文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1)経営方針
当社グループは、果たすべき使命として「紙の可能性を追求し、多様な機能材との新結合を図ると同時に、環境との調和を目指した商品・サービスの提供を通じて、人類・社会に貢献すること」を掲げ、独自の製品・技術・サービスで世界一の会社を目指しております。私たちにできる“コト”を進化させ、従来の「機能紙メーカー」から『コンサルティング型製造サービス業』へ変革を目標としております。
(2)経営戦略
当社グループは、長期経営について以下の基本方針を掲げております。
「新市場の開拓と事業領域の拡大」
「中核商品のグローバル市場における競争優位の追究」
「新市場の開拓と事業領域の拡大」については、マーケティングとベンチマーク活動、アライアンス戦略により、次世代中核商品の開発と生産体制を確立し、事業領域をさらに拡大してまいります。
「中核商品のグローバル市場における競争優位の追究」については、世界に浸透するブランドの構築により売上・利益の最大化を図ってまいります。
このように、安定成長を見込む中核商品と成長分野での新事業からなる積極的な経営を目指してまいります。
(3)経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
当社グループでは、健全な経営と企業価値向上のため、総資産経常利益率(ROA)10%以上を目標として掲げております。売上高及び利益率の持続的向上や資本の効率的運用に取り組み、この目標の達成に向けてグループ一丸となって注力してまいります。
(4)経営環境
今後の見通しにつきましては、新型コロナウイルス感染症の世界的な拡大により、国内経済・世界経済ともに急速に悪化しており、極めて厳しい状況が続くものと予測されます。
当社グループ関連の業界につきましては、上期は主に自動車関連市場において大きな影響があるものと見込んでおりますが、下期にはその影響は減少するものと予測しております。水処理関連市場においては、一時的な影響はあるものの、世界的な水不足や環境問題に対応した水インフラの整備、産業用の需要増加などから今後も市場規模は拡大するものと予測しております。また、新たな市場としては、自動車の次世代技術や5G通信整備などが具体化してきております。
このような状況において当社グループは、既存事業において市場の求めるニーズに合った商品開発を行い、積極的に拡販活動を続けていくとともに、新たな事業の創出や事業領域の拡大に注力してまいります。さらに、生産面における原価低減活動や間接部門の業務効率の向上などにより、収益性の確保に努めてまいります。
(5)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
当社は、世の中の流れを的確に捉え、協力すべき顧客との接点を強化し、自らのコア技術を高めて、新時代に向けた新たなビジネスを展開してまいります。10年先の社会を見据えた長期ビジョンを設定し、共有できるお客様と共にその実現に向かって突き進んでいくことを目指しております。
長期ビジョンの実現のため、当社グループは、持続的な発展と高収益企業の実現を目指し、2020年度を初年度とする第3次中期経営計画『Awa Breakthrough Plan(ABT計画)』を策定中でございます。
① 収益構造の改善と資本効率の向上
原燃料の調達及び生産工程、物流、生販在の管理、固定費の削減等、生産プロセスにおけるコスト構造の改革を進めてまいります。また、全社的な間接業務の効率化を目的とし、ITを活用した生産性向上や業務プロセスの見直しを進めてまいります。収益構造の改善と競争力の強化に加え人財の高度化を図ることで、効率的な経営資源の活用と収益基盤の確立に努めてまいります。
② 中核商品のグローバル市場における競争優位の追求
・分離膜支持体事業
分離膜用湿式不織布は、競争激化のなか、伸びていく市場に対して圧倒的な高品質の実現、さらなる生産性の向上が課題となっております。今後は生産能力の増強に取り組み、シェア拡大に努めてまいります。
・フィルターメディア事業
エンジン用濾材は、タイ国・中国への生産移管を進めコストダウンによる収益改善に取り組んでおります。今後は、エンジン用以外のフィルトレーション市場を開拓するため、油圧・空調・産業用等の様々な分野におけるニーズに適合する製品の開発・拡販に努めてまいります。
③ 新市場の開拓と事業領域の拡大
・サーマルマネジメント事業
自動車における動力源の電動化や電子機器の小型化・高性能化によりサーマルマネジメントのニーズが高まりつつあります。当社では、新市場開拓に向け断熱・熱拡散・放熱などの機能をもつサーマルマネジメント材料の開発、ラインナップの拡充を行っております。2020年4月1日付で新設した「事業創造部」は、市場開拓と商品開発を強化し、新事業創出を加速させるよう取り組んでまいります。
・水処理事業
水処理事業はさらなる拡販と原価低減が課題となっております。MBR(膜分離活性汚泥法)という分離膜と活性汚泥法を組み合わせた廃水処理装置「M-fine」は、水資源問題が世界的に深刻化する昨今、水のリサイクル利用を見据え、水資源の保全と有効利用に貢献してまいります。2020年4月1日付で新設した「水環境事業部」は、中国・東南アジアを中心にグローバルな営業体制を整えるとともに生産体制の構築に取り組んでまいります。
④ 戦略投資の強化
中核商品の競争力強化や品質向上のための投資に加え、コーポレートベンチャーキャピタル等の活用を通して、当社の技術と異業種・異分野がもつ技術の融合を図り、次世代中核商品の開発や新市場への参入、事業拡大を目的とした各種アライアンスの戦略投資をさらに強化してまいります。
有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。
当社グループの経営成績等への影響の大きいリスクを取り上げておりますが、すべてのリスクを網羅している訳ではありません。従って、当社グループの事業は、現在関知していないリスク、あるいは現時点では重要と考えていない他のリスクの影響を将来的に受ける可能性もあります。さらに、リスク管理体制強化の観点から、一部リスクについては「重要リスク」と位置づけ対策を推進しておりますが、経済状況の変化や事業環境に対応すべく見直しを進めていることから、全てを「重要リスク」としている訳ではありません。なお、当該リスクが顕在化する可能性の程度や時期、経営成績等の状況に与える影響度につきましては、現時点では合理的な予見が困難であり記載しておりません。
文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
(1)主要市場における経済状況
当社グループの主力製品である自動車関連資材及び水処理関連資材については、グローバルなサプライチェーンに組み込まれ、日本、北米、アジア地域を主たる市場としております。従って、同地域の経済状況は当社グループの製品の販売に大きく影響する可能性があります。特に、経済状況が悪化した場合、需要低迷による販売の減少、コスト削減要求の高まりによる販売単価の下落等、当社グループの業績に悪影響を及ぼす可能性があります。
当社グループでは、経済状況の変化を注視しつつ、市場ニーズに合った商品開発を行い、積極的な拡販活動を継続するとともに、新規事業の創出や事業領域の拡大に注力しております。さらに、製造面における原価低減活動や間接部門の業務効率向上などにより、収益性の確保に努めております。
(2)競合の激化
当社グループの主力製品である自動車関連資材及び水処理関連資材については、それぞれの分野で競合先が存在します。各競合先との競争が激化した場合、販売数量の減少及び採算の悪化等、業績に悪影響を及ぼす可能性があります。
当社グループでは、「見える化」等社内の改善・提案活動を通じ、より効率的な生産体制の構築に向け取り組みを継続しております。掛かる取り組みにより、品質並びにコスト競争力の向上に努めるとともに、営業と製造(研究開発を含む)が一体となったソリューション営業の強化により、付加価値の高い商品の提供に努め、競合先との差別化を図っております。
(3)原燃料の価格上昇
当社グループは主要な原材料である木材パルプ、リンターパルプ等を海外(北米や南米)より調達しております。また、石油を原料とするポリエステル繊維や合成パルプ等も主要原料として使用する一方、生産工程においても燃料として重油及びガスを使用しております。従って、これらの原燃料の市況価格が上昇した場合、製造コストの上昇により採算が悪化し、当社グループの業績に悪影響を及ぼす可能性があります。
当社グループでは、原燃料の市況変動に対応すべく、代替材料の検討や調達における複数購買化を推進しております。しかしながら、自社の企業努力では吸収しきれない場合は、市場動向や競合他社の動向を睨みつつ、売価に転嫁しております。
(4)技術変化への対応
当社グループの主力商品である自動車関連資材については、電気自動車や燃料電池車の普及度合が高まり、エンジン・燃料用濾材やクラッチ板用摩擦材原紙の需要が大幅に減少した場合、当社グループの業績に悪影響を及ぼす可能性があります。また、新たな技術革新や当社グループの開発遅延等により当社グループの技術の優位性が失われた場合、成長性や業績に悪影響を及ぼす可能性があります。
当社グループでは、「コンサルティング型の製造・サービス業」を標榜し、世の中や市場の流れに合わせ事業領域の見直しを行ってきました。今後も、営業と製造(研究開発を含む)が一体となり、市場や技術動向を的確に捉え、お客様のニーズに合致した製品をタイムリーに提供出来る体制を構築してまいります。
(5)人材の確保・育成
当社グループの中長期的な成長は優秀な人材の確保・育成に依るところが大きいと考えております。従って、少子高齢化に伴う労働人口減少による人材確保難、優秀な人材の社外流出、人材育成の遅れ等は当社グループの成長及び技術の継承においても悪影響を及ぼす可能性があります。
当社グループは多様な人財が集まり育つ人事制度を構築・運用しております。具体的には、
①技術系の新卒採用においてインターンシップを導入し、個々のキャリア・適正にあった専門性の高い人材の
採用を進めております。
②新卒採用に加え、専門性を持つ人材の中途採用についても積極的に推進しております。
③幹部人材の確保、育成するプログラムも導入しております。
④ワークライフバランスの実践に向け、多様な働き方に対応すべく各種制度を整備しております。
(6)情報セキュリティ
当社グループの情報システムに関し、コンピュータウイルスの感染や不正アクセスにより、次のような事象が発生し、現状回復費用及び損害賠償費用等への対応が必要となった場合、業績に悪影響を及ぼす可能性があります。
①当社グループのシステムの全面ダウン
②情報の消失、データの改ざん
③個人情報や会社の重要情報の漏洩等
当社グループは、情報セキュリティ管理を重要な企業活動として位置付け、すべての役員・従業員が情報資産を保護すべく適切な対応(組織的・人的・物理的・技術的)を講ずる一方、情報資産に対し、適切なセキュリティ対策を講じ、安全性確保に努めております。
(7)品質保証について
当社グループの製品に品質問題が生じた場合、お客様や社会の信頼を失墜し、企業ブランドや製品ブランドを棄損し、損害賠償の発生や場合によっては事業継続にも悪影響を及ぼす可能性があります。
当社グループは、品質方針の下、全員参加で品質マネジメントシステム(QMS)に取り組み、設備の改修も含め、継続的な改善活動を実践しております。
また、不良発生時は品質連絡会で課題として認識し、不良発生のメカニズムを徹底分析の上、製造工程に反映し、不良発生リスクの低減に努めております。
(8)製品の長期供給遅れ・停止
当社グループは、次のような事象が発生した場合、製品の長期供給の遅れや停止につながることとなり、当社グループの業績に悪影響を及ぼす可能性があります。
①自然災害、感染症の蔓延、政治的混乱等、不測の事態によるサプライヤーからの原材料供給停止
②廃番等による原材料の製造停止
③外注先の廃業、操業停止
当社グループは、原材料の供給停止に対して、BCP対応での在庫確保や複数調達先確保の対策を講じるとともに、リスク回避の観点から代替材料の検討を継続して行っております。また、外注業者に対して適切なモニタリング実施により状況把握に努めております。
(9)知的財産権の保護
当社グループの事業活動において、知的財産権の侵害を当社グループが受けた、または当社グループが他社の知的財産権を侵害したとして係争となり、結果、当社グループの訴えが認められなかった場合、損害賠償の発生や当社グループの事業活動への制限が加わることとなり、当社グループの業績に悪影響を及ぼす可能性があります。
また、社内の機密情報の流出等の情報漏洩が発生した場合、損失の発生や社会的な信用が失墜するリスク等、当社グループの事業運営に悪影響を及ぼす可能性があります。
知的財産権管理については、専門部署の設立とともに外部特許事務所等との連携により、適切な管理、対応可能な体制整備を進めております。
また、情報漏洩については、社外流出を防止する体制を構築するとともに社内研修の実施等による社員への情報管理の徹底に努めております。
(10)コンプライアンスに関するリスク
当社グループの事業活動において、次のようなコンプライアンス違反があった場合、会社の業績に悪影響を及ぼす可能性があります。
①人事関連のコンプライアンス違反(ハラスメント、雇用関連トラブル、人権問題等)が発生した場合、社会的 な信用が失墜するリスクがあります。
②環境関連の法令違反(産業廃棄物や工場排水)が発生した場合、行政処分等による生産への影響や課徴金
の負担に加え、社会的な信用が失墜するリスクがあります。
当社グループは、会社及び役員・従業員による「法令と社内規程の遵守」、「環境の保全」を定め実践しております。具体的には、コンプライアンス、職場におけるハラスメント防止を定めた人事関連の各種法規制や社内ルールの教育、及び発生時の対応について体制整備を行っております。同様に、環境マネジメントシステムを構築し、定期的なアセスメントによる環境関連法の遵守とともに、規制の変化等へのタイムリーな把握・対応に努めております。
(11)事業ポートフォリオ
当社グループは、自動車関連分野及び水処理関連分野への依存度が高く、また、商品の販売先についても特定の販売先への依存度が高い状況にあります。従って、次のような事象が発生した場合、当社グループの業績に悪影響を及ぼす可能性があります。
①自動車関連及び水処理関連分野で大きな技術革新が起こり当社グループの事業分野が大幅に縮小
②特定取引先について取引先による製品内製化、競合先との取引開始等による当社グループの取引の縮小、消滅
③特定取引先の倒産等信用リスクの顕在化
当社グループでは、営業・開発の連携強化により顧客基盤の多様化及び商品ラインナップの拡充に努めるとともに、CVC(コーポレートベンチャーキャピタル)やM&A等の取り組みを通じた外部との連携による新たな事業領域の拡大を目指しております。
(12)気候変動・災害等による影響
当社グループの国内生産拠点は徳島県内に集中しており、大規模地震、津波に加え、台風、洪水等の自然災害の発生、渇水による水の利用制限により生産拠点が被害・影響を受ける可能性があります。また、工場における事故、製品輸送・外部倉庫保管中の事故等、不測の事態が発生する可能性もあり、このような事象が発生した場合、生産能力の低下や復旧に伴うコスト増加を招き、当社グループの業績に悪影響を及ぼす可能性があります。
当社グループは、リスクマネジメント基本方針の下、緊急時の初期対応、報告方法、対策本部の設置と役割について「緊急時対応マニュアル」に明記し、災害発生時に適切な対応がとれるよう仕組みを構築しております。また、事故の発生を未然に防ぐとともに、災害発生時の被害を最小限に抑えるために、定期的に設備点検、防災訓練等を実施するとともに地域や事業に応じたBCP(事業継続計画)を作成し、被災時でも重要な事業を継続し、早期に事業復旧できる体制構築を進めております。
(13)海外事業展開
当社グループは海外展開としてタイ国と中国に生産・販売拠点を有しておりますが、次のような事象が発生した場合、当社グループの事業活動に支障をきたし、当社グループの業績に悪影響を及ぼす可能性があります。
①業績不振によるアライアンス解消(海外拠点消滅)
②海外拠点の人材確保難
③自然災害、感染症の蔓延、政治的動乱、法律、税規制の大幅な変更や強化
当社グループは、内部統制システムの基本方針の下、グループ会社について、現地の文化や習慣を尊重の上、人材派遣等も含めた適切なガバナンスにより、リスクを軽減する体制構築を進めております。
(14)新型コロナウイルス感染症拡大の影響に関するリスク
新型コロナウイルス感染症の世界的な流行により、当社グループの従業員に感染が拡大した場合やサプライチェーン等に影響が出た場合、一時的に操業を停止する等、当社グループの事業活動に悪影響を及ぼす可能性があります。
かかる状況下、当社グループは、お取引先及び社員やその家族の安全第一を考え、政府の基本方針や厚生労働省の指針等に従った感染防止策を徹底するとともに、国内でも感染者の多い東京都にある東京支店でのテレワークの導入等による対策を講じ、事業への影響の低減を図っております。
しかしながら、今後、更なる感染拡大やパンデミックにあたる状況が進行した場合、世界的な景気の悪化による売上減少や、原燃料価格の高騰または原材料確保の困難等が生じ、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(1)経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
①経営成績等の状況
当連結会計年度における世界経済は、長期化する米中貿易摩擦の影響に加え、新型コロナウイルス感染症の拡大により急速に悪化してまいりました。
世界の自動車販売台数は、中国・インドを中心に世界各国で前年に比べ減少いたしました。このような状況のもと、当社グループの関連市場である自動車部品業界は、特に第4四半期後半に新型コロナウイルス感染症拡大の影響があり、大幅に需要が減少しております。一方、水処理関連市場では、産業用途や浄水器用途の需要が堅調に推移しております。
当社グループは、このような状況において、既存事業については主にアジア地域を中心とした拡販に努めてまいりましたが、自動車関連資材のクラッチ板用摩擦材原紙が顧客での内製化により大きく減少いたしました。さらに中国の景気減速による影響などを受け、一般産業用資材の販売が減少いたしました。
その結果、当社グループの当連結会計年度の経営成績は、売上高は15,353百万円(前年同期比804百万円減、5.0%減)、営業利益は246百万円(前年同期比28百万円減、10.5%減)、経常利益は受取補償金等もあり281百万円(前年同期比78百万円減、21.8%減)、親会社株主に帰属する当期純損失は中国子会社の固定資産売却益を計上しましたが、繰延税金資産を取り崩したことなどにより33百万円(前年同期は親会社株主に帰属する当期純利益36百万円)となりました。
②財政状態の状況
当連結会計年度末における資産総額は、16,840百万円となり、前連結会計年度末より213百万円増加しております。これは主に繰延税金資産の減少502百万円、有形固定資産の減少103百万円があったものの、受取手形及び売掛金の増加237百万円、流動資産のその他に含まれる未収入金の増加230百万円、電子記録債権の増加159百万円、商品及び製品の増加121百万円、投資その他の資産のその他に含まれる関係会社出資金の増加108百万円があったことによるものであります。
負債総額は10,207百万円となり、前連結会計年度末より42百万円増加しております。これは主に支払手形及び買掛金の減少118百万円、電子記録債務の減少92百万円があったものの、短期借入金の増加247百万円があったことによるものであります。
また、純資産につきましては、6,633百万円となり、前連結会計年度末より170百万円増加しております。これは主に利益剰余金の減少68百万円があったものの、非支配株主持分の増加158百万円、為替換算調整勘定の増加107百万円があったことによるものであります。
以上の結果、自己資本比率は28.2%となりました。
③キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)の残高は496百万円となり、前連結会計年度末と比較して、95百万円の増加となりました。
各キャッシュ・フローの状況とその要因は以下のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動により得られた資金は、265百万円(前年同期比819百万円減、75.6%減)となりました。これは主に固定資産売却益363百万円、売上債権の増加額356百万円、仕入債務の減少額246百万円の減少要因があったものの、減価償却費821百万円、税金等調整前当期純利益634百万円の増加要因があったことによるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動により使用した資金は、165百万円(前年同期比878百万円減、84.1%減)となりました。これは主に定期預金の払戻による収入195百万円、無形固定資産の売却による収入135百万円の増加要因があったものの、有形固定資産の取得による支出422百万円、出資金の払込による支出109百万円の減少要因があったことによるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動により使用した資金は、4百万円(前年同期比209百万円減、98.1%減)となりました。これは主に長期借入金の純減額84百万円があったことによるものであります。
④生産、受注及び販売の実績
a.生産実績
当連結会計年度の生産実績を品目ごとに示すと、次のとおりであります。
|
品目の名称 |
当連結会計年度 (自 2019年4月1日 至 2020年3月31日) |
前年同期比(%) |
|
自動車関連資材(千円) |
8,457,640 |
△9.0 |
|
水処理関連資材(千円) |
5,700,585 |
7.8 |
|
一般産業用資材(千円) |
1,308,845 |
△12.9 |
|
合計(千円) |
15,467,071 |
△3.9 |
(注)1.当社グループは単一セグメントであるため、品目別に記載しております。
2.金額は販売価格によっております。
3.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
b.受注実績
当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)は見込み生産を行っているため、該当事項はありません。
c.販売実績
当連結会計年度の販売実績を品目ごとに示すと、次のとおりであります。
|
品目の名称 |
当連結会計年度 (自 2019年4月1日 至 2020年3月31日) |
前年同期比(%) |
|
自動車関連資材(千円) |
8,500,993 |
△7.6 |
|
水処理関連資材(千円) |
5,569,135 |
2.3 |
|
一般産業用資材(千円) |
1,283,035 |
△15.0 |
|
合計(千円) |
15,353,164 |
△5.0 |
(注)1.当社グループは単一セグメントであるため、品目別に記載しております。
2.最近2連結会計年度の主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりであります。
|
相手先 |
前連結会計年度 (自 2018年4月1日 至 2019年3月31日) |
当連結会計年度 (自 2019年4月1日 至 2020年3月31日) |
||
|
金額(千円) |
割合(%) |
金額(千円) |
割合(%) |
|
|
株式会社サンコー |
2,742,088 |
17.0 |
3,494,789 |
22.8 |
|
オザックス株式会社 |
3,122,306 |
19.3 |
1,708,238 |
11.1 |
|
株式会社ダイナックス |
1,683,093 |
10.4 |
1,435,799 |
9.4 |
3.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
①財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容
a.当連結会計年度の経営成績等について
当連結会計年度における売上高は、前連結会計年度に比べ減収となりました。主な要因は、自動車関連資材のクラッチ板用摩擦材原紙が顧客の内製化により大きく減少したこと、さらに中国の景気減速による影響などを受け、一般産業用資材の販売が減少したことによるものであります。営業利益においては、前連結会計年度に比べ減益となりました。これは、主に経費の削減や長期在庫品の減少に取り組んだものの、減価償却費の増加などがあったことによるものであります。
売上減少にともなう工場の稼働率低下を改善することが重要課題となっており、新市場の開拓、新商品の開発及び既存商品の拡販に注力し、売上の増加を図るとともに、コスト削減や生産性向上に努め収益構造の改善と資本効率の向上を図ってまいります。
b.経営成績に重要な影響を与える要因について
当社グループの経営成績に重要な影響を与える大きな要因として、主要市場における経済状況、原燃料の価格上昇、自然災害などがあります。
当社グループが関連する市場としては、主として自動車部品業界や水処理関連市場となりますが、成長市場であることから、今後もグローバル競争の激化や有力な新規参入の増加などが予想されます。こうしたなか、当社グループは、グローバル企業として成長していくため、高性能品の開発や商品ラインナップの拡充、安定供給体制の確立などに努めてまいります。
原燃料価格の変動については、調達方法の見直しや製品価格の是正などで生産効率の向上を図り、収益確保に努めてまいります。
自然災害については、当社グループの国内生産拠点が徳島県内に集中していることから、自然災害の発生により当社グループの生産体制に支障をきたす可能性が想定されますが、BCP対応に努め、災害時においても早期に安定供給体制が復旧出来るよう体制整備に取り組んでまいります。また、新型コロナウイルスのまん延、感染による、社員への健康被害が事業運営の影響と業績に影響を及ぼす可能性が想定されます。新型コロナウイルスの感染拡大の事業への影響につきましては、現時点で合理的な算定が困難であるものの、今後も注視してまいります。
c.経営方針・経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等について
当社グループでは、健全経営維持と企業価値向上のため、事業領域の拡大と収益性の向上を目標としております。また、資本効率と収益性の両面を測る指標として、「総資産経常利益率(ROA)」を経営の重要指標として位置付け、10%以上を目標に掲げております。
この指標を達成するために、当社グループとして「売上高経常利益率」や「総資産回転率」の向上に注力しております。具体的には、アライアンスを含めた新規事業の拡大、既存事業の収益改善、総資産の効果的かつ効率的な運用に努めております。
当連結会計年度におけるROAは1.7%(前年同期比0.5ポイント減)となりましたが、中期目標である5%以上の達成に向けて、グループ一丸となって注力しております。
②キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報
キャッシュ・フローの状況については、「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ③キャッシュ・フローの状況」に記載しております。
当社グループの運転資金需要のうち主なものは、原材料や副資材などの購入のほか、製造費、販売費及び一般管理費などの営業費用であります。投資を目的とした資金需要は、設備投資や研究開発投資などによるものであります。
当社グループは、事業運営上必要な流動性と資金の源泉を安定的に確保することを基本方針としております。
短期運転資金は自己資金及び金融機関からの短期借入を基本としており、設備投資などの長期運転資金の調達につきましては、金融機関からの長期借入を基本としております。
なお、当連結会計年度末における借入金及びリース債務を含む有利子負債の残高は5,420百万円となっております。また、当連結会計年度末における現金及び現金同等物の残高は496百万円となっております。
当社グループは、厳しい環境下においても将来を見据えた設備投資や研究開発投資を維持してまいります。必要な資金は営業活動により得られるキャッシュ・フローを基本に金融機関からの借入により調達していく方針であります。
③重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表で採用する重要な会計方針は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」に記載しております。
この連結財務諸表の作成にあたりまして、経営者による会計方針の選択、資産・負債及び収益・費用の報告数値に影響を与える見積りを必要としております。経営者はこれらの見積りについて、過去の実績等を勘案し合理的に判断しておりますが、実際の結果は見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りと異なる場合があります。
連結財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは以下の通りであります。
なお、新型コロナウイルス感染症の感染拡大の影響に関する会計上の見積りについては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 注記事項(追加情報)」に記載しております。
a.退職給付費用及び退職給付債務
当社グループは、簡便法を採用している連結子会社を除き、確定給付型制度の退職給付費用及び退職給付債務について、割引率等、数理計算上で設定される前提条件に基づいて算定しております。実際の結果が前提条件と異なる場合、または前提条件が変更された場合、その影響は将来にわたって規則的に認識されるため、将来期間において認識される費用及び計上される債務に影響を及ぼす可能性があります。
b.固定資産の減損処理
当社グループは、固定資産のうち減損の兆候がある資産グループについて、当該資産グループから得られる割引前将来キャッシュ・フローの総額が帳簿価額を下回る場合には、帳簿価額を回収可能価額まで減額し、当該減少額を減損損失として計上しております。減損の兆候の把握、減損損失の認識及び測定にあたっては慎重に検討しておりますが、事業計画や経営環境の変化により、その見積り額の前提とした条件や仮定に変更が生じた場合、減損処理が必要となる可能性があります。
c.繰延税金資産の回収可能性
繰延税金資産の回収可能性は、将来の課税所得の十分性により判断しており、課税所得の算定にあたっては、事業計画をもとに最新の経営環境に関する情報等を反映し見積っております。
当該見積りについて、将来の予測不能な経営環境の著しい変化等により見直しが必要となった場合、評価性引当額が変動し損益に影響を及ぼす可能性があります。
該当事項はありません。
研究開発の基本方針
当社グループは、保有している基盤技術の深耕による既存事業の拡大を図るとともに、マーケットイン型R&Dの実行による次世代中核事業の創製を研究開発の基本方針として、既存事業における次世代製品の開発ならびに新規事業の創出にかかる開発に取り組んでおります。
さらに開発過程で得られた知的財産を経営資源化することを目的として、当連結会計年度に知的財産部門を新たに研究開発部門内に設置し、研究開発活動の推進の強化を行っております。
当連結会計年度の研究開発費の総額は
(1)自動車関連資材分野
エンジン用濾材は、用途として主に吸気用、潤滑油用、燃料用フィルターに使用されております。
天然パルプ、コットンリンター、ポリエステルなどの合成繊維を主原料として、空気中のゴミ、他車から排出されるスス、潤滑油中のカーボン粒子、燃料中のゴミ、水分などを取り除き、エンジンに清浄な空気、燃料を供給すること及び潤滑油の性能を維持することができます。当該分野では小型かつ高効率、ダストの高捕捉量を満たすフィルターが求められており、これらニーズに対応するための研究開発を行っております。
当連結会計年度においては、紙と不織布のコンポジット化につきまして研究開発を推進した結果、お客様から良好な評価結果が得られました。さらに、海外拠点にて新たに設備投資した複合加工機設備で量産体制が整ったため、今後、市場展開を進めていく予定です。
(2)水処理関連資材分野
① 分離膜用湿式不織布
分離膜用湿式不織布は、主に世界の水処理用分離膜メーカーが製造する逆浸透膜モジュールに分離膜支持体として使用されております。
当商品は、専用の抄紙機及び加工機で製造されたポリエステル繊維100%の湿式不織布であります。耐水強度が高く、平滑性に優れることから水処理用の支持体紙として最適です。用途市場としては、海水淡水化や廃水処理などのインフラ用途をはじめ、工業用、家庭用浄水器など高度な水の需要に対応する分離膜に幅広く使用されており、高い伸び率で成長しております。
当連結会計年度においては、お客様により一層安定して使用していただくため、コストダウン対応に加え、品質のさらなる向上を目的とした現行製品の改良タイプを開発いたしました。
世界トップシェア維持を確実なものとすべく新規顧客に対して積極的にサンプルワークするとともに、市場の幅広いニーズに対応するためポリエステル繊維以外を原料とした製品開発も進めており、製品ラインナップを充実した市場展開を行うべく引き続き注力してまいります。
② M-fine(エム・ファイン)
M-fine(エム・ファイン)とは、当社が提供するメンブレン(ナノレベルの微細な孔径を有する分離膜)及び水処理などのモジュール・ユニットの総称であります。
当社の事業領域の拡大の一環として、廃水処理に使用されるMBR(膜分離活性汚泥法)用浸漬膜及びユニットの事業化推進に取り組んでおり、品質のさらなる向上や高性能化に向けた開発を継続的に行っております。
また、新たに当社の小型ユニットを活かした「小型廃水処理装置」の開発にも着手し、その用途の一つとして「水も電気もなく排水も出来ない」場所でも水洗トイレや温水洗浄便座が使用できる「独立水循環型快適トイレ」の実証試験を行うなど、事業の川下化に向けた取り組みを行っております。
(3)一般産業用資材分野
一般産業用資材分野の電気・電子部品用機能紙は、主に電子機器などの断熱部材や放熱部材(CARMIX(※)を含みます)としてのいわゆるサーマルマネジメント材として使用され始めており、電子機器の過酷な発熱環境下における厳しい要求が強まり高い伸び率が期待されている分野です。また、主に耐熱プレス用の工程紙として使用される耐熱クッション紙や半導体の加工工程で発生する粉塵をトラップするためのワイヤーカット用濾紙などがあります。その他、食品用として主に加工食品の鮮度保持用に使用される脱酸素剤の包材として使用されております。
当連結会計年度においては、特に自動車の電動化による成長が期待されるサーマルマネジメント分野について早期事業化を図るため研究リソースを集中させ、「機能材事業部」と「研究開発部」が緊密に連携し、次世代市場のニーズを的確かつ迅速に捉える活動を行ってきました。具体的な成果としては、必要な方向を高熱伝導化した放熱部材や高温まで耐えうる軽量で可とう性がある断熱部材などの様々な差別化技術を開発し、これらの知見の特許化を進めてまいりました。新たに開発した厚さ方向に高熱伝導を有するサーマルマネジメント材は、携帯端末などの民生機器をはじめ、車載用電子機器などへの展開を鋭意検討中であり、東京ビッグサイトで開催された「エヌプラス」(2019年9月)・「2020高機能性材料展」(2020年1月)にこれらの商材を展示し、顧客要求に直結した製品開発を行っております。
(※)CARMIX(カルミックス)とは、当社が提供する炭素複合材の総称であり、放熱分野や炭素繊維を含んだCFRTPマット材を示します。