当社グループの経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、以下のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
当社は、以下の経営理念を原点に事業活動を推進してまいります。
・全役職員が正しい倫理的価値観を持ち、信任と誠実を旨に行動することにより、日々徳性を磨き、広く社会から信頼される企業を目指す。
・金融業における近未来領域の開拓と、革新的な事業モデルの追求に日々努め、お客さま、株主、職員、社会の発展に貢献する新しい価値を創造する。
・最先端のIT(情報技術)を駆使した金融取引システムを安定的に提供することにより、お客さまとの強固な信頼関係を築き、揺るぎない事業基盤を確立する。
・法令等遵守・顧客保護・リスク管理・内部監査の態勢構築及び高度化と、各分野に精通する人材の確保及び育成
・利便性・先進性・収益性の高い商品・サービスの企画及び開発と、効果的なマーケティング活動の実践
・信頼性・安定性の高い事務・システムの構築と、それらを継続的に提供する運営体制の確立
テクノロジーと公正の精神で、豊かさが循環する社会を創っていく。
当社グループは、中期的な経営戦略による計数目標として、2025年3月期を到達目標年とする「中期事業目標」を公表しました(2022年11月11日公表、2023年1月27日及び2023年2月28日一部見直し)。中期事業目標では、事業の成長を評価する利益指標、効率性を評価する財務指標、主要事業のKPIを目標として設定しています。
<中期事業目標>
日本では、2022年のインターネット利用率(個人)が84.9%、スマートフォンによるインターネット利用率が71.2%となり(総務省:令和5年版情報通信白書)、インターネットの利用拡大や通信機器の普及・発展等を通じたデジタル化が大きく進展してきています。インターネット専業銀行である当社を中心とする当社グループを取り巻く事業環境は、スマートフォンをはじめとする身近なデジタルデバイスの普及、人口減少、社会課題の解決に向けた意識の高まり、新型コロナウイルス感染症の流行を契機にした生活様式の変化の影響を受け、これまで以上のスピードで変化しています。
また、金融資本市場においては、2024年3月に日本銀行がマイナス金利政策の解除とイールドカーブコントロールの撤廃を決定したことで、無担保コールレート(翌日物)はマイナス圏を脱し0.07%台まで上昇しました。市場には事前に織り込まれていたこともあり、長期金利の変動は限定的となりましたが、金融緩和環境は継続するとの思惑から、ドル円相場は事業年度末時点で151円台後半まで円安が進行しました。日経平均株価は、国内企業の業績改善に対する期待が高まる中、2024年1月の新NISA開始等需給面の追い風もあり、4万円を突破し史上最高値を更新しました。
上記金融経済環境の変化に加え、当社の開業以降、インターネットを活用した金融取引の拡大、スマートフォンやタブレットの普及、近年では国内IT企業や地方銀行によるインターネット専業銀行への参入、大手銀行やインターネット専業銀行によるBaaS事業への参入など、銀行業界を巡る事業環境や競争環境は大きく変化しております。当社は、「テクノロジーと公正の精神で、豊かさが循環する社会を創っていく」というコーポレートスローガンのもと、「お客さま中心主義」を事業活動の基本に置き、今後も、ステークホルダーの皆さまに選ばれる銀行であり続けるため、更なる利便性の向上・魅力的な商品の提供、安定した経営管理・組織運営を実現してまいります。
当社は、デジタルバンク事業、BaaS事業、THEMIX事業の三つの事業を営んでいますが、デジタル化によるキャッシュレス化の進行等は、デジタルバンク事業のみならず、当社事業全般にとって追い風と認識しております。
デジタル化の動きは不可逆性を持っており、今後も継続・加速することを想定している一方、新興銀行のみならず従来型の銀行もデジタルバンク事業に進出し、サービスや機能の強化を図っていることを踏まえ、徹底した顧客志向によるユーザーインターフェース・ユーザーエクスペリエンス(UI/UX)の改善により、競合他行に先行し続けることを目指します。
当社は、グループの経営理念を事業活動の基本に置き、これまでの成長を支えてきたテクノロジーの強化やアライアンスの拡大によって革新的なビジネスモデルの創造や商品開発を行い、更なる顧客利便性の向上や高い顧客満足度を実現することにより、更なる成長の実現を図ってまいります。さらには、銀行を超えた存在へ進化すべく、最先端のテクノロジーとデータを駆使し、新規事業領域に進出します。また、今後の更なる成長や拡大を支える基盤となる、安定した経営管理・組織運営の実現を目指してまいります。
<デジタルバンク事業>
主力商品である住宅ローンについて、申込・業務プロセス改革を更に進めることでコスト競争力を高め、リスクに応じた戦略的な金利設定を行い、銀行代理店チャネルを中心に取組みの拡大とWEBチャネルの強化によって非金利収益の拡大を進めるとともに、多様化する顧客ニーズにマッチした新商品開発も強化してまいります。
また、デジタル化やキャッシュレス化の進展を背景として、デジタルバンク事業の競争が激化しておりますが、個々のお客様の状況に合わせたマーケティング施策を強化のうえ資産形成層の安定的な預かり資産の拡大を図り、お客様のライフステージ変化に合わせた外貨預金やロボアドバイザーサービス等の提供による非金利収益の拡大を目指します。
法人取引では、手続きの簡素化や手数料体系の見直し等を図り、法人口座開設を促進することにより、決済を始めとする各種サービス提供を通じた手数料収益の他、トランザクション・レンディングの残高および収益の増加を図ってまいります。
<BaaS事業>
BaaS事業では、将来性への期待から、金融機関のみならず異業種の参入も増加していますが、BaaSビジネスの先駆者としての強みを生かした提携先の開拓や共同施策の展開等により提携先との連携を強化し、やみくもに口座拡大を図るのではなく口座あたりの収益も意識した稼働口座の獲得を促進し、各提携先の専用支店口座の増加により、アカウント(口座)手数料を増加させる方針です。また、経営資源を集中し、提携先の拡大と従来以上に迅速な事業の拡大を図ってまいります。
また、BaaS事業の取組みがもたらす、提携先の顧客、提携先、当社それぞれがWin・Win・Winとなる仕組み及び決済や提携先等のデータを活かし、従来の銀行とは異なるビジネスモデルを確立していきたいと考えています。
<THEMIX事業>
THEMIX事業では、2022年8月に、広告事業等を行う子会社として株式会社テミクス・データを設立しました。同社では、企業ではなく人を中心に考えた、データを安心安全に利活用できるデータ社会の実現に向けて、事前にお客さまからデータ利用の同意をいただいたうえで、アライアンス企業と連携して、金融データプラットフォームビジネスを展開しています。
また、2023年10月には、DXプラットフォームビジネスやカーボンクレジットプラットフォームビジネスを担う子会社として株式会社テミクス・グリーンを設立し、2023年12月に株式会社マプリィを持分法適用関連会社としました。両社を中心に地方自治体や地方銀行との連携を進めつつ、2つのビジネスを推進しております。
上記の取組みを含めた中期的な経営戦略による計数目標として、2025年3月期を到達目標年とする「中期事業目標」を公表しました(2022年11月11日公表、2023年1月27日一部見直し)。中期事業目標においては、中期事業目標期間の最終年度である2025年3月期までに経常利益400億円以上、ROE17.0%以上の達成を目標として設定しております。なお、これらの計数目標の策定においては、社会経済環境、金利動向、為替動向、競争環境、規制環境、技術革新、インターネット環境、デジタル化推進の継続、国内新築住宅供給水準の継続、その他経営環境等について一定の前提を置いており、当社内において合理的な根拠に基づく適切な検討を経ていますが、これらの前提が現実と異なる場合には、当社グループの中期事業目標の達成が困難となり、当社グループの事業、業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
当社グループが、優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題は以下のとおりです。
長らく続いたマイナス金利政策が終焉を迎え「金利がある世界」へと金融環境が大きく変貌する一方、近時は大手銀行のデジタルシフトの加速や、インターネット専業銀行間の競争激化等、従来の預金貸出金を中心とした利鞘確保による収益モデルでは、今後の利益成長を継続することが難しいと課題認識しております。そうした中、当社グループは、預金貸出金利運営の見直しに加え、BaaS事業やTHEMIX事業に限らず、革新的なビジネスモデルを構築していくことで、従来型の金融収益ではない、非金利収益を積み上げることにより、更なる利益成長を継続してまいります。
また、当社グループは、APIやクラウド等の先進的なIT技術の活用とお客さま中心主義を組み合わせることで、付加価値の高い商品提供を推進しております。当社グループは、新たな価値を創造することを目指し、テクノロジー活用のもと、効率性の追求を通じた経費率の改善を図り、収益力の高い事業ポートフォリオの構築を目指してまいります。当社グループは、高品質なユーザーインターフェース・ユーザーエクスペリエンス(UI/UX)、AWS(Amazon Web Services)のクラウド、APIやAI・ビッグデータ等の先進的・効率的な技術を一早く取り入れ、スピーディに新たな価値を創造することに、引き続き取組んでまいります。
当社グループは、お客さまのライフステージに沿った商品提供やお客さまの利便性を追求した新サービスの投入により、収益基盤・顧客基盤の構築を進め、より安定した経営基盤の確立を目指してまいります。
主力商品である住宅ローンでは、商品性の見直しや顧客サポート態勢の充実、販売チャネルの拡大、さらにはBaaS事業における株式会社ヤマダホールディングスや株式会社オープンハウスグループのような住宅関連事業を展開する提携先との協業推進により、一層の残高積上げと収益力の向上に取組んでいるほか、優良な顧客基盤とAI審査モデル等の自社テクノロジーにより、当社の住宅ローンの2024年3月末の期待損失率(注)は0.01%に留まっております。また、コンシューマーローンでは、不動産投資による資産形成を目的とするローン等の新たな商品提供、マーケティング施策の展開などによる顧客獲得、商品力の訴求等による残高積上げにより、収益力の強化を図ってまいります。その他、デビットカード等の決済ビジネスの拡充、FinTech領域における積極的な取組み等により、お客さまの利便性向上を図りつつ、安定した手数料収益の積上げに努めてまいります。
BaaS事業においては、開業以来の取組みで培ったノウハウを活用し、より多くの提携先やその顧客に金融サービスにおける新しい価値を創造すべく、「NEOBANK®」サービスの提供に取組んでまいります。当社が取組む「NEOBANK®」サービスとは、提携先の顧客が提携先のサービスをご利用になる際に、それに付随する銀行サービスを当社が提供することにより、顧客がスムーズで快適にサービスを利用できる仕組みを、提携先と協同で構築するものです。BaaS事業における企業との提携は、2020年4月にスタートした日本航空株式会社に始まり、2024年3月末現在で提携先数は16社となっております。
(注) 期待損失率は、「銀行法第14条の2の規定に基づき、銀行が保有する資産等に照らし自己資本の充実の状況が適当であるかどうかを判断するための基準」(平成18年3月27日金融庁告示第19号)に基づき算出された居住用不動産向けエクスポージャーのPD(Probability of Default)×LGD(Loss Given Default)により算出しております。
顧客基盤及び総資産の拡大、業務多様化、ボラタイルな市場環境により、当社グループが抱える経営管理上のリスクも変化しております。今後の事業展開と合わせ、自律的に管理態勢高度化への対応を実施してまいります。
システム面では、お客さまのお役に立つ利便性の高いサービス提供を第一に、将来のビジネスモデル実現に相応しいシステムの構築を継続的に検討するとともに、開発リスクの極小化、障害の未然防止策・発生時の拡大防止策の高度化を進めてまいります。
リスク管理面では、当社グループの保有資産に即した金利リスク管理・流動性リスク管理態勢の強化、信用リスク管理の高度化を進め、バーゼルⅢ等各種規制対応と合わせ、リスク管理強化を図ってまいります。また、口座不正利用や不正アクセスに対する対策にも継続的に取組んでまいります。
また、銀行代理業者の拡充に適したリスク管理態勢の構築と、金融機関に対する社会的な役割期待の高まりや近年のインターネット上の金融犯罪・サイバー攻撃等が増加傾向にあることを踏まえたセキュリティ対策の強化、顧客保護対策をより一層進めてまいります。
2 【サステナビリティに関する考え方及び取組み】
当社グループは、テクノロジーと公正の精神で、豊かさが循環する社会を創っていくというコーポレートスローガンのもと、お客さまやステークホルダーの皆さまの発展、多様性ある社会の発展の貢献に努めております。
当社グループは、DX推進により金融の高度化を図り、利便性の高い非対面型の各種金融サービスを提供することが、地球環境の負荷軽減をはじめとする、サステナブルな社会の発展に直結するものと考え、これからも共通価値の創造(CSV)に取組んでまいります。なお、本項における将来に関する事項は、当連結会計年度の末日現在において判断したものであります。
当社グループは、環境・社会課題を経営上の重要事項として捉え、サステナビリティに関する活動・推進をするための「SDGs・ESG推進連絡会」を四半期に1度開催し、社会・環境問題に対する活動方針や経営戦略について討議し、各部署・グループ会社の活動計画等に反映しておりました。そして、取締役会は、当該連絡会で討議、報告された内容について報告を受け、進捗や課題などを確認しておりました。
2024年度からは、「SDGs・ESG推進連絡会」を刷新して、「サステナビリティ委員会」を設置し、取締役会や経営会議に定期的に報告を行う等、サステナビリティに関する活動・推進の体制を強化してまいります。
ガバナンス体制の詳細については、「

※図は2024年4月1日時点
当社グループは、サステナビリティに関する様々な問題や課題を理解し、当社ビジネスに影響を与える様々な事象をリスクとして正しく認識することに努めています。それらの活動を通じて、ビジネスの機会の創出や拡大の余地についても検証しており、関連する各種商品・サービスの提供や商品開発を行っております。キャッシュカードのかわりにスマートフォンアプリを使ってATMでのお取引ができる「アプリでATM」や環境配慮型住宅への住宅ローン特別優遇金利の取扱いなど、環境負荷を低減する商品・サービスの提供や、当社グループの事業活動に伴う環境負荷を低減するための施策(各種書類の電子化やペーパーレス化、クラウドなどの活用による使用電力の抑制など)を通じて、脱炭素社会への移行に向けた取組みを推進しています。
また、2023年10月には、DXプラットフォームビジネスやカーボンクレジットプラットフォームビジネスを担う子会社として株式会社テミクス・グリーンを設立しました。今後も、中長期的な目線でお客さまや社会の課題やニーズを理解し、気候変動対応や脱炭素社会への移行に貢献するため、持続可能なソリューションを提供する能力を高めて、社会課題解決に向けた取組を強化してまいります。
当社では、収益の追求または損失回避のため、リスク管理を行うことをリスク管理方針で定めています。このリスク管理方針のもとリスク統括部を統括部署として、リスクの特定、評価、運営、モニタリング、コントロールおよび削減の一連の活動を通じてリスクの状況を的確に把握し、事業年度ごとに策定するリスク管理計画をもとに必要な措置を講じております。
2023年度は、リスク管理計画に基づき気候変動による移行リスク、物理的リスクの特定・評価および影響分析を実施しました。今後も気候変動に関するリスク管理の高度化に取組んでまいります。
今後、気候変動に関する具体的な指標及び目標について開示する方針です。人的資本に関する指標と目標は、「(3)人的資本経営に関する取組み・戦略 ④指標と目標」をご参照ください。
当社は、気候変動等の環境問題は重要な課題であると認識し、2023年5月に気候関連財務情報タスクフォース(TCFD)への賛同を表明しております。
気候変動に関するガバナンスは、「(1)サステナビリティ共通 ①ガバナンス」をご参照ください。
当社は、気候変動が金融業界にも影響を及ぼす重要な課題の1つであると認識しており、環境・気候変動への対応を経営戦略における重要課題として位置付け、取組みを進めています。
気候変動に対応する取組みを進めるにあたって、当社では、TCFDが提唱するフレームワークを参考にしたシナリオ分析の手法を用い、2030年時点における外部環境の変化を予測することで、当社の主要事業となる住宅ローンポートフォリオを対象とした分析を実施しました。
◇分析の時点
2030年時点における外部環境の変化を予測し、分析を実施
◇分析の対象
当社の主要ビジネスである住宅ローンポートフォリオ
■気候変動に関するシナリオ分析の手法
気候変動に関するリスクと機会の整理および2030年の社会変化と変化への対応策の検討を踏まえ、当社財務への影響を分析しました。
シナリオは1.5℃シナリオ、4℃シナリオを想定し、それぞれ各種機関によって整理されたシナリオも参照しつつ、パラメータや社会変化の水準についての想定シナリオの内容を整理しました。
◇分析のステップ

◇シナリオの想定

■気候変動のリスクと機会の認識
私たちは環境方針に則って、前述の前提と手法に基づいた気候変動に関するリスクと機会の分析を行い、以下のとおり認識しております。
◇リスク認識
当社主要事業である住宅ローンポートフォリオに着目した場合、気候変動に起因するお客さまの直接的な被災による与信コストの増加(急性リスク)、建材価格高騰による新築価格の上昇を受けたモーゲージ市場の縮小(慢性リスク)、さらに、温暖化対応コストの上乗せや建材価格高騰による住宅の取得コスト上昇等、住宅取得難度の高まりによるモーゲージ市場の縮小や気候変動未対応物件の担保価値毀損による与信コストの増加(移行リスク)等、気候変動によって将来的に様々な影響が想定されます。
また、上記各リスクは同時に、預金のお取引や資金決済等ご利用いただいているお客さまにとっても、短期的/長期的に生活コストの上昇をもたらし、余資運用縮小や支出抑制の観点から、これらのお取引が減少する等の可能性も想定されます。
◇機会認識
気候変動をリスクと捉える一方で、それは同時にお客さまの新たなニーズにお応えできる機会でもあると認識しております。
環境変化による災害対策・新技術導入工事、あるいはそれらに対応済の住宅への転居や建替え、またより被災可能性の低い地域の住宅の取得に際しての資金ニーズが生じることで当社ビジネスの拡大機会が生じる可能性があると認識しております。また、気候変動にあらかじめ配慮・適合した優良住宅販売業者と提携したローン等、お客さまの潜在的なニーズをくみ取った資金提供ができる機会もあると考えられます。
その他、環境に配慮した商品・サービスの提供等、新しい機会を提供できる可能性もあると考えております。
■リスクと機会の評価と対応策
想定される各リスクのうち、財務影響が最も大きいと考えられる住宅ローンビジネスに与える影響を中心に、その他の業務等へ影響するリスクに関して評価を実施しました。2030年の営業利益計画値をベースラインに設定し、財務的影響が大きく、定量評価が可能なリスク・機会項目を1.5℃シナリオと4℃シナリオでそれぞれ試算しました。気候変動に起因するお客さまの直接的な被災による与信コストの増加においては、国土地理院のデータを基に、水害が発生した際に、当社の各担保物件が受ける被害率を計算し、当社事業に与える与信コストの増加額を試算しています。
試算結果としては、財務に特に大きな影響を及ぼすものではない水準に留まることを確認しております。合わせて、個別案件ごとにリスクを計量化したことで地域差などを把握し、今後のリスク管理高度化への活用を検討していきます。
なお、シナリオ分析において抽出・評価されたリスクについては、リスクを低減するための対応策を推進しておりますので、いずれのシナリオにおいてもレジリエンスを有していると想定します。
さらに、リスク低減のための対応策と並行して、気候変動に関する機会を活用した新製品・サービスや新規事業の開発も推進していくことにより、より一層の当社の成長へと繋げてまいります。

気候変動に関するリスク管理は、「(1)サステナビリティ共通 ③リスク管理」をご参照ください。
当社グループでは、2023年度より、GHG排出量の算出を開始しています。今後、GHG排出量の開示を行うとともに、削減目標を設定し、気候変動への対応としてGHG排出量の削減に努めます。また、当社グループの自社契約電力の再エネ化や、オフィスの省エネ対策を進めるとともに、カーボンクレジットプラットフォームビジネス及びDXプラットフォームビジネスを通じ、環境負荷軽減への取組みを進めてまいります。
(3) 人的資本経営に関する取組み・戦略
当社グループは、新規事業への取組み等を含む更なる企業成長に向け、事業戦略の対となるものとして、人的資本戦略を位置付け、コーポレート本部・経営企画部/人事部を中心とし、組織戦略、戦略人事、オペレーション人事が一丸となって経営戦略の実行を加速させていきます。

当社グループは、人材評価制度はもちろん、採用・研修等の全ての人的資本戦略の規範としてコーポレートスローガンから発する以下6つのvalue項目を定め、施策を展開しています。

当社では、性別・国籍・年齢・障がいの有無等に関係なく多様な人材が能力を発揮することが企業価値の向上につながるという考えのもと、これまでも新卒採用・経験者採用等を通じて人材の確保に努めております。女性の積極登用については女性活躍推進法の一般事業主行動計画に目標を定め取組んでいるほか、若手の早期抜擢を行っています。また、システム部門を中心に外国籍人材の採用を積極化しています。
当社では、ダイバーシティ推進に向けた多様な働き方を推進しております。仕事と家庭の両立ができる職場環境づくりにも積極的に取組んでおり、子育て・介護等の家庭事情を踏まえたテレワークの推進、コアタイムのないスーパーフレックスタイム制度を導入しております。男性の育児休業取得推進に向け、賃金補填制度も導入いたしました。
また、2024年度にオフィス環境を一新する拠点移転・集約を実施、誰もが快適で効率的に働ける就労環境を目指して整備を進めています。
エンゲージメントサーベイに基づく人材投資施策を推進しており、社員教育においては社員一人ひとりが現在の業務に必要なスキルを身に着けることはもちろん、主体的・自律的キャリア形成を実現するために、階層別研修やリスキリング研修を拡充させております。また、集合研修に加えオンライン研修や通信教育受講の支援や資格取得の際の手当も行っています。
社員のキャリア形成を支援するため、社内公募制度であるキャリアチャレンジ制度を運営しております。未来の当社を担っていく若手人材についてはジョブローテーションの実施、重要ポジションにも積極的に配置し幹部候補人材の育成を計画的に進めております。

d.ウェルビーイングの取組み
毎月実施するパルスサーベイを通じた社員のコンディションの定点観測や、社員本人だけでなく家族も含めた健康等の状況や配置を含む業務上の直接相談を可能とする業務状況申告制度を整え、人的資本に関するリスクを早期に把握する運営を進めています。ファイナンシャルウェルビーイングの重要性も認識し、ベースアップの実施や、役職に応じて譲渡制限付き株式を支給し会社業績への関心・意識を高めて業務に従事する仕組みを導入いたしました。また、上場をふまえて従業員持株会制度を発足させ、全社員が自社株を保有する仕組みを導入・支援しています。
人的資本経営に関するリスク管理の詳細は、「
(一般事業主行動計画について)
当社グループは、サステナビリティ経営の推進に向けて社員が仕事と子育てを両立させることができ、社員全員が働きやすい環境を作ることにより、すべての社員がその能力を十分に発揮できるようにすることが重要と認識し、女性活躍推進法の一般事業主行動計画において以下の目標を定めています。
2024年3月末時点の結果は「
当社グループでは、経営者が、当グループの事業執行能力や収益目標に重大な悪影響をもたらす可能性があると考えているリスクを定期的に選定し、リスクの状況をモニタリング、コントロールしながら、対応策を講じております。以下の記載における将来に関する事項は、当社グループが判断したものです。
本書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項に関するリスクには、上記「(1) 主要なリスクと対応策」以外に以下のようなリスクがあります。
当社グループの事業及びその将来見通しは国内外の一般的な経済状況、国内の住宅市場や消費者嗜好の傾向等により影響を受けます。そのため、国内外の経済、日本の住宅市場や消費者の消費意欲が停滞・減退する等、当社グループ又は当社グループの取引先や提携先の属する業界の市場環境が悪化した場合には、当社グループの事業、業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
当社グループは、収益の多角化を図るため、決済業務の強化、外貨預金・仕組預金等の拡大を図っておりますが、当社グループの収益においては、住宅ローンの事務取扱手数料及び金利収入が大きな割合を占めております。このため、住宅ローン市場の競争激化による貸出金利の低下、人口減少や住宅価格高騰に伴う住宅需要の低下、住宅ローン減税等の住宅関連政策の変更等による住宅ローン市場の縮小や当社グループの住宅ローン商品の競争力の低下等の要因により、当社グループの住宅ローンの取扱いや収益性が減少した場合には、当社グループの事業、業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
② 事業環境に関するリスク
デジタルバンク事業及びBaaS事業の成長は、オンラインでの金融サービスに対する需要が継続的に拡大するかどうかに左右されます。そのため、当社グループの主要チャネルであるモバイルアプリ・インターネットを利用して銀行取引を行う顧客層が継続的に拡大しない場合、顧客数が伸び悩み、当社グループの事業、業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。また、かかる需要が継続的に拡大しない場合や成長が鈍化する場合には、当社グループの成長見通しや業績に重大な悪影響を及ぼす可能性があります。
さらに、近年スマートフォンを通じて銀行サービスを利用する顧客層が急拡大する等、我が国における個人顧客向け銀行業務の事業環境は急速に変化しております。当社グループはお客さまの維持・獲得のために常に新たな商品やサービスの導入と顧客利便性の向上に努めてまいりますが、かかる新商品や新サービスをお客さまの最新のニーズに合う形で適時に提供できない可能性があり、また、仮に提供できたとしても市場に受け入れられる保証はなく、想定しない新たなリスクをもたらす可能性があります。また、当社グループが、技術革新又は業界や規制の変化に適時・適切に対応できない可能性もあります。これらの結果、当社グループの競争力が低下し、当社グループの事業戦略や将来の成長性、事業、業績、財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
当社は、主に個人顧客向けにオンラインで銀行業務を行うインターネット専業の銀行として、デジタルバンク事業において、住宅ローン商品をはじめとする様々な銀行サービスを提供しております。
当社グループは、国内の他のインターネット専業銀行との間で激しい競合状態にあるほか、これまで店舗を中心に銀行業務を行ってきた大手銀行や地方銀行等も近時個人顧客向け銀行業務やインターネットバンキングへの取組みを強化しております。これらの競合他社は、当社グループより強固な顧客基盤を有し、幅広い商品や多様な接点を提供でき、また、より効果的に技術への投資ができる可能性があります。さらに、一部のノンバンクは、住宅金融支援機構と協働して長期の固定金利住宅ローンを提供しており、当社グループはかかるノンバンクとも競合しております。当社グループはインターネット専業銀行の特性上、基本的に、銀行店舗を有さずにお客さまとは主にインターネットを通じて接することとなるため、お客さまとの対面での取引その他の接点は限定的となります。そのため、自社店舗やより強固な顧客基盤、多様な顧客接点を有する他の銀行又は金融サービス事業者と比べて、対面での接点を希望するお客さまを獲得することが困難となる可能性があります。
また、BaaS事業においても、競合他社が当社グループのBaaS事業と類似のサービスや機能を導入、または第三者との提携を利用して顧客基盤を拡大する場合、FinTech企業等が新規技術を活用して銀行業やその他の金融サービス事業に新たに参入するような場合には、競争がさらに激化する可能性があります。
当社グループは、デジタルバンク事業及びBaaS事業のいずれにおいても、テクノロジーの先進性が他行に劣後しないことが重要であると認識しており、FIDO認証を含むユーザーインターフェース・ユーザーエクスペリエンス(UI/UX)の向上、店舗を有しないこと等によるコスト競争力の向上、BaaS事業のさらなる展開、将来的なデータの利活用等の取組みに努めてまいりますが、このような取組みにもかかわらず、当社グループが、商品・サービスの質、金利や手数料、システムの信頼性・利便性等において競合他社に対する競争優位を確保できなかった場合には、当社グループの事業、業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
④ 中期事業目標に関するリスク
当社グループは、日々変化していく市況に対応し、持続的な成長を遂げていくため中期事業目標を策定し、その達成を目的とする各種施策を遂行しております。かかる中期事業目標の策定においては、社会経済環境、金利動向、為替動向、競争環境、規制環境、技術革新、その他経営環境等について一定の前提を置いており、かかる前提には、例えば、インターネット環境、デジタル化促進の継続、国内新築住宅供給水準の継続等が含まれます。しかしながら、これらの前提が現実と異なる場合には、当社グループの中期事業目標の達成が困難となり、当社グループの事業、業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
⑤ 新規事業参入に伴うリスク
当社グループは、金融業における近未来領域の開拓と、革新的な事業モデルの追求を経営理念に掲げ、商品・サービスの拡充、業務範囲の拡大、他社との提携の推進等に取り組んでおります。2022年8月に設立した株式会社テミクス・データにおける新たなデータマーケティングや広告配信ビジネス(金融データプラットフォームビジネス)、2023年10月に設立した株式会社テミクス・グリーンと2023年12月に持分法適用関連会社とした株式会社マプリィを中心に推進しているDXプラットフォームビジネス並びにカーボンクレジットプラットフォームビジネスを含め、これらの施策の展開により、従来経験がないか、若しくは予想されなかったリスク又は複雑なリスクに晒される可能性があります。
また、当社グループが新規事業への参入に際し、魅力的な事業分野並びに消費者の嗜好及び金融サービス市場の今後のトレンド等を適切に見極められずに、新規事業への参入により当初想定した利益を得られなかった場合、投下資本を回収することができず、当社グループの事業、業績及び財政状態に重大な悪影響を及ぼす可能性があります。
当社は、銀行法第4条第1項の規定に基づき、銀行業を営むことについての免許(免許書番号金監第2312号)の交付を受け、預金、為替、貸付業務をはじめとする種々の業務を営んでおります。そのため、当社は銀行業者として銀行法に基づき自己資本比率規制等様々な規制を遵守する必要があるほか、金融庁により広範な監督を受けております。また、銀行法第26条において業務の停止等及び同第27条において免許の取消し等の要件が定められており、当該要件に該当した場合、業務の停止、免許の取消し等の処分を命じられる可能性があります。
現時点で、当社はこれらの事由に該当する事実はないと認識しておりますが、将来、何らかの事由により業務の停止、免許の取消し等の処分を命じられた場合には、当社グループの事業、業績及び財政状態に重大な悪影響を及ぼす可能性があります。
当社グループは、事業活動を行う上で、銀行法以外にも、金融商品取引法、預金保険法、犯罪による収益の移転防止に関する法律、外国為替及び外国貿易法、個人情報の保護に関する法律をはじめとする様々な法律、規制、政策、実務慣行、会計制度及び税制等の法令諸規則を遵守する必要があります。これらの規制への違反が生じた場合にも、免許の取消し等の行政処分や調査手続等のほか、お客さまや提携先からのクレームや訴訟提起を受け、また、資金調達や事業戦略の履行に支障をきたす可能性があります。
また、これらの法令諸規則は将来において新設・変更・廃止される可能性があり、その内容によっては、商品・サービスの提供その他の事業活動に制約が生じ、又は新たなリスク管理手法の導入その他の体制整備が必要となる等により、費用の増加や収益性の低下、またこれによる一部の事業からの撤退につながる可能性もあります。これらの結果、当社グループの事業、業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
当社グループは、「2 サステナビリティに関する考え方及び取組み」のとおり、環境・社会課題を経営上の重要課題として捉え、取締役会の関与のもとサステナビリティ経営の推進に取組んでおります。
また、当社では、収益の追求または損失回避のため、リスク管理を行うことをリスク管理方針で定めています。このリスク管理方針のもとリスク統括部を統括部署として、リスクの特定、評価、運営、モニタリング、コントロール及び削減の一連の活動を通じてリスクの状況を的確に把握し、事業年度ごとに策定するリスク管理計画をもとに必要な措置を講じております。
2023年度は、リスク管理計画に基づき気候変動による移行リスク、物理的リスクの特定・評価及び影響分析を実施しました。今後も気候変動に関するリスク管理の高度化に取組んでまいります。
しかしながら、気候変動により想定以上の影響が生じた場合、当グループの対応が遅れた場合には、気候変動に関するリスクが顕在化し、当社グループの事業、業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
当社及び当社グループは「銀行法第14条の2の規定に基づき、銀行がその保有する資産等に照らし自己資本の充実の状況が適当であるかどうかを判断するための基準(平成18年金融庁告示第19号)」に基づき自己資本比率を算定しており、国内基準行である当社及び当社グループは4%以上の自己資本比率の維持が求められています。
しかしながら、自己資本比率は本書の「事業等のリスク」に記載している各種リスクの顕在化等を主な要因として低下する可能性があり、その場合は資金調達コストの上昇等により、当社グループの事業、業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。また、仮に自己資本比率が基準値の4%を下回った場合、早期是正措置により、金融庁長官から業務の全部又は一部停止等を含む様々な命令を受けることとなり、その結果、当社グループの事業、業績及び財政状態に著しい悪影響を及ぼす可能性があります。
当社グループは、以下のとおり、貸出資産に係る信用リスクの増加に対する予防管理やリスク分散に向けた取組みを進め、信用リスク管理態勢の強化を図っておりますが、それぞれに掲げるようなリスクが生じる可能性があります。
当社グループの個人向け貸出金は、主として住宅ローンでありますが、個別の与信額は多額ではなく、不動産担保・団体信用生命保険等によりリスクの分散された貸出金であり、また、貸出にあたっては十分な審査を実施し、自己査定等により与信の事後管理も行っております。
しかしながら、景気動向、金利動向、不動産価格、雇用情勢等の各種経済条件の変動、債務者の経済状態、大規模な自然災害の発生等により、不良債権や与信関連費用が増加し、当社グループの業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
当社では、個人向け貸出金の一部に対して保証会社による保証を受けております。これらの貸出金については、自己査定に基づき、保証会社の保証能力を検証しております。
しかしながら、景気動向、金利動向等の各種経済条件の変動等により、保証会社の信用状況が悪化し保証履行能力が低下した場合、与信関連費用が増加し、当社グループの業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
当社では、住宅ローンやオートローン、リース料債権等を裏付とした証券化・流動化商品への投資を行っております。投資に際しては、投資金額の上限や決裁権限の設定、各種マニュアルの策定等の投資の枠組みを設定し、十分な審査を実施しており、また、投資した商品に対しては、裏付債権の状況、格付の動向、市場流動性、時価等について、随時・月次及び四半期毎の定期的なモニタリングを実施しております。
しかしながら、世界的な金融市場の動向、景気動向、金利動向、格付の動向等の各種経済条件の変動、法規制や会計基準の変更、地震等の自然災害の発生等により、当該裏付資産の資産価値が低下した場合や信用力が悪化した場合等により当該証券化・流動化商品の価格が低下した場合には、当社グループの業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
当社は格付機関により投資適格と評価されている債券等への投資を行っております。投資に際しては、投資金額の上限や決裁権限の設定、各種マニュアルの策定等の投資の枠組みを設定し、十分な審査を実施しており、また、投資した債券等に対しては、時価、発行体の信用状況、格付の動向、市場流動性等について、随時、月次及び四半期毎の定期的なモニタリングを実施しております。
しかしながら、世界的な金融市場の動向、景気動向、金利動向、格付の動向等の各種経済条件の変動等により、債券発行体の信用力が悪化するあるいは債券の市場流動性が低下する等の状況が生じた場合、当社グループの業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
当社グループは貸出先の信用状況の他、差し入れられた担保の価値変動や経済状況等を必要に応じて考慮し、貸倒引当金を計上しております。
しかしながら、景気動向、金利動向等の各種経済条件の変動、貸出先の信用状況の変化、担保価値の下落、その他予期せざる理由により、貸倒引当金の積み増しが必要となり、当社グループの業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。また、実際の貸倒費用が貸倒引当金計上時点における見積りと乖離する恐れがあり、その場合も、当社グループの業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
当社は、現時点においては資金源として預金と借入金に基本的に依存しており、また、流動化証券のポートフォリオも保有しています。特に、当社においては、資産の約半分を満期が長い住宅ローンが占める一方で、資金源の約7割を流動性預金が占めており、お客さまがスマートフォンを操作することで簡単に預金を引き出せることの結果として、安定的な資金繰りを維持することが困難になる可能性が他行よりも高いと認識しております。そのため、安定的な資金繰りを確保することを目的として、預金・貸出金等の入出金ギャップから発生する資金の不足に対しては、限度額の設定を行い、事前に把握することで、流動性リスクの適切なコントロールに努めております。また、預金・貸出金等の動向の調査、及び当社の流動性に影響を与える複数の指標のモニタリング等により、資金繰りの悪化に繋がる兆候の把握に努めております。
しかしながら、大規模な金融システム不安が発生し当社グループの保有資産に係る大幅な価格の下落や市場の流動性の縮小が生じた場合、当社グループの財政状態や経営成績が悪化した場合、又は当社グループに対する格付けの引下げや悪意を持った風評等が生じた場合等には、通常より著しく高い金利による資金調達を余儀なくされるか、市場から必要な資金の調達が困難になるか、又は想定の範囲を超える預金が流出し、資金繰りに支障が生じる等の可能性があります。その結果、当社グループの事業、業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
当社グループは、預金・為替・貸出等の銀行業務における事務処理、各種の内部管理業務を行ううえで、事務処理・内部管理体制の整備、事務処理状況の点検等の事務リスク管理を通じて円滑かつ適正な事務処理・内部管理を行っており、役職員による事務処理上の過誤や内部不正等の潜在的な事務リスクの顕在化を未然に防止するよう努めております。
しかしながら、仮にこうした事務リスク管理が奏功せずに事務リスクが顕在化し、役職員による重大な事務過誤や内部不正等が発生した場合には、損失の発生、行政処分・罰則の適用や当社グループ及びそのサービスに対する信頼の低下等により、当社グループの事業、業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
当社グループは、上記のとおりリスク管理の方針及び手続を規定し、リスク管理の強化に努めております。
しかしながら、新しい分野への業務進出や急速な業務展開、外部環境の急激な変化等の要因により、当社グループのリスク管理の方針及び手続が有効に機能しない可能性があります。また、当社グループのリスク管理の方針及び手続の一部は、過去の経験・データに基づいて構築されたものもあること、将来の当社グループの事業に関し生じる様々なリスクの顕在化を正確に予測し、対処することには限界があることもあり、結果的に当社グループのリスク管理の方針及び手続が有効に機能しない場合があります。こうした当社グループのリスク管理の方針及び手続が有効に機能しない場合には、当社グループの事業、業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
当社グループは、業務を遂行するうえで、様々な業務の外部委託を行っております。当社グループは独自の銀行店舗・ATM網を有していないため、他の銀行とATMの利用に係る契約を締結し、お客さまに口座の入出金の機能を提供しているほか、ITシステムの保守・更新、AWSのクラウドサービスの利用、銀行代理業者を通じた住宅ローンの販売、バックオフィス業務等、他社の様々なサービスに依存しております。
外部委託を行うにあたっては、リスク統括部を統括部署として外部委託管理規則及び外部委託先管理要領を定め、外部委託開始前のリスクチェック及び委託先決定方法や委託開始後のモニタリング等について規定しております。外部委託先選定にあたっては、外部委託承認の必要基準、委託先選定基準等を定めており、委託部署が基準の充足度を確認の上、外部委託管理統括責任者(リスク統括部担当役員)の承認を経て、委託先を決定しております。また、外部委託開始後のモニタリングでは、定例の年次モニタリング及び必要に応じた随時のモニタリングにおいて、リスクチェックを実施しております。以上の管理体制により、委託先の適格性検証や、委託期間中の継続的な委託先管理、問題発生時の対策策定等、体制整備に努めておりますが、委託先が効率的かつ低コストな方法でサービスを提供し続け、また、当社グループが求めるとおりにそのサービスを拡充できる保証はありません。
委託先において委託業務の遂行に支障・遅延をきたす事態となった場合、委託先における事務過誤等が発生した場合、委託先において情報漏洩事故が発生した場合、又は委託先との関係悪化等を理由に契約関係が解消された場合等において、当社グループが速やかに代替策を講じることができなかった場合等には、当社の事業運営に悪影響を及ぼすほか、これに対応するための費用の増加、当社グループ及びそのサービスに対する信頼の低下等につながり、その結果当社グループの事業、業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
当社グループは、銀行法、金融商品取引法をはじめとする国内外の法令等を遵守すること、また個人情報保護法、行政手続における特定の個人を識別するための番号の利用等に関する法律等に基づき顧客情報等を適切に保護することが求められております。当社グループでは、リスク統括部が情報管理における責任部署として、情報セキュリティ管理規程(セキュリティポリシー)、情報セキュリティ管理規則(セキュリティスタンダード)等情報セキュリティに関する各種規定類を策定しております。また、顧客情報を格納するフォルダを通常業務で利用するフォルダと明確に分離しデータの移動を制限すること、及び外部への情報の持ち出し時に上長による承認を必須とする等、適正な業務フローやシステム構築、各種マニュアル類に基づく管理態勢の構築及び情報管理やセキュリティ対応等の厳格なルール運用を通じ、情報漏洩や紛失リスク等の低減に努めております。
しかしながら、上記の態勢整備にも関わらず、内部要因・外部要因に起因する事務過誤・システム障害、不正アクセスやコンピューターウイルスへの感染等により、当社及び当社グループが利用する外部業者や提携先において、顧客情報をはじめ当社グループの重要情報が漏洩・紛失した場合には、当社及び当社グループに対する業務改善命令や業務の停止を含む行政処分、罰則の適用や当社グループ及びそのサービスに対する信頼の低下等により、当社グループの事業、業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
当社グループの本社、ITセンターやコンピューターネットワークその他の設備について、地震、台風、洪水、津波、竜巻、豪雨、大雪、火山活動等の自然災害や火災、停電、電力不足をはじめとするその他の災害、異常気象、気候パターンの変化等の気候変動、テロリズムその他の犯罪行為、感染症の流行その他様々な事象により、システム障害や設備の利用不能等が発生した場合には、物理的・経済的な損害が発生するほか、当社グループの事業運営に重大な悪影響が生じるおそれがあります。当社グループでは、有事に備えて、業務運営上、有事の際の対応手順等の規定化、データのバックアップ、定例的な訓練の実施等の適切なイベントリスク管理を行っておりますが、仮に想定をはるかに上回る大規模な自然災害やシステム障害等の事態が発生し、結果的にこうしたイベントリスク管理が機能しなかった場合には、業務の停止及びそれに伴う損害賠償、行政処分、罰則の適用や、当社グループ及びそのサービスに対する信頼の低下等が生じること等により、当社グループの事業、業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
当社グループの銀行業務は主に個人のお客さまを対象としていることから、既存のお客さまの維持や新規のお客さまの獲得に際しブランド力が極めて重要であると考えています。当社グループに対する否定的な風評により当社グループのブランドや評判が損なわれる可能性があるため、当社グループは、当社グループ及び当社株主等に関して事実に即した内容の報道等がなされているかを随時確認し、適切でない報道等があった場合の対応策を含め、風評リスクの管理態勢を構築しております。
しかしながら、上記のような管理態勢にも関わらず、一般的に報道・風評・風説等は、その内容の信憑性の度合いに関わらず、近年のソーシャルメディアの急激な普及も背景に、インターネット等を通じて、短時間に不特定多数の方々に流布されやすいこと、また、インターネット等の匿名性から発信者に対して当社グループが十分に責任を追及できない可能性があることから、こうした誤った報道等が当社グループ及びそのブランドに対する信頼の低下等をもたらし、既存のお客さまの維持、新規のお客さまの獲得又は優秀な人材の確保・定着に重大な支障が生じる結果、当社グループの事業、業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
当社グループでは、銀行業を営む金融機関として、法令諸規則を遵守し、また、訴訟その他の法的手続に関するリスクを十分に認識し、業務遂行にあたっております。
しかしながら、業務遂行にあたり当社グループの債務不履行、法令等の違反、知的財産権の侵害等を理由に損害賠償請求等の訴訟等を提起される可能性があり、その結果によっては、多額の損害賠償等の責任を負い、又はこれに対応するために多額の費用が生じるほか、当社グループ及びそのサービスに対する信頼の低下等が生じること等により、当社グループの事業、業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
SBIホールディングス株式会社及び三井住友信託銀行株式会社は現在当社株式をそれぞれ34.1%ずつ保有し、当社の筆頭株主となっております。当社は、意思決定の透明性・公正性を確保するため、過半数が独立社外取締役で構成される任意の指名・報酬委員会を設置する等、独立社外取締役に中心的な役割を担わせることで、取締役会による業務執行の監督機能を強化しておりますが、両株主は、当社の役員の選解任やその他株主の承認を必要とする事項や、当社の株主総会決議の結果に重要な影響を及ぼす可能性があり、また、両株主の利益は、当社の他の株主の利益と異なる可能性があります。
両株主及びそれらの関連会社と取引を行うにあたっては、関連当事者等取引管理規程に基づき、関連当事者等と取引を行うことの妥当性について、個別取引毎に経営会議又は取締役会等で確認を行っております。毎事業年度末時点で該当取引を継続する場合にも、同様に事業上の必要性や取引条件の妥当性等を確認し、取締役会の承認を得ております。
当社株式の流通株式数及び流通株式比率は投資家による売買を通じて変動することとなりますが、今後においても取引所が定める形式要件を充足し続けるために、流動性確保に努める方針としております。当社の流通株式比率は、取引所が定める形式要件に近い水準でありますが、事業規模・売上高及び利益額・利益の成長を通じた株主層の拡大等により流通株式比率の向上に努めていきます。
また、両株主が当社株式を市場内外で売却する場合又はその懸念が市場において認識される場合、当社株式の需給の悪化又はそのおそれにより、当社株式の市場価格に悪影響を及ぼす可能性があります。
当社グループと両株主との関係については以下のとおりであります。
<SBIホールディングスグループ>
当社はSBIホールディングス株式会社の持分法適用会社であり、同社を構成するグループにおいて、グループの金融サービス事業における中核会社の1つとして位置付けられております。SBIホールディングスグループと当社との関係の詳細は以下のとおりです。
当社役員のうち1名は、2024年6月19日付で当社の株主であるSBIホールディングス株式会社の専務執行役員に就任予定です。
今後、何らかの事情により当社とSBIホールディングス株式会社との関係に変化が生じた場合、これらの人的関係も変動し、当社グループの事業遂行に影響を与える可能性があります。
当社は、SBIホールディングス株式会社のグループ企業である株式会社SBI証券を銀行代理業者として、株式会社SBI証券に当社円普通預金口座開設等の媒介業務を委託しており、ハイブリッド預金取引等により、当社グループのお客さま獲得における主要経路の一つとなっております。また、2022年1月27日より、株式会社SBI証券との間でNEOBANKに関する業務提携契約を締結し「NEOBANK®」サービスの提供を行っております。2024年3月末の当社口座保有者約726万人のうち、SBIハイブリッド預金の利用者数は合計420万人を超え、また2024年3月末の当社円貨預金残高約9.1兆円のうち、SBIハイブリッド預金残高は約3.6兆円と39.2%を占めております。今後、「NEOBANK®」サービスの進捗状況等によっては、当社グループの事業、業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
当連結会計年度におけるSBIホールディングスグループとの取引金額が10億円を超える取引は以下のとおりです。
(注)1 NEOBANKサービスに係る手数料受取り控除後の金額です。
(注)2 配当金受取り控除後の金額です。
SBIホールディングス株式会社が2021年12月に連結子会社とした株式会社SBI新生銀行は、銀行業を主業としており、預金・貸出(住宅ローン、カードローン等)・決済業務において当社と競合する分野が存在します。SBIホールディングス株式会社の子会社である株式会社SBI証券及びSBIマネープラザ株式会社は当社を所属銀行とする銀行代理業者でありますが、株式会社SBI証券は2022年8月より、SBIマネープラザ株式会社は2023年1月より株式会社SBI新生銀行の銀行代理業者として業務を開始しました。上記提携開始後の2024年3月末時点では、株式会社SBI証券及びSBIマネープラザ株式会社を通じて獲得される当社の預金口座数や住宅ローンの実行額の顕著な変動は確認されておりませんが、今後の取組み次第で変動が生じる可能性があります。
また、2023年3月1日から、株式会社SBI証券が株式会社三井住友銀行を所属銀行とする銀行代理業者として同行の口座開設等の契約締結の媒介を行うこと等を含む業務提携を開始しておりますが、かかる提携の進捗状況等によっては、株式会社SBI証券を通じて獲得される当社の預金口座数や住宅ローンの実行額が減少する可能性があります。
上記の他、当社への出資比率等の変更を含め、当社グループとSBIホールディングスグループの各企業との関係に変化が生じ、関係が希薄化した場合には、同社グループとの取引関係の全部若しくは一部が解消される等の見直しがなされ、競合関係が生じ、同社グループの商号が使用できなくなる可能性があります。これらの事象が生じた場合には、当社グループの事業、業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
<三井住友トラスト・グループ>
当社は三井住友トラスト・グループ(三井住友トラスト・ホールディングス株式会社並びにその子会社及び関連会社をいう。以下同じ。)のグループ企業である三井住友信託銀行株式会社の持分法適用関連会社であり、同社を構成するグループにおいて、インターネットバンキングサービスを提供する戦略的パートナーに位置付けられております。三井住友トラスト・グループと当社との関係の詳細は以下のとおりです。
当社役員のうち1名は、本書提出日現在において、当社の株主である三井住友信託銀行株式会社の取締役常務執行役員と三井住友トラスト・ホールディングス株式会社の執行役常務兼執行役員CISOと当社取締役を兼務しております。また、当社グループでは、三井住友信託銀行株式会社から出向社員の受け入れも行っております。今後、何らかの事情により当社グループと三井住友トラスト・グループの各企業との関係に変化が生じた場合、これらの人的関係も変動し、当社グループの事業遂行に影響を与える可能性があります。
当社は、三井住友トラスト・グループの各企業より経営管理面における有形無形の支援を得ております。2012年1月より提供しておりました三井住友信託銀行の銀行代理業者となり、インターネット上で受け付けを行う「ネット専用住宅ローン」については、2023年12月22日に取扱いを終了しましたが、2023年9月29日より、三井住友信託銀行株式会社との間で「NEOBANK®」サービスの提供を開始しております。これに伴い、三井住友信託銀行が当社の銀行代理業者としてインターネットを通じて当社の住宅ローンや預金等を販売しております。
上記の他、当社への出資比率等の変更を含め、当社グループと三井住友トラスト・グループとの関係に変化が生じ、関係が希薄化した場合には、同社グループとの取引関係の全部若しくは一部が解消される等の見直しがなされ、競合関係が生じ、同社グループの商号が使用できなくなる可能性があります。これらの事象が生じた場合には、当社グループの事業、業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
当連結会計年度の「資金利益」は、住宅ローン等を中心とした個人向けローンが堅調に推移したなか、主要国の市場金利上昇を背景に資金運用収益が増加したこと等により、前連結会計年度比26億円増加し434億円となりました。「役務取引等利益」は、住宅ローン実行による貸出事務手数料や決済関連手数料といった役務取引等収益が寄与し、同41億円増加し198億円となりました。「その他業務利益」は、金融派生商品収益や外国為替売買益の増加等により、同29億円増加し94億円となりました。以上の結果、「業務粗利益」は、同97億円増加の726億円となりました。
一方、「営業経費」につきましては、人件費や広告宣伝費、継続的なシステム投資に係るシステム関連費用の計上等により、同49億円増加し374億円となりました。また、与信関連費用は、貸倒実績率の低下により同4億円減少し4億円にとどまり、株式等関係損益は1億円改善しました。
以上の結果、経常利益は同54億円増加し348億円となり、特別損益に、当社子会社の保証事業売却による事業譲渡益15億円を計上したことから、親会社株主に帰属する当期純利益は、同49億円増加し248億円となりました。
(注) 1.業務粗利益=(資金運用収益-(資金調達費用-金銭の信託運用見合費用))
+(役務取引等収益-役務取引等費用)+(その他業務収益-その他業務費用)
2.与信関係費用=貸倒引当金繰入額+貸出金償却+不良債権売却損
3.金額が損失又は減益の項目には△を付しております。
(注) 1.一般事業会社の売上高に代えて、業務粗利益を記載しております。
2.業務粗利益には、資金運用収支、役務取引等収支及びその他業務収支を含んでおります。
3.損失の場合には、金額に△を付しております。
4.「経費等」には、連結財務諸表上の営業経費のほか、与信関係費用が前連結会計年度911百万円、当連結会計年度443百万円、株式等関係損益が前連結会計年度△171百万円、当連結会計年度-百万円等が含まれております。なお、与信関係費用、株式等関係損益等は「デジタルバンク事業」に含めております。
5.当社は、内部管理上、資産及び負債をセグメントに配分していないため、報告セグメント別の資産及び負債を記載しておりません。
6.従来、「BaaS事業」に含めていたお客さまご自身に利用同意をいただいたデータを活用したデータマーケティング・広告等のビジネス、林業・林政DX、カーボンクレジットに係る支援ビジネスなどの非金融業務については、当連結会計年度より本格的に事業開始したことから、経営上の管理区分を変更し、独立した報告セグメント「THEMIX事業」として記載しております。なお、前連結会計年度のセグメント情報については、変更後の区分により作成したものを記載しております。詳細については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 注記事項 (セグメント情報等) セグメント情報 1.報告セグメントの概要 (報告セグメントの変更等に関する事項)」をご参照ください。
7.報告セグメント別の経営成績をより適切に反映させるため、2024年1月以降の住宅ローン実行手数料の配賦基準を精緻化し、測定方法を変更しております。この変更により、従来の測定方法によった場合と比較して、デジタルバンク事業の業務粗利益と経常利益はそれぞれ284百万円増加し、BaaS事業の経費等が同額増加し、経常利益は同額減少しております。
報告セグメントごとの業績の主な増減要因は次のとおりであります。
(デジタルバンク事業)
デジタルバンク事業については、当社の主力事業である住宅ローンの実行による貸出事務手数料やキャッシュレス化の進展による決済関連手数料といった役務取引等収益の増加や、海外の市場金利上昇を背景とした資金利益の増加などが寄与し、業務粗利益が655億円(前年同期比65億円増加)、広告宣伝費等の増加や事務関連の業務委託費用の増加等の結果として、経費等は342億円(同33億円増加)、経常利益は312億円(同32億円増加)となりました。
(BaaS事業)
BaaS事業については、銀行本体での口座数増加によるアカウント手数料増加や住宅ローンの実行による手数料増加の他、当社の連結子会社であるネットムーブ株式会社の業績が好調であったことから、業務粗利益が88億円(前年同期比40億円増加)、継続的なシステム投資に加え「NEOBANK®」サービスに係る広告宣伝費等により経費等は52億円(同17億円増加)、経常利益は36億円(同22億円増加)となりました。
(THEMIX事業)
THEMIX事業については、事業立ち上げ期のため費用支出が先行していることから、経常損失は92百万円となりました。
当連結会計年度における資産負債の状況につきまして、総資産は前連結会計年度末比1兆9,974億円増加し10兆6,764億円となりました。このうち、現金預け金につきましては同5,651億円増加し1兆6,655億円、貸出金につきましては住宅ローン等への積極的な取組みにより同1兆3,778億円増加し7兆9,727億円、有価証券は概ね横ばいで推移し5,625億円となりました。一方、負債は同1兆9,774億円増加し10兆5,248億円となりました。このうち預金につきましては、円貨流動性預金を中心に同1兆4,877億円増加し9兆4,631億円となりました。また、借用金は5,000億円増加し8,000億円となりました。純資産は親会社株主に帰属する当期純利益248億円を計上したことや、その他有価証券評価差額金及び繰延ヘッジ損益の変動を要因として、同199億円増加し1,516億円となりました。
2024年3月31日現在の貸出金は、主力事業である住宅ローンの実行額が回収額を上回り、前年比1兆3,778億円増加の7兆9,727億円となりました。なお、増加の主要因である住宅ローン残高は、同1兆3,268億円増加の6兆6,454億円となっております。
2024年3月31日現在の金融再生法開示債権は前年比1兆3,780億円増加の7兆9,745億円となりました。
(注) 上記は、「金融機能の再生のための緊急措置に関する法律」に基づくものであります。
2024年3月31日現在の有価証券は前年比37億円増加の5,625億円となりました。
2024年3月31日現在の預金は顧客増加に伴い伸長し前年比1兆4,877億円増加の9兆4,631億円となりました。
(注) 1.流動性預金とは普通預金であります。
2.定期性預金とは定期預金であります。
2024年3月31日現在の純資産の部合計は、親会社株主に帰属する当期純利益の計上を主因として、前年比199億円増加の1,516億円となりました。
当社は、国内基準を適用のうえ、信用リスク・アセットの算出においては基礎的内部格付手法を採用しております。
2024年3月31日現在の「連結自己資本比率」は7.77%となりました。
(注) 連結自己資本比率については、「銀行法第14条の2の規定に基づき、銀行がその保有する資産等に照らし自己資本の充実の状況が適当であるかどうかを判断するための基準(平成18年金融庁告示第19号)」に定められた算式により算出しております。
当連結会計年度のキャッシュ・フローの状況につきましては、営業活動によるキャッシュ・フローは、住宅ローンを中心とした貸出金が増加しましたが、顧客基盤の拡大に伴う預金の増加並びに借用金の増加により5,511億円の収入(前連結会計年度は9,497億円の支出)、投資活動によるキャッシュ・フローは、有価証券の売却・償還等により153億円の収入(同3,127億円の収入)、財務活動によるキャッシュ・フローは、中間配当などの支払により13億円の支出(同299億円の支出)となり、現金及び現金同等物の当連結会計年度末残高は、前連結会計年度末比5,651億円増加し、1兆6,655億円となりました。
当社グループの経営成績に影響を与える大きな要因としては、国内外の金利動向が挙げられますが、なかでも当社の資金調達コスト・運用収益に最も影響を与えるのは国内の金利動向であると考えております。こうした認識の下、当社はALM委員会を設置し、金利・為替の動向によって、資産・負債の価値及びこれらから生み出される収益が変動するリスク(市場リスク)と資金繰りリスク(流動性リスク)をモニタリングするとともに、上記のリスクをふまえた預金・貸出金利コントロールやヘッジ取引などを機動的に実施していく体制を整備しております。
お客さまからお預かりした円貨及び外貨預金を基に貸出や有価証券等への投資を行うことを主業とする当社の運用方針は、原則として各通貨の預金による調達資金が各々の運用残高を上回る運営を原則としており、為替リスクを極小化した運用ポートフォリオを常時構築することとしております。
なお、取締役会においては、各通貨の流動性リスクの他、リスクカテゴリー毎のリスク量から算出した統合リスク量とストレスシナリオに基づく想定損失額のモニタリングを行っており、その合算値がリスク資本の範囲内に収まることを四半期毎に確認しております。
当社グループは、事業の成長性と効率性を評価する客観的な指標として、連結経常利益、経費率(OHR:業務粗利益に占める営業経費の比率)、連結自己資本ROE(親会社株主に帰属する当期純利益/自己資本)や規制上の自己資本比率といった資本関連指標を重視しております。
2023年3月期の連結経常利益は293億円、OHRは51.7%、連結自己資本ROE(親会社株主に帰属する当期純利益/自己資本)は14.3%、規制上の連結自己資本比率は8.95%であり利益の着実な成長と業務効率・財務健全性を意識した運営の成果となりました。また、2024年3月期の連結経常利益は348億円、OHRは51.5%、連結自己資本ROEは17.5%、規制上の連結自己資本比率は7.77%であり、引続き業務効率・財務健全性を維持しつつ利益の着実な成長を果たしております。今後も利益ベースでの着実な成長と業務効率を意識した態勢を構築・維持することにより事業を推進してまいります。資本については、資本の有効活用の観点から、収益性の高い分野への資本配賦や効率的な利益獲得を追求しつつ、財務の健全性の観点から、国内基準行の規制水準である4%に適切な資本バッファーを加えた水準を維持いたします。
当グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成しております。この連結財務諸表を作成するにあたって、資産、負債、収益及び費用の報告額に影響を及ぼす見積り及び仮定を用いておりますが、これらの見積り及び仮定に基づく数値は実際の結果と異なる可能性があります。
連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積りに用いた仮定のうち、重要なものについては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項 (重要な会計上の見積り)」に記載のとおりであります。
当連結会計年度の資金運用収支は434億円、役務取引等収支は198億円、その他業務収支は94億円となりました。これを国内・国際業務部門別にみますと、国内業務部門は、資金運用収支は412億円、役務取引等収支は194億円、その他業務収支は49億円となりました。一方、国際業務部門では資金運用収支は21億円、役務取引等収支は3億円、その他業務収支は44億円となりました。
(注) 1.国内業務部門は円建諸取引、国際業務部門は外貨建諸取引(外貨預金等)であります。
ただし、円建対非居住者取引は国際業務部門に含めております。(以下の各表も同様であります。)
2.資金調達費用は金銭の信託運用見合費用(前連結会計年度4百万円、当連結会計年度4百万円)を控除して表示しております。
3.資金運用収益及び資金調達費用の合計欄の上段の計数は、国内業務部門と国際業務部門の間の資金貸借の利息であります。
4.国内業務部門の資金調達費用と国際業務部門の資金運用収益には相互に相殺される金利スワップ利息(前連結会計年度-百万円、当連結会計年度1,235百万円)が含まれております。
当連結会計年度の資金運用勘定につきましては国内・国際業務部門合計の平均残高が8兆7,271億円、利回りが0.62%となりました。また資金調達勘定につきましては平均残高が9兆4,390億円、利回りが0.11%となりました。これを国内・国際業務部門別にみますと、国内業務部門は、資金運用勘定の平均残高が8兆3,985億円、利回りが0.53%となりました。また資金調達勘定の平均残高が9兆1,112億円、利回りが0.03%となりました。一方、国際業務部門では、資金運用勘定の平均残高が3,374億円、利回りが3.25%となりました。また資金調達勘定の平均残高が3,365億円、利回りが2.61%となりました。
(注) 1.資金運用勘定は無利息預け金の平均残高(前連結会計年度825,855百万円、当連結会計年度835,953百万円)を、資金調達勘定は金銭の信託運用見合額の平均残高(前連結会計年度14,070百万円、当連結会計年度13,653百万円)及び利息(前連結会計年度4百万円、当連結会計年度4百万円)を、それぞれ控除して表示しております。
2.( )内は国内業務部門と国際業務部門の間の資金貸借の平均残高及び利息(内書き)であります。
3.平均残高は原則として日々の残高の平均に基づいて算出しておりますが、連結子会社については、半年毎の残高に基づく平均残高を利用しております。
4.資金調達勘定には国際業務部門の資金運用勘定と相殺される金利スワップ利息(前連結会計年度-百万円、当連結会計年度1,235百万円)が含まれております。
(注) 1.資金運用勘定は無利息預け金の平均残高(前連結会計年度-百万円、当連結会計年度-百万円)を控除して表示しております。
2.( )内は国内業務部門と国際業務部門の間の資金貸借の平均残高及び利息(内書き)であります。
3.平均残高は原則として日々の残高の平均に基づいて算出しております。
4.資金運用勘定には国内業務部門の資金調達勘定と相殺される金利スワップ利息(前連結会計年度-百万円、当連結会計年度1,235百万円)が含まれております。
(注) 1.資金運用勘定は無利息預け金の平均残高(前連結会計年度825,855百万円、当連結会計年度835,953百万円)を、資金調達勘定は金銭の信託運用見合額の平均残高(前連結会計年度14,070百万円、当連結会計年度13,653百万円)及び利息(前連結会計年度4百万円、当連結会計年度4百万円)を、それぞれ控除して表示しております。
2.平均残高は原則として日々の残高の平均に基づいて算出しておりますが、連結子会社については、半年毎の残高に基づく平均残高を利用しております。
当連結会計年度の役務取引等収益は国内・国際業務部門合計で538億円となりました。これを国内・国際業務部門別にみますと、国内業務部門は531億円となりました。一方、国際業務部門では6億円となっております。また、役務取引等費用は国内・国際業務部門合計で340億円となりました。これを国内・国際業務部門別にみますと、国内業務部門は336億円となりました。一方、国際業務部門では3億円となっております。
(注) 1.流動性預金とは、普通預金であります。
2.定期性預金とは、定期預金であります。
(注) 特別国際金融取引勘定は該当ありません。
該当事項はありません。
(注) 「その他の証券」には、外国債券を含んでおります。
(参考)
自己資本比率は、「銀行法第14条の2の規定に基づき、銀行がその保有する資産等に照らし自己資本の充実の状況が適当であるかどうかを判断するための基準(平成18年金融庁告示第19号)」に定められた算式に基づき、連結ベースと単体ベースの双方について算出しております。
なお、当社は、国内基準を適用のうえ、信用リスク・アセットの算出においては基礎的内部格付手法を採用しております。
連結自己資本比率(国内基準)
単体自己資本比率(国内基準)
(参考)
資産の査定は、「金融機能の再生のための緊急措置に関する法律」(平成10年法律第132号)第6条に基づき、当社の貸借対照表の社債(当該社債を有する金融機関がその元本の償還及び利息の支払の全部又は一部について保証しているものであって、当該社債の発行が金融商品取引法(昭和23年法律第25号)第2条第3項に規定する有価証券の私募によるものに限る。)、貸出金、外国為替、その他資産中の未収利息及び仮払金、支払承諾見返の各勘定に計上されるもの並びに貸借対照表に注記することとされている有価証券の貸付けを行っている場合のその有価証券(使用貸借又は賃貸借契約によるものに限る。)について債務者の財政状態及び経営成績等を基礎として次のとおり区分するものであります。
破産更生債権及びこれらに準ずる債権とは、破産手続開始、更生手続開始、再生手続開始の申立て等の事由により経営破綻に陥っている債務者に対する債権及びこれらに準ずる債権をいう。
危険債権とは、債務者が経営破綻の状態には至っていないが、財政状態及び経営成績が悪化し、契約に従った債権の元本の回収及び利息の受取りができない可能性の高い債権をいう。
要管理債権とは、三月以上延滞債権及び貸出条件緩和債権をいう。
正常債権とは、債務者の財政状態及び経営成績に特に問題がないものとして、上記1から3までに掲げる債権以外のものに区分される債権をいう。
資産の査定の額
「生産、受注及び販売の実績」は、銀行業における業務の特殊性のため、該当する情報がないので記載しておりません。
当社は、対面チャネルによる住宅ローン販売拡大を企図し、以下の銀行代理業者と当社を所属銀行とする銀行代理業委託契約を締結しております。
該当事項はありません。