第2【事業の状況】

1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

当社グループの経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、以下のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1)経営方針

 当社グループは、果たすべき使命として「紙の可能性を追求し、多様な機能材との新結合を図ると同時に、環境との調和を目指した商品・サービスの提供を通じて、人類・社会に貢献すること」を掲げ、独自の製品・技術・サービスで世界一の会社を目指しております。

 

(2)経営戦略

 当社グループは、長期経営について以下の基本方針を掲げております。

 「新市場の開拓と事業領域の拡大」

「中核商品のグローバル市場における競争優位の追究」

「SDGsと高収益の両立」

 

 「新市場の開拓と事業領域の拡大」については、マーケティングとベンチマーク活動、アライアンス戦略により、次世代中核商品の開発と生産体制を確立し、事業領域をさらに拡大してまいります。

 「中核商品のグローバル市場における競争優位の追究」については、世界に浸透するブランドの構築により売上・利益の最大化を図ってまいります。

 「SDGsと高収益の両立」については、当社グループはSDGsにおいて注力する10の目標を設定しております。当社は持続可能な社会の実現と利益追求の両立を目指し、優しい素材を使い、優しい機能を提供し、優しい社会を考え、事業目標を設定し達成を目指してまいります。

 このように、安定成長を見込む中核商品と成長分野での新事業からなる積極的な経営を目指してまいります。

 

(3)経営環境

 次期の見通しにつきましては、ウィズコロナの下で各種政策が効果を発揮し、景気の持ち直しが期待されております。ただし、長引くウクライナ情勢の影響やインフレ率の高止まりによる金融引き締めの可能性など、下振れリスクも懸念されます。当社グループを取り巻く環境におきましては、自動車関連資材の需要は回復基調にあるものの、世界経済の混乱を受け生産の調整が続いております。水処理関連資材においてはアジア・中東地域を中心に需要が堅調に推移する中、今後も厳しい競争が継続されることが予想されます。

 

(4)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題

 第3次中期経営計画「Awa Breakthrough Plan」の2年目となる当連結会計年度において、売上高は一部商品の値上げを実施したこともあり目標を上回ったものの、営業利益は原材料・燃料価格の上昇により目標を下回りました。また、新事業の創出につきましては、国内外での案件積み上げに注力するとともに、新たな用途開拓に取り組んでおります。

 このような状況下、引き続き当社グループは以下の事項を主要な課題として認識し、第3次中期経営計画最終年度の目標達成に向けて、全力で取り組んでまいります。

 

① 基盤事業の強化と収益構造の改善

 水処理関連資材については、海水の淡水化や純水を製造する際に用いる分離膜支持体用不織布を製造する新工場を建設することを決定いたしました。新工場建設計画を着実に実行することで、拡大する市場に対応した生産体制を整え、高品質な製品の安定供給および価格競争力を高めてまいります。自動車関連資材のエンジン用濾材については、高性能高付加価値商品に特化し、市場ニーズに応じた製品の開発製造を進めております。また、原材料価格やエネルギー価格の高騰に対しては、引き続きグループ全体での購買活動の効率化と調達先の多様化によるコスト削減、適正な販売価格への転嫁を進めるとともに、製造プロセス見直しによる生産効率の向上を図り、収益の改善に努めてまいります。

 

② 新事業の創出

 断熱・熱伝導などの機能をもつサーマルマネジメント材料「M-thermo」、水のリサイクル利用で水資源の保全と有効活用に貢献する廃水処理装置「M-fine」の改良を重ねながら、展示会への出展やWebサイトを活用し製品の魅力を伝えることで、ブランド化を目指しております。また、パートナー開拓を進め、コア技術を掛け合わせることで新事業の創出や事業拡大を目指してまいります。

③ DXの推進

 DX(デジタルトランスフォーメーション)の推進を掲げ、定型作業の自動化や営業の業務プロセスの変革等により間接業務の合理化・省力化を進めております。また、生産工程におけるIoTの活用、RPAや生成系AI等のデジタルツールの効果的な活用も進めております。今後は、基幹業務システムを刷新することで情報の一元管理や業務プロセスの省力化、コスト削減等を実現し、更なる業務の効率化と生産性向上に努めるとともに、新たな価値の創造と提供を目指してまいります。

 

④ サステナビリティの推進

 持続可能な社会の実現と利益追求の両立を目指し、優しい素材を使い、優しい機能を提供し、優しい社会を考え、事業目標を設定し達成を目指しております。

 昨年6月に公表しました「サステナビリティ基本方針」に基づき、当社が取り組むべきマテリアリティ(重要課題)を検討し、環境・社会・ガバナンスの側面から、気候変動緩和への対応、安心安全な労働環境の実現、ステークホルダーとのエンゲージメント強化等7つのマテリアリティを特定し、優先的に取り組みをおこなうテーマと目標値の設定を進めております。

 今後は、特にカーボンニュートラルの実現に向け、これまで以上に省エネルギーや燃料転換等の取り組みを進めるとともに、脱炭素社会に貢献できる新製品開発に努めてまいります。

 また、社員一人一人の日々の活動がサステナブルな社会の実現につながるという意識を共有し、持続可能な社会の実現と利益追求の両立に取り組んでまいります。

 

⑤ 人的資本の充実

 持続的な成長に必要な人材確保のため、採用活動においては、会社説明会やセミナー型のインターンシップを積極的に実施するとともに、SNSやウェブサイトを活用した情報発信を行い、幅広い層の求職者と接点を持つことで激化する採用競争に対応しております。また、即戦力人材確保のためのキャリア採用や、シニア社員の活躍支援を積極的に進めております。

 さらに、性別や年齢、国籍など多様なバックグラウンドを持つ人材が活躍できる職場環境を目指し、育児休業や短時間勤務などの制度を充実させるとともに、工場現場やオフィス環境の整備をすることで、働く人々の多様なニーズに対応した取り組みを推進してまいります。

 また、社員のスキルアップやリスキリング、キャリア開発を積極的に支援し、エンゲージメントの向上と組織力の強化に取り組んでまいります。

 

2【サステナビリティに関する考え方及び取組】

 当社グループにおける当社のサステナビリティに関する考え方及び取組は、以下のとおりであります。なお、当社グループにおいては、重要性を勘案して提出会社の状況を記載しております。また、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社が判断したものであります。

 

(1)サステナビリティ

当社は、以下のとおり「サステナビリティ基本方針」を制定し、3つの観点からサステナビリティに向けた活動に取り組んでいます。

<サステナビリティ基本方針>

当社は、「顧客に最適な機能を提供し、環境にやさしく、便利で快適な生活と文化を創造する」という企業理念のもと、百年以上の歴史を礎に、「経験」「知識」「発想」をさらに広げ、持続的な社会の実現に貢献します。

1. 社是に掲げる「道徳経済合一」主義のもと、自らを律して高い倫理観をもって、公正で誠実な事業活動を推進します。

2. ステークホルダーとの共創により新しい価値を生み出し、リスクと機会の両面からマテリアリティ(重要課題)に取り組み、中長期的な事業成長を目指します。

3. 環境(Environment)、社会(Social)、ガバナンス(Governance)に関する社会的課題の解決に適切に対応し、従業員のエンゲージメント(自発的貢献意欲)の向上に取り組み、持続的な企業価値向上を目指します。

 

①ガバナンス

 当社は、サステナビリティ基本方針に基づき、サステナビリティの視点を踏まえた企業活動を通じて社会的課題解決への貢献と企業としての持続的成長の両立を実現するため、代表取締役社長を委員長とし社内取締役及び執行役員で構成されたサステナビリティ委員会を設置しており、当該体制については「第4 提出会社の状況 4コーポレート・ガバナンスの状況等の(1)②ロ.コーポレート・ガバナンス体制」に記載しております。

 サステナビリティ委員会は、ステークホルダーの視点からサステナビリティ推進に向けたマテリアリティに対する具体的な施策と中長期経営計画との連動に関する検討及び取り組み状況のモニタリングを実施し、活動結果を定期的に取締役会に報告しております。

 

②戦略

 当社は、サステナビリティ基本方針に基づき、ステークホルダーと当社事業へのインパクトの2つの視点から、サステナビリティに関する7つのマテリアリティを特定し、マテリアリティの解決に向けた個別テーマの具体的戦略の策定及びマテリアリティに対する取り組み指標(KPI)について、検討しております。

 

(7つのマテリアリティ)

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③リスク管理

 当社は、サステナビリティ委員会において、サステナビリティに関連する様々なリスクを識別、評価、管理し、その活動結果を定期的に取締役会及び監査役会に報告してまいります。

 

④指標及び目標

 当社は、マテリアリティに対する取組指標を検討しており、指標設定後は各指標の進捗状況をサステナビリティ委員会において適切に管理・評価してまいります。

 

(2)人的資本

当社は、創業の精神・経営理念に基づき、「阿波製紙は、謙虚に学びつづけ、助け合い、自ら変化にチャレンジしていく人材を求める」とする人事理念を定めており、企業繁栄の根本は人材であり、人材は成長する資源であると認識しております。当社は、国籍や性別等を問わず従業員一人ひとりが成長することで仕事に対する誇りを感じ、職場の仲間との連帯感や信頼関係を持ち、いきいき、わくわくと働くことができる職場環境の実現を目指しております。

 

①戦略

a.人材育成方針

当社は、以下のとおり人材育成方針を定めております。

全従業員が創業の精神・経営理念を理解し、人事理念に則り、以下に定める育成目標に向かって、会社の業務遂行に必要な力量(知識および技量)を計画的に習得し、能力の向上を図っていきます。

また、従業員一人ひとりが自らのパーパスを見いだし、「何のために働いているのか」を自覚し、自らが考える「将来のありたい姿」の実現に向けて、一人ひとりの自発的なキャリア開発を支援していきます。

(育成目標)

・自ら変化にチャレンジしていく自律的な従業員の育成

・社会の要求にこたえられる従業員の人格形成に必要な能力、態度の習得

・品質の向上・維持のために常に改善意欲を持ち、顧客の信頼を創造する従業員の育成

・地域環境に感謝し、地球環境の保全、調和を目指す活動に自主的に取り組む従業員の育成

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イ.個人の成長、自律化と組織の前進に向けたエンゲージメント(自発的貢献意欲)の向上

当社は、従業員一人ひとりが組織目標を共有し、問題意識をもって従業員自らが自発的に挑戦、努力、創意工夫する課題を設定するとともに、課題解決に向けて日々挑戦し、努力した取り組み過程(プロセス)を反省して次の取り組みに生かしていくことにより、日々の業務活動を通じて成長していくことを目指しております。

また、当社は、従業員が自律的に学び、成長し続けることが組織の前進、会社の持続的な成長に繋がると認識し、従業員自らがWill・Can・Mustの視点から、「現在自分ができること」「仕事を通じて達成・実現したいこと」「会社から期待されるためにやらなければいけないこと」を考え、「将来のありたい姿」のキャリアビジョンを描くため、従業員一人ひとりのキャリアビジョン行動計画(社員自らが考えるキャリア形成)の策定支援を行っております。

 

ロ.多様な人材採用

当社は、人事理念に基づき、常に新しい技術を生み出す創造力とグローバルな視点、そして自らの未知の分野を開拓する行動力と情熱を持って前進できる多様な人材の採用に取り組んでおります。

 

(求める人材像)

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b.社内環境整備方針

当社は、以下とおり社内環境整備方針を定めております。

 

イ.ダイバーシティ&インクルージョンの推進

 ダイバーシティ&インクルージョンの推進により、性別、年齢、人種や国籍、障がいの有無、性的指向、宗教・信条、価値観等の多様性を尊重し、認め合い、従業員一人ひとりが成長することで仕事に対する誇りを感じ、職場の仲間との連帯感や信頼関係を持って、いきいき、わくわくと働くことができる職場環境の実現を目指していきます。

 また、従業員一人ひとりが健全に、いきいき、わくわくと働き続けることが、会社の持続的な発展成長の実現に不可欠であると考えるため、ダイバーシティ&インクルージョンの推進とともに、ワークライフバランスの向上、ならびに健康経営の推進に取り組んでいきます。

ロ.ワークライフバランスの向上

 仕事と育児・介護との両立、男性の家事・育児への参画を促進するため、多様で柔軟な働き方を推進し、男女が共に職業生活と家庭・地域生活等を両立することができる就業環境を整備していきます。

 当社は、2021年に経営者・管理職が「イクボス宣言」を発信し、部下のワークライフバランスを考え、職場全体の業務効率の向上に努め、自らも率先してワークライフバランスに取り組んでいきます。

ハ.健康経営の推進

 従業員が心身ともに健康で、いきいき、わくわくと働ける環境づくりを推進していくことが、企業価値の向上につながると考え、企業全体で健康経営の方針を共有し取り組んでいきます。

 

②指標及び目標

 当社は、上記「①戦略」において記載しました人材育成方針及び社内環境整備方針に基づき、次のとおり指標及び目標を設定しております。

目標

指標

2022年実績

2025年目標値

ダイバーシティ&インクルージョンの推進

女性管理職比率

2.2%

5%以上

障がい者雇用率

1.8%

2.5%以上

ワークライフバランスの向上

年次有給休暇取得率

88.0%(注)1

90%以上

男性育児休業取得率

90.9%

100%

健康経営の推進

健康維持・増進(疾病予防)

特定保健指導該当率

25.4%(注)1

20%以下

運動習慣者比率

14.8%(注)1

20%以上

メンタルヘルス

対策

ストレスチェック受診率

94.7%

100%

高ストレス者率

17.7%

15%以下

エンゲージメント向上(注)2

従業員エンゲージメント率

     (注)1.指標(実績)の中で、年次有給休暇取得率、特定保健指導該当率、運動習慣者比率については、

        2021年度の実績であります。

   (注)2.方針に対する指標のうち、従業員エンゲージメント向上に関する指標(実績及び目標値)

               については、今後実施予定の従業員エンゲージメント調査後に目標値を設定することとして

               おります。

 

 

3【事業等のリスク】

 当社グループは、事業運営及び展開において様々なリスクの発生が想定され、それらの想定されるリスクを事前に認識し、事実上可能な範囲で想定されるリスクの対応策を検討・実施しております。しかし、全てのリスクを低減または排除することは困難であり、これらのリスクが顕在化した場合には、当社グループの業績及び財政状態、社会的信用等に重大な影響を及ぼす可能性があります。

 当社グループは、以下において重要なリスクと判断した事項を記載しておりますが、事業に係るリスクをすべて網羅するものではありません。また、将来に関する事項については、当連結会計年度末現在において判断したものであり、当該リスクが顕在化する可能性の程度や時期、経営成績等の状況に与える影響度につきましては、現時点では合理的な予測が困難であり、記載しておりません。

 

(1)事業環境変化に関するリスク

[概要]当社グループは、自動車関連資材及び水処理関連資材を主力製品としており、これらの市場はグローバルなサプライチェーンに組み込まれており、日本、北米、アジア地域をはじめとする世界経済の変動が、製品の販売動向等に影響する可能性があります。また、当社グループが主力とする分野では競合先が存在しており、今後競争が一段と激化した場合には、販売数量の減少及び採算の悪化により、業績に悪影響を及ぼす可能性があります。

[対応]当社グループは、経済状況の変化を注視しつつ、市場のニーズに合った商品開発及び積極的な拡販活動を継続するとともに、新事業の創出や事業領域の拡大に注力しております。また、製造面における原価低減活動や間接業務の効率化、業務プロセスの見直し等により収益性の確保に努めるとともに、主力事業に関しては、クロスファンクショナルチームによる横断的な活動等を通じ、営業と研究開発や製造部門が一体となったソリューション力の強化による付加価値の高い商品の提供に努め、事業基盤の拡充と収益体質の強化に努めております。

 

(2)安定調達・供給に関するリスク

[概要]当社グループは、主要原材料の木材パルプ、リンターパルプ等を海外(北米、南米、欧州など)から調達しているため、国際輸送混乱による納入遅延の発生及び輸送コストの高騰、並びに原油価格高騰を起因とする石油由来のポリエステル繊維や合成パルプ等の原材料価格高騰から製造コストの上昇が不可避となり、当社グループの業績に悪影響を及ぼす可能性があります。

[対応]当社グループは、主要原材料の代替材料の検討や調達における複数購買等による調達先の分散化及び適正在庫の確保等、グループ全体で安定的な事業継続に取り組む体制を構築しています。また、原燃料価格の高騰に対応すべく、生産工程におけるコスト増加に対して工程内の生産効率の向上に努めておりますが、自社の企業努力では吸収しきれない場合には、市場動向や競合他社動向を踏まえ、適切な売価改定を進めてまいります。

 

(3)人材確保・育成に関するリスク

[概要]当社グループは、中長期的な企業成長のためには優秀な人材の確保・育成が重要であると認識していますが、少子高齢化に伴う労働人口減少による人材確保難及び優秀な人材の社外流出、人材育成の遅れ等により人的資本の充実が進まず、高度な技術の承継にも支障が生じることにより、当社グループの業績と成長に悪影響を及ぼす可能性があります。

[対応]当社グループは、多様な人材が集まり育つ人事制度として、新卒採用においてはインターンシップを導入するとともに、専門性を持つ人材の中途採用を積極的に推進すること等ダイバーシティの確保に努めています。また、幹部人材の育成プログラムを導入するとともに、ワークライフバランスの実践に向けた多様な働き方に対応した各種制度を整備しております。

 

(4)海外事業展開に関するリスク

[概要]当社グループは、タイ国において製造販売及び研究開発活動を行うとともに、中国において駐在員事務所を設置し、販売支援を行っております。グローバルな事業活動を行うにあたり、各国の法的規制、経済情勢、政情不安、パンデミックの発生等事業環境の不確実性等のリスクが顕在化した場合には、当社グループの業績に悪影響を及ぼす可能性があります。

[対応]当社グループは、内部統制システムの基本方針に基づき関係会社管理規程を制定し、海外子会社の情報収集や現地の経営環境に適した事業運営の管理強化に努めています。また、親会社の役員が子会社の役員に就任しガバナンスを強化するとともに、幹部社員を子会社に派遣する他、WEB会議やDXを活用した生産・販売部門等の相互連携強化による業務支援とオペレーショナルリスクの低減に取り組むなど、グループ管理体制の充実を図っています。

 

 

(5)自然災害・パンデミックに関するリスク

[概要]当社グループは、国内生産拠点の全てが徳島県内に集中しており、大規模地震による津波の発生及び地球温暖化による大型台風や洪水、異常渇水等の多様な自然災害の発生により生産活動に甚大な被害が発生する可能性があります。また、新型コロナウイルス感染症の世界的な流行拡大等によるパンデミックの発生により、サプライチェーンの寸断や従業員の出勤停止等による工場の稼働停止が発生する可能性があります。このような事態が発生した場合には、生産能力の著しい低下や設備の復旧に伴う多大なコストの発生が見込まれ、当社グループの業績に悪影響を及ぼす可能性があります。

[対応]当社グループは、リスクマネジメント基本方針に基づき「緊急時対応マニュアル」を策定するとともに、大規模地震等の災害発生時にも事業活動を継続し、製品の安定供給が図れるようにBCP(事業継続計画)を策定し、定期的見直しを行っております。また、従業員や家族の安否確認、災害対応備蓄品等を備え、定期的な訓練及び設備の点検を実施しております。

 また、新型コロナウイルス感染症等のパンデミックへの対応については、基本的な感染予防対策の徹底に加え、リモートワークによる在宅勤務体制の推進、WEB会議やDXの活用等、グループ全体において可能な限りの感染防止対策に取り組んでおります。

 

(6)事業ポートフォリオに関するリスク

[概要]当社グループは、主力商品である自動車関連資材において、今後、電気自動車や燃料電池車の急速な普及が予想され、当社グループのエンジン関連商品の需要が大きく減少する可能性があります。また、水処理関連資材は、新規参入企業や既存競合他社からの販売攻勢により、当社グループの分離膜支持体用不織布の市場シェアが大きく減少する可能性があります。こうした状況が発生した場合には、当社グループの業績に悪影響を及ぼす可能性があります。

[対応]当社グループは、自動車における動力源の電動化、居住空間におけるエネルギー効率の最大化に向けた断熱・熱伝導機能材「M-thermo」の開発、商品ラインナップの拡充によりサーマルマネジメント分野における市場開拓に努めております。分離膜支持体用不織布においては、営業力の強化を行うとともに、設備改良を含めた製品開発に取り組み、高品質の維持向上に努めております。また、水資源問題が世界的に深刻化するなか、海水の淡水化や純水を製造する際に用いる逆浸透膜用支持体を製造する新工場の建設を計画するとともに、水のリサイクル利用で水資源の保全と有効活用に貢献する排水処理装置「M-fine」のグローバル展開による新事業分野の育成に努めております。

 

(7)環境問題に関するリスク

[概要]当社グループは、地球環境問題への取り組みを強化するため、2030年度に二酸化炭素排出量を2014年対比37%の削減目標をはじめ、環境保護に関する重要項目を設定しております。特に、気候変動への対応については、当社グループ事業と密接な関係を有する森林や水資源に関して世界規模での環境破壊が進んでおり、今後の事業を展開していくうえでの重大なリスクと認識しております。これらの活動が適切に遂行できない、もしくは目標を達成できない場合には、社会的評価の低下により当社グループの信用及び業績に悪影響を及ぼす可能性があります。

[対応]当社グループは、環境方針を制定し、事業活動全般を通じて地球環境に関するグローバルな社会課題の解決に貢献するための取り組みを推進しております。また、効率的で実効性の高い事業活動を推進するため、環境マネジメントシステム(EMS)の認証を取得し、環境意識向上のための教育を行うとともに、グリーン調達基準を制定し、当該基準に適合した原材料の購入等、サプライチェーン各社との緊密な連携強化により持続可能な社会の実現に努めております。

 

(8)コンプライアンスに関するリスク

[概要]当社グループは、社是である「道徳経済合一」主義のもと、企業倫理規範を定めてコンプライアンス経営の徹底に努めております。しかし、重大なハラスメント、労働法令違反、人権問題等の重大なコンプライアンス違反が発生した場合、または産業廃棄物や工場排水汚染等、事業活動に関連する重大な法令違反等が発生した場合、行政処分等による生産活動の停止により社会的な信用を失墜し、当社グループの業績に悪影響を及ぼす可能性があります。

[対応]当社グループは、会社及び役員・従業員による法令と社内規程の遵守、環境保全に努めるとともに、内部通報規程を制定し、法令違反行為の早期発見と是正を図るためコンプライアンス体制の整備運用に努めております。また、定期的にコンプライアンス意識調査を実施し課題解決に努めるとともに、コンプライアンス情報の発信とセルフチェックの実践により、コンプライアンス教育の充実に努めております。

 

 

(9)品質保証に関するリスク

[概要]当社グループは、国内外のお客様に提供する多様な製品に品質問題が生じた場合には、お客様や社会から当社グループの信用を失墜し、企業ブランドや製品ブランドの価値を棄損するほか、損害賠償請求等が発生し、当社グループの業績に悪影響を及ぼす可能性があります。

[対応]当社グループは、品質方針を定め、全員参加で品質マネジメントシステム(QMS)に取り組んでおり、設備の改修も含め継続的な品質改善活動を実践しております。また、不良発生時は品質連絡会で課題として認識し、不良発生のメカニズムを徹底分析の上、発生工程への反映及び類似工程への水平展開を行い、再発リスクの低減や発生予防に努めております。

 

(10)情報管理に関するリスク

[概要]当社グループは、システム障害やコンピュータウイルスの感染、不正アクセスによるサイバー攻撃、従業員等による個人情報の漏洩、会社機密情報の流出等の情報管理リスクが発生する可能性があります。その場合、当社グループの業績、財政状態及び社会的信用に重大な影響を及ぼす可能性があります。

[対応]当社グループは、情報セキュリティ基本方針、個人情報保護方針等を制定し、情報管理を重要な企業活動として位置づけております。情報資産を保護すべく統合セキュリティシステム契約を更新するとともに、重大なセキュリティインシデント発生に備えたサイバー保険を付保しております。さらに教育研修等を通じて情報セキュリティに関する重要性について周知徹底を図っております。

 

(11)知的財産権の侵害に関するリスク

[概要]当社グループは、当社グループが保有している知的財産権が第三者から侵害を受けた場合には、当社グループ製品の製品差別化や競争優位性が確保されず、期待される収益が失われる可能性があります。また、当社グループが製造または販売する製品が第三者の知的財産権を侵害した場合には、当該製品の回収や販売中止を求められる他、損害賠償を請求される可能性があります。その場合、当社グループの業績に悪影響を及ぼす可能性があります。

[対応]当社グループは、特許権を含む知的財産権を適切に管理する体制を整え、継続的なモニタリングを実施することで第三者による知的財産権の侵害に注意を払っております。また、専門家、データベース及び調査機関を利用した調査に加え、発明協会等の研修受講による情報収集を強化することで、第三者の知的財産権の侵害防止に努めております。加えて、実際に知的財産権に係る係争が発生した場合は、関係者と協力して事業への影響を最小限にとどめるよう努めてまいります。

 

4【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1)経営成績等の状況の概要

 当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。

 

①経営成績等の状況

 当連結会計年度における世界経済は、各国で新型コロナウイルス感染症に伴う活動規制が緩和され、需要が拡大しました。一方、ウクライナ情勢の変化を契機としたエネルギー価格の急騰やインフレの加速を受け、米国を始めとする各国が金融引き締めを進めた影響で、景気減速の懸念が高まりました。

 自動車関連部品市場は需要が回復傾向にありますが、引き続き半導体に代表される供給の制約や、中国のゼロコロナ政策解除後の経済回復が遅れている影響を受けました。

 一方、水処理用分離膜市場における需要は海水淡水化プラント用途に加え、工業用プロセス水製造装置用途、廃水処理用途の増加により堅調に推移しました。

 当連結会計年度においては、エネルギー価格の急騰に加え、引き続き原材料価格上昇の影響を受け、一部値上げを実施いたしました。また、物流の混乱緩和により輸送費が減少しました。

 その結果、当社グループの当連結会計年度の経営成績は、売上高17,309百万円(前年同期比2,286百万円増、15.2%増)、営業利益376百万円(前年同期比106百万円増、39.6%増)、経常利益335百万円(前年同期比59百万円増、21.6%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は投資有価証券売却益、固定資産に係る減損損失を計上した結果、242百万円(前年同期比40百万円減、14.2%減)となりました。

 

②財政状態の状況

 当連結会計年度末における資産総額は、16,273百万円となり、前連結会計年度末より738百万円増加しておりま

す。主に原材料及び貯蔵品が597百万円、電子記録債権が262百万円、受取手形及び売掛金が225百万円、商品及び製品が113百万円増加し、有形固定資産が511百万円減少いたしました。

 負債総額は9,805百万円となり、前連結会計年度末より643百万円増加しております。主に電子記録債務が389百万円、支払手形及び買掛金が173百万円、流動負債のその他に含まれる未払金が162百万円、設備電子記録債務が149百万円増加し、短期借入金が404百万円減少いたしました。

 また、純資産につきましては、6,468百万円となり、前連結会計年度末より95百万円増加しております。主に利益剰余金が242百万円、為替換算調整勘定が182百万円増加し、非支配株主持分が317百万円減少いたしました。

 以上の結果、自己資本比率は30.1%となりました。

 

③キャッシュ・フローの状況

 当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)の残高は329百万円となり、前連結会計年度末と比較して、32百万円の減少となりました。

 各キャッシュ・フローの状況とその要因は以下のとおりであります。

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

 営業活動により得られた資金は、762百万円(前年同期比762百万円減、50.0%減)となりました。これは主に棚卸資産の増加額602百万円、投資有価証券売却益400百万円、売上債権の増加額391百万円の減少要因があったものの、減損損失866百万円、減価償却費846百万円、仕入債務の増加額489百万円の増加要因があったことによるものであります。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

 投資活動により使用した資金は、360百万円(前年同期比44百万円増、14.1%増)となりました。これは主に投資有価証券の売却による収入400百万円がありましたが、有形固定資産の取得による支出673百万円があったことによるものであります。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

 財務活動により使用した資金は、459百万円(前年同期比832百万円減、64.4%減)となりました。これは主に短期借入金の純減額433百万円があったことによるものであります。

 

 

④生産、受注及び販売の実績

a.生産実績

 当連結会計年度の生産実績を品目ごとに示すと、次のとおりであります。

品目の名称

当連結会計年度

(自 2022年4月1日

至 2023年3月31日)

前年同期比(%)

自動車関連資材(千円)

8,846,440

13.6

水処理関連資材(千円)

7,191,825

21.6

一般産業用資材(千円)

1,367,698

8.5

合計(千円)

17,405,964

16.3

(注)1.当社グループは単一セグメントであるため、品目別に記載しております。

2.金額は販売価格によっております。

 

b.受注実績

 当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)は見込み生産を行っているため、該当事項はありません。

 

c.販売実績

 当連結会計年度の販売実績を品目ごとに示すと、次のとおりであります。

品目の名称

当連結会計年度

(自 2022年4月1日

至 2023年3月31日)

前年同期比(%)

自動車関連資材(千円)

8,782,273

11.9

水処理関連資材(千円)

7,164,732

21.0

一般産業用資材(千円)

1,362,110

8.4

合計(千円)

17,309,115

15.2

(注)1.当社グループは単一セグメントであるため、品目別に記載しております。

2.最近2連結会計年度の主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりであります。

相手先

前連結会計年度

(自 2021年4月1日

至 2022年3月31日)

当連結会計年度

(自 2022年4月1日

至 2023年3月31日)

金額(千円)

割合(%)

金額(千円)

割合(%)

株式会社サンコー

3,833,611

25.5

4,805,521

27.8

 

(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

 経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。

 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。

 

①財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容

a.当連結会計年度の経営成績等について

 当社グループの当連結会計年度における経営成績は、売上高、営業利益、経常利益ともに前連結会計年度に比べ増加しました。親会社株主に帰属する当期純利益は投資有価証券売却益があったものの、固定資産に係る減損損失を計上したため減益となりました。

 第3次中期経営計画『Awa Breakthrough Plan』の2年目となる当連結会計年度は、基盤事業の拡大と強化を図るため、当社の基盤事業の1つである分離膜支持体用不織布を製造する新工場建設を決定いたしました。これは、SDGsへの取り組みの一環として、増大する世界の水需要に対応するため、生産能力の拡大と生産性向上を図ることを目的としたものであります。また、新事業の創出につきましては、展示会への出展やWebサイトの活用により製品の魅力を伝えることで認知向上に努めるとともに、国内外での案件積み上げに注力し、新たな用途開拓に取り組んでおります。

 また、DX(デジタルトランスフォーメーション)による労働生産性向上につきましては、RPAを活用し定型作業の自動化による間接業務の削減に取り組むとともに、クラウドサービスを利用した業務プロセスの見直しを進めております。

 今後も、デジタル営業の推進、基幹業務システムの刷新等により更なる業務の効率化と生産性向上を図り、新たな価値の創造と提供を目指してまいります。加えて、持続的な成長に必要な人材確保と人材育成に注力し、持続的な発展と高収益企業の実現を目指してまいります。

 

b.経営成績に重要な影響を与える要因について

 当社グループの経営成績に重要な影響を与える大きな要因として、主要市場における経済状況、原燃料の価格上昇、自然災害などがあります。

 当社グループが関連する市場としては、主として自動車部品業界や水処理関連市場となりますが、成長市場であることから、今後もグローバル競争の激化や有力な新規参入の増加などが予想されます。こうしたなか、当社グループは、グローバル企業として成長していくため、高性能品の開発や商品ラインナップの拡充、安定供給体制の確立などに努めてまいります。

 原燃料価格の変動については、ウクライナ情勢の変化を契機としたエネルギー価格の急騰やインフレの加速を受け、さらに上昇しております。当社グループは、調達方法の見直しや製品価格の是正などで生産効率の向上を図り、収益確保に努めてまいります。

 自然災害については、当社グループの国内生産拠点が徳島県内に集中していることから、自然災害の発生により当社グループの生産体制に支障をきたす可能性が想定されますが、BCP対応に努め、災害時においても早期に安定供給体制が復旧出来るよう体制整備に取り組んでまいります。また、新型コロナウイルス感染症等のパンデミックへの対応については、基本的な感染予防対策の徹底に加え、リモートワークによる在宅勤務体制の推進、WEB会議やDXの活用など、グループ全体において必要な感染防止対策に取り組んでおります。

 

c.経営方針・経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等について

 当社グループでは、健全経営維持と企業価値向上のため、事業領域の拡大と収益性の向上を目標としております。また、資産効率と収益性の両面を測る指標として、「総資産経常利益率(ROA)」を経営の重要指標として位置付けております。

 この指標を達成するために、当社グループとして「売上高経常利益率」や「総資産回転率」の向上に注力しております。具体的には、アライアンスを含めた新事業の創出、基盤事業の強化と収益改善、総資産の効果的かつ効率的な運用に努めております。

 当連結会計年度におけるROAは2.1%(前年同期比0.3%増)となりましたが、引き続き指標の達成に向けて、グループ一丸となって注力しております。

 

 

②キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報

 キャッシュ・フローの状況については、「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ③キャッシュ・フローの状況」に記載しております。

 当社グループの運転資金需要のうち主なものは、原材料や副資材などの購入のほか、製造費、販売費及び一般管理費などの営業費用であります。投資を目的とした資金需要は、設備投資や研究開発投資などによるものであります。

 当社グループは、事業運営上必要な流動性と資金の源泉を安定的に確保することを基本方針としております。

 短期運転資金は自己資金及び金融機関からの短期借入を基本としており、設備投資資金や長期運転資金の調達につきましては、金融機関からの長期借入を基本としております。

 なお、当連結会計年度末における借入金及びリース債務を含む有利子負債の残高は4,141百万円となっております。また、当連結会計年度末における現金及び現金同等物の残高は329百万円となっております。

 当社グループは、厳しい環境下においても将来を見据えた設備投資や研究開発投資を維持してまいります。必要な資金は営業活動により得られるキャッシュ・フローを基本に金融機関からの借入により調達していく方針であります。

 

③重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

 当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表で採用する重要な会計方針は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」に記載しております。

 この連結財務諸表の作成にあたりまして、経営者による会計方針の選択、資産・負債及び収益・費用の報告数値に影響を与える見積りを必要としております。経営者はこれらの見積りについて、過去の実績等を勘案し合理的に判断しておりますが、実際の結果は見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りと異なる場合があります。

 連結財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは以下のとおりであります。

 

a.退職給付費用及び退職給付債務

 当社グループは、簡便法を採用している連結子会社を除き、確定給付型制度の退職給付費用及び退職給付債務について、割引率等、数理計算上で設定される前提条件に基づいて算定しております。実際の結果が前提条件と異なる場合、または前提条件が変更された場合、その影響は将来にわたって規則的に認識されるため、将来期間において認識される費用及び計上される債務に影響を及ぼす可能性があります。

 

b.固定資産の減損処理

 当社グループは、固定資産のうち減損の兆候がある資産グループについて、当該資産グループから得られる割引前将来キャッシュ・フローの総額が帳簿価額を下回る場合には、帳簿価額を回収可能価額まで減額し、当該減少額を減損損失として計上しております。減損の兆候の把握、減損損失の認識及び測定にあたっては慎重に検討しておりますが、事業計画や経営環境の変化により、その見積り額の前提とした条件や仮定に変更が生じた場合、減損処理が必要となる可能性があります。

 

c.繰延税金資産の回収可能性

 繰延税金資産の回収可能性は、将来の課税所得の十分性により判断しており、課税所得の算定にあたっては、事業計画をもとに最新の経営環境に関する情報等を反映し見積っております。

 詳細につきましては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載しております。

 

5【経営上の重要な契約等】

 該当事項はありません。

 

6【研究開発活動】

研究開発の基本方針

 当社グループは、保有している基盤技術の深耕による既存事業の拡大を図るとともに、マーケットイン型R&Dの実行による次世代中核事業の創造を研究開発の基本方針として、既存事業における次世代製品の開発ならびに新規事業の創出にかかる開発に取り組んでおります。

 知的財産への投資については重要な経営資源と捉えており、当社企業活動のさまざまな場面で創造される価値を当社の優位性に確実に結びつけるべく、知財活動に取り組んでおります。その範囲は発明生産支援、特許出願・権利化といった典型的な知的財産活動に加えて、共同開発により得た成果を事業化するために各事業部門との連携強化などが含まれます。

 これまでのモノづくりで培ってきた知識・ノウハウ・特許を組み合わせた相乗効果の創出と活用により事業成長に貢献するとともに、ビジネスリスクの低減にも取り組み、企業価値向上を目指して参ります。

 当連結会計年度の研究開発費の総額は395,237千円、国内で出願された特許は4件となり、研究要員は31名であります。なお、当連結会計年度における品目別の研究の目的、主要課題、研究成果は次のとおりであります。

 

(1)自動車関連資材分野

 エンジン用濾材は、用途として主に吸気用、潤滑油用、燃料用フィルターに使用されております。

 天然パルプ、コットンリンター、ポリエステルなどの合成繊維を主原料として、空気中のゴミ、他車から排出されるスス、潤滑油中のカーボン粒子、燃料中のゴミ、水分などを取り除き、エンジンに清浄な空気、燃料を供給すること及び潤滑油の性能を維持することができます。当該分野では小型かつ高効率、ダストの高捕捉量を満たすフィルターが求められており、これらニーズに対応するための研究開発を行っております。

 当連結会計年度においては、一部メイン商品の潤滑油用でVAを目的とした開発品が立ち上がりました。また今後の環境規制に対応すべく、さらなる高精度濾材の開発にも取り組んでおり、お客様から良好な評価結果を得ております。一部供給不安のあった原材料については、供給不安のない他メーカーへの切り替えを行うことで、お客様へ安定供給できております。またエンジン用濾材で培った、孔径や通気性・通気抵抗を制御・設計する技術を、他分野にも適用した開発にも取り組んで参ります。

 

(2)水処理関連資材分野

① 分離膜支持体用不織布

 分離膜支持体用不織布は、主に世界の水処理用分離膜メーカーが製造する逆浸透膜モジュールに分離膜支持体として使用されております。

当商品は、専用の抄紙機及び加工機で製造されたポリエステル繊維100%の湿式不織布であります。耐水強度が高く、平滑性に優れることから水処理用の支持体として最適です。用途市場としては、海水淡水化や廃水処理などのインフラ用途をはじめ、工業用、家庭用浄水器など高度な水の需要に対応する分離膜に幅広く使用されており、高い伸び率で成長しております。

 当連結会計年度においては、コストダウン品を開発しお客様へ提案しております。また、従来とは少し異なる設備で開発品は現行品よりも良好な評価をいただいております。

市場の幅広いニーズに対応するために、ポリエステル繊維以外を原料とした製品開発や、当社の優位性を高めるために、付加価値を高めた製品開発にも引き続き取り組んでおります。

 

② M-fine(エム・ファイン)

 M-fine(エム・ファイン)とは、当社が提供するメンブレン(ナノレベルの微細な孔径を有する分離膜)及び水処理などのモジュール・ユニットの総称であります。

 当社の事業領域の拡大の一環として、廃水処理に使用されるMBR(膜分離活性汚泥法)用浸漬膜及びユニットの事業化推進に取り組んでおります。品質のさらなる向上や高性能化に向けた開発を継続的に行っており、M-fine ユニット新型 Generation 2の開発に努めております。今回の新型は、特に散気量削減によるCO2削減効果が期待でき、またユニットの構造的にも当社の薄くて軽い膜の強みを生かした製品となっております。

 また、新たに当社の小型ユニットを活かした「小型廃水処理装置」の開発にも着手しております。「池・河川水浄化用膜処理装置」等、排水・再利用の様々なニーズにお応えできるように、事業の川下化に向けた取り組みを積極的に行っております。

 

 

(3)一般産業用資材分野

 一般産業用資材分野の電気・電子部品用機能紙は、主に電子機器などの断熱部材や放熱部材としてのいわゆるサーマルマネジメント材として使用され始めており、電子機器の過酷な発熱環境下における厳しい要求が強まり高い伸び率が期待されている分野です。また、主に耐熱プレス用の工程紙として使用される耐熱クッション紙や金型の製造工程で発生する粉塵を除去するためのワイヤーカット用濾紙などがあります。その他、食品用として主に加工食品の鮮度保持用に使用される脱酸素剤の包材として使用されております。

当連結会計年度においては、特に自動車の電動化による成長が期待されるサーマルマネジメント材(M-Thermo)の具体的な成果として、電動自動車向けバッテリー用断熱材が採用されました。

また、音響部材の振動板として炭素繊維やセルロースナノファイバー(CNF)を原料とした製品が採用されております。東京ビッグサイトで開催された「オートモーティブワールド」(2023年1月)「新機能性材料展」(2023年2月)に一部商材を展示し、顧客要求に直結した製品開発を行っております。