第2 【事業の状況】

 

1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

 文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末において、当社グループが判断したものであります。

(1) 創薬パイプラインの開発推進

 

創薬パイプライン型ベンチャーである当社グループにおいては、創薬パイプラインの開発を一歩一歩進めて開発アセットの価値を高めていくことが、当社企業価値を最大化する唯一の道筋と考えています。当社グループにとって2022年は、<MRX-5LBT "Lydolyte">について大きな進展があった一方で、<CPN-101 (MRX-4TZT)>については前年度からの足踏みが続き、その他のパイプラインの進捗も含め功罪相半ばする年となりました。

 

<MRX-5LBT:帯状疱疹後の神経疼痛治療薬(リドカインテープ剤)”Lyodolyte”>

開発が最も進んでいる本パイプラインに関して、大きな進展がありました。

FDAから承認取得のために必要であると指摘を受けた試験に関して、試験内容詳細についてFDAと合意した上で追加実施し良好な結果を得ました。現在、再申請に向けた準備を進めており、2023年前半に承認申請を行い、6ヶ月間の審査期間を経て2023年後半に承認取得することを見込んでいます。

 

<CPN-101(MRX-4TZT):痙性麻痺治療薬(チザニジンテープ剤)>

開発・販売提携先のCiplaから今後の開発の進め方について申し入れがあり協議を続けています。1日でも早く開発再開することで本パイプラインの価値向上を図りたい当社グループとして、当社グループが臨床第Ⅱ相試験費用の一部または全部を負担することを本線として協議を進めていますが、残念ながら現時点において開発を進めるための決定には至っていません。開発再開するための合意を早期に形成したいと考えています。

 

<MRX-9FLT:中枢性鎮痛貼付剤(フェンタニルテープ剤)>

MRX-9FLTが持つ誤用事故防止機能が評価され、FDAからファスト・トラック指定(重篤または生命を脅かす恐れのある疾患やアンメットメディカルニーズの高い疾患に対して治療効果が期待される新薬を優先的に審査する制度。開発から審査までの迅速化を目的としている。ファスト・トラック指定により、臨床試験に関する相談などFDAと協議する機会がより多く与えられる)を受けています。早期の承認取得を目指して開発を進めてまいります。

 

<MRX-7MLL:アルツハイマー治療薬(メマンチン貼付剤)>

非臨床試験および治験薬製造が完了し2021年11月にINDを提出して、臨床試験開始の許可を得ました。一方で、INDにおけるFDAとのやりとりの中で製剤改良に関する示唆・助言を得ました。FDAからの示唆・助言を反映する形で製剤を改良し一部の非臨床試験を追加実施した上で、臨床試験を開始する計画です。

 

<マイクロニードルアレイ(MN)>

国内外の複数の製薬会社・ワクチンベンチャー等とフィージビリティスタディ(実現可能性を検討する研究)を実施しながら、事業提携を模索しています。その一つとして、2021年8月に株式会社ファンペップと抗体誘導ペプチドMN製剤についての共同研究を、2022年3月には米国コロンビア大学と免疫賦活剤および抗がんペプチドとMNを組み合わせた乳がん治療のための共同研究を、2022年10月には米国VaxSyna Inc.とヒトパピローマウイルスに対するワクチンとMNを組み合わせた子宮頸がんワクチンに関する共同研究を開始しています。

 

(2) 製薬会社等とのパートナーシップの構築

当社グループは研究開発投資が先行する創薬パイプライン型ベンチャーであることから、製薬会社等との事業提携も重要課題であると認識しています。各開発パイプラインや基盤技術の一部について、開発権や販売権のライセンスアウトを通じて、win-winの関係を構築できるパートナーから収益を得て、財務基盤の強化、持続的な企業成長を図っていく方針です。

「MRX-5LBT “Lydolyte”」の新薬承認取得、「CPN-101(MRX-4TZT)」の開発再開、その他のパイプライン・基盤技術についての開発進展・事業提携が、引き続き重要な経営課題であります。

 

(3) 開発資金の確保

当社グループは研究開発投資が先行する創薬パイプライン型ベンチャーであることから、中長期的成長に向けて、創薬パイプラインの開発アセットとしての価値を高めていくための開発資金の確保も重要課題であると認識しています。当連結会計年度においては、第24回新株予約権(行使価額修正条項付)の行使による新株発行により、開発資金を確保することができました。今後も、適時適切な財務活動による資金調達を実施して開発資金を確保し、開発アセットの価値向上を通じて企業価値向上を図っていく方針です。

 

(4) 人材の採用・育成、企業風土の醸成

当社グループの事業活動は、医薬品業界における豊富な経験を有する経営陣及び研究開発人員により運営されているものの、事業を推進する各部門の責任者及び少数の研究開発人員に強く依存するところがあります。当社が持続的な成長を果たすためには、人的陣容強化が欠かせないと認識しており、常に優秀な人材の確保と育成に努めています。また、研究開発推進の背骨となる多様性とチャレンジ精神を尊重する企業風土を培い続けていく所存です。

 

(5) 内部統制の強化

当社グループでは、企業規模・業容に応じた内部管理体制を整備し機能させることが重要であると考えています。業務執行の妥当性や効率性のチェック機能を有効に働かせ、取締役7名(社外取締役1名を含む)、監査役3名(社外監査役2名を含む)及び従業員22名の小規模組織(2022年12月末現在)に応じた内部管理体制を敷いています。今後、業容拡大に応じて内部管理体制の拡充を図っていく方針です。

 

2 【事業等のリスク】

有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。

当社グループはこれらのリスクの発生の可能性を十分に認識した上で、発生の回避及び発生した場合の適切な対応に努める方針ですが、当社株式に関する投資判断は、以下の事項及び本項以外の記載も併せて、慎重に検討した上で行われる必要があると考えます。また、これらは投資判断のためのリスクを全て網羅したものではなく、更にこれら以外にも様々なリスクを伴っていることにご留意頂く必要があると考えます。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

Ⅰ. 医薬品の研究開発、医薬品業界に関するリスクについて

(1) 新薬開発の不確実性

医療用医薬品の開発には多額の研究開発投資と長い時間を要しますが、臨床試験で有用な効果を発見できないこと等により研究開発が予定通りに進行せず、開発の延長や中止の判断を行うことは稀ではありません。また、日本国内はもとより、海外市場への展開においては、各国の薬事関連法規等の法的規制の適用を受けており、新薬の製造及び販売には各国別に厳格な審査に基づく承認を取得しなければならないため、有効性、安全性、及び品質等に関する十分なデータが得られず、予定していた時期に上市ができず延期になる、または上市を断念する可能性があります。これは当社グループのパイプラインを他社にライセンスアウトした場合も同様であり、当社グループが研究開発を行った医療用医薬品候補及び他社にライセンスアウトした医療用医薬品候補の上市が延期または中止された場合、当社グループの業績及び財政状態に重大な影響を及ぼす可能性があります。

(2) 薬事関連法規等の規制

当社は「医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律(以下「医薬品医療機器等法」という)」等の薬事関連法規の厳格な規制を受けており、事業活動の遂行に際して以下のとおり許認可等を受けています。

許認可等の
名称及び所管官庁

許認可等の内容
及び有効期限

主な許認可取消
又は業務停止事由

第二種医薬品製造販売業許可証
所管官庁:厚生労働省、香川県
 

医薬品医療機器等法第12条第1項の規定により許可された第二種医薬品製造販売業者であること。
有効期限:2024年2月8日
(5年毎の更新)

医薬品医療機器等法その他薬事に関する法令若しくはこれに基づく処分に違反する行為があったとき、又は役員等が欠格条項に該当したとき(医薬品医療機器等法第75条第1項)

 

 

これらの許認可等を受けるための諸条件及び関連法令の遵守に努めており、現時点において当該許認可等が取り消しとなる事由は発生していません。しかし、法令違反等によりその許認可等が取り消された場合には、規制の対象となる製品を回収し、またはその販売を中止することが求められる可能性及び対象事業を継続できない可能性があり、当社グループの運営に支障をきたし事業活動に重大な影響を及ぼす可能性があります。

また、将来において各国薬事法等の諸規制に大きな変化が生じた場合にも、同様に、当社グループの運営に支障をきたし事業活動に重大な影響を及ぼす可能性があります。

 

(3) 副作用発現、製造物責任

医薬品には、臨床試験段階から更には上市後以降において、予期せぬ副作用が発現する可能性があります。当社グループは、こうした事態に備えて、製造物責任を含めた各種賠償責任に対応するための適切な保険に加入しておりますが、最終的に当社グループが負担する賠償額の全てに相当する保険金が支払われる保証はありません。また、当社に対する損害賠償の請求が認められなかったとしても、製造物責任請求等がなされたこと自体によるネガティブ・イメージにより、当社グループ及び当社グループの製品に対する信頼に悪影響が生じる可能性があります。これら予期せぬ副作用が発現した場合、当社グループの財政状態及び経営成績に重大な影響が及ぶ可能性があるとともに、社会的信頼の失墜を通じて当社グループの事業展開にも深刻な影響を及ぼす可能性があります。

(4) 競合

医薬品業界は、国際的な巨大企業を含む国内外の数多くの企業や研究機関等による激しい競争状態にあり、その技術革新は急速に進んでいる状況です。これら競合相手との競争において必ずしも当社が優位性をもって継続できるとは限らず、研究、開発、製造及び販売のそれぞれの事業活動における競争の結果により、当社グループの業績及び財政状態に重大な影響を及ぼす可能性があります。

(5) 医療費抑制策

当社グループの最重要ターゲットである米国において、医療保険改革法案等による先発医薬品への価格引下げ圧力のほか、低価格のジェネリック医薬品の使用促進も進んでいます。また、我が国においても、政府は増え続ける医療費に歯止めをかけるため、医療費の伸びを抑制していく方針を示しており、定期的な薬価引き下げをはじめ、ジェネリック医薬品の使用促進等が進んでいます。今後の医療費政策の動向が当社グループの業績及び財政状態に重大な影響を及ぼす可能性があります。

(6) 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の感染拡大

2020年3月以降における新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の全世界的な感染拡大の影響等に伴い、米国における臨床試験の準備が遅延する等当社にも影響が出ております。COVID-19の今後の感染状況によっては、治験薬製造や臨床試験等に遅延が生じる可能性があります。

 

Ⅱ.事業遂行上のリスクについて

(1) パイプライン・製品に関する収益の不確実性

当社グループでは、当社製剤技術により製剤開発した複数の医薬品候補製剤(開発パイプライン)を製品化(医薬品としての製造販売承認取得)に向け臨床開発等を行っておりますが、製品上市前の収益として、各開発パイプラインのライセンスアウトによる契約一時金や開発の進捗に応じた所定の成果達成に基づくマイルストン収益を見込んでいます。この発生時期はライセンス交渉や開発の進捗に依存した不安定で予測困難なものであり、ライセンス交渉や開発に遅延が生じた場合、あるいは臨床試験等において期待される結果が確認できなかった場合には、当社グループの業績及び財政状態に重大な影響を及ぼす可能性があります。

(2) 小規模組織、少数の事業推進者への依存、業務委託及び提携先への依存

当社グループは、取締役7名(社外取締役1名を含む)、監査役3名(社外監査役2名を含む)及び従業員22名の小規模組織(2022年12月末現在)であり、現在の内部管理体制はこのような組織規模に応じたものとなっています。今後、業容拡大に応じて内部管理体制の拡充を図る方針です。

また、当社グループの事業活動は、現経営陣、各部門の責任者及び少数の研究開発人員に強く依存するところがあります。そのため、常に優秀な人材の確保と育成に努めていますが、人材確保及び育成が順調に進まない場合、並びに人材の流出が生じた場合には、当社グループの事業活動に支障が生じ、当社グループの業績及び財政状態に重大な影響を及ぼす可能性があります。

加えて、当社グループでは、研究開発、製造及び販売に関して、業務委託及び業務提携することにより、比較的少人数による事業推進を可能にしています。しかしながら、何らかの理由により、業務受託又は業務提携先との関係が解消された場合には、事業活動に支障をきたし、当社グループの業績及び財政状態に重大な影響を及ぼす可能性があります。

(3) 知的財産権

当社グループでは研究開発をはじめとする事業展開において様々な知的財産権を使用しており、これらは当社所有の権利であるか、あるいは適法に使用許諾を受けた権利であるものと認識しています。

しかし、当社が保有している現在出願中の特許が全て成立する保証はありません。また、特許が成立した場合でも、当社の研究開発を超える優れた研究開発により、当社の特許に含まれる技術が淘汰される可能性は常在しています。当社の特許権の権利範囲に含まれない優れた技術が開発された場合には、当社グループの業績及び財政状態に重大な影響を及ぼす可能性があります。

また、当社グループでは他社の特許権の侵害を未然に防止するため特許調査を実施しており、これまでに、当社グループの開発パイプラインに関する特許権等の知的財産権について第三者との間で訴訟が発生した事実はありません。しかし、当社グループのような研究開発型企業にとって知的財産権侵害の問題を完全に回避することは困難であり、第三者との間で知的財産権に関する紛争が生じた場合には、当社グループの業績及び財政状態に重大な影響を及ぼす可能性があります。

 

Ⅲ.業績等に関するリスクについて

(1) 社歴の浅さ

当社は2002年1月に設立された社歴の浅い企業であり、医薬品業界における豊富な経験を有する経営陣及び研究開発人員により運営されているものの、今後、未だ経験していない事業上のトラブルが発生する可能性は否定できず、将来の不確実要因も多いと考えられます。

(2) マイナスの繰越利益剰余金の計上

当社グループは、医薬品の研究開発を主軸とするベンチャー企業です。医薬品の研究開発には多額の初期投資を要し、その投資資金回収も他産業と比較して相対的に長期に及ぶため、ベンチャー企業が当該事業に取り組む場合は、一般的に期間損益のマイナスが先行する傾向にあります。当社グループも創業以来継続的に営業損失及び親会社株主に帰属する当期純損失を計上しています。

当社グループは、複数のパイプラインの開発を推し進めることにより、将来の利益拡大を目指しています。しかしながら、設立以来親会社株主に帰属する当期純損失を計上しており、将来において計画通りに親会社株主に帰属する当期純利益を計上できない可能性もあります。また、当社事業が計画通りに進展せず親会社株主に帰属する当期純利益を獲得できない場合には、繰越利益剰余金がプラスとなる時期が著しく遅れる可能性があります。

(3) 収益計上が大きく変動する傾向

当社グループは、上市済み製品による売上を計上しているもののその額は微々たるものであり、当社グループの売上高は、現在開発中のパイプラインのライセンスアウト時の契約一時金及び開発進捗に伴うマイルストン収入に大きく影響されるため、過年度の売上高、親会社株主に帰属する当期純利益(損失)は不安定に推移しています。この傾向は、現在開発中のパイプラインが上市され安定的な収益基盤となるまで続くと見込まれます。

(4) 資金繰り

当社グループは、研究開発型企業として多額の研究開発資金を必要とし、また研究開発費用の負担により長期に亘って先行投資の期間が続きます。この先行投資期間においては、継続的に営業損失を計上し、営業活動によるキャッシュ・フローはマイナスとなる傾向があります。当社も営業キャッシュ・フローのマイナスが続いており、かつ現状では安定的な収益源を十分には有しておりません。

このため、先行投資期間においては、必要に応じて適切な時期に資金調達等を実施し、財務基盤の強化を図る方針です。当期においては、2022年9月に、第三者割当による第24回新株予約権の発行及び行使により、新規パイプライン創出に向けた製剤開発及びCPN-101(MRX-4TZT):痙性麻痺治療薬(チザニジンテープ剤)の臨床第2相試験(治験薬試製造等の準備費用を含む。)に要する費用等としての資金を獲得しました。

当社グループでは、こうした方針を今後も継続していく予定ですが、将来的に必要なタイミングで資金を確保できなかった場合は、当社事業の継続に重大な懸念が生じる可能性があります。

(5) 為替変動リスク

当社グループの収入及び支出(計画を含む)には米国ドル建決済が含まれていますが、特段の為替リスクヘッジは行っておりません。大幅な為替変動が生じた場合には、当社グループの業績及び財政状態に重大な影響を及ぼす可能性があります。

(6) 調達資金使途

上場時の公募増資及びその後現在に至るまでの新株予約権の権利行使により調達した資金は、医薬品の研究開発を中心とした事業費用に充当する計画です。但し、新薬開発に関わる研究開発活動の成果が収益に結びつくには長期間を要する一方で、研究開発投資から期待した成果が得られる保証はなく、その結果、調達した資金が期待される利益に結びつかない可能性があります。

(7) 新株発行による資金調達

当社グループは際限ない成長意欲を有しており、将来の急速な事業規模の拡大に伴い、増資を中心とした資金調達を機動的に実施していく可能性があります。その場合には、当社の発行済株式数が増加することにより、1株当たりの株式価値が希薄化する可能性があります。

(8) ストック・オプション

当社は、当社取締役、監査役、従業員、当社子会社従業員及び社外協力者の業績向上に対する意欲や士気を高め、また優秀な人材を確保する観点から、ストック・オプション制度を採用しています。当社取締役、監査役、従業員、当社子会社従業員及び社外協力者に対して新株予約権の発行と付与を行っています。

2022年12月31日現在における当社の発行済株式総数は28,224,100株であり、これら新株予約権の権利が行使された場合は、新たに150,000株の新株式が発行され、当社の1株当たりの株式価値は希薄化する可能性があります。また、所定の業績達成基準が満たされた場合に行使可能な有償ストック・オプションが37,200個(3,720,000株)存在しております。

今後も優秀な人材の確保のため、同様のインセンティブ・プランを継続する可能性があります。従って、今後付与される新株予約権が行使された場合にも、当社の1株当たりの株式価値は希薄化する可能性があります。

(9) 配当政策

医薬品の研究開発には多額の初期投資を要し、その投資回収も長期に及ぶ傾向にあり、当社も創業以来継続的に営業損失及び親会社株主に帰属する当期純損失を計上しています。このような状況下においては、積極的な開発推進によって企業価値を高めることこそが、株主利益の最大化に繋がると考えています。

2022年12月期末においては、会社法の規定上、配当可能な財政状態にはありません。

株主への利益還元については重要な経営課題と認識しており、将来、現在開発中の新薬が上市され、その販売によって親会社株主に帰属する当期純利益が計上される時期においては、経営成績及び財政状態を勘案しながら、配当による利益還元の実施を検討したいと考えております。

(10) 継続企業の前提に関する重要事象等

当社グループは創薬ベンチャー企業です。

医薬品の研究開発には長期に及ぶ先行投資が必要であり、ベンチャー企業として医薬品の開発に取り組んでいるため、期間損益のマイナスが先行する結果となっております。
 当連結会計年度においても営業赤字が継続しているため、継続企業の前提に重要な疑義を生じさせるような状況となっておりますが、2013年2月13日の東京証券取引所マザーズ市場への上場に伴う資金調達及び上場以降適時に実施してまいりました資金調達により、翌連結会計年度の研究開発活動を展開するための資金は確保できており、継続企業の前提に関する重要な不確実性はないと認識しております。 

「第3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容 ②経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容」に記載のとおり、提携済みパイプラインからのマイルストン収入や新たな事業提携による契約一時金収入等の事業収益と、適時適切な財務活動による資金調達を組み合わせて、事業基盤並びに財務基盤の強化を図り、当該状況の解消、改善に努めてまいります。

 

 

3 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

 

(1) 経営成績等の概要

当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。

① 財政状態の状況

(資産)

当連結会計期間末の総資産は、前連結会計年度末に比べて710百万円減少し、1,398百万円となりました。これは現金及び預金が709百万円減少したこと等によるものです。

流動資産は1,087百万円となりました。主な内容は、現金及び預金994百万円等であります。固定資産は311百万円で、主な内容は建物及び構築物218百万円、長期前払費用44百万円及び差入保証金38百万円等であります。

(負債)

負債は、前連結会計年度末に比べて32百万円増加し、185百万円となりました。これは主に未払金の増加56百万円、未払法人税等の減少24百万円等によるものであります。

流動負債は158百万円となりました。主な内容は未払金137百万円、未払法人税等18百万円であります。固定負債は27百万円となりました。内容は資産除去債務22百万円、繰延税金負債5百万円であります。

(純資産)

純資産は、前連結会計年度末に比べて742百万円減少し、1,212百万円となりました。これは主に親会社株主に帰属する当期純損失1,111百万円により利益剰余金のマイナスが1,111百万円拡大したこと、行使価額修正条項付第24回新株予約権の行使によって資本金及び資本剰余金がぞれぞれ177百万円増加したこと等によるものであります。また、 2022年3月30日開催の第20期定時株主総会において、資本金及び資本準備金の額の減少並びに剰余金の処分に関する議案が承認可決されました。その結果、資本金及び資本準備金がそれぞれ7,753百万円、4,486百万円減少しており、その合計額12,240百万円を繰越利益剰余金に振り替えることにより欠損てん補を行いましたが、これによる純資産に与える影響はありません。

以上の結果、自己資本比率は、前連結会計年度末の89.9%から82.2%となりました。

 

② 経営成績の状況

当連結累計期間の売上高は59百万円(前年同期は8百万円)、研究開発費用とその他経費を合わせた販売費及び一般管理費は1,155百万円(前年同期は1,067百万円)を計上しました。営業損失は1,098百万円(前年同期は1,061百万円)、営業外収益に、主に東かがわ市事業強靭化補助金交付事業に係る助成金収入1百万円等を含め1百万円、営業外費用に、主に破産更生債権に係る貸倒引当金繰入額2百万円、在外子会社の財務諸表項目の換算及び外貨建未払金の換算等により生じた為替差損3百万円、第22回及び第23回新株予約権並びに行使価額修正条項付第24回新株予約権の発行に係る営業外支払手数料7百万円、行使価額修正条項付第24回新株予約権の行使に係る株式交付費1百万円等を含め14百万円を計上し、経常損失は1,112百万円(前年同期は1,066百万円)、特別利益として、新株予約権戻入益2百万円があり、法人税等1百万円の計上によって親会社株主に帰属する当期純損失は1,111百万円(前年同期は1,059百万円)となりました。

なお、当社は単一セグメントであるため、セグメントごとの記載はしておりません。

 

③ キャッシュ・フローの状況

当連結会計年度末における現金及び現金同等物は、前連結会計年度末に比べ709百万円減少し、994百万円となりました。当連結会計年度のキャッシュ・フローの状況は以下のとおりです。

 

  (営業活動によるキャッシュ・フロー)

営業活動の結果使用したキャッシュ・フローは、1,073百万円(前連結会計年度は923百万円の支出)となりました。これは主に税金等調整前当期純損失が1,109百万円となったこと、減価償却費が46百万円になったこと等によるものです。

 

  (投資活動によるキャッシュ・フロー)

投資活動の結果使用したキャッシュ・フローは1百万円(前連結会計年度は2百万円の支出)となりました。これは有形固定資産の取得による支出1百万円によるものです。

 

  (財務活動によるキャッシュ・フロー)

財務活動の結果獲得したキャッシュ・フローは356百万円(前連結会計年度は815百万円の収入)となりました。これは,取締役、監査役、子会社取締役及び従業員を対象とする第22回新株予約権(有償)及び行使価額修正条項付第24回新株予約権の発行による収入4百万円、行使価額修正条項付第24回新株予約権の行使による収入352百万円によるものです。

 

④ 生産、受注及び販売の状況

a. 生産実績

当社グループの製品は、すべて製造委託しております。

 

b.受注実績

当連結会計年度における受注実績は次のとおりであります。

事業の名称

受注高
(千円)

前年同期比
(%)

受注残高
(千円)

前年同期比
(%)

医薬事業(製品売上高)

12,082

1,397.6

2,600

合計

12,082

1,397.6

2,600

 

 

c.販売実績

当連結会計年度における販売実績は次のとおりであります。

事業の名称

販売高(千円)

前年同期比(%)

医薬事業(製品売上高)

9,482

113.6

医薬事業(研究開発等収入)

50,000

合計

59,482

712.4

 

(注)  1. 主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合

相手先

前連結会計年度

当連結会計年度

販売高(千円)

割合(%)

販売高(千円)

割合(%)

帝國製薬株式会社

7,485

89.6

57,509

96.7

株式会社マリーヌ

864

10.4

1,972

3.3

 

2.当連結会計年度において、販売実績に著しい変動がありました。これは、ヨードコート軟膏の製造販売権を帝國製薬株式会社に譲渡したことによるものであります。

 

(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。

 

① 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

当社の連結財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成に当たりまして、重要となる会計方針については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項 連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項」に記載のとおりであります。

なお、この連結財務諸表の作成に当たりまして、決算日における資産・負債及び報告期間における収益・費用の報告数値に影響を与える見積りは、主に資産の評価や引当金の計上であり、これらの見積り及び判断に対して、継続して評価を行っております。状況に応じて合理的と考えられる要因等に基づき、見積り及び判断を行っておりますが、見積り特有の不確実性があるため、実際の結果は異なる場合があります。

 

② 経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容

 

創薬パイプライン型ベンチャーである当社グループにおいては、創薬パイプラインの開発を一歩一歩進めて開発アセットの価値を高めていくことが、当社企業価値を最大化する唯一の道筋と考えています。当社グループにとって2022年は、<MRX-5LBT "Lydolyte">について大きな進展があった一方で、<CPN-101 (MRX-4TZT)>については前年度からの足踏みが続き、その他のパイプラインの進捗も含め功罪相半ばする年となりました。

 

<MRX-5LBT:帯状疱疹後の神経疼痛治療薬(リドカインテープ剤)”Lyodolyte”>

開発が最も進んでいる本パイプラインに関して、大きな進展がありました。

FDAから承認取得のために必要であると指摘を受けた試験に関して、試験内容詳細についてFDAと合意した上で追加実施し良好な結果を得ました。現在、再申請に向けた準備を進めており、2023年前半に承認申請を行い、6ヶ月間の審査期間を経て2023年後半に承認取得することを見込んでいます。

 

<CPN-101(MRX-4TZT):痙性麻痺治療薬(チザニジンテープ剤)>

開発・販売提携先のCiplaから今後の開発の進め方について申し入れがあり協議を続けています。1日でも早く開発再開することで本パイプラインの価値向上を図りたい当社グループとして、当社グループが臨床第Ⅱ相試験費用の一部または全部を負担することを本線として協議を進めていますが、残念ながら現時点において開発を進めるための決定には至っていません。開発再開するための合意を早期に形成したいと考えています。

 

<MRX-9FLT:中枢性鎮痛貼付剤(フェンタニルテープ剤)>

MRX-9FLTが持つ誤用事故防止機能が評価され、FDAからファスト・トラック指定(重篤または生命を脅かす恐れのある疾患やアンメットメディカルニーズの高い疾患に対して治療効果が期待される新薬を優先的に審査する制度。開発から審査までの迅速化を目的としている。ファスト・トラック指定により、臨床試験に関する相談などFDAと協議する機会がより多く与えられる)を受けています。早期の承認取得を目指して開発を進めてまいります。

 

<MRX-7MLL:アルツハイマー治療薬(メマンチン貼付剤)>

非臨床試験および治験薬製造が完了し2021年11月にINDを提出して、臨床試験開始の許可を得ました。一方で、INDにおけるFDAとのやりとりの中で製剤改良に関する示唆・助言を得ました。FDAからの示唆・助言を反映する形で製剤を改良し一部の非臨床試験を追加実施した上で、臨床試験を開始する計画です。

 

<マイクロニードルアレイ(MN)>

国内外の複数の製薬会社・ワクチンベンチャー等とフィージビリティスタディ(実現可能性を検討する研究)を実施しながら、事業提携を模索しています。その一つとして、2021年8月に株式会社ファンペップと抗体誘導ペプチドMN製剤についての共同研究を、2022年3月には米国コロンビア大学と免疫賦活剤および抗がんペプチドとMNを組み合わせた乳がん治療のための共同研究を、2022年10月には米国VaxSyna Inc.とヒトパピローマウイルスに対するワクチンとMNを組み合わせた子宮頸がんワクチンに関する共同研究を開始しています。

 

繰り返しになりますが、創薬パイプライン型ベンチャーである当社グループにおいては、創薬パイプラインの開発を一歩一歩進めて開発アセットの価値を高めていくことが、当社企業価値を最大化する唯一の道筋と考えています。医薬品の開発にはリスクがつきものですが、今後も開発パイプライン群のポートフォリオ構成に留意しつつ、早期の製品化に向けて積極的に開発を進めるとともに、製薬会社等との事業提携を模索してまいります。

未だ主要パイプラインが臨床開発段階にある創薬パイプライン型ベンチャーの当社グループとして、最重要視している財務指標は現有資金です。当連結会計年度末における現金及び現金同等物は994百万円であり、当面の開発及び運転資金相当と考えています。今後も、提携済みパイプラインからのマイルストン収入や新たな事業提携による契約一時金収入等の事業収益と、適時適切な財務活動による資金調達を組み合わせて、開発資金の確保と中長期的企業価値の最大化を追求してまいります。

 

 

③ キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報

当社グループの資金需要のうち主なものは、研究開発資金及び運転資金であります。
 これらの資金は基本的に自己資金によっておりますが、必要に応じて増資や新株予約権の発行により資金を調達することとしております。
 当連結会計年度におけるキャッシュ・フローの概況については、「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の概要 ③キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりです。

 

4 【経営上の重要な契約等】

(1) 開発・販売ライセンス契約

2017年4月6日、インドの製薬会社 Cipla Ltd.(インド マハーラーシュトラ州ムンバイ)の米国100%子会社であるCipla USA Inc.(米国デラウエア州ウィルミントン)との間で、痙性麻痺治療貼付剤CPN-101MRX-4TZT)(チザニジンテープ剤)に関する世界的な開発・販売ライセンス契約(ただし、東アジアを除く)を締結しております。その後、Ciplaグループ内の再編により、契約相手先はCipla Technologies, LLC(米国カリフォルニア州サンディエゴ)に変更となっております。

 

(2) 共同開発契約

2020年4月16日、株式会社デ・ウエスタン・セラピテクス研究所(D. Western Therapeutics Institute、以下「DWTI」という)との間で、帯状疱疹後の神経疼痛治療薬MRX-5LBT(リドカインテープ剤)について、共同開発契約を締結しております。

この共同開発契約において、当社は、米国における事業化の進捗に応じたマイルストンの形態で最大2億円をDWTIより受領します。これまでに、2020年11月に1億円を受領しています。一方で、当社は、MRX-5LBTの米国事業より得られた収益の一定割合をDWTIに支払います。

 

5 【研究開発活動】

当社グループでは、イオン液体の特徴を利用したILTS®による経皮吸収型医薬品や、ワクチン等の新たな経皮投与デバイスであるマイクロニードルに関する研究開発を中心に研究開発活動を行っています。2022年12月31日現在、当社グループの研究開発人員数は17名であり、当連結会計年度における研究開発費は921百万円です。

 (1)製剤開発

製剤開発については当社研究部(香川県東かがわ市)を拠点としています。

当社グループ独自の経皮吸収型製剤技術であるILTS®NCTS®を基に、対象薬物候補における高い経皮浸透性、皮膚安全性等の実用化基準を満たす経皮吸収型製剤の開発や、ワクチン等を搭載したマイクロニードル製剤の実用化に向けた技術開発を、当社グループ独自で、あるいは、製薬会社等と共同で実施しています。

 

(2)臨床開発

 当社グループのパイプラインの米国における臨床開発に関しては、100%子会社のMEDRx USA INC.を拠点とし、現地CROや米国薬事及びFDA対応に関する知識や経験の豊富なコンサルタントとの緊密な提携関係により、機動的に臨床試験を運営しています。

 

 研究開発活動に関する詳細は、「第1企業の概況  3事業の内容」に記載していますのでご参照下さい。