第一部【企業情報】

第1【企業の概況】

1【主要な経営指標等の推移】

回次

第15期

第16期

第17期

第18期

第19期

決算年月

2015年3月

2016年3月

2017年3月

2018年3月

2019年3月

売上高

(千円)

321,658

1,160,890

1,089,360

1,059,727

1,021,703

経常損失(△)

(千円)

790,234

785,785

1,176,763

903,215

816,412

当期純損失(△)

(千円)

792,179

787,685

1,224,554

904,557

856,291

持分法を適用した場合の投資利益

(千円)

資本金

(千円)

1,576,290

2,037,041

4,194,243

100,000

591,338

発行済株式総数

(株)

2,394,105

2,885,442

9,567,923

9,567,923

20,342,446

純資産額

(千円)

270,659

403,290

3,500,246

2,604,037

2,731,269

総資産額

(千円)

1,146,755

1,694,117

3,706,224

3,025,172

3,151,358

1株当たり純資産額

(円)

104.14

66.22

363.39

134.37

132.55

1株当たり配当額

(円)

(内、1株当たり中間配当額)

()

()

()

()

()

1株当たり当期純損失(△)

(円)

331.86

151.45

137.01

47.27

43.84

潜在株式調整後1株当たり当期純利益

(円)

自己資本比率

(%)

21.7

22.6

93.8

85.0

85.6

自己資本利益率

(%)

株価収益率

(倍)

配当性向

(%)

営業活動によるキャッシュ・フロー

(千円)

970,686

607,374

1,759,243

438,372

860,316

投資活動によるキャッシュ・フロー

(千円)

49,995

121,746

149,902

50,252

27

財務活動によるキャッシュ・フロー

(千円)

9,908

946,991

3,471,699

978,446

現金及び現金同等物の期末残高

(千円)

599,471

817,342

2,379,896

1,891,271

2,009,373

従業員数

(人)

14

19

20

21

26

株主総利回り

(%)

117.4

143.2

133.2

258.2

166.5

(比較指標:東証マザーズ指数)

(%)

(114.6)

(133.0)

(139.6)

(157.2)

(124.6)

最高株価

(円)

2,599

4,150

1,775

3,935

1,103

 

 

 

 

(4,280)

 

(2,950)

最低株価

(円)

1,505

1,450

1,270

1,078

629

 

 

 

 

(2,430)

 

(1,606)

 

 (注)1.当社は連結財務諸表を作成しておりませんので、連結会計年度に係る主要な経営指標等の推移については記載しておりません。

2.売上高には、消費税等は含まれておりません。

3.各期の損益の概要は、次のとおりであります。なお、用語解説については、「第1企業の概況 3事業の内容」の末尾に記載しております。

第15期 フィルグラスチムバイオ後続品関連の売上が計上されたことにより、売上高は321,658千円となりました。一方、研究開発費を689,738千円計上したこと等により、経常損失は790,234千円、当期純損失は792,179千円となりました。

第16期 主にフィルグラスチムバイオ後続品関連の売上が大幅に増加したことにより、売上高は1,160,890千円となりました。一方、研究開発費を1,075,354千円計上したこと等により、経常損失は785,785千円、当期純損失は787,685千円となりました。

第17期 主にフィルグラスチムバイオ後続品関連の売上が順調に推移したことにより、売上高は1,089,360千円となりました。一方、研究開発活動を加速させたために研究開発費を1,433,170千円計上したこと等により、経常損失は1,176,763千円、当期純損失は1,224,554千円となりました。

第18期 主にフィルグラスチムバイオ後続品関連の売上が順調に推移したことにより、売上高は1,059,727千円となりました。一方、引き続き研究開発活動を積極的に進めたため研究開発費を1,107,411千円計上したこと等により、経常損失は903,215千円、当期純損失は904,557千円となりました。

第19期 主にフィルグラスチムバイオ後続品関連の売上が順調に推移したことにより、売上高は1,021,703千円となりました。一方、研究開発費を945,228千円計上したこと等により、経常損失は816,412千円、当期純損失は856,291千円となりました。

4.第15期から第17期の持分法を適用した場合の投資利益については、関連会社がないため記載しておりません。第18期及び第19期の持分法を適用した場合の投資利益については、関連会社がありますが、利益基準及び利益剰余金基準からみて重要性の乏しい関連会社であるため、記載を省略しております

5.2016年10月1日付で普通株式1株につき2株の割合で株式分割を行いましたが、第16期の期首に当該株式分割が行われたと仮定して1株当たり純資産額及び1株当たり当期純損失を算定しております。また、2018年7月1日付で普通株式1株につき2株の割合で株式分割を行いましたが、第18期の期首に当該株式分割が行われたと仮定して1株当たり純資産額及び1株当たり当期純損失を算定しております。

6.潜在株式調整後1株当たり当期純利益については、潜在株式は存在するものの1株当たり当期純損失であるため記載しておりません。

7.自己資本利益率については、当期純損失が計上されているため記載しておりません。

8.株価収益率については、当期純損失が計上されているため記載しておりません。

9.従業員数は就業人員であり、臨時雇用者数は含まれておりません。

10.最高株価及び最低株価は東京証券取引所マザーズにおけるものであります。

11.当社は、2016年10月1日及び2018年7月1日付でそれぞれ普通株式1株につき2株の割合で株式分割を行っております。第17期及び第19期の株価については株式分割後の最高株価及び最低株価を記載しており、( )内に株式分割前の最高株価及び最低株価を記載しております。

 

2【沿革】

年月

事項

2001年3月

北海道大学遺伝子病制御研究所における免疫関連タンパク質の機能研究の成果を診断薬や治療薬として開発すること及び医薬品開発における受託サービス業務を行うことを目的として、札幌市北区に資本金10,000千円をもって株式会社ジーンテクノサイエンスを設立

2002年6月

独立行政法人産業技術総合研究所北海道センター(札幌市豊平区)内に研究所を新設し、バイオ新薬の研究開発を強化するとともに、バイオ後続品事業への参入について検討を開始

2003年11月

研究所内に本社を移転

2007年6月

バイオ新薬事業において、科研製薬株式会社に抗α9インテグリン抗体をライセンスアウト

2007年10月

バイオ後続品事業において、富士製薬工業株式会社とフィルグラスチムバイオ後続品の共同開発契約を締結

2008年1月

バイオ後続品事業において、東亜製薬株式会社からフィルグラスチムバイオ後続品の産生細胞及び基本生産技術をライセンスイン

2008年4月

札幌市中央区に本社を移転

2008年5月

北海道大学遺伝子病制御研究所(札幌市北区)内に研究所を移転

2008年6月

東京都中央区に東京事務所を新設

2012年11月

富士製薬工業株式会社との共同開発品であるフィルグラスチムバイオ後続品について、富士製薬工業株式会社及び持田製薬株式会社が国内での製造販売承認を取得(2013年5月上市済)

2012年11月

東京証券取引所マザーズに株式を上場

2013年9月

北海道大学創成研究機構生物機能分子研究開発プラットフォーム推進センター(札幌市北区)内に研究所を移転

2014年1月

バイオ後続品事業において、株式会社三和化学研究所とダルベポエチンアルファの共同開発契約を締結

2016年3月

NKリレーションズ株式会社(ノーリツ鋼機株式会社の完全子会社で、現在は吸収合併により消滅)及び合同会社Launchpad12(NKリレーションズ株式会社の完全子会社で、ノーリツ鋼機バイオホールディングス合同会社)と資本業務提携契約を締結

2016年6月

ノーリツ鋼機バイオホールディングス合同会社による当社株式に対する公開買付けの結果、同社の議決権所有割合が50%超となりNKリレーションズ株式会社及びノーリツ鋼機株式会社とともに当社の親会社となる

2019年4月

株式会社セルテクノロジーとの株式交換により同社が当社の完全子会社となり、当該株式交換に伴う新株式発行により、ノーリツ鋼機バイオホールディングス合同会社及びノーリツ鋼機株式会社は議決権所有割合が40%未満となり、親会社でなくなるとともに、新たにその他の関係会社となる

(注)用語解説については、「第1企業の概況 3事業の内容」の末尾に記載しております。

 

3【事業の内容】

(1) 事業環境

 製薬企業における永続的成長の源泉は継続的な新薬の創出ですが、化学合成による低分子医薬品は既に多くの基本構造骨格が探索し尽くされ、有望な開発候補品が減少しております。その一方で、遺伝子工学をはじめとするバイオテクノロジーの革新技術によって製造される、生体の仕組みを起源としたバイオ医薬品、特に抗体医薬品は、有効性や安全性などからも注目され、ブロックバスターとなるバイオ新薬がここ十年で急増しております

 また、既に先進国では、医療費増大による財政圧迫を抑制するために、特許が満了した新薬との同等性を示すだけで承認される安価なジェネリック医薬品の普及が進んでおります。さらに、ブロックバスターとなっているバイオ医薬品が続々と特許満了を迎える時期に至っており、バイオ医薬品のジェネリック医薬品であるバイオ後続品(バイオシミラー)は、今後世界的に大きな市場を形成することが見込まれております。しかしながら、バイオ後続品は、従来のジェネリック医薬品と異なり、新薬開発に近い要件が求められるため、従来のジェネリック医薬品の開発企業やバイオ医薬品開発経験がない製薬企業では、バイオ後続品の開発は非常に高い障壁となります

 一方で罹患者数の多い疾患に対する治療方法は、大手製薬企業を中心にあらゆる観点から研究開発が進められ、既に多様な医療が提供されております。このような環境であるため、近年の企業における創薬活動は次世代医療と呼ばれる再生医療技術を活用して、大衆疾患から希少疾患、難病といった分野に移行しております

 当社は、バイオ医薬品の研究開発に関する技術、知識及び経験を有しており、この優位性を活かし、バイオ後続品の研究開発を積極的に推進してまいりました。さらに、当社は2018年度より新たな事業ステージを指すGTS3.0「バイオで価値を創造するエンジニアリングカンパニー」を目標に掲げ、従来より手掛けてきた希少疾患、難病に加えて、小児疾患を重点的なターゲットと定め、これらの疾患に悩む患者様、そのご家族や介護者の方を含めた包括的なケアを目指して、新薬のみならず新たな医療の開発・提供に取り組んでおります。

 

(2) 当社のビジネスモデル

 当社は、市場の拡大が見込まれるバイオ医薬品に着目し、バイオ後続品事業、バイオ新薬事業及び新規バイオ事業の3事業を柱として、医薬品開発に取り組んでおります。開発リスクの少ないバイオ後続品事業で着実な収益を得て安定性を重視する一方、バイオ新薬並びに新規バイオ事業(再生医療/細胞治療)で革新的な技術や医療を創出し、経営の安定と成長を目指したビジネスモデルを展開してゆきます

 

(3) 当社のビジネスモデルの特長

 当社は、市場ニーズを勘案した医薬品開発を重視し、以下の2点を特長とした研究開発活動を行っております

① ハイブリット事業体制

 バイオ後続品は、有効性及び安全性が確認されていることから、比較的少ない経営資源で開発が可能である反面、市場規模などの点で制約を受けます

 一方、バイオ新薬及び新規バイオ事業では、従来の医薬品で治療の難しい疾患に対して新たな治療の可能性が期待できる反面、従来の新薬開発と同様に多くの経営資源を投入する必要があります

 そこで、当社は、バイオ後続品とバイオ新薬及び新規バイオ事業の長所・短所を考慮したパイプラインを機動的にマネジメントし、安定性の高いバイオ後続品事業で経営の安定を築きながら、バイオ新薬事業及び新規バイオ事業に取り組むことで高い成長性を目指すハイブリッド型の事業モデルを構築しております。

 

② バーチャル型事業開発及びプロジェクトマネージメント

 医薬品開発に必要な要件は多岐にわたる一方、当社の経営資源には限りがあるため、全てを当社単独で担うことは難しく、開発のスピードにも限界が生じます。そこで、当社は、社外の受託機関を積極的に活用することにより、最適な開発体制を組み立て、各々の得意分野(原薬製造、非臨床試験など)を融合することで、開発力の強化と開発スピードの向上を図っております。また、当社は、研究開発段階早期から事業化を強く意識しており、相互にメリットが得られる提携先の探索を念頭に開発投資を行っております

 また、医薬品の研究開発活動を進めるには巨額の先行投資資金が必要になりますが、社外との提携関係を構築することで、各々が担当領域の開発費用を分担することとなり、開発リスクを分散することができます

 さらに、医薬品開発においては、ブランド力や信用も重視されることから、製薬企業や大学を含む公的研究機関などとの提携関係を積極的に構築しております

 

(4) 開発の流れ、収益モデル及び開発品目の選定方針

① バイオ後続品事業

イ 開発の流れ(図表1、図表2)

 当社は、開発研究の初期段階から、既存バイオ医薬品と同等又はそれを上回る品質の原薬の製造方法構築を目標とし、その原薬を用いた非臨床試験を実施いたします。具体的には、まず、バイオ医薬品の原薬製造の根幹である産生細胞株を自社で構築あるいは社外から導入いたします。その産生細胞株を用いて、製造受託企業において最適な原薬の製造方法及び原薬製造体制を構築します。その後、原薬製造方法の最適化、既存バイオ医薬品との品質的な比較、製剤における最適処方の検討、薬効及び安全性評価の非臨床試験を行い、臨床試験につなげてまいります。並行して、バイオ後続品を販売する製薬企業と共同開発の提携関係を構築いたします

 臨床開発は、主に製薬企業が担当し、厚生労働省にバイオ後続品の製造販売承認の申請を行います。当社は、製薬企業との共同研究開発において、臨床試験に使用する原薬などを製薬企業に販売するとともに、製薬企業に対して開発推進及び申請のための助言や支援を行います。さらに、上市後には、原薬などの製造を継続的に信頼できる製造受託企業に委託し、製薬企業に原薬を安定的に供給してまいります

 

図表1 開発の流れと収益モデル(バイオ後続品事業)

 

0101010_001.png

 

(注) 各開発ステージにおける年数は、一般的なバイオ後続品開発における所要年数であります。

 

図表2 事業系統図(バイオ後続品事業)

 

0101010_002.png

 

ロ 収益モデル(図表1)

 バイオ後続品事業の収益モデルとしては、研究開発段階及び上市後において、医薬品の主原料である原薬などを製薬企業に供給することによって得られる販売収益や開発の進捗に応じた開発マイルストンペイメントによる収益と、研究開発段階において、共同研究開発契約を締結し、当社のノウハウなどを製薬企業に提供することで得られる役務収益があります

ハ 開発品目の選定方針

 バイオ後続品は、新薬の開発に比して経営資源が少なくて済み、また、有効性及び安全性が確認されているため、研究開発リスクは低いと言えます。このため、バイオ後続品については、想定される市場規模、収益性及び競合状況に重点を置いて開発品目の選定を行っております

 バイオ後続品の市場規模は、既存バイオ医薬品の市場規模にバイオ後続品の薬価比とバイオ後続品への置換率を乗じて求めることができます。このようにして求めたバイオ後続品の市場規模に、当社開発品の想定シェアを乗じることで、当社開発品の売上予測を行うことができます

 一方で、収益性については、バイオ後続品の想定薬価と製造原価をもとに、利益率を計算しております

 さらに、魅力あるバイオ後続品にはグローバルな競争の激化が見込まれることから、競合他社の数や質を把握し、それらも開発品目の選定における判断材料の要件としております

 

② バイオ新薬事業

イ 開発の流れ(図表3、図表4)

 バイオ新薬の研究開発は、まず、医薬品シーズの探索を行う基礎研究から着手いたします。医薬品シーズを効率的に探索するため、自社での研究のみならず、大学や研究機関などとの共同研究を行っております

 次に、開発研究においては、候補品について薬効・安全性の基本データを得るための分析及び評価を行います。なお、これらの分析及び評価において、必要に応じて試験受託企業への委託を行います

 その後の臨床開発以降は、膨大な費用、要員及び期間を要し、さらに、開発リスクも伴うことから、原則として自社では行わず、製薬企業へのライセンスアウトを基本方針としております。なお、ライセンスアウト後は製薬企業が主体的に開発を進めることになるため、当社の関与は大きく減ることになりますが、ライセンスアウト先製薬企業への薬効試験や製法・品質データの補充など、当社の経験を活かせる開発推進及び申請のための助言や支援は、引き続き行ってまいります

 

図表3 開発の流れと収益モデル(バイオ新薬事業)

 

0101010_003.png

 

(注) 各開発ステージにおける年数は、一般的なバイオ新薬開発における所要年数であります。

 

図表4 事業系統図(バイオ新薬事業)

 

0101010_004.png

 

ロ 収益モデル(図表3)

 バイオ新薬事業における収益モデルは、主に、研究開発段階において、共同研究開発契約を締結し、当社のノウハウなどを製薬企業に提供することで得られる役務収益と、特許実施権を製薬企業にライセンスアウトすることで得られる収益があります。ライセンスアウトによる収益は、契約一時金、開発の進捗に応じたマイルストンペイメント及び上市後の売上高に対するロイヤリティからなります

ハ 開発品目の選定方針

 バイオ新薬の開発品目の選定においても、バイオ後続品事業と同様に、想定される市場規模と収益性を考慮しますが、新薬の開発は原則として特許を確保して進めることから、競合などはバイオ後続品の開発品目の選定時ほど重要な要素ではありません。むしろ、新薬の研究開発リスクは非常に高いことから、作用メカニズムなどから判断して対象疾患における現行治療法に対して、臨床的意義がどの程度想定できるかが最も重要であると考えております。医薬品としてのニーズ、有効性及び安全性を示すことにより、有利な条件で製薬企業にライセンスアウトすることができます

 

③ 新規バイオ事業

イ 開発の流れ(図表5、図表6)

 新規バイオ事業の研究開発は、再生医療分野を中心として大学・研究機関などで研究されている最先端の医療技術、バイオベンチャー等の国内企業が所有するバイオ技術又は当社の抗体技術を状況に応じて有機的に組み合わせて、主に難治性疾患、希少疾患及び小児疾患に対する新しい治療法を創出するための業務提携や共同研究活動を行い、速やかな開発研究のため厚生労働省の先駆け審査指定制度等の制度利用も検討しつつ取り組んでおります

 開発研究においては、候補品について薬効・安全性の基本データを得るための分析及び評価を行います。なお、これらの分析及び評価において、必要に応じて試験受託企業への委託を行います

 その後の臨床開発以降は、膨大な費用、要員及び期間を要し、さらに、開発リスクも伴うことから、原則として自社では行わず、製薬企業等へのライセンスアウトを基本方針としております。なお、ライセンスアウト後は製薬企業等が主体的に開発を進めることになるため、当社の関与は大きく減ることになりますが、ライセンスアウト先製薬企業等への薬効試験や製法・品質データの補充など、当社の経験を活かせる開発推進及び申請のための助言や支援は、引き続き行ってまいります。

 

図表5 開発の流れと収益モデル(新規バイオ事業)

 

0101010_005.png

 

図表6 事業系統図(新規バイオ事業)

 

0101010_006.png

 

ロ 収益モデル(図表5)

 新規バイオ事業における収益モデルは、主に、研究開発段階において、共同研究開発契約を締結し、当社のノウハウなどを製薬企業に提供することで得られる役務収益と、特許実施権を製薬企業にライセンスアウトすることで得られる収益があります。ライセンスアウトによる収益は、契約一時金、開発の進捗に応じたマイルストンペイメント及び上市後の売上高に対するロイヤリティからなります

ハ 開発品目の選定方針

 新規バイオ事業の開発品目の選定においても、バイオ後続品事業と同様に、想定される市場規模と収益性を考慮しますが、新しい治療法の創出に係る技術や再生医療等製品の開発は原則として特許を確保して進めることから、競合などはバイオ後続品の開発品目の選定時ほど重要な要素ではありません。むしろ、バイオ新薬事業と同様に研究開発リスクは非常に高いことから、対象疾患における現行治療法あるいは治療方法が存在しない疾患に対して、臨床的意義がどの程度想定できるかが最も重要であると考えております。治療方法としてのニーズ、有効性及び安全性を示すことにより、有利な条件で製薬企業にライセンスアウトすることができます

 

(5) 主力上市品・開発品

 当社の事業基盤はバイオ後続品事業、バイオ新薬事業及び新規バイオ事業の3事業です。その中で最も早く事業化可能で収益が望めるのはバイオ後続品です。バイオ後続品の申請・承認は、これまでの低分子化合物のジェネリック医薬品と大きく異なり、製法・品質の検討、非臨床試験及び臨床試験を必要とし、新薬に近い要件が求められています。バイオ医薬品の開発経験を有する製薬企業でないと開発が非常に難しく、参入障壁が高いと言えます。一方、既存バイオ医薬品の薬価が高いことから、バイオ後続品では、低分子化合物のジェネリック医薬品よりも高い収益性が期待できます。そこで、当社は、バイオ新薬研究で培った技術、知識及びノウハウを最大限に活用し、科学的かつ論理的にバイオ後続品の開発を進めております。さらに、当社はバイオ後続品事業において複数の開発品目を開発することで、早期に収益の源泉を構築し、事業基盤を安定化する方針です

 また、バイオ新薬の分野では、有効性と安全性が期待できる抗体医薬品を主力開発品とし、さらに、既存の抗体医薬品と異なる分子を標的とすることで、特に希少疾患や難治性疾患を対象とする医薬品の開発を目指します。加えて新規バイオ事業の分野では、最先端の技術を所有する企業との共同開発や、大学等の研究成果を活用して革新的な治療法又は医療技術を創出するべく、主に再生医療分野を中心として事業展開を図ってまいります

 

① バイオ後続品事業

・フィルグラスチムバイオ後続品(開発番号:GBS-001、対象疾患領域:がん)

 顆粒球コロニー形成刺激因子(G-CSF)は、白血球の一種である好中球の分化・増殖を促進させるほか、骨髄からの好中球の放出を促進したり好中球機能を亢進する作用があります

 当社は、2007年10月より富士製薬工業㈱と共同開発の下、2012年11月21日に富士製薬工業㈱と持田製薬㈱が国内での製造販売承認を取得し、2013年5月31日に上市されました

 現在、当社は富士製薬工業㈱に対して当該医薬品の原薬を安定的に供給し、富士製薬工業㈱と持田製薬㈱が2ブランド2チャンネルで販売を行っております。当社のフィルグラスチムバイオ後続品の産生細胞株は韓国のDong-A ST Co., Ltd.(旧東亜製薬㈱)から導入しており、同社にはロイヤリティを支払っております

 

・ダルベポエチンアルファバイオ後続品(開発番号:GBS-011、対象疾患領域:腎疾患)

 当該医薬品は、腎性貧血治療薬であるエポエチンアルファの効果の持続性を高めた製品であり、現在、当社は日本市場に向けて㈱三和化学研究所と共同開発を進めており、2018年9月に同社より厚生労働省へ当該医薬品の製造販売承認申請を行いました

 

・ラニビズマブバイオ後続品(開発番号:GBS-007、対象疾患領域:眼疾患)

 当該医薬品は、加齢黄斑変性症等の視力喪失の治療に向けた血管新生阻害剤であり、当社は、2015年11月に眼科領域に専門性の高い千寿製薬㈱と資本業務提携にかかる基本合意契約を締結し、2016年5月には当該バイオ後続品の上市を確実に達成させるべく共同事業化契約の締結に至りました。その後、2019年2月には第Ⅲ相臨床試験における最終患者登録が完了し、製造販売承認申請に向けて着実に進捗しております

 

② バイオ新薬事業

・抗RAMP2抗体(開発番号:GND-004、対象疾患領域:眼疾患、がん)

 当社は、新規メカニズムに基づく新生血管形成を阻害する画期的な新規抗体医薬品の候補抗体の創出に成功し、国内及び国際特許出願を行いました。今後は、知的財産権の確保を図りながら当該医薬品候補抗体の研究開発を進め、製薬企業へのライセンスアウトを目指していきます

 

③ 新規バイオ事業

心臓内幹細胞(開発番号:JRM-001、対象疾患領域:小児の心機能改善)

 心臓手術時に採取された自己心組織から分離・培養する事で得られる「心臓内幹細胞の細胞懸濁液製剤」を活用して、主に先天性心疾患を患う小児の心組織の再生及び心機能の改善を図るものであります

 当社は、2016年10月に当社と同じノーリツ鋼機グループの一員である㈱日本再生医療と資本業務提携を行い、同社が研究開発していた上記の心臓内幹細胞を用いた再生医療等製品の共同事業化を開始しております。当該品目は厚生労働省の先駆け審査指定制度の指定を受けているため、通常の承認審査よりも優先的な位置付けであり、この状況を活かしながら着実かつ速やかな上市に向けて研究開発に取り組んでまいります

 

歯髄幹細胞

 歯の内部に存在する歯髄と呼ばれる細胞を用いた幹細胞を利用して新しい医療技術や再生医療等製品の開発を行っている㈱セルテクノロジーを2019年4月より完全子会社化したことで、この歯髄幹細胞の特性と適性のある疾患を見極め、これまでにない画期的な医療技術や再生医療等製品の創出するべく研究開発に取り組んでおります

 

顎裂治療薬(開発番号:GCT-101、対象疾患領域:口唇口蓋裂)

 口唇口蓋裂は、口腔の先天的な発生異常によって生じる疾患で発生時に口蓋の片側が閉鎖しないことで裂が残る先天性疾患の一つです。この度、優れた骨再生能力を有し、唇顎裂の再生医療には最適な細胞ソースである歯髄幹細胞と、当社が資本業務提携を行っているORTHOREBIRTH㈱の保有する綿状の人工骨充填材レボシスを組み合わせて当該疾患の新しい治療法を創出するべく、2019年5月に同社と共同研究開発契約を締結し、両社協働の下、開発活動をスタートさせました

 

《用語解説》

 

[GLP試験]

厚生労働省令で定められた医薬品の安全性に関する非臨床試験の実施の基準がGLP(Good Laboratory Practiceの略)であり、これに従って行われる試験をGLP試験という

 

[GMP]

厚生労働省令で定められた医薬品及び医薬部外品の製造管理及び品質管理の基準であり、Good Manufacturing Practiceの略

 

[原薬]

薬効成分の原料を原薬と呼び、原薬に添加剤を加え、製剤とすることにより、医薬品となる

 

[抗体]

体内に異物が侵入した際に、それを無毒化又は体外へ強制的に排出するために白血球細胞で作られるタンパク質であり、異物である抗原という特定の物質のみに結合する機能を持つ

 

[好中球]

白血球の一種で、炎症部に集合し、細菌、真菌などの異物を貪食、殺菌、分解し、生体を防御する

 

[再生医療]

ヒトの身体から細胞を取り出し、目的とする組織や臓器移植に活用する次世代の治療方法。患者本人の細胞(自家細胞)を活用する治療が中心であるが、本人以外から採取した細胞(他家細胞)を活用できれば、さらに多くの患者の治療が可能になるため、現在も広く研究が進められている

 

[産生細胞]

目的のタンパク質や抗体を大量に効率よく作り出す能力を持った(あるいは遺伝子工学によってそのような能力を持たせた)細胞のことを言い、それを大量に培養し、抽出・精製することを経て、バイオ医薬品が製造される

 

[シーズ]

医薬品の種(seeds)のこと

 

[上市]

医薬品として承認され、実際に市販されること

 

[低分子医薬品]

通常、化学合成で作製される分子量が数千以下の医薬品のこと

 

[バイオ医薬品]

バイオテクノロジーを応用した医薬品のこと

 

[バイオ後続品]

既に販売承認を与えられているバイオ医薬品と同等/同質の医薬品のこと

 

[バイオ新薬]

バイオ医薬品の新薬のこと

 

[パイプライン]

石油・天然ガスなどの流体を長距離にわたって輸送するためのパイプと同様に、絶え間なく医薬品の創出ができるように開発品が整っている様を指し、開発品のリストを研究開発パイプラインと呼ぶ

 

[非臨床試験]

ヒトで実施できない試験を動物で行うことを非臨床試験と言い、薬効を調べる薬理試験、薬の体内動態を調べる薬物動態試験及び毒性を調べる毒性試験からなる

[ファブレス型企業]

自社で製造設備などを持たない企業のこと

 

[ライセンスアウト]

知的財産権の実施権や物品・技術の使用・販売権などを製薬企業等に許諾し、対価(契約金、開発マイルストンペイメントやロイヤリティなど)を得ること

 

[ライセンスイン]

知的財産権の実施権や物品・技術の使用・販売権などを譲り受け、対価(契約金、開発マイルストンペイメントやロイヤリティなど)を支払うこと

 

[臨床試験]

非臨床試験での有効性及び安全性の結果を踏まえ、ヒトでの医薬品の効果を調べる試験のこと

 

4【関係会社の状況】

 

名称

住所

資本金

(百万円)

主要な事業の内容

議決権の所有又は被所有

割合

(%)

関係内容

(親会社)

ノーリツ鋼機バイオホールディングス合同会社

(注)4、5

東京都港区

1

資産の取得、所有及び売買

被所有

46.57

資本業務提携

(親会社)

ノーリツ鋼機㈱

 

(注)1、2、3、4、5

東京都港区

7,025

ものづくり・環境・食・医療・シニアライフの各分野に関連する各種事業

被所有

46.57

(46.57)

役員の兼任

(注)1.議決権の被所有割合の(  )内は、間接被所有割合で内数であります。

2.ノーリツ鋼機は、当社の直接の親会社であるノーリツ鋼機バイオホールディングス合同会社の親会社であります。

3.有価証券報告書を提出しております。

4.当事業年度において議決権の被所有割合は過半数を下回る46.57%となっておりますが、実質的な支配基準により継続して親会社に該当しております。

5.2019年4月1日を効力発生日として行った㈱セルテクノロジーとの株式交換に伴う当社株式の新規発行により、ノーリツ鋼機バイオホールディングス合同会社の議決権の所有割合は34.33%に減少したため、同日付で両社は当社の親会社でなくなるとともに、新たにその他の関係会社となりました。なお、上述の議決権の所有割合は2019年3月31日現在の株主名簿記載の総議決権数(203,405個)に当該株式交換により新規発行した当社普通株式7,250,740株に係る議決権数(72,505個)を加えた数値を分母としております。

 

 

5【従業員の状況】

(1) 提出会社の状況

 

 

 

2019年3月31日現在

従業員数(人)

平均年齢(歳)

平均勤続年数(年)

平均年間給与(円)

26

50.3

4.5

5,140,673

(注)1.従業員数は就業人員であり、臨時雇用者数は含まれておりません。

2.平均年間給与は、基準外賃金を含んでおります。

3.当社の事業セグメントは、医薬品開発事業の単一セグメントであるため、セグメント別の従業員数の記載はしておりません。

 

(2) 労働組合の状況

 労働組合は結成されておりませんが、労使関係は円満に推移しております。