第2 【事業の状況】

 

1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1)会社の経営の基本方針

当社グループは、「“生活者の不利益解消”という正義を貫き、安心で豊かな暮らしの創造をめざします」という経営理念のもと、専門的な知識を持たない生活者が、専門的な知識・経験を持つ供給者から一方的に情報を提供されている不利益を解消するため、私たちはこの情報格差を埋める役割を担う住生活エージェントとして、高度な知見をもとに公正な立場で商品やサービスを今後も開発・提供してまいります。

これを実現するためには、株主はもとより、お客様、お取引先、従業員等のステークホルダーとの良好な関係を築き、企業倫理とコンプライアンス遵守を徹底するとともに、企業活動を律する枠組みであるコーポレート・ガバナンスを一層強化し、企業価値の向上に努めてまいります。

 

(2)目標とする経営指標

当社グループは、企業価値を高めるために、成長性・収益性の指標として、売上高伸び率と売上高営業利益率を重視しております。また、新たな経営指標としてROE(自己資本利益率)を採用し、株主資本コストを意識した経営により企業価値の向上に努めてまいります。

 

(3)会社の対処すべき課題

① 収益確保と成長

少子高齢化により国内の住宅市場における新設住宅着工戸数の減少が予想されるなか、地盤事業の受注拡大による安定した収益確保と住宅市場における新たなサービス商品の提供による成長が課題となっております。また、新型コロナウイルス感染症収束後の社会変化への対応も課題となってまいります。

地盤調査解析サービスは安定した収益確保のための事業として認識しており、受注拡大が必要と考えております。災害や不同沈下による地盤事故ゼロを目指し、ビッグデータを利用した「地盤安心マップPRO」による災害リスクの事前調査、全自動地盤調査機「iGP」による平時の地盤強度調査、微動探査機「地震eye」による地震発生時の有事における地盤の揺れやすさを調査する微動探査調査の3つの「トリプル調査」と過去の沈下事故の検証結果も取り入れた解析技術が当社の優位性であると認識しています。これらのサービス商品の積極的な提案に加えて、新たなサービス商品の提供により、既存顧客のCS向上を図ると同時に、営業強化による新規取引先の開拓で、既存および新規顧客に当社のサービスを積極的にご利用いただき、シェア拡大を図る事で安定した収益確保に取り組んでまいります。

今後の住宅市場においては、既存(中古)住宅・空き家市場の拡大が予想されます。地面を掘削しない非破壊測定ができる微動探査機「地震eye」による既存(中古)住宅・空き家の地盤調査および建物耐震調査「デジタル耐震チェック」、既存住宅の不同沈下事故を10年間補償する「地盤ロングライフ補償」、平時の地盤強度と有事の地震発生時の地盤の揺れやすさの両方に対応したリフォーム「地盤適合耐震リフォーム」は、今後の既存(中古)住宅・空き家市場において成長が見込まれるサービス商品として販売強化に取り組んでまいります。

当社の顧客である工務店・ビルダーは、従来のモデルハウスの利用による販売や対面での商談から、インターネットを利用したバーチャルモデルハウスや非対面での商談にシフトし、施主様からの受注拡大を図る事が重要であり、当社の顧客である工務店・ビルダーの受注拡大が当社の地盤調査解析サービスの拡大につながると認識しております。当社の連結子会社であるJIBANNET ASIA CO., LTD.(ベトナム)のダナンBCPOセンターで作成し提供している、BIMを活用した3Dパース(完成予想図)・ウォークスルー動画・VRを工務店・ビルダーが利用することで施主様からの受注を拡大していただき、その結果として、当社の地盤調査解析サービスが拡大するように取り組んでまいります。また、日本の住宅業界においてはBIMオペレーターが少ないという現状をふまえ、ダナンBCPOセンターにおいてBIM技術者の採用・教育により、BIMを活用したサービスを拡大する事および新たなサービス商品を開発する事も工務店・ビルダーの受注拡大に繋がるものと考え、サービス拡大と商品開発に積極的に取り組んでまいります。

 

2018年に事業を譲り受けた住宅設計・販売・施工事業、リフォーム事業の住宅関連サービスは収益確保と受注拡大が課題となっております。住宅設計施工の知見と技術は地盤調査解析における耐震調査・耐震設計の技術的サポート等、地盤と住宅の相乗効果を生み出しましたが、「トリプル調査」と地盤特性を考慮した建築計画による「地盤適合耐震住宅」の拡大には至っておりません。災害大国日本における地盤特性を考慮した建築計画の重要性を発信し続ける事に加え、「地盤適合耐震住宅」の認知度向上のための取組も実施してまいります。また、都心部から、安心安全ないい地盤が多い郊外エリアへの住み替えや地方への移住のための不動産事業にも取り組んでまいります。

 

当社グループの成長のためには、経営体制の強化と社員の能力向上が重要な課題と認識しております。また、「働き方改革」「新しい働き方のスタイル」が求められております。

経営体制の強化においては、戦略・計画に基づく事業計画を策定し、精度の高い進捗管理を行う体制を整えることで着実に事業を拡大し成長できる体制を整えてまいります。「働き方改革」「新しい働き方のスタイル」においては、社員一人一人の行動力および自己管理能力向上と社員の成果を見える化し評価する事が重要であると考え、社員研修の充実と評価基準の見直しおよび評価者訓練を実施し、社員の能力を向上させることで事業計画達成による会社の成長に取り組んでまいります。

 

② SDGsへの取組

2015年9月に国連本部において採択された2030年までに達成を目指す国際目標であるSDGs(Sustainable Development Goals:持続可能な開発目標)への取組は、企業の社会的責任として取り組むべきものと認識しております。当社グループにおいては、「住みつづけられるまちづくりを」「気候変動に具体的な対策を」の二つを主要な取り組むべき目標として掲げ、今後の事業活動において具体的に取り組む体制を整備してまいります。

 

③ コーポレート・ガバナンス強化に向けた内部統制システム体制の強化

当社は、第10期(2018年3月期)内部統制報告において開示すべき重要な不備が指摘されて以降、内部統制システム体制の再構築を着実に進めてまいりました。引き続き、内部統制システムの整備向上と適切な運用に努め、業務の効率性・有効性、法令等遵守(コンプライアンス遵守)、財務報告の信頼性、資産の保全を確保してまいります。

内部統制システムは、当社グループが持続的に成長・発展するための仕組みであり、その体制強化はステークホルダーに信頼される企業に繋がるもの、すなわちコーポレート・ガバナンス強化においても最重要であると認識して取り組んでまいります。

 

 

2 【事業等のリスク】

有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資家の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項には、以下のようなものがあります。なお、文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末において当社グループが判断したものであります。

 

(1) 当社グループの事業に関するリスク

① 特定事業への依存によるリスク

当社グループは地盤解析サービスを核として事業を展開しております。今後は新たな柱となる事業を育成し、収益力の分散を図ることも検討しておりますが、事業環境の激変、競争の激化、新規参入企業による類似するサービスの出現等により、地盤解析サービスが縮小し、その変化への対応が適切でない場合、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

② 一般社団法人地盤安心住宅整備支援機構との関係上のリスク

当社グループは、一般社団法人地盤安心住宅整備支援機構を当社グループと連名での地盤品質証明書の発行主体とし、保険契約上の連名被保険者とする提携関係を結ぶことにより、事故対応等の総合的なリスクマネジメント体制を構築しております。当社グループは一般社団法人地盤安心住宅整備支援機構の一般社団法人法に定める社員であり、当面関係性に変化が生じる可能性は低いものの、何らかの原因により、提携先との関係が変化するようなことがあれば、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

③ 競合によるリスク

少子高齢化による国内の住宅市場における新設住宅着工戸数の減少により、地盤関連の市場規模の縮小が予想されます。その中で当社グループは、新たなサービスを提供し競合他社との差別化を行い、シェア拡大を図っておりますが、類似するサービスの出現等により、当社グループの提供するサービスの優位性が保てなくなった場合、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

  

④ 個人情報管理によるリスク

当社グループはサービス提供にあたり、顧客、施主等の個人に関連する情報を取得しております。これらの情報の取り扱いには、外部からの不正アクセスや内部からの情報漏洩を防ぐため、セキュリティ環境の強化、従業員に対する個人情報の取り扱いに対する教育等、十分な対策を行うと同時に、個人情報として管理すべき情報の範囲についても厳密な判断が必要であると考えております。しかし、今後何らかの理由により個人情報が漏洩した場合には、損害賠償や信用力の失墜により、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

⑤ 地盤解析サービスの瑕疵によるリスク

当社グループは、地盤調査データから、国土交通省令をはじめとする関係法令並びに日本建築学会等の各種団体が示す指針及び住宅瑕疵担保責任保険法人による設計施工基準に基づき、地盤解析を実施し、適正な住宅基礎仕様を判定しております。しかしながら、確認した地盤調査データについて、現在の調査技術においても予見できない原因や過失による地盤解析ミス等により不同沈下等が多数発生した場合には、当社グループの信用失墜や保険料率高騰等により当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

 

⑥ 損害保険会社との契約について

当社グループはあいおいニッセイ同和損害保険株式会社との間で損害保険契約を締結しております。当該保険契約は、当社グループが地盤解析を行い地盤品質証明書を発行した戸建住宅において、不同沈下等による地盤事故が発生した場合、引渡日より10年間もしくは20年間、最大5,000万円の地盤修復工事費用等を補填するものであります。しかし、将来においても同等の条件での保険加入が継続できるか、あるいは賠償請求を受けた場合に十分に地盤補修費用が補填されるかについては保証できません。また現状、当該保険契約はあいおいニッセイ同和損害保険株式会社のみとの契約となっております。

今後は事業の拡大に伴い契約社数を拡大する等、リスクの分散をしていきたいと考えておりますが、当社グループ及び損害保険会社を取り巻く環境の変化等により当該保険契約の継続が困難となった場合、当社グループの業績等に影響を及ぼす可能性があります。

 

⑦ 補償リスクの自家保有

当社グループは、地震を起因として発生した地盤変動による不同沈下等による地盤事故が発生した場合、引渡日より10年間、最大500万円の地盤修復工事費用等を補填する地盤品質証明書を発行しており、これに関わる損害保険契約を元引受保険会社と締結しております。連結ベースで効率的にリスクを自家保有するため再保険会社である当社連結子会社のJibannet Reinsurance Inc.(米国ハワイ州)が元引受保険会社より出再を受けております。また、当社連結子会社のJibannet Reinsurance Inc.(米国ハワイ州)のリスクを軽減するためにPeak Reinsurance Co.,Ltd.及びTaiping Reinsurance Co.,Ltd.に出再しております。自家保有コストを最小化するため、地盤事故を発生させない地盤解析技術の向上に努めておりますが、地盤事故が発生した場合、キャプティブスキームが変更となった場合、当社グループの業績等に影響を及ぼす可能性があります。

 

⑧ 債権の未回収リスク

当社グループの売上債権の総資産に占める割合は当連結会計年度末で15.4%となっております。取引先の資金繰り状況等により売掛債権の延滞が発生し貸倒引当金の積み増しを行うこととなった場合、当社グループの業績等に影響を及ぼす可能性があります。

 

⑨ 不動産市況等の影響について

当社グループの事業は、個人の所有する不動産に関連する事業であることから、不動産市況、住宅関連税制、住宅ローン金利水準等による購買者の需要動向並びに建築資材等の原材料の価格動向等に影響を受けております。

 

⑩ 新型コロナウイルス感染症の影響について

新型コロナウイルス感染症の拡大が長期化した場合には、企業収益の低下による雇用環境の悪化などから、消費者マインドに下押しの圧力がかかることが予想されます。その場合、新設住宅着工戸数の減少による地盤関連市場規模の縮小および新築・リフォーム受注件数の減少等のリスクが発生し、当社の業績等に影響を及ぼす可能性があります。

 

(2) 事業環境等に関するリスク

① 事業環境に関するリスク

当社グループが提供するサービスは、地盤業界(広くは住宅業界)に属しておりますが、我が国の人口・世帯数は減少局面に入っており、今後も新設住宅着工戸数は緩やかに減少していくものと考えられます。そのため、国内の新設住宅着工戸数の減少による競争激化や地盤関連市場の縮小は、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

② 地盤解析業務に係わる法的規制

地盤解析業務というサービスは法的に規定されたものではなく、将来、何かしらの理由により、地盤解析業務というサービス自体に法的な規制が設けられた場合、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

 

③ 戸建住宅等の地盤解析基準(地耐力に応じた基礎仕様)が明確なものとなった場合のリスク

当社グループの地盤解析基準は、国土交通省令を始めとする関係法令並びに日本建築学会等の各種団体が示す指針及び住宅瑕疵担保責任保険法人による設計施工基準に基づいておりますが、将来、何かしらの理由により、戸建住宅等の地盤解析基準が明確なものとなった場合には、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

④ 「住宅の品質確保の促進等に関する法律」及び「特定住宅瑕疵担保責任の履行の確保等に関する法律」(住宅瑕疵担保履行法)に関するリスク

当社グループは「住宅の品質確保の促進等に関する法律」及び「特定住宅瑕疵担保責任の履行の確保等に関する法律」に基づいて、地盤解析サービスを行っておりますが、将来、何かしらの理由により、法律の条文や解釈の変更があり、当社グループの地盤品質証明の意義が薄れた場合、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

⑤ 住宅関連サービスに係わる法的規制

住宅関連サービスは、特定建設業者として建設業法第3条第1項に基づく東京都知事の許可(許可番号 東京都知事許可(特-30)第149067号)を受け建築工事業、屋根工事業、大工工事業、タイル・れんが・ブロック工事業、内装仕上工事業、鋼構築物工事業を行うと共に、建築士法第23条第1項に基づく東京都知事の登録(地盤ネット株式会社一級建築士事務所 登録番号 東京都知事登録 第62658号)を受けて一級建築士事務所の運営をしております。また、宅地建物取引業法に基づく国土交通省からの宅地建物取引業免許(東京都知事(1)第102861号)を受けております。

 

⑥ 許認可等の期限について

a.特定建設業許可の有効期限は、2018年7月20日から2023年7月19日までとなっております。

b.一級建築士事務所登録の有効期限は、2018年9月1日から2023年8月31日までとなっております。

c.宅地建物取引業免許の有効期限は、2018年12月22日から2023年12月21日までとなっております。

 

⑦ 許認可等の取消事由について

a.特定建設業許可の取消事由は、建設業法第29条に定められております。

b.一級建築士事務所登録の取消事由は、建築士法第26条に定められております。

c.宅地建物取引業免許の取消事由は、宅地建物取引業法第66条に定められております。

 

⑧ 許認可等に係る事業活動への影響について

住宅関連サービスの事業継続には前述のとおり、特定建設業許可・一級建築士事務所登録・宅地建物取引業免許が必要でありますが、現時点において、当社グループはこれらの許認可等の取消又は更新欠落の事由に該当する事実はないものと認識しております。しかしながら、将来、何かしらの理由により許認可等の取消等があった場合には、住宅関連サービスの事業活動に支障をきたすとともに業績に重大な影響を与える可能性があります。

 

(3) 組織体制に関するリスク

少人数での組織運営上のリスク

当社グループは、少人数の組織体制を志向しております。事業の拡大と合わせ、今後、積極的に優秀な人材、特に経験豊富な営業人材及び地盤解析能力の高い人材を確保していき、組織体制をより安定させることに努めてまいりますが、計画通りに人材の確保が出来ない場合や、事業の中核をなす従業員に不測の事態が生じた場合、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

 

3 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1) 経営成績等の状況の概要

当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の概要は次のとおりであります。

① 財政状態及び経営成績の状況

当連結会計年度における我が国の経済状況は、新型コロナウイルス感染症の感染拡大予防の影響により経済活動への制約が継続的に実施され、年度後半には感染力が強いとされる変異株による感染が拡大するなど、引き続き先行きが不透明な状況が続いております。

当社グループの主要な事業領域である国内の住宅市場において、当連結会計年度における新設住宅着工戸数(※1)の総数は392,448戸(前年同期比8.6%減)となりました。持家の着工戸数は263,097戸(前年同期比7.1%減)、分譲住宅(一戸建て)の着工戸数は129,351戸(前年同期比11.5%減)といずれにおいても減少となっております。一方で、持家の着工戸数は2020年4月から10月までは前年同期比でマイナス成長となっていたものの、11月以降はプラス成長が続いており、分譲住宅(一戸建て)の着工戸数も2020年4月以降の全ての月で前年同期比マイナス成長となっておりますが2020年8月の前年同期比22.7%減をピークに2021年3月は前年同期比2.6%減と減少幅が縮小し、新設住宅着工戸数は緩やかな回復傾向となっております。

 

このような環境下において、当社グループは住生活エージェントとして、“生活者の不利益解消”という使命のもと、お客様の視点に立ったサービスを提供すべく事業を推進しております。

当社グループの主要な事業である地盤関連サービスにおいては、地盤に関する情報を集約した「地盤安心マップPRO」による災害リスクの事前調査、全自動地盤調査機「iGP」による平時の地盤強度調査、微動探査「地震eye」による地震発生時の有事の地盤揺れやすさ調査の「トリプル調査」の提案による受注拡大のための取り組みを行いました。住宅関連サービスにおいては、「トリプル調査」の結果に基く設計による「地盤適合耐震住宅」「地盤適合耐震リフォーム」の提案による受注拡大のための取り組みを行いました。しかしながら、受注件数拡大には十分につながらず、新設住宅着工戸数の減少もあり、当連結会計年度においては受注件数が減少し売上高は減少となりました。一方で、ウィズコロナ、アフターコロナに対応したサービスの展開、厳しい環境下においても利益を出せる体質への転換のための取り組みも行いました。

 

ウィズコロナ、アフターコロナの時代において、工務店・ビルダーの住宅販売手法は、従来のモデルハウスの利用による販売や対面での商談から、インターネットを利用したバーチャルモデルハウスの活用、商談は非対面型へのシフトが進んでおります。このような変化に対応できるツールとして、当社グループでは、工務店・ビルダーへBIM(※2)を活用した3Dパース(完成予想図)・ウォークスルー動画・VRの提供を拡大しました。

競合他社との差別化サービスとしてのBIMサービスの提供により、新規・競合他社を利用している工務店・ビルダーからの地盤解析サービス・地盤調査サービスの受注も増加しておりますが、前年同期の受注を上回るまでには至りませんでした。地盤解析サービス・地盤調査サービスは当社グループの原点として、受注拡大のための取り組みを引き続き行ってまいります。

 

BIMサービスは当社の連結子会社である、JIBANNET ASIA CO., LTD.(ベトナム)のダナンBCPOセンターで作成し提供しております。当連結会計年度においては、新型コロナウイルス感染症により予定していた生産体制拡大が計画通りに実行できず、売上の大幅拡大とはなりませんでしたが、BIMサービスは当社グループの成長のための主要事業と位置付け、ダナンBCPOセンターにおける投資を継続し、今後も拡大に取り組んでまいります。

新型コロナウイルス感染症の感染拡大予防のため、テレワークや在宅勤務が普及し、感染リスクの高い密集した都市部から郊外で暮らす動きが広まってきております。当社グループでは以前より災害から生活者の安心安全を守る不動産・住宅選びとして、郊外エリアへの住み替えや地方への移住のための「ジバングー不動産」、地盤から考える災害に強い住宅「地盤適合耐震住宅」「地盤適合耐震リフォーム」を提唱してまいりました。当連結会計年度においては、いい地盤が多い埼玉県飯能市と「移住定住の促進 安心・安全なまちづくりの連携協定」を締結しました。また、都心部から郊外エリアへの移住型フルオーダー住宅をいい地盤エリアの埼玉県入間市で完成引渡しを行いました。ウィズコロナ、アフターコロナの時代においては、利便性重視から安心安全重視の不動産・住宅選びが増えると予想されます。今後も「ジバングー不動産」「地盤適合耐震住宅」「地盤適合耐震リフォーム」の販売拡大に取り組んでまいります。

 

当連結会計年度において、新型コロナウイルス感染症拡大予防対策と働き方改革の導入により、当社グループはテレワーク・リモート営業を積極的に推進しました。これらの取り組みの効果として、オフィス面積縮小による賃料削減、在宅勤務に伴う役職員の通勤手当削減、WEBを活用した営業活動による営業交通費削減等につながりました。また、これらの費用以外についても費用対効果について検討し、積極的に経費見直しを行いました。これらの取り組みにより、厳しい環境下においても利益を出せる体質への転換を図ることができました。

 

(※1)国土交通省「建築着工統計調査報告」より、当社グループの事業領域である、持家と分譲住宅(一戸建て)の戸数を合算して、新設住宅着工戸数としております。

(※2)BIM:Building Information Modeling

コンピュータ上に作成した主に3次元の形状情報に加え、室等の名称・面積、材料・部材の仕様・性能、仕上げ等、建物の属性情報を併せ持つ建物情報モデルを構築するシステム。

 

これらの結果、当連結会計年度の財政状態及び経営成績は以下のとおりとなりました。

 

a.財政状態

(資産の部)

当連結会計年度末の資産合計は1,717,289千円となり、前連結会計年度末に比べ54,564千円増加いたしました。流動資産は1,573,364千円となり、前連結会計年度末に比べ102,569千円増加いたしました。これは主に、現金及び預金が77,853千円増加、販売用不動産が66,943千円増加に対し、受取手形及び売掛金が49,892千円減少したことによるものであります。固定資産は143,924千円となり、前連結会計年度末に比べ48,005千円減少いたしました。これは主に、長期貸付金が12,752千円減少、繰延税金資産が16,438千円減少したことによるものであります。

(負債の部)

当連結会計年度末の負債合計は439,197千円となり、前連結会計年度末に比べ77,836千円増加いたしました。流動負債は269,138千円となり、前連結会計年度末に比べ78,886千円減少いたしました。これは主に、未成工事受入金が49,288千円減少、未払法人税等が12,719千円減少したことによるものであります。固定負債は170,059千円となり、前連結会計年度末に比べ156,723千円増加いたしました。これは主に、長期借入金が160,000千円増加したことによるものであります。

(純資産の部)

当連結会計年度末の純資産合計は1,278,091千円となり、前連結会計年度末に比べ23,272千円減少いたしました。これは主に、譲渡制限付株式として自己株式を処分したことにより自己株式が11,286千円の減少、親会社株主に帰属する当期純損失33,943千円の計上によるものであります。

 

b.経営成績

当連結会計年度における経営成績は、売上高1,989,794千円(前年同期比17.0%減)となりました。なお、当社グループは、地盤解析を主な事業とする単一セグメントで事業活動を営んでおります。サービス別の売上高は以下のとおりです。

 

サービス

  前連結会計年度
(自  2019年4月1日
 至  2020年3月31日)

 当連結会計年度
(自  2020年4月1日
 至  2021年3月31日)

前年同期比

金額

(千円)

構成比

(%)

金額

(千円)

構成比

(%)

増減額
(千円)

増減率(%)

地盤解析サービス

897,669

37.4

794,953

40.0

△102,716

△11.4

地盤調査サービス

569,489

23.7

491,261

24.7

△78,227

△13.7

部分転圧工事サービス

253,890

10.6

210,110

10.6

△43,779

△17.2

住宅関連サービス

544,862

22.7

274,487

13.8

△270,374

△49.6

その他サービス

132,233

5.5

218,981

11.0

86,748

65.6

合計

2,398,144

100.0

1,989,794

100.0

△408,350

△17.0

 

(注)1.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。

2.当連結会計年度より部分転圧工事サービスを独立掲記しております。これに合わせ、前連結会計年度のサービス別売上高の組替えを行っております。

 

地盤解析サービス・地盤調査サービス・部分転圧工事サービスの地盤関連サービスは、トリプル調査の提案および差別化サービスとしてのBIMサービスの提供による受注拡大の取り組みを実施しましたが、新設住宅着工戸数減少の影響を受け、前年同期に比べ減少となりました。

住宅関連サービスは、水害や土砂災害、地震等の頻発する災害リスクに対応した「住み続けられる強い地盤、強い家づくり」を提唱し新築戸建住宅及びリフォーム工事の受注拡大の取り組みを実施しましたが受注拡大につながらず、前年同期と比較して新築戸建住宅の完成引渡し物件が減少したことにより、前年同期に比べ減少となりました。

その他サービスは、BIMを活用した3Dパース(完成予想図)・ウォークスルー動画・VRの提供を含むBCPOサービスが、ウィズコロナ、アフターコロナにおける有効な営業ツールとして工務店・ビルダーの利用が進み受注が拡大しました。その他サービス売上高218,981千円(前年同期は132,233千円 65.6%増)に含まれるBCPOサービスの売上高は112,666千円(前年同期は21,773千円 417.4%増)となりました。

販売費及び一般管理費が前年同期に比べ206,002千円減少し728,289千円となった結果、営業利益87,888千円(前年同期比127.7%増)となりました。

営業外損益では、受取利息1,381千円、為替差益2,256千円を計上したこと等による営業外収益7,875千円、訴訟関連費用3,807千円を計上したこと等による営業外損失4,079千円により、経常利益91,684千円(前年同期比103.9%増)となりました。

親会社株主に帰属する当期純利益は、2021年3月31日付「東京国税局からの更正通知受領について」においてお知らせしましたように、過年度法人税等102,252千円を計上した結果、親会社株主に帰属する当期純損失33,943千円(前年同期は親会社株主に帰属する当期純損失108,052千円)となりました。

 

② キャッシュ・フローの状況

当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下、「資金」という。)は、前連結会計年度末に比べ77,853千円増加し、550,865千円となりました。各キャッシュ・フローの状況と要因は以下のとおりであります。

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

営業活動の結果、使用した資金は58,171千円(前年同期88,598千円の獲得)となりました。これは主に税金等調整前当期純利益94,323千円、減価償却費31,323千円、売上債権の減少49,313千円、未収入金の減少42,139千円、貸倒引当金の減少10,230千円、棚卸資産の増加39,104千円、前払費用の増加39,861千円、未成工事受入金の減少49,288千円、過年度法人税等の支払96,754千円、法人税等の支払30,665千円によるものであります。

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

投資活動の結果、使用した資金は23,896千円(前年同期307,972千円の使用)となりました。これは主に敷金及び保証金の回収による収入19,964千円、貸付による支出21,900千円、無形固定資産の取得による支出14,076千円、有形固定資産の取得による支出10,983千円によるものであります。

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

財務活動の結果、獲得した資金は161,352千円(前年同期49,532千円の使用)となりました。これは主に長期借入金の借入による収入160,000千円によるものであります。

 

 

(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容 

 経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。

① 財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容

a.経営成績の分析

当社グループは売上高伸び率と売上高営業利益率を重視しており、2020年11月12日に開示いたしました計画と実績の比較は以下のとおりであります。

(重要な指標 計画比)

 

 当連結会計年度
(自  2020年4月1日
 至  2021年3月31日)

計画(%)

実績(%)

差異(%)

売上高伸び率

△17.9

△17.0

0.8

売上高営業利益率

2.5

4.4

1.9

 

 

(サービス別売上高 計画比)

 

 当連結会計年度
(自  2020年4月1日
 至  2021年3月31日)

計画(千円)

実績(千円)

差異(千円)

計画比(%)

地盤解析サービス

800,000

794,953

△5,046

△0.6

地盤調査サービス

490,000

491,261

1,261

0.3

部分転圧工事サービス

220,000

210,110

△9,889

△4.5

住宅関連サービス

260,000

274,487

14,487

5.6

その他サービス

200,000

218,981

18,981

9.5

合計

1,970,000

1,989,794

19,794

1.0

 

 

売上高伸び率は、新設住宅着工戸数の減少傾向や新型コロナウイルス感染症の影響に鑑みて、マイナス17.9ポイントとしていたものの、概ね計画通りの着地となりました。

売上高営業利益率は計画に対し、プラス1.9ポイントとなりました。これは、住宅関連サービスにおいて原価管理を徹底したことによる利益率の改善、人員の採用が計画に対し後ろ倒しになったことによる販管費の抑制が主な要因になります。

また、新たにROE(自己資本利益率)を重要な経営指標として採用し、株主資本コストを意識した経営により企業価値の向上に努めてまいります。なお、当連結会計年度の実績は以下のとおりであります。

 

 

 前連結会計年度
(自  2019年4月1日
 至  2020年3月31日)

 当連結会計年度
(自  2020年4月1日
 至  2021年3月31日)

ROE(%)

△7.8

△2.6

株主資本コスト(%)

6.4

6.2

 

※ROEは以下の計算式により算出しております。

  ROE = 親会社株主に帰属する当期純利益 / 自己資本

 

 

b.財政状態の分析

当連結会計年度の財政状態については、「(1) 経営成績等の状況の概要 ① 財政状態及び経営成績の状況 a.財政状態」に記載のとおりであります。

 

② キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報

当社グループの運転資金需要は営業活動に伴う費用であり、この資金需要につきましては、営業活動から得られる自己資金を源泉としております。当社グループの持続的な成長と企業価値向上を目的とした投資資金需要が生じた場合は、内部資金に加え、金融機関からの借入を中心に機動性と長期安定性を重視した資金調達を実施することとしております。なお、金融機関には十分な借入枠を有しております。

当連結会計年度のキャッシュ・フローの状況については、「(1) 経営成績等の状況の概要 ② キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。

 

③ 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成しております。この連結財務諸表の作成にあたり、資産、負債、収益及び費用の報告額に影響を及ぼす見積り及び仮定を用いておりますが、これらの見積り及び仮定に基づく数値は実際の結果と異なる可能性があります。

連結財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは以下のとおりであります。

(繰延税金資産の回収可能性)

繰延税金資産は、将来減算一時差異の解消により、将来の税金負担額を軽減する効果を有すると認められる範囲を回収可能性があると判断し計上しております。具体的には、将来の一時差異解消スケジュール、タックス・プランニング及び収益力に基づく課税所得の見積り等に基づいて判断しております。これらは主に事業計画を基礎として見積っておりますが、当事業計画に含まれる将来の収益及び費用は「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 追加情報(新型コロナウイルス感染症に関する影響について)」に記載した一定の仮定に基づき予測しており、不確実性を伴っております。そのため、実際の経済環境や損益の状況が一定の仮定と大きく乖離した場合には、翌連結会計年度の繰延税金資産の回収可能性に重要な影響を及ぼす可能性があります。

 

(3) 経営成績に重要な影響を与える要因について

経営成績に重要な影響を与える要因については、「2 事業等のリスク」に記載のとおりであります。

 

 

4 【経営上の重要な契約等】

(1) 保険契約

① 当社の連結子会社である地盤ネット株式会社は、あいおいニッセイ同和損害保険株式会社と生産物賠償責任保険(PL保険)契約を締結し、地盤品質証明を行った建物が不同沈下した場合の賠償金の支払いに備えております。

 

契約先

あいおいニッセイ同和損害保険株式会社

被保険者

地盤ネット株式会社、一般社団法人地盤安心住宅整備支援機構、対象業務の発注者

有効期間

建物の引渡しから10年間もしくは20年間

支払限度額

1事故:5,000万円 / 年間:10億円

免責金額

なし(縮小填補割合:なし)

 

 

② 当社の連結子会社である地盤ネット株式会社は、あいおいニッセイ同和損害保険株式会社と生産物賠償責任保険追加特約を締結し、地盤品質証明を行った建物が地盤を起因とする液状化を含む地盤変動等により不同沈下した場合の賠償金の支払いに備えております。

 

契約先

あいおいニッセイ同和損害保険株式会社

被保険者

地盤ネット株式会社、一般社団法人地盤安心住宅整備支援機構、対象業務の発注者

有効期間

建物の引渡しから10年間

支払限度額

1事故:500万円 / 年間:3億円

免責金額

なし(縮小填補割合:なし)

 

 

③ 当社の連結子会社であるJibannet Reinsurance Inc.は、あいおいニッセイ同和損害保険株式会社と上記②の生産物賠償責任保険追加特約について再保険契約を締結し、当該追加特約に基づいてあいおいニッセイ同和損害保険株式会社が負担した保険金に応じた再保険を引き受けております。

 

契約先

あいおいニッセイ同和損害保険株式会社

保険者

Jibannet Reinsurance Inc.

有効期間

2021年2月28日から2022年2月28日まで

支払限度額

3億円

 

 

④ 当社の連結子会社であるJibannet Reinsurance Inc.は、上記③の再保険契約について、Peak Reinsurance Co.,Ltd.及びTaiping Reinsurance Co.,Ltd.と再保険契約を締結しております。

 

契約先

Peak Reinsurance Co.,Ltd.及びTaiping Reinsurance Co.,Ltd.

被保険者

Jibannet Reinsurance Inc.

有効期間

2020年12月15日から2021年12月14日まで

支払限度額

3億円

免責金額

1,000万円

 

 

(2) 地盤品質証明書発行に関する覚書

当社の連結子会社である地盤ネット株式会社は、一般社団法人地盤安心住宅整備支援機構を当社と連名での地盤品質証明書の発行主体とし、保険契約上の連名被保険者とする覚書を締結し、事故対応等の総合的なリスクマネジメント体制を構築しております。

 

契約先

一般社団法人地盤安心住宅整備支援機構

契約締結日

2012年6月15日

契約内容

①当社グループと一般社団法人地盤安心住宅整備支援機構は地盤品質証明書を連名で発行する。

②当社グループと一般社団法人地盤安心住宅整備支援機構は、当社が加入する生産物賠償責任保険(PL保険)において連名で被保険者となる。

③当社グループが何らかの理由により損害賠償義務の履行ができなくなった場合、生産物賠償責任保険(PL保険)の契約者を一般社団法人地盤安心住宅整備支援機構に変更し、地盤品質証明書の発行先に対する損害賠償金の支払いを含む諸手続を行う。

 

 

5 【研究開発活動】

該当事項はありません。