第2 【事業の状況】

 

1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

 文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末において、当社グループが判断したものであります。

(1) 創薬パイプラインの開発推進

創薬パイプライン型ベンチャーである当社グループにおいては、創薬パイプラインの製品化に向けた開発の進展、開発アセットの価値向上こそが、当社グループの企業価値向上に最も大きく寄与する経営上の最重要課題であると認識しています。

当連結会計年度においては、CPN-101(MRX-4TZT)に関して、臨床第I相反復PK試験(P1b)の成功により、Cipla Techと締結している開発・販売ライセンス契約に基づいて開発マイルストン100万米ドルを受領しました。最低限の経営目標は達成できたと考えています。また、MRX-5LBTに関しても開発が着実に進展し、当初からの計画通り2020年に新薬承認申請(NDA)する見込みです。

一方、MRX-1OXTに関しては、オピオイド系新薬の導出環境の悪化を踏まえて開発を中断しました。そして、同じオピオイド貼付剤として、市場ポテンシャルは劣るものの、新薬承認取得可能性が高く開発費も少額と見込まれるMRX-9FLTの開発を優先する方針としました。

 

(2) 製薬会社等とのパートナーシップの構築

当社グループは研究開発投資が先行する創薬パイプライン型ベンチャーであることから、製薬会社等との事業提携も重要課題であると認識しています。各開発パイプラインや基盤技術の一部について、開発権や販売権のライセンスアウトを通じて、win-winの関係を構築できるパートナーから収益を得て、財務基盤の強化、持続的な企業成長を図っていく方針です。

当連結会計年度においては、上述のようにCPN-101(MRX-4TZT)に関してCipla Techから開発マイルストンを受領した一方で、2018年に事業提携した2つの案件(第一三共との共同開発、武田薬品工業への技術ライセンス)については、いずれも期待した成果を得られず提携解消となりました。創薬パイプラインの成功までの道筋の困難さを改めて痛感しましたが、今後も、当社の経皮吸収型製剤技術を大きな事業価値として具現化するため、開発パイプライン群の適切なポートフォリオを構築・充実すべく、製薬会社等との事業提携を模索してまいりたいと考えています。

2020年から2021年にかけてのMRX-5LBTの販売パートナーの選定、その他のパイプライン・基盤技術についての事業提携が、引き続き重要な経営課題であると認識しています。

 

(3) 開発資金の確保

当社グループは研究開発投資が先行する創薬パイプライン型ベンチャーであることから、中長期的成長に向けて、創薬パイプラインの開発アセットとしての価値を高めていくための開発資金の確保も重要課題であると認識しています。

当連結会計年度においては、第三者割当による新株発行、第14回新株予約権(行使価額修正条項付)の発行及び行使による新株発行により、MRX-5LBTの開発資金を確保することができました。また、第15回新株予約権(行使価額修正条項付)の発行及び行使による新株発行により、MRX-9FLTの開発資金、MRX-5LBTのEUでの開発資金を調達中です。

今後も、適時適切な財務活動による資金調達を実施して開発資金を確保し、開発アセットの価値向上を通じて企業価値向上を図っていく方針です。

 

(4) 人材の採用・育成、企業風土の醸成

当社グループの事業活動は、医薬品業界における豊富な経験を有する経営陣及び研究開発人員により運営されているものの、事業を推進する各部門の責任者及び少数の研究開発人員に強く依存するところがあります。当社が持続的な成長を果たすためには、人的陣容強化が欠かせないと認識しており、常に優秀な人材の確保と育成に努めています。また、研究開発推進の背骨となる多様性とチャレンジ精神を尊重する企業風土を培い続けていく所存です。

 

(5) 内部統制の強化

当社グループでは、企業規模・業容に応じた内部管理体制を整備し機能させることが重要であると考えています。業務執行の妥当性や効率性のチェック機能を有効に働かせ、取締役6名(社外取締役1名を含む)、監査役3名(社外監査役2名を含む)及び従業員26名の小規模組織(2019年末現在)に応じた内部管理体制を敷いています。今後、業容拡大に応じて内部管理体制の拡充を図っていく方針です。

 

2 【事業等のリスク】

当社グループの事業運営及び展開等について、リスク要因として考えられる主な事項を以下に記載しております。中には当社グループとして必ずしも重要なリスクとは考えていない事項も含まれておりますが、投資判断上、もしくは当社グループの事業活動を十分に理解する上で重要と考えられる事項については、投資家や株主に対する積極的な情報開示の観点からリスク要因として挙げております。

当社グループはこれらのリスクの発生の可能性を十分に認識した上で、発生の回避及び発生した場合の適切な対応に努める方針ですが、当社株式に関する投資判断は、以下の事項及び本項以外の記載も併せて、慎重に検討した上で行われる必要があると考えます。また、これらは投資判断のためのリスクを全て網羅したものではなく、更にこれら以外にも様々なリスクを伴っていることにご留意頂く必要があると考えます。なお、文中の将来に関する記載は、本書提出日現在において当社グループが判断したものであります。

 

Ⅰ. 医薬品の研究開発、医薬品業界に関するリスク

(1) 新薬開発の不確実性

医療用医薬品の開発には多額の研究開発投資と長い時間を要しますが、臨床試験で有用な効果を発見できないこと等により研究開発が予定通りに進行せず、開発の延長や中止の判断を行うことは稀ではありません。また、日本国内はもとより、海外市場への展開においては、各国の薬事関連法規等の法的規制の適用を受けており、新薬の製造及び販売には各国別に厳格な審査に基づく承認を取得しなければならないため、有効性、安全性、及び品質等に関する十分なデータが得られず、予定していた時期に上市ができず延期になる、または上市を断念する可能性があります。これは当社グループのパイプラインを他社にライセンスアウトした場合も同様であり、当社グループが研究開発を行った医療用医薬品候補及び他社にライセンスアウトした医療用医薬品候補の上市が延期または中止された場合、当社グループの業績及び財政状態に重大な影響を及ぼす可能性があります。

(2) 薬事関連法規等の規制

当社は「医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律(以下「医薬品医療機器等法」という)」等の薬事関連法規の厳格な規制を受けており、事業活動の遂行に際して以下のとおり許認可等を受けています。

許認可等の
名称及び所管官庁

許認可等の内容
及び有効期限

主な許認可取消
又は業務停止事由

第二種医薬品製造販売業許可証
所管官庁:厚生労働省、香川県
 

医薬品医療機器等法第12条第1項の規定により許可された第二種医薬品製造販売業者であること。
有効期限:2024年2月8日
(5年毎の更新)

医薬品医療機器等法その他薬事に関する法令若しくはこれに基づく処分に違反する行為があったとき、又は役員等が欠格条項に該当したとき(医薬品医療機器等法第75条第1項)

 

 

これらの許認可等を受けるための諸条件及び関連法令の遵守に努めており、現時点において当該許認可等が取り消しとなる事由は発生していません。しかし、法令違反等によりその許認可等が取り消された場合には、規制の対象となる製品を回収し、またはその販売を中止することが求められる可能性及び対象事業を継続できない可能性があり、当社グループの運営に支障をきたし事業活動に重大な影響を及ぼす可能性があります。

また、将来において各国薬事法等の諸規制に大きな変化が生じた場合にも、同様に、当社グループの運営に支障をきたし事業活動に重大な影響を及ぼす可能性があります。

(3) 副作用発現、製造物責任

医薬品には、臨床試験段階から更には上市後以降において、予期せぬ副作用が発現する可能性があります。当社グループは、こうした事態に備えて、製造物責任を含めた各種賠償責任に対応するための適切な保険に加入しておりますが、最終的に当社グループが負担する賠償額の全てに相当する保険金が支払われる保証はありません。また、当社に対する損害賠償の請求が認められなかったとしても、製造物責任請求等がなされたこと自体によるネガティブ・イメージにより、当社グループ及び当社グループの製品に対する信頼に悪影響が生じる可能性があります。これら予期せぬ副作用が発現した場合、当社グループの財政状態及び経営成績に重大な影響が及ぶ可能性があるとともに、社会的信頼の失墜を通じて当社グループの事業展開にも深刻な影響を及ぼす可能性があります。

(4) 競合

医薬品業界は、国際的な巨大企業を含む国内外の数多くの企業や研究機関等による激しい競争状態にあり、その技術革新は急速に進んでいる状況です。これら競合相手との競争において必ずしも当社が優位性をもって継続できるとは限らず、研究、開発、製造及び販売のそれぞれの事業活動における競争の結果により、当社グループの業績及び財政状態に重大な影響を及ぼす可能性があります。

(5) 医療費抑制策

当社グループの最重要ターゲットである米国において、医療保険改革法案等による先発医薬品への価格引下げ圧力のほか、低価格のジェネリック医薬品の使用促進も進んでいます。また、我が国においても、政府は増え続ける医療費に歯止めをかけるため、医療費の伸びを抑制していく方針を示しており、定期的な薬価引き下げをはじめ、ジェネリック医薬品の使用促進等が進んでいます。今後の医療費政策の動向が当社グループの業績及び財政状態に重大な影響を及ぼす可能性があります。

 

Ⅱ.事業遂行上のリスク

(1) パイプライン・製品に関する収益の不確実性

当社グループでは、当社製剤技術により製剤開発した複数の医薬品候補製剤(開発パイプライン)を製品化(医薬品としての製造販売承認取得)に向け臨床開発等を行っておりますが、製品上市前の収益として、各開発パイプラインのライセンスアウトによる契約一時金や開発の進捗に応じた所定の成果達成に基づくマイルストン収益を見込んでいます。この発生時期はライセンス交渉や開発の進捗に依存した不安定で予測困難なものであり、ライセンス交渉や開発に遅延が生じた場合、あるいは臨床試験等において期待される結果が確認できなかった場合には、当社グループの業績及び財政状態に重大な影響を及ぼす可能性があります。

(2) 小規模組織、少数の事業推進者への依存、業務委託及び提携先への依存

当社グループは、取締役6名(社外取締役1名を含む)、監査役3名(社外監査役2名を含む)及び従業員26名の小規模組織(2019年12月末現在)であり、現在の内部管理体制はこのような組織規模に応じたものとなっています。今後、業容拡大に応じて内部管理体制の拡充を図る方針です。

また、当社グループの事業活動は、現経営陣、各部門の責任者及び少数の研究開発人員に強く依存するところがあります。そのため、常に優秀な人材の確保と育成に努めていますが、人材確保及び育成が順調に進まない場合、並びに人材の流出が生じた場合には、当社グループの事業活動に支障が生じ、当社グループの業績及び財政状態に重大な影響を及ぼす可能性があります。

加えて、当社グループでは、研究開発、製造及び販売に関して、業務委託及び業務提携することにより、比較的少人数による事業推進を可能にしています。しかしながら、何らかの理由により、業務受託又は業務提携先との関係が解消された場合には、事業活動に支障をきたし、当社グループの業績及び財政状態に重大な影響を及ぼす可能性があります。

(3) 知的財産権

当社グループでは研究開発をはじめとする事業展開において様々な知的財産権を使用しており、これらは当社所有の権利であるか、あるいは適法に使用許諾を受けた権利であるものと認識しています。

しかし、当社が保有している現在出願中の特許が全て成立する保証はありません。また、特許が成立した場合でも、当社の研究開発を超える優れた研究開発により、当社の特許に含まれる技術が淘汰される可能性は常在しています。当社の特許権の権利範囲に含まれない優れた技術が開発された場合には、当社グループの業績及び財政状態に重大な影響を及ぼす可能性があります。

また、当社グループでは他社の特許権の侵害を未然に防止するため特許調査を実施しており、これまでに、当社グループの開発パイプラインに関する特許権等の知的財産権について第三者との間で訴訟が発生した事実はありません。しかし、当社グループのような研究開発型企業にとって知的財産権侵害の問題を完全に回避することは困難であり、第三者との間で知的財産権に関する紛争が生じた場合には、当社グループの業績及び財政状態に重大な影響を及ぼす可能性があります。

 

Ⅲ.業績等に関するリスク

(1) 社歴の浅さ

当社は2002年1月に設立された社歴の浅い企業であり、医薬品業界における豊富な経験を有する経営陣及び研究開発人員により運営されているものの、今後、未だ経験していない事業上のトラブルが発生する可能性は否定できず、将来の不確実要因も多いと考えられます。

(2) マイナスの繰越利益剰余金の計上

当社グループは、医薬品の研究開発を主軸とするベンチャー企業です。医薬品の研究開発には多額の初期投資を要し、その投資資金回収も他産業と比較して相対的に長期に及ぶため、ベンチャー企業が当該事業に取り組む場合は、一般的に期間損益のマイナスが先行する傾向にあります。当社グループも創業以来継続的に営業損失及び親会社株主に帰属する当期純損失を計上しています。

当社グループは、複数のパイプラインの開発を推し進めることにより、将来の利益拡大を目指しています。しかしながら、設立以来親会社株主に帰属する当期純損失を計上しており、将来において計画通りに親会社株主に帰属する当期純利益を計上できない可能性もあります。また、当社事業が計画通りに進展せず親会社株主に帰属する当期純利益を獲得できない場合には、繰越利益剰余金がプラスとなる時期が著しく遅れる可能性があります。

(3) 収益計上が大きく変動する傾向、売上高に関する上場廃止基準への抵触可能性

当社グループは、上市済み製品による売上を計上しているもののその額は微々たるものであり、当社グループの売上高は、現在開発中のパイプラインのライセンスアウト時の契約一時金及び開発進捗に伴うマイルストン収入に大きく影響されるため、過年度の売上高、親会社株主に帰属する当期純利益(損失)は不安定に推移しています。また、売上高が不安定であることより、2019年12月期の事業年度からは有価証券上場規程(東京証券取引所)第603条第4項に定めるマザーズの上場廃止基準における「最近1年間に終了する事業年度において売上高が1億円に満たないこととなった場合」に抵触して上場廃止になる可能性があります。開発パイプラインの複線化や製薬会社等との提携パイプラインを増やす等により毎年1億円以上の売上高を確保できるよう計画していますが、この傾向は、現在開発中のパイプラインが上市され安定的な収益基盤となるまで続くと見込まれます。

(4) 資金繰り

当社グループは、研究開発型企業として多額の研究開発資金を必要とし、また研究開発費用の負担により長期に亘って先行投資の期間が続きます。この先行投資期間においては、継続的に営業損失を計上し、営業活動によるキャッシュ・フローはマイナスとなる傾向があります。当社も営業キャッシュ・フローのマイナスが続いており、かつ現状では安定的な収益源を十分には有しておりません。

このため、先行投資期間においては、必要に応じて適切な時期に資金調達等を実施し、財務基盤の強化を図る方針です。2013年2月に東京証券取引所マザーズ市場に上場し、今後の研究開発活動を積極的に展開するための資金を確保しております。2013年9月にMRX-1OXT(中枢性鎮痛貼付剤)の開発に必要となる資金を確保する目的で行使価額修正条項付き第6回新株予約権(第三者割当て)を発行し、2013年11月にはすべての権利行使が完了して総額2,292百万円の資金調達を行っております。2015年12月にMRX-5LBT(帯状疱疹後の神経疼痛治療薬)、MRX-4TZT(痙性麻痺治療薬)等の後続パイプラインの開発に必要となる資金を確保する目的で第8回新株予約権(行使価額修正条項付き)(第三者割当て)を発行し、2016年4月にはすべての権利行使が完了して総額845百万円の資金調達を行っております。さらに、2016年6月にはMRX-5DML(アルツハイマー治療薬)その他の開発に必要となる資金を確保する目的で第三者割当による第1回無担保転換社債型新株予約権付社債、第11回新株予約権及び第12回新株予約権を発行しており、第1回無担保転換社債型新株予約権付社債については、2017年11月にすべての転換が完了し、第11回新株予約権については2018年4月にすべての権利行使が完了しました。また,第12回新株予約権については2018年4月にすべて買取消却を行っています。2018年4月には、マイクロニードルアレイの治験薬工場及び量産化工場の建設に必要となる資金を確保する目的で第13回新株予約権を発行し73百万円の資金を獲得しましたが、残りの新株予約権については2018年11月に買入消却を行っております。

2019年2月には、第三者割当による新株発行、第14回新株予約権(行使価額修正条項付き)の発行及び行使により、MRX-5LBTの開発資金を獲得しました。また、2019年12月には、第15回新株予約権(行使価額修正条項付き)の発行及び行使により、MRX-9FLTの開発資金、MRX-5LBTのEUでの開発資金を調達中です。

当社グループでは、こうした方針を今後も継続していく予定ですが、将来的に必要なタイミングで資金を確保できなかった場合は、当社事業の継続に重大な懸念が生じる可能性があります。

(5) 為替変動リスク

当社グループの収入及び支出(計画を含む)には米国ドル建決済が含まれていますが、特段の為替リスクヘッジは行っておりません。大幅な為替変動が生じた場合には、当社グループの業績及び財政状態に重大な影響を及ぼす可能性があります。

(6) 調達資金使途

上場時の公募増資及びその後現在に至るまでの新株予約権の権利行使により調達した資金は、医薬品の研究開発を中心とした事業費用に充当する計画です。但し、新薬開発に関わる研究開発活動の成果が収益に結びつくには長期間を要する一方で、研究開発投資から期待した成果が得られる保証はなく、その結果、調達した資金が期待される利益に結びつかない可能性があります。

(7) 新株発行による資金調達

当社グループは際限ない成長意欲を有しており、将来の急速な事業規模の拡大に伴い、増資を中心とした資金調達を機動的に実施していく可能性があります。その場合には、当社の発行済株式数が増加することにより、1株当たりの株式価値が希薄化する可能性があります。

(8) ストック・オプション

当社は、当社取締役、監査役、従業員、当社子会社従業員及び社外協力者の業績向上に対する意欲や士気を高め、また優秀な人材を確保する観点から、ストック・オプション制度を採用しています。会社法第236条、第238条及び第239条の規定に基づき、株主総会の承認を受け、当社取締役、監査役、従業員、当社子会社従業員及び社外協力者に対して新株予約権の発行と付与を行っています。

2019年12月31日現在における当社の発行済株式総数は13,714,100株であり、これら新株予約権の権利が行使された場合は、新たに725,000株の新株式が発行され、当社の1株当たりの株式価値は希薄化する可能性があります。また、今後も優秀な人材の確保のため、同様のインセンティブ・プランを継続する可能性があります。従って、今後付与される新株予約権が行使された場合にも、当社の1株当たりの株式価値は希薄化する可能性があります。

(9) 配当政策

医薬品の研究開発には多額の初期投資を要し、その投資回収も長期に及ぶ傾向にあり、当社も創業以来継続的に営業損失及び親会社株主に帰属する当期純損失を計上しています。このような状況下においては、積極的な開発推進によって企業価値を高めることこそが、株主利益の最大化に繋がると考えています。

2019年12月期末においては、会社法の規定上、配当可能な財政状態にはありません。

株主への利益還元については重要な経営課題と認識しており、将来、現在開発中の新薬が上市され、その販売によって親会社株主に帰属する当期純利益が計上される時期においては、経営成績及び財政状態を勘案しながら、配当による利益還元の実施を検討したいと考えております。

(10) 継続企業の前提に関する重要事象等

 当社グループは創薬ベンチャー企業です。
医薬品の研究開発には長期に及ぶ先行投資が必要であり、ベンチャー企業として医薬品の開発に取り組んでいるため、期間損益のマイナスが先行する結果となっております。
 当連結会計年度においても営業赤字が継続しているため、継続企業の前提に重要な疑義を生じさせるような状況となっておりますが、2013年2月13日の東京証券取引所マザーズ市場への上場に伴う資金調達及び上場以降適時に実施してまいりました資金調達により、翌連結会計年度の研究開発活動を展開するための資金は確保できており、継続企業の前提に関する重要な不確実性はないと認識しております。 

 

3 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

 

(1) 経営成績等の概要

当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。

① 財政状態の状況

 

(資産)

当連結会計年度末の総資産は、前連結会計年度末に比べて263百万円減少し、2,047百万円となりました。これは主に現金及び預金が386百万円減少したこと、前渡金が32百万円減少したこと,原材料及び貯蔵品が23百万円減少したこと、建物及び構築物が23百万円増加したこと及び建設仮勘定が165百万円増加したこと等によるものであります。

流動資産は1,501百万円となりました。主な内容は、現金及び預金1,410百万円等であります。固定資産は546百万円で、主な内容は建設仮勘定257百万円、建物及び構築物172百万円等であります。

(負債)

負債は、前連結会計年度末に比べて54百万円減少し、126百万円となりました。これは主に未払金の減少55百万円等によるものであります。

流動負債は116百万円となりました。主な内容は未払金74百万円、未払法人税等38百万円等であります。固定負債は10百万円となりました。主な内容は資産除去債務9百万円等であります。

(純資産)

純資産は、前連結会計年度末に比べて209百万円減少し、1,920百万円となりました。これは主に第三者割当による新株発行、第14回新株予約権及び第15回新株予約権の権利行使による新株発行により資本金及び資本準備金がそれぞれ706百万円増加し、親会社株主に帰属する当期純損失1,616百万円の計上に伴い利益剰余金のマイナスが1,616百万円拡大したこと等によるものであります。

以上の結果、自己資本比率は、前連結会計年度の89.8%から91.4%となりました。

 

② 経営成績の状況

当連結会計年度の売上高は169百万円(前連結会計年度は8百万円)、研究開発費用とその他経費を合わせた販売費及び一般管理費は1,792百万円(前連結会計年度は1,279百万円)を計上しました。営業損失は1,627百万円(前連結会計年度は1,273百万円の損失)、営業外収益に受取賃貸料4百万円、在外子会社の財務諸表項目の換算により生じた為替差益7百万円等、営業外費用に第三者割当による新株発行、第14回新株予約権及び第15回新株予約権の行使による新株発行に係る発行手数料12百万円、株式交付費4百万円等により経常損失は1,633百万円(前連結会計年度は1,285百万円の損失)、特別利益として公益財団法人かがわ産業支援財団の平成28年度中小企業知的財産活動支援事業費補助金の助成金収入15百万円、退職した従業員に係る新株予約権失効による新株予約権戻入益6百万円により、親会社株主に帰属する当期純損失は1,616百万円(前連結会計年度は1,267百万円の損失)となりました。

なお、当社は単一セグメントであるため、セグメントごとの記載はしておりません。

 

③ キャッシュ・フローの状況

当連結会計年度末における現金及び現金同等物は、前連結会計年度末に比べ386百万円減少し、1,410百万円となりました。当連結会計年度のキャッシュ・フローの状況は以下のとおりです。

  (営業活動によるキャッシュ・フロー)

営業活動の結果使用したキャッシュ・フローは、1,546百万円(前連結会計年度は1,260百万円の支出)となりました。これは主に税金等調整前当期純損失が1,611百万円となったこと、特別利益として公的助成事業による助成金の受取額が15百万円あったこと等によるものです。

 

  (投資活動によるキャッシュ・フロー)

投資活動の結果獲得したキャッシュ・フローは252百万円(前連結会計年度は568百万円の支出)となりました。これは有形固定資産の取得による支出252百万円等によるものです。

 

  (財務活動によるキャッシュ・フロー)

財務活動の結果獲得したキャッシュ・フローは1,414百万円(前連結会計年度は1,362百万円の収入)となりました。これは,主に新株予約権の行使による株式の発行による収入1,313百万円、第三者割当による株式の発行による収入98百万円等によるものです。

 

④ 生産、受注及び販売の状況

a. 生産実績

当社グループの製品は、すべて製造委託しております。

 

b.受注実績

当連結会計年度における受注実績は次のとおりであります。

事業の名称

受注高
(千円)

前年同期比
(%)

受注残高
(千円)

前年同期比
(%)

医薬事業(製品売上高)

24,338

95.0

16,460

95.6

合計

24,338

95.0

16,460

95.6

 

(注) 上記の金額には、消費税等は含まれておりません。

 

c.販売実績

当連結会計年度における販売実績は次のとおりであります。

事業の名称

販売高(千円)

前年同期比(%)

医薬事業(製品売上高)

23,299

277.5

医薬事業(研究開発等収入)

146,561

合計

169,860

2,022.9

 

 

(注) 1.  主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合

相手先

前連結会計年度

当連結会計年度

販売高(千円)

割合(%)

販売高(千円)

割合(%)

Cipla Technologies, LLC

122,781

72.3

第一三共株式会社

23,780

14.0

日本新薬株式会社

8,024

95.5

23,299

13.7

 

2.  上記の金額には、消費税等は含まれておりません。

 

(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。

 

① 重要な会計方針及び見積り

当社の連結財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成に当たりまして、重要となる会計方針については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項 連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項」に記載のとおりであります。

なお、この連結財務諸表の作成に当たりまして、決算日における資産・負債及び報告期間における収益・費用の報告数値に影響を与える見積りは、主に資産の評価や引当金の計上であり、これらの見積り及び判断に対して、継続して評価を行っております。状況に応じて合理的と考えられる要因等に基づき、見積り及び判断を行っておりますが、見積り特有の不確実性があるため、実際の結果は異なる場合があります。

 

② 経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容

創薬パイプライン型ベンチャーである当社グループにおいては、創薬パイプラインの製品化に向けた開発の進展、開発アセットの価値向上こそが、当社グループの企業価値向上に最も大きく寄与する最重要の経営課題であり経営指標であると認識しています。

当連結会計年度においては、CPN-101(MRX-4TZT)に関して、臨床第I相反復PK試験(P1b)の成功により、Cipla Techと締結している開発・販売ライセンス契約に基づいて開発マイルストン100万米ドルを受領しました。最低限の経営目標は達成できたと考えています。

MRX-5LBTに関しても開発が着実に進展しました。FDAから要求されている貼付力評価試験、皮膚刺激性試験、運動による影響を観察する臨床試験のいずれにおいても、新薬承認申請(NDA)に必要な要件を満たした上で、先行指標品であるLidoderm®と比較して「皮膚刺激性が少なく」「貼付力に優れ」「運動時においても貼付力を保持できる」よりよい結果を得ました。当初からの計画通り2020年に新薬承認申請(NDA)する見込みです。

一方、オピオイド系パイプラインに関しては、第一ターゲットである米国においてオピオイド乱用についての製薬会社に対する巨額訴訟が相次ぎ、2019年9月にはオキシコドン経口剤の最大手の製造販売元であったパーデュー・ファーマ社が補償負担に耐えかねて経営破綻に追い込まれる事態となる等、オピオイド系新薬についての製薬会社の開発・導入意欲は大きく減退しています。そういった導出環境の悪化を踏まえて、MRX-1OXTの開発を中断しました。そして、同じオピオイド貼付剤として、市場ポテンシャルは劣るものの、新薬承認取得可能性が高く開発費も少額と見込まれるMRX-9FLTの開発を優先する方針としました。

また、2018年に事業提携した2つの案件(第一三共との共同開発、武田薬品工業への技術ライセンス)については、いずれも期待した成果を得られず提携解消となりました。創薬パイプラインの成功までの道筋の困難さを改めて痛感しましたが、今後も、当社の経皮吸収型製剤技術を大きな事業価値として具現化するため、開発パイプライン群の適切なポートフォリオを構築・充実すべく、製薬会社等との事業提携を模索してまいりたいと考えています。

未だ主要パイプラインが臨床開発段階にある創薬パイプライン型ベンチャーの当社グループとして、最重要視している財務指標は現有資金です。当連結会計年度末における現金及び現金同等物は1,410百万円であり、当面の開発及び運転資金相当と考えています。今後も、提携済みパイプラインからのマイルストン収入や新たな事業提携による契約一時金収入等の事業収益と、適時適切な財務活動による資金調達を組み合わせて、開発資金の確保と中長期的企業価値の最大化を追求してまいります。

 

 

 

 

 

③ 資本の財源及び資金の流動性の分析

当社グループの資金需要のうち主なものは、研究開発資金及び運転資金であります。
 これらの資金は基本的に自己資金によっておりますが、必要に応じて増資や新株予約権の発行により資金を調達することとしております。
 当連結会計年度におけるキャッシュ・フローの概況については、「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)業績等の概要 ②キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりです。

 

④ 事業等のリスクに記載した重要事象等についての分析・検討内容及び当該重要事象等を解消し、又は改善するための対応策

当社グループには、「第2 事業の概況 2 事業等のリスク」に記載のとおり、継続企業の前提に重要な疑義を生じさせるような事象又は状況が当連結会計年度において存在していると判断しておりますが、2013年2月13日の東京証券取引所マザーズ市場への上場に伴う資金調達及び上場以降適時に実施してまいりました資金調達により、翌連結会計年度の研究開発活動を展開するための資金は確保できており、継続企業の前提に関する重要な不確実性はないと認識しております。また、上記「②経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容」でも述べましたように、提携済みパイプラインからのマイルストン収入や新たな事業提携による契約一時金収入等の事業収益と、適時適切な財務活動による資金調達を組み合わせて、事業基盤並びに財務基盤の強化を図り、当該状況の解消、改善に努めてまいります。

 

4 【経営上の重要な契約等】

(1) 開発・販売ライセンス契約

2017年4月6日、インドの製薬会社 Cipla Ltd.(インド マハーラーシュトラ州ムンバイ、CEOUmang Vohra、設立:1935年)の米国100%子会社であるCipla USA Inc.(米国デラウエア州ウィルミントン、CEONikhil Lalwani、設立:1984年、以下「Cipla USA」という。)との間で、痙性麻痺治療貼付剤CPN-101MRX-4TZT)(チザニジンテープ剤)に関する世界的な開発・販売ライセンス契約(ただし、東アジアを除く)を締結しております。その後、Ciplaグループ内の再編により、契約相手先はCipla Technologies, LLC(米国カリフォルニア州サンディエゴ、CEOVikram Sudarsan、以下「Cipla Tech」という。)に変更となっております。

このライセンス契約により、当社はCipla Techから、契約一時金の他、開発及び販売の進捗に応じたマイルストン収入として最大3,000万米ドルを受領する予定で、このうち2017年12月に150万米ドルを受領しています。2019年11月には臨床第Ⅰ相反復PK試験の成功により100万米ドルを受領しています。また、上市後の売上高に応じて段階的なロイヤルティ収入を受け取る予定です。

 

(2) 共同開発契約

2018年2月28日、第一三共株式会社(東京都中央区、代表取締役社長 真鍋淳、以下「第一三共」という。)との間で、当社独自の経皮吸収技術NCTS®Nano-sized Colloid Transdermal System)を用いた開発候補品についての共同開発契約を締結しておりましたが、2019年8月9日付で同契約を解消しております。

 

(3) 技術ライセンス契約

2018年8月24日、武田薬品工業株式会社(本社 東京都中央区、代表取締役社長CEO クリストフ・ウェバー、以下「武田薬品工業」)との間で、武田薬品工業の或る重点疾患領域におけるパイプラインに関して、当社独自の経皮吸収技術を適用する技術ライセンス契約を締結しておりましたが、2019年10月30日付で同契約を解消しております。

 

5 【研究開発活動】

当社グループでは、イオン液体の特徴を利用したILTS®による経皮吸収型医薬品に関する研究開発を中心に研究開発活動を行っています。2019年12月31日現在、当社グループの研究開発人員数は20名であり、当連結会計年度における研究開発費は1,512百万円です。

 (1)製剤開発

製剤開発については当社研究部(香川県東かがわ市)を拠点としています。

当社グループ独自の経皮吸収型製剤技術であるILTS®NCTS®を基に、対象薬物候補における高い経皮浸透性、皮膚安全性等の実用化基準を満たす経皮吸収型製剤の開発を、当社グループ独自で、あるいは、製薬会社等と共同で実施しています。

 

(2)臨床開発

 当社グループのパイプラインの米国における臨床開発に関しては、100%子会社のMEDRx USA INC.を拠点とし、現地CROや米国薬事及びFDA対応に関する知識や経験の豊富なコンサルタントとの緊密な提携関係により、機動的に臨床試験を運営しています。

 

 研究開発活動に関する詳細は、「第1企業の概況  3事業の内容」に記載していますのでご参照下さい。