事業部門の売上高構成比は61.7%に達しており、また、この中でも官公庁特に地方自治体との請負取引の比率が高い状況にあります。今後のBPO関連事業部門を取り巻く環境等が変化して、官公庁特に地方自治体との請負取引の売上高が急激に減少した場合には、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。当社グループでは、官公庁特に地方自治体との請負取引について、過度に依存することがないようにBPO関連事業部門では民間企業との請負取引やCRM関連事業部門、一般事務事業部門の特に派遣業務への取り組みを強化するとともに成長が期待できる製造系人材サービス事業の基盤拡大と盤石化を図ってまいります。

 

(3) 登録スタッフ及び就業スタッフの確保について

登録スタッフ募集については、インターネットや新聞、雑誌の広告等により常時実施しております。

事業展開するうえで、登録スタッフ及び就業スタッフの確保が重要な課題の一つであることから、未就業の登録スタッフに対して、定期的に連絡を取ることでコミュニケーションの緊密化を図り、登録スタッフ本人の希望に合った就業機会を提供する施策を実施しております。

また、就業スタッフに対しては、教育・研修等の支援、社員への登用制度を設けるなど、就業スタッフのスキル向上の施策を実施しております。しかしながら、雇用情勢や労働需要の変化により、人材の確保が当社グループの意図したとおりに進まなかった場合や顧客の要望に対して十分な人材の確保ができなかった場合には、当社グループの事業活動及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(4) イノベーション・テクノロジーへの対応について

当社グループ事業である人材サービス事業では、派遣、請負、人材紹介、紹介予定派遣全ての事業においてIT技術を始めとするイノベーション・テクノロジーの活用は必要不可欠であります。当社グループでは、専門性を持つ人材の確保及び外部知見の導入や利用によりイノベーション・テクノロジーへの対応について体制を構築しておりますが、官公庁特に地方自治体とのBPO関連事業の比率が高い状況にあることから、主力事業であるBPO関連事業部門においてイノベーション・テクノロジーの導入が遅延する若しくは導入すべきイノベーション・テクノロジーの選択を誤る等適切に対応できない場合には、競争力の低下を招き、売上高が減少し財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(5) 人口構造の変化について

我が国では、少子高齢化が急激に進んでいることから、今後、労働人口の減少がさらに進む可能性が高いと考えられます。労働人口減少が進む状況下、当社グループでは、従来から女性、高年齢層、ハンディキャップをお持ちの方、外国籍の方に向けて多様な勤務形態を整備するなどして就業機会の提供を積極的に取り組んでおり、高年齢層、ハンディキャップをお持ちの方、外国籍の方を中心とした業務運営、さらに少人数による業務運営を想定したオペレーションの開発についてDX化を軸に取り組んでおりますが、当社グループが人口構造の変化に対して、適切に対応できない場合には、労働人口、労働市場の縮小に伴い、当社グループの事業活動及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(6) 合併、買収などの企業買収(M&A)について

当社グループは、今後とも、事業を拡大させる手段として、関連事業を営む企業の買収等を行う可能性があります。買収等を行う場合には、対象となる企業の財務内容や事業推進状況等について問題がないか、細心の注意を払いデューデリジェンスを厳密に実施することにより、事前のリスク回避に努めてまいります。

しかしながら、国内外の経済環境の変化等から、当社グループが買収を行った企業の経営、事業、資産に対して十分なコントロールができない場合や買収した企業の人材や顧客が流出した場合には、当社グループが期待した買収効果を得られない可能性があります。すなわち、当初の期待どおりに事業を展開できない場合には、当社グループは投資額を十分に回収できない恐れがあり、当社グループの事業活動及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(7) 競争の激化について

当社グループが属する人材サービス業界は、多くの競合会社が存在しております。当社グループは、BPO関連事業を始め様々な受注案件で培ってきた豊富なノウハウを基に、顧客に対して業務効率化や合理化を企画提案し、実施運用する人材サービスの提供を推進するなど、競合先との差別化を図っておりますが、競争がさらに激化した場合やDX化やAIの発展により省人化が進み、異業種からの参入が活発となり、当社グループがこのような変化に適時適切に対応できない場合には、当社グループの事業活動及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(8) 自然災害・疫病並びにシステム障害について

① 自然災害等について

当社グループでは、営業活動を行っている地域において、大規模な地震、台風などの自然災害が発生した場合に備え、BCP(事業継続計画)マニュアルを整備し、安否確認システムを導入するなどBCP対策を講じ、派遣スタッフを含めた緊急連絡網を活用した安否確認訓練・防災訓練を定期的に実施しておりますが、想定した以上の大地震等の災害、疾病等が発生し、情報システムにかかるサーバー等が停止した場合には、当社グループの業務遂行に支障を来たし、当社グループの事業活動及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

② システム障害について

当社グループは、事業活動をコンピューターシステムに大きく依存しており、情報システム内に社員及び登録スタッフ・就業スタッフの個人情報並びに顧客企業等に関する基本情報等を大量に保管しております。これらは顧客企業等のニ―ズに対し最適な登録スタッフを選択し、マッチングさせることを可能としております。また、当社グループは、社員及び就業スタッフの勤怠情報や労働債務、給与の支払、顧客企業等に対する売上高の請求、与信管理等も当該システムによって処理していることから、大規模なシステム障害が発生した場合には、業務処理及び事業活動に支障が生じることが予想されます。

そのため、当社グループでは、情報システム管理規程を定め、基幹システムの情報保管・管理は専門企業が運営するデータセンターに委託し、より安全な情報管理に努めております。また、システム開発並びにシステム改修時には慎重かつ綿密なテストを実施するなど、可能な限りの多面的な安全対策を取っております。

 

③ 情報システムのセキュリティについて

当社グループは、業務上、多くの個人情報並びに機密情報を取り扱っております。そのため、情報セキュリティに関しては、その重要性及びリスクを十分に認識し、情報セキュリティ規程を整備するとともに、2010年4月にISO/IEC27001(注)の認証を取得して、社員の教育やセキュリティ管理を組織的かつ継続的に行っております。しかしながら、不測の事態により情報セキュリティ事故が発生した場合には、当社グループの信用が失墜し、企業イメージの低下を招くなど、当社グループの事業活動及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

(注)ISO/IEC27001とは、情報セキュリティマネジメントシステム(Information Security Management System)の規格のことであり、情報セキュリティマネジメントシステムとは、組織が情報管理の有効性を維持するための体制のことで、情報の保管方法やマルウェア対策、メール使用のガイドライン、障害発生時の行動計画などの要素から構成されております。

 

(9) 個人情報の取り扱いについて

当社グループは、登録スタッフ、就業スタッフ、職業紹介希望者及び社員並びに顧客情報等に関する多くの個人情報を取り扱っており、2005年4月に施行された個人情報保護法が定める個人情報取扱事業者に該当し、個人情報保護法の適用を受けております。また、マイナンバー法(番号法)施行に伴い個人情報保護法が改正されており、より厳格な管理・運用が求められております。

当社グループは、プライバシーマーク認証を取得し、個人情報保護マニュアル、個人情報保護要領書、PMS関連法規制管理規程等を整備しており、また、マイナンバー法に基づく特定個人情報等取扱規程を整備して、その遵守徹底や定期的に開催する社員教育等を通して個人情報の厳正な管理を行っております。しかしながら、このような取り組みにもかかわらず、マイナンバーを含む個人情報の漏洩や不正使用等の事態が発生した場合には、社会的信用の失墜や企業イメージの悪化、また、損害賠償請求の発生等により、当社グループの事業活動及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(10)機密情報の取り扱いについて

当社グループは、顧客の機密性の高い情報を取り扱っているため、2010年1月に情報セキュリティ体制を構築するための基本方針としてISMS基本方針を定め、情報セキュリティマネジメントシステムを導入し、その維持に努めております。しかしながら、万一、取引先企業等の重要な機密情報の漏洩が当社の責任で発生した場合には、社会的信用の失墜、企業イメージの低下、また、損害賠償請求の発生等により、当社グループの事業活動及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(11)人材の確保について

当社グループは、より高い付加価値を実現できる人材を提供する人材サービス企業になるために、年間を通して優秀な人材の採用及び人材の育成に努めておりますが、今後、必要とする優秀な人材を適時に採用できなかった場合や当社グループ内の有能な中核的人材が流出した場合には、今後の事業拡大に支障を来たすことが考えられ、当社グループの事業活動及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

4 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1) 経営成績等の状況の概要

① 経営成績の状況

当連結会計年度における我が国経済は、2023年5月に新型コロナウイルス感染症の感染症法上の分類が5類に移行されたことに伴い、社会経済活動の正常化が大幅に進み、また長らく続いてきたデフレーションから脱却しつつある一方で、物価上昇率の鈍化傾向は見られるものの引き続き名目可処分所得の伸び率を上回っている状況に加え、企業倒産件数の増加傾向が続いているなど先行きが不透明な状況でありました。

また、世界経済については、アメリカ経済は堅調に推移した一方でロシア・ウクライナ戦争の長期化、欧州経済の低迷、さらには、中東情勢の緊迫、中国経済の減速が懸念されるなど世界経済は依然として不透明な状況でありました。

そのような状況下、我が国人材サービス業界を取り巻く環境は、社会経済活動の正常化や政府の総合経済対策の進捗により、賃上げを始めとする所得改善や企業の有形固定資産投資のみならず人的投資等幅広い分野での投資も増加していることを背景に企業の雇用拡大意欲も旺盛であったことなどから、有効求人倍率は堅調に推移いたしました。

このような経営環境の中、当社グループは、引き続き、主力であるBPO関連事業を中心に各事業を積極的に推進してまいりました。

当連結会計年度におきましては、BPO関連事業について、マイナンバー交付施策案件や給付金支給案件等の総合経済対策関連案件の他、首都圏、京阪神、東北、九州地方を中心に未取引地方自治体との取引開拓と地方自治体BPO業務の領域拡大について積極的に取り組んでまいりました。しかし、期初に受注を見込んでいたマイナンバー交付施策案件について案件発注規模が想定を下回ったこと、一部の地方自治体BPO請負案件において「一般競争入札」(価格競争方式)が採用されたことにより、受注を想定していた案件を落札できなかったことなどから、期初に想定していた受注高を達成できませんでした。一方、製造系人材サービス事業においては、社会経済活動正常化や所得改善などに因る個人消費の回復と企業の旺盛な設備投資を背景に食品加工部門を中心に受注高が好調に推移しました。

これらの結果、BPO関連事業において、前期に受注した大型案件が規模縮小や終了したことに加え、期初に想定していた地方自治体からの受注高が実現できなかったものの製造系人材サービス事業においては、特に食品加工部門における受注高が好調であったことなどから、当連結会計年度の売上高は、前期比8,745,651千円減(16.6%減)の43,791,209千円となりました。

また、利益面では、BPO関連事業において、前期に受注した大型案件が規模縮小や終了したことによる売上高減少に加え、「一般競争入札」(価格競争方式)などで受注した案件の収益率が想定を下回ったことの他、競争力強化を図るために業務構築、情報システムなどの分野で高い専門性を持つ人材を積極的に採用した一方で、BPO請負案件における業務処理運用面での効率化並びにスタッフ登録者募集費や業務委託費等経費の節減に努めたことなどから、当連結会計年度の営業利益は、前期比4,329,943千円減(56.9%減)の3,279,461千円、経常利益は、前期比4,364,799千円減(57.1%減)の3,280,944千円、親会社株主に帰属する当期純利益は、前期比3,510,651千円減(61.5%減)の2,201,313千円となりました。

なお、従来、事務系人材サービス事業・製造系人材サービス事業・営業系人材サービス事業・その他で開示していましたセグメント情報につきましては、当連結会計年度期首より、営業系人材サービス事業を事務系人材サービス事業のBPO関連事業部門に統合することといたしましたので、事務系人材サービス事業・製造系人材サービス事業・その他で開示しております。この変更に伴い、前連結会計年度の数値を変更後の区分に組み替えた数値で記載・比較しております。

(事務系人材サービス事業)

当事業のうち、BPO関連事業部門では、未取引地方自治体との取引開拓と地方自治体BPO業務の領域拡大について積極的に取り組みましたものの、従来から取り組んでおりますマイナンバー交付施策案件については、受注は、前期比堅調に推移したものの案件の発注規模が期初想定を大きく下回りました。また、期初に受注を見込んでいました地方自治体BPO請負案件の一部において、想定していた「プロポーザル競争入札」(企画競争方式)ではなく、「一般競争入札」(価格競争方式)が採用されたことに因り、想定した案件受注が実現できなかったことや落札した案件の受注価格の低廉化傾向が見られたことなどにより、前期に受注した大型案件の規模縮小や終了を見越して期初に想定した受注高を達成することができませんでした。CRM関連事業部門は、首都圏における大型新規案件が受注できたことや仙台、福岡などにおいて既存取引先からの受注が堅調に推移した他、金融機関からの受注も堅調に推移したものの、前期に大手BPO事業者等から受注した案件について規模縮小や終了したことに対して挽回できず、期初に想定していた受注高を達成することができませんでした。一般事務事業部門は、地方自治体からの新規マイナンバー関連案件や独立行政法人などの新規取引開始及び地方支店において大手BPO事業者などからの受注が堅調に推移しましたが、地方自治体及び金融機関向け既存派遣案件が規模縮小や終了したことなどから、当連結会計年度における当事業の売上高は、前期比10,077,056千円減(21.6%減)の36,682,526千円となりました。また、利益面では、BPO関連事業において想定していた受注高が達成できなかったことや受注したBPO請負案件の収益率が想定を下回ったことに加え、今後の業務多様化やBPO関連事業の地方展開に対応する他、「一般競争入札」(価格競争方式)案件への競争力強化並びに体制強化を図るために人材の採用などを実施したことなどから、営業利益は、前期比4,398,878千円減(59.6%減)の2,980,637千円となりました。

 

a.BPO関連事業部門

当事業部門は、地方自治体からのマイナンバー交付施策案件や給付金支給関連案件を始め、大手BPO事業者から中央官庁などを事業主とする大型案件を受注したことや未取引地方自治体との取引開拓と地方自治体BPO業務の領域拡大についても積極的に取り組んだ結果、新たに46地方自治体との取引が始まり、既存取引先の地方自治体と合わせて158の地方自治体との取引まで拡大した他、総務関連業務などへの業務領域拡大が実現したものの、前期に受注した大型案件の規模縮小や終了、地方自治体BPO請負案件の一部において、「一般競争入札」(価格競争方式)が採用されたことに伴う失注や落札した案件の受注価格の低廉化などから、当連結会計年度における当事業部門の売上高は、前期比9,802,738千円減(26.6%減)の27,009,150千円となりました。

 

b.CRM関連事業部門

当事業部門は、首都圏と関西圏において既存取引先から大型コールセンター業務派遣案件を受注した他、首都圏では、大手BPO事業者から大型公共関連業務派遣案件が受注できたことや金融機関からの受注が堅調に推移したこと及び札幌、仙台、福岡各地方支店においてインターネット関連サービス企業などからの金融関連案件などの案件受注が堅調に推移したものの前期に大手BPO事業者等から受注した案件が規模縮小や終了したことなどから、当連結会計年度における当事業部門の売上高は、前期比185,777千円減(4.2%減)の4,271,374千円となりました。

 

c. 一般事務事業部門

当事業部門は、首都圏では地方自治体からの新規マイナンバー関連案件や独立行政法人などの新規取引開拓及び地方支店において大手BPO事業者などからの官公庁案件受注などにより受注が堅調に推移したものの前期に受注した地方自治体等官公庁からのスポット案件や金融機関からの既存案件について規模縮小や終了したことなどにより、当連結会計年度における当事業部門の売上高は、前期比88,539千円減(1.6%減)の5,402,001千円となりました。

 

(製造系人材サービス事業)

当事業は、食品加工部門において食肉加工、水産加工、菓子製造、総菜製造などの業種を中心に既存取引先からの受注量が好調に推移したことに加え、製造加工部門については、住宅設備製造、機械製造などの業種で受注量が増加したことなどから、当連結会計年度における当事業の売上高は、前期比1,335,459千円増(24.4%増)の6,818,635千円となりました。また、利益面では、今後の基盤増強を図るため、人材の採用などを積極的に行いましたが、経費の効率的運用に努めたことから、営業利益は前期比52,552千円増(26.0%増)の254,769千円となりました。

 

(その他)

当事業は、株式会社ジャパン・ビジネス・サービスの子会社である東京自動車管理株式会社における「自動車管理事業」であり、従業員の退職などの影響により、当連結会計年度における当事業の売上高は、前期比4,054千円減(1.4%減)の290,048千円となりました。利益面では、人件費の削減と経費の効率的運用に努めたことから、営業利益は、前期比16,381千円増(59.2%増)の44,055千円となりました。

 

② 財政状態の分析

(資産の部)

当連結会計年度末における資産合計は21,209,946千円となり、前連結会計年度末に比べ599,743千円の減少となりました。その主な要因は、現金及び預金が4,830,574千円、前払費用を含むその他が339,574千円それぞれ増加したものの、受取手形、売掛金及び契約資産が6,048,298千円減少したことによるものであります。

 

(負債の部)

当連結会計年度末における負債合計は6,734,193千円となり、前連結会計年度末に比べ1,548,818千円の減少となりました。その主な要因は、預り金が1,007,222千円増加したものの、未払法人税等が1,280,814千円、未払金が717,956千円、未払消費税等が468,633千円それぞれ減少したことによるものであります。

 

(純資産の部)

当連結会計年度末における純資産合計は14,475,753千円となり、前連結会計年度末に比べ949,075千円の増加となりました。その主な要因は、利益剰余金が896,504千円(親会社株主に帰属する当期純利益により2,201,313千円増加し、配当金の支払により1,304,809千円減少)増加したことによるものであります。

 

③ キャッシュ・フローの状況

当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下、「資金」という。)の残高は、前連結会計年度末に比べ4,830,574千円増加して9,928,521千円となりました。当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は、以下のとおりであります。

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

営業活動の結果、獲得した資金は6,765,882千円(前年同期は1,209,361千円の使用)となりました。

その主な要因は、法人税等の支払で2,292,471千円減となったものの、売上債権及び契約資産の減少で6,048,298千円、税金等調整前当期純利益が3,280,944千円それぞれ増加となったことによるものであります。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

投資活動の結果、使用した資金は614,741千円(前年同期は319,318千円の使用)となりました。

その主な要因は、有形固定資産及び無形固定資産の取得による支出が511,088千円、投資有価証券の取得による支出が102,975千円あったことによるものであります。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

財務活動の結果、使用した資金は1,320,566千円(前年同期は405,000千円の使用)となりました。

その主な要因は、長期借入れによる収入が300,000千円あったものの、配当金の支払が1,303,440千円、長期借入金の返済による支出が286,704千円あったことによるものであります。

 

 

④ 生産、受注及び販売の実績

a.生産実績

当社グループは、事務系人材サービス事業及び製造系人材サービス事業を営んでおり、提供するサービスの関係上、生産実績の記載に馴染まないため記載しておりません。

b.受注実績

当社グループは、事務系人材サービス事業及び製造系人材サービス事業を営んでおり、提供するサービスの関係上、受注実績の記載に馴染まないため記載しておりません。

c.販売実績

当連結会計年度における販売実績をセグメント(事業部門含む)ごとに示しますと、以下のとおりであります。

セグメント(事業部門を含む)の名称

金額(千円)

前年同期比(%)

事務系人材サービス事業

36,682,526

78.4

BPO関連事業部門

27,009,150

73.4

CRM関連事業部門

4,271,374

95.8

一般事務事業部門

5,402,001

98.4

製造系人材サービス事業

6,818,635

124.4

その他

290,048

98.6

合計

43,791,209

83.4

 

(注)1.当連結会計年度の販売実績を契約形態別に示しますと、以下のとおりであります。

契約形態の名称

金額(千円)

前年同期比(%)

人材派遣

23,735,572

89.7

請負

19,941,867

76.6

紹介予定派遣

29,334

653.3

人材紹介

84,435

144.4

合計

43,791,209

83.4

 

2.主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は以下のとおりであります。 

相手先

前連結会計年度

(自 2022年4月1日

至 2023年3月31日)

当連結会計年度

(自 2023年4月1日

至 2024年3月31日)

金額(千円)

割合(%)

金額(千円)

割合(%)

㈱DNPコアライズ

4,532,019

10.35

 

3.前連結会計年度について、当該割合が100分の10未満の相手先は記載を省略しております。

4.当連結会計年度において、事務系人材サービス事業の販売実績に著しい変動がありました。これは、前期に受注した大型案件の規模縮小や終了、地方自治体BPO請負案件の一部において、「一般競争入札」(価格競争方式)が採用されたことに伴う失注や落札した案件の受注価格の低廉化などによるものです。

5. 当連結会計年度において、製造系人材サービス事業の販売実績に著しい変動がありました。これは、食品加工部門において食肉加工、水産加工、菓子製造、総菜製造などの業種を中心に既存取引先からの受注量が好調に推移したことに加え、製造加工部門については、住宅設備製造、機械製造などの業種で受注量が増加したことなどによるものです。

 

 

(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

① 重要な会計方針及び見積り

当社グループの連結財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。当社の連結財務諸表で採用する重要な会計方針は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項 4.会計方針に関する事項」に記載のとおりであります。この連結財務諸表の作成にあたっては、過去の実績や状況に応じ合理的と考えられる要因等に基づき見積り及び判断を行っておりますが、見積り特有の不確実性があるために実際の結果は異なる場合があります。

 

② 当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容

(売上高)

事務系人材サービス事業においては、BPO関連事業にてマイナンバー交付施策案件や給付金支給案件等の総合経済対策関連案件の他、未取引地方自治体との取引開拓と地方自治体BPO業務の領域拡大について積極的に取り組んでまいりました。しかし、期初に受注を見込んでいたマイナンバー交付施策案件について案件発注規模が想定を下回ったこと、一部の地方自治体BPO請負案件において「一般競争入札」(価格競争方式)が採用されたことにより、受注を想定していた案件を落札できなかったことなどから、期初に想定していた受注高を達成できませんでした。一方、製造系人材サービス事業においては、社会経済活動正常化や所得改善などに因る個人消費の回復と企業の旺盛な設備投資を背景に食品加工部門を中心に受注高が好調に推移したことなどから、当連結会計年度の売上高は43,791,209千円となりました。

(売上総利益)

前期に受注した大型案件が規模縮小や終了したことによる売上高減少に加え、「一般競争入札」(価格競争方式)などで受注した案件の収益率が想定を下回ったものの、BPO請負案件における業務処理運用面での効率化に取り組んだことなどから、当連結会計年度の売上総利益は9,128,949千円となりました。

(販売費及び一般管理費)

競争力強化を図るために業務構築、情報システムなどの分野で高い専門性を持つ人材を積極的に採用した一方で、スタッフ登録者募集費や業務委託費等経費の節減に努めたことなどから、当連結会計年度の販売費及び一般管理費は5,849,487千円となりました。

(営業利益、経常利益及び親会社株主に帰属する当期純利益)

以上の結果、営業利益は3,279,461千円、経常利益は3,280,944千円、親会社株主に帰属する当期純利益は2,201,313千円となりました。

 

③ 資本の財源及び資金の流動性

当社グループは、給与等の人件費及び人材確保のための就業スタッフ及び社員の募集・採用費等を主とする運転資金並びに業務効率化のための社内基幹システムの整備・向上等を目的とする設備投資資金につきましては、事業収益から得られる自己資金で賄っておりますが、借入金及び社債につきましては、必要に応じて短期借入金・長期借入金や社債の発行により調達しております。

当社グループでは、現状、営業活動によるキャッシュ・フローや現金及び現金同等物の残高から、資金の流動性は十分に確保されているものと判断しておりますが、不測の事態に備え、金融機関との間で合計790,000千円の当座貸越契約を締結しております。

 

④ 経営者の問題意識と今後の方針について

経営者の問題意識と今後の方針については、「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載のとおりであります。

 

 

⑤ 経営成績に重要な影響を与える要因について

経営成績に重要な影響を与える要因につきましては、「第2 事業の状況 3 事業等のリスク」に記載のとおりであります。

 

⑥ 経営方針、経営戦略等又は経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等

当社グループは、売上高、営業利益、親会社株主に帰属する当期純利益及び自己資本当期純利益率(ROE)を重要な経営指標と位置づけ、これらの指標を経営上の目標として持続的な企業価値の向上に努めており、それぞれの指標の計画及び達成状況は以下のとおりであります。

指 標

2024年3月期期初計画

2024年3月期実績

2025年3月期計画

売上高

62,365,000千円

43,791,209千円

48,000,000千円

営業利益

7,010,000千円

3,279,461千円

3,495,000千円

親会社株主に帰属する

当期純利益

4,799,000千円

2,201,313千円

2,389,000千円

自己資本当期純利益率

31.6%

15.9%

16.1%

 

 

当連結会計年度における業績は、売上高が43,791,209千円、営業利益が3,279,461千円、自己資本当期純利益率15.9%となりました。

当社グループの2025年3月期を1年目とする中期経営方針は、事務系人材サービス事業の主力であるBPO関連事業部門においての地方自治体取引については、2024年3月期に引き続き、地域及び業務領域のダブル広域化に積極的に取り組む他、製造系人材サービス事業では、食品加工部門、製造加工部門双方において、新規取引先開拓を積極的に取り組むなどして業容の拡大を図り、「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載の「対処すべき課題」を着実に実行することにより、当社グループの持続的成長と中長期的な企業価値の向上並びに企業としての社会的責任及び社会的貢献に努めるとしており、2025年3月期は売上高48,000,000千円をめざしてまいります。

なお、利益面では、売上高増加見通しに伴い、スタッフ登録者募集費の増加や中途採用による社員の増強が見込まれること、また、業務効率化、品質向上の観点から、DX化を推進するためシステム開発費の増加などが見込まれますが、当連結会計年度において推進しました業務改善・業務効率化の効果もあり、営業利益は当期実績を上回る見通しであります。

これらの結果、2025年3月期は、営業利益3,495,000千円、自己資本当期純利益率16.1%と予想しております。

 

5 【経営上の重要な契約等】

該当事項はありません。

 

6 【研究開発活動】

該当事項はありません。