第一部 【企業情報】
第1 【企業の概況】
1 【主要な経営指標等の推移】
(1) 連結経営指標等
回次
|
第20期
|
第21期
|
第22期
|
第23期
|
第24期
|
決算年月
|
2021年3月
|
2022年3月
|
2023年3月
|
2024年3月
|
2025年3月
|
売上高
|
(千円)
|
8,941,797
|
7,997,883
|
17,175,665
|
20,598,568
|
21,072,470
|
経常利益又は経常損失(△)
|
(千円)
|
△2,357,946
|
1,598,512
|
△1,103,274
|
△74,278
|
253,003
|
親会社株主に帰属する 当期純利益又は親会社株主に帰属する当期純損失(△)
|
(千円)
|
△3,546,740
|
31,415
|
△1,312,757
|
△452,903
|
△36,858
|
包括利益
|
(千円)
|
△3,557,736
|
18,066
|
△1,243,761
|
△397,386
|
△127,010
|
純資産額
|
(千円)
|
523,389
|
543,391
|
118,441
|
167,481
|
△50,726
|
総資産額
|
(千円)
|
10,011,209
|
9,684,341
|
9,139,867
|
8,276,674
|
7,688,722
|
1株当たり純資産額
|
(円)
|
△84.94
|
△89.17
|
△106.43
|
△102.14
|
△111.65
|
1株当たり当期純損失(△)
|
(円)
|
△474.64
|
△2.75
|
△126.43
|
△44.35
|
△7.53
|
潜在株式調整後1株当たり当期純利益
|
(円)
|
-
|
-
|
-
|
-
|
-
|
自己資本比率
|
(%)
|
4.4
|
4.7
|
0.4
|
1.3
|
△0.8
|
自己資本利益率
|
(%)
|
-
|
7.0
|
-
|
-
|
-
|
株価収益率
|
(倍)
|
-
|
145.1
|
-
|
-
|
-
|
営業活動による キャッシュ・フロー
|
(千円)
|
△3,555,241
|
113,301
|
1,023,114
|
250,682
|
541,222
|
投資活動による キャッシュ・フロー
|
(千円)
|
△234,946
|
△580,788
|
△560,377
|
△68,148
|
△818,118
|
財務活動による キャッシュ・フロー
|
(千円)
|
4,129,547
|
△284,049
|
△159,641
|
△386,319
|
△442,568
|
現金及び現金同等物の 期末残高
|
(千円)
|
2,207,948
|
1,486,536
|
1,817,678
|
1,646,878
|
917,313
|
従業員数
|
(人)
|
717
|
696
|
722
|
723
|
706
|
〔ほか、平均臨時雇用人員〕
|
〔395〕
|
〔395〕
|
〔774〕
|
〔909〕
|
〔935〕
|
(注) 1 潜在株式調整後1株当たり当期純利益金額については、潜在株式は存在するものの1株当たり当期純損失であるため、記載しておりません。
2 従業員数は就業人員であり、臨時雇用者数(アルバイト)は、年間平均雇用人員(1日1人8時間換算)を〔〕外数で記載しております。
3 第20期、第22期、第23期及び第24期の自己資本利益率及び株価収益率については、親会社株主に帰属する当期純損失を計上しているため記載しておりません。
4 1株当たり純資産額については、純資産から優先株式等に係る純資産額を控除して算定しております。
5 「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号2020年3月31日)等を第21期の期首から適用しており、第21期以降に係る主要な経営指標等については、当該会計基準等を適用した後の指標等となっております。
(2) 提出会社の経営指標等
回次
|
第20期
|
第21期
|
第22期
|
第23期
|
第24期
|
決算年月
|
2021年3月
|
2022年3月
|
2023年3月
|
2024年3月
|
2025年3月
|
売上高
|
(千円)
|
3,037,496
|
1,497,378
|
2,104,101
|
2,042,780
|
2,052,714
|
経常利益又は経常損失(△)
|
(千円)
|
△881,249
|
1,066,838
|
261,448
|
△88,657
|
194,838
|
当期純利益又は当期純損失(△)
|
(千円)
|
△3,257,201
|
329,659
|
△1,300,186
|
△397,276
|
△353,980
|
資本金
|
(千円)
|
50,000
|
50,000
|
50,000
|
50,000
|
50,000
|
発行済株式総数 普通株式 A種優先株式 B種優先株式
|
(株) (株) (株)
|
10,331,950 1,000 300
|
10,331,950 1,000 300
|
12,266,150 1,000 300
|
12,883,150 1,000 300
|
12,883,150 1,000 300
|
純資産額
|
(千円)
|
231,125
|
560,785
|
78,132
|
161,441
|
△210,238
|
総資産額
|
(千円)
|
7,573,803
|
7,574,518
|
7,454,393
|
5,826,706
|
5,290,164
|
1株当たり純資産額
|
(円)
|
△106.52
|
△79.77
|
△103.29
|
△98.27
|
△124.14
|
1株当たり配当額 普通株式 A種優先株式 B種優先株式
|
(円) (円) (円)
|
- - -
|
- 50,410.96 29,476.71
|
- 11,073.25 6,422.49
|
- 79,812.61 46,291.31
|
- - -
|
(1株当たり中間配当額) 普通株式 A種優先株式 B種優先株式
|
(円) (円) (円)
|
(-) (-) (-)
|
(-) (-) (-)
|
(-) (-) (-)
|
(-) (-) (-)
|
(-) (-) (-)
|
1株当たり当期純利益又は当期純損失(△)
|
(円)
|
△435.90
|
26.75
|
△125.23
|
△33.29
|
△32.53
|
潜在株式調整後1株当たり当期純利益金額
|
(円)
|
-
|
-
|
-
|
-
|
-
|
自己資本比率
|
(%)
|
2.9
|
7.3
|
0.9
|
2.6
|
△4.1
|
自己資本利益率
|
(%)
|
-
|
84.9
|
-
|
-
|
-
|
株価収益率
|
(倍)
|
-
|
13.8
|
-
|
-
|
-
|
配当性向
|
(%)
|
-
|
-
|
-
|
-
|
-
|
従業員数
|
(人)
|
51
|
50
|
64
|
55
|
54
|
〔ほか、平均臨時雇用人員〕
|
|
〔6〕
|
〔4〕
|
〔5〕
|
〔3〕
|
〔6〕
|
株主総利回り
|
(%)
|
111.8
|
106.6
|
175.4
|
228.1
|
212.8
|
(比較指標:配当なしTOPIX)
|
(%)
|
(139.3)
|
(138.7)
|
(142.8)
|
(197.3)
|
(189.5)
|
最高株価
|
(円)
|
534
|
550
|
915
|
1,054
|
1,030
|
最低株価
|
(円)
|
355
|
410
|
435
|
720
|
800
|
(注) 1 第20期、第22期、第23期及び第24期の潜在株式調整後1株当たり当期純利益金額については、潜在株式は存在するものの1株当たり当期純損失であるため、記載しておりません。
2 第21期の潜在株式調整後1株当たり当期純利益金額については、希薄化効果を有している潜在株式が存在しないため記載しておりません。
3 従業員数は就業人員であり、臨時雇用者数(アルバイト)は、年間平均雇用人員(1日1人8時間換算)を〔〕外数で記載しております。
4 第20期、第22期、第23期及び第24期の自己資本利益率及び株価収益率については、当期純損失を計上しているため記載しておりません。
5 最高株価及び最低株価は、2022年4月3日以前は東京証券取引所市場第一部におけるものであり、2022年4月4日以降は東京証券取引所スタンダード市場におけるものであります。
6 1株当たり純資産については、純資産から優先株式等に係る純資産額を控除して算定しております。
7 「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号2020年3月31日)等を第21期の期首から適用しており、第21期以降に係る主要な経営指標等については、当該会計基準等を適用した後の指標等となっております。
2 【沿革】
年月
|
概要
|
2001年10月
|
東京都八王子市に飲食店のプロデュース等を事業目的とした㈲エー・ピーカンパニーを設立
|
2004年8月
|
地鶏モデル1号店「わが家八王子店」をオープン
|
2006年2月
|
宮崎県日南市に子会社、㈲エー・ピーファームを設立 同市内に自社農場を建設し、みやざき地頭鶏(じとっこ)の生産を開始
|
2006年6月
|
㈲エー・ピーカンパニーを㈱エー・ピーカンパニー(現当社)へ商号変更
|
2006年12月
|
鮮魚モデル1号店「魚米新宿店」をオープン
|
2007年6月
|
ホルモンモデル1号店「関根精肉店八王子」をオープン
|
2007年8月
|
「じとっこ」ブランドのライセンス展開を開始
|
2007年11月
|
宮崎県日南市に加工場を建設、食品加工業務を開始
|
2007年11月
|
「宮崎県日南市塚田農場」ブランドの出店開始
|
2010年2月
|
「芝浦食肉」ブランドの出店開始
|
2010年3月
|
㈱セブンワーク(現㈱豊洲漁商産直市場)(現持分法適用会社)を子会社化し、流通事業を本格化
|
2010年4月
|
当社100%子会社の㈲エー・ピーファームと㈱地頭鶏ランド日南が合併し、㈱地頭鶏ランド日南が存続会社として連結子会社となる
|
2010年6月
|
㈱セブンワーク(現㈱豊洲漁商産直市場)(現持分法適用会社)が東京都中央卸売市場大田市場青果部の売買参加権を取得し、青果物の卸売業務を開始
|
2010年12月
|
宮崎県延岡市島野浦の定置網漁業者と提携(※)し、当日朝水揚げされた鮮魚を当日提供する「今朝獲れ便」を開始
|
2011年6月
|
十勝新得フレッシュ地鶏事業協同組合と提携すると共に、北海道上川郡新得町に子会社、㈱新得ファーム(現連結子会社)を設立し、自社農場での新得地鶏の生産を開始
|
2011年7月
|
鮮魚モデルの主力ブランド「四十八漁場」の出店開始
|
2011年7月
|
宮崎県延岡市に子会社、㈱プロジェクト48を設立し、漁協組合員との共同経営による定置網漁業を開始
|
2011年8月
|
「十勝新得塚田農場」ブランド出店開始
|
2012年3月
|
鹿児島県黒さつま鶏生産者と提携し「鹿児島県霧島市塚田農場」ブランド出店開始
|
2012年3月
|
鹿児島県霧島市に自社農場を建設、黒さつま鶏の生産開始
|
2012年7月
|
シンガポールに子会社、AP Company International Singapore Pte., Ltd.(現連結子会社)を設立
|
2012年9月
|
当社株式を東京証券取引所マザーズ市場に上場
|
2012年10月
|
シンガポールに「塚田農場」ブランド店舗の海外1号店をオープン
|
2013年3月
|
㈱エーピーアセットマネジメントを設立し、㈱農林漁業成長産業化支援機構より機構と共同でファンドを設立する承認をうける
|
2013年4月
|
宮崎県西都市に自社処理場、加工場を建設し、宮崎県における地鶏の生産拡大
|
2013年6月
|
㈱セブンワーク(現㈱豊洲漁商産直市場)(現持分法適用会社)が、東京都大田区に魚などの配送センターを設置
|
2013年7月
|
エー・ピー6次産業化ファンドの設立
|
年月
|
概要
|
2013年9月
|
当社株式を東京証券取引所市場第一部へ市場変更
|
2013年10月
|
鹿児島県霧島市に子会社、㈱カゴシマバンズ(現連結子会社)を設立し、自社農場での黒さつま鶏の生産準備を開始
|
2014年1月
|
青森県のマグロの加工会社(6次産業化事業体)へ出資し、調達機能を強化
|
2014年3月
|
本社を東京都港区赤坂から東京都港区芝大門に移転
|
2014年4月
|
㈱農林漁業成長産業化機構より、エー・ピー6次産業化ファンドの第1号案件の承認を受け、6次産業化事業体への投資を実行
|
2014年7月
|
宅配弁当事業「おべんとラボ」を開始
|
2014年8月
|
鹿児島県霧島市に自社処理場、加工場を建設し、鹿児島県産品の生産拡大を整備
|
2014年8月
|
新鮮組フードサービス㈱(現連結子会社)を子会社化し、飲食店舗網を拡大
|
2014年12月
|
アメリカ合衆国に子会社、AP Company USA Inc.(現連結子会社)を設立
|
2015年7月
|
㈱塚田農場プラス(現連結子会社)を設立及び新木場に製造工場を建設して弁当事業を拡大
|
2015年11月
|
香港に子会社、AP Company HongKong Co., Ltd.(現連結子会社)を設立
|
2016年4月
|
北京健農飲食管理有限公司を子会社化し、中国に出店開始(2019年2月撤退)
|
2016年12月
|
エー・ピー6次産業化ファンドの第2号案件の承認を受け、宮崎県都農町のワイナリーである㈱都農ワインへ投資を実行
|
2017年1月
|
インドネシアに子会社、PT.APC International Indonesia(現連結子会社)を設立
|
2018年12月
|
㈱リアルテイストを子会社化し、飲食店舗網を拡大
|
2019年5月
|
㈱APスタンディングフーズを設立
|
2020年4月
|
おうち塚田農場(現・塚田農場オンラインストア)を本格始動
|
2020年6月
|
本社を東京都港区芝大門から東京都港区高輪に移転
|
2020年10月
|
会社分割による持株会社体制へ移行し、商号を株式会社エー・ピーホールディングスへ変更 連結子会社である株式会社エー・ピーホールディングス準備会社を株式会社エー・ピーカンパニーに商号変更し、当社の店舗運営事業を継承
|
2021年3月
|
㈱セブンワークを㈱豊洲漁商産直市場(現持分法適用会社)へ商号変更
|
2021年7月
|
㈱AP B.CUE、㈱AP Restoryを設立
|
2021年12月
|
東京証券取引所新市場区分における「スタンダード市場」を選択
|
2022年4月
|
東京証券取引所の市場区分の見直しにより市場第一部からスタンダード市場へ移行
|
2022年4月
|
グループ初となる専門店の複合業態「ARTISAN APARTMENT」を八王子に出店
|
2023年12月
|
連結子会社であった㈱AP B.CUE、㈱AP Restory及び㈱APスタンディングフーズを株式会社エー・ピーカンパニー(現連結子会社)へ吸収合併
|
2024年3月
|
エー・ピー6次産業化ファンドの出資案件である、宮崎県都農町の㈱都農ワインとの資本関係を解消し、経営参画が終了
|
2024年12月
|
エー・ピー投資事業有限責任組合清算結了
|
2025年3月
|
㈱エーピーアセットマネジメント清算結了
|
2025年3月
|
㈱リアルテイストを株式会社FS.shakeに譲渡する株式譲渡契約を締結 (2025年5月30日株式譲渡完了)
|
※ 生産者との間で、商品の売買取引だけでなく、生産方法等を共同で企画すると共に、生産状況や出店・販売状況等の情報を相互共有することを「提携」と記載しています。以下本書各頁においても同様です。
3 【事業の内容】
当社グループは(当社及び当社の関係会社)は、当社、連結子会社14社、持分法適用関連会社1社の計16社で構成され、「食のあるべき姿を追求する」という共通の経営理念のもとで、食産業において、地鶏や鮮魚等の食材の生産から流通、外食店舗を主とする販売までを一貫して手掛ける「生販直結モデル」による総合的な事業展開をおこなっております。
「生販直結モデル」においては、販売店舗の運営を通じて消費動向を把握しながら、潜在的な競争力を有する全国各地の第一次産業の生産者や行政と直接提携・信頼関係を構築していきます。この生産・販売の直接関係により、無駄な中間流通コストをカットするだけでなく、その商品は誰がどのように生産されたものかを継続して把握することができます。また、当社自身も直営農場や加工場等の設営を行うことで産地を知り、生産者の想いを共有することができます。次に、最適な物流手段や加工方法等の独自の流通ソリューションを立案することで、物流コスト、鮮度及び余剰・未利用品等の課題を解決しています。そして、ブランドストーリーの考案と商品企画により生産地・産品をブランド化するのに加えて、生産者直営店舗であることで安心・低価格・高品質であることを直接伝えることができます。さらに、販売店舗における顧客感動満足を追求する独自の販促手法により、付加価値を高めて消費者に提供しています。このネットワークと一連のプロセスにより、第一次産業の生産者には適正価格で継続的に出荷できることで安心して生産に従事できる環境を、地域には産業の活性化と現地雇用の促進を、販売においては安全で高品質な商品と生産者の想いを背負う社会的意義を、そして消費者に対しては従来よりも高品質低価格な商品・サービスを提供することが可能となり、食産業におけるALL-WINを達成しています。
なお、当社は特定上場会社等に該当し、インサイダー取引規制の重要事実の軽微基準のうち、上場会社の規模との対比で定められる数値基準については連結ベースの計数に基づいて判断することとなります。
当社及び当社の関係会社の事業の位置付け及びセグメントとの関連は、次のとおりであります。なお、以下の2事業はセグメントと同一の区分であります。
当社グループの事業に関わる位置付けは次のとおりであります。
区分
|
会社名
|
事業内容
|
統括事業
|
㈱エー・ピーホールディングス
|
当社グループの統括事業
|
国内販売事業
|
㈱エー・ピーカンパニー 新鮮組フードサービス㈱ ㈱リアルテイスト(注3)
|
国内飲食店の経営及び ライセンス事業の展開
|
国内中食事業
|
㈱塚田農場プラス
|
弁当製造販売
|
生産流通事業
|
㈱地頭鶏ランド日南 ㈱新得ファーム ㈱カゴシマバンズ ㈱豊洲漁商産直市場 (注4)
|
食材の生産及び加工販売
|
海外販売事業
|
AP Company International Singapore Pte.,Ltd. AP Company USA Inc. AP Company Kalakaua LLC AP Bijinmen 1 LLC AP Company HongKong Co., Ltd. AP Place Hong Kong Co., Ltd. PT.APC International Indonesia
|
海外各地域における飲食店の経営
|
(注)1 2024年12月16日付でエー・ピー投資事業有限責任組合は、清算結了したため連結の範囲から除外しております。
2 2025年3月28日付で㈱エーピーアセットマネジメントは、清算結了したため連結の範囲から除外しております。
3 2025年3月31日開催の当社の取締役会において、㈱リアルテイストの全株式を㈱FS.shakeへ譲渡する株式譲渡契約を締結し、2025年5月30日付で全株式を譲渡いたしました。
4 ㈱豊洲漁商産直市場は持分法適用関連会社であります。
生産流通事業
当事業は、「生販直結モデル」の一部として、全国各地の潜在的な競争力を有しながら流通していない食材を選定し、その産地の生産者や行政と直接関係を構築の上で、現地法人を通じて食材の生産及び加工販売を行っております。また、物流コスト、鮮度、余剰部位、店舗納品頻度等、生産地と販売の双方の課題に対して、最適な流通ソリューションの提供を行っております。
具体的には、地鶏への取組みとして、宮崎県が生産管理する「みやざき地頭鶏」について、宮崎県日南市の生産者と行政の理解の下、2006年に現地法人による自社養鶏場での生産を開始、2007年には加工場を建設、2010年には雛センター及び食鳥処理場を統合し、現地における生産一貫体制を確立しました。この取組みをモデルとして、北海道新得町の現地生産組合等と連携の上、現地法人による「新得地鶏」の自社農場での加工と販売を、2012年より鹿児島県の行政や生産者等と連携し「黒さつま鶏」の自社農場での生産と販売を開始し、順次拡大しております。
鮮魚への取組みとして、2010年より宮崎県島野浦の定置網より始まり、宮城県や福井県など多様な地域の漁業事業者と、仲卸業者や卸売市場を通さない直接取引、販売を順次拡大しています。以前実施していた、当日朝に水揚げされた水産物を夕方に首都圏店舗に届ける「今朝獲れ便」は、他社とは異なる強みを持っているため、再導入を検討しております。鮮度向上、未利用魚を加工しての商品化等の付加価値向上のため、高品質低価格を実現するとともに、漁業者からの適正価格での買取を継続しております。また、羽田空港近くに鮮魚の配送センターを設置し、自社流通の整備も徐々に取り組んでおります。
その他への取組みとして、関係会社において2010年に東京都中央卸売市場の大田市場青果部の売買参加権を取得し、同市場で青果物の直接買入と販売を行っているほか、青果物について全国各地の生産者との直接取引、販売を行っております。
当社グループの主な養鶏施設および加工施設の概要は次のとおりであります。
所在地
|
施設名
|
内容
|
宮崎県日南市
|
提携養鶏場
|
みやざき地頭鶏の養鶏
|
雛センター
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種鶏の飼育、産卵、孵化
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処理場
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食鳥処理
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加工場
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食肉の二次加工
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宮崎県東諸郡綾町
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雛センター
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種鶏の飼育、産卵、孵化
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宮崎県西都市
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処理加工場
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食鳥処理、食肉の二次加工
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鹿児島県霧島市
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提携養鶏場
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黒さつま鶏の養鶏
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雛センター
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種鶏の飼育、産卵、孵化
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処理加工場
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食鳥処理、食肉の二次加工
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北海道上川郡新得町
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自社養鶏場
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新得地鶏の養鶏
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(主な関係会社)㈱地頭鶏ランド日南、㈱新得ファーム、㈱カゴシマバンズ、㈱豊洲漁商産直市場
販売事業
販売事業では、「生販直結モデル」の一部として、主に外食店舗及び中食事業を運営しております。行動制限の緩和による経済活動の活性化やインバウンド需要の増加に伴い、客数は順調な回復傾向となっており経済活動の正常化が進みました。
国内飲食事業では、このような消費環境の変化に対応し、既存事業のリブランディングを進め、付加価値の高い商品の開発や販売におけるサービスの更なる強化に取り組んでおります。また、人的資本経営を引き続き推進し、商品開発機能・マーケティング機能・クリエイティブ機能を前線化させる事業部採算制を導入することで、各ブランド単位での戦略の企画・立案・実行が可能となり、グループ全体の持続的な成長と企業価値の更なる向上を図っております。
具体的には、既存事業のリブランディングを進め、塚田農場小滝橋店、四十八漁場西新宿店をそれぞれ改装し、各ブランドの旗艦店と位置付け、付加価値の高い商品の開発や販売におけるサービスの更なる強化に取り組んでおります。この旗艦店で培った店舗設計やサービス、商品構成を地方店舗にも展開し、鶏屋塚田農場福井店・四十八漁場つくば店の2店舗を出店するなど、地方エリアへの新規出店を積極的に推進いたしました。また、横浜駅直結の商業施設・横浜ポルタに、寿司・天ぷら・うなぎの3業態複合型店舗「江戸前横丁」をオープンいたしました。時間帯を問わない営業モデルを構築し、従来の夜間メインの横丁スタイルからの脱却を実現し、ランチ需要の積極的な取り込みと夜間需要の維持を両立させた新たな飲食モデルの確立に注力しております。
当社連結子会社で運営する中食事業も宅配弁当やエキナカ、商業施設店舗での弁当販売が引き続き堅調であり当連結会計年度では過去最高の売上高を達成いたしました。また、当社グループの強みである生産者との繋がりを生かして、「岩手県大船渡漁港 目利きが選んだ天然真鯛の極上鯛めし幕ノ内」が、日本食糧新聞社が主催する「第16回ファベックス 惣菜・べんとうグランプリ2025」の「地方食材・調理法部門」(全8部門)で、金賞を受賞いたしました。引き続き一次産業の活性化に寄与してまいります。
海外飲食事業については、飲食需要の落ち込みの影響を受けている国が多い中、特に香港において物価上昇や経済環境の不確実性に加え、消費者の行動様式が変化した事により、香港内での個人消費が大きく減退しております。一方で、5店舗を出店しているインドネシアは好調を維持しており、堅調に推移をしております。
2025年3月31日現在の詳細は下表のとおりです。
販売形態
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セグメント
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店舗ブランド
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外食
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居酒屋
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宮崎県日南市塚田農場 鹿児島県霧島市塚田農場 北海道シントク町塚田農場 炭火焼鳥塚田農場 じとっこ組合 など
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専門店
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四十八漁場・なきざかな・芝浦食肉・希鳥・ 焼鳥つかだ・やきとりスタンダード など
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レストラン
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Nacamoguro・しゃぶしゃぶつかだ・串亭・ 立ち寿司横丁・裏の山の木の子 など
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海外
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海外店舗
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中食
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中食
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宅配、エキナカ、商業施設、フードコートなど
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(主な関係会社)㈱エー・ピーカンパニー、㈱塚田農場プラス、㈱リアルテイスト
AP Company International Singapore Pte., Ltd.、
AP Company USA Inc.、PT.APC International Indonesia
AP Place Hong Kong Co., Ltd.
4 【関係会社の状況】
名称
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住所
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資本金又は 出資金
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主要な事業 の内容
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議決権の 所有割合(%)
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関係内容
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(連結子会社)
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㈱エー・ピーカンパニー
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東京都港区
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1,000千円
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販売事業
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100.0
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役員の兼任5名
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㈱地頭鶏ランド日南
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宮崎県日南市
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4,200千円
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生産流通事業
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100.0
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当社への販売目的として主に地鶏の生産及び加工をしております。 債務保証をしております。 役員の兼任3名。
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㈱新得ファーム
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北海道上川郡 新得町
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3,000千円
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生産流通事業
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100.0
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当社への販売を目的として主に地鶏の生産をしております。 資金の貸付をしております。 役員の兼任1名。
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AP Company International Singapore Pte., Ltd. (注)3
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シンガポール
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4,500千SGD
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販売事業
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100.0
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資金の貸付を行っております。 役員の兼任1名。
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㈱カゴシマバンズ (注)3
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鹿児島県霧島市
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31,500千円
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生産流通事業
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98.5
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債務保証を行っております。 役員の兼任2名。
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新鮮組フードサービス㈱ (注)3
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東京都港区
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20,000千円
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販売事業
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100.0
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役員の兼任3名。
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AP Company USA Inc. (注)3
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アメリカ合衆国
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500千USD
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販売事業
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100.0
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資金の貸付を行っております。 役員の兼任1名。
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AP Company Kalakaua LLC
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アメリカ合衆国
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200千USD
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販売事業
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100.0 (100.0)
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役員の兼任1名
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AP Bijinmen 1 LLC
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アメリカ合衆国
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200千USD
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販売事業
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100.0 (100.0)
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役員の兼任1名
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㈱塚田農場プラス (注)3
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東京都港区
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20,000千円
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販売事業
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100.0
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役員の兼任3名。
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AP Company Hong Kong Co., Ltd.(注)3
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香港
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36,750千HKD
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販売事業
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100.0
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役員の兼任1名
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AP Place Hong Kong Co., Ltd. (注)3
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香港
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14,700千HKD
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販売事業
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100.0
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資金の貸付を行っております。 役員の兼任1名。
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PT.APC International Indonesia (注)3
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インドネシア
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12,969百万 IDR
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販売事業
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100.0 (99.0)
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役員の兼任2名。
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㈱リアルテイスト (注)3、8
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東京都港区
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10,000千円
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販売事業
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100.0 (100.0)
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債務保証をしております。 役員の兼任3名
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(持分法適用関連会社)
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㈱豊洲漁商産直市場
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東京都大田区
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40,000千円
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生産流通事業
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49.0
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-
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(注)1 「主要な事業の内容」欄には、セグメントの名称を記載しております。
2 「議決権の所有割合」欄の()は内数で、間接所有割合であります。
3 特定子会社であります。
4 有価証券届出書又は有価証券報告書を提出している会社はありません。
5 関係内容については期末日現在の状況を記載しております。
6 2024年12月16日付でエー・ピー投資事業有限責任組合は、清算結了したため連結の範囲から除外しております。
7 2025年3月28日付で㈱エーピーアセットマネジメントは、清算結了したため連結の範囲から除外しております。
8 2025年3月31日開催の当社の取締役会において、㈱リアルテイストの全株式を㈱FS.shakeへ譲渡する株式譲渡契約を締結し、2025年5月30日付で全株式を譲渡いたしました。
9 以下の会社は売上高(連結会社相互間の内部売上高を除く)の連結売上高に占める割合が10%を超えています。主要な損益情報等は次のとおりであります。
会社名
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売上高 (百万円)
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経常利益 (百万円)
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当期純利益 (百万円)
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純資産額 (百万円)
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総資産額 (百万円)
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㈱エー・ピーカンパニー
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14,058
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163
|
156
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△3,366
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1,413
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㈱塚田農場プラス
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3,010
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7
|
2
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63
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440
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5 【従業員の状況】
(1) 連結会社の状況
2025年3月31日現在
セグメントの名称
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従業員数(名)
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生産流通事業
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26
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〔53〕
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販売事業
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626
|
〔876〕
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全社(共通)
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54
|
〔6〕
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合計
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706
|
〔935〕
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(注)従業員数は就業人員であり、臨時雇用者数(アルバイト)は、年間平均雇用人員(1日1人8時間換算)を〔〕外数で記載しております。
(2) 提出会社の状況
2025年3月31日現在
従業員数(名)
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平均年齢(歳)
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平均勤続年数(年)
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平均年間給与(円)
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54
|
〔6〕
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42.4
|
8.5
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5,355,000
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(注)1 従業員数は就業人員であり、臨時雇用者数(アルバイト)は、当事業年度の平均雇用人員(1日1人8時間換算)を〔〕外数で記載しております。
2 平均年間給与は、基準外賃金を含んでおります。
セグメントの名称
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従業員数(名)
|
全社(共通)
|
54
|
〔6〕
|
合計
|
54
|
〔6〕
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(3) 労働組合の状況
労働組合は結成されておりませんが、労使関係は円満に推移しております。
(4) 女性管理職比率・男性育休取得率・男女間賃金格差
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管理職に占める 女性従業員の割合 (%)(注)1
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男性の育児 休職取得率 (%)(注)3
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男女の賃金格差(%)(注)4
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全労働者
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正規雇用 労働者
|
パート・ 有期労働者
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提出会社
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47.6
|
100.0
|
76.7
|
87.4
|
60.5
|
販売事業
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9.1
|
56.3
|
48.9
|
83.4
|
77.8
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(注)1 「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律」(平成27年法律第64号)の規定に基づき算出したものであります。
2 集計セグメントは、提出会社及び国内販売事業のみとしております。
3 「育児休業、介護休業等育児又は葉族介護を行う労働者の福祉に関する法律」(平成3年法律第76号)の規定に基づき、「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律施行規則」(平成3年労働省令第25号)第71条6第1号における育児休業等の取得割合を算出したものであります。
4 男女間賃金格差については、男性の賃金に対する女性の賃金の割合を示しております。なお、同一労働の賃金差はなく、等級別人数構成の差によるものでありますが女性管理職比率の向上は、当社としても重要な課題と認識しており、ダイバーシティ推進に向けた活動を行っております。詳細は、第2 事業の状況 2「サステナビリティに関する考え方及び取組」の(2)戦略 に記載しております。