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回次 |
第20期 |
第21期 |
第22期 |
第23期 |
第24期 |
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決算年月 |
2020年3月 |
2021年3月 |
2022年3月 |
2023年3月 |
2024年3月 |
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売上高 |
(千円) |
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経常損失(△) |
(千円) |
△ |
△ |
△ |
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親会社株主に帰属する当期純損失(△) |
(千円) |
△ |
△ |
△ |
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包括利益 |
(千円) |
△ |
△ |
△ |
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純資産額 |
(千円) |
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総資産額 |
(千円) |
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1株当たり純資産額 |
(円) |
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1株当たり当期純損失(△) |
(円) |
△ |
△ |
△ |
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潜在株式調整後1株当たり当期純利益 |
(円) |
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自己資本比率 |
(%) |
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自己資本利益率 |
(%) |
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株価収益率 |
(倍) |
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営業活動によるキャッシュ・フロー |
(千円) |
△ |
△ |
△ |
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投資活動によるキャッシュ・フロー |
(千円) |
△ |
△ |
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財務活動によるキャッシュ・フロー |
(千円) |
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現金及び現金同等物の期末残高 |
(千円) |
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従業員数 |
(人) |
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(注)1.2022年4月4日付けで連結子会社であった㈱日本再生医療の株式を譲渡したことにより、連結子会社が存在しなくなったため、第23期より連結財務諸表は作成していないため、記載しておりません。
2.潜在株式調整後1株当たり当期純利益については、潜在株式は存在するものの、1株当たり当期純損失であるため記載しておりません。
3.自己資本利益率については、親会社株主に帰属する当期純損失を計上しているため、記載しておりません。
4.株価収益率については、1株当たり当期純損失を計上しているため記載しておりません。
5.「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号 2020年3月31日)等を第22期の期首から適用しており、第22期に係る主要な経営指標等については、当該会計基準等を適用した後の指標等となっております。
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回次 |
第20期 |
第21期 |
第22期 |
第23期 |
第24期 |
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決算年月 |
2020年3月 |
2021年3月 |
2022年3月 |
2023年3月 |
2024年3月 |
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売上高 |
(千円) |
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経常損失(△) |
(千円) |
△ |
△ |
△ |
△ |
△ |
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当期純損失(△) |
(千円) |
△ |
△ |
△ |
△ |
△ |
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持分法を適用した場合の投資利益 |
(千円) |
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資本金 |
(千円) |
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発行済株式総数 |
(株) |
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純資産額 |
(千円) |
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総資産額 |
(千円) |
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1株当たり純資産額 |
(円) |
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1株当たり配当額 |
(円) |
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(内、1株当たり中間配当額) |
( |
( |
( |
( |
( |
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1株当たり当期純損失(△) |
(円) |
△ |
△ |
△ |
△ |
△ |
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潜在株式調整後1株当たり当期純利益 |
(円) |
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自己資本比率 |
(%) |
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自己資本利益率 |
(%) |
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株価収益率 |
(倍) |
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配当性向 |
(%) |
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営業活動によるキャッシュ・フロー |
(千円) |
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△ |
△ |
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投資活動によるキャッシュ・フロー |
(千円) |
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△ |
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財務活動によるキャッシュ・フロー |
(千円) |
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現金及び現金同等物の期末残高 |
(千円) |
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従業員数 |
(人) |
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株主総利回り |
(%) |
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(比較指標:東証グロース市場250指数) |
(%) |
( |
( |
( |
( |
( |
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最高株価 |
(円) |
1,075 |
948 |
864 |
483 |
269 |
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最低株価 |
(円) |
456 |
444 |
327 |
200 |
119 |
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(注)1.第20期、第21期及び第22期の持分法を適用した場合の投資利益については、第20期より連結財務諸表を作成しているため記載しておりません。第23期及び第24期の持分法を適用した場合の投資利益については、関連会社がないため記載しておりません。
2.潜在株式調整後1株当たり当期純利益については、潜在株式は存在するものの1株当たり当期純損失であるため記載しておりません。
3.自己資本利益率については、当期純損失を計上しているため記載しておりません。
4.株価収益率については、1株当たり当期純損失を計上しているため記載しておりません。
5.従業員数は就業人員であり、臨時雇用者数は含まれておりません。
6.第20期から第22期は連結財務諸表を作成しているため、営業活動によるキャッシュ・フロー、投資活動によるキャッシュ・フロー、財務活動によるキャッシュ・フロー及び現金及び現金同等物の期末残高は記載しておりません。
7.最高株価及び最低株価は、2022年4月4日より東京証券取引所グロース市場におけるものであり、それ以前については東京証券取引所マザーズにおけるものであります。
8.「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号 2020年3月31日)等を第22期の期首から適用しており、第22期以降に係る主要な経営指標等については、当該会計基準等を適用した後の指標等となっております。
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年月 |
事項 |
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2001年3月 |
北海道大学遺伝子病制御研究所における免疫関連タンパク質の機能研究の成果を診断薬や治療薬として開発すること及び医薬品開発における受託サービス業務を行うことを目的として、札幌市北区に資本金10,000千円をもって株式会社ジーンテクノサイエンスを設立 |
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2002年6月 |
独立行政法人産業技術総合研究所北海道センター(札幌市豊平区)内に研究所を新設し、バイオ新薬の研究開発を強化するとともに、バイオシミラー事業への参入について検討を開始 |
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2003年11月 |
研究所内に本社を移転 |
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2008年4月 |
札幌市中央区に本社を移転 |
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2008年5月 |
北海道大学遺伝子病制御研究所(札幌市北区)内に研究所を移転 |
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2008年6月 |
東京都中央区に東京事務所を新設 |
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2012年11月 |
富士製薬工業株式会社との共同開発品であるフィルグラスチムバイオシミラーについて、富士製薬工業株式会社及び持田製薬株式会社が国内での製造販売承認を取得(2013年5月上市済) |
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2012年11月 |
東京証券取引所マザーズに株式を上場 |
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2013年9月 |
北海道大学創成研究機構生物機能分子研究開発プラットフォーム推進センター(札幌市北区)内に研究所を移転 |
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2016年3月 |
NKリレーションズ株式会社及び合同会社Launchpad12(いずれもノーリツ鋼機株式会社の関係会社で、現在は同社に吸収合併され消滅)と資本業務提携契約を締結 |
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2016年6月 |
ノーリツ鋼機バイオホールディングス合同会社(合同会社Launchpad12から商号変更した会社)による当社株式に対する公開買付けの結果、同社の議決権所有割合が50%超となり、NKリレーションズ株式会社及びノーリツ鋼機株式会社とともに当社の親会社となる |
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2019年4月 |
株式会社セルテクノロジーとの株式交換により同社が当社の完全子会社となり、当該株式交換に伴う新株式発行により、ノーリツ鋼機バイオホールディングス合同会社及びノーリツ鋼機株式会社は議決権所有割合が40%未満となり、親会社でなくなるとともに、新たにその他の関係会社となる |
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2019年7月 2019年9月 |
東京都中央区に本社を移転 株式会社三和化学研究所との共同開発品であるダルベポエチンアルファバイオシミラーについて、同社が国内での製造販売承認を取得(2019年11月上市済) |
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2020年2月 |
ノーリツ鋼機株式会社からの株式譲受により株式会社日本再生医療を完全子会社化 |
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2020年11月 |
株式会社セルテクノロジーの全株式譲渡により、同社を連結の範囲から除外 |
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2021年7月 2021年9月 |
商号をキッズウェル・バイオ株式会社に変更 千寿製薬株式会社との共同開発品であるラニビズマブバイオシミラーについて、同社が国内での製造販売承認を取得(2021年12月上市済) |
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2022年4月 |
東京証券取引所の市場区分の見直しにより、東京証券取引所のマザーズ市場からグロース市場に移行 |
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2022年4月 2023年9月
2024年4月 |
株式会社日本再生医療の全株式譲渡により、同社を連結の範囲から除外 持田製薬株式会社との共同開発品であるペグフィルグラスチムバイオシミラーについて、同社が国内での製造販売承認を取得(2023年11月上市済) 会社分割(簡易新設分割)により細胞治療事業(再生医療)を分社化 同事業を承継する株式会社S-Quatre(現 連結子会社)を設立 |
(1) 事業環境
バイオ関連技術の発明と発達とともに、医薬品産業における成長の源泉である新薬の創出は、化学合成による低分子医薬品から、抗体医薬品を中心とするバイオ医薬品をはじめ、細胞医薬・遺伝子治療等の新規創薬モダリティ(治療手段)を含むバイオロジクスへと大きく移行しています 。新たな技術によって、今まで治療が困難であった様々な疾患に対する画期的な治療薬が開発され、グローバル医薬品売上高上位の半数以上をバイオロジクスが占めるようになりました。また、創薬モダリティの多様化に伴って、新薬創出の80%はバイオベンチャーが担うなど、医薬品産業においてバイオベンチャーの存在感が世界的に高まっています。
このように、新たな技術が多くの患者の健康に寄与する一方で、技術の高度化・複雑化等に伴う研究開発期間の延伸や開発費・製造費の高騰等を反映し 、新たに開発された医薬品の薬価が上昇するとともに、医薬費の増大が進んでいます。医薬費の削減に向けた取り組みとして、日本を含む多くの国々においては、 既に低分子医薬品の後発品であるジェネリック医薬品の使用が一般化しています。また、多くの大型品を含むバイオ医薬品についても、今後次々と先行品の特許期間・再審査期間の満了を迎える時期を迎えていることから、その後続品であるバイオシミラーについても、普及が進んでいくことが見込まれております。
(2) 当社のビジネスモデル
当社は、創業事業であり先行バイオ医薬品の研究開発を行うバイオ新薬事業、先行バイオ医薬品の後続品であるバイオシミラーの開発及び開発品の上市達成後における原薬等の供給を行うバイオシミラー事業、乳歯歯髄幹細胞(SHED: Stem cells from Human Exfoliated Deciduous teeth,シェド)を活用した再生医療等製品の実用化を目指す細胞治療事業(再生医療)の3つを主要事業としてまいりました。しかし、当事業年度において、新たな経営体制での協議、検討の結果、企業価値の最大化と株価の回復・成長の早期実現を目的として、3事業に分散していた経営資源を、安定的な収益基盤であるバイオシミラー事業と成長基盤である細胞治療事業に戦略的かつ集中的に投下することを決定いたしました。なお、バイオ新薬事業につきましては、既に取得済みの研究成果の外部機関での活用に向けた事業開発活動に専念いたします。経営資源の戦略的な投下に加え、構造改革等を通じて事業間の連携を強化し、事業ごとに蓄積してきた研究開発ノウハウ、経験、知見を組み合わせることで、バイオシミラー事業と細胞治療事業における研究開発活動を更に効率的かつ強力に推進してまいります。
(3) 当社のビジネスモデルの特長
当社は、市場ニーズを勘案した医薬品開発を重視し、以下の2点を特長とした研究開発活動を行っております。
① ハイブリッド事業体制
バイオシミラー事業においては、既に長年に渡る治療実績を 有する先行バイオ医薬品と同等の品質、安全性及び有効性を有する医薬品を開発しており、新たなサイエンスや技術に過度に依存しないために、先行品の開発と比べ、開発リスクが限定的で開発計画が立てやすく、より少ない経営資源で開発が可能です。一方で、バイオシミラーの薬価は原則先行品の70%と定められているために、高い収益性を確保するためには製造費用を引き下げる必要があります。
一方、多くのバイオベンチャーも取り組む細胞治療事業においては、従来の医薬品で治療の難しい疾患に対して革新的な医薬品開発の可能性があり、大きな収益成長が期待できる反面、新たなサイエンスと技術に大きく依存しているために、バイオシミラー事業と比較して開発リスクは大きく、研究開発には多くの経営資源を投入する必要があります。
そこで当社は、安定性の高いバイオシミラー事業で安定的な収益基盤を築きながら、細胞治療事業に取り組むことで高い成長性を目指す、ハイブリッド型の事業モデルを構築しております。。
② バーチャル型研究開発及びプロジェクトマネージメント
医薬品開発には、薬効・薬理研究、製造プロセス開発、GMP製造、臨床開発等、多岐にわたる人財や施設が必要な一方、当社の経営資源には限りがあるため、全てを当社単独で担うことできません。そこで当社は、社外の受託機関の積極的な活用を前提に、バイオロジクスの研究と製造プロセス開発等に当社の人的資源を集中し、専門性の向上に努めています。また、当社が主体となって製造受託機関等との連携を強化することで、当社人的資源の効率的な活用と設備投資の大幅な削減に取り組み、プロジェクトごとに最適な製造プロセス開発体制を構築することで、それぞれの得意分野を融合し、開発力強化・開発スピード向上を図っております。
また、当社は、パートナー製薬企業との早期連携による開発費用の分担を進めるとともに、上述の人的資源の効率的な活用と合わせて、同時並行で複数の開発プロジェクトに取り組む体制を整え、開発リスクの分散を進めています。
(4) 開発の流れ、収益モデル及び開発品目の選定方針
① バイオシミラー事業
バイオシミラー事業においては、患者の経済的負担の軽減による治療継続や、医療費削減による健康保険制度の維持に向け、先行バイオ医薬品と同等の品質・安全性・有効性を有するバイオシミラーの事業化に取り組んでいます。今後も国内外の大手製薬企業等により多くの先行バイオ医薬品が開発され、上市後に特許期間・再審査期間が満了を迎えることで、新たなバイオシミラーの参入機会が提供されることに加え、2029年までに先行品からの置き換え率が80%超の成分を全体の6割以上に引き上げるとす る厚生労働省によるバイオシミラーの普及目標の設定、バイオシミラーの使用促進に向けた診療報酬の新設等を受け、バイオシミラー市場は継続的に拡大することが予測されています。
当該事業では、現在日本国内において承認されているバイオシミラー18製品 の内4製品の開発に携わり、当該4製品全てが市場に1番手で上市した結果、上市済み製品による販売収益等が、研究開発費を除いた一般管理費、すなわち固定費を上回る利益を生み出す規模に成長し、今後中期的に安定的かつ継続的な収益を生み出すことが想定されることから、バイオベンチャーとしては特長的な戦略である「安定と成長の両立」による企業価値最大化を支える重要事業と位置付けております。
イ 開発の流れ(図表1、図表2)
バイオシミラー事業において求められるのは、先行バイオ医薬品と同等の品質、安全性及び有効性を有する医薬品を開発することですが、そのための取り組みは、バイオシミラー原薬製造の根幹である産生細胞株の構築、あるいは既に研究機関等が構築を終えた産生細胞株の導入から始まります。産生細胞株の構築または又は導入後に、製造受託企業と協業して、当該産生細胞株を用いて原薬製造プロセスの開発・最適化に取り組みますが、バイオ医薬品の原薬製造プロセスは、化学合成による原薬製造プロセスと比べて複雑であり、経験の蓄積に裏付けされた様々な問題解決能力が求められます。そして、原薬製造プロセスの開発が進んだところで、物性、工程由来不純物、活性が先行バイオ医薬品と同等であることを確認するための品質特性比較試験を実施します。なお、産生細胞株の構築・導入段階からパートナー候補製薬企業との提携協議を開始し、原薬製造プロセス開発や品質特性比較試験と同時並行で提携交渉を進めることで、より早期にパートナー製薬企業との提携を実現し、製剤製造プロセス開発、安全性及び有効性評価の為の非臨床試験、臨床開発については、遅延なく当該パートナー製薬企業が実施できる開発体制を構築します。
製剤製造プロセス開発後は、原則パートナー製薬企業が臨床開発を主導し、臨床試験において先行バイオ医薬品との安全性及び有効性の同等性が確認された後に、厚生労働省にバイオシミラーの製造販売承認の申請を行います。パートナー製薬企業が主導する臨床開発段階において、当社は、製造受託企業に原薬等の製造を委託し、当該原薬等をパートナー製薬企業に提供するとともに、パートナー製薬企業に対して開発推進及び製造・品質に関する承認申請資料作成支援を行います。さらに、バイオシミラーの上市後にも、パートナー製薬企業に対する原薬等の提供を通じて、当該バイオシミラーの安定供給に貢献しております。
図表1 開発の流れと収益モデル(バイオシミラー事業)
(注) 各開発ステージにおける年数は、一般的なバイオシミラー開発における所要年数であります。
図表2 事業系統図(バイオシミラー事業)
ロ 収益モデル(図表1)
現在の事業モデルにおける、バイオシミラー事業の収益としては、臨床試験開始や製造販売承認の申請、上市等、開発の進捗によって得られる開発マイルストンペイメントによる収益と、開発段階及び上市後において、バイオシミラー原薬等をパートナー製薬企業に供給することによって得られる販売収益があります。また、契約体系によっては、パートナー製薬企業の販売実績に応じたロイヤリティ収益を得ることもあります。
ハ 開発品目の選定方針
バイオシミラー事業において求められるのは、既に長年に渡る患者の治療実績を有する先行バイオ医薬品と同等の品質、安全性及び有効性を有する医薬品の開発であり、新たなサイエンスや技術に過度に依存しないために、先行品の開発と比べ、開発リスクが限定的で開発計画が立てやすく、より少ない資金で開発が可能です。一方で、バイオシミラーの薬価は原則先行品の70%と定められているために、先行品と比べて製造コストを大きく引き下げることが、プロジェクトの収益性には重要です。また、バイオシミラーの市場シェアは上市の順番で大きく変動する可能性が高いことから、先行品の特許期間・再審査期間の満了に合わせて一番手で上市できるように開発を進める必要があります。そのために、数多く上市している先行バイオ医薬品の中から、市場 規模、特許期間・再審査期間の満了時期、競合他社の存在等に基づいて、開発品の選定を進めます。
なお、開発品であるバイオシミラーの市場規模については、先行バイオ医薬品の薬価 を基に算出される当該バイオシミラーの薬価、先行品の数量ベースの市場規模、バイオシミラーへの置換率の3つを乗じて求めることができます。このようにして求めたバイオシミラーの市場規模に、当社開発品の想定シェア、原価率等を乗じることで当社の売上や利益予測を行い、想定開発費等と合わせて正味現在価値を求め、開発品の最終的な選定を行います。
② 細胞治療事業(再生医療)
細胞治療事業においては、2019年3月に買収した株式会社セルテクノロジーの技術を基に、健常小児ドナーの乳歯から採取できるSHEDを活用し、革新的な再生医療等製品等の研究開発に取り組んでおり、当社の飛躍的な事業価値向上を支える成長事業と位置付けております。細胞治療(再生医療)は、これまで有効な治療法のなかった難病や希少疾患等の治療ができるようになることが期待され、2012年にiPS細胞の発見に対して京都大学山中伸弥教授らがノーベル医学・生理学賞を受賞したことも受け、応用研究や産業化に向けた取り組みが大きく進捗しています。
当社が事業化に取り組むSHEDは、すでに一部の疾患で実用化され安全性が確認されている間葉系幹細胞(MSC)の一種ですが、これまで広く研究されてきた骨髄や脂肪組織由来のMSCと異なり、小児の組織由来であることから細胞の年齢が若く、増殖能が高いため、わずか1本の乳歯から大量の再生医療等製品等の製造が可能です。また、原料となる乳歯は日本国内で安定的・持続的に入手可能であることから、海外ドナー由来の再生医療等製品等と比べて、安定的な医療の提供が可能になる点も、再生医療等製品の原料として重要な要素です。
2019年以降、自社及びパートナー企業・アカデミアとの連携・共同研究を通じて、SHEDのサイエンスを追求するとともに、SHEDを原料とする再生医療等製品の製造法の開発に取り組んでまいりました。2020年3月には、経済産業省から、再生医療等製品の製造を目的としたヒト細胞原料の供給における法的・倫理的・社会的課題を整理した「ヒト(同種)細胞原料供給に係るガイダンス(初版)」(2021年3月に第2版を公表)が取りまとめられるなど等、事業環境の整備も進んだ結果、当社は2022年8月に国内において臨床応用可能なSHEDマスターセルバンク(MCB)構築を完了させ、さらには2024年3月に米国FDA基準に準拠したMCBの製造も完了しており、MCBを用いた再生医療等製品の臨床開発に向けた取り組みを着実に進めています。また、この過程で構築した、乳歯ドナーの募集から、提携する医療機関での抜歯、GMP施設におけるMCB製造に至る一連のシステム(S-Quatre®、エスカトル)を活用し、自社パイプラインだけでなく、再生医療等製品やエクソソーム等の細胞関連医薬品を開発する他企業に向けて、MCBを提供するプラットフォームビジネスとしての展開にも取り組んでおります。
なお、当社独自の製造法によるSHED(SQ-SHED:2024年4月1日付で当社100%子会社として株式会社S-Quatre設立によりKWB-SHEDから呼称変更)は、他の組織由来のMSCや、同じSHEDでも一般的な方法で製造したSHEDとは異なる遺伝子発現パターンを示し、特に神経成長、血管新生、細胞遊走に関する遺伝子発現が高く、関連するタンパク栄養因子の産生量も高いことを見出しております。また、実際に、SQ-SHEDがこれらの生物活性を強力に促進することを、細胞機能試験及び動物モデル試験において確認し、2022年10月に特許出願いたしました。
イ 開発の流れ(図表3、図表4)
細胞治療事業の研究開発において、再生医療等製品等の原料となるSHEDについてサイエンスの追求が重要であることは当然ですが、将来的な安定供給に向けたSHEDの製造プロセス開発についても優先的に取り組んできました。なお、これらの基礎研究活動については、自社研究及びパートナー企業・アカデミアとの連携・共同研究の実施に加え、研究の加速や研究データの信頼性の保証と 再現性の確認のために、試験受託機関への研究委託も積極的に活用しています。また、これらの基礎研究活動から得られたデータを基に、SHEDを活用した再生医療等製品等の対象疾患を選定し、当該疾患に対する有効性と安全性の予備的試験を実施するとともに、製造受託機関と協業して、臨床開発に向けた製造プロセスの確立を進めています。
なお、バイオシミラー事業と異なり、細胞治療事業においては、自社開発品を守るための特許戦略も欠かせない重要な取り組みです。基礎研究や製造プロセス開発から得たデータ、そして他社特許の調査を基に、積極的に特許出願を進めています。
基礎研究や製造プロセス開発、特許出願等の取り組みと同時並行で、パートナー候補製薬企業との協議を継続しています。臨床開発以降は、原則パートナー製薬企業が主導し、臨床開発において安全性及び有効性が確認された後に、厚生労働省に再生医療等製品等の製造販売承認の申請を行います。パートナー製薬企業が主導する臨床開発段階において、当社は、製造受託企業に原薬たる細 胞等の製造を委託し、当該原薬等をパートナー製薬企業に有償で提供するとともに、パートナー製薬企業に対して開発推進及び製造・品質に関する承認申請資料作成支援を行います。さらに、再生医療等製品等の上市後にも、パートナー製薬企業に対する原薬たる細胞等の提供を通じて、当該再生医療等製品等の安定供給に貢献することを想定しています。
図表3 開発の流れと収益モデル(細胞治療事業)
図表4 事業系統図(細胞治療事業)
ロ 収益モデル(図表3)
細胞治療事業の収益としては、パートナー製薬企業との提携時に得られる契約一時金収益、臨床試験開始や製造販売承認の申請、上市等、開発の進捗によって得られる開発マイルストンペイメントによる収益と、開発段階及び上市後において、再生医療等製品等の原料となる 細胞等をパートナー製薬企業に供給することによって得られる販売収益があります。また、契約体系によっては、開発段階において、当社のノウハウなど等をパートナー製薬企業に提供することで得られる役務収益や、パートナー製薬企業の販売実績に応じたロイヤリティ収益を得ることもあります。
ハ 開発品目の選定方針
細胞治療事業の開発品目の選定においても、バイオシミラー事業と同様に、想定される市場規模、収益性等を考慮します。一方で、革新的な医薬品に対するニーズ、既存の医薬品とSHEDを活用して開発する再生医療等製品等との経済性評価についても、開発品の選定に欠かせない視点です。なお、研究開発活動の進捗や競合環境、規制等を踏まえた開発品の優先順位の変更に加え、研究開発活動の中断・中止判断も適切に行うことで、開発可能性を高め、開発パイプラインの最適化に努めています。
(5) 主力上市品・開発品
バイオシミラー事業においては、パートナー製薬企業と協業して、既に4製品を上市させた実績を有しています。また、今後多くの大型品を含む先行バイオ医薬品の特許期間・再審査期間が満了を迎える時期を迎えていることから、その後続品であるバイオシミラーの参入機会が次々と訪れることが予想され、当社も新規バイオシミラーの開発について、複数のパートナー候補製薬企業等との協議を継続しております。継続的な新規バイオシミラーの上市を可能とするパイプラインの構築により、安定的な収益基盤の強化に取り組んでいます。
また、細胞治療事業(再生医療)においては、共同研究成果を基に、脳性麻痺を対象とした臨床研究が名古屋大学において実施されています。自社研究に加え、他のバイオベンチャーや大学等との共同研究にも積極的に取り組むことで、開発パイプラインの強化を図っています。
① バイオシミラー事業
・フィルグラスチムバイオシミラー(開発番号:GBS-001、対象疾患領域:がん)
顆粒球コロニー形成刺激因子(G-CSF)は、白血球の一種である好中球の分化・増殖を促進させるほか、骨髄からの好中球の放出を促進したり好中球機能を亢進する作用があります。当社は、2007年10月より富士製薬工業㈱と共同で当該バイオシミラーの開発を推進し、2012年11月21日に富士製薬工業㈱と持田製薬㈱が国内での製造販売承認を取得し、2013年5月31日に上市しました。現在、当社は富士製薬工業㈱に対する当該医薬品原薬の安定供給を担っており、富士製薬工業㈱が当該バイオシミラーの販売を行っております。当社のフィルグラスチムバイオシミラーの産生細胞株は韓国のDong-A ST Co., Ltd.(旧東亜製薬㈱)から導入しており、同社にはロイヤリティを支払っております。なお、他社によるバイオシミラーを含めて、先行品からの置き換え率は80%を超えています。
・ダルベポエチンアルファバイオシミラー(開発番号:GBS-011、対象疾患領域:腎疾患)
当該先行品は、腎性貧血治療薬であるエポエチンアルファの効果の持続性を高めた製品です。当社は、日本市場に向けて㈱三和化学研究所と当該バイオシミラーの共同開発を推進し、2019年9月20日に㈱三和化学研究所が国内での製造販売承認を取得し、2019年11月27日に上市しました。以後、製造販売については㈱三和化学研究所が単独で行い、当社は販売売上に応じた利益の分配を受けております。なお、他社によるバイオシミラー等を 含めて、先行品からの置き換え率は80%を超えています。
・ラニビズマブバイオシミラー(開発番号:GBS-007、対象疾患領域:眼疾患)
当該先行品は、血管内皮増殖因子の働きを抑えることにより、新生血管の成長を抑える作用があります。当社は、千寿製薬㈱と当該バイオシミラーの共同開発を行ってきましたが、2021年9月27日付で同社が国内での製造販売承認を厚生労働省より取得し、同12月9日に上市しました。現在、当社は千寿製薬㈱に対する当該医薬品製剤の安定供給を担っており、製品化された当該バイオシミラーを同社が販売しております。当該バイオシミラーの競合となる先行品メーカーによるバイオセイム(バイオ医薬品におけるジェネリック)や他社によるバイオシミラーは上市されておらず、千寿製薬㈱の販売は上市直後から当初予想を上回る勢いで推移しており、さらに2023年9月に追加適応症が承認された影響を受け、先行品からの置き換えペースが加速しています。
・ペグフィルグラスチムバイオシミラー(開発番号:GBS-010、対象疾患領域:がん)
当該先行品は、フィルグラスチムにPEG(ポリエチレングリコール)を修飾することで、投与回数を減らし効果の持続性を増す等、高付加価値を付与した次世代型フィルグラスチムです。当社は、2016年12月に持田製薬㈱と当該バイオシミラーの共同事業化契約を締結し、共同での開発を推進してまいりましたが、2023年9月25日付で同社が国内での製造販売承認を厚生労働省より取得し、同11月22日に上市しました。現在、当社は持田製薬㈱に対する当該医薬品原薬の安定供給を担っており、製品化された当該バイオシミラーを同社及びニプロ㈱が 販売しております。当該バイオシミラーの競合となる先行品メーカーによるバイオセイムや他社によるバイオシミラーは上市されておらず、持田製薬㈱とニプロ㈱の販売は上市直後から当初予想を上回る勢いで推移し、先行品からの置き換えは順調に進捗しています。
・新たなバイオシミラー製品の開発向けた取組み
当社は、バイオシミラーの社会的役割を認識しつつ、安定的かつ継続的な収益基盤の更なる強化を目的として、新たなバイオシミラーの開発に向けた取り組みを推進しており、既に、多面的な評価に基づく新たな開発候補品の選定を実施し、開発パートナー候補企業等との協議を進めています。
② 細胞治療事業(再生医療)
・SQ-SHEDを活用した再生医療等製品の開発(開発番号:GCT-102、対象疾患:腸管神経節細胞僅少症)
腸管神経節細胞僅少症は、腸管の蠕動運動を司る神経細胞の不足により腸閉塞症状を示す難病(指定難病 101)で、効果的な治療方法がいまだ確立されていません。SHEDは腸管神経節細胞と同じ神経堤由来の細胞であるため、投与されたSHEDが不足している腸管神経節細胞の機能を補う働きをすることにより、腸管蠕動運動が回復することが期待できます。当社は、当該疾患を対象とした再生医療等製品を開発するべく、持田製薬㈱と共同事業化契約を締結し、当社が保有するSQ-SHEDと持田製薬㈱の消化器領域における知見と実績を組み合わせることで、新たな治療法の創出を目指しています。
・SQ-SHEDを活用した再生医療等製品の開発(開発番号:GCT-103、対象疾患:脳性麻痺)
脳性麻痺は、周産期と呼ばれる出産前後の期間に起きた酸素欠乏や感染症など等が原因となり、運動障害など等の神経症状が現れる疾患です。出産直後、すなわち急性期においては症状が明確でないことも多く、症状の予測も困難なため、急性期を過ぎて病状が固まった後の遠隔期(慢性期)から治療を開始しても効果をもたらす新規治療法の開発が望まれています。現在、共同研究先の名古屋大学附属病院総合周産期母子医療センターにて、脳性麻痺(遠隔期)を対象とした自家SHEDの臨床研究が進められていますが、並行して、構築済みのMCB を用いた同種(他家) SHEDの企業治験実施に向けた準備を進めております。
・第二世代SHEDの研究
名古屋大学医学部脳神経外科との共同研究においては脊髄損傷を、浜松医科大学との共同研究においては脳腫瘍を対象として、それぞれ異なる遺伝子改変SHEDの研究を進めております。
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名称 |
住所 |
資本金 (百万円) |
主要な事業の内容 |
議決権の所有又は被所有 割合 (%) |
関係内容 |
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(その他の関係会社) ノーリツ鋼機㈱(注) |
東京都港区 |
7,025 |
ものづくり・ヘルスケアの各分野に関連する各種事業 |
被所有 24.32 |
資本業務提携 |
(注)有価証券報告書を提出しております。
(1) 提出会社の状況
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2024年3月31日現在 |
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従業員数(人) |
平均年齢(歳) |
平均勤続年数(年) |
平均年間給与(円) |
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(注)1.従業員数は就業人員であり、臨時雇用者数は含まれておりません。
2.平均年間給与は、基準外賃金を含んでおります。
3.当社の事業セグメントは、医薬品開発事業の単一セグメントであるため、セグメント別の従業員数の記載はしておりません。
(2) 労働組合の状況
労働組合は結成されておりませんが、労使関係は円満に推移しております。
(3) 管理職に占める女性労働者の割合、男性労働者の育児休業取得率及び労働者の男女の賃金の差異
当社は、「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律」(平成27年法律第64号)及び「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律」(平成3年法律第76号)の規定による公表義務の対象ではないため、記載を省略しております。