第2【事業の状況】

1【事業等のリスク】

 当中間会計期間において、新たな事業等のリスクの発生又は前事業年度の有価証券報告書に記載した事業等のリスクについての重要な変更はありません。

 

重要事象等

 当社は、前事業年度まで10期連続となる営業損失及び11期連続となるマイナスの営業キャッシュ・フローを計上しており、継続企業の前提に関する重要な疑義を生じさせるような事象又は状況が存在しております。

 当社は、当該事象又は状況を解消し事業基盤及び財務基盤の安定化を実現するために、以下の対応策を講じております。

①事業基盤の安定化

 徹底的なコスト削減や、事業の選択と集中により、事業基盤の安定化を図ってまいります。具体的には、既存タイトルについては、各タイトルの収益状況に応じた人員配置を行うなど運営体制の見直しを継続的に行うことによりコスト削減を図るほか、その中においても収益が見込めない既存タイトルについては、それらの事業譲渡・配信終了も視野に対応する方針であります。また、他社IPタイトルとのコラボレーションを実施するなど、他社IPの協力を得ることによりユーザーのログイン回数や滞留時間の増加を図り、売上収益の拡大を進めてまいります。今後の新規タイトルにつきましては、新規開発に注力できる体制を構築・維持することで、高品質なタイトルの開発を推進いたします。人員体制及び協力企業の制作力・技術力を踏まえ、過去事例を参考に慎重に工数を見積もることで、開発スケジュールの遅延等による開発費の増加が生じないよう努めてまいります。また、IPの価値と経済条件を踏まえ収益性が高く見込まれるタイトルに対して優先的に開発・運営人員を配置することにより、当社の収益改善を図ってまいります。

 

②財務基盤の安定化

 財務面につきましては、財務基盤の安定化のため、複数社の取引金融機関や協業先と良好な関係性を築いており、引き続き協力を頂くための協議を進めております。なお、2025年1月10日付で発行した第三者割当による行使価額修正条項付第19回新株予約権が2025年5月29日までにすべて行使された結果、727,315千円の資金調達をしており、財務基盤の安定化が図られております。売上高やコスト等の会社状況を注視し、必要に応じてすみやかな各種対応策の実行をしてまいります。

 

 上記の対応策を講じていくとしても、既存タイトルの売上動向、新規タイトルの売上見込及び運営タイトルの各種コスト削減については将来の予測を含んでおり、引き続き業績の回復状況を慎重に見極める必要があることから、現時点では継続企業の前提に関する重要な不確実性が認められます。

 なお、中間財務諸表は継続企業を前提として作成しており、継続企業の前提に関する重要な不確実性の影響を中間財務諸表に反映しておりません。

 

2【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

 文中の将来に関する事項は、当中間会計期間の末日現在において判断したものであります。

 

(1)財政状態及び経営成績の状況

①経営成績

 当中間会計期間における我が国経済は、雇用や所得環境の改善により緩やかな回復傾向にある一方で、為替相場の変動や原材料価格の高騰による物価上昇などの影響により、依然として先行き不透明な状況が続いております。

 このような事業環境の中、当社は「Link with Fun」というスローガンのもと、「世界中にenishファンを作り出す」というミッションを掲げ、より多くのお客様に楽しんでいただける魅力的なサービスの提供に取り組んでおります。

 既存タイトルについては、リリース15年目を迎えた「ぼくのレストラン2」および「ガルショ☆」は、コラボレーション施策などが好調に推移しており、引き続き当社の売上収益に大きく貢献しております。今後も運営施策の工夫により売上の逓減を最小限に抑えるとともに、よりきめ細やかな対応を図り、ユーザーの皆様の満足度向上に努めてまいります。

 リリース3周年を迎えた大人気作品『進撃の巨人』のスマートフォンゲーム「進撃の巨人 Brave Order」では、ゲーム内のさらなる活性化を図るため、新規ユーザーの獲得や既存ユーザーの呼び戻し施策、機能改善などを進めており、引き続き魅力的なイベント施策を展開し、収益寄与につなげてまいります。

 2024年8月にリリースされた、累計ダウンロード数900万突破のスマートフォン向けドラマチック共闘オンラインRPG「De:Lithe~忘却の真王と盟約の天使~」をベースとした、モバイルゲームクオリティのブロックチェーンゲーム「De:Lithe Last Memories(ディライズ ラストメモリーズ)」は、無数の敵を殲滅しながらダンジョンを進行するローグライトRPGです。ガバナンス・ユーティリティトークン「GEEK」の暗号資産取引所からのデリストにより、売上への寄与は限定的となりましたが、当社は再始動に向けた対応を開始しております。今後は、ユーザーの皆様からいただくご意見を大切にしながら、今後の展開につなげてまいります。なお、「GEEK」のデリストにより、当社がGeekOut PTE.LTD.に対して保有していた貸付金及び売掛金について、回収不能と判断したことから、当中間会計期間において貸倒損失244百万円を特別損失として計上しております。

 また、足元の状況としては、2025年夏のリリースを予定する新作オンライン麻雀ゲーム「雀エボライブ」を開発中であることを発表いたしました。本作は、麻雀初心者から上級者まで、様々なプレイモードで対戦麻雀をお楽しみいただけるオンライン麻雀ゲームです。36人の個性豊かなキャラクター(ドール)が雀士として登場し、36 人の豪華声優陣がキャラクターボイスを担当するなど、麻雀対局だけでなく、登場キャラクターの魅力を活かしたコレクション要素も本作の特徴です。お気に入りの雀士(ドール)のきせかえ衣装を集め、自分だけの特別な雀士ライフをお楽しみいただける内容となっております。

 さらに、2025年夏のリリースを予定する新作パズルゲーム「声優どうぶつ園 ボイスフル」を開発中であることを発表いたしました。本作は、パズルゲームとしての爽快感とキャラクターの個性を活かした演出が特徴のスマートフォン向けゲームです。大手声優事務所81プロデュース所属の31名の声優が参加し、それぞれが個性豊かなキャラクターの声を担当しており、ゲームの世界観をより魅力的に演出します。今後は段階的にキャラクターや出演声優に関する情報を公開していく予定であり、ぜひ皆さまに“推しボイス”を見つけていただければと考えております。

 コスト面においては、AI技術を活用した業務プロセスの効率化を社内で推進し、より生産的かつ持続可能な体制の構築を図っております。その結果、コスト適正化の取り組みが着実に成果を上げており、外注加工費や広告宣伝費の削減につながるなど、売上原価および販売費及び一般管理費の低減も引き続き実現されています。

 なお、当社に対しては、株式会社HashPaletteより不当利得返還請求として176百万円の訴訟が提起されておりますが、今後、先方の主張及び請求内容を精査のうえ適切に対処してまいります。進捗に伴い、開示すべき事項が判明した場合には、速やかにお知らせいたします。

 当事業年度においては、既存タイトルの効果的運営を推進するとともに、当社がこれまでに獲得したWeb3サービスに関するノウハウを活かしたゲームを含む、新規タイトルの開発に向けても人材を投入しております。引き続き有力IP案件を確保するなど、年1~2本ペースでの新規タイトルリリースを通じて、利益の積み上げと企業価値の向上を図ってまいります。

 この結果、当中間会計期間の業績は、売上高は1,193百万円(前年同期比24.2%の減少)、営業損失は384百万円(前年同期は577百万円の営業損失)、経常損失は382百万円(前年同期は609百万円の経常損失)、中間純損失は633百万円(前年同期は611百万円の中間純損失)となっております。

 

②財政状態

(資産)

 当中間会計期間末の流動資産につきましては、前事業年度末に比べて16百万円増加し、1,504百万円となりました。これは主に、現金及び預金の増加(前事業年度末比240百万円の増加)があった一方で、売掛金の減少(前事業年度末比212百万円の減少)によるものであります。固定資産につきましては271百万円となりました。

 この結果、総資産は、前事業年度末に比べ15百万円増加し、1,776百万円となりました。

(負債)

 当中間会計期間末の流動負債につきましては、前事業年度末に比べて78百万円減少し、789百万円となりました。これは主に、買掛金の減少(前事業年度末比43百万円の減少)、未払金の減少(前事業年度末比43百万円の減少)によるものであります。固定負債につきましては3百万円となりました。

 この結果、負債合計は、前事業年度末に比べ79百万円減少し、792百万円となりました。

(純資産)

 当中間会計期間末の純資産につきましては、前事業年度末に比べて94百万円増加し、984百万円となりました。これは主に、中間純損失を633百万円計上したものの、第三者割当による行使価額修正条項付第19回新株予約権の権利行使により資本金及び資本剰余金がそれぞれ364百万円増加したことによるものであります。

 

(2)キャッシュ・フローの状況

 当中間会計期間末における現金及び現金同等物(以下、「資金」という。)の残高は、967百万円となりました。当中間会計期間における各キャッシュ・フローの状況は次のとおりであります。

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

 当中間会計期間において営業活動により使用した資金は、376百万円となりました。これは主に、税引前中間純損失631百万円の計上、貸倒損失244百万円の計上があった一方で、売上債権の増減額52百万円があったことによるものであります。

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

 当中間会計期間において投資活動により使用した資金は、108百万円となりました。これは主に、暗号資産の取得による支出104百万円、有形固定資産の取得による支出3百万円があったことによるものであります。

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

 当中間会計期間において財務活動により獲得した資金は、689百万円となりました。これは主に、新株予約権の行使による株式の発行による収入724百万円によるものであります。

 

(3)会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

 前事業年度の有価証券報告書に記載した「経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析」中の会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定の記載について重要な変更はありません。

 

(4)経営方針・経営戦略等

 当中間会計期間において、当社が定めている経営方針・経営戦略等について重要な変更はありません。

 

(5)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題

 当中間会計期間において、当社が優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題について重要な変更はありません。

 

(6)財務及び事業の方針の決定を支配する者の在り方に関する基本方針

 当中間会計期間において、当社の財務及び事業の方針の決定を支配する者の在り方に関する基本方針について重要な変更はありません。

 

(7)研究開発活動

 該当事項はありません。

 

3【経営上の重要な契約等】

 当中間会計期間において、経営上の重要な契約等の決定又は締結等はありません。