第2【事業の状況】

1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

(1)経営方針

当社グループは、「金型部品業界でのトップブランドを確立し、製販一体企業としての優位性を活かした高収益企業を目指す」ことを企業ビジョンに掲げ、持続的な企業価値の向上に努めております。また、経営の基本方針となり、全ての活動の指針としての経営理念については以下のとおりであります。

   (経営理念)

①私たちは常に、チャレンジ精神を持ち、お客様のニーズに応える先進技術の開発などをとおして、お客様や

 社会に提案しつづけます。

②私たちは常に、若い行動力とフレキシブルな発想を大切にし、人々の夢が実現できる活力ある企業(職場)

 を創造します。

③私たちは常に、環境への配慮や法令遵守の精神に則り、社会に愛される健全な企業活動を推進し、社会の発

 展に貢献します。

 

(2)経営環境

①企業構造

 プラスチック・プレス金型用部品を中心に、さまざまな金型に必要となる、汎用性が高く高品質な標準製品やお客様のニーズにきめ細かくお応えすることが可能な特注品を豊富にラインアップし、金型用部品単一セグメントとして、国内事業及び海外事業を展開しております。

②市場環境

 当連結会計年度における世界経済は、新型コロナウイルス感染症(以下、「COVID-19」)拡大の影響を強く受け、各国の政府によって発動された各種政策やワクチン接種の効果から、持ち直しの動きも期待されるものの、足下で感染拡大の波が断続的に訪れていること、また米中貿易摩擦再燃に対する不安も払拭できないことから、予断を許さない状況が続いております。

 日本においても、企業収益、設備投資などで一部持ち直しの動きもみられるものの、個人消費が弱含みで推移していることに加え、感染者数増加やワクチン接種の遅れ等への不安もあり、先行きの見通しが困難な状況が続いております。一方で、中国においては、いち早く経済活動が再開され、景気は回復基調にあります。

③お客様動向

 当社グループは、主として自動車関連、電子部品・半導体関連、家電・精密機器関連の分野において、国内外で1万社を超えるお客様にお取引を頂いておりますが、特定業種の景気変動の影響を受けにくいバランスのとれたポートフォリオであるとともに、近年は食品・飲料関連、医療関連といった新分野への拡販にも注力しております。

④競合他社の状況

 当社グループは金型用部品事業を主たる事業としておりますが、当該事業には高額な設備や高い技術力を有する加工者の確保等を必要とすることから、比較的参入障壁が高くなっております。

 そうしたなかで、標準製品については、お客様のニーズに応じた製品開発やWeb受注などの顧客利便性の向上を図るほか、製造原価の低減にも積極的に取組んで競争力の強化に努める一方、特注品については、高い技術力に裏打ちされた一気通貫の生産体制と顧客密着型の営業体制をより強化することで、他社との差別化を図っております。

⑤COVID-19拡大の影響等

 COVID-19の業績への影響は、低調な金型部品需要の長期化が見込まれるものの、2021年3月期を底として、今後は緩やかに需要が回復していくと見込んでおります。

 

(3)経営戦略等

 当社グループは、経営環境の変化に対応するとともに、悪化した業績の立て直しにグループ全体で取組むため、2020年度から2021年度の2ヵ年を計画期間とする中期経営計画「バリュークリエーション2020Plus」(以下、「VC2020Plus」)を策定いたしました。

 この「VC2020Plus」におきましては、「次期中期経営計画までの立て直し期間」として、「販売5極体制の確立」「お客様目線を重視した営業力の強化」「グローバル生産体制の最適化とR&D強化」及び「働き方改革と人財育成」の4つの重点経営課題に取組んでおります。

 

(4)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題

 まず、事業上の対処すべき課題として、翌連結会計年度(2022年3月期)に最終年度を迎える中期経営計画「VC2020Plus」の4つの重点経営課題に取組みます。これにより、当連結会計年度に落ち込んだトップラインを再び成長軌道に乗せ、悪化した業績を立て直すことを目指してまいります。

 

①販売5極体制の確立

 特に欧米での営業強化にフォーカスした当課題では、米州においては、現地法人のホームページを中心にWebコンテンツを活用した知名度向上を図るとともに、医療関連及び回復傾向にある自動車関連業界等への販売強化を実施、また、欧州においては、販売代理店とのさらなる関係強化を通じた販路拡大を目指します。

②お客様目線を重視した営業力の強化

 お客様のご要望・ご相談にきめ細かくお応えすべく、製品や技術に対する豊富な知識を備えた営業人員の育成強化を図るとともに、新規顧客開拓による販路拡大に向けた専門部隊の設置や、営業活動の活性化を目的とした営業拠点の体制見直しを行い、お客様への対応力強化を通じた売上の底上げを進めてまいります。

 また、受注システムの改良や、見積りツールの新規開発など、ITを活用したお客様サービスの向上にも取組み、さらなる受注拡大を目指してまいります。

③グローバル生産体制の最適化とR&D強化

 当社グループの競争力強化を企図し、新製品に対応する加工範囲の拡大に挑戦するため、人員・設備といった経営資源の最適化を図るとともに、継続的な原価低減活動を推進してまいります。

 なお、操業開始から4年が経過したベトナム工場は、現在は安定稼働しており、今後も、同工場を活かしたグループ全体のさらなる生産効率アップを図ってまいります。

④働き方改革と人財育成

 COVID-19対策として加速したITインフラ整備を継続し、働き方のさらなる多様化と間接業務の効率化を推進してまいります。

 また、人事戦略として、「戦略・戦術を立案・遂行できる人財」を育成し、輩出し続けるための仕組みづくりに取組んでまいります。

 

 次に、財務上の対処すべき課題として、「収益性の向上」、「財務基盤の強化」の2点に取組みます。これにより、資本コストを上回る高い自己資本利益率(ROE)及び総資本利益率(ROA)の実現と、安定的かつ継続的な株主還元の充実を目指してまいります。

①収益性の向上

 先行き不透明な経営環境の下、事業上の重点経営課題への取組みを通じて、事業の高付加価値化と、徹底したコスト削減に取組み、収益構造の再構築を図ってまいります。

②財務基盤の強化

 CCC(キャッシュ・コンバージョン・サイクル)を財務上の重点管理指標と定め、売掛金の回収促進や在庫の圧縮等によりCCCの改善を図る一方で、設備投資は、より厳格な回収可能性の検証を通じて投資効率の向上に努め、財務基盤の強化を図ってまいります。

 

2【事業等のリスク】

 本書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況等に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。

 なお、文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において当社グループが判断したものであります。

(1)経営環境関連リスク

 ① 中国におけるカントリーリスクについて

当社グループは1990年より中国事業を行っており、商慣習や雇用面で日本と異なる環境の中にあって、これまで事業の撤退や大規模な雇用調整もなく現在に至っており、連結営業利益の重要な基盤となっております。今後とも、新たな加工技術の開発や成長が期待できる分野への販売強化により、事業の拡大を見込んでおりますが、政情不安、通商上の摩擦、反日感情の高まり、都市開発政策による立退き命令、人件費の高騰等、事業環境に大きな変化があった場合、当社グループの経営成績に影響を及ぼす可能性があります。これらのリスクに対し、政治・経済情勢、事業活動を規制する法律や政策、都市開発政策等について注視する一方で、何らかの変化・変更があった場合には迅速に対応する体制としております。現状の中国情勢を勘案するとこれらリスクの発生可能性はあるものの、影響の程度については、限定的と認識しております。

 ② 東南アジア及びその他の地域におけるカントリーリスクについて

当社グループは、2013年のマレーシアパンチ完全子会社化を契機に、その後ベトナムに工場を設置するなど東南アジアでの事業を拡大しているほか、インドや欧米での事業展開にも取組んでおりますが、現地の政情不安、規制強化、経済状況の変化、通貨不安等により事業環境に大きな変化があった場合、当社グループの経営成績に影響を及ぼす可能性があります。これらのリスクに対し政治・経済情勢、事業活動を規制する法律や政策等について注視し、何らかの変化・変更があった場合には迅速に対応する体制としておりますが、顕在化するリスクやその影響は様々であると認識しており、海外グループ会社の所在国の現状を考慮すると、いずれのリスクも顕在化する可能性は低いと考えております。

 ③ 為替相場の変動について

連結決算においては、海外グループ会社決算を現地通貨から邦貨換算いたしますので、制度的に人民元、米ドル、インドルピー、マレーシアリンギット等による為替変動リスクがあります。

また、グローバル展開を加速したことにともない、外貨建取引が増加し、また海外グループ会社においては借入金等の外貨建債務を有しており、為替が大きく変動した場合、当社グループの経営成績や財政状態に影響を与える可能性があります。これらのリスクに対しては取引通貨毎の債権債務のマリーや、先物為替予約等によるリスク対策を進めるとともに、為替変動に左右されない強い体質づくりに取組んでおります。為替変動による影響額の予測は困難でありますが、連結決算における人民元の変動による換算額への影響額は、当年度においては人民元が1円変動した場合、売上については約13億円、営業利益については約1億円程度となります。

 ④ 有利子負債について

当社グループでは、事業拡大にともなう生産設備等への投資の実施により、相応の有利子負債残高を有しており、金融情勢や金融機関等の融資姿勢の変化により資金調達が困難となる場合や、市場金利の上昇等により資金調達コストが増大した場合は、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

また、当社は、主要取引金融機関とのコミットメントライン契約に「第5 経理の状況 1.連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(連結貸借対照表関係)」に記載のとおりの財務制限条項が付されております。これに抵触した場合には最大で24億円及び7百万米ドルの借入金について期限の利益を喪失することとなり、当社グループの財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

これらのリスクに対し当社グループでは、利益の確保や運転資金の圧縮による自己資金の創出により有利子負債依存度の軽減を図るほか、金融政策動向のモニタリングの実施や資金調達先の多様化の推進、取引金融機関との良好な関係を維持することで、資金調達リスクの低減を図っております。これらの影響については、顕在化するリスクの内容により、その影響額は様々であると認識しておりますが、昨今の金融情勢や金融機関等の融資姿勢を考慮すると、いずれのリスクも顕在化する可能性は低いと考えております。また、財務制限条項については、その遵守条件を充足するよう適切な事業運営を行っており、抵触する可能性は低いものと考えております。

(2)業界及び事業関連リスク

 ① 顧客の属する業界の動向について

当社グループは、国内外で1万社を超える顧客と取引をしており、特定の顧客グループへ依存することのない、バランスのとれた顧客構造であると考えております。一方、これらの顧客の属する業界は、自動車関連、電子部品・半導体関連、家電・精密機器関連が多く、従って、これらの業界の市況や価格動向、競争激化等が、生産動向や設備投資動向を左右し、当社グループの経営成績に影響を及ぼす可能性があります。現状、顧客及び顧客の属する業界の動向については、日常の営業活動による情報収集を基に分析等を行い、大きな変動が予見される場合は、営業政策や生産体制の変更を含む適切な対応策を講じております。なお、リスクの具現化の内容や規模により影響額は様々であり、また、経済情勢や顧客の属する業界の状況により発生可能性も異なるため、リスクの程度を予測することは困難であると考えております。

 ② 競合について

当社グループの事業である金型用部品事業につきましては、技術面、価格面、納期面等において同業他社との競合がありますが、策定した事業戦略が計画通り進捗しない場合や、想定を超えた同業他社の動き等があった場合、当社グループの経営成績に影響を及ぼす可能性があります。競合リスクについては日常的に顕在化する可能性があり、その影響については顕在化する内容により変動するため合理的に見積ることは困難であると考えておりますが、現状の対応として、標準製品については、顧客ニーズに応じた製品開発やWeb受注などの顧客利便性の向上を図るほか、製造原価低減に積極的に取組み競争力の強化に努める一方、特注品については、高い技術力に裏打ちされた一気通貫の生産体制と顧客密着型の営業体制をより強化することで差別化を図っております。

 ③ 主要原材料の仕入れについて

当社グループは、主要原材料である鋼や超硬材等の仕入れの多くを特定の専門商社やメーカーに依存しております。当社グループは、これらの仕入先から、安定的に供給を受ける体制を構築しておりますが、仕入先の経営戦略の変更や取引条件の大幅な変更、業績変動などが、当社グループの経営成績に影響を及ぼす可能性があります。これら仕入リスクについては主要仕入先との関係の維持・強化を図っており、現状、仕入先との友好的な取引関係に変化はなく安定的な原材料供給体制を維持・継続しております。従いまして当該リスクの顕在化の可能性は低いと考えております。

 ④ 製品の品質について

当社グループは、国際的な品質管理基準に基づき、製品の品質確保に万全を期しておりますが、製品の不具合による重大な事故、クレーム等の発生により損害賠償請求訴訟等が生じた場合、多額の補償費用等が発生する可能性があります。また、当該問題により、対象製品のみならず、当社グループの製品全体の評価にも重大な影響を与え、ブランドイメージの低下、顧客の流出などを招き、当社グループの経営成績に影響を及ぼす可能性があります。現状においては、当社グループは品質管理基準の適切な運用を実施しており、品質に関するリスクの顕在化の可能性は低いと考えております。

 ⑤ 未開拓・新分野事業について

当社グループは、既存のプラスチック金型用部品やプレス金型用部品に加え、今後の成長戦略として未開拓事業や新分野への事業参入を計画する場合がありますが、経済状況の変化、関連する技術革新の動向、競合他社等の動きによって計画が想定通り進捗しない場合、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。未開拓や新分野事業に進出する場合は、ある程度リスクを受容することも必要と認識しておりますが、進出の際には当社の強みを活かせる分野に的を絞るほか、市場規模の算定や戦略体系の構築、競合先の状況把握等、事業シミュレーションを十分に行いリスクに備えております。これらのリスクが具現化した場合、その影響額は新規事業の規模や投資額等により異なるため予測は困難であると認識しております。

 ⑥ 債権回収について

当社グループは、国内外で1万社を超える顧客と取引をしており、それぞれの顧客に対して与信管理を徹底しておりますが、顧客の経営状態の悪化などにより債権回収が困難になった場合には、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。債権回収リスクに関しては、顧客の経営状態の把握や、売掛金年齢管理による回収促進の徹底、売掛債権保証等の債権保全策の導入など対策を講じておりますが、そのリスクを完全に回避できるものではなく、経済情勢等によっても変化するものと認識しております。しかしながら当社グループの取引先は数も多く分散していることから、リスクが顕在化した場合、その影響額は限定的であると認識しております。

 ⑦ 国内物流体制について

当社グループは、国内物流について、外部物流会社への業務委託により東京ロジスティクスセンター(以下、TLC)にて一括集中管理体制で運営することを基本とし、一部地域を除き翌日配送体制となっております。しかしながら、TLCでの何等かのトラブルや自然災害等による物流業務上での支障が発生した場合、当社グループの経営成績に影響を及ぼす可能性があります。現状、TLCにおける物流業務については、当社社員が常駐し委託先である外部物流会社と定期的な打合せを実施する一方で、トラブル発生時や自然災害発生時の物流対応についてルールを策定するなど業務上のリスク回避に向けた取組みを行っており、当該リスクの発生の可能性は低いと考えております。

 ⑧ 情報システムについて

当社グループの事業は、販売管理システム及び生産管理システムをベースにオペレーションが行われているほか、様々な業務管理システムとコミュニケーションツール等を利用して日常業務が行われており、これらのシステムの運用上の安全性は十分に確保されていると考えております。しかしながら、自然災害、ハードウエア・ソフトウエアの不具合等を原因とするシステム障害や、ネットワークへの不正アクセス、コンピューターウイルスの感染等による情報漏洩など、予測不可能な事象が発生した場合、当社グループの経営成績に影響を及ぼす可能性があります。現状、当社グループでは、各管理システムの安定稼働を維持するためデータセンターの活用を進めるとともに、情報システムの安全性や情報セキュリティ強化のため、関連規程を整備し、グループが保有する情報を適切に管理しております。また、昨今、在宅勤務等の拡大もあり、通信ネットワークの監視を通じた外部からの攻撃への対応等を強化するとともに、従業員の情報セキュリティ意識の向上を図るため教育・訓練を実施し、リスクの低減を図っております。これらの対応策により当該リスクが顕在化する可能性は低いと考えております。

 ⑨ 固定資産について

当社グループは、顧客の幅広いニーズに対応すべく多くの生産設備等の固定資産を保有しております。これらについては「固定資産の減損に係る会計基準」を適用し、現時点で必要な減損処理は実施しておりますが、今後当社事業所及びグループ会社における損益やキャッシュ・フローの状況等によっては、さらに減損処理が必要となり当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。なお、現時点で当該リスクの顕在化の可能性は低いと認識しておりますが、今後、経営環境の変化を注視しながら、さらなる受注獲得やコスト低減に取組んでまいります。

(3)その他のリスク

 ① 人材について

当社グループは、優秀な人材の確保と育成を重要課題としており、グループの人事制度に基づいた人事諸施策を実施しております。また、必要に応じ社外からの有能な人材の確保も行っております。しかしながら、これらの諸施策が有効に機能しなかった場合や、人材市場の状況により必要人材のタイムリーな確保ができない場合、当社グループの経営成績に影響を及ぼす可能性があります。現状においては、社員の働き方を改革し、ワークライフバランスの最適化やダイバーシティ経営の実現に向けた取組み等を推進しております。また採用計画に基づく適切な採用活動を通じて安定した人材確保に努めており、これらのリスクが顕在化する可能性は低いと考えております。

 ② 重要な訴訟等について

当社グループが、国内外で事業を行っていくうえで、各国の法制度の違いなどにより、知的財産権に関する訴訟の当事者となる可能性があります。このほか、事業を行っていくうえで重要な訴訟等が提起された場合、当社グループの経営成績に影響を及ぼす可能性があります。当社グループにおいては、保有する知的財産権の維持・保護には最善の努力を尽くしており、また事業に係る法律関連事項については専門家と十分協議して推進しており、現状、第三者との間で訴訟に発展するような案件が発生する可能性は低いと考えております。

 ③ 税制度について

当社グループは、各国の税法を遵守し事業活動を行っておりますが、事業のグローバル化の進展にともない、特に海外において、税制の改正や税務行政の変更、また、税務申告や移転価格税制における各国の税務当局との見解の相違等により、予期せぬ税負担が発生した場合、当社グループの経営成績に影響を及ぼす可能性があります。これらの対策として、各国の税制の理解や新たな税制改正の内容を正確に把握するなどグループ内の情報共有を緊密に行い、また、移転価格税制については、適宜専門家とも協議しながら移転価格ポリシーの整備等を進めており、これらのリスクが顕在化する可能性は低いと考えております。

 ④ 環境対策について

当社グループは、企業の社会的責任として、環境問題への取組みを非常に重要な課題と位置付けておりますが、予期せぬ環境問題が発生した場合や、関連法規などの改正等により、生産設備の変更や廃棄物処理方法の変更が必要となった場合、当社グループの経営成績に影響を及ぼす可能性があります。現状、当社グループにおいては、「環境理念」や「環境行動指針」を定め、また、ISO14001を取得するなど、環境問題に積極的に取り組んでおり、当該リスクの顕在化の可能性は低いと考えております。

 ⑤ 災害・感染症等について

当社グループは、日本国内の他、中国・東南アジア・インド・米国に製造・販売拠点等をもって事業を運営しておりますが、これらの事業拠点において、地震、台風等の自然災害や火災等の事故災害が発生した場合、あるいはそれらの災害により電力供給や通信インフラ等に深刻な支障が生じた場合、また、戦争・テロ等の勃発や感染症が発生した場合、当社グループの経営成績に影響を及ぼす可能性があります。これらの災害等のリスクに対しては、被害の最小化と早期復旧を目的に、災害対応規程やBCP対応ガイドラインを定め、危機管理の徹底と速やかな対応体制の整備を図っております。なお、世界的な拡がりを見せたCOVID-19は、国や地域による違いはあるものの、未だ収束が見通せない状況にあり、事態が更に長期化した場合や感染の更なる拡大が起こった場合、都市封鎖に伴う工場閉鎖、物流等のインフラへの影響、従業員の感染対策による業務効率低下や対策費用の発生などにより、当社グループの経営成績に影響を及ぼす可能性があります。この感染症の対応として、当社グループにおいては、従業員の健康を第一に考えるとともにさらなる感染拡大を防ぐため、各国政府の発表や要請を踏まえ、従業員の体調管理の徹底や在宅勤務の実施、Web会議の導入、出張の制限等の対応を実施しており、これらの対応の継続的な実施により事業活動への影響の低減を図っております。これら災害や感染症等のリスクについては全てを回避することはできず、また、現時点において影響額を予測することは困難であると考えております。

 

3【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1)経営成績等の状況の概要

 当連結会計年度における当社グループ(当社及び連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の概要は次のとおりであります。

 

①財政状態及び経営成績の状況

(経営成績の状況)

COVID-19感染拡大等を背景に、売上構成比の高い自動車関連需要の低迷が継続した一方、在宅勤務の広がりなどから復調傾向にある電子部品・半導体関連は前期実績を上回る売上となりました。

この結果、国内売上高は12,338百万円(前期比15.3%減)、中国売上高は16,888百万円(前期比0.3%増)、東南アジア地域の売上高は1,376百万円(前期比10.3%減)、欧米他地域の売上高は1,858百万円(前期比22.9%減)となり、連結売上高は32,462百万円(前期比8.2%減)となりました。

また、業種別では、自動車関連は13,682百万円(前期比11.0%減)、電子部品・半導体関連は6,315百万円(前期比3.3%増)、家電・精密機器関連は3,888百万円(前期比9.5%減)、その他は8,574百万円(前期比10.4%減)となりました。

利益面につきましては、売上は大幅に減少したものの、前連結会計年度の減損損失計上による減価償却費の減額に加え、当社グループ全体で経費削減等に取組んだことから、営業利益は1,613百万円(前期比93.0%増)、経常利益は1,676百万円(前期比135.1%増)となりました。また当連結会計年度におきましても追加で減損損失を計上したことから、親会社株主に帰属する当期純利益は477百万円(前期は親会社株主に帰属する当期純損失3,485百万円)となりました。

 

(財政状態の状況)

a. 資産の部

当連結会計年度末における総資産は24,702百万円となり、前連結会計年度末と比較し874百万円の減少となりました。これは、主として減損損失計上に伴う有形固定資産の減少によるものであります。

b. 負債の部

総負債は12,266百万円となり、前連結会計年度末と比較し1,563百万円の減少となりました。これは、主として借入金の減少によるものであります。

c. 純資産の部

純資産は12,436百万円となり、前連結会計年度末と比較し688百万円の増加となりました。これは、主として親会社株主に帰属する当期純利益の計上に伴う利益剰余金の増加によるものであります。

 

 

②キャッシュ・フローの状況

当連結会計年度末における現金及び現金同等物は、前連結会計年度末に比べ596百万円増加し、3,962百万円となりました。

a. 営業活動によるキャッシュ・フロー

当連結会計年度の営業活動によるキャッシュ・フローは2,942百万円の収入(前期は2,490百万円の収入)となりました。

これは、税金等調整前当期純利益1,014百万円、減損損失730百万円及び減価償却費968百万円の非資金項目の他、未払金及び未払費用の増加額280百万円等によるものであります。

b. 投資活動によるキャッシュ・フロー

当連結会計年度の投資活動によるキャッシュ・フローは670百万円の支出(前期は1,788百万円の支出)となりました。

これは、有形固定資産の取得による支出502百万円等によるものであります。

c. 財務活動によるキャッシュ・フロー

当連結会計年度の財務活動によるキャッシュ・フローは1,684百万円の支出(前期は772百万円の支出)となりました。

これは、短期借入金の純減額338百万円、長期借入金の返済による支出1,220百万円等によるものであります。

 

 

③生産、受注及び販売の実績

a. 生産実績

 当連結会計年度の生産実績を事業ごとに示すと、次のとおりであります。

事業の名称

当連結会計年度

(自 2020年4月1日

至 2021年3月31日)

前年同期比(%)

 

国内事業

(千円)

 

4,346,365

76.6

 

海外事業

(千円)

 

9,217,422

95.9

 

 合計

(千円)

 

13,563,787

88.7

(注)1.当社グループは、金型用部品事業の単一セグメントであるため、「第1 企業の概況 3.事業の内容(2)当社グループの事業内容」に記載の国内事業及び海外事業の別に記載しております。

2.金額の表示は製造原価によっており、事業区分間の内部振替前の数値によっております。

3.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。

 

b. 受注実績

 当社では標準製品の場合、受注から製造、出荷までを1日から数日で完了いたします。また、特注品でも、おおむね2週間以内の出荷となっております。したがって、受注残高は軽微であり受注実績の記載を省略しております。

 

c. 販売実績

 当連結会計年度の販売実績を事業ごとに示すと、次のとおりであります。

事業の名称

当連結会計年度

(自 2020年4月1日

至 2021年3月31日)

前年同期比(%)

 

国内事業

(千円)

 

12,646,734

85.4

 

海外事業

(千円)

 

19,815,282

96.5

 

 合計

(千円)

 

32,462,017

91.8

(注)1.当社グループは、金型用部品事業の単一セグメントであるため、「第1 企業の概況 3.事業の内容(2)当社グループの事業内容」に記載の国内事業及び海外事業の別に記載しております。

2.事業区分間の取引については相殺消去しております。

3.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。

(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。

 

①重要な会計方針及び見積り

当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。その作成には経営者による会計方針の選択・適用、資産・負債や収益・費用の報告金額及び開示に影響を与える見積りを必要とします。経営者はこれらの見積りについて、過去の実績等を勘案し合理的に判断しておりますが、実際の結果は見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りと異なる場合があります。

当社グループの連結財務諸表で採用する重要な会計方針は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等(1)連結財務諸表 注記事項(連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」に記載しております。

なお、連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものについては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等(1)連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載のとおりであります。

 

②当連結会計年度の財政状態及び経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容

(当社グループの当連結会計年度の経営成績等及び経営成績に重要な影響を与える要因)

当連結会計年度において、中期経営計画「VC2020Plus」の初年度の経営数値目標としては、売上高33,100百万円、営業利益1,200百万円、親会社株主に帰属する当期純利益620百万円を掲げておりました。

これに対して、当連結会計年度における経営成績は、売上高32,462百万円、営業利益1,613百万円、親会社株主に帰属する当期純利益は477百万円となりました。

当連結会計年度は、上場来初の親会社株主に帰属する当期純損失計上となった前連結会計年度から、いち早く業績を回復するべく、経営立て直しの一年として取組んでまいりました。しかしながら、COVID-19拡大に伴う景気の落込みは想定以上に大きく、当連結会計年度第2四半期において3期連続となる減損損失を計上し、通期連結業績予想も下方修正するなど、厳しい状況に直面いたしました。

その後、COVID-19から先んじて回復した中国事業が牽引役となり、加えて、中期経営計画「VC2020Plus」の取組み成果も現れて、掲げた目標の一つである「最終赤字から黒字への転換」を達成することができました。

また、財政状態につきましては、前連結会計年度末に対して、有利子負債が減少するなど、資金体質の改善が図られるとともに、利益剰余金の増加等により自己資本が増加し、自己資本比率が50.2%(前連結会計年度末は45.8%)まで増加するなど、財務基盤の健全性維持が図られた結果となりました。

 

翌連結会計年度(2022年3月期)は、中期経営計画「VC2020Plus」の最終年度として、当連結会計年度に達成した「最終赤字から黒字への転換」を引き継ぎ、「トップラインの成長基調への回復」を行い、「次期中期経営計画までの立て直し期間」として、引き続き、「販売5極体制の確立」「お客様目線を重視した営業力の強化」「グローバル生産体制の最適化とR&D強化」及び「働き方改革と人財育成」の4つの重点経営課題へ取組みます。

 

(経営方針・経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等)

当社グループとしましては、事業の評価基準として売上高営業利益率を、経営の評価基準として自己資本利益率(ROE)を、そしてキャッシュ・フローマネジメントの観点からフリーキャッシュ・フロー(営業活動によるキャッシュ・フロー+投資活動によるキャッシュ・フロー)及びCCC(キャッシュ・コンバージョン・サイクル)を重要な経営指標と定め、その向上に努めることを目標としております。

 

 

キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報

当社グループの当連結会計年度のキャッシュ・フローの状況の分析・検討内容は「(1)経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」に含めて記載しております。

なお、当連結会計年度のフリーキャッシュ・フローは2,272百万円の収入となり、業績が悪化する中にあっても新規設備導入の抑制、売上債権の減少や棚卸資産の削減等により資金の創出が出来ました。今後は、業績回復とともに、さらなる資金効率向上に努め、財務基盤の強化を図ってまいります。

 

(資金需要)

当社グループの事業活動における運転資金需要の主なものは、材料等調達費用の他、製造費、販売費及び一般管理費等の営業費用であります。設備資金需要としては、「バリュークリエーション2020」に掲げた重点経営課題の一つである「高収益事業の推進とR&D強化」実現に向けた積極的な設備投資が一段落したことに加え、前連結会計年度から続いた減損損失計上による設備投資の抑制等により、主に現存設備の修繕・維持の為に使用しております。一方、COVID-19感染拡大に伴い「働き方改革」、特に在宅勤務体制のインフラ構築を急速に進めており、Web会議システムやコラボレーションツールの拡充、VPN回線(テレワーク用ネットワーク回線)の強化等に取り組んでおります。

 

(財務政策)

当社グループの資金調達の方法は、資金需要を充たすため内部資金及び金融機関からの借入を活用しております。

当連結会計年度においては、COVID-19の感染拡大が資金繰りに与えた影響を設備投資の抑制等によりカバーしたことに加え、先んじて回復した中国事業の内部資金を支えとして、キャッシュポジションの見直しを図り、有利子負債の削減に積極的に取り組んで参りました。引き続き、当社グループ全体のキャッシュポジションの適正化を図るとともに、事業活動の維持拡大に必要な資金を安定的に確保できるよう努めて参ります。

 

4【経営上の重要な契約等】

 該当事項はありません。

 

5【研究開発活動】

当社グループは、品質、納期、コストそれぞれの面でお客様の満足度を高めていくことで企業価値の持続的向上を目指し、グループ横断的な研究開発機能の強化やグローバル市場へ向けた高付加価値製品の開発にも取組んでおります。

主たる内容としては、景気変動を受けにくく、将来の拡大が見込まれる業種、具体的には「食品・飲料関連」及び「医療関連」分野との取引拡大を目指しております。

当連結会計年度における研究開発費は490百万円(前期比11.9%増)となりました。

今後とも当社グループが長年培ってきた「ものづくり」へのこだわりを更にグローバルに発揮するため、新事業領域への積極的参入や成長領域への重点投資を実施し、収益性、効率性の向上を目指してまいります。