第一部【企業情報】

第1【企業の概況】

1【主要な経営指標等の推移】

(1) 連結経営指標等

回次

第17期

第18期

第19期

第20期

第21期

決算年月

2017年3月

2018年3月

2019年3月

2020年3月

2021年3月

売上高

(千円)

1,077,737

996,543

経常損失(△)

(千円)

1,187,254

991,166

親会社株主に帰属する当期純損失(△)

(千円)

7,316,396

1,001,461

包括利益

(千円)

7,339,548

776,955

純資産額

(千円)

1,487,390

1,610,385

総資産額

(千円)

3,592,139

3,933,952

1株当たり純資産額

(円)

51.73

50.44

1株当たり当期純損失(△)

(円)

264.65

34.79

潜在株式調整後1株当たり当期純利益

(円)

自己資本比率

(%)

39.8

38.0

自己資本利益率

(%)

株価収益率

(倍)

営業活動によるキャッシュ・フロー

(千円)

1,325,059

1,267,471

投資活動によるキャッシュ・フロー

(千円)

137,206

22,290

財務活動によるキャッシュ・フロー

(千円)

1,221,771

718,345

現金及び現金同等物の期末残高

(千円)

2,032,575

1,461,158

従業員数

(人)

45

39

(注)1.第20期より連結財務諸表を作成しているため、それ以前については記載しておりません。

2.売上高には、消費税等は含まれておりません。

3.潜在株式調整後1株当たり当期純利益については、潜在株式は存在するものの、1株当たり当期純損失であるため記載しておりません。

4.自己資本利益率については、親会社株主に帰属する当期純損失を計上しているため、記載しておりません。

5.株価収益率については、1株当たり当期純損失を計上しているため記載しておりません。

 

(2) 提出会社の経営指標等

回次

第17期

第18期

第19期

第20期

第21期

決算年月

2017年3月

2018年3月

2019年3月

2020年3月

2021年3月

売上高

(千円)

1,089,360

1,059,727

1,021,703

964,345

967,000

経常損失(△)

(千円)

1,176,763

903,215

816,412

1,007,062

956,432

当期純損失(△)

(千円)

1,224,554

904,557

856,291

7,316,415

1,001,442

持分法を適用した場合の投資利益

(千円)

資本金

(千円)

4,194,243

100,000

591,338

611,711

1,032,179

発行済株式総数

(株)

9,567,923

9,567,923

20,342,446

27,646,986

29,622,847

純資産額

(千円)

3,500,246

2,604,037

2,731,269

1,487,371

1,610,385

総資産額

(千円)

3,706,224

3,025,172

3,151,358

3,524,700

3,897,851

1株当たり純資産額

(円)

363.39

134.37

132.55

51.73

50.44

1株当たり配当額

(円)

(内、1株当たり中間配当額)

()

()

()

()

()

1株当たり当期純損失(△)

(円)

137.01

47.27

43.84

264.65

34.79

潜在株式調整後1株当たり当期純利益

(円)

自己資本比率

(%)

93.8

85.0

85.6

40.6

38.3

自己資本利益率

(%)

株価収益率

(倍)

配当性向

(%)

営業活動によるキャッシュ・フロー

(千円)

1,759,243

438,372

860,316

投資活動によるキャッシュ・フロー

(千円)

149,902

50,252

27

財務活動によるキャッシュ・フロー

(千円)

3,471,699

978,446

現金及び現金同等物の期末残高

(千円)

2,379,896

1,891,271

2,009,373

従業員数

(人)

20

21

26

29

39

株主総利回り

(%)

93.0

180.4

116.3

69.9

67.2

(比較指標:東証マザーズ指数)

(%)

(104.9)

(118.2)

(93.6)

(60.7)

(117.9)

最高株価

(円)

1,775

3,935

1,103

1,075

948

 

 

(4,280)

 

(2,950)

 

 

最低株価

(円)

1,270

1,078

629

456

444

 

 

(2,430)

 

(1,606)

 

 

 (注)1.売上高には、消費税等は含まれておりません。

2.第17期の持分法を適用した場合の投資利益については、関連会社がないため記載しておりません。第18期及び第19期の持分法を適用した場合の投資利益については、関連会社がありますが、利益基準及び利益剰余金基準からみて重要性の乏しい関連会社であるため、記載を省略しております第20期及び第21期の持分法を適用した場合の投資利益については、第20期より連結財務諸表を作成しているため記載しておりません。

3.2016年10月1日付で普通株式1株につき2株の割合で株式分割を行いましたが、第17期の期首に当該株式分割が行われたと仮定して1株当たり純資産額及び1株当たり当期純損失を算定しております。また、2018年7月1日付で普通株式1株につき2株の割合で株式分割を行いましたが、第18期の期首に当該株式分割が行われたと仮定して1株当たり純資産額及び1株当たり当期純損失を算定しております。

4.潜在株式調整後1株当たり当期純利益については、潜在株式は存在するものの1株当たり当期純損失であるため記載しておりません。

5.自己資本利益率については、当期純損失を計上しているため記載しておりません。

6.株価収益率については、1株当たり当期純損失を計上しているため記載しておりません。

7.従業員数は就業人員であり、臨時雇用者数は含まれておりません。

8.第20期より連結財務諸表を作成しているため、第20期以降の営業活動によるキャッシュ・フロー、投資活動によるキャッシュ・フロー、財務活動によるキャッシュ・フロー及び現金及び現金同等物の期末残高は記載しておりません。

9.最高株価及び最低株価は東京証券取引所マザーズにおけるものであります。

10.当社は、2016年10月1日及び2018年7月1日付でそれぞれ普通株式1株につき2株の割合で株式分割を行っております。第17期及び第19期の株価については株式分割後の最高株価及び最低株価を記載しており、( )内に株式分割前の最高株価及び最低株価を記載しております。

 

2【沿革】

年月

事項

2001年3月

北海道大学遺伝子病制御研究所における免疫関連タンパク質の機能研究の成果を診断薬や治療薬として開発すること及び医薬品開発における受託サービス業務を行うことを目的として、札幌市北区に資本金10,000千円をもって株式会社ジーンテクノサイエンスを設立

2002年6月

独立行政法人産業技術総合研究所北海道センター(札幌市豊平区)内に研究所を新設し、バイオ新薬の研究開発を強化するとともに、バイオ後続品事業への参入について検討を開始

2003年11月

研究所内に本社を移転

2007年6月

バイオ新薬事業において、科研製薬株式会社に抗α9インテグリン抗体をライセンスアウト

2007年10月

バイオ後続品事業において、富士製薬工業株式会社とフィルグラスチムバイオ後続品の共同開発契約を締結

2008年1月

バイオ後続品事業において、東亜製薬株式会社からフィルグラスチムバイオ後続品の産生細胞及び基本生産技術をライセンスイン

2008年4月

札幌市中央区に本社を移転

2008年5月

北海道大学遺伝子病制御研究所(札幌市北区)内に研究所を移転

2008年6月

東京都中央区に東京事務所を新設

2012年11月

富士製薬工業株式会社との共同開発品であるフィルグラスチムバイオ後続品について、富士製薬工業株式会社及び持田製薬株式会社が国内での製造販売承認を取得(2013年5月上市済)

2012年11月

東京証券取引所マザーズに株式を上場

2013年9月

北海道大学創成研究機構生物機能分子研究開発プラットフォーム推進センター(札幌市北区)内に研究所を移転

2014年1月

バイオ後続品事業において、株式会社三和化学研究所とダルベポエチンアルファの共同開発契約を締結(2019年11月上市済)

2016年3月

NKリレーションズ株式会社及び合同会社Launchpad12(いずれもノーリツ鋼機株式会社の関係会社で、現在は同社に吸収合併され消滅)と資本業務提携契約を締結

2016年6月

ノーリツ鋼機バイオホールディングス合同会社(合同会社Launchpad12から商号変更した会社)による当社株式に対する公開買付けの結果、同社の議決権所有割合が50%超となりNKリレーションズ株式会社及びノーリツ鋼機株式会社とともに当社の親会社となる

2019年4月

株式会社セルテクノロジーとの株式交換により同社が当社の完全子会社となり、当該株式交換に伴う新株式発行により、ノーリツ鋼機バイオホールディングス合同会社及びノーリツ鋼機株式会社は議決権所有割合が40%未満となり、親会社でなくなるとともに、新たにその他の関係会社となる

2019年7月

東京都中央区に本社を移転

2020年2月

2020年11月

ノーリツ鋼機株式会社からの株式譲受により株式会社日本再生医療を完全子会社化

株式会社セルテクノロジーの全株式譲渡により、同社を連結の範囲から除外

 

3【事業の内容】

(1) 事業環境

 製薬企業における永続的成長の源泉は継続的な新薬の創出ですが、化学合成による低分子医薬品は既に多くの基本構造骨格が探索し尽くされ、有望な開発候補品が減少しております。その一方で、遺伝子工学をはじめとするバイオテクノロジーの革新技術によって製造される、生体の仕組みを起源としたバイオ医薬品、特に抗体医薬品は、有効性や安全性などからも注目され、ブロックバスターとなるバイオ新薬がここ十年で急増しております

 また、既に先進国では、医療費増大による財政圧迫を抑制するために、特許が満了した新薬との同等性を示すだけで承認される安価なジェネリック医薬品の普及が進んでおります。さらに、ブロックバスターとなっているバイオ医薬品が続々と特許満了を迎える時期に至っており、バイオ医薬品のジェネリック医薬品であるバイオ後続品(バイオシミラー)は、今後世界的に大きな市場を形成することが見込まれております。しかしながら、バイオ後続品は、従来のジェネリック医薬品と異なり、新薬開発に近い要件が求められるため、従来のジェネリック医薬品の開発企業やバイオ医薬品開発経験がない製薬企業では、バイオ後続品の開発は非常に高い障壁となります

 一方で罹患者数の多い疾患に対する治療方法は、大手製薬企業を中心にあらゆる観点から研究開発が進められ、既に多様な医療が提供されております。このような環境であるため、近年の企業における創薬活動は次世代医療と呼ばれる再生医療技術を活用して、大衆疾患から希少疾患、難病といった分野に移行しております

 当社は、バイオ医薬品の研究開発に関する技術、知識及び経験を有しており、この優位性を活かし、バイオ後続品の研究開発を積極的に推進してまいりました。さらに、当社は2018年度より「バイオで価値を創造するエンジニアリングカンパニー」を目標に掲げ、従来より手掛けてきた希少疾患、難病に加えて、小児疾患を重点的なターゲットと定め、これらの疾患に悩む患者様、そのご家族や介護者の方を含めた包括的なケアを目指して、新薬のみならず新たな医療の開発・提供に取り組んでおります。

 

(2) 当社のビジネスモデル

 当社は、市場の拡大が見込まれるバイオ医薬品に着目し、バイオ後続品事業、バイオ新薬事業及び新規バイオ事業の3事業を柱として、医薬品開発に取り組んでおります。開発リスクの少ないバイオ後続品事業で着実な収益を得て安定性を重視する一方、バイオ新薬並びに新規バイオ事業(再生医療/細胞治療)で革新的な技術や医療を創出し、経営の安定と成長を目指したビジネスモデルを展開していきます

 

(3) 当社のビジネスモデルの特長

 当社は、市場ニーズを勘案した医薬品開発を重視し、以下の2点を特長とした研究開発活動を行っております

① ハイブリッド事業体制

 バイオ後続品は、有効性及び安全性が確認されていることから、比較的少ない経営資源で開発が可能である反面、市場規模などの点で制約を受けます

 一方、バイオ新薬及び新規バイオ事業では、従来の医薬品で治療の難しい疾患に対して新たな治療の可能性が期待できる反面、従来の新薬開発と同様に多くの経営資源を投入する必要があります

 そこで、当社は、バイオ後続品とバイオ新薬及び新規バイオ事業の長所・短所を考慮したパイプラインを機動的にマネジメントし、安定性の高いバイオ後続品事業で経営の安定を築きながら、バイオ新薬事業及び新規バイオ事業に取り組むことで高い成長性を目指すハイブリッド型の事業モデルを構築しております。

 

② バーチャル型事業開発及びプロジェクトマネージメント

 医薬品開発に必要な要件は多岐にわたる一方、当社の経営資源には限りがあるため、全てを当社単独で担うことは難しく、開発のスピードにも限界が生じます。そこで、当社は、社外の受託機関を積極的に活用することにより、最適な開発体制を組み立て、各々の得意分野(原薬製造、非臨床試験など)を融合することで、開発力の強化と開発スピードの向上を図っております。また、当社は、研究開発段階早期から事業化を強く意識しており、相互にメリットが得られる提携先の探索を念頭に開発投資を行っております

 また、医薬品の研究開発活動を進めるには巨額の先行投資資金が必要になりますが、社外との提携関係を構築することで、各々が担当領域の開発費用を分担することとなり、開発リスクを分散することができます

 さらに、医薬品開発においては、ブランド力や信用も重視されることから、製薬企業や大学を含む公的研究機関などとの提携関係を積極的に構築しております

 

(4) 開発の流れ、収益モデル及び開発品目の選定方針

① バイオ後続品事業

イ 開発の流れ(図表1、図表2)

 当社は、開発研究の初期段階から、既存バイオ医薬品と同等又はそれを上回る品質の原薬の製造方法構築を目標とし、その原薬を用いた非臨床試験を実施いたします。具体的には、まず、バイオ医薬品の原薬製造の根幹である産生細胞株を自社で構築あるいは社外から導入いたします。その産生細胞株を用いて、製造受託企業において最適な原薬の製造方法及び原薬製造体制を構築します。その後、原薬製造方法の最適化、既存バイオ医薬品との品質的な比較、製剤における最適処方の検討、薬効及び安全性評価の非臨床試験を行い、臨床試験につなげてまいります。並行して、バイオ後続品を販売する製薬企業と共同開発の提携関係を構築いたします

 臨床開発は、主に製薬企業が担当し、厚生労働省にバイオ後続品の製造販売承認の申請を行います。当社は、製薬企業との共同研究開発において、臨床試験に使用する原薬などを製薬企業に販売するとともに、製薬企業に対して開発推進及び申請のための助言や支援を行います。さらに、上市後には、原薬などの製造を継続的に信頼できる製造受託企業に委託し、製薬企業に原薬を安定的に供給してまいります

 

図表1 開発の流れと収益モデル(バイオ後続品事業)

 

0101010_001.png

 

(注) 各開発ステージにおける年数は、一般的なバイオ後続品開発における所要年数であります。

 

図表2 事業系統図(バイオ後続品事業)

 

0101010_002.png

 

ロ 収益モデル(図表1)

 バイオ後続品事業の収益モデルとしては、研究開発段階及び上市後において、医薬品の主原料である原薬などを製薬企業に供給することによって得られる販売収益や開発の進捗に応じた開発マイルストンペイメントによる収益と、研究開発段階において、共同研究開発契約を締結し、当社のノウハウなどを製薬企業に提供することで得られる役務収益があります

ハ 開発品目の選定方針

 バイオ後続品は、新薬の開発に比して経営資源が少なくて済み、また、有効性及び安全性が確認されているため、研究開発リスクは低いと言えます。このため、バイオ後続品については、想定される市場規模、収益性及び競合状況に重点を置いて開発品目の選定を行っております

 バイオ後続品の市場規模は、既存バイオ医薬品の市場規模にバイオ後続品の薬価比とバイオ後続品への置換率を乗じて求めることができます。このようにして求めたバイオ後続品の市場規模に、当社開発品の想定シェアを乗じることで、当社開発品の売上予測を行うことができます

 一方で、収益性については、バイオ後続品の想定薬価と製造原価をもとに、利益率を計算しております

 さらに、魅力あるバイオ後続品にはグローバルな競争の激化が見込まれることから、競合他社の数や質を把握し、それらも開発品目の選定における判断材料の要件としております

 

② バイオ新薬事業

イ 開発の流れ(図表3、図表4)

 バイオ新薬の研究開発は、まず、医薬品シーズの探索を行う基礎研究から着手いたします。医薬品シーズを効率的に探索するため、自社での研究のみならず、大学や研究機関などとの共同研究を行っております

 次に、開発研究においては、候補品について薬効・安全性の基本データを得るための分析及び評価を行います。なお、これらの分析及び評価において、必要に応じて試験受託企業への委託を行います

 その後の臨床開発以降は、膨大な費用、要員及び期間を要し、さらに、開発リスクも伴うことから、原則として自社では行わず、製薬企業へのライセンスアウトを基本方針としております。なお、ライセンスアウト後は製薬企業が主体的に開発を進めることになるため、当社の関与は大きく減ることになりますが、ライセンスアウト先製薬企業への薬効試験や製法・品質データの補充など、当社の経験を活かせる開発推進及び申請のための助言や支援は、引き続き行ってまいります

 

図表3 開発の流れと収益モデル(バイオ新薬事業)

 

0101010_003.png

 

(注) 各開発ステージにおける年数は、一般的なバイオ新薬開発における所要年数であります。

 

図表4 事業系統図(バイオ新薬事業)

 

0101010_004.png

 

ロ 収益モデル(図表3)

 バイオ新薬事業における収益モデルは、主に、研究開発段階において、共同研究開発契約を締結し、当社のノウハウなどを製薬企業に提供することで得られる役務収益と、特許実施権を製薬企業にライセンスアウトすることで得られる収益があります。ライセンスアウトによる収益は、契約一時金、開発の進捗に応じたマイルストンペイメント及び上市後の売上高に対するロイヤリティからなります

ハ 開発品目の選定方針

 バイオ新薬の開発品目の選定においても、バイオ後続品事業と同様に、想定される市場規模と収益性を考慮しますが、新薬の開発は原則として特許を確保して進めることから、競合などはバイオ後続品の開発品目の選定時ほど重要な要素ではありません。むしろ、新薬の研究開発リスクは非常に高いことから、作用メカニズムなどから判断して対象疾患における現行治療法に対して、臨床的意義がどの程度想定できるかが最も重要であると考えております。医薬品としてのニーズ、有効性及び安全性を示すことにより、有利な条件で製薬企業にライセンスアウトすることができます

 

③ 新規バイオ事業

イ 開発の流れ(図表5、図表6)

 新規バイオ事業の研究開発は、再生医療分野を中心として大学・研究機関などで研究されている最先端の医療技術、バイオベンチャー等の国内企業が所有するバイオ技術又は当社の抗体技術を状況に応じて有機的に組み合わせて、主に難治性疾患、希少疾患及び小児疾患に対する新しい治療法を創出するための業務提携や共同研究活動を行い、速やかな開発研究のため厚生労働省の先駆け審査指定制度等の制度利用も検討しつつ取り組んでおります

 開発研究においては、候補品について薬効・安全性の基本データを得るための分析及び評価を行います。なお、これらの分析及び評価において、必要に応じて試験受託企業への委託を行います

 その後の臨床開発以降は、膨大な費用、要員及び期間を要し、さらに、開発リスクも伴うことから、原則として自社では行わず、製薬企業等へのライセンスアウトを基本方針としております。なお、ライセンスアウト後は製薬企業等が主体的に開発を進めることになるため、当社の関与は大きく減ることになりますが、ライセンスアウト先製薬企業等への薬効試験や製法・品質データの補充など、当社の経験を活かせる開発推進及び申請のための助言や支援は、引き続き行ってまいります。

 

図表5 開発の流れと収益モデル(新規バイオ事業)

 

0101010_005.png

 

図表6 事業系統図(新規バイオ事業)

 

0101010_006.png

 

ロ 収益モデル(図表5)

 新規バイオ事業における収益モデルは、主に、研究開発段階において、共同研究開発契約を締結し、当社のノウハウなどを製薬企業に提供することで得られる役務収益と、特許実施権を製薬企業にライセンスアウトすることで得られる収益があります。ライセンスアウトによる収益は、契約一時金、開発の進捗に応じたマイルストンペイメント及び上市後の売上高に対するロイヤリティからなります

ハ 開発品目の選定方針

 新規バイオ事業の開発品目の選定においても、バイオ後続品事業と同様に、想定される市場規模と収益性を考慮しますが、新しい治療法の創出に係る技術や再生医療等製品の開発は原則として特許を確保して進めることから、競合などはバイオ後続品の開発品目の選定時ほど重要な要素ではありません。むしろ、バイオ新薬事業と同様に研究開発リスクは非常に高いことから、対象疾患における現行治療法あるいは治療方法が存在しない疾患に対して、臨床的意義がどの程度想定できるかが最も重要であると考えております。治療方法としてのニーズ、有効性及び安全性を示すことにより、有利な条件で製薬企業にライセンスアウトすることができます

 

(5) 主力上市品・開発品

 当社の事業基盤はバイオ後続品事業、バイオ新薬事業及び新規バイオ事業の3事業です。その中で最も早く事業化可能で収益が望めるのはバイオ後続品です。バイオ後続品の申請・承認は、これまでの低分子化合物のジェネリック医薬品と大きく異なり、製法・品質の検討、非臨床試験及び臨床試験を必要とし、新薬に近い要件が求められています。バイオ医薬品の開発経験を有する製薬企業でないと開発が非常に難しく、参入障壁が高いと言えます。一方、既存バイオ医薬品の薬価が高いことから、バイオ後続品では、低分子化合物のジェネリック医薬品よりも高い収益性が期待できます。そこで、当社は、バイオ新薬研究で培った技術、知識及びノウハウを最大限に活用し、科学的かつ論理的にバイオ後続品の開発を進めております。さらに、当社はバイオ後続品事業において複数の開発品目を開発することで、早期に収益の源泉を構築し、事業基盤を安定化する方針です

 また、バイオ新薬の分野では、有効性と安全性が期待できる抗体医薬品を主力開発品とし、さらに、既存の抗体医薬品と異なる分子を標的とすることで、特に希少疾患や難治性疾患を対象とする医薬品の開発を目指します。加えて新規バイオ事業の分野では、最先端の技術を所有する企業との共同開発や、大学等の研究成果を活用して革新的な治療法又は医療技術を創出するべく、主に再生医療分野を中心として事業展開を図ってまいります

 

① バイオ後続品事業

・フィルグラスチムバイオ後続品(開発番号:GBS-001、対象疾患領域:がん)

 顆粒球コロニー形成刺激因子(G-CSF)は、白血球の一種である好中球の分化・増殖を促進させるほか、骨髄からの好中球の放出を促進したり好中球機能を亢進する作用があります

 当社は、2007年10月より富士製薬工業㈱と共同開発の下、2012年11月21日に富士製薬工業㈱と持田製薬㈱が国内での製造販売承認を取得し、2013年5月31日に上市されました

 現在、当社は富士製薬工業㈱に対して当該医薬品の原薬を安定的に供給し、富士製薬工業㈱と持田製薬㈱が2ブランド2チャンネルで販売を行っております。当社のフィルグラスチムバイオ後続品の産生細胞株は韓国のDong-A ST Co., Ltd.(旧東亜製薬㈱)から導入しており、同社にはロイヤリティを支払っております

 

・ダルベポエチンアルファバイオ後続品(開発番号:GBS-011、対象疾患領域:腎疾患)

 当該医薬品は、腎性貧血治療薬であるエポエチンアルファの効果の持続性を高めた製品であり、当社は日本市場に向けて㈱三和化学研究所との共同開発の下、2019年9月20日に㈱三和化学研究所が国内での製造販売承認を取得し、2019年11月27日に上市されました。以後、製造販売については㈱三和化学研究所が単独で行い、当社は販売売上に応じて利益の配分を受けております。

 

・ペグフィルグラスチムバイオ後続品(開発番号:GBS-010、対象疾患領域:がん)

 当該先行品は、フィルグラスチムにPEG(ポリエチレングリコール)を修飾することで、投与回数を減らし効果の持続性を増すなど、高付加価値を付与した次世代型フィルグラスチムであります。当該医薬品の原料が既に日本で上市しているフィルグラスチムであることから、フィルグラスチムバイオ後続品を有する点で当社は他社に比してペグフィルグラスチムの開発を進める上で優位性があります。また、当社は当該バイオ後続品の原薬製造プロセスを既に確立し、先行品との同等性・同質性に関する良好なデータを得ておりますので、これを訴求データとして国内外の製薬企業との早期の提携を実現すべく、今後も引き続き上市に向けて鋭意取り組んでまいります。

 

・ラニビズマブバイオ後続品(開発番号:GBS-007、対象疾患領域:眼疾患)

 当該医薬品は、加齢黄斑変性症等の視力喪失の治療に向けた血管新生阻害剤であり、当社は、2015年11月に眼科領域に専門性の高い千寿製薬㈱と資本業務提携にかかる基本合意契約を締結し、2016年5月には当該バイオ後続品の上市を確実に達成させるべく共同事業化契約の締結に至りました。その後、2020年9月に千寿製薬㈱より国内での医薬品製造販売承認に関する申請が行われ、将来の同社に対する製品供給による収益確保は大きく前進いたしました。今後も引き続き同社と協働の下、本製品の製造販売承認取得を目指してまいります。

・アフリベルセプトバイオ後続品(開発番号:GBS-012、対象疾患:眼疾患)

 当該医薬品は、加齢黄斑変性症等の視力喪失の治療に向けた血管新生阻害剤であり、当社は、2019年12月に癸巳化成㈱とアフリベルセプトバイオ後続品に関する事業化を目的とした共同開発契約を締結しました。今後は、当該バイオ後続品の高産生株を用いて原薬の製造プロセスを確立しつつ、この原薬を基に製剤開発、非臨床試験、臨床試験、製造販売承認取得、販売等で必要となる第三者提携先を探索し、当該バイオ後続品の事業化に向けた体制構築を進めてまいります。

 

② バイオ新薬事業

・抗RAMP2抗体(開発番号:GND-004、対象疾患領域:眼疾患、がん)

 当社は、新規メカニズムに基づく新生血管形成を阻害する画期的な新規抗体医薬品の候補抗体の創出に成功し、国内及び国際特許出願を行いました。今後は、知的財産権の確保を図りながら当該医薬品候補抗体の研究開発を進め、製薬企業へのライセンスアウトを目指してまいります

・新規抗体

 2020年1月には、がん細胞内侵入能力を有する抗体を用いた抗がん剤の開発を目的として札幌医科大学との共同研究契約、同じくがん細胞殺傷効果を有する新たな抗体の取得を目的としてMabGenesis㈱との共同研究契約をそれぞれ締結いたしました。今後は共同研究を進め、製薬企業へのライセンスアウトを目指してまいります

 

③ 新規バイオ事業

・心臓内幹細胞を活用した再生医療等製品の開発(開発番号:JRM-001、対象疾患:小児先天性心疾患)

 当社の子会社である㈱日本再生医療は、小児先天性心疾患を軸とした重篤な心疾患に対する新たな治療法を提供するため、心臓内幹細胞と呼ばれる心臓内に存在する多能性のある体性幹細胞を用いた世界初となる再生医療等製品の実用化を目指し研究開発を推進しております。生まれながらに心臓に何らかの異常をもつ小児先天性疾患は新生児100人に1人の割合で発症するとされ、当該開発品はこれらの症状を改善するために、手術で得られた心臓の切片から、高い自己複製能力を持ち、心臓にまつわる心筋細胞へ分化することができる心臓内幹細胞を培養し、これらを患者様本人へ投与することで心機能の改善を図るものであります。

歯髄幹細胞を活用した再生医療等製品の開発(開発番号:GCT-101、対象疾患:口唇口蓋裂)

 口唇口蓋裂は、口腔の先天的な発生異常によって生じる疾患で、発生時に口蓋の片側が閉鎖しないことで裂が残る先天性疾患の一つです。歯髄幹細胞は、発生学的に神経堤細胞由来であり、優れた骨再生能力を有していることから、唇顎裂の再生医療には最適な細胞ソースであるため、当社はORTHOREBIRTH㈱が保有する綿状の人工骨充填材レボシスが歯髄幹細胞と組み合わせることで新たな治療法を創出できると考え、同社と共同研究契約を締結し、開発活動を行っております。

・歯髄幹細胞を活用した再生医療等製品の開発(開発番号:GCT-102、対象疾患:腸管神経節細胞僅少症)

 腸管神経節細胞僅少症は、腸管の蠕動運動を司る神経細胞の不足により腸閉塞症状を示す難病で、効果的な治療方法がいまだ確立されていません。歯髄幹細胞は腸管神経節細胞と同じ神経堤由来の細胞であるため、投与された歯髄幹細胞が不足している腸管神経節細胞を補う働きをすることにより、腸管蠕動運動が回復することが期待できます。当社は、当該疾患を対象とした再生医療等製品を開発するべく、持田製薬㈱と共同事業化契約を締結し、当社が保有する歯髄幹細胞と持田製薬㈱の消化器領域における知見と実績を組み合わせることで、新たな治療法の創出を目指してまいります。

・歯髄幹細胞を活用した再生医療等製品開発のための大学との共同研究

 当社は、歯髄幹細胞が神経堤由来の細胞であることに着目し、この特性に適性のある疾患を選定し、様々な大学と当該疾患に対する新たな治療法を創出するべく、共同研究契約を締結し、基礎研究を進めております。具体的には、昭和大学と骨関連疾患、岐阜薬科大学と眼関連疾患、東京都医学総合研究所・名古屋大学医学部附属病院・東京医科歯科大学と脳性麻痺、大分大学と末梢神経麻痺、名古屋大学と脊髄損傷、北海道大学・総合せき損センターと難治性骨折に関する共同研究を進めております。

 

4【関係会社の状況】

 

名称

住所

資本金

(百万円)

主要な事業の内容

議決権の所有又は被所有

割合

(%)

関係内容

(連結子会社)

㈱日本再生医療

東京都港区

10

再生医療技術・製品、細胞医薬品の研究開発

当該技術・製品の顧客に対する技術提供及び製品・サービスの提供

所有

100.00

役員の兼任

資金の援助

管理業務の受託

(その他の関係会社)

ノーリツ鋼機㈱

(注)1、2

東京都港区

7,025

ものづくり・ヘルスケアの各分野に関連する各種事業

被所有

31.97

資本業務提携

(注)1.前連結会計年度末において、その他の関係会社であったノーリツ鋼機バイオホールディングス合同会社は、

同社の親会社であるノーリツ鋼機㈱と吸収合併契約を締結し、当該合併効力発生日である2020年12月1日付で、ノーリツ鋼機バイオホールディングス合同会社が所有する当社の全株式がノーリツ鋼機㈱に継承されております。

2.有価証券報告書を提出しております。

3.前連結会計年度末において、連結子会社であった㈱セルテクノロジー及び㈱レムケアは、2020年11月12日付

で㈱セルテクノロジーの全株式を譲渡したため、連結子会社から除外されております。

 

5【従業員の状況】

(1) 連結会社の状況

2021年3月31日現在

 

従業員数(人)

39

(注)1.従業員数は就業人員であり、臨時雇用者数は含まれておりません。

2.当社グループの事業セグメントは、医薬品開発事業の単一セグメントであるため、セグメント別の従業員数の記載はしておりません。

 

(2) 提出会社の状況

 

 

 

2021年3月31日現在

従業員数(人)

平均年齢(歳)

平均勤続年数(年)

平均年間給与(円)

39

46.5

3.5

6,561,488

(注)1.従業員数は就業人員であり、臨時雇用者数は含まれておりません。

2.平均年間給与は、基準外賃金を含んでおります。

3.当社の事業セグメントは、医薬品開発事業の単一セグメントであるため、セグメント別の従業員数の記載はしておりません。

 

(3) 労働組合の状況

 労働組合は結成されておりませんが、労使関係は円満に推移しております。