名称 株式会社M
所在地 東京都千代田区有楽町一丁目13番2号第一生命日比谷ファースト18階
普通株式
3 【当該公開買付けに関する意見の内容、根拠及び理由】
当社は、2025年6月30日開催の当社取締役会において、下記「(2) 意見の根拠及び理由」に記載の根拠及び理由に基づき、本公開買付けに賛同する意見を表明するとともに、当社の株主の皆様に対し、本公開買付けへの応募を推奨する旨を決議いたしました。
なお、当該取締役会決議は、下記「(6) 本公開買付価格の公正性を担保するための措置及び利益相反を回避するための措置等、本公開買付けの公正性を担保するための措置」の「⑥ 当社における利害関係を有しない取締役全員(監査等委員を含む。)の承認」に記載の方法により決議されております。
本「(2) 意見の根拠及び理由」の記載のうち、公開買付者に関する記載については、公開買付者から受けた説明に基づいております。
公開買付者は、本公開買付けを通じて株式会社東京証券取引所(以下「東京証券取引所」といいます。)プライム市場に上場している当社の普通株式(以下「当社株式」といいます。)の全てを取得及び所有することを主たる目的として2025年1月14日に設立された株式会社とのことです。本書提出日現在において、J-STAR株式会社(以下「J-STAR」といいます。)の役職員(以下「J-STAR役職員」といいます。)が出資する合同会社であるJSHD合同会社(以下「JSHD」といいます。)が、公開買付者の発行済株式の全てを所有しているとのことです。なお、本書提出日現在、公開買付者、J-STAR、J-STAR役職員、JSHD及びJ-STARファンド(以下で定義します。)は、いずれも当社株式を所有していないとのことです。
J-STARは、2006年2月に創業した国内独立系の投資会社で、主に未公開株式への投資を行うプライベート・エクイティ投資、その中でも経営権を取得し、当該事業価値の向上を図るバイアウト投資事業を手がけているとのことです。J-STARは、企業・経営陣の課題解決、成長ストーリーを重視した投資提案を行うとともに、(ⅰ)優れた経営者や幹部社員の存在、(ⅱ)ファンドマネジャーの関与による付加価値増大の余地、(ⅲ)市場地位やビジネスモデルなどの特異性や優位性を投資基準に、ファンドマネジャー達の経験、知見、スキルが活かされ易い、中堅企業の案件を主要投資対象にした投資関連サービスを提供しているとのことです。本書提出日現在、J-STARは、自ら又はその子会社を通じて投資機会の調査及び紹介並びに投資先の育成等に係る投資関連サービスを提供するファンド(当該ファンドが受け皿会社として新たに設立又は取得する会社を含みます。)を通じて、株式会社ハルメク(旧いきいき株式会社)、太平洋精機株式会社、日本ホスピスホールディングス株式会社、株式会社アイセイ薬局、株式会社越後屋、横井製作所株式会社、株式会社ホットパレット、株式会社ダイニチ、株式会社シンシア、株式会社トイファクトリー、株式会社スコア・ジャパン、株式会社徳山商会など多岐に渡る業種に属する65社への投資実績を有しているとのことです。
今般、公開買付者は、当社株式を非公開化することを目的とする一連の取引(以下「本取引」といいます。)の一環として、本公開買付けを実施し、当社株式の全て(但し、当社が所有する自己株式及び本不応募合意株式(以下において定義します。以下同じです。)を除きます。)を取得することとしたとのことです。なお、本取引は、いわゆるマネジメント・バイアウト(MBO)(注1)に該当し、当社の代表取締役社長であり主要株主かつ第2位株主である松元孝義氏(以下「松元孝義氏」といいます。所有株式数:2,935,200株(注2)、所有割合(注3):21.17%)は、本取引後も継続して当社の代表取締役として経営にあたることを予定しているとのことです。松元孝義氏並びにJ-STARがジェネラル・パートナーとして管理運営する、ケイマン諸島法に基づき設立されたエグゼンプテッド・リミテッド・パートナーシップであるJ-STAR No.5-A, LP、及びJ-STARが自ら又はその子会社を通じて投資機会の調査及び紹介並びに投資先の育成等に係る投資関連サービスを提供するケイマン諸島法に基づき設立されたエグゼンプテッド・リミテッド・パートナーシップであるJ-STAR No.5-B, LP、J-STAR No.5-C, LP、J-STAR No.5-D, LP及びJ-STAR No.5-E, LP(J-STAR No.5-A, LP J-STAR No.5-B, LP、J-STAR No.5-C, LP、J-STAR No.5-D, LP及びJ-STAR No.5-E, LPを総称して、以下「J-STARファンド」といいます。)は、2025年6月30日、本取引完了後の公開買付者及び当社の運営並びに公開買付者株式の取扱い等について定めた株主間契約(以下「本株主間契約」といいます。)を締結しているとのことです。なお、JSHDは、本公開買付けの成立後、本公開買付けに係る決済の開始日(以下「本決済開始日」といいます。)までに、JSHDが所有する公開買付者の発行済株式の全てをJ-STARファンドに譲渡する予定とのことです。
本株主間契約の詳細につきましては、下記「(7) 本公開買付けに係る重要な合意に関する事項」の「① 本株主間契約」をご参照ください。
(注1) 「マネジメント・バイアウト(MBO)」とは、一般に、買収対象会社の経営陣が、買収資金の全部又は一部を出資して、買収対象会社の事業の継続を前提として買収対象会社の株式を取得する取引をいいます。
(注2) 松元孝義氏は、当社の役員持株会を通じた持分として366株(小数点以下を切捨て)に相当する当社株式を間接的に所有しておりますが、上記松元孝義氏の所有株式数(2,935,200株)には、松元孝義氏が当該役員持株会を通じた持分として間接的に所有している当社株式366株は含まれておりません。以下、特記しない限り松元孝義氏の所有株式数において同じです。
(注3) 「所有割合」とは、当社が2025年5月15日付で公表した「2025年12月期第1四半期決算短信〔日本基準〕(連結)」(以下「当社第1四半期決算短信」といいます。)に記載された2025年3月31日現在の発行済株式総数(13,868,500株)から、同日現在の当社が所有する自己株式数(725株)を控除した株式数(13,867,775株)に対する割合をいい、小数点以下第三位を四捨五入しております。以下、所有割合の記載について同じです。
本取引は、以下の各取引から構成されるとのことです。

本公開買付けの成立を条件とし、本公開買付けにおける買付け等の期間(以下「公開買付期間」といいます。)末日以後、本決済開始日前に実施される、J-STARファンドによる公開買付者に対する出資(以下「本J-STARファンド出資」といいます。)

本決済開始日後に実施される、松元孝義氏による公開買付者に対する出資(以下「本松元孝義氏再出資」といいます。なお、本松元孝義氏再出資後のJ-STARファンド及び松元孝義氏の公開買付者の株式に係る議決権割合は、それぞれ50.1%:49.9%となる予定とのことです。)

本公開買付けの成立及び決済の完了並びに本J-STARファンド出資及び本松元孝義氏再出資の実行を条件として、当社の株主を公開買付者及び当社の主要株主であり筆頭株主である株式会社商船三井(以下「商船三井」といいます。所有株式数:4,021,800株、所有割合:29.00%)のみとすることを目的として当社が実施する会社法(平成17年法律第86号。その後の改正を含みます。以下同じです。)第180条に基づく当社株式の併合(以下「本株式併合」といいます。)

本株式併合の効力発生を条件として当社によって実施される、商船三井からの本不応募合意株式の自己株式取得(以下「本自己株式取得」といいます。)

本公開買付けに際し、公開買付者は、2025年6月30日付で、松元孝義氏との間で公開買付応募契約(以下「本応募契約(松元孝義氏)」といいます。)を締結し、松元孝義氏が所有する当社株式の全てを本公開買付けに応募すること、本決済開始日後に本松元孝義氏再出資を行うこと等を合意しているとのことです。また、公開買付者は、2025年6月30日付で、松元孝義氏の資産管理会社である有限会社エムアンドエム(所有株式数:300,000株、所有割合:2.16%。以下「エムアンドエム」といいます。)との間で公開買付応募契約(以下「本応募契約(エムアンドエム)」といい、本応募契約(松元孝義氏)と総称して、以下「本応募契約」といいます。)を締結し、エムアンドエムが所有する当社株式の全てを本公開買付けに応募すること等を合意しているとのことです。本応募契約の対象となっている当社株式の合計は3,235,200株、所有割合は23.33%とのことです。
なお、公開買付価格の均一性(法第27条の2第3項)の趣旨に抵触しないよう、本J-STARファンド出資及び本松元孝義氏再出資における公開買付者株式の払込価額を決定する前提となる当社株式の評価は、本公開買付けにおける当社株式1株当たりの買付け等の価格(以下「本公開買付価格」といいます。)と同一の価格(但し、当社の株主を公開買付者及び商船三井のみとするための手続(以下「本スクイーズアウト手続」といいます。)として実施する本株式併合における当社株式の併合の割合に基づき形式的な調整を行う予定とのことです。)にする予定であり、本公開買付価格よりも有利な条件が設定されているものではないとのことです。
また、公開買付者、松元孝義氏及びJ-STARファンドは、2025年6月30日付で、商船三井との間で公開買付不応募契約(以下「本不応募契約」といいます。)を締結し、商船三井が、その所有する当社株式の全て(以下「本不応募合意株式」といいます。)を本公開買付けに応募しないこと、本臨時株主総会(下記「(5) 本公開買付け後の組織再編等の方針(いわゆる二段階買収に関する事項)」において定義します。以下同じです。)において本株式併合に関する議案に賛成すること、また、本自己株式取得により本不応募合意株式の全てを当社に売却することに合意すること等を合意しているとのことです。
本自己株式取得は、本自己株式取得の取得価格(以下「本自己株式取得価格」といいます。)を、みなし配当の益金不算入規定が適用されることを考慮して、仮に商船三井が本公開買付けに応募した場合の税引後手取り額と本自己株式取得に応じた場合に得られる税引後手取り額が同等となる金額として、本株式併合前の当社株式1株当たり2,572円に設定することにより、公開買付価格の最大化と株主間の公平性を両立させることを企図するものとのことです。
本応募契約及び本不応募契約の詳細につきましては、下記「(7) 本公開買付けに係る重要な合意に関する事項」の「② 本応募契約」「③ 本不応募契約」をご参照ください。
本公開買付けにおいて、公開買付者は、買付予定数の下限を5,223,400株(所有割合:37.67%)に設定しており、本公開買付けに応募された株券等(以下「応募株券等」といいます。)の総数が買付予定数の下限(5,223,400株)に満たない場合には、応募株券等の全部の買付け等を行わないとのことです。他方で、本公開買付けは当社株式の非公開化を目的としているため、本公開買付けにおいて買付予定数の上限は設けておらず、応募株券等の総数が買付予定数の下限(5,223,400株)以上の場合は、応募株券等の全部の買付け等を行うとのことです。
買付予定数の下限(5,223,400株)は、当社第1四半期決算短信に記載された2025年3月31日現在の発行済株式総数(13,868,500株)から、同日現在の当社が所有する自己株式数(725株)を控除した株式数(13,867,775株)に係る議決権の数(138,677個)の3分の2となる数(92,452個、小数点以下切り上げ)から、本不応募合意株式(4,021,800株)に係る議決権の数(40,218個)を控除した議決権の数(52,234個)に100を乗じた数(5,223,400株)とのことです。かかる買付予定数の下限を設定したのは、本公開買付けにおいて、公開買付者は、当社株式を非公開化することを目的としているところ、下記「(5) 本公開買付け後の組織再編等の方針(いわゆる二段階買収に関する事項)」に記載のとおり、本公開買付けにおいて、当社株式(但し、当社が所有する自己株式及び不応募合意株式を除きます。)の全てを取得できなかった場合には、本スクイーズアウト手続として本株式併合の実施を想定しているため、会社法第309条第2項に規定する株主総会における特別決議が要件とされることから、本スクイーズアウト手続の実施を確実に遂行すべく、本公開買付け成立後に公開買付者及び商船三井が当社の総株主の議決権の数の3分の2以上を所有することとなるようにするためとのことです。
公開買付者は、本公開買付けに係る決済に要する資金を、株式会社みずほ銀行(以下「みずほ銀行」といいます。)及び株式会社あおぞら銀行(以下「あおぞら銀行」といいます。)からの借入れ(以下「本銀行融資」といいます。)並びに本J-STARファンド出資により賄うことを予定しており、本公開買付けの成立等を条件として、本決済開始日の前営業日までに、本銀行融資及び本J-STARファンド出資を受けることを予定しているとのことです。
公開買付者は、本公開買付けが成立したものの、本公開買付けにより当社株式の全て(但し、当社が所有する自己株式及び本不応募合意株式を除きます。)を取得できなかった場合には、本公開買付けの成立後に、下記「(5) 本公開買付け後の組織再編等の方針(いわゆる二段階買収に関する事項)」に記載のとおり、本スクイーズアウト手続を実施することを予定しているとのことです。
当社は、ISOタンクコンテナ(注1)を使用した液体貨物の国際複合一貫輸送サービスを提供する会社として、1994年1月に設立されました。当社は、2017年にISOタンクコンテナを利用した高圧ガス事業を開始し、また、顧客の求めに応じてチューブトレーラー(注2)の保管や輸送の取扱い等も行っております。
(注1) 「ISOタンクコンテナ」とは、国際標準化機構(=ISO)の定めた標準規格に基づいて製造された貨物の輸送容器をいいます。ISOタンクコンテナには液体用やガス用があり、当社は液体用のタンクコンテナを利用して事業を開始しました。タンクコンテナ1基でドラム缶100本分の液体貨物を輸送することができるほか、輸送途上で積み換えをする必要がなく、貨物を積載したまま貯蔵することもできます。工場で液体貨物を積載後、トラックや鉄道、コンテナ船を利用して貨物を配送します。貨物を積み下ろしたタンクコンテナは、世界各地にあるサービス拠点に移送されて洗浄され、別の液体貨物の輸送に利用できるため、空の容器の回送が不要となり、貨物の輸送料金は片道相当分で足りることになります。
(注2) 「チューブトレーラー」とは、水素等のガスの輸送に利用するもので、チューブ型の細長い高圧ガス用ボンベを複数まとめたものをいいます。
当社株式は、2012年10月に、株式会社大阪証券取引所JASDAQ(スタンダード)市場に上場し、2016年9月に東京証券取引所市場第二部(東証二部)へ市場変更し、2017年7月に東京証券取引所市場第一部(東証一部)銘柄に指定された後、東京証券取引所における市場区分の見直しにより、2022年4月4日から、東京証券取引所プライム市場に上場しております。
当社は、創立以来、ISOタンクコンテナによる化学品等の液体貨物の輸送、保管、常温で固形化する貨物の加温による溶融化等のサービスを、日本国内だけでなく、海外のメーカー、商社に提供しております。ISOタンクコンテナは、国際標準化機構であるISO規格の認証を受けており、安全性、利便性、経済性に優れているだけでなく、地球温暖化抑制の観点から世界的に推進されている「モーダルシフト」(注3)を可能にするものです。かつ、反復利用が可能で、梱包材を必要とせず、残留貨物の厳格な処理をしながら洗浄作業を行うことから自然環境保護に最適であり、また、自然界には存在しない化学品による環境破壊を防ぐため、残留物も含めた適正な処理や、製造時や輸送時に発生する二酸化炭素の抑制ニーズが世界的に高まっていることから、このような自然環境に配慮した事業が顧客からも必要とされていると考えております。
(注3) 「モーダルシフト」とは、トラック等の自動車によって行われてきた物流ラインを船舶や鉄道に変更することをいい、一度の多くの荷物を運ぶことができる船舶や鉄道を使うことで、自動車から排出される多くのCO2を削減するという目的をもとに、1980年代に省エネルギー対策として推奨された考え方です。
当社は、ISOタンクコンテナを「反復利用」して化学品を輸送するため、ISOタンクコンテナ自体の品質管理を最重要視し、1996年には洗浄設備を備えたタンクターミナルを東京港と神戸港の港湾エリアに開設、現在は、国内に8カ所、海外ではマレーシアに1カ所の拠点を設け、当社及びその連結子会社6社(2025年5月末現在。総称して、以下「当社グループ」といいます。)が自社で徹底した洗浄と配送前点検を行うことにより、厳格な整備・点検を済ませた品質の高いISOタンクコンテナを日々提供していると考えております。
一方で、当社の代表取締役社長である松元孝義氏は、2024年10月30日、商船三井から、当社及び商船三井が2018年に資本業務提携契約(以下「本資本業務提携契約」といいます。)(注4)を締結して以降連携を推進してきたものの、当社が商船三井の持分法適用会社にとどまっていることで当社との連携に制約があり、商船三井グループが化学品輸送のリーディングカンパニーとしてのポジションを確立するためにも、資本業務提携の深化を目的として、商船三井が当社株式の全部を取得する取引に係る協力の打診を受けたとのことです。松元孝義氏は、当該取引への協力の打診を受けたことをきっかけに、M&Aによって当社の企業価値を向上させ、当社の一般株主の皆様が享受すべき利益をより確保する観点からは、第三者主導の下ではなく、当社の高圧ガス事業を牽引できるノウハウを有している松元孝義氏自身が、自らの強いリーダーシップの下で、「地球の環境破壊を防ぎ、広く社会全体に奉仕する公共性と豊かな国際性を備えた、環境国際物流企業を目指す。」という当社の企業理念に即して、商船三井から独立した事業運営を行うことが望ましいのではないかと考えるようになり、本取引の検討を開始したとのことです。そして、2024年12月下旬には、本取引の本格的な検討を進めるにあたり、ファイナンシャル・アドバイザーとして株式会社青山財産ネットワークス(以下「青山財産ネットワークス」といいます。)及びあおぞら銀行を、リーガル・アドバイザーとしてTMI総合法律事務所をそれぞれ選任したとのことです。
(注4) 当社は、2018年2月13日付で、商船三井との間で、各々のグループ会社を含めた双方向で広範かつ戦略的なパートナーシップを図り、確実な事業強化を達成することを目的として本資本業務提携契約を締結しております。当社及び商船三井は、本資本業務提携契約において、①海外拠点及び営業ネットワークの共有、②両社サービスの共同営業、③共同技術研究・開発、④共同購買、⑤両社サービスの積極的な利用、及び⑥人材の交流等を提携内容として合意しております。
具体的には、松元孝義氏は、国際貨物市場の市況は変動幅が大きく、地政学的なリスクの高まりや、世界的な景気悪化等によって、短期的にはISOタンクコンテナを利用した貨物の輸送ニーズや、ISOタンクコンテナを利用して輸送する際に要する輸送費にも大きな変動をもたらす可能性があると考えているとのことです。また、ISOタンクコンテナは液体の化学品の輸送に適しており、経済水準の向上に伴い化学品を原料とするプラスチック等へのニーズの拡大がグローバルかつ継続的に見込まれることから、市場の拡大が予想され、さらなる競争環境の激化の可能性もあると考えているとのことです。
そのような短期的な市況変動リスクに直面しつつ、さらなる成長に向けて、高圧ガス用のタンクコンテナを利用した事業の拡大といった中長期的な事業構造の変革及び投資が求められている中で、タンクコンテナを利用した高圧ガス事業の拡大のために必要なタンクコンテナ及び拠点の拡充に関する設備投資等、短期的にはよりリスクをとった財務戦略が必要になってくるものと考えているとのことです。また、このような急激に変化し続ける市場環境の中で市場におけるプレゼンスを拡大するためには、一貫した戦略と強いリーダーシップに基づいた事業改革が必要と考えているとのことです。
当社株式は、2012年に株式会社大阪証券取引所JASDAQ(スタンダード)市場に上場し、本書提出日現在、東京証券取引所プライム市場に上場していますが、PERは10倍前後で推移しており、2025年5月時点の東京証券取引所プライム市場の単純PER16.9倍と比較して低い水準に留まっており、当社の事業の成長可能性は、市場から十分に評価されているとは言いがたい状況にあると考えているとのことです。
このような状況においては、当社は、短期的な株価変動、特に株価の下落リスクといった悪影響を当社の株主の皆様に与えることを回避するためには保守的な対応をとらざるを得ず、思い切った事業構造変革や投資のための資金調達にも制約が加わっている状況にあると考えているとのことです。
松元孝義氏としては、中長期的に市場規模の倍増が見込まれる市場環境(注5)の下で、当社は日本国内でタンクコンテナをコア事業とし、かつ、グローバルに展開している唯一の企業として独自の地位を築いていることから、市場を上回る成長を達成し、マーケットのリーダーとなり得るポテンシャルを有していると考えているとのことですが、そのためには、これまで以上に松元孝義氏の強いリーダーシップの下で、専門性・国際性に長けた優れた人材を育成・維持しながら、中長期な視点の下でタンクコンテナを利用した高圧ガス事業の拡大とそれに必要なタンクコンテナ及び拠点の拡充といった戦略的な事業構造変革とそれに対する投資を一貫して行い、量的な拡大とマーケットにおける独自性を両立していくことが必要だと考えているとのことです。
(注5) International Tank Container Organizationが公表した「Global Fleet Survey 2024」
他方、このような戦略を実行するためには積極的な設備投資が必要となりますが、短期的には当社のキャッシュフローの悪化を招くことから事業リスクを高め、国際貨物市場における貨物の輸送ニーズの変動リスクもあいまった場合には、一時的には株価の下落を招き、東京証券取引所プライム市場の上場維持基準未達の可能性も高まるなど、当社株主の皆様にとって、必ずしも望ましい結果となるとは限らず、ひいては上記のような戦略実行にあたって、当社の既存株主との間で経営方針に係る意見の相違が生じることも想定され、急激に変動するマーケットの中での機動的な戦略実行に支障を来すことも懸念されると考え、当社を非公開化した上で、以下のような戦略を実行していくことが当社グループの中長期的な成長及び企業価値向上の実現に向けて、最も望ましい選択肢であると考えるに至ったとのことです。
(a) 専門性・国際性に長けた優れた人材の獲得・育成
当社は、液体貨物を片道運賃で輸送するサービスや、国内外での独自の洗浄拠点の保有、フロンガスの一貫処理等により、とりわけ日本国内でタンクコンテナをコア事業とし、かつ、グローバルに展開している唯一の企業として独自の地位を築いていますが、松元孝義氏は、今後、新たな収益の柱を立てるべく、国内輸送の受注拡大に向けた営業活動や欧米大手化学企業とのさらなる取引の深化、三国間(注6)の輸送取引獲得に向けた営業活動の強化を志向していく必要があると考えているとのことです。
(注6) 国際輸送において、日本を経由しない取引のことをいいます。
松元孝義氏は、このような事業ポートフォリオの変革にあたっては、短期的な市況に左右されることなく、中長期的な視点で新規事業の開拓を進めると共に、施設及び人材への投資を行っていくことが必要不可欠と考えているとのことです。特にISOタンクコンテナ事業は、輸送、安全、環境、関税等を含む、国をまたいだ法令及び規則を踏まえた上で、国内外の顧客の多様化するニーズに対して総合的なソリューションを提供する能力が求められると考えているとのことです。このような高い専門性を有した人材の育成は、短期的な外部採用等でまかなうことは難しく、中長期的な視点をもって採用から育成まで一貫した方針と計画の下に実行されることが必要なものと考えているとのことです。加えて、今後、市場拡大が見込まれている中で、専門性・国際性を有した人材の獲得競争は激化することが予想され、育成した人材の定着・維持が必要と考えているとのことです。
(b) 中長期的な視点の下での一貫した戦略的な事業構造変革と投資
当社は、単にISOタンクコンテナを顧客に提供するだけではなく、国内及び国外に独自の洗浄拠点を有し、常に高い品質と徹底的に整備されたタンクコンテナを顧客に提供すると共に、世界の主要国間の輸送サービスを片道運賃で提供できる体制を構築していますが、松元孝義氏は、このような洗浄拠点の拡大・整備についても、中長期的な視点の下で、今後のISOタンクコンテナの需要拡大に伴う設備投資を積極的に行っていく必要があると考えているとのことです。
また、ISOタンクコンテナやチューブトレーラーは、2.5年毎に国際基準に基づく検査を公的認証機関から受ける必要があることに加え、日本で使用するガスの容器については、高圧ガス保安協会の定める国内基準に基づく検査も受ける必要があります。
当社は、液体貨物用のISOタンクコンテナを検査できる設備をすでに擁しており、現在、ガス用のISOタンクコンテナを国内基準に基づいて検査できる機関としての認証手続を申請しています。一方、水素等の輸送に利用するチューブトレーラーの検査施設は日本国内になく、現状4ヶ月の日数を要してアメリカに空回送して検査を受けており、予備のチューブトレーラーが必要となるうえ、1本あたりの検査に高額な費用が必要であることを踏まえると、日本国内で検査と整備ができる体制を構築するニーズは高く、そのための設備投資が必要であると考えているとのことです。
そして、松元孝義氏は、上記の施策を含む、当社のさらなる成長に資する抜本的な改革及び企業価値向上を実現するためには、当社単独のリソースのみでは一定の限界があるため、当社独自の経営努力に加え、外部の経営資源も活用することが有益であるとの認識に至り、2025年1月上旬から、当社グループの企業価値最大化が実現可能な共同投資家としてのパートナー候補の選定を開始したとのことです。その後、松元孝義氏は、2025年1月中旬に、青山財産ネットワークスから、J-STARを含む3社のパートナー候補を紹介されたとのことです。その中で、松元孝義氏は、2025年1月中旬、J-STARから当社グループの事業成長支援案や、本取引実施後の当社の運営方針、役員体制、ストラクチャー等の提案を受けたとのことです。当該提案の検討を踏まえ、松元孝義氏は、当社に対し、2025年1月20日付で単独での初期的提案書を提出し、その中で、当社のさらなる成長に資する抜本的な改革及び企業価値向上を実現するためには外部の経営資源も活用することが有益であるとの認識に基づき、松元孝義氏及びパートナー候補が共同で出資する買収目的会社が公開買付者となり、公開買付者を通じた当社のマネジメント・バイアウト(MBO)を行うことを提案するとともに、本取引について本格的に検討するため、当社に対してデュー・ディリジェンスを実施したい旨の申入れ(以下「本MBO提案」といいます。)を行ったとのことです。
一方で、J-STARは、2025年1月上旬に、青山財産ネットワークスより本取引に関する打診を受けたとのことです。これを受け、J-STARにおいては、当社の事業内容、経営戦略、財務状況、市場環境や競争上のポジション等を多角的に検討したとのことです。また、J-STARは、松元孝義氏との間で複数回にわたり、松元孝義氏との協業に関する提案及び意見交換を行い、かかる過程において、同氏の経営に対する基本的な認識や方向性について理解と共有を深めてきたとのことです。その中で、J-STARがこれまでに国際物流領域を含む多様な業種における投資活動を通じて蓄積してきた知見及びノウハウを活用することにより、当社の企業価値向上に資することができるとの確信を得るに至ったとのことです。
以上の経緯を踏まえ、国内におけるISOタンクコンテナ市場の創出を主導してこられた松元孝義氏のリーダーシップの下、J-STARが松元孝義氏と共同して本取引を実施することが、当社グループのさらなる成長及び企業価値の向上に寄与し得ると判断し、2025年1月14日付で、松元孝義氏に対して、同氏と共同して本取引を実施することに係る意向表明書を提出したとのことです。
松元孝義氏は、J-STAR及びその他のパートナー候補からの提案を比較した結果、最終的にJ-STARの(ⅰ)事業構造改革実行へのハンズオン支援、(ⅱ)社内管理体制の改善支援のための人材紹介、(ⅲ)収益機会の拡大のためのM&Aの案件紹介、及び(ⅳ)当社の現経営陣とその経営方針を尊重する姿勢等を総合的に評価して、2025年3月上旬、当社グループの企業価値最大化が実現可能な共同投資家としてJ-STARを選定し、2025年3月5日にその旨J-STARに通知したとのことです。
その後、松元孝義氏は、本特別委員会(下記「③ 当社が本公開買付けに賛同するに至った意思決定の過程及び理由」において定義されます。以下同じです。)から、2025年3月2日付で、本MBO提案に関する価格と資金調達の裏付けとなる資料を同年3月10日までに提出するよう要請されていたため、同年3月7日、本特別委員会に対して、本MBO提案に係る公開買付価格については当社株式の市場株価推移、デュー・ディリジェンスの結果、本取引に類似する過去の公開買付け事例におけるプレミアムの水準、本公開買付けに対する応募の見通し等を総合的に勘案して決定することを検討していること、及び本MBO提案に係る資金調達方法としては松元孝義氏及びJ-STARファンドからの出資並びに金融機関からの融資を想定している旨の回答を行ったとのことです。その後、松元孝義氏は、本特別委員会から、2025年3月11日、2025年3月31日を期限として意向表明書の提出を要請するプロセスレターを受領したとのことです。
また、松元孝義氏及びJ-STARは、2025年3月14日に開催の本特別委員会において、本取引の背景・意義・目的、シナジー効果、本取引後の経営方針等に関する説明及び意見交換を行ったとのことです。また、松元孝義氏及びJ-STARは、本特別委員会より、2025年3月18日に本取引の背景・条件等について書面による質問を受領し、2025年3月31日に、当該質問事項について書面による回答を提出したとのことです。
以上の経緯を踏まえ、松元孝義氏及びJ-STARは、2025年3月31日付で、本特別委員会に対して共同での意向表明書を提出したところ、本特別委員会から、2025年4月16日に、本取引の実施に向けた協議を松元孝義氏及びJ-STARと進める旨の連絡を受領したとのことです。なお、松元孝義氏による2025年1月20日付の単独での初期的提案書は、提案時点ではパートナーが決まっておらず、あくまでも不特定のパートナー候補との取引を提案したものである一方、その後の検討の結果、正式にJ-STARがパートナーとして選定されたため、松元孝義氏とJ-STARでの共同での提案が2025年3月31日付でなされたとのことです。その後、松元孝義氏及びJ-STARは、本特別委員会から、2025年4月16日付で、松元孝義氏及びJ-STARに対して優先交渉権を付与する旨の連絡を受けたとのことです。
また、松元孝義氏及びJ-STARは、当社の非公開化を含む本取引の精査のため、2025年4月中旬から2025年5月中旬まで当社に対してデュー・ディリジェンス(以下「本デュー・ディリジェンス」といいます。)を実施し、本デュー・ディリジェンスの結果、当社取締役会による本公開買付けへの賛同の可否、当社株式の市場株価の動向及び本公開買付けに対する応募の見通し等を多面的・総合的に勘案した上で、2025年5月26日、本デュー・ディリジェンスの結果を踏まえた最終提案として、2025年12月期の当社の期末配当を無配とする前提で、本特別委員会に対して本公開買付価格を3,060円とする最終意向表明書を提出したとのことです。
また、公開買付者、松元孝義氏及びJ-STARファンドは、2025年5月27日、商船三井に対して、本公開買付価格を3,060円とする本公開買付けを実施する意向である旨、及び本公開買付けを実施するにあたり、商船三井が所有する当社株式の取得については、法人税法に定めるみなし配当の益金不算入規定が適用されることが見込まれることを考慮し、本自己株式取得価格を、仮に商船三井が本公開買付けに応募した場合の税引後手取り額と本自己株式取得に応じた場合に得られる税引後手取り額が同等となる金額に設定することを説明の上、本自己株式取得により取得することを提案したとのことです。これに対して、2025年5月30日、商船三井から、その所有する当社株式を当社が本自己株式取得により取得することについて、具体的な協議に応じる意向がある旨の連絡を受け、その後も本不応募契約の締結を前提に、契約内容について継続して協議を実施した結果、2025年6月26日、商船三井から、本件公開買付価格を3,060円とすることを含めて、公開買付者の提案に応じる旨の連絡を受け、2025年6月30日、公開買付者、松元孝義氏、J-STARファンド及び商船三井は、商船三井が本公開買付けに応募せず、本自己株式取得に応じることを合意内容に含む本不応募契約を締結したとのことです。
以上の経緯を経て、公開買付者は、2025年6月30日、本公開買付価格を3,060円、商船三井からの本自己株式取得価格を2,572円とし、本取引の一環として本公開買付けを実施することを決定したとのことです。
上記のとおり、本取引はいわゆるマネジメント・バイアウト(MBO)に該当し、公開買付者は、本取引の完了後も引き続き当社の代表取締役社長として経営にあたる松元孝義氏とともに、上記「(ⅰ)公開買付者が本公開買付けの実施を決定するに至った背景、目的及び意思決定の過程」に記載の経営を推進する予定であり、松元孝義氏は、本決済開始日後、公開買付者に対して本松元孝義氏再出資を行う予定とのことです。
また、松元孝義氏及びJ-STARファンドは、2025年6月30日付で本株主間契約を締結し、公開買付者及び当社の運営並びに公開買付者株式の取扱い等について合意しているとのことです。本株主間契約の概要については、下記「(7) 本公開買付けに係る重要な合意に関する事項」の「① 本株主間契約」をご参照ください。
なお、当該資本業務提携契約に関しては、遅くとも商船三井が当社株式を保有しなくなった時点で、当該資本業務提携契約の規定に従って終了する予定とのことです。
当社は、2024年12月17日、当社株式4,021,800株(所有割合:29.00%)を保有する当社の大株主である商船三井から、公開買付けの実施及びその後の法的手続による当社株式の非公開化及び連結子会社化に係る提案書(商船三井からの提案を、以下「商船三井提案」といいます。)を受領しました。当社は、商船三井提案の検討を進めるにあたり、商船三井、当社及び公開買付者のいずれからも独立したリーガル・アドバイザーとして西村あさひ法律事務所・外国法共同事業(以下「西村あさひ」といいます。)を、ファイナンシャル・アドバイザー及び第三者算定機関として株式会社AGSコンサルティング(以下「AGSコンサルティング」といいます。)を、ファイナンシャル・アドバイザーとして株式会社ウイズコアを起用する方針を決定しました。当社は、商船三井提案について検討を進めていたところ、2025年1月20日、松元孝義氏から、本MBO提案を受領しました。
当社は、商船三井提案に関しては、当社は商船三井の子会社ではなく、商船三井提案に係る取引は、支配株主による公開買付けには該当しないものの、商船三井が当社株式を4,021,800株(所有割合:29.00%)を保有する当社の大株主及びその他の関係会社であることから、商船三井提案に係る取引が構造的な利益相反の問題及び情報の非対称性の問題が類型的に存する取引に該当し得ること、本MBO提案に関しては、本MBO提案に係る取引がいわゆるマネジメント・バイアウト(MBO)に該当し、構造的な利益相反の問題及び情報の非対称性の問題が存在すること、及び両提案を比較検討する必要があること等を踏まえ、2025年1月21日、商船三井提案及び本MBO提案(商船三井提案又はMBO提案のいずれか優先交渉権を付与された提案を指して、単に「提案」といい、商船三井提案と本MBO提案を総称して、以下「両提案」といいます。)に係る取引に関する当社の意思決定に慎重を期し、当社取締役会の意思決定過程における恣意性及び利益相反のおそれを排除してその公正性を担保するため、①特別委員会を設置し、特別委員会主導で両提案を比較、検討すること、②具体的なプロセスとしては、商船三井及び松元孝義氏に対して、当社から共有した情報を基にした意向表明書の提出を求め、特別委員会が提出された意向表明書の内容を比較検討することで、デュー・ディリジェンスや当社及び特別委員会との交渉を行う優先交渉権者を決定することを決定しました。当社は、同日、商船三井及び松元孝義氏に対して、これらを決定した旨を通知しました。当社は、2025年2月3日、両提案の検討に関して、当社の独立社外取締役(監査等委員)である有賀隆之氏及び同じく当社の独立社外取締役(監査等委員)である相浦義則氏並びに京都大学経営管理大学院・経済学部教授である砂川伸幸氏の3名によって構成される、商船三井、松元孝義氏及び当社のいずれからも独立した特別委員会(以下「本特別委員会」といいます。)を設置しました(本特別委員会の設置等の経緯、検討の経緯及び判断内容については、下記「(6) 本公開買付価格の公正性を担保するための措置及び利益相反を回避するための措置等、本公開買付けの公正性を担保するための措置」の「③ 当社における独立した特別委員会の設置及び答申書の取得」をご参照ください。)。また、当社は、下記「(6) 本公開買付価格の公正性を担保するための措置及び利益相反を回避するための措置等、本公開買付けの公正性を担保するための措置」の「⑥ 当社における利害関係を有しない取締役全員(監査等委員を含む。)の承認」に記載のとおり、商船三井及び松元孝義氏から独立した立場で、商船三井提案及び本MBO提案に係る検討、交渉及び判断を行う体制(両提案に係る検討、交渉及び判断に関与する当社の役職員の範囲及びその職務を含みます。)を当社の社内に構築し、検討を進めてまいりました。その後、当社は、2025年2月13日、本特別委員会に対して、両提案に関する本諮問事項(下記「(6) 本公開買付価格の公正性を担保するための措置及び利益相反を回避するための措置等、本公開買付けの公正性を担保するための措置」の「③ 当社における独立した特別委員会の設置及び答申書の取得」に定義します。)を諮問しました。なお、本特別委員会は、下記「(6) 本公開買付価格の公正性を担保するための措置及び利益相反を回避するための措置等、本公開買付けの公正性を担保するための措置」の「③ 当社における独立した特別委員会の設置及び答申書の取得」に記載のとおり、2025年2月6日、本特別委員会独自のリーガル・アドバイザーとして恵比寿松本法律事務所を、財務アドバイザー及び第三者算定機関として株式会社赤坂国際会計(以下「赤坂国際会計」といいます。)を選任する旨を決定しております。
本特別委員会は、当社が決定したプロセス、すなわち、商船三井及び松元孝義氏に対して当社から共有した情報を基にした意向表明書の提出を求め、特別委員会は提出された意向表明書の内容を比較検討することで、より企業価値向上に資する提案に対して、デュー・ディリジェンスや当社及び特別委員会との交渉を行う優先交渉権を付与するプロセスを採用することを承認しました。一方で、本特別委員会は、2025年3月2日、本MBO提案についての価格と資金調達の目途を確認すべく、松元孝義氏に対して、同年3月10日を期限として本MBO提案に関する価格と資金調達の裏付けとなる資料の提出を要請しました。本特別委員会は、同年3月7日、松元孝義氏からの価格及び資金調達方法に関する回答を受領し、同年3月8日の第7回特別委員会において本MBO提案に高い実現可能性があることを確認しました。その後、本特別委員会は、2025年3月11日、優先交渉権の選定プロセスとして、2025年3月31日を期限として意向表明書の提出を要請するプロセスレターを商船三井及び松元孝義氏に対して送付しました。
本特別委員会は、2025年3月31日付で、商船三井からの第一次意向表明書(以下「商船三井意向表明書提案」といいます。)並びに松元孝義氏及びJ-STAR(松元孝義氏及びJ-STARを総称して、以下「松元孝義氏ら」といいます。)からの第一次意向表明書(以下「MBO意向表明書提案」といいます。)の提出を受けました。本特別委員会は、その後も商船三井からのヒアリング及び面談を2回、松元孝義氏らからのヒアリング及び面談を1回行い、リーガル・アドバイザーである恵比寿松本法律事務所及び第三者算定機関である赤坂国際会計からの助言等を踏まえて、商船三井意向表明書提案及びMBO意向表明書提案の内容について慎重に検討及び協議を行いました。本特別委員会は、商船三井意向表明書提案及びMBO意向表明書提案がいずれも公開買付けの実施及びその後の法的手続による当社株式の非公開化及び完全子会社化を目的とする内容であったところ、2025年4月16日、両提案の公開買付価格は概ね同等と評価できること、MBO意向表明書提案の方が当社の事業のうち特に競合優位性のあるガス事業において、ISOタンクコンテナに加えて、これまで日本では行われていないチューブトレーラーの検査を行い、整備できる施設を独自に設ける設備投資案を提案しているなどの点で、これまでの企業文化や戦略を活かしながら、企業価値の向上が図れる策を提示したと考えられることから、MBO意向表明書提案に優先交渉権を付与することが当社の企業価値向上に資すると判断し、優先交渉権の選定プロセスの結果として、松元孝義氏らを優先交渉権者として選定することを決定しました(当該決定の内容については、本答申書(以下において定義します。)の概要についての下記「(6) 本公開買付価格の公正性を担保するための措置及び利益相反を回避するための措置等、本公開買付けの公正性を担保するための措置」の「③ 当社における独立した特別委員会の設置及び答申書の取得」もご参照ください。)。
本特別委員会は、同日、松元孝義氏らに対して優先交渉権を付与する旨を伝え、同日から松元孝義氏らによる本デュー・ディリジェンスへの対応等を行いました。松元孝義氏らは、2025年5月26日、本デュー・ディリジェンスの結果を踏まえた最終提案として、本特別委員会に対して本公開買付価格を3,060円とする最終意向表明書を提出しました。
なお、当社は、商船三井に対し、2025年6月23日に本公開買付けを含む本取引への協力を依頼し、同年6月25日に商船三井より協力する意向がある旨の回答を得ました。また、同年6月30日、商船三井から、本取引への協力を承諾する旨の「承諾書」を受領しました。
その上で、当社は、2025年6月30日に、AGSコンサルティングから2025年6月27日付で取得した株式価値算定書(以下「本株式価値算定書(AGSコンサルティング)」といいます。)の内容、リーガル・アドバイザーである西村あさひから受けた本公開買付けを含む本取引に関する意思決定にあたっての留意点についての法的助言を踏まえつつ、本特別委員会から提出を受けた2025年6月30日付の答申書(以下「本答申書」といいます。)の内容を最大限に尊重しながら(本答申書の概要については、下記「(6) 本公開買付価格の公正性を担保するための措置及び利益相反を回避するための措置等、本公開買付けの公正性を担保するための措置」の「③ 当社における独立した特別委員会の設置及び答申書の取得」をご参照ください。)、本取引について、企業価値向上を図ることができるか、本取引に関する諸条件は妥当なものか等の観点から慎重に協議及び検討を行いました。
以上の経緯の下で、当社は、以下の観点から本取引は、当社の企業価値の向上に資するものであると判断しました。
当社は、上記「② 公開買付者が本公開買付けの実施を決定するに至った背景、目的及び意思決定の過程、並びに本公開買付け後の経営方針」に記載のとおり、創立以来、ISOタンクコンテナによる化学品等の液体貨物の輸送、保管、常温で固形化する貨物の加温による溶融化等のサービスを、日本国内だけでなく、海外のメーカー、商社に提供しています。
また、ISOタンクコンテナは、二酸化炭素の発生を減らすことにより地球温暖化を抑制する「モーダルシフト」に資するものであり、かつ、反復利用が可能で梱包材を必要とせず、残留貨物の厳格な処理をしながら洗浄作業を行うことから自然環境を破壊しません。また、化学品には特別な処理を施さないと無害化されないため環境破壊につながるものも多く、残留貨物や洗浄時に発生する排水も含めた厳格な処理が必須です。貨物を輸送する時に発生する二酸化炭素を抑えつつ、残留貨物と洗浄排水を無害化処理する自然環境に優しい当社のビジネスモデルは、顧客からも広く求められています。当社は、ISOタンクコンテナを「反復利用」して化学品等を輸送するため、厳格に整備した高品質のISOタンクコンテナを提供する体制を構築することが最重要課題であると捉え、創業間もない1996年に洗浄設備を備えた独自のタンクターミナルを東京港と神戸港の港湾エリアに開設、現在は、国内に8カ所、海外ではマレーシアに1カ所の拠点を設け、日々品質の高いISOタンクコンテナを提供しております。
当社が国境を跨いで取扱う化学品や高圧ガスには危険物も多いため、輸送、安全、環境、関税等に関する各国の法令及び規則を遵守した上で、輸送の手配をしなければなりません。タンクコンテナビジネスのオペレーションは、国により異なる法令や規則を理解したうえ、国内外の顧客の様々なニーズに対して総合的なソリューションを提供できる能力が求められており、広範囲にわたる高い専門知識を有した人材の育成が非常に重要と考えております。
また、当社は、単にISOタンクコンテナを顧客に提供するだけでなく、独自の洗浄拠点において徹底的に整備された高品質のタンクコンテナを提供することにより、世界の主要国間の輸送サービスを片道運賃で安全に提供できる体制を構築しております。今後においても、タンクコンテナに対する需要拡大に備えた洗浄拠点の更なる拡充に向けた設備投資が求められます。
当社の事業は顧客からの不断のニーズに応えるものである一方、国際貨物市場の市況は好不況の振れが大きく、地政学的なリスクの高まりや、世界的な景気変動等によって、短期的にはISOタンクコンテナを利用した貨物の輸送ニーズや、ISOタンクコンテナを利用して輸送する際に要する輸送費の大きな変動を受ける可能性があります。一方、液体の化学品輸送に適しているタンクコンテナに対しては、経済水準の向上に伴い紙おむつをはじめとした新製品への需要拡大が見込まれ、その原料となる化学品へのニーズ拡大はグローバルかつ継続的に想定されることから、市場の拡大が予想され、さらなる競争環境の激化の可能性もあります。当社は、このような短期的な市況変動リスクを乗り越えるため、積極的且つ機動的な戦略の実行が必要不可欠であると考えています。
そして、上記「② 公開買付者が本公開買付けの実施を決定するに至った背景、目的及び意思決定の過程、並びに本公開買付け後の経営方針」に記載のとおり、公開買付者によれば、当社の経営戦略として、(ⅰ)専門性・国際性に長けた優れた人材の獲得・育成、(ⅱ)中長期的な視点の下での一貫した戦略的な事業構造変革と投資の実行が当社グループの中長期的な成長及び企業価値向上に向けて最も望ましいと判断しているとのことですが、当社は、公開買付者が想定する上記の方針・施策は、上記の当社が目指す方向性と近しいものであり、松元孝義氏の強いリーダーシップの下でこれらの戦略が実行されることは、当社の中長期的な企業価値の向上に資するものと判断いたしました。また、当社としては、上記施策が中長期的に見れば当社の大きな成長及び収益の拡大につながると考える一方で、これらの取組みは、今後の収益に不確実性を生じさせるものであるため、短期的には、利益水準の低下、キャッシュ・フローの悪化、有利子負債の増加等による財務状況の悪化を招来するリスクがあり、当社が上場を維持したままこれらの施策を実施すれば、資本市場から十分な評価が得られず、その結果、当社の株価の下落を招き、当社の株主の皆様が短期的には悪影響を被る可能性を否定できないものと考えております。
そのため、当社としても、当社の株主の皆様が短期的な悪影響を被ることなく株式を売却できる機会を提供するとともに、当社株式を非公開化することにより株式市場からの評価にとらわれず、かつ、株主と経営陣が一体化して機動的かつ柔軟な意思決定が可能な強固かつ安定した新たな経営体制を構築することこそ、当社の企業価値向上を実現する最良の選択であると判断いたしました。
加えて、松元孝義氏は当社グループの事業内容を熟知していること、これまで当社グループを牽引してきた実績があること、先見的な事業展開を構想していること及びこれまでの当社の企業文化や戦略を活かしながら企業価値の向上が図れる具体策を提示したことを踏まえれば、松元孝義氏がマネジメント・バイアウト(MBO)の手法により引き続き当社の経営陣の立場であり続けること、すなわち松元孝義氏が所有と経営の双方を担うことは十分な合理性があると判断いたしました。
なお、当社株式を非公開化した場合には、資本市場からのエクイティ・ファイナンスによる資金調達を行うことができなくなるほか、上場会社として当社が享受してきた社会的な信用力及び知名度による人財確保の容易性及び取引先の拡大等に影響を及ぼす可能性が考えられます。しかしながら、当社のビジネスモデルの性質上、売掛金の回収に要する日数が短く、多額の運転資金が必要ではないため、市場を通じたエクイティ・ファイナンスによる資金調達の必要性は高くなく、また金融機関とも良好な関係を築いているため、間接金融を通じた調達にも支障はないと考えております。さらにすでに一定のブランド力や多くの取引先との信頼関係も構築されているため、上場廃止による取引関係の破綻や人材の採用面への悪影響も見込まれないと考えており、非公開化のデメリットは限定的であると考えております。
したがって、当社取締役会は上記に記載した検討を踏まえて、当社株式の非公開化のメリットは、そのデメリットを上回ると判断いたしました。以上を踏まえ、当社取締役会は、本公開買付けを含む本取引により当社株式を非公開化することにより、機動的かつ柔軟な意思決定を可能とする株主と経営陣が一体となった強固かつ安定した新たな経営体制を構築することが、当社の企業価値向上を実現する最良の選択であると判断いたしました。
また、当社は、本公開買付価格について、(ⅰ)下記「(6)本公開買付価格の公正性を担保するための措置及び利益相反を回避するための措置等、本公開買付けの公正性を担保するための措置」の「① 当社における独立したファイナンシャル・アドバイザー及び第三者算定機関からの株式価値算定書の取得」に記載されているAGSコンサルティングによる本株式価値算定書(AGSコンサルティング)における当社株式の株式価値算定結果によれば、市場株価法の上限値を上回り、ディスカウンテッド・キャッシュ・フロー法(以下「DCF法」といいます。)に基づく1株当たり株式価値レンジの中央値を超える水準となっていること、(ⅱ)本公開買付価格が、当社株式の上場来の終値最高値である2,400円(2021年8月2日)を超えていること、(ⅲ)本公開買付けの実施についての公表日の前営業日である2025年6月27日を基準日として、東京証券取引所プライム市場(以下同じです。)における当社株式の基準日の終値2,217円に対して38.02%、基準日までの直近1ヶ月間の終値単純平均値1,926円(小数点以下を四捨五入しております。以下、終値単純平均値の計算において同じとします。)に対して58.88%、同直近3ヶ月間の終値単純平均値1,795円に対して70.47%、同直近6ヶ月間の終値単純平均値1,806円に対して69.44%のプレミアムが加算されたものであり、本公開買付価格には近時の同様の事案(注)と比較して、基準日終値については遜色ない水準のプレミアムが、より長期的な株価の動向を反映した直近1ヶ月間、3ヶ月間及び6ヶ月間の終値単純平均値には大きく上回るプレミアムが付されていると考えられること、(ⅳ)下記「(6) 本公開買付価格の公正性を担保するための措置及び利益相反を回避するための措置等、本公開買付けの公正性を担保するための措置」に記載の本公開買付けの公正性を担保するための措置が採られたうえで決定された価格であることを踏まえ、本公開買付価格は妥当性を有し、当社の株主の皆様に対して、合理的な株式の売却の機会を提供するものであると判断しました。
(注) 経済産業省が「公正なM&Aの在り方に関する指針」を公表した2019年6月28日以降、2025年6月27日までの間に公表され、かつ、成立した非公開化を前提とする公開買付けの事例のうち、MBO事例90件におけるプレミアム割合を参照しており、これらの事例における公表日前営業日の終値、並びに直近1ヶ月間、直近3ヶ月間及び直近6ヶ月間の終値単純平均値に対するプレミアムの中央値は、順に42%、45%、46%、49%です。
以上より、当社は、本取引が当社の企業価値の向上に資するものであるとともに、本公開買付価格を含む本取引に係る取引条件は妥当なものであると判断し、2025年6月30日開催の取締役会において当社の意見として、本公開買付けに賛同の意見を表明するとともに、当社の株主の皆様に対し本公開買付けへの応募を推奨する旨を決議いたしました。
上記取締役会決議の詳細は、下記「(6) 本公開買付価格の公正性を担保するための措置及び利益相反を回避するための措置等、本公開買付けの公正性を担保するための措置」の「⑥ 当社における利害関係を有しない取締役全員(監査等委員を含む。)の承認」をご参照ください。
(ⅰ)算定機関の名称並びに当社及び公開買付者との関係
当社は、商船三井、当社及び公開買付者から独立したファイナンシャル・アドバイザーとして株式会社ウイズコアを選任し、公開買付者との交渉方針に関する助言を含む財務的見地からの助言及び補助を受け、また、ファイナンシャル・アドバイザー及び第三者算定機関であるAGSコンサルティングに対し、当社株式の株式価値の算定を依頼し、2025年6月27日付で本株式価値算定書(AGSコンサルティング)を受領いたしました。なお、当社は、下記「(6) 本公開買付価格の公正性を担保するための措置及び利益相反を回避するための措置等、本公開買付けの公正性を担保するための措置」に記載のとおり、公開買付者及び当社において、本公開買付価格の公正性を担保するための措置及び利益相反を回避するための措置を実施しており、当社の少数株主の利益に配慮がなされていると考えていることから、AGSコンサルティングから本公開買付価格の公正性に関する意見書(フェアネス・オピニオン)を取得しておりません。
AGSコンサルティングは、商船三井、公開買付者及び当社の関連当事者には該当せず、本公開買付けに関して重要な利害関係を有しておりません。なお、本取引に係る株式会社ウイズコア及びAGSコンサルティングによる当社へのフィナンシャル•アドバイザー業務及び株式価値算定業務に対する報酬には、一部本取引の公表や成立等を条件とする成功報酬が含まれておりますが、本取引の成否にかかわらず支払われる固定報酬が大半であり、当社は、同種の取引における一般的な実務慣行及び本取引が不成立になった場合であっても当社に相応の金銭負担が生じる報酬体系の是非等も勘案すれば、本公開買付けの公表や成立を条件に支払われる成功報酬が一部含まれることをもって独立性が否定されるわけではないと判断の上、上記の報酬体系により株式会社ウイズコアを当社のファイナンシャル・アドバイザーとして、AGSコンサルティングを当社のファイナンシャル・アドバイザー及び第三者算定機関としてそれぞれ選任しております。
また、本特別委員会は、当社が選任したファイナンシャル・アドバイザー及び第三者算定機関につき、独立性及び専門性に問題がないこと、本特別委員会としても必要に応じて専門的助言を受けることができることを、第1回の本特別委員会において確認しております。
(ⅱ)算定の概要
AGSコンサルティングは、本公開買付けにおける算定手法を検討した結果、当社が継続企業であるとの前提のもと、当社株式について多面的に評価することが適切であるとの考えに基づき、当社株式が東京証券取引所プライム市場に上場していることから市場株価法を、また、当社の将来の事業活動の状況を算定に反映させるためにDCF法をそれぞれ算定方法として採用し、当社株式の株式価値の算定を行っております。一方で、事業内容や収益性、財務状況の当社との類似性における制約に鑑み類似会社比較法は採用しておらず、また、当社が継続企業としてその事業を継続していくことを企図していることから純資産法は採用しておりません。
本株式価値算定書(AGSコンサルティング)において、上記各手法に基づいて算定された当社株式の1株当たりの株式価値の範囲は以下のとおりです。
市場株価法: 1,795円~2,217円
DCF法: 2,488円~3,087円
市場株価法では、本公開買付けに対する意見表明に係る当社取締役会決議日の前営業日である2025年6月27日を算定基準日として、東京証券取引所プライム市場における当社株式の基準日終値2,217円、直近1ヶ月間の終値の単純平均値1,926円、直近3ヶ月間の終値の単純平均値1,795円及び直近6ヶ月間の終値の単純平均値1,806円を基に、当社株式の1株当たりの株式価値の範囲を1,795円~2,217円と算定しております。
DCF法では、当社が作成した2025年12月期から2027年12月期までの3期分の事業計画における財務予測、一般に公開された情報等の諸要素を前提として、当社が2025年12月期第2四半期以降に創出すると見込まれるフリー・キャッシュ・フローを一定の割引率で現在価値に割り引いて、当社の企業価値や株式価値を算定し、当社株式の1株当たり株式価値の範囲を2,488円~3,087円と算定しております。なお、割引率は加重平均資本コストとし、7.66%~9.66%を採用しており、継続価値の算定にあたっては永久成長率モデルを採用し、永久成長率は0.5%として当社株式の1株当たり株式価値を算定しております。
AGSコンサルティングがDCF法の算定の前提とした当社作成の事業計画に基づく財務予測は以下のとおりです。当該財務予測では、2025年12月期は、一時的な要因により売上及び利益が前年度までの実績を大幅に下回ることが予想されているものの、2026年12月期以降は従来の基調に回復することが想定されていることから、営業利益、EBITDA及びフリー・キャッシュ・フローにおいて大幅な増加を見込んでおります。具体的には、2025年12月期においては、必要と見込まれるタンクコンテナの在庫数と実際の在庫数に大幅な乖離が生じている地域の在庫数の適正化を図るために取扱数量を調整することから、売上高の減少に伴う運転資本の減少により、フリー・キャッシュ・フローが前期比プラス104.0%となることを見込んでおります。2026年12月期においては、各地域のタンクコンテナ在庫数の適正化が終了していることから取扱数量の制限が不要となり売上高の増加を見込む一方、利益率の高い案件に注力した営業活動により収益性の向上を図り、営業利益、EBITDA及びフリー・キャッシュ・フローがそれぞれ前期比プラス49.0%、同プラス34.4%、同プラス30.6%となることを見込んでおります。
本取引実行により実現することが期待されるシナジー効果については、現時点において具体的に見積もることが困難であるため、当該財務予測には加味しておらず、当該財務予測を基礎としたAGSコンサルティングによる算定にも盛り込まれておりません。なお、当社は、2025年6月30日付「2025年12月期第2四半期(累計)連結業績予想及び通期連結業績予想の修正に関するお知らせ」において、2025年12月期の業績予想の修正を公表しておりますが、AGSコンサルティングが当社株式の価値算定を行うにあたっては、当該業績予想の修正の影響を反映しております。当社は、当社作成の事業計画について、事業計画作成後の状況も踏まえ内容を更新したい旨を本特別委員会に連絡し、本特別委員会は、当該更新内容が当社の株式価値算定に及ぼす影響について、第三者算定機関である赤坂国際会計にも確認を行った上で、事業計画の一部更新を承認しています。
(単位:百万円)
AGSコンサルティングは、当社株式の株式価値の算定に際し、当社から提供を受けた情報及び一般に公開された情報等を原則としてそのまま採用し、それらの資料及び情報が、全て正確かつ完全なものであること、また本公開買付価格の分析・算定に重大な影響を与える可能性がある事実でAGSコンサルティングに対して未開示の事実はないこと等を前提としてこれに依拠しており、独自にそれらの正確性の検証を行っておりません。加えて、当社の財務予測に関する情報については、当社の経営陣による現時点で得られる最善の予測と判断に基づき合理的に作成され、当社の経営陣がその内容を精査した上でAGSコンサルティングによる価値算定において使用することを了承したことを前提としております。また、当社及びその関係会社の資産及び負債(簿外資産及び負債、その他偶発債務を含みます。)に関して独自の評価・査定を行っておらず、第三者機関への鑑定又は査定の依頼も行っておりません。AGSコンサルティングの算定は、2025年6月27日までの上記情報を反映したものです。
本特別委員会は、下記「(6) 本公開買付価格の公正性を担保するための措置及び利益相反を回避するための措置等、本公開買付けの公正性を担保するための措置」の「③ 当社における独立した特別委員会の設置及び答申書の取得」に記載のとおり、公開買付者及び当社から独立した独自の第三者算定機関である赤坂国際会計に対して、当社株式の価値算定を依頼し、2025年6月30日付で、株式価値算定書(赤坂国際会計)(以下「本株式価値算定書(赤坂国際会計)」といいます。)を取得いたしました。なお、赤坂国際会計は、公開買付者及び当社の関連当事者には該当せず、本公開買付けを含む本取引に関して記載すべき重要な利害関係を有しておりません。また、本取引に関する赤坂国際会計に対する報酬は、本取引の成否にかかわらず支払われる固定報酬のみであり、本取引の成立を条件に支払われる成功報酬は含まれておりません。
本株式価値算定書(赤坂国際会計)の概要は、下記「(6) 本公開買付価格の公正性を担保するための措置及び利益相反を回避する措置等、本公開買付けの公正性を担保するための措置」の「③ 当社における独立した特別委員会の設置及び答申書の取得」をご参照ください。
当社株式は、本書提出日現在、東京証券取引所プライム市場に上場していますが、公開買付者は、本公開買付けにおいて買付予定数の上限を設定していないため、本公開買付けの結果次第では、東京証券取引所の上場廃止基準に従って、当社株式は、所定の手続を経て上場廃止となる可能性があります。
また、本公開買付けの成立時点では当該基準に該当しない場合でも、本公開買付けの成立後、公開買付者は、下記「(5) 本公開買付け後の組織再編等の方針(いわゆる二段階買収に関する事項)」に記載の本スクイーズアウト手続を実施することを予定しているとのことですので、その場合、当社株式は東京証券取引所の上場廃止基準に従って、所定の手続を経て上場廃止となります。なお、上場廃止後は、当社株式を東京証券取引所プライム市場において取引することはできません。
公開買付者は、上記「(2) 意見の根拠及び理由」の「① 本公開買付けの概要」に記載のとおり、本公開買付けにより、当社株式(ただし、当社が所有する自己株式及び本不応募合意株式を除きます。)のすべてを取得できなかった場合には、本公開買付けの成立後、以下の方法により本スクイーズアウト手続を行うことを企図しているとのことです。
具体的には、公開買付者は、本株式併合を行うこと及び本株式併合の効力発生を条件として単元株式数の定めを廃止する旨の定款の一部変更を行うことを付議議案に含む臨時株主総会(以下「本臨時株主総会」といいます。)を2025年10月上旬又は中旬頃を目途に開催することを、本公開買付けの決済の完了後速やかに当社に要請する予定とのことですが、具体的な手続及びその実施時期については、当社と協議の上、決定次第、当社が速やかに公表する予定とのことです。当社は、公開買付者からかかる要請を受けた場合には、かかる要請に応じる予定です。
公開買付者は、本臨時株主総会において上記各議案に賛成する予定とのことであり、また、下記「(7) 本公開買付けに係る重要な合意に関する事項」の「③ 本不応募契約」に記載のとおり、商船三井は、本臨時株主総会において、上記各議案に賛成することに合意しているとのことです。
本臨時株主総会において本株式併合の議案についてご承認をいただいた場合には、本株式併合がその効力を生ずる日において、当社の株主は、本臨時株主総会においてご承認をいただいた本株式併合の割合に応じた数の当社株式を所有することとなります。本株式併合をすることにより株式の数に1株に満たない端数が生じるときは、当社の株主に対して、会社法第235条その他の関係法令の定める手続に従い、当該端数の合計数(合計した数に1株に満たない端数がある場合には、当該端数は切捨てられます。以下同じです。)に相当する当社株式を当社又は公開買付者に売却することによって得られる金銭が交付されることになります。当該端数の合計数に相当する当社株式の売却価格については、当該売却の結果、本公開買付けに応募されなかった当社の株主に交付される金銭の額が、本公開買付価格に当該当社の株主が所有していた当社株式の数を乗じた価格と同一となるよう設定した上で、裁判所に対して任意売却許可の申立てを行うことを当社に要請する予定とのことです。また、当社株式の併合の割合は、本書提出日現在において未定ですが、公開買付者及び商船三井が当社株式のすべて(ただし、当社が所有する自己株式を除きます。)を所有することとなるよう、本公開買付けに応募されなかった当社の株主(当社及び商船三井を除きます。)の所有する当社株式の数が1株に満たない端数となるように決定される予定とのことです。
本株式併合に関連する少数株主の権利保護を目的とした会社法上の規定として、本株式併合により株式の数に1株に満たない端数が生じるときは、会社法第182条の4及び第182条の5その他の関係法令の定めに従って、当社の株主の皆様は、当社に対してその所有する株式のうち1株に満たない端数となるものの全部を公正な価格で買い取ることを請求することができる旨及び裁判所に対して当社株式の価格決定の申立てを行うことができる旨が定められています。上記のとおり、本株式併合においては、本公開買付けに応募されなかった当社の株主(当社及び商船三井を除きます。)の所有する当社株式の数は1株に満たない端数となる予定とのことですので、本株式併合に反対する当社の株主は、上記申立てを行うことができることになる予定とのことです。なお、上記申立てがなされた場合の買取価格は、最終的には裁判所が判断することになります。
上記手続については、関係法令の改正、施行、当局の解釈等の状況によっては、実施に時間を要し、又は実施の方法に変更が生じる可能性があります。但し、その場合であっても、本公開買付けが成立した場合には、本公開買付けに応募されなかった当社の株主の皆様(当社及び商船三井を除きます。)に対しては、最終的に金銭を交付する方法が採用される予定とのことであり、その場合に当該当社の株主の皆様に交付される金銭の額については、本公開買付価格に当該当社の株主の皆様が所有していた当社株式の数を乗じた価格と同一になるよう算定される予定とのことです。
以上の場合における具体的な手続及びその実施時期等については、当社と協議の上、決定次第、当社が速やかに公表する予定です。
本公開買付けへの応募又は上記各手続における税務上の取扱いについては、株主の皆様において自らの責任にて税理士等の専門家にご確認いただきますようお願いいたします。
公開買付者及び当社は、本公開買付けがいわゆるマネジメント・バイアウト(MBO)の一環として行われるものであり、構造的な利益相反の問題が存在すること等を踏まえ、本公開買付価格の公正性の担保、本公開買付けの実施を決定するに至る意思決定の過程における恣意性の排除及び利益相反の回避の観点から、本公開買付けを含む本取引の公正性を担保するため、以下の措置を実施いたしました。
また、以下の記載のうち、公開買付者において実施した措置については、公開買付者から受けた説明に基づくものです。
なお、公開買付者は、本公開買付けにおいて、いわゆるマジョリティ・オブ・マイノリティ(Majority of Minority)(注)の買付予定数の下限を設定すると、本公開買付けの成立を不安定なものとし、かえって本公開買付けによる当社株式の売却を希望する当社の少数株主の皆様の利益に資さない可能性もあるものと考え、本公開買付けにおいて、マジョリティ・オブ・マイノリティ(Majority of Minority)に相当する買付予定数の下限は設定しておりません。もっとも、公開買付者及び当社において、以下の措置をそれぞれ実施していることから、公開買付者としては、当社の少数株主の皆様の利益には十分な配慮がなされていると考えております。
(注) 「マジョリティ・オブ・マイノリティ(Majority of Minority)」とは、一般に、買収者と重要な利害関係を共通にしない株主が保有する株式の過半数の支持を得ることをM&Aの成立の前提条件とし、当該前提条件を予め公表することをいいます。
当社は、商船三井、当社及び公開買付者から独立したファイナンシャル・アドバイザーとして株式会社ウイズコアを選任し、公開買付者との交渉方針に関する助言を含む財務的見地からの助言及び補助を受け、また、ファイナンシャル・アドバイザー及び第三者算定機関であるAGSコンサルティングに対し、当社株式の株式価値の算定を依頼し、2025年6月27日付で本株式価値算定書(AGSコンサルティング)を受領いたしました。なお、当社は、本「(6) 本公開買付価格の公正性を担保するための措置及び利益相反を回避するための措置等、本公開買付けの公正性を担保するための措置」に記載のとおり、公開買付者及び当社において、本公開買付価格の公正性を担保するための措置及び利益相反を回避するための措置を実施しており、当社の少数株主の利益に配慮がなされていると考えていることから、AGSコンサルティングから本公開買付価格の公正性に関する意見書(フェアネス・オピニオン)を取得しておりません。本株式価値算定書(AGSコンサルティング)の概要については、上記「(3) 算定に関する事項」の「① 当社における独立したファイナンシャル・アドバイザー及び第三者算定機関からの株式価値算定書の取得」をご参照ください。
当社は、上記「(2) 意見の根拠及び理由」の「③ 当社が本公開買付けに賛同するに至った意思決定の過程及び理由」に記載のとおり、商船三井、当社及び公開買付者から独立したリーガル・アドバイザーとして西村あさひを選任し、西村あさひから、本取引において手続の公正性を担保するために講じるべき措置、本取引に関する諸手続を含む当社取締役会の意思決定の方法及び過程その他の留意点について、必要な法的助言を受けております。
なお、西村あさひは、商船三井、当社及び公開買付者の関連当事者には該当せず、本公開買付けに関して重要な利害関係を有しておりません。また、西村あさひの報酬は、本取引の成否にかかわらず、稼働時間に時間単価を乗じて算出するものとされており、本取引の成立を条件とする成功報酬は含まれておりません。
当社は、商船三井提案に関しては、当社は商船三井の子会社ではなく、商船三井提案に係る取引は、支配株主による公開買付けには該当しないものの、商船三井が4,021,800株(所有割合:29.00%)を保有する当社の大株主であることから、商船三井提案に係る取引が構造的な利益相反の問題及び情報の非対称性の問題が類型的に存する取引に該当し得ること、本MBO提案に関しては、本MBO提案に係る取引がいわゆるマネジメント・バイアウト(MBO)に該当し、構造的な利益相反の問題及び情報の非対称性の問題が存在すること、及び両提案を比較検討する必要があること等を踏まえ、本公開買付けを含む本取引に係る当社の意思決定に慎重を期し、当社取締役会の意思決定過程における恣意性及び利益相反のおそれを排除し、その公正性を担保することを目的として、2025年2月3日開催の当社取締役会決議に基づき、商船三井、当社、公開買付者及び本取引の成否から独立した委員によって構成される本特別委員会を設置いたしました。本特別委員会の委員としては、当社の独立社外取締役(監査等委員)である有賀隆之氏及び同じく当社の独立社外取締役(監査等委員)である相浦義則氏並びに京都大学経営管理大学院・経済学部の教授でありコーポレート・ファイナンスや企業価値評価の学術的知見及び特別委員としての豊富な経験を有する砂川伸幸氏の3名を選定しております。当社は、社外取締役である桜田治氏が商船三井のグループ執行役員であり、本取引に関して同社は当社と構造的な利益相反状態にあることから、本特別委員会の委員に選定しておりません。なお、当社は、当初から当該3名を本特別委員会の委員として選定しており、本特別委員会の委員を変更した事実はありません。なお、本特別委員会の互選により、有賀隆之氏を本特別委員会の委員長として選定しております。本特別委員会の各委員に対しては、その職務の対価として、答申内容にかかわらず固定額の報酬及び回数に応じて算出される報酬を支払うものとされ、当該報酬には、本取引の成立を条件とする成功報酬は含まれておりません。
そして、当社は、2025年2月13日開催の当社取締役会決議に基づき、本特別委員会に対し、(ⅰ)提案の目的の正当性・合理性(両提案のいずれが当社の企業価値の向上に資するかを含みます。)、(ⅱ)提案の取引条件(公開買付けの買付価格を含みます。)の公正性・妥当性、(ⅲ)提案に係る手続の公正性、(ⅳ)提案に基づく取引を行うことは当社の少数株主にとって不利益ではないか、(ⅴ)提案における公開買付けに対して当社の取締役会が賛同意見を表明すること及び当社株主に対して当該公開買付けへの応募を推奨することの是非(以下、かかる(ⅰ)乃至(ⅴ)の事項を総称して「本諮問事項」といいます。)について諮問しております。
併せて、当社は、上記取締役会決議に基づき、本特別委員会に対して、(a)検討のスケジュール及びプロセスを策定する権限(適時にいずれかの提案に対して優先交渉権を付与する権限を含みます。)、(b)取引条件等について、商船三井及び松元孝義氏との間で交渉を行うこと又は交渉に関する指示を当社に与える権限、(c)諮問事項の検討のために必要な情報収集等を行う権限、(d)当社の費用負担の下、本特別委員会独自の弁護士、算定機関、公認会計士その他のアドバイザーを選任する権限及び(e)当社の費用負担の下、本特別委員会の職務を補助する者を選任する権限をそれぞれ付与しております。
本特別委員会は、2025年2月6日、当社のリーガル・アドバイザーである西村あさひ、ファイナンシャル・アドバイザー及び第三者算定機関であるAGSコンサルティング並びにフィナンシャル・アドバイザーである株式会社ウイズコアについて、その独立性及び専門性に問題がないことを確認し、また、商船三井提案は、支配株主による公開買付けには該当しないものの、当社の大株主からの提案であることから、構造的な利益相反の問題及び情報の非対称性の問題が類型的に存する取引に該当し得ること、また、本MBO提案がいわゆるマネジメント・バイアウト(MBO)に該当し、性質上、特に当社の取締役会と当社の一般株主との間に利益相反が生じる可能性が存在すること等を踏まえ、本取引の公正性を担保するため、2025年2月6日、商船三井、松元孝義氏及び当社のいずれの関連当事者にも該当しないこと、及び本取引に関して重要な利害関係を有していないことを確認した上で、独自のリーガル・アドバイザーとして恵比寿松本法律事務所を、第三者算定機関として赤坂国際会計を選任する旨を決定しました。更に、本特別委員会は、当社が社内に構築した本取引の検討体制(本取引に係る検討、交渉及び判断に関与する当社の役職員の範囲及びその職務を含みます。)について、独立性及び公正性の観点から問題がないことを確認の上、承認しております。
本特別委員会は、2025年2月6日より同年6月25日まで合計17回、合計約22時間にわたって開催され、各会日間においても必要に応じて都度電子メールやWeb会議を通じて報告・情報共有、審議及び意思決定等を行う等して、本諮問事項についての協議及び検討が慎重に行われました。具体的には、本特別委員会は、(ⅰ)公開買付者及び商船三井に対する、本MBO提案及び商船三井提案の目的・背景、条件及び取引後の当社の経営方針等に関する事項のヒアリング、(ⅱ)当社に対する、AGSコンサルティングによる当社株式の株式価値算定の前提とした事業計画の内容及び策定方法、並びに公開買付者及び商船三井の提案内容及び取引後の当社の経営方針等に関する事項のヒアリング、並びに(ⅲ)AGSコンサルティングに対する、当社株式の株式価値算定に関する事項のヒアリング等を行いました。
本特別委員会は、このように本諮問事項について慎重に協議及び検討した結果、2025年6月30日、当社取締役会に対し、委員全員の一致で、大要以下の内容の本諮問事項についての本答申書を提出しております。
(a) 答申内容
Ⅰ.本MBO提案の方がこれまでの企業文化や戦略を活かしながら、企業価値の向上が図れる具体策と認められる。また、提案は当社の企業価値の向上に資するものであり、その目的は正当性及び合理性を有すると認められる。
Ⅱ.提案の取引条件は、公開買付けの買付価格を含め、公正かつ妥当である。
Ⅲ.提案に係る手続の公正性は確保されていると認められる。
Ⅳ.提案に基づく取引を行うことは、当社の少数株主にとって不利益ではない。
Ⅴ.当社取締役会が提案における公開買付けについて賛同意見を表明するとともに、当社の株主に対して本公開買付けへの応募を推奨することは、妥当である。
(b) 答申理由
Ⅰ.提案の目的の正当性・合理性
(ⅰ)当社を取り巻く経営環境、経営課題等
・本特別委員会が当社及び松元孝義氏から受けた説明によれば、当社は、現在の当社を取り巻く経営環境、経営課題等について、以下のとおり考えている。
・当社は、ISOタンクコンテナを使用した国際複合一貫輸送サービスを提供する会社として、1994年1月に設立された。当社株式は、2012年10月に、大阪証券取引所JASDAQ(スタンダード)市場に上場され、2016年9月に東京証券取引所市場第二部(東証二部)へ市場変更し、2017年7月に東京証券取引所市場第一部(東証一部)銘柄に指定された後、東京証券取引所における市場区分の見直しにより、2022年4月4日から、東京証券取引所プライム市場に上場している。
当社は、創立以来、ISOタンクコンテナによる化学品等の液体貨物の輸送、保管、常温で固形化する貨物の加温による溶融化等のサービスを、日本国内だけでなく、海外のメーカー、商社に提供している。ISOタンクコンテナは、国際標準化機構であるISO規格の認証を受けており、安全性、利便性、経済性に優れているだけでなく、地球温暖化抑制の観点から世界的に推進されている「モーダルシフト」を可能にするもので、かつ、反復利用が可能で、梱包材を必要とせず、残留貨物の厳格な処理をしながら洗浄作業を行うことから自然環境保護に最適であり、このような自然環境に配慮した事業が顧客からも必要とされている。当社は、ISOタンクコンテナを「反復利用」して化学品を輸送するため、ISOタンクコンテナ自体の品質管理を最重要視し、1996年には洗浄設備を備えたタンクターミナルを東京港と神戸港の港湾エリアに開設、現在は、国内に8カ所、海外ではマレーシアに1カ所の拠点を設け、当社グループにより日々品質の高いISOタンクコンテナを提供している。
その一方で、国際貨物市場の市況は変動幅が大きく、地政学的なリスクの高まりや、世界的な景気悪化等によって、短期的にはISOタンクコンテナを利用した貨物の輸送ニーズや、ISOタンクコンテナを利用して輸送する際に要する輸送費の大きな変動をもたらす可能性がある。また、ISOタンクコンテナは液体の化学品の輸送に適しており、経済水準の向上に伴い化学品を原料とするプラスティック等へのニーズの拡大がグローバルかつ継続的に見込まれることから、市場の拡大が予想され、さらなる競争環境の激化の可能性もある。
当社は、液体貨物を片道運賃で輸送するサービスや、国内外での独自の洗浄拠点の保有、フロンガスの一貫処理等により、特に日本国内でタンクコンテナをコア事業とし、かつ、グローバルに展開している唯一の企業として独自の地位を築いているものの、今後、新たな収益の柱を構築すべく、国内輸送の受注拡大に向けた営業活動や欧米大手化学企業とのさらなる取引の深化、三国間の輸送取引獲得に向けた営業活動の強化を志向しているが、そのような事業ポートフォリオの変革にあたっては、短期的な市況に左右されることなく、中長期的な視点で新規事業の開拓を進めるとともに、施設及び人材への投資を行っていくことが必要不可欠である。とりわけ、ISOタンクコンテナ事業は、輸送、安全、環境、関税等を含む国境を跨いだ法令及び規則を踏まえた上で、国内外の顧客の多様化するニーズに対して総合的なソリューションを提供する能力が求められる。このような高い専門性を有した人材の育成は、短期的な外部採用等ではまかなうことができず、中長期的な視点をもって採用から育成まで一貫した方針と計画の下に実行されることが必要である。今後、市場の拡大が見込まれている中で、専門性や国際性を有した人材の獲得競争は激化することが予想され、育成した人材の定着・維持も急務となる。
また当社は、すでに述べたとおり、単にISOタンクコンテナを顧客に提供するだけでなく、国内外に独自の洗浄拠点を有し、常に高い品質と徹底的に整備されたタンクコンテナを顧客に提供するとともに、世界の主要国間の輸送サービスを片道運賃で提供できる体制を構築している。このような洗浄拠点の拡大や整備についても、中長期的な視点で今後の需要拡大に向けた設備投資が求められる。
このような短期的な市況変動リスクに直面しつつ、さらなる成長に向けて中長期的な事業構造の変革及び投資が求められている中で、短期的にはよりリスクをとった財務戦略が必要になってくると同時に、急激に変化し続ける市場環境の中で当社の市場におけるプレゼンスを拡大するためには、一貫した戦略と強いリーダーシップに基づいた事業改革が必要であると考えられる。
以上の内容について、特段の不合理な点は見受けられない。
(ⅱ)本取引により実現されるシナジー
・本特別委員会が確認したところによると、松元孝義氏らは、以下のような理由によりMBO提案を行うに至ったとのことである。
・松元孝義氏は、当社の大株主であり当社株式の全部を取得する取引を検討していた商船三井から、当該取引への協力の打診を受けたことをきっかけに、当社の企業価値を向上させ、株主共同の利益を確保する観点からは、第三者主導の下ではなく、自らの強いリーダーシップの下で、当社が、「地球の環境破壊を防ぎ、広く社会全体に奉仕する公共性と豊かな国際性を備えた、環境国際物流企業を目指す。」という当社の企業理念に即して、独立した事業運営を行うことが望ましいのではないかと考えるようになり、本取引の検討を開始した。そして、2024年12月下旬には、本取引の本格的な検討を進めるにあたり、ファイナンシャル・アドバイザーとして青山財産ネットワークス及びあおぞら銀行を、リーガル・アドバイザーとしてTMI総合法律事務所をそれぞれ選任した。
具体的には、松元孝義氏は、国際貨物市場の市況は変動幅が大きく、地政学的なリスクの高まりや、世界的な景気悪化等によって、短期的にはISOタンクコンテナの需要や価格にも大きな変動をもたらす可能性がある、また、ISOタンクコンテナ市場の拡大が予想される中で、さらなる競争環境の激化の可能性もあると考えている。
そのような短期的な市況変動リスクに直面しつつ、さらなる成長に向けて中長期的な事業構造の変革及び投資が求められている中で、短期的にはよりリスクをとった財務戦略が必要になってくるものと考えている。また、このような急激に変化し続ける市場環境の中で市場におけるプレゼンスを拡大するためには、一貫した戦略と強いリーダーシップに基づいた事業改革が必要と考えている。
当社の株式は、2012年に大阪証券取引所JASDAQ(スタンダード)市場に上場され、本書提出日現在、東京証券取引所プライム市場に上場されていますが、PERは10倍前後で推移しているところ、欧州等で上場している競合企業等に比べて著しく低い水準に留まっており、当社の事業の成長可能性は、市場から十分に評価されているとは言いがたい状況にあると考えている。
このような状況においては、当社は、短期的な株価変動、特に株価の下落リスクに対して、保守的な対応をとらざるを得ず、思い切った事業構造変革や投資のための資金調達にも制約が加わっている状況にあると考えている。
松元孝義氏としては、中長期的に市場規模の倍増が見込まれる市場環境の下で、当社は市場を上回る成長を達成し、マーケットのリーダーとなり得るポテンシャルを有していると確信しているが、そのためには、これまで以上に松元孝義氏の強いリーダーシップの下で、専門性・国際性に長けた優れた人材を育成・維持しながら、中長期な視点の下で一貫した戦略的な事業構造変革と投資を行い、量的な拡大とマーケットにおける独自性を両立していくことが必要だと考えている。
他方、このような戦略の実行は短期的には当社の事業リスクを高め、国際貨物市場の変動リスクもあいまった場合には、一時的には株価の下落を招き、東京証券取引所プライム市場の上場維持基準未達の可能性も高まるなど、当社株主の皆様にとって、必ずしも望ましい結果となるとは限らず、ひいては上記のような戦略実行にあたって、当社の既存株主との間で経営方針に係る意見の相違が生じることも想定され、急激に変動するマーケットの中での機動的な戦略実行に支障を来すことも懸念されると考え、当社を非公開化した上で、以下のような戦略を実行していくことが当社グループの中長期的な成長及び企業価値向上の実現に向けて、最も望ましい選択肢であると考えるに至ったものである。
そして、松元孝義氏は、上記の施策を含む、当社のさらなる成長に資する抜本的な改革及び企業価値向上を実現するためには、当社単独のリソースのみでは一定の限界があるため、当社独自の経営努力に加え、外部の経営資源も活用することが有益であるとの認識に至り、2025年1月上旬から、当社グループの企業価値最大化が実現可能な共同投資家としてのパートナー候補の選定を開始した。その後、松元孝義氏は、2025年1月中旬に、青山財産ネットワークスから、J-STARを含む3社のパートナー候補を紹介された。その中で、松元孝義氏は、2025年1月中旬、J-STARから当社グループの事業成長支援案や、本取引実施後の当社の運営方針、役員体制、ストラクチャー等の提案を受けた。当該提案の検討を踏まえ、松元孝義氏は、当社に対し、2025年1月20日付で単独での初期的提案書を提出し、その中で、当社のさらなる成長に資する抜本的な改革及び企業価値向上を実現するためには外部の経営資源も活用することが有益であるとの認識に基づき、松元孝義氏及び上記のパートナー候補が共同で出資する買収目的会社が公開買付者となり、公開買付者を通じた当社のマネジメント・バイアウト(MBO)を行うことを提案するとともに、本取引について本格的に検討するため、当社に対してデューディリジェンスを実施したい旨の申入れ(MBO提案)を行った。
以上の経緯について、特段の不合理な点は認められない。
・また、松元孝義氏らは、当社をMBOにより非公開化することにより、主に以下のようなメリットの実現が可能であると考えているとのことである。
・当社は東京証券取引所プライム市場に上場しているものの、PERは欧州等で上場している競合企業等と比較して著しく低い10倍程度に留まっており、当社の事業の成長性が市場から十分に評価されているとは言い難い状況にある。また大株主の存在により当社株式の流動性も低い水準となっており、短期的な株価変動とりわけ株価の下落リスクに対して保守的な対応を採らざるを得ず、思い切った産業構造変革や投資のための資金調達に制約が掛かっている状況である。非公開化によって、これらの制約を克服し、より機動的な資金調達や設備投資が期待できる。
・また、上記のとおり、中長期的に市場規模の倍増が見込まれる市場環境の下で、これまで以上に松元孝義氏の強いリーダーシップの下で、専門性・国際性に長けた優れた人材を育成・維持しながら、中長期な視点の下で一貫した戦略的な事業構造変革と投資を行い、量的な拡大とマーケットにおける独自性を両立していくことが必要となってくるが、このような戦略の実行は短期的には当社の事業リスクを高め、国際貨物市場の変動リスクもあいまった場合には、一時的には株価の下落を招き、東京証券取引所プライム市場の上場維持基準未達の可能性も高まるなど、当社株主にとって必ずしも望ましい結果となるとは限らず、ひいては上記のような戦略実行にあたって、当社の既存株主との間で経営方針に係る意見の相違が生じることも想定され、急激に変動するマーケットの中での機動的な戦略実行に支障を来すことも懸念されると考えられるが、当社を非公開化することにより、上記のような懸念を解消しつつ、当社の中長期的な成長及び企業価値向上の実現が可能となる。
以上のメリットの説明について、特段の不合理な点は認められない。
・また本特別委員会に対する松元孝義氏らからの説明によると、本取引により当社は上場廃止となり、一定のデメリットが生じる可能性があるものの、それは以下のような理由により克服できると考えているとのことである。
当社は、知名度や社会的信用の向上など、上場会社として様々なメリットを享受してきたものの、事業の性質上、多額の運転資金が必要な事業構造ではないため、市場を通じたエクイティ・ファイナンスによる資金調達の必要性は高くない。また金融機関とも良好な関係を築いているため、間接金融を通じた調達にも支障はない。さらに一定のブランド力や取引先との信用もすでに構築されているため、上場廃止による取引関係の継続や人材の採用面への悪影響も見込まれない。
以上のデメリット克服の説明について、特段の不合理な点は認められない。
(ⅲ)本取引後の当社の経営方針
・本取引はいわゆるマネジメント・バイアウト(MBO)に該当し、公開買付者は、本取引の完了後も引き続き当社の代表取締役社長として経営にあたる松元孝義氏とともに、上記に記載の経営方針を推進する予定であり、松元孝義氏は、本決済開始日後、公開買付者に対して松元孝義氏が再出資を行う予定とのことである。なお、松元孝義氏及びJ-STARファンドは、2025年6月30日付で株主間契約を締結し、公開買付者及び当社の運営並びに公開買付者株式の取扱い等について合意しているとのことである。
上記の内容は、マネジメント・バイアウトの事案において採用されることがある一般的な手法であり、類似事例と比較して特段の不合理な点は認められない。
(ⅳ)小括
・以上を踏まえると、本MBO提案の方がこれまでの企業文化や戦略を活かしながら、企業価値の向上が図れる具体策と認められる。また、本取引は、当社の企業価値の向上に資するものであり、その目的は正当性及び合理性を有すると認められる。
Ⅱ.提案の取引条件の公正性・妥当性
(ⅰ)取引の方法及び株主に交付される対価の合理性
・上場会社をマネジメント・バイアウトの手法により非公開化する場合、いわゆる特別目的会社(SPC)を設立した上で公開買付けの手法によることは、一般的な実務として確立している。また、対価の種類についても、そもそも金銭は、流動性が高く投資回収の方法として妥当であるため、対価を金銭とすること自体が少数株主の不利益となる理由はない。
したがって、本取引の方法及び株主に交付される対価の種類については、合理性があると考えられる。
(ⅱ)本公開買付価格の公正性・妥当性
a.独立した第三者算定機関による株式価値算定結果
・本特別委員会独自の第三者算定機関である赤坂国際会計から取得した株式価値算定書によれば、当社株式の1株当たり株式価値は、市場株価法によると1,795円から2,217円、類似会社比較法によると1,508円から2,784円、DCF法によると2,144円から3,597円とされているところ、本公開買付価格は、市場株価法及び類似会社比較法による算定結果の上限値を上回るとともに、DCF法による算定結果の中央値を超える金額である。
そして、本特別委員会は、赤坂国際会計及び当社から、株式価値算定に用いられた算定方法等について、評価手法の選択、類似会社比較法における類似会社の選択、DCF法による算定の基礎となる当社の事業計画の作成方法・作成過程及び内容、割引率の算定根拠等について説明を受けるとともに、質疑応答を行った上で検討したが、その内容には、一般的な評価実務に照らして特段の不合理な点は認められなかった。
b.類似事例と比較したプレミアム水準
・本公開買付価格は、当社株式の2025年6月27日の東京証券取引所プライム市場における終値2,217円に対して38.02%(小数点以下第三位を四捨五入。以下、株価に対するプレミアムの数値(%)において同様とする。)、直近1ヶ月間の終値の単純平均値1,926円(小数点以下を四捨五入。以下、終値の単純平均値の計算において同様とする。)に対して58.88%、直近3ヶ月間の終値の単純平均値1,795円に対して70.47%、直近6ヶ月間の終値の単純平均値1,806円に対して69.44%のプレミアムをそれぞれ加えた金額であって、本公開買付価格には、2023年5月以降本日までに公表されたマネジメントバイアウト(MBO)の事例44件のプレミアムの水準と比較して、いずれの期間を基準にしても大きく上回るプレミアムが付されていると考えられる。
(ⅲ)本公開買付後の手続の合理性
・本取引においては、本公開買付けに応募しなかった少数株主は、本公開買付けの後に実施される予定の株式併合手続において、最終的に金銭が交付されることになるところ、当該手続において交付される金銭の額については、本公開買付価格に株主が所有していた当社株式の数を乗じた価格と同一となるよう算定される予定である旨が、プレスリリース等で明示される予定である。また、商船三井が当社に本不応募合意株式を売却する際の一株あたりの金額は、みなし配当の益金不算入規定が適用されることを考慮して、仮に商船三井が本公開買付けに応募した場合の税引後手取り額と、自己株式取得により当社に売却する場合に得られる税引後手取り額が同等となる金額として、本株式併合前の当社株式1株当たり2,572円に設定することにより、公開買付価格の最大化と株主間の公平性を両立させることを企図しているとのことである。
上記の手続の内容には、特段の不合理な点は認められない。
(ⅳ)小括
・以上を踏まえると、本特別委員会は、本公開買付価格を含めた本取引の条件の公正性及び妥当性は確保されていると判断する。
Ⅲ.提案に係る手続の公正性
(ⅰ)当社における独立したファイナンシャル・アドバイザー及び第三者算定機関の選任並びに第三者算定機関からの株式価値算定書の取得
・当社は、商船三井、当社及び公開買付者から独立したファイナンシャル・アドバイザーとして株式会社ウイズコアを選任し、公開買付者との交渉方針に関する助言を含む財務的見地からの助言及び補助を受け、また、ファイナンシャル・アドバイザー及び第三者算定機関であるAGSコンサルティングに対し、当社株式の株式価値の算定を依頼し、2025年6月27日付で当社株式価値算定書(AGSコンサルティング)を受領したとのことである。AGSコンサルティングは、商船三井、公開買付者及び当社の関連当事者には該当せず、本公開買付けに関して重要な利害関係を有していないとのことである。なお、本取引に係る株式会社ウイズコア及びAGSコンサルティングによる当社へのフィナンシャル•アドバイザー業務及び株式価値算定業務に対する報酬には、一部本取引の公表や成立等を条件とする成功報酬が含まれているとのことであるが、本取引の成否にかかわらず支払われる固定報酬が大半であり、同種の取引における一般的な実務慣行及び本取引が不成立になった場合であっても当社に相応の金銭負担が生じる報酬体系の是非等も勘案すれば、本公開買付けの公表や成立を条件に支払われる成功報酬が一部含まれることをもって独立性が否定されるわけではないものと考えられる。また当社は、AGSコンサルティングから本公開買付価格の公正性に関する意見書(フェアネス・オピニオン)を取得していないとのことであるが、下記のとおりその他にも本公開買付価格の公正性を担保するための措置が講じていることからすると、フェアネス・オピニオンを取得していなかったとしても、特に公正性の担保の観点からの問題はないものと考えられる。
(ⅱ)当社における独立した法律事務所からの助言の取得
・当社は、商船三井、当社及び公開買付者から独立したリーガル・アドバイザーとして、西村あさひを選任し、同事務所から、本取引において手続の公正性を担保するために講じるべき措置、本取引に関する諸手続を含む当社取締役会の意思決定の方法及び過程その他の留意点について、必要な法的助言を受けたとのことである。なお、西村あさひは、商船三井、当社及び公開買付者の関連当事者には該当せず、本公開買付けに関して重要な利害関係を有していないとのことである。また、西村あさひの報酬は、本取引の成否にかかわらず、稼働時間に時間単価を乗じて算出するものとされており、本取引の成立を条件とする成功報酬は含まれていないとのことである。
(ⅲ)当社における独立した特別委員会の設置
・上記「(2) 意見の根拠及び理由」の「③ 当社が本公開買付けに賛同するに至った意思決定の過程及び理由」に記載の通り、当社は、2025年2月3日、両提案の検討に関して、当社の独立社外取締役(監査等委員)である有賀隆之氏及び同じく当社の独立社外取締役(監査等委員)である相浦義則氏並びに京都大学経営管理大学院・経済学部教授である砂川伸幸氏の3名によって構成される、商船三井、公開買付者及び当社のいずれからも独立した特別委員会としての本特別委員会を設置している。当初から上記3名が本特別委員会の委員として選定されており、委員が変更された事実はない。本特別委員会の各委員に対しては、その職務の対価として、答申内容にかかわらず固定額の報酬及び回数に応じて算出される報酬を支払うものとされ、当該報酬には、本取引の成立を条件とする成功報酬は含まれていない。
(ⅳ)本特別委員会における独立した法律事務所からの助言の取得
・本特別委員会は、商船三井、公開買付者及び当社から独立したリーガル・アドバイザーとして恵比寿松本法律事務所を選任し、諮問事項の検討、本取引の手続の公正性その他関連する法的論点に関して法的助言を受けた。なお、恵比寿松本法律事務所は、商船三井、公開買付者及び当社のいずれの関連当事者にも該当せず、本取引に関して重要な利害関係を有しておらず、また恵比寿松本法律事務所に対する報酬には、本取引の成立等を条件に支払われる成功報酬は含まれていない。
(ⅴ)本特別委員会における独立した第三者算定機関からの株式価値算定書の取得
・本特別委員会は、商船三井及び公開買付者並びに当社から独立した独自の第三者算定機関である赤坂国際会計に対して、当社株式の価値算定を依頼し、2025年6月30日付で、本株式価値算定書(赤坂国際会計)を取得した。なお、赤坂国際会計は、商船三井及び公開買付者並びに当社の関連当事者には該当せず、本公開買付けを含む本取引に関して記載すべき重要な利害関係を有しておらず、また、本取引に関する赤坂国際会計に対する報酬は、本取引の成否にかかわらず支払われる固定報酬のみであり、本取引の成立を条件に支払われる成功報酬は含まれていない。
(ⅵ)当社における利害関係を有しない取締役全員(監査等委員を含む)の承認
・当社取締役会は、西村あさひから受けた法的助言、株式会社ウイズコア及びAGSコンサルティングから受けた財務的見地からの助言及び当社株式価値算定書(AGSコンサルティング)の内容を踏まえつつ、本答申書において示された本特別委員会の判断内容を最大限尊重しながら、本公開買付けを含む本取引が当社の企業価値の向上に資するか否か、及び本公開買付価格を含む本取引に係る取引条件が妥当なものか否かについて、慎重に協議・検討した結果、本公開買付けを含む本取引により当社の企業価値の向上が見込まれるとともに、本公開買付価格及び本公開買付けに係るその他の諸条件は当社の株主にとって妥当であり、本公開買付けは、当社の株主の皆様に対して合理的な株式の売却の機会を提供するものであると判断し、2025年6月30日開催予定の当社取締役会において、審議及び決議に参加した当社の取締役(松元孝義氏、桜田治氏、国松明氏を除く9名)の全員一致で、本公開買付けに賛同する意見を表明するとともに、当社の株主の皆様に対し、本公開買付けへの応募を推奨する旨の決議する予定とのことである。
なお、利益相反の疑いを回避し、本取引の公正性を担保する観点から、当社の取締役のうち、当社の代表取締役社長である松元孝義氏は、当社の大株主であり、公開買付者と共同して株式を取得する立場にあることや、本取引後に公開買付者への出資が予定されていること、取締役である桜田治氏は、商船三井のグループ執行役員であることから、本取引に関して当社と構造的な利益相反状態にあるため、特別利害関係取締役として、そして取締役である国松明氏は、2024年3月まで商船三井の従業員であったことから、本取引に関して当社と利益相反のおそれがあるため、上記取締役会における審議及び決議を含む、本取引に関連した当社取締役会の審議及び決議には一切参加しておらず、また、当社の立場において公開買付者との協議及び交渉にも一切参加していないとのことである。
(ⅶ)他の買収者による買収提案の機会の確保(マーケット・チェック)
・公開買付者は、法令に定められた公開買付けに係る買付け等の最短期間が20営業日であるところ、公開買付期間を30営業日に設定している。これは公開買付期間を比較的長期に設定することにより、当社の株主が本取引の是非や本公開買付価格の妥当性について熟慮し、本公開買付けに対する応募の是非について適切な判断を行うための期間を提供しつつ、対抗的な買付け等を行う機会を確保することにより、本公開買付けの公正性を担保することも企図しているとのことである。また、公開買付者及び当社は、当社が公開買付者以外の買収提案者(以下「対抗的買収提案者」という。)と接触することを禁止するような取引保護条項を含む合意等、対抗的買収提案者が当社との間で接触することを制限するような内容の合意は一切行っておらず、対抗的な買付け等の機会を妨げないこととしているとのことであり、上記公開買付期間の設定と併せ、対抗的な買付け等の機会が確保されることにより、本公開買付けの公正性の担保に配慮がなされているということができる。
(ⅷ)当社の株主が本公開買付けに応募するか否かについて適切に判断を行う機会を確保するための措置
・公開買付者は、本公開買付けの決済の完了後速やかに、公開買付者が本公開買付けの成立により取得する株式数に応じて、本株式併合を行うこと及び本株式併合の効力発生を条件として単元株式数の定めを廃止する旨の定款の一部変更を行うことを付議議案に含む本臨時株主総会の開催を当社に要請することを予定しており、当社の株主に対して、株式買取請求権又は価格決定申立権が確保されない手法は採用しないこと、また本株式併合をする際に、当社の株主の皆様に対価として交付される金銭は本公開買付価格に当該各株主(当社及び公開買付者を除く。)の所有する当社株式の数を乗じた価格と同一となるように算定されることを明らかとしていることから、当社の株主の皆様が本公開買付けに応募するか否かについて適切に判断を行う機会を確保し、これをもって強圧性が生じないように配慮がなされているということができる。
(ⅸ)マジョリティ・オブ・マイノリティ条件
・なお公開買付者は、本公開買付けにおいて、いわゆるマジョリティ・オブ・マイノリティ(Majority of Minority)条件を設定してはいないが、公開買付者の説明によると、本件において買付予定数の下限を設定すると、本公開買付けの成立を不安定なものとし、かえって本公開買付けによる当社株式の売却を希望する当社の少数株主の皆様の利益に資さない可能性もあるものと考え、本公開買付けにおいて、マジョリティ・オブ・マイノリティ(Majority of Minority)条件に相当する買付予定数の下限は設定していないとのことである。しかしながら、本件のこれまでの経緯及び上記のようなその他の本公開買付価格の公正性を担保するための措置が十分に講じられていると解されることに鑑みると、マジョリティ・オブ・マイノリティ(Majority of Minority)条件が設定されていないことのみをもって、適切な公正性担保措置が講じられていないと評価されるものではない。
(ⅹ)充実かつ適切な情報開示
・本特別委員会は、本意見表明プレスリリースのドラフトの提供を受け、その検証を行い、恵比寿松本法律事務所及び赤坂国際会計から、本意見表明プレスリリースのドラフトの内容について説明及び助言を受けてその内容を確認した。
そして、本意見表明プレスリリースのドラフトでは充実した情報開示が予定されており、かかる充実した開示は、一般株主に十分な情報に基づく適切な判断機会を確保するものであるといえる。
(ⅺ)小括
・以上を踏まえると、提案に係る手続の公正性は確保されており、かつ手続内容も妥当であると認められる。
Ⅳ.当社取締役会が提案に基づく取引を行うことが当社の少数株主にとって不利益ではないか
・上記Ⅰ.乃至Ⅲ.の検討のとおり、提案の内容は合理性・正当性を有しており、取引条件も妥当であり、かつ手続の公正性も確保されているから、当社が提案に基づく取引を行うこと、すなわちいわゆるマネジメント・バイアウト(MBO)の手法による本公開買付けにより当社を非公開化することは、当社の少数株主にとって不利益なものでないと考えられる。
Ⅴ.提案における公開買付けに対して当社の取締役会が賛同意見を表明すること及び当社の株主に対して当該公開買付けへの応募を推奨することの是非
・上記Ⅰ.乃至Ⅲ.の検討のとおり、提案は当社の企業価値の向上に資するものであり、その目的は正当性及び合理性を有すると認められる。また、提案に係る手続の公正性及び妥当性は確保されていると認められ、さらには、提案の条件の公正性及び妥当性が確保されていることも認められるから、当社取締役会は、提案に基づく公開買付けについて、賛同意見を表明し、また本公開買付けへの応募について推奨することは妥当である。
本特別委員会は、商船三井、公開買付者及び当社から独立したリーガル・アドバイザーとして恵比寿松本法律事務所を選任し、本取引の手続の公正性に関して法的助言を受けております。なお、恵比寿松本法律事務所は、商船三井、公開買付者及び当社のいずれの関連当事者にも該当せず、本取引に関して重要な利害関係を有しておりません。
また、恵比寿松本法律事務所に対する報酬には、本取引の成立等を条件に支払われる成功報酬は含まれておりません。
本特別委員会は、上記「③ 当社における独立した特別委員会の設置及び答申書の取得」に記載のとおり、公開買付者及び当社から独立した独自の第三者算定機関である赤坂国際会計に対して、当社株式の価値算定を依頼し、2025年6月30日付で、本株式価値算定書(赤坂国際会計)を取得いたしました。なお、赤坂国際会計は、公開買付者及び当社の関連当事者には該当せず、本公開買付けを含む本取引に関して記載すべき重要な利害関係を有しておりません。また、本取引に関する赤坂国際会計に対する報酬は、本取引の成否にかかわらず支払われる固定報酬のみであり、本取引の成立を条件に支払われる成功報酬は含まれておりません。
本株式価値算定書(赤坂国際会計)の概要は、上記「(6) 本公開買付価格の公正性を担保するための措置及び利益相反を回避する措置等、本公開買付けの公正性を担保するための措置」の「③ 当社における独立した特別委員会の設置及び答申書の取得」をご参照ください。
当社取締役会は、上記「(2) 意見の根拠及び理由」の「③ 当社が本公開買付けに賛同するに至った意思決定の過程及び理由」に記載のとおり、西村あさひから受けた法的助言、株式会社ウイズコア及びAGSコンサルティングから受けた財務的見地からの助言及び本株式価値算定書(AGSコンサルティング)の内容を踏まえつつ、本答申書において示された本特別委員会の判断内容を最大限尊重しながら、本公開買付けを含む本取引が当社の企業価値の向上に資するか否か、及び本公開買付価格を含む本取引に係る取引条件が妥当なものか否かについて、慎重に協議・検討いたしました。
その結果、当社は、上記「(2) 意見の根拠及び理由」の「③ 当社が本公開買付けに賛同するに至った意思決定の過程及び理由」に記載のとおり、本公開買付けを含む本取引により当社の企業価値の向上が見込まれるとともに、本公開買付価格及び本公開買付けに係るその他の諸条件は当社の株主の皆様にとって妥当であり、本公開買付けは、当社の株主の皆様に対して合理的な株式の売却の機会を提供するものであると判断し、2025年6月30日開催の当社取締役会において、審議及び決議に参加した当社の取締役(松元孝義氏、桜田治氏、国松明氏を除く9名)の全員一致で、本公開買付けに賛同する意見を表明するとともに、当社の株主の皆様に対し、本公開買付けへの応募を推奨する旨の決議をいたしました。
なお、利益相反の疑いを回避し、本取引の公正性を担保する観点から、当社の取締役のうち、当社の代表取締役社長である松元孝義氏は、当社の大株主であり、公開買付者と共同して株式を取得する立場にあることや、本取引後に公開買付者への出資が予定されていること、取締役である桜田治氏は、本不応募契約を締結する商船三井のグループ執行役員であることから、本取引に関して当社と構造的な利益相反状態にあるため、特別利害関係取締役として、そして取締役である国松明氏は、2024年3月まで商船三井の従業員であったことから、本取引に関して当社と利益相反のおそれがあるため、上記取締役会における審議及び決議を含む、本取引に関連した当社取締役会の審議及び決議には一切参加しておらず、また、当社の立場において公開買付者との協議及び交渉にも一切参加しておりません。
公開買付者は、法令に定められた公開買付けに係る買付け等の最短期間が20営業日であるところ、公開買付期間を30営業日に設定しております。このように公開買付期間を法令に定められた最短期間に比して長期に設定することにより、当社の株主及が本取引の是非や本公開買付価格の妥当性について熟慮し、本公開買付けに対する応募の是非について適切な判断を行うための期間を提供しつつ、対抗的な買付け等を行う機会を確保することにより、本公開買付けの公正性を担保することも企図しているとのことです。
また、公開買付者及び当社は、当社が公開買付者以外の買収提案者(以下「対抗的買収提案者」といいます。)と接触することを禁止するような取引保護条項を含む合意等、対抗的買収提案者が当社との間で接触することを制限するような内容の合意は一切行っておらず、対抗的な買付け等の機会を妨げないこととしているとのことです。このように、上記公開買付期間の設定とあわせ、対抗的な買付け等の機会が確保されることにより、本公開買付けの公正性の担保に配慮しているとのことです。
公開買付者は、上記「(5) 本公開買付け後の組織再編等の方針(いわゆる二段階買収に関する事項)」に記載のとおり、(ⅰ)本公開買付けの決済の完了後速やかに、公開買付者が本公開買付けの成立により取得する株式数に応じて、本株式併合を行うこと及び本株式併合の効力発生を条件として単元株式数の定めを廃止する旨の定款の一部変更を行うことを付議議案に含む本臨時株主総会の開催を当社に要請することを予定しており、当社の株主の皆様に対して、株式買取請求権又は価格決定申立権が確保されない手法は採用しないこと、(ⅱ)本株式併合をする際に、当社の株主の皆様に対価として交付される金銭は本公開買付価格に当該各株主(当社及び公開買付者を除きます。)の所有する当社株式の数を乗じた価格と同一となるように算定されることを明らかとしていることから、当社の株主の皆様が本公開買付けに応募するか否かについて適切に判断を行う機会を確保し、これをもって強圧性が生じないように配慮しているとのことです。
松元孝義氏及びJ-STARファンドは、2025年6月30日付で、公開買付者及び当社の組織・運営及び株式の取扱い等に関する以下の内容を含む本株主間契約を締結しているとのことです。
・ 当社の機関設計(取締役会設置会社・監査役設置会社)
・ 本松元孝義氏再出資後の松元孝義氏及びJ-STARファンドの公開買付者株式に係る議決権比率(それぞれ49.9%、50.1%)
・ 当社の役員の指名権(J-STARファンドが取締役2名(非常勤)のみ指名、松元孝義氏が取締役11名、監査役3名を上限として指名)
・ 当社の代表取締役の指名権(員数は2名以内、松元孝義氏が2名指名)
・ 当社において本株主間契約で定める事項(株主の地位・権利に影響を及ぼす事項、定款等の変更、組織再編、解散・清算に関する事項等)を決定する際のJ-STARファンドによる事前承諾
・ 松元氏及びJ-STARファンドの、本株主間契約締結日から5年間(但し、5年間経過時点において、18ヶ月以内に公開買付者の株式の金融商品取引所への上場が合理的に見込まれる場合には、(a)5年間経過時点から18ヶ月が経過した日、又は、(b)5年間経過後、当該上場の合理的な見込みがなくなった日の、いずれか早い日までの期間とします。以下「本ロックアップ期間」といいます。)の公開買付者の株式の全部又は一部の譲渡、移転、担保提供その他の方法による処分の禁止
・ 本ロックアップ期間経過後の松元氏及びJ-STARファンドの先買権及びタグ・アロング権
・ 本ロックアップ期間経過後のJ-STARファンドのドラッグ・アロング権
・ 本株主間契約に定める事項が生じた場合の松元氏及びJ-STARファンドのプット・オプション及びコール・オプション
公開買付者は、2025年6月30日付で、松元孝義氏との間で本応募契約(松元孝義氏)を締結し、松元孝義氏が所有する当社株式の全て(2,935,200株、所有割合:21.17%)を本公開買付けに応募すること等を合意しているとのことです。なお、本応募契約(松元孝義氏)においては、(ⅰ)本公開買付けへの応募について前提条件は定められておらず、(ⅱ)松元孝義氏は、本公開買付けと実質的に矛盾若しくは抵触し、又は本公開買付けの実行を困難にする具体的なおそれのある取引(以下「抵触取引」といいます。)の条件にかかわらず、抵触取引に関連する合意をし、又は抵触取引に応じてはならず、また、直接又は間接を問わず、抵触取引の申込み若しくは申込みの勧誘又は抵触取引に関するいかなる協議若しくは交渉も行わないものとされているとのことです。
公開買付者は、2025年6月30日付で、エムアンドエムとの間で本公開買付けの応募に関する契約を締結し、エムアンドエムが所有する当社株式の全て(300,000株、所有割合:2.16%)を本公開買付けに応募すること等を合意しているとのことです。なお、本応募契約(エムアンドエム)においては、(ⅰ)本公開買付けへの応募について前提条件は定められておらず、(ⅱ)エムアンドエムは、抵触取引の条件にかかわらず、抵触取引に関連する合意をし、又は抵触取引に応じてはならず、また、直接又は間接を問わず、抵触取引の申込み若しくは申込みの勧誘又は抵触取引に関するいかなる協議若しくは交渉も行わないものとされているとのことです。
公開買付者、松元孝義氏及びJ-STARファンドは、2025年6月30日付で、商船三井との間で本不応募契約を締結し、(ⅰ)商船三井が所有する当社株式の全て(4,021,800株、所有割合:29.00%)を本公開買付けに応募しないこと、(ⅱ)商船三井は、(a)当社株式の取得(当社株式の取得に向けられた公開買付けの開始を含みます。)、本不応募合意株式の全部又は一部の譲渡、移転、承継、貸付け、担保提供その他の処分、その他抵触取引に関連する合意をし、抵触取引を開始若しくは実行し、又は抵触取引に応じてはならず、また、(b)直接又は間接を問わず、公開買付者以外の者に対し、抵触取引に関連して当社グループに関する情報その他の情報を提供してはならず、(c)抵触取引の申込み若しくは申込みの勧誘又は抵触取引に関するいかなる協議若しくは交渉も行ってはならず、かつ、(d)本不応募契約締結日において、公開買付者以外の者(公開買付者の役職員、代理人、弁護士、公認会計士その他の専門的アドバイザーを除きます。)に対し、抵触取引に関連して当社グループに関する情報その他の情報を既に提供している場合には、速やかにその相手方をして、これを返還又は廃棄させなければならないこと、(ⅲ)商船三井は、第三者から抵触取引に係る提案を受け、又はかかる提案が存在することを知った場合(但し、当該提案が公表された場合を除きます。)、速やかに、公開買付者に対し、その旨及び当該提案の内容を通知し、対応につき、誠実に協議すること等を合意しているとのことです。
本不応募契約においては、商船三井による上記(ⅰ)乃至(ⅲ)の義務の履行の前提条件として、(ⅰ)本不応募契約締結日及び本公開買付けの開始日において、公開買付者、J-STARファンド及び松元孝義氏の表明保証事項(注)が重要な点において真実かつ正確であること、(ⅱ)公開買付者において、本公開買付けの開始日までに本不応募契約に基づき履行又は遵守すべき義務が、全て重要な点において履行又は遵守されていること、(ⅲ)当社の取締役会が、利害関係を有しない取締役の全員一致をもって、本公開買付けに賛同し、当社の株主に対して本公開買付けへの応募を推奨する旨の意見(以下「本賛同意見」といいます。)を表明することを決議し、これが公表され、かつ、本賛同意見が変更又は撤回されていないこと、(ⅳ)本特別委員会が、当社の取締役会に対して、本賛同意見を表明することは相当である旨の答申(以下「本賛同答申」といいます。)を行い、本賛同答申を行ったことが公表され、かつ、本賛同答申が変更又は撤回されていないこと、(ⅴ)本不応募契約に定める取引のいずれかを制限又は禁止するいかなる司法・行政機関等の判断等も存在していないこと、(ⅵ)本公開買付けの開始日において、本公開買付けが開始されていたとするならば、本公開買付けの撤回ができる事由が生じていないこと、(ⅶ)公開買付者が、本銀行融資について金融機関から融資証明書を、また、J-STARファンドから出資証明書を受領しており、かつ、融資証明書及び出資証明書(融資証明書又は出資証明書の有効期間が延長された場合は、延長後のものも含みます。)が有効に存続していること、(ⅷ)商船三井が、当社が本自己株式取得を行うことに関し、商船三井が合理的に満足する内容の2025年6月30日付誓約書を当社から受領しており、かつ、それが有効に存続していることが規定されているとのことです。但し、商船三井は、その裁量により、以上の前提条件のいずれも放棄して、上記(ⅰ)乃至(ⅲ)の義務を履行することができるものとされているとのことです。
(注) 本不応募契約において、(ⅰ)公開買付者は、(a)存続及び権限の有効性、(b)本不応募契約の有効性、(c)本不応募契約の強制執行可能性、(d)法令等との抵触の不存在、(e)反社会的勢力との関係の不存在、(f)許認可等の取得・履践、(g)倒産手続の不存在、及び(h)資金調達の確実性について、(ⅱ)J-STARファンドは、(a)存続及び権限の有効性、(b)本不応募契約の有効性、(c)本不応募契約の強制執行可能性、(d)法令等との抵触の不存在、(e)反社会的勢力との関係の不存在、(f)許認可等の取得・履践、(g)倒産手続の不存在、並びに(h)その所有する公開買付者株式の適法かつ有効な所有について、(ⅲ)松元孝義氏は、(a)本不応募契約及び権限の有効性、(b)本不応募契約の強制執行可能性、(c)法令等との抵触の不存在、(d)反社会的勢力との関係の不存在、(e)許認可等の取得・履践、(f)倒産手続の不存在、並びに(g)その所有する公開買付者株式の適法かつ有効な所有について、それぞれ表明及び保証を行っているとのことです。
更に、本不応募契約においては、(ⅰ)商船三井及び公開買付者は、本決済開始日後、実務上可能な限り速やかに、当社をして、当社の株主を商船三井及び公開買付者のみとすることを目的として、本臨時株主総会を開催させ、当該議案に賛成の議決権を行使すること、(ⅱ)商船三井は、当社が本自己株式取得を実施するために必要となる分配可能額を確保できていることを条件として、商船三井及び公開買付者が合意により定める日(但し、本株式併合の効力発生日及び法第24条第1項第1号に基づく有価証券報告書提出義務に関して、同項但書及び同法施行令第4条に基づく有価証券報告書の提出免除に係る承認が得られた日以降の実務上合理的に可能な限り早い日(遅くとも本株式併合の効力発生後1ヶ月営業日以内とします。)とし、以下「本取得日」といいます。)をもって、当社から本自己株式取得における取得価額の全額を受領することと引き換えに、商船三井が本取得日時点において保有する当社株式の全部を当社に対して売り渡すこと、(ⅲ)商船三井は、本自己株式取得の完了までの間、本不応募契約の解除が可能な場合を除き、公開買付者の事前の書面による承諾なしに、当社の株主総会の招集請求権(会社法第297条)、議題提案権(会社法第303条第1項及び第2項)及び議案提案権(会社法第304条、同法第305条第1項)を行使せず、本公開買付けに係る決済の完了から本取得日までの間、本不応募合意株式に係る議決権その他の一切の株主権について、本取引の実行を阻害する具体的なおそれのある方法及び内容の権利行使を行わないこと等について合意しているとのことです。
その他、本不応募契約においては、(ⅰ)相手方当事者(商船三井にとっては公開買付者、松元孝義氏及びJ-STARファンドを、公開買付者、松元孝義氏及びJ-STARファンドにとっては商船三井を指します。以下同じです。)につき、本不応募契約に基づく義務に重要な点で違反があった場合、(ⅱ)相手方当事者につき、本不応募契約に定める表明及び保証について重要な点で違反があった場合、(ⅲ)本不応募契約締結後、公開買付期間の末日までに、商船三井が、公開買付者以外の者により、本公開買付価格を上回る金額に相当する取得対価により当社株式を取得することを目的とする公開買付け(但し、当社株式の全部の取得を企図するものであることを要します。以下「適格対抗公開買付け」といいます。)の法的拘束力を有する書面による提案(適格対抗公開買付けを適法に完了させるために必要な許認可等の取得を含む全ての前提条件が充足されることの確実性や、資金調達の確実性等を踏まえた実現可能性について、合理的な疑義がないものであることを要します。)を受けた場合、商船三井は公開買付者に対して、本公開買付価格及び1株あたり本自己株式取得対価の変更について協議を申し入れることができ、商船三井は、公開買付者が、かかる協議申入れを受けた日から起算して10営業日を経過する日又は公開買付期間の末日までのいずれか早く到来する日までに、本公開買付価格を適格対抗公開買付けの買付価格を上回る金額に変更せず、かつ、1株あたり本自己株式取得対価を、当該適格対抗公開買付けの買付価格を変更後の本公開買付価格とした場合の本調整差額を加算した価格以上となる金額に適法に変更しない場合等が、解除事由として規定されているとのことです。
なお、本不応募契約においては、本公開買付けの条件に係る事項及び各当事者による表明保証事項のほか、契約違反時又は表明保証違反時の補償義務、秘密保持義務等の一般条項が定められているとのことです。
④ 本自己株式取得についての誓約書
当社は、本日、株式会社Mによる本公開買付け成立後に、本株式併合の効力が発生した場合には、本不応募契約書に規定される内容により、本株式併合の効力発生後において商船三井が保有する当社株式の全ての取得を、実務上可能な範囲で速やかに行う旨の誓約書を商船三井に差し入れました。
⑤ 本取引への協力についての承諾書
当社は、商船三井に対し、2025年6月23日に本公開買付けを含む本取引への協力を依頼し、同年6月25日に商船三井より協力する意向がある旨の回答を得ました。また、同年6月30日、商船三井から、本取引への協力を承諾する旨の「承諾書」を受領しました。
4 【役員が所有する株券等の数及び当該株券等に係る議決権の数】
(注1) 役職名、所有株式数及び議決権の数は、本書提出日現在のものです。
(注2) 取締役桜田治、取締役(監査等委員)有賀隆之及び相浦義則は、社外取締役であります。
(注3) 所有株式数及び議決権の数には、それぞれ当社の役員持株会を通じて間接的に所有する当社株式数(小数点以下切捨て)及びそれに係る議決権の数を含めております。
5 【公開買付者又はその特別関係者による利益供与の内容】
6 【会社の支配に関する基本方針に係る対応方針】
7 【公開買付者に対する質問】
8 【公開買付期間の延長請求】
以 上