第2【事業の状況】

1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1)経営方針

 当社グループは、果たすべき使命として「紙の可能性を追求し、多様な機能材との新結合を図ると同時に、環境との調和を目指した商品・サービスの提供を通じて、人類・社会に貢献すること」を掲げ、独自の製品・技術・サービスで世界一の会社を目指しております。

 

(2)経営戦略

 当社グループは、長期経営について以下の基本方針を掲げております。

 「新市場の開拓と事業領域の拡大」

「中核商品のグローバル市場における競争優位の追究」

「SDGsと高収益の両立」

 

 「新市場の開拓と事業領域の拡大」については、マーケティングとベンチマーク活動、アライアンス戦略により、次世代中核商品の開発と生産体制を確立し、事業領域をさらに拡大してまいります。

 「中核商品のグローバル市場における競争優位の追究」については、世界に浸透するブランドの構築により売上・利益の最大化を図ってまいります。

 「SDGsと高収益の両立」については、当社グループはSDGsにおいて注力する10の目標を設定しております。当社は持続可能な社会の実現と利益追求の両立を目指し、優しい素材を使い、優しい機能を提供し、優しい社会を考え、事業目標を設定し達成を目指してまいります。

 このように、安定成長を見込む中核商品と成長分野での新事業からなる積極的な経営を目指してまいります。

 

(3)経営環境

 今後の見通しにつきましては、新型コロナウイルス感染症による厳しい状況が緩和される中で、各種政策の効果や世界経済の改善もあって、景気の持ち直しが期待されています。しかしながら、ウクライナ情勢等による不透明感がみられる中で、原材料価格の上昇や供給面での制約等による下振れリスクが懸念されております。当社グループを取り巻く環境としましては、自動車関連資材の需要は回復基調にあるものの、世界経済の混乱を受け生産の調整が続いております。水処理関連資材においてはアジア・中東地域を中心に需要が堅調に推移する中で、今後も厳しい競争の継続が予想されます。

 

(4)対処すべき課題

 当社グループは、世の中の流れを的確に捉え、お客様との接点を強化し、自らのコア技術を高めて、新時代に向けた新たなビジネスを展開してまいります。10年先の社会を見据えた長期ビジョンを設定し、お客様とともにその実現に向けて突き進んでいくことを目指しております。

 また、当社グループは、健全な経営と企業価値向上のため、総資産経常利益率(ROA)を重要な経営指標と位置付けております。当連結会計年度にスタートしました第3次中期経営計画『Awa Breakthrough Plan』では、最終年度の総資産経常利益率(ROA)の目標を4.4%としており、収益性の向上や資産の効率的運用に取り組むとともに、基盤事業の拡大と強化、新事業の創出に向けた活動やDXによる労働生産性向上、デジタル営業の推進や人財育成等に向けた取り組みの強化により、持続的な発展と高収益企業の実現を目指してまいります。

 このような状況のもと、以下の事項を主要な課題として認識し、今後の事業展開を図ってまいります。

 

① 基盤事業の強化と収益構造の改善

 基盤事業である水処理関連資材については、伸びていく市場に対し高品質と安定供給により競争力優位を更に高めるため、生産力増強と営業力の強化を行ってまいります。自動車関連資材のエンジン用濾材については、高付加価値商品の生産に注力し安定供給が可能な生産体制を構築すると共に、グループ全体での購買活動の効率化と調達先の多様化を推進し、収益構造の改善に努めてまいります。

 

② 新事業の創出

 自動車における動力源の電動化や電子機器の小型化・高性能化、居住空間におけるエネルギー効率の最大化に向けたサーマルマネジメント課題の要求を受け、当社では断熱・熱伝導などの機能をもつサーマルマネジメント材料「M-thermo」の開発、ラインナップの拡充を進めるとともに販売先の開拓に努めてまいります。

 また、水資源問題が世界的に深刻化する昨今、水のリサイクル利用で水資源の保全と有効活用に貢献する廃水処理装置「M-fine」のグローバル展開を進めるとともに、新たにM-fineメンテナンスサービスを開始し、付加価値の向上に努めてまいります。

 

③ アライアンスの戦略的活用

 戦略的なアライアンスによる中核商品の事業基盤強化、コーポレートベンチャーキャピタル等の活用により、当社の技術と異業種・異分野がもつ技術の融合を図り、新事業創出および事業拡大に取り組んでまいります。

 

④ ブランド力の強化と展開

 コーポレートブランド「AWA」と基盤事業である水処理関連資材の主力ブランド「PURELY」、エンジン用濾材を中心としたブランド「AWAPAPER」のグローバル市場での更なる価値向上を図るため、高品質の追求や商品ラインナップの拡充に取り組んでまいります。また、新事業に向けたブランドである「M-fine」「M-thermo」「CARMIX」の効果的展開を図るため、マーケティング活動の強化と市場ニーズに合致した商品開発を行い、ブランドの認知拡大に努めてまいります。

 加えて新たに導入したデジタルツール等を活用し、積極的な情報提供や営業活動を行うと共に、ステークホルダーとの接点を強化し、長期的な企業価値の向上を図ってまいります。

 

⑤ 生産性カイカクとDXの推進

 収益構造の改善と資本効率の向上を目的とし、間接業務の合理化・省力化、業務プロセスの見直しを進めており、生産工程においてはIoTの活用や改善活動のレベル向上によりコスト競争力強化に取り組んでまいります。

 また、DXを推進し、営業の業務プロセスや顧客接点の変革、定型作業の自動化等による業務全般の更なる効率化を図ると同時に、持続的成長を支える人財の確保と育成を強化し、人財の高度化を図ることで効率的な経営資源の活用と経営基盤の強化に努めてまいります。

 

⑥ サステナビリティの推進

 当社は持続可能な社会の実現と利益追求の両立を目指し、優しい素材を使い、優しい機能を提供し、優しい社会を考え、事業目標を設定し達成を目指してまいります。

 2021年度より、CO2削減へのチャレンジ、EV・水素社会に向けた技術革新、安全な水の普及と水資源の有効活用、資源循環の推進、働き方改革の推進等を方針に掲げ活動を行っております。今後も、社員一人一人の日々の活動がサステナブルな社会の実現につながるという意識を共有してまいります。

 

2【事業等のリスク】

 当社グループの事業運営及び展開については、様々なリスクの発生が想定されますが、それらの想定されるリスクを事前に認識し、事実上可能な範囲で想定されるリスクの対応策を検討・実施しております。しかし、全てのリスクを低減または排除することは困難であり、これらのリスクが顕在化した場合には、当社グループの業績及び財政状態、社会的信用等に重大な影響を及ぼす可能性があります。

 当社グループにおいては、リスクマネジメント基本方針に基づき関連規程を整備するとともに、取締役会の下部組織としてリスクマネジメント委員会を設置し、経営に重要な影響を及ぼすリスクを発生可能性及び影響度に基づいて評価し、所管部において係るリスクに適切に対応しております。

以下、当社グループが重要なリスクと判断した事項を記載しておりますが、事業に係るリスクをすべて網羅するものではありません。また、将来に関する事項については、当連結会計年度末現在において判断したものであり、当該リスクが顕在化する可能性の程度や時期、経営成績等の状況に与える影響度につきましては、現時点では合理的な予測が困難であり、記載しておりません。

 

(1)事業環境変化に関するリスク

[概要]当社グループは、自動車関連資材及び水処理関連資材を主力製品としており、これらの市場はグローバルなサプライチェーンに組み込まれており、日本、北米、アジア地域をはじめとする世界経済の変動が、製品の販売動向等に影響する可能性があります。また、当社グループが主力とする分野では競合先が存在しており、今後競争が一段と激化した場合には、販売数量の減少及び採算の悪化など、業績に悪影響を及ぼす可能性があります。

[対応]当社グループは、経済状況の変化を注視しつつ、市場のニーズに合った商品開発及び積極的な拡販活動を継続するとともに、新事業の創出や事業領域の拡大に注力しております。また、製造面における原価低減活動や間接業務の効率化、業務プロセスの見直しなどにより収益性の確保に努めるとともに、主力事業に関しては、クロスファンクショナルチームによる横断的な活動等を通じ、営業と研究開発や製造部門が一体となったソリューション力の強化による付加価値の高い商品の提供に努め、事業基盤の拡充と収益体質の強化に努めております。

 

(2)安定調達・供給に関するリスク

[概要]当社グループは、主要原材料の木材パルプ、リンターパルプ等を海外(北米、南米、欧州など)から調達しているため、国際輸送混乱による納入遅延の発生及び輸送コストの高騰、ならびに原油価格高騰を起因とする石油由来のポリエステル繊維や合成パルプ等の原材料価格高騰から製造コストの上昇が不可避となり、当社グループの業績に悪影響を及ぼす可能性があります。

[対応]当社グループは、主要原材料の代替材料の検討や調達における複数購買等による調達先の分散化および適正在庫の確保等、グループ全体で安定的な事業継続に取り組む体制を構築しています。また、原燃料価格の高騰に対応すべく、生産工程におけるコスト増加に対して工程内の生産効率の向上に努めておりますが、自社の企業努力では吸収しきれない場合には、市場動向や競合他社動向を踏まえ、適切な売価改定を進めてまいります。

 

(3)人材確保・育成に関するリスク

[概要]当社グループは、中長期的な企業成長のためには優秀な人材の確保・育成が重要であると認識していますが、少子高齢化に伴う労働人口減少による人材確保難及び優秀な人材の社外流出、人材育成の遅れ等により人的資本の充実が進まず、高度な技術の承継にも支障が生じるなど、当社グループの業績と成長に悪影響を及ぼす可能性があります。

[対応]当社グループは、多様な人材が集まり育つ人事制度として、新卒採用においてはインターンシップを導入するとともに、専門性を持つ人材の中途採用を積極的に推進するなどダイバーシティの確保に努めています。また、幹部人材の育成プログラムを導入するとともに、ワークライフバランスの実践に向けた多様な働き方に対応した各種制度を整備し、健康経営の実践として健康宣言を行うなど、積極的に対応しております。

 

(4)品質保証に関するリスク

[概要]当社グループは、国内外のお客様に提供する多様な製品に品質問題が生じた場合には、お客様や社会から当社グループの信用を失墜し、企業ブランドや製品ブランドの価値を棄損する他、損害賠償請求などが発生し、当社グループの業績に悪影響を及ぼす可能性があります。

[対応]当社グループは、品質方針を定め、全員参加で品質マネジメントシステム(QМS)に取り組んでおり、設備の改修も含め継続的な品質改善活動を実践しております。また、不良発生時は品質連絡会で課題として認識し、不良発生のメカニズムを徹底分析の上、発生工程への反映及び類似工程への水平展開を行い、再発リスクの低減や発生予防に努めております。

 

(5)自然災害・パンデミックに関するリスク

[概要]当社グループは、国内生産拠点の全てが徳島県内に集中しており、大規模地震による津波の発生及び地球温暖化による大型台風や洪水、異常渇水等の多様な自然災害の発生により生産活動等に甚大な被害が発生する可能性があります。また、新型コロナウイルス感染症の世界的な流行拡大等によるパンデミックの発生により、サプライチェーンの寸断や従業員の出勤停止等による工場の稼働停止等が発生する可能性があります。このような事態が発生した場合には、生産能力の著しい低下や設備の復旧に伴う多大なコストの発生が見込まれ、当社グループの業績に悪影響を及ぼす可能性があります。

[対応]当社グループは、リスクマネジメント基本方針に基づき「緊急時対応マニュアル」を策定するとともに、大規模地震等の災害発生時にも事業活動を継続し、製品の安定供給が図れるようにBCP(事業継続計画)を策定しております。具体的には、従業員や家族の安否確認、災害対応備蓄品等を備え、定期的な訓練および設備の点検等を実施しております。

 また、新型コロナウイルス感染症等のパンデミックへの対応については、基本的な感染予防対策の徹底に加え、リモートワークによる在宅勤務体制の推進、WEB会議の活用など、グループ全体において可能な限りの感染防止対策に取り組んでおります。

 

(6)海外事業展開に関するリスク

[概要]当社グループは、タイ国において製造販売及び研究開発活動を行うとともに、中国においても駐在員事務所を設置し、販売支援を行っております。グローバルな事業活動を行うにあたり、各国の法的規制、経済情勢、政情不安、パンデミックの発生など事業環境の不確実性等のリスクが顕在化した場合には、当社グループの業績に悪影響を及ぼす可能性があります。

[対応]当社グループは、内部統制システムの基本方針に基づき関係会社管理規程を制定し、海外子会社の情報収集や現地の経営環境に適した事業運営の管理強化に努めています。また、親会社の役員が子会社の役員に就任しガバナンスを強化するとともに、幹部社員を子会社に派遣する他、東京支店内にグローバル営業支援課を設置し、海外事業展開における業務支援とオペレーショナルリスクの低減に取り組むなど、グループ管理体制の充実を図っています。

 

(7)環境問題に関するリスク

[概要]当社グループは、地球環境問題への取り組みを強化するため、2030年度に二酸化炭素排出量を2014年対比で37%削減する社内目標をはじめ、環境保護に関する重要項目を設定しております。特に、気候変動への対応については、当社グループ事業と密接な関係を有する森林や水資源に関して世界規模での環境破壊が進んでおり、今後の事業を展開していくうえでの重大なリスクと認識しております。これらの活動が適切に遂行できない、もしくは目標を達成できない場合には、社会的評価が低下するなどにより当社グループの信用及び業績に悪影響を及ぼす可能性があります。

[対応]当社グループは、環境方針を制定し、事業活動全般を通じて地球環境に関するグローバルな社会課題の解決に貢献するための取り組みを推進しております。また、効率的で実効性の高い事業活動を推進するため、環境マネジメントシステム(EМS)の認証を取得し、環境意識向上のための教育を行うとともに、グリーン調達基準を制定し、サプライチェーン各社との緊密な連携強化により持続可能な社会の実現に努めております。

 

(8)コンプライアンスに関するリスク

[概要]当社グループは、社是である「道徳経済合一」主義のもと、企業倫理規範を定めてコンプライアンス経営の徹底に努めております。しかし、重大なハラスメント、労働法令違反、人権問題等などの重大なコンプライアンス違反が発生した場合、または産業廃棄物や工場排水汚染など事業活動に関連する重大な法令違反等が発生した場合、行政処分等による生産活動の停止などにより社会的な信用を失墜し、当社グループの業績に悪影響を及ぼす可能性があります。

[対応]当社グループは、会社及び役員・従業員による法令と社内規程の遵守、環境保全に努めるとともに、内部通報規程を制定し、法令等違反行為の早期発見と是正を図るなどコンプライアンス体制の整備運用に努めております。また、定期的なコンプライアンス情報の発信とセルフチェックの実践により、コンプライアンス教育の充実に努めております。

 

(9)事業ポートフォリオに関するリスク

[概要]当社グループは、主力商品である自動車関連資材において、今後、電気自動車や燃料電池車の急速な普及が予想され、当社グループのエンジン関連商品の需要が大きく減少する可能性があります。また、水処理関連資材は、新規参入企業や既存競合他社からの販売攻勢により、当社グループの分離膜支持体用不織布の市場シェアが大きく減少する可能性があります。こうした状況が発生した場合には、当社グループの業績に悪影響を及ぼす可能性があります。

[対応]当社グループは、自動車における動力源の電動化、居住空間におけるエネルギー効率の最大化に向けた断熱・熱伝導機能材「M-thermo」の開発、商品ラインナップの拡充によりサーマルマネジメント分野における市場開拓に努めております。分離膜支持体用不織布においては、営業力の強化を行うとともに、設備改良を含めた製品開発に取り組み、高品質の維持向上に努めております。また、水資源問題が世界的に深刻化するなか、水のリサイクル利用で水資源の保全と有効活用に貢献する排水処理装置「M-fine」のグローバル展開による新事業分野の育成に努めております。

 

 

(10)情報管理に関するリスク

[概要]当社グループは、システム障害やコンピュータウイルスの感染、不正アクセスによるサイバー攻撃、従業員等による個人情報の漏洩、会社機密情報の流出等の情報管理リスクが発生する可能性があります。その場合、当社グループの業績、財政状態及び社会的信用に重大な影響を及ぼす可能性があります。

[対応]当社グループは、情報セキュリティ基本方針、個人情報保護方針等を制定し、情報管理を重要な企業活動として位置づけております。情報資産を保護すべく適切な措置と組織的・人的・物理的・技術的対策を講じる他、教育研修等を通じて情報セキュリティに関する重要性について周知徹底を図っております。

 

(11)知的財産権の侵害に関するリスク

[概要]当社グループは、当社グループが保有している知的財産権が第三者から侵害を受けた場合には、当社グループ製品の製品差別化や競争優位性が確保されないなど期待される収益が失われる可能性があります。また、当社グループが製造または販売する製品が第三者の知的財産権を侵害した場合には、当該製品の回収や販売中止を求められる他、損害賠償を請求される可能性があります。その場合、当社グループの業績に悪影響を及ぼす可能性があります。

[対応]当社グループは、特許権を含む知的財産権を適切に管理する体制を整え、継続的なモニタリングを実施することで第三者による知的財産権の侵害に注意を払っております。また、専門家、データベース及び調査機関等を利用した調査・情報収集を行うことで、第三者の知的財産権の侵害防止に努めております。加えて、実際に知的財産権に係る係争が発生した場合は、関係者と協力して事業への影響を最小限にとどめるよう努めてまいります。

 

3【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1)経営成績等の状況の概要

 当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。

 

①経営成績等の状況

 当連結会計年度における世界経済は、新型コロナウイルスワクチン接種の普及などによる経済活動の本格的な再開の動きを受け回復基調となりましたが、変異株による感染再拡大の懸念や中国のゼロコロナ政策継続によるサプライチェーンの混乱に加えて、ウクライナ情勢悪化による原材料・燃料価格の更なる上昇が重なり、依然として先行き不透明な状況が続いております。

 自動車関連部品市場は、新型コロナウイルス感染拡大の影響を大きく受けた前年比では回復が見られるものの、半導体をはじめとする部品不足による減産が長引き、緩やかな基調となりました。

 一方水処理用分離膜市場は、半導体産業などの工業用プロセス水や家庭用飲料水用途の増加に加え、海水淡水化用途も回復しており、アジア・中東地域を中心に需要が堅調に推移しました。

 このような事業環境下において、当社グループでは当期にスタートしました第3次中期経営計画「Awa Breakthrough Plan」のもと、基盤事業の拡大と強化および新事業の創出に向けた活動やDXによる労働生産性向上に取り組んでまいりました。

 当連結会計年度の売上高については、前連結会計年度より大きく回復いたしましたが、物流の混乱による輸送費の増加や原材料・燃料価格上昇の影響を受けました。

 その結果、当社グループの当連結会計年度の経営成績は、売上高15,023百万円(前年同期比2,471百万円増、19.7%増)、営業利益269百万円(前年同期は営業損失153百万円)、経常利益275百万円(前年同期は経常損失114百万円)、親会社株主に帰属する当期純利益282百万円(前年同期は親会社株主に帰属する当期純損失444百万円)となりました。

 

②財政状態の状況

 当連結会計年度末における資産総額は、15,534百万円となり、前連結会計年度末より204百万円減少しております。主に受取手形及び売掛金が431百万円、原材料及び貯蔵品が259百万円、繰延税金資産が128百万円増加し、有形固定資産が492百万円、電子記録債権が450百万円、現金及び預金が79百万円減少いたしました。

 負債総額は9,161百万円となり、前連結会計年度末より475百万円減少しております。主に電子記録債務が330百万円、支払手形及び買掛金が266百万円、流動負債のその他に含まれる未払消費税が88百万円増加し、長期借入金が684百万円、短期借入金が455百万円減少いたしました。

 また、純資産につきましては、6,373百万円となり、前連結会計年度末より271百万円増加しております。主に利益剰余金が282百万円増加いたしました。

 以上の結果、自己資本比率は28.9%となりました。

 

③キャッシュ・フローの状況

 当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)の残高は361百万円となり、前連結会計年度末と比較して、79百万円の減少となりました。

 各キャッシュ・フローの状況とその要因は以下のとおりであります。

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

 営業活動により得られた資金は、1,524百万円(前年同期比1,325百万円増、665.6%増)となりました。これは主に棚卸資産の増加額311百万円の減少要因があったものの、減価償却費772百万円、仕入債務の増加額601百万円、税金等調整前当期純利益268百万円の増加要因があったことによるものであります。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

 投資活動により使用した資金は、316百万円(前年同期比156百万円減)となりました。これは主に有形固定資産の取得による支出230百万円、出資金の払込による支出92百万円があったことによるものであります。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

 財務活動により使用した資金は、1,291百万円(前年同期は220百万円の獲得)となりました。これは主に長期借入金の返済による支出735百万円、短期借入金の純減額455百万円があったことによるものであります。

 

 

④生産、受注及び販売の実績

a.生産実績

 当連結会計年度の生産実績を品目ごとに示すと、次のとおりであります。

品目の名称

当連結会計年度

(自 2021年4月1日

至 2022年3月31日)

前年同期比(%)

自動車関連資材(千円)

7,788,792

20.1

水処理関連資材(千円)

5,915,878

23.0

一般産業用資材(千円)

1,260,915

8.7

合計(千円)

14,965,585

20.1

(注)1.当社グループは単一セグメントであるため、品目別に記載しております。

2.金額は販売価格によっております。

 

b.受注実績

 当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)は見込み生産を行っているため、該当事項はありません。

 

c.販売実績

 当連結会計年度の販売実績を品目ごとに示すと、次のとおりであります。

品目の名称

当連結会計年度

(自 2021年4月1日

至 2022年3月31日)

前年同期比(%)

自動車関連資材(千円)

7,845,918

18.5

水処理関連資材(千円)

5,920,978

24.0

一般産業用資材(千円)

1,256,137

9.0

合計(千円)

15,023,034

19.7

(注)1.当社グループは単一セグメントであるため、品目別に記載しております。

2.最近2連結会計年度の主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりであります。

相手先

前連結会計年度

(自 2020年4月1日

至 2021年3月31日)

当連結会計年度

(自 2021年4月1日

至 2022年3月31日)

金額(千円)

割合(%)

金額(千円)

割合(%)

株式会社サンコー

2,797,788

22.3

3,833,611

25.5

 

(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

 経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。

 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。

 

①財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容

a.当連結会計年度の経営成績等について

 当連結会計年度における経営成績は、前連結会計年度に比べ増収増益となりました。これは、主に自動車関連部品市場において、半導体をはじめとする部品不足による減産が長引いた影響もあり、緩やかな基調ながら新型コロナウイルス感染拡大の影響を大きく受けた前年比では回復が見られたことによるものであります。また、水処理用分離膜市場においても、半導体産業などの工業用プロセス水や家庭用飲料水用途の増加に加え、海水淡水化用途が回復し、アジア・中東地域を中心に需要が堅調に推移しました。

 当期にスタートしました第3次中期経営計画『Awa Breakthrough Plan』のもと、基盤事業の拡大と強化、新事業の創出に向けた活動やDXによる労働生産性向上に取り組んでまいりました。今期は、デジタル営業の推進や人財育成等に向けた更なる取り組みをおこない、持続的な発展と高収益企業の実現を目指してまいります。

 

b.経営成績に重要な影響を与える要因について

 当社グループの経営成績に重要な影響を与える大きな要因として、主要市場における経済状況、原燃料の価格上昇、自然災害などがあります。

 当社グループが関連する市場としては、主として自動車部品業界や水処理関連市場となりますが、成長市場であることから、今後もグローバル競争の激化や有力な新規参入の増加などが予想されます。こうしたなか、当社グループは、グローバル企業として成長していくため、高性能品の開発や商品ラインナップの拡充、安定供給体制の確立などに努めてまいります。

 原燃料価格の変動については、サプライチェーンの混乱による輸送コストの高騰に加えて、ウクライナ情勢悪化によりさらに上昇しております。当社グループは、調達方法の見直しや製品価格の是正などで生産効率の向上を図り、収益確保に努めてまいります。

 自然災害については、当社グループの国内生産拠点が徳島県内に集中していることから、自然災害の発生により当社グループの生産体制に支障をきたす可能性が想定されますが、BCP対応に努め、災害時においても早期に安定供給体制が復旧出来るよう体制整備に取り組んでまいります。また、引き続き新型コロナウイルスの感染拡大による社員への健康被害が事業運営の影響と業績に影響を及ぼす可能性が想定されます。新型コロナウイルスの感染拡大の事業への影響につきましては、現時点で合理的な算定が困難であるものの、今後も注視してまいります。

 

c.経営方針・経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等について

 当社グループでは、健全経営維持と企業価値向上のため、事業領域の拡大と収益性の向上を目標としております。また、資産効率と収益性の両面を測る指標として、「総資産経常利益率(ROA)」を経営の重要指標として位置付けております。

 この指標を達成するために、当社グループとして「売上高経常利益率」や「総資産回転率」の向上に注力しております。具体的には、アライアンスを含めた新事業の創出、基盤事業の強化と収益改善、総資産の効果的かつ効率的な運用に努めております。

 当連結会計年度におけるROAは1.8%(前年同期は△0.7%)となりましたが、引き続き指標の達成に向けて、グループ一丸となって注力しております。

 

②キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報

 キャッシュ・フローの状況については、「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ③キャッシュ・フローの状況」に記載しております。

 当社グループの運転資金需要のうち主なものは、原材料や副資材などの購入のほか、製造費、販売費及び一般管理費などの営業費用であります。投資を目的とした資金需要は、設備投資や研究開発投資などによるものであります。

 当社グループは、事業運営上必要な流動性と資金の源泉を安定的に確保することを基本方針としております。

 短期運転資金は自己資金及び金融機関からの短期借入を基本としており、設備投資資金や長期運転資金の調達につきましては、金融機関からの長期借入を基本としております。

 なお、当連結会計年度末における借入金及びリース債務を含む有利子負債の残高は4,438百万円となっております。また、当連結会計年度末における現金及び現金同等物の残高は361百万円となっております。

 当社グループは、厳しい環境下においても将来を見据えた設備投資や研究開発投資を維持してまいります。必要な資金は営業活動により得られるキャッシュ・フローを基本に金融機関からの借入により調達していく方針であります。

 

③重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

 当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表で採用する重要な会計方針は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」に記載しております。

 この連結財務諸表の作成にあたりまして、経営者による会計方針の選択、資産・負債及び収益・費用の報告数値に影響を与える見積りを必要としております。経営者はこれらの見積りについて、過去の実績等を勘案し合理的に判断しておりますが、実際の結果は見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りと異なる場合があります。

 連結財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは以下のとおりであります。

 

a.退職給付費用及び退職給付債務

 当社グループは、簡便法を採用している連結子会社を除き、確定給付型制度の退職給付費用及び退職給付債務について、割引率等、数理計算上で設定される前提条件に基づいて算定しております。実際の結果が前提条件と異なる場合、または前提条件が変更された場合、その影響は将来にわたって規則的に認識されるため、将来期間において認識される費用及び計上される債務に影響を及ぼす可能性があります。

 

b.固定資産の減損処理

 当社グループは、固定資産のうち減損の兆候がある資産グループについて、当該資産グループから得られる割引前将来キャッシュ・フローの総額が帳簿価額を下回る場合には、帳簿価額を回収可能価額まで減額し、当該減少額を減損損失として計上しております。減損の兆候の把握、減損損失の認識及び測定にあたっては慎重に検討しておりますが、事業計画や経営環境の変化により、その見積り額の前提とした条件や仮定に変更が生じた場合、減損処理が必要となる可能性があります。

 

c.繰延税金資産の回収可能性

 繰延税金資産の回収可能性は、将来の課税所得の十分性により判断しており、課税所得の算定にあたっては、事業計画をもとに最新の経営環境に関する情報等を反映し見積っております。

 詳細につきましては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載しております。

 

4【経営上の重要な契約等】

 該当事項はありません。

 

 

5【研究開発活動】

研究開発の基本方針

 当社グループは、保有している基盤技術の深耕による既存事業の拡大を図るとともに、マーケットイン型R&Dの実行による次世代中核事業の創造を研究開発の基本方針として、既存事業における次世代製品の開発ならびに新規事業の創出にかかる開発に取り組んでおります。

 さらに開発過程で得られた知的財産を経営資源化し、研究開発活動の推進強化を行っております。

 当連結会計年度の研究開発費の総額は413,872千円、国内で出願された特許は8件、国内で登録された特許は3件となり、研究要員は30名であります。なお、当連結会計年度における品目別の研究の目的、主要課題、研究成果は次のとおりであります。

 

(1)自動車関連資材分野

 エンジン用濾材は、用途として主に吸気用、潤滑油用、燃料用フィルターに使用されております。

 天然パルプ、コットンリンター、ポリエステルなどの合成繊維を主原料として、空気中のゴミ、他車から排出されるスス、潤滑油中のカーボン粒子、燃料中のゴミ、水分などを取り除き、エンジンに清浄な空気、燃料を供給すること及び潤滑油の性能を維持することができます。当該分野では小型かつ高効率、ダストの高捕捉量を満たすフィルターが求められており、これらニーズに対応するための研究開発を行っております。

 当連結会計年度においては、一部メイン商品の潤滑油用でVAを目的とした開発品がお客様から良好な評価結果を得ております。また産業機械向けの油圧用に開発を注力しております。

 

(2)水処理関連資材分野

① 分離膜支持体用不織布

 分離膜支持体用不織布は、主に世界の水処理用分離膜メーカーが製造する逆浸透膜モジュールに分離膜支持体として使用されております。

 当商品は、専用の抄紙機及び加工機で製造されたポリエステル繊維100%の湿式不織布であります。耐水強度が高く、平滑性に優れることから水処理用の支持体として最適です。用途市場としては、海水淡水化や廃水処理などのインフラ用途をはじめ、工業用、家庭用浄水器など高度な水の需要に対応する分離膜に幅広く使用されており、高い伸び率で成長しております。

 当連結会計年度においては、お客様により一層安定して使用していただくため、コストダウン対応に加え、品質のさらなる向上を目的とし、設備改良を含めた製品開発に取り組んでおります。

 世界トップシェア維持を確実なものとすべく新規顧客に対して積極的にサンプルワークし、受注獲得に至っております。また市場の幅広いニーズに対応するためポリエステル繊維以外を原料とした製品開発も進めており、製品ラインナップを充実し、市場展開を行うべく引き続き注力してまいります。

 

② M-fine(エム・ファイン)

 M-fine(エム・ファイン)とは、当社が提供するメンブレン(ナノレベルの微細な孔径を有する分離膜)及び水処理などのモジュール・ユニットの総称であります。

 当社の事業領域の拡大の一環として、廃水処理に使用されるMBR(膜分離活性汚泥法)用浸漬膜及びユニットの事業化推進に取り組んでおります。品質のさらなる向上や高性能化に向けた開発を継続的に行っており、M-fine ユニット新型 Generation 2の開発に努めております。今回の新型は、特に散気量削減によるCO2削減効果が期待でき、またユニットの構造的にも当社の薄くて軽い膜の強みを生かした製品となっております。

 また、新たに当社の小型ユニットを活かした「小型廃水処理装置」の開発にも着手しております。「池・河川水浄化用膜処理装置」や、「独立水循環型快適トイレ」等、排水・再利用の様々なニーズにお応えできるように、事業の川下化に向けた取り組みを積極的に行っております。

 

(3)一般産業用資材分野

 一般産業用資材分野の電気・電子部品用機能紙は、主に電子機器などの断熱部材や放熱部材としてのいわゆるサーマルマネジメント材として使用され始めており、電子機器の過酷な発熱環境下における厳しい要求が強まり高い伸び率が期待されている分野です。また、主に耐熱プレス用の工程紙として使用される耐熱クッション紙や金型の製造工程で発生する粉塵を除去するためのワイヤーカット用濾紙などがあります。その他、食品用として主に加工食品の鮮度保持用に使用される脱酸素剤の包材として使用されております。

 

 当連結会計年度においては、上記ワイヤーカット用濾紙の開発品がお客様からの良好な評価結果を得ております。特に自動車の電動化による成長が期待されるサーマルマネジメント材(M-Thermo)についての具体的な成果としては、高温まで耐えうる軽量で薄くて可とう性がある断熱材及び絶縁性熱拡散材などの様々な差別化技術を開発し、特許出願致しました。東京ビッグサイトで開催された「N-PLUS」(展示会)(2022年2月)にこれらの商材を展示し、顧客要求に直結した製品開発を行っております。