文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
当社グループは、「すべての人に働くよろこびを」の企業理念のもと、雇用の拡大により社会に貢献することを使命とし、「日本一親身な人材サービスカンパニー」をめざして求職者の方々に多様な就業の機会を提供していくことを経営の基本方針として、顧客の多様なニーズに対して的確な人材及び役務をタイムリーに提供するとともに求職者の方々に多様な就業の機会を提供することで、彼らが将来に亘って希望が持てる人生を送れるよう支援することを通して社会的貢献を果たしてまいります。また、当社グループは、人材サービス企業として、コンプライアンス及び経営管理体制の一層の強化を図るとともに、さらなる企業価値の向上に努めてまいります。
当社グループは、グループ全体の資本コストを的確に把握するとともに、売上高、営業利益、親会社株主に帰属する当期純利益及び自己資本当期純利益率(ROE)を重要な経営指標としております。
当社グループは、地方自治体向け及び民間企業向けの企画提案型BPO案件を中心に業容を拡大するため、地方自治体を中心に新規取引先の拡大及び既存取引先である地方自治体での受注量のシェア拡大とBPO事業者等からの受注量拡大に注力してまいります。また、地方自治体の取引及びBPO事業者等からの受注量拡大に応じて支店、営業所、BPOセンターなどの拠点網の充実を機動的に実施するとともに要員の増強を図り、各拠点に必要な人材を適時配置して競争力強化を図ってまいります。製造系人材サービス事業においても拠点網の充実を図り、受注拡大を推進してまいります。
また、企業理念である「すべての人に働くよろこびを」に則り、雇用の拡大や様々な職種及び多様な時間帯での働く機会の提供を始めダイバーシティ&インクルージョンについて積極的に取り組む他、コーポレート・ガバナンスとリスク・レジリエンスの強化、気候変動などの環境問題に対する多角的な取り組みなどにより、当社グループの持続的成長と中長期的な企業価値の向上並びに企業としての社会的責任及び社会的貢献に努めてまいります。
当連結会計年度における我が国経済は、33年振りの高水準となった春闘の賃上げを始めとする企業の定期給与や賞与の引き上げ、さらには、2024年10月に発効された過去最大の最低賃金引き上げなどにより、名目賃金の上昇が継続しました。一方で、当連結会計年度後半は、食料品などの物価上昇率が再び高まる他、米国の通商政策を始めとした政策変更による影響が懸念されましたが、実質賃金の上昇が続いたことから、個人消費は持ち直しの動きが持続している状況にあり、また、企業収益の改善が続いたことにより、設備投資意欲も堅調に推移したことから、景気は、一部に足踏みが残るものの緩やかに回復している状況でありました。
一方、世界経済は、米国では、底堅い雇用・所得環境を背景に実質賃金の上昇が継続されたことにより、個人消費が堅調に推移した他、中国経済も不動産市場が依然不安定であるなどの懸念はあるものの大規模な経済対策により成長回復の兆しが見られましたが、欧州経済は、ドイツ経済の不振もあり景気回復のペースが鈍化したことに加え、ドイツ、フランス両国では、少数与党による不安定な政権運営により景気回復のペースが一層鈍くなることが懸念される状況でありました。さらには、米国の新政権による追加関税措置とそれに対する各国の対抗措置が、我が国経済を含む世界経済に多大な影響を及ぼす懸念が強まるなど先行きが見通せない状況でありました。
そのような状況下、我が国人材サービス業界を取り巻く環境は、我が国経済における個人消費の持ち直し及び企業収益の改善や設備投資意欲の持続を背景に企業の雇用拡大意欲も引き続き旺盛な状況でした。
このような経営環境の中、当社グループは、従来と同様に主力のBPO関連事業を中心に各事業を積極的に推進してまいりました。
上記(1)会社の経営の基本方針及び(3)中長期的な会社の経営戦略を実行するうえで、当社グループは、引き続き、官公庁特に地方自治体向けのBPO関連事業を中心に案件の受注量拡大に注力する他、新規事業の開拓など事業展開の多角化を積極的に推進し、当社グループの持続的な成長と中長期的な企業価値の向上を図るとともにダイバーシティ&インクルージョン推進や地域社会への貢献、SDGsへの取り組みなど企業としての社会的責任を果たし、持続可能な社会実現に貢献するため、優先的に対応すべき事業上及び財務上の課題については以下のとおりであります。
当社グループでは、計画期間を3年間(2026年3月期から2028年3月期まで)とする中期経営計画を策定しており、事業環境に応じて重点課題を見定め、数値目標の達成に向けて事業活動に取り組んでいます。
今般策定した「中期経営計画」では、向こう3年間は、事務系人材サービス事業の主力であるBPO関連事業部門の地方自治体取引については、引き続き、事業地域及び業務領域のダブル広域化などに積極的に取り組み、製造系人材サービス事業では、営業拠点の拡充による新規取引先開拓を積極的に取り組むなどにより年平均5%程度の成長を計画しています。また、2期連続の減収減益という業績を鑑み、事業ポートフォリオについての見直しにも着手したいと考えており、このための新規事業開発への投資の他、インフラ整備、高スキル人材採用などに対して積極的な投資を実施してまいります。
以上の結果、2028年3月期の売上高は、47,066百万円と計画しており、利益面では、積極的な投資を実施することから、2028年3月期営業利益3,026百万円、営業利益率6.4%となる計画としております。
② 企業価値の向上と社会的貢献の推進
当社グループの企業理念である「すべての人に働くよろこびを」を実践することにより、様々な求職者及び就業スタッフのライフスタイルやキャリアプランにマッチした就業機会の提供や教育訓練の実施など親身な就業支援並びにクライアント様の業務効率化等を始めとする多様なニーズに対して、企画提案型の業務処理請負及び人材派遣を始めとする多様なソリューションを提供することにより企業価値の向上に努めてまいります。
また、社会環境の変化を先取りし、「事業の芽」を育成すべく新規事業・業務の開拓・開発についてトライ&エラーを繰り返して推進してまいります。そのうえで様々な就業機会を創出して「すべての人に働く」機会を継続的に提供して当社グループの持続的な成長と中長期的な企業価値の向上並びに持続可能な社会を実現するための社会的責任を果たしてまいります。
当社グループが主力事業とするBPO関連事業では、今後とも、官公庁特に地方自治体における公的業務の外部委託が進展していくことが予想されることから、当社グループの活動する地域、業務範囲は引き続き拡大していくものと考えています。当社グループはこれまで培ってきた効率的業務処理及びBPO業務の運用技術を活用するとともに、品質管理、リスク管理についてはプロアクティブな管理態勢を強化して、今後は、官公庁のみならず民間企業からの受注拡大を積極的に推進してまいります。
また、BPO関連事業の拡大に伴い、事業地域が広がることにより、地域社会とのつながりを強固にするために事業展開地域の雇用創出を中心とした地域社会活性化への貢献に取り組んでまいります。
人材サービス事業を営む当社グループの一番の経営資源は“人”そのものであるとの認識と事業展開の多様化を推進し、社会環境の変化に先行した社内態勢を構築するためには、人材の採用と教育・育成が必要であることから、優秀な人材の採用並びに教育研修制度の充実による人材の育成に注力してまいります。
また、「働き方改革」を推進するために人事制度の一層の充実を図るとともに社員の自己啓発意欲醸成とその支援に取り組むことで社員の質的向上に努めてまいります。
また、外部環境、内部環境の変化に応じて組織を機動的に組成するなど、組織の隅々まで統制の取れた企業統治、経営管理を実現するため、当社グループの成長度合いに即した組織体制の充実を図ってまいります。
BPO関連事業を中心とした事業規模の拡大と多様化に伴い持続的な競争力の維持・向上のためには、堅牢性の高い情報セキュリティレベルを維持・向上と並行して請負案件などの業務処理にAIの活用などによるDX化を始めとするイノベーション・テクノロジーを積極的に業務に取り入れて活用していくことが重要であることから、新しい情報技術や案件運用手法などを今後とも積極的に取り入れることにより、顧客満足度の向上、就業スタッフ支援体制の充実並びに働き方改革に取り組んでまいります。
当社グループは、多様な価値観を持つ人材が集い活躍することが当社グループの持続的な機動性と柔軟性、躍動感を併せ持つ企業文化を醸成すると考えており、女性・ハンディキャップをお持ちの方・外国籍の方がその個性と能力を十分に発揮し、活躍することをめざし、雇用を始め、配置・育成・教育訓練の機会均等、取締役への登用及び管理職比率の向上等を推進してまいります。
人材サービス業は“人”を介して役務を提供するものであり、その運営には高い倫理性の保持とコンプライアンスの徹底が重要であります。
当社グループは事業規模が拡大していく中、労働基準法、職業安定法、労働者派遣法及び関連諸法令の遵守を始めとして、事業運営に関わる全ての法令・ルールを遵守することが、当社グループが果たすべき社会的責任の基本であると強く認識してまいります。
当社グループは、労働基準法等関係法令に則った社内諸規程及び業務マニュアルを整備し、当社代表取締役社長を委員長とするコンプライアンス委員会を毎月開催するなど、コンプライアンスの状況を監視する体制を整えて、コンプライアンスの徹底管理を推進しておりますが、今後ともコンプライアンス体制の実効性を確保するための適切な運営を継続してまいります。
<コンプライアンス体制図>
2025年6月26日現在

当社は、企業理念である「すべての人に働くよろこびを」を追求するためには、ESGの観点から諸課題に対し取り組むことが重要であると考えています。雇用の拡大や様々な職種及び多様な時間帯での働く機会の提供をはじめ、ダイバーシティ&インクルージョンへの積極的な取り組み、コーポレート・ガバナンスとリスク・レジリエンスの強化、気候変動といった環境問題に対する多角的な取り組み等により当社の成長を実現して持続可能な社会実現への貢献を果たしてまいります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
当社グループは、企業理念のもと、雇用の拡大や様々な職種及び働く機会の提供等を通じて、持続可能な社会への貢献を果たしていくことが当社の重要な経営課題であると認識し、サステナビリティに関する諸課題に対し積極的に取り組んでおります。今後も事業活動を通じて、持続的な企業価値の向上を図るとともに、持続可能な社会の実現への貢献をめざすことを目的に、2024年4月1日よりサステナビリティ委員会を設置いたしました。
本委員会は、危機管理委員会との連携やサステナビリティ委員会事務局からの経過・成果報告を通じて、当社グループのサステナビリティ基本方針、戦略、活動計画の審議並びに執行側の活動の評価をするとともに、気候関連財務情報開示タスクフォース(以下、「TCFD」という。)の提言をまとめた最終報告書(以下、「TCFD提言」という。)への対応を含むサステナビリティに関する開示事項等について審議し、その結果を取締役会に報告並びに答申いたします。一方で、取締役会で承認された事項については、本委員会がサステナビリティ委員会事務局に指示、事務局から各業務執行部門に助言をすることで、グループ会社における実行へと繋げます。
なお、本委員会メンバーは、委員長を当社代表取締役社長とした、取締役営業本部長及び取締役管理本部長、監査等委員及び非常勤社外取締役で構成しており、気候変動を含むサステナビリティ基本方針や対応についての責任は代表取締役社長が担っています。
2025年6月26日現在

① サステナビリティ共通
当社は、サステナビリティ基本方針に5つの取り組みを掲げ、その取り組みに基づいて以下のように戦略を設定しています。
a.サステナビリティ基本方針の取り組み 企業理念である「すべての人に働くよろこびを」の実践については、当社を取り巻く環境の変化などの諸リスクを認識したうえでそれらのリスクに対処することで当社の基盤強化を図るべく4つの戦略を設定しています。
(a) 事業機会
社会環境の変化を先取りして「事業の芽」をトライ&エラーにより収益機会に育て、その実績を次のビジネスに繋げ、「面」で業容を拡大し、持続的な成長を実現する。
継続的なトライ&エラーの追求により、様々な事業機会の創出を実現して、「すべての人に働く」機会を継続的に提供していくことをめざす。
(b) 人材マネジメント
事業の多様化展開と社会環境の変化に先行した態勢構築を実現して、持続的な成長を確固とするために社員、スタッフ従業員のタレント開発と将来を担うべき人材の確保・育成及び自己実現を重視したエンゲージメント経営をめざす。
(c) お客さまに対する責任
お客さまからの持続的な絶対的信頼を頂きかつ強固にして「当社ファン」を増やし、営業基盤の盤石化を図るため品質、法令遵守のリスク管理についてプロアクティブでありかつ社会環境の変化、価値観の変化に合致して自己修正・発展する管理態勢を構築する。
(d) 地域社会
営業基盤を拡大し、強固にするために地域の雇用創出を中心とした地域社会活性化への貢献を積極的に展開する。
b.サステナビリティ基本方針の取り組み 「働き方改革」の推進については、少子高齢化、DX化などの社会的構造の変化に伴うリスクを認識したうえでこれらに対処することで新たな競争力の源泉を生み出すべく3つの戦略を設定しています。
(a) 社会リスク
少子高齢化社会に柔軟な動きを可能にするため、多様な勤務形態と年齢・ハンディキャップ・国籍等にとらわれない採用と教育訓練を積極的に推進する。
(b) テクノロジーリスク
持続的な競争力維持・向上のためにDX化を始めとするイノベーション・テクノロジー開発に取り組み、従業員の負荷軽減、業務処理の精緻化・効率化向上と堅牢性の高いセキュリティレベルを実現する。
(c) 労働環境
環境の変化に対応できる態勢を構築するために、多様化する従業員の価値観と従業員各人のライフステージの双方を重視したソーシャル・インクルージョンを実践できる体制を構築する。
c.サステナビリティ基本方針の取り組み ダイバーシティの推進については、当社に多様な価値観を持つ人材が集い活躍することが持続的な機動性と柔軟性、躍動感を持つ企業文化を醸成する重要な事項であると認識したうえで1つの戦略を設定しています。
(a) 人権
環境の変化に対応できる態勢を構築するために、女性・ハンディキャップをお持ちの方・外国籍の方の自己実現欲求に応えることを主眼としたダイバーシティ⇒インクルージョン⇒プロモートのプランを策定して具体化する。
d.サステナビリティ基本方針の取り組み コンプライアンス及び健全なガバナンス体制並びにリスク・レジリエンスの維持は、当社の持続的成長に必要不可欠な課題であると認識したうえでこれに対処することでより強靭な組織を構築するべく1つの戦略を設定しています。
(a) コーポレート・ガバナンス
社会環境の変化、価値観の変化に対して柔軟に対応するとともに強靭なリスク・レジリエンスを持つ法令等遵守、法精神尊重及びガバナンス体制を構築して維持する。
e.サステナビリティ基本方針の取り組み 気候変動などの環境問題への取り組みは、企業に求められる重要な社会的使命であるとともに将来の当社企業活動に多大な制約が課せられるというリスクを回避するものと認識し、1つの戦略を設定しております。
(a) 気候変動
気候変動などの環境問題に対して、自社への取り組みに留まらず、社外の取り組みに対しても積極的な支援と協力を行う。
なお、「TCFD提言」への対応は、後述「② 気候変動対応(TCFDに基づく気候関連財務情報開示)」のとおりである。
② 気候変動対応(TCFDに基づく気候関連財務情報開示)
TCFD提言の求めに従い、様々な気候関連シナリオを考慮したうえで、気候変動に関するリスク及び機会について、事業戦略や財務に及ぼす影響を把握し、以下のように戦略を設定しています。
a.シナリオ分析の前提条件
(a) 実施対象範囲

(b) 参照したシナリオ
IEA(International Energy Agency):国際エネルギー機構
IPCC(Intergovernmental Panel on Climate Change):国連気候変動に関する政府間パネル
(c) 時間軸、影響度の評価基準
時間軸は、参照シナリオ及び日本の温室効果ガス排出削減目標の時間軸にあわせ、短期:5年以内、中期:5~10年以内、長期:10年以上に設定しました。影響度の評価基準は、当社グループのリスクマネジメント評価基準を基に、「財務」、「人命・安全」、「民事・刑事、行政処分」、「業務影響」、「環境」、「社会からの評判」等の観点からリスク影響度:1~4に、発生確率:1~5にレベル分けし、リスク影響度と発生確率を掛け合わせたものをリスクの大きさとして、「小」「中」「大」の3つで評価しています。
b.シナリオ分析のステップ

気候変動により想定されるリスクと機会を洗い出した後、対象事業と関係のあるシナリオを参照し、当社グループにとって重要度の高いリスクを特定・評価しました。重要度の高いリスクに対しては、事業インパクト評価を行い、財務への正と負の影響を整理しました。今後は、事業インパクト評価の実施範囲を適宜見直すとともに、脱炭素化やリスクと機会にアプローチする対応策の検討を進めてまいります。
(a) 特定した気候関連のリスク・機会及びインパクトの定性評価
主には移行リスク:IEAのSTEPS、APS、NZE、物理的リスク:IPCCのSSP5-8.5、SSP1-1.9のシナリオを用いて、リスクと機会の特定と評価を行いました。これらのリスクが当社グループの事業に与えるインパクトを定性的に評価し、対応策を検討しました。事業へのインパクトが大きいと判断した項目は、次項にて財務への影響を整理しております。
なお、特定した気候関連のリスク・機会及びインパクトの定性評価の詳細につきましては、当社HPに掲載しているTCFDレポートをご参照ください。
<TCFDレポート>
https://ir.careerlink.co.jp/sustainability/index.html
(b) シナリオ分析結果を踏まえた財務への影響
シナリオ分析結果を踏まえ、事業へのインパクトが大きい項目については、財務への正と負の影響を整理しています。なお、“低排出技術への移行”を要因とした“自社車両における脱炭素化車両の導入義務化”リスクは全事業に影響が及ぶことから、“顧客ニーズの変化”を要因とした“地方自治体を始めとする顧客からの脱炭素要求の高まりによる入札制限や非選別”リスクはBPO事業の収益基盤の脆弱化に繋がることから、財務への影響整理の対象に加えております。また、“集中豪雨、洪水等の天災激甚化と増加”を要因とした社員や取引先等、当社の事業に欠かせないステークホルダーに係るリスクについても、優先度の高い事項としています。
下線部は、当社事業において特に影響度が高い事項であり、インパクトの定量的な評価を実施しています。
(c) 事業インパクトの定量評価
事業へのインパクトが大きい項目の中でも特に影響度が高いと判断した事項については、インパクトの定量的な評価を実施しました。今後につきましても、事業インパクトの定量的評価の実施範囲を適宜見直し、対応策の検討を深めてまいります。
なお、今回の評価は、気候関連シナリオにおける各種データやパラメータに基づく試算であり、市況等の外部環境変化により変動する可能性があります。
イ.DXニーズの高まりについて
近年、人口減少による人手不足対策に加え、環境負荷の軽減につながるデジタルトランスフォーメーション(DX)の活用が着目されています。脱炭素社会への移行が進む1.5-2℃シナリオにおいては、DX投資がさらに拡大すると想定されます。
行政サービスにおいても、オンライン化やAI・RPAの導入が進むことで、業務の効率化や自動化が実現し、結果として人員削減が進む可能性があります。この流れは、当社が展開する地方自治体向けBPO事業にとり、業務受託の機会減少というリスクをもたらす要因となります。
富士キメラ総研によるDX投資額に係る将来予想、及び内閣府によるDX投資と人員削減効果に関する調査結果を踏まえると(注)、2030年までに現在の地方自治体の職員の0.33%にあたる労働力が削減される可能性があります。仮に、当社の2023年度の地方自治体関連の売上高に△0.33%をあてはめた場合、約0.8億円減収することが見込まれます。
地方自治体における人員削減や定型業務の自動化が進むことで、従来人手に依存していた業務のアウトソーシング需要が縮小することが見込まれますが、一方で、気候変動に対応した新たな行政サービスの創出や、デジタル化による業務変革支援等の分野ではBPOの役割は依然として重要です。当社は、単なる業務代行に留まらず、DX推進を支援する高度なBPOサービスを提供することで、地方自治体の変革ニーズに対応し、持続的な成長を目指して参ります。
(注)富士キメラ総研が2022年に公表した「デジタルトランスフォーメーションの国内市場(投資金額)」では自治体DXの国内市場(投資金額)は2030年度には2020年度比12倍の4,900億円に拡大(年間449.1億円増加)すると予測されています。また、内閣府の調査によると、地方自治体がDXにかける投資額3億円に対する人員削減効果は8.9人と試算されています。これらの調査結果を踏まえると、2020年度から2030年度までの10年での投資額は4,491億円増加、2024年度から2030年度までの7年間で計9,326人削減される見込みです。これは2024年4月時点の地方自治体の職員数約280万人の0.33%に相当します。
ロ.アウトソーシング需要の増加について
気候変動の影響により、企業の労働環境や雇用形態は大きく変化する可能性があります。特に、脱炭素化に向けた規制の強化が想定される1.5-2℃シナリオにおいては、炭素税・排出権取引の導入や化石燃料由来の電力価格が高騰することが予測され、各種コスト(操業・施設運営・原材料調達等)の増加が見込まれます。
1.5-2℃シナリオにおいて、エネルギー価格の上昇等による負担が後押しとなり、大都市圏在住者によるリモートワーク活用の地方移住へのニーズが加速し、電力消費が多い都市部にオフィスを有する企業については、コスト削減のためにリモートワークを推進することが想定されます。人口減少による労働力不足等に加え、このような従来のオンサイトビジネスからリモートワークへの移行に伴い、特にカスタマーサポートやバックオフィス業務等といった間接業務について、業務効率化の観点からアウトソーシングを活用する企業が拡大することが見込まれます。
矢野経済研究所が2024年に公表した「2030年の人材サービス・アウトソーシング市場に関する調査」では、BPOサービス市場の年平均成長率は2.47%と予測されています。これを踏まえると、当社における財務的影響は、2023年度のBPO事業の売上高を基準にした場合、2030年に50.3億円の売上増が見込まれます。
当社は、気候変動による労働環境の変更に適応し、柔軟なBPOソリューションを提供することで、持続的な成長を実現するとともに、企業の経営課題解決に貢献して参ります。
ハ.異常気象の激甚化について
気候変動を起因とした大規模な水害により、当社や顧客のオフィスが被災、あるいは、それらを繋ぐ交通インフラ、情報インフラの機能停止・寸断の影響を受けた場合、事業が停止することが想定され、その影響により売上の減少が想定されます。また、その他にも拠点の復旧費用や被害防止のための設備費用等が発生すると認識しています。
国土交通省が公表している「TCFD提言における物理的リスク評価の手引き」及び「重ねるハザードマップ」等を参照し、本社及び各支店の浸水深(注)に応じた営業停止日数に基づく売上への影響について算出したところ、浸水により想定される、営業停止による売上損失は約62.6億円と試算されます。
IPCC第6次計画書では、10年に1度の大雨発生頻度がパラメータとして公表されています。2030年時点で1.5-2℃シナリオの場合は現在比1.15倍増に留まる一方で、4℃シナリオの場合は同2.1倍増となり、上記の浸水による財務的影響を受ける可能性が高まることが想定されます。
当社では、営業活動を行っている地域において、自然災害が発生した場合に備え、BCP(事業継続計画)マニュアルを整備し、安否確認システムを導入するなどBCP対策を講じています。今後は、BCPの見直しや更なる強化を行うとともに、高リスク地域に立地する拠点に対しては、大雨発生時の被害軽減と迅速な事業復旧のための予防策を検討して参ります。
(注)浸水深:洪水・津波等で浸水した際の、水面から地面までの深さ
ニ.地方自治体の脱炭素要求の強まりについて
地方自治体による環境・社会課題対応が進む中、足元、東京都は「東京都社会的責任調達指針」を公開しています。この調達指針には、排出する温室効果ガスの削減、低炭素・脱炭素エネルギーの利用、省エネルギーの推進等の環境関連の項目が“推奨”事項として含まれています。脱炭素社会への移行が進む1.5-2℃シナリオにおいては、調達指針の“遵守”の義務化と全国の地方自治体への広まりが想定されます。
当社は、2050年カーボンニュートラルの中間目標の期限である2030年を契機に、社会的責任調達指針の策定及び遵守を義務化する地方自治体が増加すると仮定した場合の財務的影響額を試算しました。なお、2030年時点において、同方針の遵守を義務化する地方自治体の割合が、2019年時点で「2050年二酸化炭素排出実質ゼロ表明」を行った地方自治体と同じ1.84%(全1,741の地方自治体のうち32自治体)であると仮定します。
これを踏まえると、当社が2030年時点で地方自治体の調達指針に準拠出来ない場合、入札への参加条件を満たすことができず、2030年度の地方自治体関連の売上高を基準とした場合、1.8%≒4.6億円減少することが見込まれます。社会的責任調達指針の遵守を義務化する地方自治体数は増加するという前提では、売上の減少率は2030年以降さらに拡大し、2050年には全ての取引先地方自治体からの売上が減少することも想定されます。
当社の対応については、事業活動によるCO2をはじめとしたGHG(温室効果ガス)排出量は限定的なものの、CO2排出量の削減や再エネ・省エネ施策の実施に取り組み、ネットゼロ目標・脱炭素社会の実現へ貢献するとともに、地方自治体による環境関連における調達基準の厳格化に備えます。
当社では、オペレーショナルリスク及びハザードリスクを中心とする諸リスクに対する管理態勢の強化を図るため、リスク管理PTにおいてリスク・シナリオ分析及びBCP(事業継続計画)の充実について立案及び検討し、その結果をリスク管理会議において審議を行っております。この審議及び検討内容については、当社代表取締役社長を委員長とし、取締役執行役員全員、同社内部監査室長及び同社監査等委員会が指名する監査等委員等で構成され、非常勤監査等委員全員がオブザーバー出席する危機管理委員会にて適宜報告と改めて審議を行うほか、重要施策の進捗管理を行っており、その内容を取締役会に報告し、方針等の重要事項については取締役会に諮り決定しております。
一方、サステナビリティ委員会では、当社グループの気候変動リスクを含むサステナビリティ関連リスク及び危機管理委員会での審議内容を参考に戦略リスク(中長期的重要リスク)への対応について、中長期的な視点で当社グループ事業への影響を審議し、その結果は、取締役会に報告されるとともに方針等の重要事項については取締役会に諮り決定しております。さらにサステナビリティ委員会で審議された内容については、適宜サステナビリティ委員会事務局を通じてリスク管理PT及び各業務執行部門に助言され、オペレーショナルリスク及びハザードリスクと戦略リスクへの対応について平仄を合致させています。
なお、気候変動においては、今後シナリオ分析を高度化し、事業インパクトに対するリスクをより精緻にモニタリングできる体制を構築していきます。
① サステナビリティ共通
当社は、各戦略につきまして、以下のとおり目標を設定していますが、今後、具体的な指標を要すると考えられる項目については、適宜社内で検討して設定する予定です。
② 気候変動対応(TCFDに基づく気候関連財務情報開示)
当社グループでは、Scope1,2を対象に、2030年度にCO2排出量を2023年度比29.6%削減、2050年にカーボンニュートラルを目指すことを目標としています。また、Scope3の把握を進めており、今年度はカテゴリ6,7を算定しました。今後はScope3の把握範囲の拡大と、CO2排出量削減に向けた具体的な道筋について検討し、対応策を講じていくことが重要であると認識しています。

当社グループは、事業展開の多様化と社会環境の変化に先行した社内態勢を構築するために、社員の能力・スキル開発と次世代を担う人材の確保・育成につきまして、具体的に以下のとおり、取り組んでいます。
(a)社員育成について、業務知識やマネジメント手法、リーダーシップの育成等を習得する研修を集合形式、e-ラーニング形式、外部研修形式で実施しています。さらに、キャリア・コンサルティングを活用し、社員のキャリア志向や適性の把握に努めるとともに、一人ひとりのレベルや課題に合わせた教育を実現するために育成体系の構築に着手しています。
指標及び目標
(b)社員に対して、所属組織運営への助言、指導及び全社的な課題認識を共有することなどを目的に執行役員会への参加を推奨しています。また、管理職に対して、外部人材との交流を促進すべく、外部研修やセミナーへの参加を積極的に実施しています。
なお、当社においては、関連する指標データ管理とともに、具体的な取り組みが行われているものの、社員の執行役員会参加については、連結グループに属する全ての会社では行われてはいないため、連結グループにおける記載が困難であります。このため、当該指標に関する目標及び実績は、連結グループにおける主要な事業を営む提出会社の実績数値を記載しております。
指標及び目標
当社は、社員の自己啓発意欲の醸成を図るため、具体的に以下のとおり、支援策を実施しています。
なお、当社においては、関連する指標データ管理とともに、具体的な取り組みが行われているものの、連結グループに属する全ての会社では行われてはいないため、連結グループにおける記載が困難であります。このため、次の指標に関する目標及び実績は、連結グループにおける主要な事業を営む提出会社の実績数値を記載しております。
(a)2,000以上の講座を有し、ビジネススキルを体系的に学べるオンライン学習サービスを導入しております。
導入から2年以上が経過したことで、コンテンツの視聴が一巡したことにより、受講社員数及び受講延べ時間数が大きく減少してきていることから、2026年3月期は契約の更新をしないこととし、第2四半期に全員の受講を終了する予定です。
2026年3月期は、これまでのオンライン学習に代わり、社内のLMS(Learning Management System)を活用したe-ラーニングによる人材育成を強化していきます。
(b)60種類の資格を対象に受検料全額と対象資格の一部資格について資格取得に要する講座受講費用の50%を支援する制度を設けております。
対象資格の選定については、支援の幅を広げるため、定期的に社員の要望を募ることで見直しを行っており、2026年3月期は合計60種類の資格を対象としております。
指標及び目標
当社グループが、事業展開の多様化と社会環境の変化に対応して持続的成長を実現するためには、各社員それぞれの多様な考え、価値観及び経験を活用することが必要であると考えております。そのような考えのもと、2026年3月期は、女性社員比率35.7%以上、障がい者雇用率2.6%以上、外国籍社員比率6.7%以上を実現することを目標とします。
採用においては、スタッフからの登用も含めた多彩な採用方法により、ジェンダー、年齢、経験等多様な人材を確保しております。
指標及び目標
(注)障害者の雇用の促進等に関する法律第43条第7項により報告した2024年6月1日時点の障害者雇用状況報告書に基づいております。
当社グループは、女性、ハンディキャップをお持ちの方、外国籍の方に対して、組織運営、経営への参画を促進するために、全社横断の重要プロジェクトについて特に若手女性社員を中心に積極的な参画を推奨するとともに、他社人材との交流を伴う外部研修に派遣することを実施しています。このような動きは、現在、女性社員を中心に取り組んでおりますが、今後は、ハンディキャップをお持ちの方、外国籍の方にもフォーカスを当てて取り組む予定です。
なお、当社においては、関連する指標データ管理とともに、具体的な取り組みが行われているものの、女性社員の全社横断重要プロジェクト参加人数(取締役、部長を除く。)については、連結グループに属する全ての会社では行われてはいないため、連結グループにおける記載が困難であります。このため、当該指標に関する目標及び実績は、連結グループにおける主要な事業を営む提出会社の実績数値を記載しております。
指標及び目標
当社グループは、全管理職に占める女性・ハンディキャップをお持ちの方・外国籍の方の管理職の比率を2026年3月期は22.0%以上に増加させるべく、今後、職務経験-自己啓発・外部研修派遣-サポート・フォロー体制から成る「人材開発プログラム」を構築して、社員の意識調査などを実施することを計画しています。
指標及び目標
当社グループは、スタッフを含めた従業員が、心身ともに健康であることが持続的成長に必要であると考えており、今後とも以下の項目を中心に積極的に改善に取り組んでまいります。
指標及び目標
当社グループの事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。なお、文中における将来に関する事項は、本書提出日現在において当社グループが判断したものであります。
当社グループは、企業としての社会的責任を遂行するため、労働基準法、職業安定法、労働者派遣法及び関連諸法令に則った社内諸規程及び業務マニュアルを整備するとともに、担当部署で関係法令の改正情報の早期入手及び対策を講じ、当社代表取締役社長を委員長とするコンプライアンス委員会を毎月1回開催するなどコンプライアンスの状況を監視する体制を整え、コンプライアンスの徹底を図っております。今後とも、コンプライアンス体制の実効性を確保するための適切な運営を継続してまいりますが、社員並びに外部委託先等による重大な過失、不正、違法行為等が生じ、当社グループが行政指導・改善命令を受けた場合、又は、訴訟や損害賠償等に至った場合には、当社グループの事業活動及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
また、当社グループに関連する主要な法的規制である労働基準法、職業安定法、労働者派遣法及び関連諸法令については、労働市場を取り巻く状況の変化や政策等に応じて改正が適宜行われておりますが、改正内容によっては、当社グループの事業活動及び経営成績に影響が及ぶ可能性があります。
人材派遣は、労働者派遣法に基づき厚生労働大臣の「一般労働者派遣事業許可」を受けて行っており、許可の有効期間は5年であります。
労働者派遣事業の適正な運営を確保するために「許可の取消し等」を定めている労働者派遣法第14条において、派遣元事業主(派遣事業を行う者、法人である場合にはその役員を含む。)が同条第1項のいずれかに該当するときは、許可の取消しができる旨を定めております。
現時点において、当社グループが上記の取消し事由に抵触することはありませんが、今後何らかの理由で許可が取り消された場合、当社グループの事業活動が制限され、経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。
昭和61年労働省告示第37号により、請負と派遣の区分基準が示されており、請負を行うにはこの基準に準拠する必要があります。
当社グループは、労働省告示第37号の遵守を徹底しておりますが、当社グループが請負で受託した取引が、万一、各都道府県労働局により、実質的には人材派遣であると認定された場合には、「偽装請負」と見做され、それにより、業務停止等の処分を受けた場合には、当社グループの経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。
人材紹介は、職業安定法に基づく厚生労働大臣の「有料職業紹介事業許可」を受けて行っており、許可の有効期間は5年であります。
職業紹介事業等が労働力の需要供給の適正かつ円滑な調整に果たすべき役割に鑑み、その適正な運営を確保するために「許可の取消し等」を定めている職業安定法第32条の9において、有料職業紹介事業者が同条の9第1項のいずれかに該当するときは、許可の取消しができる旨を定めております。
現時点において、当社グループが上記の取消し事由に抵触することはありませんが、今後何らかの理由で許可が取り消された場合、当社グループの事業活動が制限され、経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。
紹介予定派遣は、上記①人材派遣及び③人材紹介の事業展開と重なるため、「一般労働者派遣事業許可」及び「有料職業紹介事業許可」を受けて行っております。
従って、紹介予定派遣を事業展開するに当たってのリスクは上記①及び③それぞれの記載内容を合わせたものであり、現時点においては、当社グループが両事業許可取消事由に抵触することはありませんが、今後何らかの理由で許可が取り消された場合、当社グループの事業活動が制限され、経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。
2025年3月期において、当社グループ全売上高に対する事務系人材サービス事業 BPO関連事業部門の売上高構成比は59.3%に達しており、また、この中でも官公庁特に地方自治体との請負取引の比率が高い状況にあります。今後のBPO関連事業部門を取り巻く環境等が変化して、官公庁特に地方自治体との請負取引の売上高が急激に減少した場合には、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。当社グループでは、官公庁特に地方自治体との請負取引について、過度に依存することがないようにBPO関連事業部門では民間企業との請負取引やCRM関連事業部門、一般事務事業部門の特に派遣業務への取り組みを強化するとともに成長が期待できる製造系人材サービス事業の基盤拡大と盤石化を図ってまいります。
登録スタッフ募集については、インターネットや新聞、雑誌の広告等により常時実施しております。
事業展開するうえで、登録スタッフ及び就業スタッフの確保が重要な課題の一つであることから、未就業の登録スタッフに対して、定期的に連絡を取ることでコミュニケーションの緊密化を図り、登録スタッフ本人の希望に合った就業機会を提供する施策を実施しております。
また、就業スタッフに対しては、教育・研修等の支援、社員への登用制度を設けるなど、就業スタッフのスキル向上の施策を実施しております。しかしながら、雇用情勢や労働需要の変化により、人材の確保が当社グループの意図したとおりに進まなかった場合や顧客の要望に対して十分な人材の確保ができなかった場合には、当社グループの事業活動及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループ事業である人材サービス事業では、派遣、請負、人材紹介、紹介予定派遣全ての事業においてIT技術を始めとするイノベーション・テクノロジーの活用は必要不可欠であります。当社グループでは、専門性を持つ人材の確保及び外部知見の導入や利用によりイノベーション・テクノロジーへの対応について体制を構築しておりますが、官公庁特に地方自治体とのBPO関連事業の比率が高い状況にあることから、主力事業であるBPO関連事業部門においてイノベーション・テクノロジーの導入が遅延する若しくは導入すべきイノベーション・テクノロジーの選択を誤る等、技術革新によって多様化するニーズの変化に適切に対応できない場合や専門性を持つ人材の確保が当社グループの意図したとおりに進まずにイノベーション・テクノロジーの選択・導入の目途が立たない場合、競争力の低下を招き、売上高が減少し財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
我が国では、少子高齢化が急激に進んでいることから、今後、労働人口の減少がさらに進む可能性が高いと考えられます。労働人口減少が進む状況下、当社グループでは、従来から女性、高年齢層、ハンディキャップをお持ちの方、外国籍の方に向けて多様な勤務形態を整備するなどして就業機会の提供を積極的に取り組んでおり、高年齢層、ハンディキャップをお持ちの方、外国籍の方を中心とした業務運営、さらに少人数による業務運営を想定したオペレーションの開発についてDX化を軸に取り組んでおりますが、当社グループが人口構造の変化に対して、適切に対応できない場合には、労働人口、労働市場の縮小に伴い、当社グループの事業活動及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループは、今後とも、事業を拡大させる手段として、関連事業を営む企業の買収等を行う可能性があります。買収等を行う場合には、対象となる企業の財務内容や事業推進状況等について問題がないか、細心の注意を払いデューデリジェンスを厳密に実施することにより、事前のリスク回避に努めてまいります。
しかしながら、国内外の経済環境の変化等から、当社グループが買収を行った企業の経営、事業、資産に対して十分なコントロールができない場合や買収した企業の人材や顧客が流出した場合には、当社グループが期待した買収効果を得られない可能性があります。すなわち、当初の期待どおりに事業を展開できない場合には、当社グループは投資額を十分に回収できない恐れがあり、当社グループの事業活動及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループの事業は、企業や組織の人材活用や生産性向上に貢献するサービスを展開しておりますが、このようなサービスは、国内外の景気変動や経済状況変化に伴い、大きく需給状況が変動いたします。
そのため、想定していない事情から、経済状況が急激に悪化し、これに伴い、顧客からの発注が急激に減少した場合、当社グループの事業活動及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループが属する人材サービス業界は、多くの競合会社が存在しております。当社グループは、BPO関連事業を始め様々な受注案件で培ってきた豊富なノウハウを基に、顧客に対して業務効率化や合理化を企画提案し、実施運用する人材サービスの提供を推進するなど、競合先との差別化を図っておりますが、競争がさらに激化した場合やDX化やAIの発展により省人化が進み、異業種からの参入が活発となり、当社グループがこのような変化に適時適切に対応できない場合には、当社グループの事業活動及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループでは、営業活動を行っている地域において、大規模な地震、台風などの自然災害が発生した場合に備え、BCP(事業継続計画)マニュアルを整備し、安否確認システムを導入するなどBCP対策を講じ、派遣スタッフを含めた緊急連絡網を活用した安否確認訓練・防災訓練を定期的に実施しておりますが、想定した以上の大地震等の災害、疾病等が発生し、情報システムにかかるサーバー等が停止した場合には、当社グループの業務遂行に支障を来たし、当社グループの事業活動及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
② システム障害について
当社グループは、事業活動をコンピューターシステムに大きく依存しており、情報システム内に社員及び登録スタッフ・就業スタッフの個人情報並びに顧客企業等に関する基本情報等を大量に保管しております。これらは顧客企業等のニ―ズに対し最適な登録スタッフを選択し、マッチングさせることを可能としております。また、当社グループは、社員及び就業スタッフの勤怠情報や労働債務、給与の支払、顧客企業等に対する売上高の請求、与信管理等も当該システムによって処理していることから、コンピュータウイルスの感染や悪意を持った第三者の攻撃等により、大規模なシステム障害が発生した場合には、業務処理及び事業活動に支障が生じることが予想されます。
そのため、当社グループでは、情報システム管理規程を定め、基幹システムの情報保管・管理は専門企業が運営するデータセンターに委託し、より安全な情報管理に努めております。また、システム開発並びにシステム改修時には慎重かつ綿密なテストを実施するなど、可能な限りの多面的な安全対策を取っております。
当社グループは、業務上、多くの個人情報並びに機密情報を取り扱っております。そのため、情報セキュリティに関しては、その重要性及びリスクを十分に認識し、情報セキュリティ規程を整備するとともに、2010年4月にISO/IEC27001(注)の認証を取得して、社員の教育やセキュリティ管理を組織的かつ継続的に行っております。しかしながら、サイバー攻撃や不正アクセス等の不測の事態により情報セキュリティ事故が発生した場合には、当社グループの信用が失墜し、企業イメージの低下を招くなど、当社グループの事業活動及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
(注)ISO/IEC27001とは、情報セキュリティマネジメントシステム(Information Security Management System)の規格のことであり、情報セキュリティマネジメントシステムとは、組織が情報管理の有効性を維持するための体制のことで、情報の保管方法やマルウェア対策、メール使用のガイドライン、障害発生時の行動計画などの要素から構成されております。
当社グループは、登録スタッフ、就業スタッフ、職業紹介希望者及び社員並びに顧客情報等に関する多くの個人情報を取り扱っており、2005年4月に施行された個人情報保護法が定める個人情報取扱事業者に該当し、個人情報保護法の適用を受けております。また、マイナンバー法(番号法)施行に伴い個人情報保護法が改正されており、より厳格な管理・運用が求められております。
当社グループは、プライバシーマーク認証を取得し、個人情報保護マニュアル、個人情報保護要領書、PMS関連法規制管理規程等を整備しており、また、マイナンバー法に基づく特定個人情報等取扱規程を整備して、その遵守徹底や定期的に開催する社員教育等を通して個人情報の厳正な管理を行っております。しかしながら、このような取り組みにもかかわらず、マイナンバーを含む個人情報の漏洩や不正使用等の事態が発生した場合には、社会的信用の失墜や企業イメージの悪化、また、損害賠償請求の発生等により、当社グループの事業活動及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループは、顧客の機密性の高い情報を取り扱っているため、2010年1月に情報セキュリティ体制を構築するための基本方針としてISMS基本方針を定め、情報セキュリティマネジメントシステムを導入し、その維持に努めております。しかしながら、万一、取引先企業等の重要な機密情報の漏洩が当社の責任で発生した場合には、社会的信用の失墜、企業イメージの低下、また、損害賠償請求の発生等により、当社グループの事業活動及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループは、より高い付加価値を実現できる人材を提供する人材サービス企業になるために、年間を通して優秀な人材の採用及び人材の育成に努めておりますが、今後、必要とする優秀な人材の採用・育成が当社グループの意図したとおりに進まなかった場合や当社グループ内の有能な中核的人材が流出した場合には、今後の事業拡大に支障を来たすことが考えられ、当社グループの事業活動及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
① 経営成績の状況
当連結会計年度における我が国経済は、33年振りの高水準となった春闘の賃上げを始めとする企業の定期給与や賞与の引き上げ、さらには、2024年10月に発効された過去最大の最低賃金引き上げなどにより、名目賃金の上昇が継続しました。一方で、当連結会計年度後半は、食料品などの物価上昇率が再び高まる他、米国の通商政策を始めとした政策変更による影響が懸念されましたが、実質賃金の上昇が続いたことから、個人消費は持ち直しの動きが持続している状況にあり、また、企業収益の改善が続いたことにより、設備投資意欲も堅調に推移したことから、景気は、一部に足踏みが残るものの緩やかに回復している状況でありました。
一方、世界経済は、米国では、底堅い雇用・所得環境を背景に実質賃金の上昇が継続されたことにより、個人消費が堅調に推移した他、中国経済も不動産市場が依然不安定であるなどの懸念はあるものの大規模な経済対策により成長回復の兆しが見られましたが、欧州経済は、ドイツ経済の不振もあり景気回復のペースが鈍化したことに加え、ドイツ、フランス両国では、少数与党による不安定な政権運営により景気回復のペースが一層鈍くなることが懸念される状況でありました。さらには、米国の新政権による追加関税措置とそれに対する各国の対抗措置が、我が国経済を含む世界経済に多大な影響を及ぼす懸念が強まるなど先行きが見通せない状況でありました。
そのような状況下、我が国人材サービス業界を取り巻く環境は、我が国経済における個人消費の持ち直し及び企業収益の改善や設備投資意欲の持続を背景に企業の雇用拡大意欲も引き続き旺盛な状況でした。
このような経営環境の中、当社グループは、従来と同様に主力のBPO関連事業を中心に各事業を積極的に推進してまいりました。
当連結会計年度におきましては、BPO関連事業においては、マイナンバー交付施策案件の規模縮小や前期稼働していた大型福利厚生関連案件の終了を受け、未取引地方自治体取引開拓と並行して新規業務領域拡大を推進する一方で経済対策関連案件を中心とした既存業務領域の受注拡大に努めましたが、当第2四半期までに受注を見込んでいた案件につきまして、失注や想定した売上総利益が確保できないと見込まれる案件について応札を見送ったことに加え、当第3四半期以降に受注を見込んでいた経済対策関連案件等についても想定規模を下回る若しくは案件発注が行われなかったことの他、CRM関連事業においても積極的に新規案件開拓に努めましたが、前期稼働していた大型コールセンター業務派遣案件の終了や規模縮小による受注高減少を挽回できなかったことなどから、売上高は、前期比3,393,536千円減(7.7%減)の40,397,672千円となりました。
また、利益面では、引き続き売上原価については、品質向上とともに業務効率化追求による経費削減に取り組んだことの他、販売費及び一般管理費においても業務委託費や登録者募集費などの節減と効率的運用に努めましたが、売上高の減少に伴う減益の影響及び収益性の高い大型案件の終了や規模縮小による影響、さらに製造系人材サービス事業の体制強化を図るため、人件費、採用費などが増加したことなどから、営業利益は前期比586,011千円減(17.9%減)の2,693,450千円、経常利益は、前期比580,044千円減(17.7%減)の2,700,899千円となり、親会社株主に帰属する当期純利益は、前期比371,781千円減(16.9%減)の1,829,532千円となりました。
(事務系人材サービス事業)
当事業のうち、BPO関連事業部門は、地方自治体取引においては、引き続き政令指定都市や中核都市を中心に新規取引先開拓と併せて地方自治体窓口業務などの受注業務領域拡大、既存業務領域では、経済対策関連案件などの受注拡大を積極的に展開いたしましたが、前期稼働していた大型福利厚生関連案件の終了、マイナンバー交付施策案件の規模縮小を挽回するまでには至りませんでした。一方、民間企業取引においては、大手BPO事業者から中央官庁を事業主とする案件の受注量が増加したことなどから、受注高は堅調に推移しました。また、CRM関連事業部門は、首都圏及び札幌、大阪など各地方支店において、新規コールセンター業務派遣案件を受注したものの前期受注した大型コールセンター業務派遣案件や金融関連案件の規模縮小を挽回するまでの受注量を確保できませんでしたが、一般事務事業部門は、地方自治体及びその関連公益法人との新規案件受注が堅調に推移した他、引き続き金融機関向け既存派遣案件の受注も堅調に推移しました。これらの結果、当事業の売上高は、前期比4,100,358千円減(11.2%減)の32,582,168千円となり、利益面では、主にBPO関連事業部門における既存業務領域の業務効率化による売上原価削減及び登録者募集費や業務委託費など販売費及び一般管理費の節減と効率的運用に努めましたが、売上高の減少に伴う減益を挽回できなかったことなどから、営業利益は前期比581,779千円減(19.5%減)の2,398,857千円となりました。
a.BPO関連事業部門
当事業部門は、地方自治体取引においては、首都圏、近畿大都市圏などの既存取引先では、経済対策関連案件の受注推進と並行して、地方自治体窓口業務や各種審査業務、総務関連業務など専門性が高くかつ契約期間が長期に亘る案件を中心に受注業務領域拡大に取り組み、主に北海道、東海地方、中国地方、九州地方においては、経済対策関連案件を中心に新規取引先開拓の推進に取り組んだ結果、新たに9地方自治体との取引が始まり、既存取引地方自治体と合わせて195地方自治体との取引が実現しました。一方、民間企業との取引においては、大手BPO事業者から中央官庁を事業主とする新規案件の受注が増加した他、民間企業を事業主とする案件の受注も堅調に推移しましたが、前期に稼働していた地方自治体及び民間企業を事業主とする大型案件の終了や規模縮小及び全国的にマイナンバー新規交付業務が一区切りついたことによるマイナンバー交付施策案件の受注量縮小により、当事業部門の売上高は前期比3,052,363千円減(11.3%減)の23,956,786千円となりました。
b.CRM関連事業部門
当事業部門は、札幌、仙台、大阪、福岡各地方支店において既存取引先である大手テレマーケティング事業者などから中規模の新規コールセンター業務案件を複数受注して既存取引先との取引拡大やBPO事業者、中央官庁関連法人などとの新規取引が実現しましたが、前期に首都圏と札幌など地方支店において既存取引先から受注した大型コールセンター業務案件及び金融機関から受注した短期案件の終了や規模縮小により、当事業部門の売上高は前期比1,101,467千円減(25.8%減)の3,169,906千円となりました。
c.一般事務事業部門
当事業部門は、マイナンバー新規交付業務が一区切りついたことにより、地方自治体向けのマイナンバー交付施策案件及び前期に稼働したBPO事業者から受注した中央官庁を事業主とする案件に加えて、金融機関向け短期案件の終了や規模縮小などから受注量の減少が見られましたが、首都圏、近畿大都市圏などの地方自治体から経済対策関連案件を中心に受注量が堅調に推移した他、地方自治体関連公益法人についても幅広い業務領域で新規取引が実現できたことの他、首都圏、仙台、沖縄支店などの地方支店においてインターネットサービス事業者などからの受注量が拡大したことや金融機関からの新NISA関連事務案件などによる受注量増加などから、当事業部門の売上高は前期比53,472千円増(1.0%増)の5,455,474千円となりました。
(製造系人材サービス事業)
当事業のうち、食品加工部門では、人材派遣から直接雇用への切り替えなどにより一部取引先において受注量が減少しましたが、食肉加工、調味料、缶詰、洋菓子を中心に既存取引先からの受注量が堅調に推移した他、業務用食材事業者などとの新規取引が実現しました。一方、製造加工部門では、自動車製造関連の一部取引先にて受注量が減少しましたが、住宅設備製造、製缶、樹脂成型・加工などの事業者からの受注量が増加したことなどから、当事業の売上高は前期比713,007千円増(10.5%増)の7,531,643千円となりました。また、利益面では、業容拡大に対応すべく体制強化を図るため、人員増強を中心に取り組んだ結果、人件費、採用費などが増加したことなどから、営業利益は前期比1,543千円増(0.6%増)の256,313千円となりました。
(その他)
当事業は、株式会社ジャパン・ビジネス・サービスの子会社である東京自動車管理株式会社における「自動車管理事業」であり、当事業の売上高は、前期比6,186千円減(2.1%減)の283,861千円となり、営業利益は、2024年4月1日から施行された時間外労働時間の上限規制に対応すべく人員の増強を実施したことなどから、前期比5,775千円減(13.1%減)の38,279千円となりました。
(資産の部)
当連結会計年度末における資産合計は19,878,390千円となり、前連結会計年度末に比べ1,331,555千円の減少となりました。その主な要因は、現金及び預金が795,753千円増加したものの、受取手形、売掛金及び契約資産が1,498,530千円、前払費用を含むその他が404,922千円それぞれ減少したことによるものであります。
(負債の部)
当連結会計年度末における負債合計は4,965,490千円となり、前連結会計年度末に比べ1,768,703千円の減少となりました。その主な要因は、預り金が1,030,111千円、未払金が697,461千円それぞれ減少したことによるものであります。
(純資産の部)
当連結会計年度末における純資産合計は14,912,900千円となり、前連結会計年度末に比べ437,147千円の増加となりました。その主な要因は、利益剰余金が405,469千円(親会社株主に帰属する当期純利益により1,829,532千円増加し、配当金の支払により1,424,062千円減少)増加したことによるものであります。
当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下、「資金」という。)の残高は、前連結会計年度末に比べ795,753千円増加して10,724,275千円となりました。当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は、以下のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果、獲得した資金は2,710,718千円(前年同期は6,765,882千円の獲得)となりました。
その主な要因は、預り金の減少で1,030,111千円、未払金の減少で692,275千円それぞれ減少となったものの、税金等調整前当期純利益が2,700,899千円、売上債権及び契約資産の減少で1,498,530千円それぞれ増加となったことによるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果、使用した資金は129,775千円(前年同期は614,741千円の使用)となりました。
その主な要因は、敷金及び保証金の返還による収入で34,524千円増となったものの、有形固定資産及び無形固定資産の取得による支出が99,076千円、敷金及び保証金の差入による支出が49,988千円あったことによるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果、使用した資金は1,785,189千円(前年同期は1,320,566千円の使用)となりました。
その主な要因は、配当金の支払が1,425,294千円、長期借入金の返済による支出が339,872千円あったことによるものであります。
当社グループは、事務系人材サービス事業及び製造系人材サービス事業を営んでおり、提供するサービスの関係上、生産実績の記載に馴染まないため記載しておりません。
当社グループは、事務系人材サービス事業及び製造系人材サービス事業を営んでおり、提供するサービスの関係上、受注実績の記載に馴染まないため記載しておりません。
当連結会計年度における販売実績をセグメント(事業部門含む)ごとに示しますと、以下のとおりであります。
(注)1.当連結会計年度の販売実績を契約形態別に示しますと、以下のとおりであります。
2.主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は以下のとおりであります。
3.当連結会計年度において、事務系人材サービス事業の販売実績に著しい変動がありました。これは、前期に稼働していた大型の福利厚生関連案件の終了や、マイナンバー交付施策に関する案件の規模縮小が大きく影響しました。地方自治体や民間企業からの新規受注はあったものの、これらの減少分を補うまでには至らず、結果として事務系人材サービス事業全体の販売実績が大きく減少しました。
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
当社グループの連結財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。当社の連結財務諸表で採用する重要な会計方針は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項 4.会計方針に関する事項」に記載のとおりであります。この連結財務諸表の作成にあたっては、過去の実績や状況に応じ合理的と考えられる要因等に基づき見積り及び判断を行っておりますが、見積り特有の不確実性があるために実際の結果は異なる場合があります。
(売上高)
BPO関連事業においては、マイナンバー交付施策案件の規模縮小や前期稼働していた大型福利厚生関連案件の終了を受け、未取引地方自治体取引開拓と並行して新規業務領域拡大を推進する一方で経済対策関連案件を中心とした既存業務領域の受注拡大に努めましたが、当第2四半期までに受注を見込んでいた案件につきまして、失注や想定した売上総利益が確保できないと見込まれる案件について応札を見送ったことに加え、当第3四半期以降に受注を見込んでいた経済対策関連案件等についても想定規模を下回る若しくは案件発注が行われなかったことの他、CRM関連事業においても積極的に新規案件開拓に努めましたが、前期稼働していた大型コールセンター業務派遣案件の終了や規模縮小による受注高減少を挽回できなかったことなどから、当連結会計年度の売上高は40,397,672千円となりました。
(売上総利益)
BPO関連事業部門における既存業務領域の業務効率化による売上原価削減等に取り組んだものの、前期稼働していた大型コールセンター業務派遣案件の終了や規模縮小による売上高の減少を挽回できなかったことなどから、当連結会計年度の売上総利益は8,199,473千円となりました。
(販売費及び一般管理費)
製造系人材サービス事業の体制強化を図るため、人件費、採用費などが増加したものの、品質向上とともに業務効率化追求による経費削減に取り組んだことの他、主にBPO関連事業部門における業務委託費や登録者募集費などの節減と効率的運用に努めましたことなどから、当連結会計年度の販売費及び一般管理費は5,506,023千円となりました。
(営業利益、経常利益及び親会社株主に帰属する当期純利益)
以上の結果、営業利益は2,693,450千円、経常利益は2,700,899千円、親会社株主に帰属する当期純利益は1,829,532千円となりました。
当社グループは、給与等の人件費及び人材確保のための就業スタッフ及び社員の募集・採用費等を主とする運転資金並びに業務効率化のための社内基幹システムの整備・向上等を目的とする設備投資資金につきましては、事業収益から得られる自己資金で賄っておりますが、借入金及び社債につきましては、必要に応じて短期借入金・長期借入金や社債の発行により調達しております。
当社グループでは、現状、営業活動によるキャッシュ・フローや現金及び現金同等物の残高から、資金の流動性は十分に確保されているものと判断しておりますが、不測の事態に備え、金融機関との間で合計790,000千円の当座貸越契約を締結しております。
経営者の問題意識と今後の方針については、「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載のとおりであります。
経営成績に重要な影響を与える要因につきましては、「第2 事業の状況 3 事業等のリスク」に記載のとおりであります。
当社グループは、売上高、営業利益、親会社株主に帰属する当期純利益及び自己資本当期純利益率(ROE)を重要な経営指標と位置づけ、これらの指標を経営上の目標として持続的な企業価値の向上に努めており、それぞれの指標の計画及び達成状況は以下のとおりであります。
当連結会計年度における業績は、売上高が40,397,672千円、営業利益が2,693,450千円、自己資本当期純利益率12.6%となりました。
当社グループの2026年3月期を1年目とする中期経営方針では、主力である事務系人材サービス事業BPO関連事業部門の取引基盤の拡大を図るべく、地方自治体に対しては、引き続き未取引地方自治体の取引開拓の推進と並行して業務領域拡大と複数年度に跨る長期案件受注の比率向上に重点的に取り組んでまいります。さらに各地方自治体との取引基盤を一層強固にするため、専門家人材の招聘、DX化推進などによる業務領域の拡大への態勢強化を図るとともに、取引先満足度向上、業務改善・品質向上に向けた運用体制強化についても取り組んでまいります。一方、民間企業に対しては、取引基盤の拡大と強化を図るべく、新規取引先開拓と業務領域拡大さらに新規業務開発を並行して推進してまいります。しかしながら、当連結会計年度において発生した失注や想定した売上総利益が確保できないと見込まれる案件について応札を見送った事象などを踏まえて、2026年3月期につきましては、5%程度の成長として、売上高42,545,000千円をめざしてまいります。
また、利益面においては、中長期的な持続的成長を確実とするために事務系人材サービス事業、製造系人材サービス事業双方において、新規事業開発・業務多様化への調査・開発関連経費の増加、業務効率化や品質向上を含めた競争力強化を図るべくIT化やDX化を推進するためのシステム開発費の増加、さらにこれらの業務に従事する専門家人材の招聘などの投資を積極的に実施する予定であることから、2026年3月期は、営業利益2,706,000千円、自己資本当期純利益率12.3%と予想しております。
該当事項はありません。
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