第一部 【企業情報】

 

第1 【企業の概況】

 

1 【主要な経営指標等の推移】

(1) 連結経営指標等

 

回次

第14期

第15期

第16期

第17期

第18期

決算年月

2015年12月

2016年12月

2017年12月

2018年12月

2019年12月

売上高

(千円)

37,612

22,341

198,212

8,397

169,860

経常損失(△)

(千円)

990,964

1,301,288

988,860

1,285,042

1,633,265

親会社株主に帰属する
当期純損失(△)

(千円)

878,366

1,259,081

884,387

1,267,686

1,616,314

包括利益

(千円)

873,998

1,275,333

881,645

1,267,476

1,617,679

純資産額

(千円)

2,772,484

2,506,512

2,034,061

2,130,605

1,920,828

総資産額

(千円)

2,977,853

3,079,089

2,133,117

2,311,475

2,047,663

1株当たり純資産額

(円)

396.79

285.52

218.72

203.19

136.46

1株当たり当期純損失(△)

(円)

131.21

155.48

103.16

126.77

134.32

潜在株式調整後
1株当たり当期純利益

(円)

自己資本比率

(%)

91.8

79.0

91.1

89.8

91.4

自己資本利益率

(%)

株価収益率

(倍)

営業活動による
キャッシュ・フロー

(千円)

789,060

1,215,001

854,320

1,260,847

1,546,956

投資活動による
キャッシュ・フロー

(千円)

43,641

410,006

661,486

568,539

252,341

財務活動による
キャッシュ・フロー

(千円)

113,650

1,385,931

1,362,170

1,414,524

現金及び現金同等物
の期末残高

(千円)

2,062,858

2,639,936

1,126,794

1,796,871

1,410,791

従業員数

(名)

25

24

23

28

26

 

(注) 1.  売上高には、消費税等は含まれておりません。

2.  潜在株式調整後1株当たり当期純利益については、潜在株式は存在するものの、1株当たり当期純損失であるため記載しておりません。

3.  自己資本利益率については、親会社株主に帰属する当期純損失を計上しているため記載しておりません。

4.  株価収益率については、1株当たり当期純損失であるため記載しておりません。

5.  第14期において、新株予約権の権利行使により200,000株の新株発行を行っております。

6.  第15期において、新株予約権の権利行使により1,400,000株、転換社債型新株予約権付社債の転換により225,000株の新株発行を行っております。

7.  第16期において、転換社債型新株予約権付社債の転換により375,000株の新株発行を行っております。

8.  第17期において、新株予約権の行使により1,324,400株の新株発行を行っております。

9.  第18期において、第三者割当による新株発行により180,000株、新株予約権の行使により3,320,000株の新株発行を行っております。

 

(2) 提出会社の経営指標等

 

回次

第14期

第15期

第16期

第17期

第18期

決算年月

2015年12月

2016年12月

2017年12月

2018年12月

2019年12月

売上高

(千円)

37,612

22,341

198,212

8,397

169,860

経常損失(△)

(千円)

971,571

1,324,174

987,736

1,285,621

1,636,871

当期純損失(△)

(千円)

858,898

1,575,876

982,328

1,268,265

1,617,495

資本金

(千円)

4,614,787

5,101,101

5,298,539

5,997,802

6,704,656

発行済株式総数

(株)

6,889,700

8,514,700

8,889,700

10,214,100

13,714,100

純資産額

(千円)

3,171,835

2,593,058

2,019,924

2,115,678

1,906,085

総資産額

(千円)

3,296,450

3,101,456

2,118,852

2,296,424

2,032,784

1株当たり純資産額

(円)

454.76

295.68

217.13

201.73

135.38

1株当たり配当額

(1株当たり中間配当額)

(円)

―)

(―)

―)

―)

―)

1株当たり当期純損失(△)

(円)

128.30

194.60

114.58

126.83

134.42

潜在株式調整後
1株当たり当期純利益

(円)

自己資本比率

(%)

95.0

81.2

91.1

89.7

91.3

自己資本利益率

(%)

株価収益率

(倍)

配当性向

(%)

従業員数

(名)

25

23

22

27

25

株主総利回り

(%)

64.2

54.7

136.5

64.0

34.9

(比較指標:配当込みTOPIX)

(%)

112.1

112.4

137.4

115.5

136.4

最高株価

(円)

1,446

1,629

1,465

2,139

710

最低株価

(円)

500

341

453

425

301

 

(注) 1.  売上高には、消費税等は含まれておりません。

2.  潜在株式調整後1株当たり当期純利益については、潜在株式は存在するものの、1株当たり当期純損失であるため記載しておりません。

3.  自己資本利益率については、当期純損失を計上しているため記載しておりません。

4.  株価収益率については、1株当たり当期純損失であるため記載しておりません。

5.  配当性向については、1株当たり当期純損失であるため記載しておりません。

6.  第14期において、新株予約権の権利行使により200,000株の新株発行を行っております。

7.  第15期において、新株予約権の権利行使により1,400,000株、転換社債型新株予約権付社債の転換により225,000株の新株発行を行っております。

8.  第16期において、転換社債型新株予約権付社債の転換により375,000株の新株発行を行っております。

9.  第17期において、新株予約権の行使により1,324,400株の新株発行を行っております。

10. 第18期において、第三者割当による新株発行により180,000株、新株予約権の行使により3,320,000株の新株発行を行っております。

11. 最高株価及び最低株価は、東京証券取引所マザーズにおけるものであります。

 

 

2 【沿革】

2002年1月    生活様式の多様化及び未曾有の高齢化社会に即応した、新しい剤型の医薬品を開発する医薬品製剤開発企業として、香川県東かがわ市に株式会社メドレックスを設立

2005年4月    第一種医薬品製造販売業許可(許可番号37A1X00003)及び第二種医薬品製造販売業許可(許可番号37A2X00006)を取得

2005年8月    褥瘡・皮膚潰瘍治療剤ヨードコート軟膏を上市

2007年8月    本社移転(東かがわ市松原から東かがわ市西山へ)

2007年10月    米国での臨床開発を目的とした子会社(IL Pharma Inc.)を米国マサチューセッツ州に設立

2013年2月    東京証券取引所マザーズへ上場

2015年4月    米国での臨床開発を目的とした子会社(MEDRx USA INC.)を米国カリフォルニア州に設立

2015年10月    子会社管理の一元化及び効率化のため、IL Pharma Inc.をMEDRx USA INC.に吸収合併

2017年4月    Cipla USA Inc.との間で、CPN-101(MRX-4TZT、チザニジンテープ剤)に関する世界的な開発・販売ライセンス契約(ただし、東アジアを除く)を締結

2018年2月  NCTS®を用いた開発候補品について第一三共株式会社と共同開発契約締結

2018年3月  CPN-101(MRX-4TZT)に関する世界的な開発・販売ライセンス契約(ただし、東アジアを除く)の締結先をCipla Technologies, LLCに変更

2018年8月  武田薬品工業株式会社との間で、武田薬品工業の或る重点疾患領域におけるパイプラインに関して、当社独自の経皮吸収技術であるILTS®及びNCTS®を適用する技術ライセンス契約締結

2019年8月  第一三共株式会社との共同開発を中止

2019年10月  武田薬品工業株式会社との技術ライセンス契約解消

 

 

3 【事業の内容】

当社グループは、当社独自の経皮吸収*型製剤技術を基に新たな医薬品を生み出す創薬企業グループです。経皮吸収技術をはじめとする製剤技術をもって画期的新薬を開発し、全世界の人々の健康とQOL*の向上に資することを企業理念としています。イオン液体の特徴を利用した独自の経皮吸収型製剤技術ILTS®Ionic Liquid Transdermal System)、薬物のナノコロイド*化技術を利用した独自の経皮吸収型製剤技術NCTS®Nano-sized Colloid Transdermal System)を中心とした医薬品製剤技術により、薬効の極大化、副作用の低減、飲み忘れ防止や経口投与が困難な患者への投与を可能にして、新たな付加価値を有する医薬品を生み出すことを目指しております。

 


 

当社グループは、当社、連結子会社MEDRx USA INC.の2社で構成されています。

 


当社グループの現在のビジネスモデルは、当社製剤技術により新たに創出(製剤開発*)した医薬品候補製剤を、医薬品としての製造販売承認を取得するために開発(非臨床試験*、臨床試験*)する過程で、製薬会社等との間で開発・販売・製造に関する適切な提携関係を築いて事業を推進していくものです。当社は、提携先の製薬会社等から、「契約一時金、開発の進捗に応じたマイルストンフィー」及び「上市*後の製品売上、ロイヤルティ」の形で収入を得ます。

 


 

医薬品候補製剤(開発パイプライン)の特性(市場性、開発費用)や、提携候補先製薬会社の当該パイプラインに対する取組姿勢を考慮した上で、開発パイプライン毎に当社の収益モデルを設計し、当社全体としてのリスクとリターンのバランスを取るためのポートフォリオを構築しながら成長していくことを目指しています。

 


 

 

当連結会計年度において、当社グループでは独自の経皮製剤技術であるILTS®(Ionic Liquid Transdermal System)やNCTS®(Nano-sized Colloid Transdermal System)、並びにマイクロニードルアレイ技術を用いて、低分子から高分子に至る様々な有効成分の経皮吸収性を飛躍的に向上させることにより、新しい付加価値を持った医薬品を開発することを事業の中核に据え、「CPN-101(MRX-4TZT):痙性麻痺治療薬(チザニジンテープ剤)」「MRX-1OXT:中枢性鎮痛貼付剤(オキシコドンテープ剤)」「MRX-5LBT:帯状疱疹後の神経疼痛治療薬(リドカインテープ剤)」「MRX-7MLL:アルツハイマー治療薬(メマンチン含有貼付剤)」の4つの自社起源パイプラインについて、製品化に向けた開発を推し進めてきました。また、当連結会計年度において共同開発契約あるいは技術ライセンス契約を製薬会社と締結した2つの協業パイプラインについても、提携先製薬会社と共同であるいは提携先製薬会社をサポートする形で製品化に向けた開発を推し進めてきました。加えて、後続パイプラインの研究開発及び提携候補先との契約交渉を行うなど、事業の拡大を図ってきました。

 

当社グループの主要パイプラインの開発進捗状況は、以下のとおりです。

 


 

<開発コード CPN-101(MRX-4TZT):痙性麻痺治療薬(チザニジンテープ剤)>

ILTS®を用いて中枢性筋弛緩薬であるチザニジンのテープ型貼付剤を製剤開発したものです。2017年4月に、インドの製薬会社 Cipla Ltd.(インド マハーラーシュトラ州ムンバイ、CEO:Umang Vohra、以下「Cipla」という。)の米国100%子会社であるCipla USA Inc.(米国デラウエア州ウィルミントン、CEO:Nikhil Lalwani)との間で、CPN-101(MRX-4TZT)に関する世界的な開発・販売ライセンス契約(ただし、東アジアを除く)を締結しました。その後、Ciplaグループ内の再編により、契約相手先はCipla Technologies, LLC(米国カリフォルニア州サンディエゴ、CEO:Chandru Chawla、以下「Cipla Tech」という。)に変更となっております。現在、筋弛緩薬の経皮製剤が存在しない中、経皮製剤化することにより経口剤と比較して、有効血中濃度の持続性、眠気や口渇等の副作用の低減等の利点が期待されます。

2019年9月に臨床第I相反復PK(Pharmacokinetics)試験(P1b)において、事前に規定していた基準を満たした結果を得ました。この試験成功により、Cipla Techと締結している開発・販売ライセンス契約に基づいて、開発マイルストン100万米ドルを受領しました。今後の開発については、Cipla Techが主体となり臨床第Ⅱ相試験を準備中です。

 

 <開発コード MRX-5LBT:帯状疱疹後の神経疼痛治療薬(リドカインテープ剤)>
ILTS®を用いた新規のリドカインテープ剤であり、帯状疱疹後の神経疼痛を適応症としているリドカインパップ剤Lidoderm®の市場をターゲットとして、第一に米国で開発を進めている製品です。2018年6月に先行指標品であるLidoderm®との検証的な比較臨床試験において、505b2開発過程の中で最も重要な指標であるLidoderm®との生物学的同等性を示す結果を得ました。その後、新薬承認申請(NDA:New Drug Application)に向けたデータパッケージについて米国規制当局であるアメリカ食品医薬品局(FDA :Food and Drug Administration)と協議を行っておりましたが、2018年11月の面談会議の結果、MRX-5LBTが慢性疾患治療薬として長期に亘り連続使用される可能性が十分あることより、長期の安全性を確認する試験を中心に、当初想定していたよりも多くの試験が必要となりました。2019年3月から5月にかけて実施した第三者割当による新株発行、第14回新株予約権(行使価額修正条項付) の発行及び行使による新株発行により、FDAから要求された安全性等を確認するための臨床試験及び非臨床試験等を実施する資金を確保しました。

2019年7月に、FDAから要求されている臨床試験の一つである貼付力評価試験において、NDAに必要な要件を満たし、先行指標品であるLidoderm®と比較して優れた貼付力を示す結果を得ました。

 


 

2019年12月に、FDAから要求されている臨床試験の一つである皮膚刺激性試験において、連続貼付時の皮膚安全性を確認し、統計学的有意差をもってMRX-5LBTがLidoderm®より皮膚刺激が少ないことも確認されました。
2020年1月に、FDAから要求されている臨床試験の一つである、運動(12時間の貼付中にバイク運動を30分x4回実施)による影響を観察する臨床試験を実施し、MRX-5LBTは発汗を伴う運動時においても十分な貼付力を示し、運動時においてもLidoderm®と比べて優れた貼付力を保持することが示されました。

 


 

これらの結果を合わせて考えると、MRX-5LBTは、先行指標品であるLidoderm®より「皮膚刺激性が少なく」「貼付力に優れ」「運動時においても貼付力を保持できる」より良い製品として市場浸透することが期待されます。
今後はFDAから要求されている試験を順次実施し、現行計画通り2020年に新薬承認申請(NDA)する計画です。米国におけるリドカイン貼付剤市場は、2018年において505億円(468 million USドル)と推計されています(出所:IQVIA)。

 

<開発コード MRX-1OXT:中枢性鎮痛貼付剤(オキシコドンテープ剤)>

ILTS®によって、経皮難吸収性の中枢性鎮痛薬であるオキシコドンの経皮浸透度を飛躍的に高めると同時に、皮膚に対する安全性も満たすテープ型貼付剤を製剤開発したものです。オピオイド貼付剤における乱用及び誤用の抑制・防止を目的として開発した当社独自の新たな経皮吸収型製剤技術AMRTS®(Abuse and Misuse Resistant Transdermal System)を用いたMRX-1OXTについて、2017年4月に、米国規制当局であるFDAと、治験許可申請(IND:Investigational New Drug application)に先立って行う面談会議(pre IND meeting)を実施し、協議の結果、当社の開発方針がFDAによって確認されました。2018年2月に、単回PK試験(P1a)においてMRX-1OXTは疼痛治療に十分な血中薬物濃度を実現できる可能性が高いことが示されました。P1a終了後は、製剤の粘着性等の改良を進めてきました。

米国では、オキシコドンを始めとする強い鎮痛作用を有するオピオイド鎮痛剤が大きな市場(2016年 約7,500億円、出所:FDA 2018年3月1日付“FDA Analysis of Long-Term Trends in Prescription Opioid Analgesic Products: Quantity, Sales, and Price Trends”より推計)を形成しています。その一方で、オピオイド鎮痛剤の乱用から2014年には200万人が薬物依存に陥り、オピオイド鎮痛剤の過量摂取により1999年から2015年にかけて18万人以上が死亡、また、幼児が使用後のオピオイド貼付剤を誤って咀嚼したり貼付することで死亡する等、オピオイドの乱用及び誤用事故が大きな社会問題となっており、トランプ米大統領がオピオイド乱用の蔓延について「公衆衛生の非常事態」を宣言する等、米国政府・規制当局は重点的にその対策に取り組んでいます。そういった状況の下、オピオイド乱用について製薬会社に対する巨額訴訟が相次ぎ、2019年9月にはオキシコドン経口剤の最大手の製造販売元であったパーデュー・ファーマ社が補償負担に耐えかねて経営破綻に追い込まれる事態となる等、オピオイド系新薬についての製薬会社の開発・導入意欲は大きく減退しています。

当社では、AMRTS®を用いたMRX-1OXTはより安全で安定した疼痛管理をもたらすものと期待していますが、上記の導出環境の悪化を踏まえ、MRX-1OXTについては新薬承認取得しないと提携・事業化することは困難であるとの判断に至りました。そして、同じオピオイド貼付剤として、MRX-1OXTと比べて市場ポテンシャルは劣るものの、新薬承認取得可能性が高く、新薬承認取得までの開発費も少額と見込まれる、MRX-9FLT(後述)の開発を優先する方針としました。

 

<開発コード MRX-9FLT:中枢性鎮痛貼付剤(フェンタニルテープ剤)>

フェンタニルは、オピオイドの一種で、医療用麻薬に指定されており、米国においては重度の急性疼痛、慢性疼痛及び癌性疼痛に主に貼付剤として使用されています。フェンタニル貼付剤においては、患者の使用後の貼付剤を幼児・小児が誤って噛んだり貼付したりすることで死亡する誤用事故が報告されています。
当社グループでは、オピオイド貼付剤における誤用事故の抑制・防止を目的とした独自技術を開発しており、その技術を適用したフェンタニルテープ剤について2019年5月に米国規制当局であるFDAと面談会議を実施し、フェンタニル貼付剤における幼児・小児の誤用事故防止は重要で価値のあるゴールであることを確認することができました。2019年11月にMRX-9FLTの製剤開発が完了したことから、開発資金を早期に確保して、現在市販されているフェンタニル貼付剤によって引き起こされている誤用事故を減滅させることを目指して米国における開発を進めたいと考えています。現在、治験許可申請(IND)に向けた準備中であり、2021~22年に新薬承認申請(NDA)することを計画しています。米国におけるフェンタニル貼付剤市場は、2018年において340億円と推計されており(data source:IQVIA)、誤用事故防止という高付加価値化による市場拡大を企図しています。

<開発コード MRX-7MLL:アルツハイマー治療薬(メマンチン含有貼付剤)>

当社では、ILTS®とは別に、薬物をナノコロイド化することにより経皮吸収性を飛躍的に向上させる独自の経皮製剤技術NCTS®を用いた経皮吸収型医薬品の研究開発にも取り組んでいます。MRX-7MLLは、NCTS®を用いてアルツハイマー治療薬であるメマンチンを含有した貼付剤を製剤開発したものです。2018年12月に、治験前相談(pre IND meeting)に対する回答を米国規制当局であるFDAより入手し、当社グループが示した非臨床試験内容で第Ⅰ相臨床試験を開始するのに十分であることが確認されました。また、新薬承認取得に向けて、メマンチン経口剤との生物学的同等性を示すことができれば、MRX-7MLLの有効性を示す臨床試験(第Ⅱ相臨床試験、第Ⅲ相臨床試験)は必要ではないことも確認されました。これにより、早期の新薬承認申請(NDA)が可能になったと考えています。
米国での臨床試験を実施するための非臨床試験が完了し、現在、商業生産までを見越した製造委託先を選定中です。治験薬製造が完了次第、治験許可申請(IND)をFDAに提出予定です。

2017年において米国アルツハイマー治療薬市場は約1,500億円であり、そのうちメマンチン経口剤が約750億円を占めています(出所:Datamonitor Healthcare by Informa PLC)。1日1回の経口剤に対して、アルツハイマー患者さん及びケアに当たるご家族や医療従事者が投薬状況を目視確認できる、3日に1回あるいは1週間に1回の貼付剤という選択肢を提供することにより、アルツハイマー患者さん及びケアに当たるご家族や医療従事者のQOL(quality of life)及びコンプライアンスの向上(飲み忘れ等の防止)に貢献したいと考えています。

 

<第一三共との共同開発品>

2018年2月にNCTS®を用いた或る開発候補品について第一三共株式会社(東京都中央区、代表取締役社長 真鍋淳、以下「第一三共」という。)と共同開発契約を締結し、国内製造販売承認取得を目指して第一三共と共同で開発を推進しておりましたが、非臨床試験において期待した結果を得られず、2019年8月に共同開発を中止することとなりました。

 

<武田薬品工業への技術ライセンス>
2018年8月に武田薬品工業株式会社(東京都中央区、代表取締役社長CEO クリストフ・ウェバー、以下「武田薬品工業」)と、武田薬品工業の或る重点疾患領域におけるパイプラインに関して当社独自の経皮吸収技術を適用するための技術ライセンス契約を締結し、武田薬品工業が当社独自の経皮吸収技術を適用した新剤型を評価してきましたが、評価基準を満たすことができず、2019年10月に技術ライセンス契約を解消することとなりました。

 

上記パイプライン以外にも、製薬会社等と共同で、あるいは当社グループ独自でILTS®、NCTS®やマイクロニードルアレイを活用した製剤開発を進めています。

 

<上市製品>

当社グループでは、褥瘡・皮膚潰瘍治療剤「ヨードコート軟膏」等の製品を提携先の製薬会社を通じて販売しており、当連結会計年度において製品売上として23百万円を計上しました。

 

当社の経皮製剤技術について

 

経皮吸収型医薬品には、嚥下障害等で経口投与が困難な患者にも投与可能、ファーストパスエフェクトを受けない、薬物の血液中の濃度を一定に保ち効果を持続させ易い、注射剤と異なり投与時に痛みを感じない等の様々な利点があります。疾患別に見ると、昨今の潮流として、疼痛治療用薬剤に加え、アルツハイマー病やうつ病のような精神疾患系薬剤においても、QOL及びコンプライアンスの向上(飲み忘れ等の防止)に寄与する経皮吸収型製剤が、アンメット・メディカルニーズに応える形で開発及び市場投入されています。

一方、皮膚は人体にとって外界からの異物の侵入に対する第一バリアであり、分子量が小さい、脂溶性が高い、融点が低い等の、皮膚から浸透し易い特定の物理化学的性質を持つ薬物以外の薬物を経皮吸収させることは極めて困難です。

当社では、イオン液体の特徴を利用した独自の経皮製剤技術ILTS®や薬物のナノコロイド化技術を利用した独自の経皮製剤技術NCTS®により、従来の技術では経皮吸収させることが困難であった難溶性薬物や核酸・ペプチドといった高分子に至る様々な薬物の経皮浸透性を飛躍的に向上させることに成功しています。さらに、ILTS®やNCTS®をもってしても経皮吸収させることが困難な高分子のワクチンや核酸医薬・タンパク医薬等については、マイクロニードルアレイによる投与方法の研究開発を行っております。
   

ILTS®Ionic Liquid Transdermal System)

 

 

イオン液体とは、融点が100℃以下の塩(えん)のことで、常温溶融塩とも呼ばれています。低融点、高イオン伝導性、高極性、不揮発性、不燃性等の特徴を有しており、太陽電池や環境に優しい反応溶媒等、多方面における応用が検討されています。当社では、薬物をイオン液体化する、或いは、イオン液体に薬物を溶解することにより、当該薬物の経皮浸透性を飛躍的に向上させることができることを世界に先駆けて見出しました。現在までに、①人体への使用実績がある化合物の組み合わせによる安全性が高いと考えられるイオン液体ライブラリー、②対象薬物の経皮浸透性向上に適したイオン液体の選択に関するノウハウ、③薬物を含有するイオン液体をその特性を保持したまま使い勝手のよい形(貼り薬、塗り薬等)に製剤化するノウハウ等を蓄積しています。これらのノウハウ等も含めた独自の経皮吸収型製剤作製技術を総称して、ILTS®(Ionic Liquid Transdermal System)と呼んでいます。

研究成果として、当社と東京医科歯科大学が共同で実施したILTS®を用いた「皮膚扁平上皮がんに対するmiR-634軟膏の経皮局所投与による治療可能性」「甲状腺未分化癌に対するmiR-634を用いた核酸抗癌薬の開発」「ランゲルハンス細胞上に発現するPD-1リガンドの一つであるPD-L2は皮膚T細胞免疫反応を増強させる」について、それぞれ米国癌学会年次総会2019(2019年3月)、第78回日本癌学会学術総会(2019年9月)、第48回日本免疫学会学術集会(2019年12月)において発表しております。また、当社と徳島大学が共同で実施した「イオン液体を用いた新規インスリン含有経皮吸収製剤は糖尿病治療薬になりうる」「siRNA含有イオン液体製剤の経皮送達による乾癬治療」について、それぞれ第28回DDSカンファランス(2019年9月)、第58回日本薬学会・日本薬剤師会・日本病院薬剤師会 中国四国支部学術大会(2019年11月)において発表しております。

 

NCTS®Nano-sized Colloid Transdermal System)

 

 

当社は、薬物をナノサイズのコロイドにすることで経皮吸収性が高まることを発見し、それによる製剤化技術をNCTS®(Nano-sized Colloid Transdermal System)と名付けました。アルツハイマー治療薬等をターゲットとした製剤開発を進めております。

 

マイクロニードルアレイ

 

 

マイクロニードルアレイとは、生体分解性樹脂等から成る数百μmのマイクロニードル(微小針)の集合体で、当社開発品は、多数のマイクロニードルをシート状に並べ、生け花に用いる剣山を数百μmレベルに縮小したような形状です。薬剤の皮膚透過性を上げるための方法の一つとして、マイクロニードルを使用し、角質層を局所的に破壊して薬剤を真皮層に強制的に投与するということが試みられています。当社は、マイクロニードルアレイを用いて、現在は注射しか投与手段のないワクチンや核酸医薬・タンパク医薬等の、無痛経皮投与システムを確立すべく、研究開発に取り組んでいます。

 

AMRTS®Abuse and Misuse Resistant Transdermal System)

 

 

貼付剤における薬物の乱用及び誤用事故を抑制・防止するための、メドレックス独自の新たな製剤技術です。「低抽出性」「強い苦み」「再吸収抑制」「再貼付防止」の4つの技術から成っています。

 

 

 

 

*用語解説

経皮吸収

皮膚から(薬物を)体内に吸収・浸透させること。

CRO

(Contract Research Organization)

医薬品開発業務受託機関。

チザニジン

 

 

中枢性筋弛緩剤(脳や脊髄にある中枢神経に作用して筋肉の緊張を緩和する薬)の一種で、痛みを伴う肩こりや腰痛、五十肩、緊張性頭痛等の治療及び痙性麻痺等の筋肉がこわばる症状の治療に使用されている。

オキシコドン

 

 

中枢性鎮痛薬(脳や脊髄にある中枢神経に作用して痛みを抑制する薬)の一種で、医療用麻薬に指定されており、重度の急性疼痛、慢性疼痛及び癌性疼痛に使用されている。

リドカイン

 

神経末端において痛みの信号を遮断することにより痛みを軽減させる、局所麻酔薬の一種。

フェンタニル

 

オピオイドの一種で、医療用麻薬に指定されており、米国においては重度の急性疼痛、慢性疼痛及び癌性疼痛に主に貼付剤として使用されている。

メマンチン

 

 

脳内での過剰なグルタミン酸作用を抑えて神経細胞を保護するNMDA受容体拮抗薬で、中等度及び高度アルツハイマー型認知症における認知症症状の進行を抑制する薬。

製剤開発

 

飲み薬を貼り薬に、錠剤をゼリー剤にする等して、医薬品の剤型/投与方法を変えることにより、医薬品の有用性や安全性を高めるための研究開発。

臨床試験

 

 

 

 

薬剤候補について、有効性と安全性を実証するために、ヒトを対象として実施する試験の総称。
少数健常人を対象として安全性及び薬物動態を確認する第I相試験、少数患者を対象として有効性及び安全性を探索的に確認する第Ⅱ相試験、多数患者を対象として有効性及び安全性を検証する第Ⅲ相試験に区分される。

オピオイド

 

 

 

 

ケシから採取されるアルカロイドやその関連の合成化合物及び内因性物質のうち麻薬性作用を持つ物質の総称。モルヒネ、オキシコドン、フェンタニルなどに代表されるオピオイド鎮痛薬は、強い鎮痛効果を有する一方で、薬物依存性が高く中毒症を引き起こしやすく、過剰容量摂取した場合には呼吸抑制や昏睡を引き起こして死に至る恐れがあることが知られている。

コロイド

 

コロイドとは、液体、固体あるいは気体にある粒子が均一に分散している状態をいい、ナノコロイドは、粒子がナノサイズのコロイド。

非臨床試験

 

薬剤候補について、ヒトにおける試験を実施する上で十分な安全性と有効性があることの確認を目的として、主に動物を用いて行われる試験。

上市

 

各国の規制当局により新薬が承認され、実際に市場に出る(市販される)こと。

ヨードコート軟膏

 

 

商品名、褥瘡治療薬。褥瘡とは、患者が長期にわたり同じ体勢で寝たきり等になった場合、体と支持面(多くはベッド・布団)との接触局所で血行が不全となって、周辺組織に壊死を起こすものをいう。

ファーストパスエフェクト

 

 

初回通過効果ともいう。経口摂取した薬物は、腸管から吸収され肝臓に入る。多くの薬物は、その一部が肝臓で代謝されてしまう(異なる化合物になる)ので、飲んだ薬の効果全てが全身(または患部)に届くわけではない。この肝臓通過による薬効減退効果のこと。

QOL(Quality of Life)

 

不快に感じることを最大限に軽減し、できるだけ当人(患者)がこれでいいと思えるような生活が送れるようにすることを目指した、医療上の概念。

アンメット・メディカルニーズ

まだ満たされていない医療上の必要性、未充足の医療ニーズ。

イオン液体

 

 

融点が100℃以下の塩(えん)のことで、常温溶融塩とも呼ばれる。低融点、高イオン伝導性、高極性、不揮発性、不燃性等の特徴を有しており、太陽電池や環境に優しい反応溶媒等、多方面における応用が検討されている。

難溶性薬物

水やその他の各種溶媒に対して溶けにくい性質を持つ薬物。

核酸

 

遺伝子の構成成分である生体高分子。核酸には、DNA(デオキシリボ核酸)やRNA(リボ核酸)がある。

ペプチド

 

 

数個~数百個のアミノ酸がつながってできた物質の総称。インスリン等の糖尿病治療薬として使用されているものや、最近ではがんワクチンとして開発中のものも多い。

生体分解性樹脂

 

ヒトの体内で分解され得るプラスチック素材。手術時の縫合糸等に使われているものもある。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

4 【関係会社の状況】

 

名称

住所

資本金又は
出資金

主要な事業
の内容

議決権の所有
割合(%)

関係内容

(連結子会社)
MEDRx USA INC.

アメリカ合衆国

カリフォルニア州

アーバイン市

USドル
300,000

米国における臨床開発

100.0

役員兼任(2名)
開発委託先

 

(注) 1.  主要な事業の内容欄には、代表的な事業の名称を記載しております。

2.  有価証券届出書又は有価証券報告書を提出している会社及び特定子会社はありません。

 

5 【従業員の状況】

(1) 連結会社の状況

2019年12月31日現在

区分

従業員数(名)

全社共通

26

合計

26

 

(注) 1.  従業員数は就業人員であります。

2.  当社グループは、単一事業分野において営業を行っており、単一事業部門で組織されているため、従業員数は全社共通としております。

 

(2) 提出会社の状況

2019年12月31日現在

従業員数(名)

平均年齢(歳)

平均勤続年数(年)

平均年間給与(千円)

25

44.8

9.4

6,526

 

(注) 1.  従業員数は就業人員であります。

2.  平均年間給与は、賞与及び基準外賃金を含んでおります。

3.  当社は、単一事業分野において営業を行っており、単一事業部門で組織されているため、従業員数は全社共通としております。

 

(3) 労働組合の状況

当社グループには労働組合はありません。

なお、労使関係については円滑な関係にあり、特記すべき事項はありません。