当中間連結会計期間において、新たな事業等のリスクの発生、または、前事業年度の有価証券報告書に記載した事業等のリスクについての重要な変更はありません。
(継続企業の前提に関する重要事象等)
当社グループの経営基盤であるバイオシミラー事業で営業黒字を確保しているものの、細胞治療事業(再生医療)への研究開発投資により期間損益でマイナスが先行する結果となっております。
当中間連結会計期間においても営業赤字が継続しているため、継続企業の前提に重要な疑義を生じさせるような状況となっておりますが、バイオシミラー事業の拡大に伴う運転資金や細胞治療事業の研究活動資金のニーズに対して、バイオシミラー事業によるキャッシュフローで対応することに加え、金融機関からの借入、転換社債型新株予約権および第三者割当による新株予約権の発行により、適時、事業継続に必要な資金調達活動を実施しておりますので、継続企業の前提に関する重要な不確実性はないと認識しております。
文中の将来に関する事項は、当中間連結会計期間の末日現在において判断したものであります。なお、当社グループは、当中間連結会計期間より中間連結財務諸表を作成しているため、前中間連結会計期間及び前連結会計年度末との比較分析は行っておりません。
(1) 財政状態の状況
① 資産
当中間連結会計期間末における総資産の残高は、4,645,792千円となりました。
主な内訳は、現金及び預金1,695,373千円、仕掛品752,698千円、前渡金1,294,971千円、投資有価証券267,593千円であります。
② 負債
当中間連結会計期間末における負債の残高は、3,788,597千円となりました。
主な内訳は、長期借入金(1年内返済予定を含む)1,631,480千円、バイオシミラー製品に関する製造費用の一部について、パートナー企業からの契約負債として1,257,283千円、転換社債型新株予約権付社債500,000千円であります。
③ 純資産
当中間連結会計期間末における純資産の残高は、857,195千円となりました。
主な内訳は、資本金2,159,537千円、資本剰余金11,465,138千円、利益剰余金△12,950,877千円であります。
(2) 経営成績の状況
当社グループは、創業事業であり先行バイオ医薬品の研究開発を行う「バイオ新薬事業」、先行バイオ医薬品の後続品であるバイオシミラーの開発及び開発品の上市達成後における原薬等の供給を行う「バイオシミラー事業」、乳歯歯髄幹細胞(SHED: Stem cells from Human Exfoliated Deciduous teeth,シェド)を活用した再生医療等製品の実用化を目指す「細胞治療事業(再生医療)」の3つを主要事業としてまいりました。この事業領域について、前期、新たな経営体制の下で協議、検討を行い、企業価値の最大化と株価の回復・成長の早期実現を目的として、3事業に分散していた経営資源を安定的な収益基盤であるバイオシミラー事業と成長基盤である細胞治療事業(再生医療)の一部のパイプラインに戦略的かつ集中的に投下することを決定しております。なお、バイオ新薬事業につきましては、既に取得済みの研究成果を基に外部機関における研究活動をさらに進めるため、事業開発活動に専念しております。
このように、経営資源の戦略的な投下に加え、構造改革等を通じて事業間の連携を強化することで、事業ごとに蓄積してきた研究開発ノウハウ、経験、知見を当社グループで効果的に共有し、バイオシミラー事業と細胞治療事業(再生医療)における研究開発活動をさらに効率的かつ強力に推進してまいります。
また、上述の構造改革の一環として、本年4月1日付で、細胞治療事業を当社100%子会社である株式会社S-Quatre(エスカトル)として分社化しております。これにより、当社はバイオシミラー事業に、株式会社S-Quatreは細胞治療事業にそれぞれ専念する体制といたしました。なお、当該分社化に伴い、当社グループは当連結会計年度より連結決算に移行しております。
当中間連結会計期間における当社グループの連結業績は、売上高 1,749,911千円、研究開発費 340,907千円、営業損失 262,520千円、経常損失 267,993千円、親会社株主に帰属する中間純損失 241,794千円となりました。当中間連結会計期間においては、計画通りバイオシミラー製品の納品が進んでおり、売上高は拡大しています。なお、一部バイオシミラー製品について、パートナー製薬企業から製造委託先企業に対し、製造費用を一時的に直接お支払いいただく等の運転資金の効率化を目的とした臨時的な支払い条件が、前期から引き続き適用されております。そのため、当該製造費用が当社売上高及び売上原価として計上されず、利益のみが売上高に計上される形となっています。当該支払い条件の影響については、当連結会計年度下半期に向けて縮小する予定です。
一方で、バイオシミラー事業については、バイオシミラー製品の原薬を製造している海外における物価上昇及び円安の影響を受け、利益率が低下しています。さらに、細胞治療事業における順調な研究開発活動に伴う研究開発投資が進んだことを受け、営業損失、経常損失、親会社株主に帰属する中間純損失となりました。
しかしながら、バイオシミラー事業では、上述の外部要因等による利益率の低下を受けつつも、事業単体での黒字化を達成しております。
当中間連結会計期間における各事業の進捗状況は以下のとおりであります。
① バイオシミラー事業
バイオシミラー事業においては、患者の経済的な負担軽減を通じた治療継続や、医療費削減による健康保険制度の維持といった社会的意義・責任に基づき、先行バイオ医薬品と同等の品質・安全性・有効性を有するバイオシミラーの事業化に取り組んでいます。
今後も多くの先行バイオ医薬品が国内外の大手製薬企業等によって開発され、上市後にそれらが特許期間・再審査期間の満了を迎えていくことで、バイオシミラー市場においては引き続き豊富な事業機会が期待できます。加えて、国内では厚生労働省によるバイオシミラーの普及目標の設定や使用促進に向けた診療報酬が新設されたこと等から、バイオシミラーに対する需要のさらなる高まりを背景とした継続的な市場規模拡大が予測されています。一方で、国内にはバイオシミラー開発に関わるノウハウや実績、人材を有する企業が数少ない中で、当社グループは、これまでに蓄積してきた開発ノウハウや知見、人材等を活用することで、今後も多くのバイオシミラーの事業化に貢献するとともに、市場規模の拡大ペースを超える事業成長の実現を目指しています。
これまでの実績として、当社グループは、現在日本国内において承認されているバイオシミラー18製品のうち4製品の開発に携わり、当該4製品全てが市場一番手で上市しております。その結果、上市済み製品による販売収益等が、研究開発費を除いた一般管理費、すなわち固定費を上回る規模に成長しており、今後も当該事業が中期で安定的かつ継続的に収益を生むと想定されることから、バイオベンチャーとしては特異な戦略である「安定と成長の両立」に沿った企業価値最大化における重要事業と位置付けております。
また、バイオシミラー事業の新たな収益源の創出を通じたさらなる成長を目指し、当社グループは、2024年6月、抗体医薬品の新薬開発に強みを持つ株式会社カイオム・バイオサイエンス(以下、「カイオム」)と、バイオシミラーの開発に関する業務提携契約を締結いたしました。本契約に基づき、今後両社で合意した新規バイオシミラーの開発候補品について、両社のバイオ人材、バイオ医薬品の開発ノウハウや経験等を組み合わせ、また開発費用を分担した上で、主に細胞株や製造プロセス等の共同開発を進めます。この協業によって開発された細胞株や製造プロセス等を製薬企業等へ導出あるいは譲渡した場合に得られる収益や、当該製薬企業等に対する開発支援等の業務提供による収益は、両社でプロフィットシェアすることとし、効果的にシナジーを生み出す協業モデルを目指しています。
既に、当該業務提携に基づく当社グループにとっての第5製品目以降の開発計画の具体化と並行して、複数の国内外製薬企業等と秘密保持契約下での協議を進めており、海外市場における事業展開も見据えた共同事業化契約等の早期締結を目指しております。
一方で、当中間連結会計期間における資金効率と利益率の改善・適正化への取り組みとしては、主にGBS-007とGBS-010に対する堅調な需要の成長に伴う製造運転資金の増加に対応するための支払い条件等の変更、海外における物価上昇及び円安の影響を受けた製造費用上昇の供給価格への反映等について、パートナー製薬企業との協議・調整を継続しています。
なお、かねてより一部バイオシミラー原薬等の安定供給体制の強化・維持、及び製造原価低減等を目的とした、新規製造委託先への技術移管・製造法開発等にも注力してきました。既に、独立行政法人医薬品医療機器総合機構(PMDA)からの承認取得に向けた開発工程は概ね計画通り完了しておりますが、追加対応事項等の発生により、承認取得時期が当初計画より半年程遅延する見込みとなり、当社グループの収益改善に向けた原価率低減は2026年度から実現する見込みであります。
② 細胞治療事業(再生医療)
当社グループの飛躍的な事業価値向上を支える成長事業と位置付けている細胞治療事業(再生医療)においては、2019年3月に買収した株式会社セルテクノロジーの技術を基に、健常ドナーの乳歯から採取できるSHEDを活用し、革新的な再生医療等製品等の研究開発に取り組んでおります。細胞治療(再生医療)は、これまで有効な治療法のなかった難病や希少疾患等の治療が可能になると期待されており、その基盤技術の一つであるiPS細胞の発見に対して、2012年に京都大学の山中伸弥教授らがノーベル医学・生理学賞を受賞したこともきっかけとなって、現在までに応用研究や産業化に向けた取り組みが世界で大きく進捗しています。
当社グループが事業化に取り組むSHEDは小児の組織由来であることから、これまで広く研究されてきた骨髄や脂肪組織由来の間葉系幹細胞(MSC)と比べて若く、増殖能が高いため、わずか1本の乳歯から大量の再生医療等製品等の製造が可能です。また、海外ドナー由来の再生医療等製品等とは違い、日本国内で安定的・持続的に入手可能な乳歯を原料とするため、国内での安定的な製造・提供という点においても優位性が期待できます。
2019年以降、自社及びパートナー企業・アカデミアとの連携・共同研究を通じて、SHEDのサイエンスを追求するとともに、SHEDを原料とする再生医療等製品の製造法の開発に取り組んでまいりました。2020年3月には、経済産業省により、再生医療等製品の製造を目的としたヒト細胞原料の供給における法的・倫理的・社会的課題を整理した「ヒト(同種)細胞原料供給に係るガイダンス(初版)」(2021年3月に第2版を公表)が取りまとめられるなど、事業環境の整備が進む中、当社は2022年8月に国内において臨床応用可能な「SHEDマスターセルバンク(MCB)構築を完了、さらに2024年3月には海外市場への参入に向けた第一歩として、米国FDA基準に準拠したMCBの製造を完了させ、これらを用いた再生医療等製品の臨床開発に向けた取り組みを着実に進めています。また、この過程で構築した乳歯ドナーの募集から、提携する医療機関での抜歯、GMP施設におけるMCB製造に至る一連のシステム「S-Quatre®(エスカトル)」を活用し、自社パイプラインだけでなく、再生医療等製品やエクソソーム等の細胞関連医薬品を開発する他企業にMCBを提供するプラットフォームビジネスの展開にも取り組んでおります。
なお、当社グループ独自の製造法によるSHED(SQ-SHED:株式会社S-Quatre設立によりKWB-SHEDから呼称変更)は、他の組織由来のMSCや、同じSHEDでも一般的な方法で製造したものとは異なる遺伝子発現パターンを示し、特に神経成長、血管新生、細胞遊走に関する遺伝子発現が高く、関連するタンパク栄養因子の産生量も高いことを見出しております。また、実際に、SQ-SHEDがこれらの生物活性を強力に促進することを、細胞機能試験及び動物モデル試験において確認し、2022年10月に特許出願いたしました。
これらSQ-SHEDの特徴を活かし、治療効果が期待できる疾患として、脳性麻痺(遠隔期)、骨疾患等を選択し、研究を進めてきた結果、前期中に、共同研究先の名古屋大学主導による脳性麻痺(遠隔期)を対象とした自家(患者様自身の)SHEDの臨床研究が開始されました。2023年10月の第一症例の患者様の登録開始以降、順調に全症例の登録が進み、患者様へのSHEDの投与及びその後の観察が進行中です。また、日本国内における脳性麻痺(遠隔期)を対象とした構築済みのMCBを用いた同種(他家)SHEDの企業治験については、治験製品の製造準備、PMDAとの相談等が進んでいます。当該治験については、開発パートナー企業が主導することを想定しており、当連結会計年度(2025年3月期)中の開発パートナー企業との契約締結、2025年度(2026年3月期)中の当該開発パートナー企業による治験計画届出の実現に向けて、協議を進めています。加えて、海外市場における脳性麻痺(遠隔期)を対象とした臨床開発に向けて、海外開発受託機関等との契約を締結し、治験責任医師や治験実施施設の選定含む開発体制の構築等に取り組んでいます。
骨疾患を対象した研究開発においては、2024年9月に獨協医科大学および HOYA Technosurgical株式会社と虚血性骨疾患の新規治療法開発を目指した共同研究契約を締結し、当該疾患における新規治療法の実用化に向けた共同研究を開始しております。
なお、既に臨床開発が進む第一世代SHEDに加え、より高い治療目標の達成や、新たな疾患領域への応用拡大を目指し、遺伝子導入や培養法改変によってSQ-SHEDの機能を強化した第二世代SHEDの基礎研究及び製造プロセス開発活動についても進捗が見られており、今後、臨床開発段階への早期発展を目指した取り組みを積極化してまいります。
③ その他事業価値向上に向けた取り組み
前期から、新たな経営体制の下、企業価値の最大化と株価の回復・成長の早期実現を目的として、経営資源の効率的な活用、資金調達手段の最適化、事業価値の見える化に取り組んでおります。
経営資源の効率的な活用については、上述の通り、3事業に分散していた経営資源をバイオシミラー事業と細胞治療事業(再生医療)に戦略的かつ集中的に投下することを決定し、構造改革等を通じた事業間の連携強化と、事業ごとに蓄積してきた研究開発ノウハウ、経験、知見の組み合わせにより、それぞれの事業における研究開発活動の強化、効率化を進めています。また、複数ある研究開発パイプラインに対し、進捗や事業性などの面から優先順位付けを行い、継続的な成長の追求と研究開発投資の適正化に取り組んでいます。
資金調達手段の最適化に向けては、株式会社S-Quatreの設立により、当社はバイオシミラー事業に、株式会社S-Quatreは細胞治療事業に専念する体制を構築し、それぞれの事業特性や事業ステージに応じた資金調達手段の活用に向けた取り組みを開始しました。具体的には、銀行や投資ファンド等の金融機関のみならず、それぞれの事業パートナー候補企業との資本提携も視野に、既に複数社と秘密保持契約下での協議を進めています。また、主にバイオシミラー事業における資金効率の改善については、パートナー製薬企業との支払条件変更等の協議・調整により売上債権の回転率改善等が見え始めており、バイオシミラーに対する需要拡大で大きく増加した運転資金の圧縮が進んできました。今後も、研究開発投資と運転資金の適正化に継続して取り組み、資金ニーズをコントロールするとともに、間接金融の活用拡大、事業パートナーからの資金調達に努め、株式市場依存からの早期脱却を目指していきます。
事業価値の見える化については、株式会社S-Quatreの設立を通じて、当社単体としてのバイオシミラー事業の黒字化を明確に開示できる体制を構築する等、株式市場に対する情報発信の質の向上に継続して取り組んでおります。また、前年度構築した海外機関投資家に対する開示体制を活用しつつ、『BIO International Convention』をはじめとする国内外のパートナリングイベントにも積極的に参加し、海外機関投資家との対話の強化を図ることや、アナリストやメディア等との活発なコミュニケーションを通じて、当社グループの強みに対する理解を進めると同時に、レポートや記事等を通じた幅広い情報発信につなげること、個人投資家向け説明会を地域や対象を広げて企画・実施すること等、IR・PR活動の強化に取り組んでおります。
(3) キャッシュ・フローの状況
当中間連結会計期間末における現金及び現金同等物(以下、「資金」という。)は、1,695,373千円となりました。
当中間連結会計期間における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動により減少した資金は288,426千円となりました。これは主に、売上債権の減少373,563千円、契約負債の増加139,509千円あったものの、税金等調整前中間純損失の計上240,894千円、前渡金の増加555,403千円があったことによるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動により減少した資金は2,954千円となりました。これは敷金の差入による支出があったことによるも
のです。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動により減少した資金は244,657千円となりました。これは新株予約権の行使による株式の発行による収入198,862千円があったものの、長期借入金の返済による支出443,520千円があったことによるものであります。
(4) 会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
前事業年度の有価証券報告書に記載した「経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析」中の会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定の記載について重要な変更はありません。
(5) 経営方針・経営戦略等
当中間連結会計期間において、当社が定めている経営方針・経営戦略等について重要な変更はありません。
(6) 優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
当中間連結会計期間において、当社が優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題について重要な変更はありません。
(7) 研究開発活動
当中間連結会計期間における研究開発活動の金額は、340,907千円であり、各パイプラインの研究開発状況については、概ね計画どおりに進捗しております。
(8) 資本の財源及び資金の流動性に係る情報
資本の財源及び資金の流動性につきましては、バイオシミラー事業における上市済製品によって得られる販売収益等の範囲の中で研究開発以外の事業活動を実施することで、安定的に確保することを基本方針としております。しかしながら、前期においては、GBS-007及びGBS-010がそれぞれの当初需要想定を大きく上回るペースで成長したことを受けて上方修正されたパートナー製薬企業の需要予想に基づき、原薬等の製造回数の追加等を進める中で、原薬を製造する海外での物価上昇及び円安の影響により増加し続ける運転資金の確保に対応する必要がありました。その対応として、2023年7月には第三者割当による新株予約権(行使価額修正条項付)を発行し、未行使である新株予約権を除いて約10億円、さらに金融機関からの借入による10億円、総額約20億円規模の資金を調達いたしました。また、パートナー製薬企業との間で支払い条件の見直し等に関する協議を重ねた結果、売上債権の回転率改善等が見え始めており、大きく増加した運転資金の圧縮が進んできました。なお、当該製品の市場シェア成長が一巡し安定した際には、運転資金が安定することから、上述の原価低減策の成果と合わせ、バイオシミラー事業の販売収益等により、研究開発費を含む事業活動資金を全て賄えるようになることを見込んでおります。
安定的な資金の流動性の確保に取り組む一方で、バイオシミラー事業、細胞治療事業(再生医療)共に、継続的な成長のためには、今後も中長期的な戦略に基づいた研究開発投資の維持が必須です。しかし、上述の通り、GBS-007とGBS-010が大きく成長している期間においては、運転資金が拡大するため、バイオシミラー事業における販売収益等に加えて外部からの研究開発資金の獲得が重要です。当中間連結会計期間においては、当社はバイオシミラー事業に、子会社の株式会社S-Quatreは細胞治療事業(再生医療)に特化し、それぞれの事業特性に合わせた独自の研究開発資金調達に取り組んでおります。具体的には、開発パートナー企業等との資本業務提携や契約一時金の獲得、各種助成金等の活用を想定しており、必要に応じた間接金融等からの資金調達と合わせた資金調達手段の多様化と最適化を図ってまいります。また、バイオシミラー事業及び細胞治療事業(再生医療)の双方において、研究開発活動の進捗及び事業性に基づいてパイプラインの優先順位を機動的に見直すことや、早期のパートナリング等による役割と費用負担の分担を進めること等を通じて、メリハリのある研究開発投資の実行と研究開発投資リスクの低減に取り組み、将来の成長性を毀損することなく、まさに「安定と成長の両立」戦略に基づいたバランスの良い財務基盤の確立を目指します。
なお、当社グループは、当中間連結会計期間末で現金及び預金並びに売掛金を合わせて2,203,216千円の残高を有しております。未行使である新株予約権の行使に加え、前期から継続しているパートナー候補企業との協議の一部が契約締結に至ることで、今後中期的に予定されている研究開発投資の実施に向け十分な資金を確保できる見込みです。
当中間連結会計期間において、経営上の重要な契約等の決定又は締結等はありません。