(1)経営方針
ビジョン・ステートメント
我々は、「社会になくてはならない存在」でありつづけます。
スローガン「人と地球がよろこぶ住まい」
当社グループでは“住まい”と“暮らし”にまつわる困りごとを一緒になって解決しながら、一生のパートナーとして住まい方の変化にも対応しつつ、人々の安全・安心と地球環境保全に努め、社会に貢献する会社を目指しております。その思いをこのフレーズに込めました。
経営理念(Vision)
私たちは、住まいづくりのプロとして、お客様のウォンツを満たし、「快適空間の創造」と「退屈しない人生の提案」により、顧客満足のさらなる向上を図る
上記の経営理念を具現化するため、私たちは家を単なる“住むための器”ではなく、“住む方の人生を演じる舞台”ととらえ、あらゆるお客様の住生活の顕在化している要求(ニーズ)だけではなく、ウォンツに対しても“プロとして”の提案を行うと同時に、より高いレベルで、いつまでも満足していただけるよう事業展開を図っております。また、地球環境を守り、人々の住生活の安全・安心をお届けすることで、社会に貢献する会社でありたいと願っております。
経営指針(Mission)
「For the best life」~総合「住生活」提案企業~
お客様のライフサイクルやさまざまなライフステージにおける如何なる住まい方に対しても、“お客様だけのオンリーワン”のくらしを実現します。また一度顧客となったお客様に対し、当社の持つネットワーク、顧客管理システムにより“住生活の一生のパートナー”としての役割を果たしてまいります。また、お客様の「For the best life」を実現するために“ソフト・サービス”を含めた「暮らし」を提案する企業への進化を加速してまいります。
事業コンセプト(Value)
「エコ&セーフティ」~環境・安全・安心~
地球温暖化対策、少子高齢化という日本が直面する課題に対し、これまでの当社の取り組みを活かし、他社に先駆け、一歩先を行く取り組みを実施します。環境面(エコ)では、光熱費とCO2ゼロを実現し、安全・安心(セーフティ)では、創業以来培ってきたどこにも負けない構造の強さと耐久性を進化・発展させてまいります。また住宅の高い品質を従来の“坪単価”ではなく“年単価”という発想でお客様に伝え、より良いものを長く、大切に使っていただくことで、価格メリットも高く、資産価値の高い住宅を創ってまいります。
行動規範
サンヨーホームズグループは、「お客様満足の向上」を経営理念とし、「クリーン」「誠実」「顧客指向」に基づいた「行動規範」のもとオリジナルカルチャーを醸成し、人権の尊重、法令遵守の精神の徹底を図り、社会的倫理や良識に従い、より良い社会の構築と、誠実に社会責任を果たすことを目指して、積極的に行動します。
1.お客様の信頼
安全で質の高い技術・サービスの提供により、お客様の信頼と満足を追求し、社会に貢献します。
2.法令遵守
事業活動に関わる関係法令およびその精神を遵守し、誠実で健全に業務を遂行します。
3.人権の尊重
社内外を問わず、すべての人の人権とプライバシーを尊重し、人権侵害を行いません。
4.公正な取引
適正な評価基準により、厳正かつ自由な競争のもと公正な取引を行います。
5.安全で快適な職場作り
相互信頼が図られた安全で健康的な職場環境の維持向上に努めます。
6.環境への配慮
人と地球が喜ぶ住まいづくりを通して、地球環境の保全に積極的に尽力し、持続的な発展が可能な社会の実現を目指します。
7.地域社会との共生
地域住民の声に耳を傾け、密接なコミュニケーションを図り、より良い社会づくりに貢献します。
8.反社会的勢力の排除
社会の秩序や安全を脅かす勢力や団体に対しては、毅然とした態度でこれを排除し、一切の関係を持ちません。
9.説明責任の履行
適切な情報開示とクリーン・誠実・顧客指向を目指す企業経営により、全てのステークホルダーの理解と支持を得て、良好な関係を構築します。
サンヨーホームズグループでは、「経営の基本理念(Vision)」「経営指針(Mission)」「事業コンセプト(Value)」そして「行動規範」の4つを合わせて「企業理念」としております。
これら企業理念に基づき、ブランドストーリーとして、
『サンヨーホームズは、「住まい」と「暮らし」のお困り事をお客さまと一緒になって解決し、住まい方の変化にも常に身近で寄り添える、一生のパートナーでありたいと考えます。地球環境の保全と人々の安全と安心を守る「エコ&セーフティ」な住まいづくりと、お客さまの暮らしに役立つ様々なご提案、さらに社会のニーズに応える事業を通じて、人生の新しい“よろこび”を創造します。』を掲げ、『人と地球がよろこぶ住まい』を目指しております。
(2)経営環境及び対処すべき課題
次期の住宅業界は、引き続き鋼材・資材価格の高止まり、人件費等の上昇、不安定な為替相場動向、金利についてもマイナス金利解除後の上昇傾向と、社会・経済状況に対する影響は大きく、引き続き不透明な状況が想定されます。
また、少子高齢化の加速による生産人口の減少や世帯構成の変化による単独世帯の増加等への課題対応、建設業界においても、温室効果ガスの削減が大きな課題であります。
このような中、当社グループは、ビジョンステートメントとして、「我々は“社会になくてはならない存在”でありつづけます。」を掲げ、スローガンである「人と地球がよろこぶ住まい」、事業コンセプトである「エコ&セーフティ」(環境・安全・安心)を実践し、「住まい」と「暮らし」のお困りごとをお客様と一緒になって解決し住まい方の変化にも常に身近で寄り添える一生のパートナーとして、付加価値を向上させ、企業価値の持続的成長を図ってまいります。
(3)経営指標等
短期的には、売上高の先行指標となる、受注高・受注残高の状況を重視しております。中長期的には財務の健全性を高めるとともに資産の効率化を図り、ROE15~20%、自己資本比率35~40%を目標とするとともに、株主の皆様への還元として配当性向20~30%を目指しております。
当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取組は、次の通りであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
サステナビリティ方針
当社グループは、「人と地球がよろこぶ住まい」をスローガンに、“住まい”と“暮らし”にまつわる困りごとを、お客様と一緒になって解決し、人々の安全・安心と地球環境保全に努め、社会に貢献する会社を目指しております。
マテリアリティ(重要課題)
総合「住生活」提案企業として、下記のマテリアリティ(重要課題)を特定しました。
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マテリアリティ |
取組み |
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Environment (環境) |
地球環境への貢献 |
製品を通じた社会貢献 |
ZEH化の推進 |
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RCCM(リニューアルサイクル・カーボンマイナス)住宅の推進 |
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再生可能エネルギーの推進 |
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当社のCO2等削減 |
再生可能エネルギーの推進 |
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デコ活の推進 |
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Social (社会) |
安全・安心 (セーフティ) |
製品を通じた社会貢献 |
水害に負けない安心の暮らし |
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顧客満足の向上 |
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地方創生(地域活性化) |
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人的資本 |
人的資本への投資 |
DE&I(ダイバーシティ・エクイティ&インクルージョン)の推進 |
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従業員エンゲージメントの向上 |
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人材の育成、確保 |
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健康経営 |
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Governance (ガバナンス) |
ブランド価値の向上 |
高品質で価値の高い製品・サービスの提供 |
品質、技術力、顧客サービスの向上 |
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DX(デジタルトランスフォーメーション)の推進 |
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企業価値の向上 |
資本効率の高い経営 |
法令順守 |
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リスクマネジメント |
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CG・グループCG(コーポレートガバナンス) |
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資本コストを意識した経営 |
当社グループは社会・経済情勢の変化に対応しつつ、7つの事業である戸建住宅事業、不動産ソリューション事業、リフォーム事業、リニューアル流通事業、マンション事業、ライフサポート事業及びフロンティア事業を個々に進化させるとともに各事業を融合することによる更なる革新に努めております。
戸建住宅、賃貸住宅ではZEH(ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス)(注1)の推進に特に注力しており、戸建住宅においてはZEH水準を上回る断熱性能を当社標準仕様としております。リニューアル流通においては、国土交通省「令和4年度サステナブル建築物等先導事業(省CO2先導型)第1回」に採択された「RCCM(リニューアルサイクル・カーボンマイナス)住宅」にて、新築を対象とするLCCM(ライフ・サイクル・カーボン・マイナス)住宅を更に発展させ、既存住宅を活用することにより建替え(解体・新築)をせず、永く住み続けることによりカーボン・マイナスを図り、サスティナブルな住宅循環を推進しております。リフォームにおいても環境省のグリーンライフポイント推進企業としてエコリフォームによる環境性能の向上を図っております。マンションにおいてもZEH化を推進し当年度はZEH-M Oriented物件2棟が竣工いたしました。今後、マンションにおいてもZEH化を推進してまいります。
これらのように、「サーキュラーエコノミー(循環経済)」の実現に向けて、従来の「スクラップ&ビルド型の構造」からの脱却を図りつつ、CO2削減という環境問題と、空き家増加という社会課題に対応しております。
(注1)住宅の高断熱化と高効率設備により、快適な室内環境と大幅な省エネルギーを同時に実現した上で、太陽光発電等によってエネルギーを創り、年間に消費する正味(ネット)のエネルギー量が概ねゼロ以下となる住宅
(1)ガバナンス
当社グループは「人と地球がよろこぶ住まい」をスローガンに掲げ、持続可能な社会の実現に向けた取り組みを推進しています。その一環として、2023年1月に取締役会の直下にサステナビリティ委員会を設置し、グループ全体のサステナビリティに関する取り組みを戦略的に進めるためのガバナンス体制を構築しました。
また、同時に社内取締役2名及び社外取締役3名にて構成されたサステナビリティ諮問委員会を設置し、サステナビリティ委員会の活動状況等を監督しております。
サステナビリティ委員会は半期に一回程度開催され、取締役専務執行役員が委員長を務めるとともに、主要部門の責任者や子会社の部門長などで構成されております。
委員会では、サステナビリティに関する基本方針案の策定、重要課題(マテリアリティ)の評価およびその解決に向けた計画や目標設定、進捗状況の管理を実施しております。また、気候関連情報を含む情報開示の適正化に向けた取り組みも委員会の重要な役割の一つであります。
サステナビリティ委員会での議論及び検討結果は、半期に一度程度、サステナビリティ委員会から直接取締役会に報告されます。取締役会は報告内容の確認及び承認を行うことで、経営レベルでの意思決定と戦略への統合を実践しております。
当社は今後も、ガバナンス体制の強化を図りながら、TCFD提言に基づく情報開示を通じて、ステークホルダーとの対話を深化させてまいります。
気候変動対応に関する体制図
(2)戦略
当社グループは、事業コンセプトとして「エコ&セーフティ」~環境・安全・安心~を掲げ、人々の安全・安心と地球環境保全に努め、社会に貢献する会社を目指しております。
これらの中でも特に地球環境問題を最重要ととらえ、ZEHに対応した戸建住宅、賃貸住宅、リニューアル住宅、マンションを普及、促進させることに取り組んでおります。
気候変動
気候変動が及ぼすリスク・機会
TCFD提言で示された各リスク・機会の項目を参考に、気候変動が及ぼすリスク・機会に関して、1.5℃シナリオ及び4℃シナリオにて分析を行いました。1.5℃シナリオにおいては、脱炭素社会への移行に伴い、炭素税の導入や再生可能エネルギーへの転換などの施策・規制が進むことによる事業への影響が考えられます。4℃シナリオにおいては、脱炭素社会への移行が進まず、異常気象の激甚化による洪水被害などの物理的な面での影響を想定しております。
当社では、気候変動リスクの影響が及ぶ時間軸を、短期(~1年)、中期(2~5年)、長期(6~25年)に分類し、それぞれのリスク・機会が与える影響度については、財務的インパクトを基準として評価しております(大:売上の10%以上、中:売上の1%以上10%未満、小:売上の1%未満)。
また、炭素税リスク及び浸水リスクについては、財務影響額の試算による定量的な評価を実施しており、具体的な影響把握に努めております。
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区分 |
気候変動がもたらす影響 |
時間軸 |
影響度 |
対応方針 |
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リ ス ク |
移行 |
法規制・政策 |
カーボンプライシングの導入により、建設資材等の調達コストが増加する |
中期~長期 |
大 |
・価格転嫁策の策定の検討 ・低GHG排出業者への切り替え検討 ・サプライヤーと連携しCO2排出量の把握および削減への取り組み ・サプライチェーン全体の見直しと多様化(ローカルサプライヤーの活用など) |
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建設方法や廃棄物リサイクル方法に関する規制強化や新たな規制が導入された場合、その対応コストが発生する |
短期~中期 |
中 |
・廃棄物の発生抑制 ・3R運動等のゼロエミッション活動の実施 ・政策動向の注視 |
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技術 |
事業活動における脱炭素化への投資コストが増加する |
中期~長期 |
中 |
・事業拠点、生産設備の省エネルギー化 ・社用車のEV化 |
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物理 |
急性 |
気象災害により事業所等が被災し、復旧コストが発生する |
短期~長期 |
中 |
・ハザードマップを利用した用地の選定 ・事業継続計画の策定と実行 ・防災設備の強化 ・適切な保険への加入 |
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気象災害によりサプライヤーが被災し、資材・労働力等の調達が困難になり、売上が減少する |
短期~長期 |
中 |
・サプライチェーンにおけるBCP対策の訴求 ・調達ルートの複線化 ・取引先の事業継続体制の調査 |
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慢性 |
建設現場において熱中症発症リスクが増大し、生産性が低下する |
短期~長期 |
小 |
・安全衛生方針の策定と管理を徹底する ・就労環境改善計画を策定し、働き方改革を実施する |
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機会 |
資源効率 |
省エネ設備を導入することでエネルギー消費が抑えられ、運用コストが減少する |
短期~長期 |
中 |
・最先端の省エネ技術の導入 ・エネルギー効率のモニタリングと継続的改善 |
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エネルギー源 |
低炭素エネルギー源を使用することで、化石エネルギー価格増大の影響を低減する |
中期~長期 |
小 |
・非化石証書を購入する ・電力を再エネメニューに切り替える |
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太陽光発電や蓄電技術の導入・拡大により電力購入コストが減少する |
短期~長期 |
小 |
・自社設備型再エネ発電の導入拡大 |
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製品及びサービス |
ZEH市場の拡大による関連工事の売上が増加する |
中期~長期 |
大 |
・ZEH等に関する技術の開発・運用 ・低炭素型資材(低炭素型コンクリートなど)の開発・実用化推進 ・需要増加への請負体制の強化 |
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顧客の省エネ、脱炭素に寄与する新サービスを提供することで売上が増加する |
中期~長期 |
中 |
・研究開発投資による新技術の開発 ・市場動向調査の実施と自社サービスへの反映 ・サステナブルマーケティングやコミュニケーションの強化 |
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気象災害に備えた建物修繕工事、防災強化工事需要が拡大することで売上が増加する |
短期~長期 |
中 |
・市場動向調査の実施と自社サービスへの反映 ・顧客の防災意識に訴求するマーケティングやコミュニケーションの強化 |
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市場 |
気象災害や海面上昇等の影響による施設の移転工事の売上が増加する |
短期~長期 |
中 |
・関連プロジェクトへ積極的に参画し、実績蓄積、営業力強化 ・需要増加への請負体制の強化 |
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当社グループは、「クリーン」「誠実」「顧客指向」に基づいた「行動規範」のもとオリジナルカルチャーを醸成し、人権の尊重、法令順守の精神の徹底を図り、社会的倫理や良識に従い、より良い社会の構築と誠実に社会責任を果たすことを目指して積極的に行動しております。この理念を実現すべく人的資本経営を進めてまいります。なお、人材の育成、社内環境整備に関する方針は次のとおりであります。
人材の多様性の確保を含む人材の育成に関する方針及び社内環境整備に関する方針
多様性確保については、当社グループでは社内に異なる経験・技能・属性が存在することにより多様な視点や価値観が生まれることは、会社の持続的な成長を確保する上での強みとなるとの認識に立ち、社内における女性活躍、様々な職歴のキャリア採用等の施策を通じて多様性の確保を推進しています。管理職登用については、能力、実績等を評価し、性別・国籍等にとらわれず評価しております。しかし、現時点では女性の管理職比率は十分でないと認識しております。外国人については、当社の事業領域が国内の建築、不動産が中心であり管理職登用の実績はございませんが、正社員や技能実習生として採用は行っております。今後についても、中核人材の登用等における多様性の確保に向けて、人材育成の強化、働き方改革、健康経営の推進等、様々な施策を推進してまいります。
社内環境整備に関する方針については、人口減少や働く価値観の変化等、社会環境の変化と同様に労働環境においても大きく変化している状況のなか、社員が高いモチベーションで、多様な働き方を実現し、結果として高い生産性を確保できる取り組みを推進してまいります。現在実施中のものとしては、新卒採用・中途採用の強化、定年再雇用制度、育児休業、育児時短勤務、介護休業、時短勤務、地域限定勤務制度、若手社員教育等であります。中途採用者においては、2025年度も前年度に引き続き事業部門を中心に採用を強化してまいります。外国人の管理職への登用は、海外事業の拡大等事業上の必要性に合わせ積極的に採用及び管理職への登用を進めていきます。外国人技能実習生については、今後も継続し実施してまいります。
(3)リスク管理
気候関連リスクを識別・評価・管理するプロセス
当社グループでは、気候変動に伴うリスクについて、短期的なリスクだけでなく中長期的なリスクも考慮し、包括的に管理しております。
各事業部でリスクの洗い出しを実施した後、リスク管理委員会及びサステナビリティ委員会がこれを識別・評価し、特に重要と判断されたリスクは、半期に一度リスク管理委員会及びサステナビリティ委員会から直接、取締役会に報告される体制を構築しております。
識別・評価された気候変動リスクについては、リスク管理委員会及びサステナビリティ委員会が予防策と対応方針を検討し、その内容を取締役会で審議・決定しております。
取締役会で決定された対応方針は、再びリスク管理委員会及びサステナビリティ委員会を経て、各事業部で実行されおります。このプロセスにおいて、リスクレベルは「発生可能性」と「緊急度」の2軸で5段階評価を行い、総合評価を3段階に分類することで、優先的に対処すべきリスクを決定しております。
全社のリスク管理への統合プロセス
当社グループの全社的なリスク管理は、リスク管理委員会が統括しております。同委員会は取締役会の直下に設置され、原則として半期に一度開催されております。リスクの適切な把握と管理を実現するため、社内規程やマニュアルの整備、定期的な内部監査や会計報告を実施しております。
また、サステナビリティ委員会やコンプライアンス委員会と連携し、法令遵守を基盤とした企業活動を展開することで、リスク低減を図っております。具体的には、リスクの洗い出し、評価、対応策の策定、及びマニュアルの作成などを行い、リスクの発生要因を未然に防ぐ体制を整備しております。これにより、持続可能な事業運営を実現し、さらなる企業価値の向上を目指しております。
(4)指標及び目標
気候変動
当社グループは、気候関連問題が経営に及ぼす影響を評価・管理するため、GHGプロトコルの基準に基づき、2024年3月期並びに2025年3月期の温室効果ガス排出量(Scope1・2)の算定を実施いたしました。
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2024年3月期 |
2025年3月期 |
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Scope1 |
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Scope2 |
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Scope1,2合計 |
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現在、これらの算定結果を踏まえた温室効果ガス排出量の削減目標の設定について検討を進めております。
また、ZEHの普及、促進に取り組んでおり、新築販売のZEH比率を重要な指標としております。
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2022年3月期実績 |
2023年3月期実績 |
2024年3月期実績 |
2025年3月期実績 |
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目標 |
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戸建住宅(注)1. |
93% |
100% |
97% |
95% |
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90% |
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集合住宅(注)2. |
84% |
90% |
93% |
98% |
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- |
(注)1.一般社団法人環境共創イニシアチブへの届出数値。
2.ZEH対応不可のガレージハウスを除きます。
また、新築マンションについてもZEH化を推進しており、2024年3月期においては2棟が竣工し、2025年3月期においては4棟が竣工しております。
今後についても、ZEHマンションを更に推進してまいります。
上記「(2)戦略」で記載した、人材の多様性の確保を含む人材の育成に関する方針及び社内環境整備に関する方針については、次の指標を用いております。当該指標に関する目標及び実績は、次のとおりであります。
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2021年度(実績) |
2% |
15% |
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2022年度(実績) |
3% |
14% |
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2023年度(実績) |
3% |
13% |
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2024年度(実績) |
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2030年度(目標) |
8% |
35% |
当社グループの事業等に関して、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性があると考えるリスクは、以下のようなものがあります。なお、文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
以下の各事項において、当該リスクが顕在化する可能性の程度や時期、当該リスクが顕在化した場合に当社グループの経営成績等の状況に与える影響について合理的に予見することが困難な場合、その可能性の程度や時期・経営成績等の状況に与える影響の内容についての記述は行っておりません。なお、当社はリスク管理を統括する組織としてリスク管理委員会を設置し、リスク管理規程等のリスク管理の諸規程を定め、発生の回避及び発生した場合には適切かつ迅速な対応に努めてまいります。
以下の事項は当社グループが事業を継続する上で、予想される主なリスクを具体的に例示したものであり、これらに限定されるものではありません。
(1)事業環境変化に関するリスク
当社グループの事業は、事業に係る市場の動向のほか、原材料・資材価格、地価の変動、金利・住宅税制や消費税増税の動向、雇用状況等の影響を受ける事業であり、外部的要因の不確実性から当社グループの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。
(2)不動産、固定資産価値の下落に関するリスク
当社は、四大都市圏において、用地の取得、開発、販売までを行うマンション事業を展開しており、国内の不動産市況が悪化した場合、当社の経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。また、時価及び賃貸価格の下落が生じた場合、当社が保有する不動産の取得価額を評価減する必要が生じる可能性があります。
不動産のほか、当社グループが所有する固定資産についても、減損のリスクがあり、経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。
(3)原材料価格、資材価格及び労務費の高騰に関するリスク
当社グループにおいて、住宅を構成する主要部材である鉄鋼、木材等の急激な高騰等の局面では、原材料、資材等の仕入価格が上昇、また労働人口の減少等による労務費の上昇が当社グループの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。
(4)有利子負債残高に関するリスク
当社グループは、マンション事業の積極的な展開を実施することによる、棚卸資産の増強に対する資金として、金融機関からの借入金等による資金調達を行った結果、当連結会計年度末の有利子負債残高(リース債務除く)は18,407百万円と総資産の36.4%を占めております。
借入金等による資金調達に当たっては、金利上昇リスクを勘案して短期・長期の借入金にて対応していますが、支払金利の上昇による資金調達コストの増加は、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。
(5)土壌汚染に関するリスク
土地の所有者等は、「土地汚染対策法」により、法令の規定によって特定有害物質による土壌汚染の状況の調査、報告及び汚染の除去等の措置を命ぜられることがあります。
当社グループでは、事業用地の取得に当たり、予め履歴調査、汚染調査を実施しており、汚染が確認された場合には、当該用地の取得中止または専門業者による汚染の除去等を実施しております。しかし、上記の調査による土壌汚染の状況について、事前に全てを認識できないことや、土壌汚染が発見されても売主がその瑕疵担保責任を負担できないことがあります。そのため、取得した用地に土壌汚染が発見された場合、当初の事業スケジュールの変更や追加費用の発生、資産除去債務の追加計上等により、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。
(6)業績の季節変動に関するリスク
戸建請負は、工事進行に合わせ履行義務を充足するにつれて、一定期間にわたり収益を認識しており、また分譲マンションは、一定期間にわたり収益を認識せず、顧客への引渡時点において収益を計上しております。完成引渡については、顧客の希望に対応して8~9月及び2~3月に引渡しすることが多いため、売上の計上時期が第2・第4四半期に集中する傾向があります。
なお、2024年3月期及び2025年3月期の各四半期の当社グループ連結業績は以下のとおりです。
(単位:千円)
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第28期連結会計年度 (自 2023年4月1日 至 2024年3月31日) |
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第1四半期 |
第2四半期 |
第3四半期 |
第4四半期 |
通期 |
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売上高 |
6,860,175 |
10,781,339 |
9,497,757 |
18,720,829 |
45,860,102 |
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営業利益又は営業損失(△) |
△781,232 |
232,034 |
△313,953 |
1,816,104 |
952,953 |
|
経常利益又は経常損失(△) |
△802,392 |
228,743 |
△327,562 |
1,836,433 |
935,222 |
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親会社株主に帰属する四半期(当期)純利益又は親会社株主に帰属する四半期純損失(△) |
△559,794 |
177,346 |
△239,854 |
1,270,769 |
648,467 |
(単位:千円)
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第29期連結会計年度 (自 2024年4月1日 至 2025年3月31日) |
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第1四半期 |
第2四半期 |
第3四半期 |
第4四半期 |
通期 |
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売上高 |
7,059,204 |
8,764,502 |
10,141,597 |
19,553,035 |
45,518,339 |
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営業利益又は営業損失(△) |
△582,037 |
△131,738 |
332,799 |
1,337,011 |
956,034 |
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経常利益又は経常損失(△) |
△593,535 |
△154,148 |
621,660 |
1,293,781 |
1,167,758 |
|
親会社株主に帰属する四半期(当期)純利益又は親会社株主に帰属する四半期純損失(△) |
△417,937 |
△123,609 |
416,085 |
798,539 |
673,078 |
(7)品質保証等に関するリスク
当社グループにおいて、住宅事業における品質管理は工業化住宅性能認定やISO9001認証に基づき万全を期していますが、想定されない瑕疵担保責任等が発生した場合には、多額の補修費用や当社グループの評価を大きく毀損することとなり、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。
(8)自然災害等に関するリスク
地震や台風等の大規模な自然災害が発生した場合、当社グループにおいて、被災した自社保有設備の修理に加え、建物の点検や応急措置等の初期活動や支援活動等により、多額の費用が発生し、また被災設備の復旧に相当の期間を要することで、生産活動に支障をきたし、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。
(9)法的規制等に関するリスク
当社グループは、主要な許認可として、建設業許可、宅地建物取引業者免許及び建築士事務所登録を受けて事業活動を行っているほか、環境・リサイクル関連の法規制や消費者生活用製品安全法改正に伴う製品事故情報の報告義務規制の適用を受けております。また、特定住宅瑕疵担保責任の履行の確保等に関する法律の施行による保険または供託金の制度が課せられております。
これらの規制を遵守するためにコーポレート・ガバナンス及びコンプライアンス推進体制を強化しておりますが、今後、これらの法令の改廃や新たな法的規制が設けられた場合、若しくは万一法令違反が生じた場合には、事業活動が制限され、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。なお、現時点において、当社グループは以下の免許取消条項に抵触しておりません。
(許認可の状況)
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許認可の名称 |
会社名 |
許認可番号/有効期間 |
規制法令 |
免許取消条項 |
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建設業許可
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サンヨーホームズ㈱ |
国土交通大臣許可(特-3)第19226号 2026年8月5日(5年毎の更新) |
建設業法 |
建設業法第29条に定められている条項に抵触した場合 |
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サンヨーリフォーム㈱ |
国土交通大臣許可(特-3)第26529号 2027年1月29日(5年毎の更新) |
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サンヨーホームズコミュニティ㈱ サンヨーアーキテック㈱ |
大阪府知事許可(特-30)第149913号 2028年6月3日(5年毎の更新) 大阪府知事許可(般-2)第155416号 2026年2月26日(5年毎の更新) |
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宅地建物取引業者 免許 |
サンヨーホームズ㈱ |
国土交通大臣免許(5)第6105号 2025年12月19日(5年毎の更新) |
宅地建物 取引業法 |
宅地建物取引業法第66条、第67条に定められている条項に抵触した場合 |
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サンヨーリフォーム㈱ |
国土交通大臣免許(2)第009472号 2028年12月4日(5年毎の更新) |
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サンヨーホームズコミュニティ㈱ |
大阪府知事免許(3)第57517号 2029年3月6日(5年毎の更新) |
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建築士事務所登録 |
サンヨーホームズ㈱ |
大阪府知事登録(ニ)第18657号他 2025年9月19日(5年毎の更新) |
建築士法 |
建築士法第26条に定められている条項に抵触した場合 |
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サンヨーリフォーム㈱ |
大阪府知事登録(ホ)第20219号 2028年5月20日(5年毎の更新) |
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サンヨーホームズコミュニティ㈱ サンヨーアーキテック㈱ |
大阪府知事登録(ハ)第23994号 2027年5月24日(5年毎の更新) 大阪府知事登録(イ)第26033号 2026年2月19日(5年毎の更新) |
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マンション管理業 者登録 |
サンヨーホームズコミュニティ㈱ |
国土交通大臣許可(4)第063480号 2028年12月11日(5年毎の更新) |
マンションの管理の適正化の推進に関する法律 |
マンションの管理の適正化の推進に関する法律第33条に定められている条項に抵触した場合 |
(10)個人情報保護に関するリスク
当社グループは、事業の特性上、大量の顧客情報等の個人情報を取り扱っており、個人情報保護には、全社的な対策を継続的に実施しておりますが、万一個人情報の漏洩等が発生した場合、信用を大きく毀損することとなり、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。
(11)マンション事業の建築に関するリスク
当社グループは、コンプライアンス体制の整備及びその運用等により訴訟及びクレーム等の発生の回避に努めており、現時点において業績に重大な影響を及ぼす訴訟を提起されている事実はありません。
しかしながら、マンション分譲事業等において、当社グループが建築に際して近隣住民からのクレーム等に起因する訴訟、その他の請求が発生したことがあり、今後においても発生する可能性があり、これらの訴訟等の内容及び結果によっては、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。
(12)感染症・疫病等の蔓延に関するリスク
疫病等が蔓延し、パンデミックが発生し、サプライチェーンの寸断や行政措置等の内容により工事の中断や大幅な遅延が発生し、また営業活動等に影響を及ぼすような場合は、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。
(13)人材確保に関するリスク
当社グループは、住宅事業、マンション事業を中心とした事業を展開しております。対顧客については個人が中心となります。
社会情勢の変化の一つである、少子高齢化による労働力人口の減少の中、既存・新規事業等を拡大していくためには、優秀な人材の確保とともに、建設技能労働者が欠かせません。今後も当社グループにおいては、業務のIT化、自動化や業務内容の見直し等により効率化を進めると同時に、積極的に新卒、中途採用を行っていく方針です。また、建設技能労働者についても、当社カーペンタースクールにおいて新卒者や外国人技能実習生等を受け入れ、養成を行っております。しかし、更なる労働力人口の減少や建設業界における人材不足等により十分に人材が確保出来ない場合や人材の流出が深刻化した場合には、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。
(1)経営成績等の状況の概要
①財政状態及び経営成績の状況
当連結会計年度における我が国の経済は、労働需給の改善、最低賃金上昇等により、雇用や所得環境が改善され、景気は緩やかな回復傾向でありました。しかし、継続する各種物価・金利の上昇、国際情勢の緊迫化、直近においては米国による関税政策の動向等、景気の先行きは、引き続き不透明な状況が続いております。
住宅業界におきましても、地価について2025年3月公示価格は全国平均で前年比2.7%上昇、三大都市圏では4.3%上昇となり、住宅地、商業地のいずれも4年連続での上昇となっております。住宅ローン金利についても上昇傾向が続いており、資材価格の高止まりや労務費の高騰も含め、先行き不透明な状況にあります。
このような状況の中、当社グループは、ビジョンステートメント「我々は“社会になくてはならない存在”でありつづけます。」のもと、「人と地球がよろこぶ住まい」をスローガンとし事業を通じ社会に貢献することにより、持続的成長と企業価値の向上をめざすとともに、温室効果ガス削減に積極的に取り組んでまいります。また、2025年3月には「健康経営優良法人2025(大規模法人部門)」に2年連続で認定されるとともに「くるみん認定」を取得しております。
この結果、当連結会計年度の経営成績については、売上高45,518百万円(前年同期比0.7%減)、営業利益956百万円(前年同期比0.3%増)、経常利益1,167百万円(前年同期比24.9%増)、親会社株主に帰属する当期純利益673百万円(前年同期比3.8%増)となりました。
(セグメント別の概況)
事業の種類別セグメントの業績は次のとおりであります。
戸建住宅におきましては、ecology(環境保全)とeconomy(経済性)を両立させた経済合理設計提案「W-eco design(ダブル・エコ・デザイン)」、1階部分をRC造(鉄筋コンクリート)2階以上を軽量鉄骨造とするハイブリッド構造で水害、地震、台風、火災、あらゆる災害に強い戸建レジリエンス住宅「水害に負けない安心の暮らし」の商品を通じて、事業コンセプトである「ECO&SAFETY(環境・安全・安心)」を実践しております。なお、当年度の戸建住宅におけるZEH(ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス)比率については95%(前年同期97%)となりました。引き続き100%を目指してまいります。
不動産ソリューションにおきましては、「ウェルジョイントシステム」により土地オーナーと事業主のマッチングを行い、大型施設(介護、医療モール、社宅、商業施設)等の軽量鉄骨工法による受注に注力しております。また、経済合理設計提案「W-eco design(ダブル・エコ・デザイン)賃貸住宅」やガレージハウス等の特色ある賃貸住宅の提案も行っております。なお、当年度の賃貸住宅におけるZEH比率については、ZEH対応不可のガレージハウスを除き98%(前年同期93%)となりました。
リフォームにおきましては、創エネ(太陽光発電、蓄電システム)、省エネ(オール電化、断熱リフォーム、省エネ設備)、安全(水害対策リフォーム、耐震リフォーム、バリアフリー、防音リフォーム)、安心(防犯リフォーム、健康リフォーム、セキュリティシステム)の取り組みにより、受注拡大を図っております。また、環境省の「グリーンライフ・ポイント」や、3省(国土交通省、経済産業省、環境省)連携による「住宅省エネ2025キャンペーン」等の推進により一層の拡大を目指してまいります。
リニューアル流通(既存住宅流通)におきましては、スクラップ&ビルドから脱却しエンボディドカーボンを削減したサスティナブルな住宅循環を実現するため、「リニューアルサイクル・カーボン・マイナス住宅」の提案を積極的に進めるとともに、当社独自の基準を設け、エリアと価格帯を絞った既存住宅の取得も積極的に行っております。
フロンティア事業におきましては、子会社のサンヨーアーキテック株式会社が太陽光や蓄電池等のエコ・エネルギー設備と鉄骨構造躯体の販売、施工等を担っております。
この結果、当連結会計年度の住宅事業の業績につきましては、売上高20,189百万円(前年同期比3.0%減)、営業利益5百万円(前年同期比489百万円の改善)となりました。
マンション事業におきましては、当連結会計年度の新規竣工は、計画通り3月に竣工した「サンメゾン香里園駅前」(大阪府寝屋川市・153戸)を含め7棟(前年同期は7棟)となり、売上高につきましては前年並み、営業利益につきましては建設価格の高騰等により対前年比減少となりました。なお、次年度においても新規竣工物件7棟を予定しております。
また、マンション事業においてもZEH-M(ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス・マンション)化を進めており、当連結会計年度においては4棟がZEH-Mとなりました。
この結果、当連結会計年度のマンション事業の業績は、売上高20,534百万円(前年同期比0.2%減)、営業利益
1,732百万円(前年同期比22.1%減)となりました。
ライフサポート事業におきましては、マンション管理、介護・保育・学童施設運営、寄り添いロボットの開発・ 販売等の生活支援サービスや地方創生を担っております。
この結果、当連結会計年度のその他事業の業績は、売上高4,795百万円(前年同期比7.2%増)、営業利益29百万
円(前年同期比67百万円の改善)となりました。
②キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度における現金及び現金同等物は、営業活動によるキャッシュ・フローは2,371百万円の減少、投資活動によるキャッシュ・フローは46百万円の減少、財務活動によるキャッシュ・フローは1,210百万円の増加となり、前連結会計年度末に比べ1,207百万円減少し、当連結会計年度末には9,232百万円となりました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度の営業活動によるキャッシュ・フローは2,371百万円の減少(前年同期は3,538百万円の増加)となりました。その主な内訳は、税金等調整前当期純利益1,084百万円、仕入債務の増加1,329百万円、未成工事受入金319百万円の増加、前受金414百万円の増加、棚卸資産の増加5,484百万円等であります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度の投資活動によるキャッシュ・フローは46百万円の減少(前年同期は16百万円の減少)となりました。その主な内訳は、固定資産売却による収入34百万円、差入保証金の回収58百万円、有形・無形固定資産取得による支出139百万円等であります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度の財務活動によるキャッシュ・フローは1,210百万円の増加(前年同期は5,134百万円の減少)となりました。その内訳は、長・短期借入金1,608百万円の借入(純額)、配当金の支払いによる支出297百万円、社債の償還による支出100百万円であります。
③生産、受注及び販売の実績
a.生産実績
当社グループでは生産実績を定義することが困難であるため「生産の状況」は記載しておりません。
当連結会計年度における受注高、売上高、受注残高をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
①受注高
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セグメントの名称 |
受注高(千円) |
前年同期比(%) |
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住宅事業 |
20,624,979 |
100.7 |
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マンション事業 |
21,543,268 |
98.6 |
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その他 |
4,795,013 |
107.2 |
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合計 |
46,963,262 |
100.3 |
(注)1.セグメント間取引については相殺消去しております。
2.「その他」は売上高と同額を受注高としており、受注残高はありません。
地域別受注高については、次のとおりであります。 (単位:千円)
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関東地方 |
中部地方 |
近畿地方 |
九州地方 |
合計 |
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12,096,727 |
5,145,708 |
23,299,861 |
6,420,964 |
46,963,262 |
②売上高
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セグメントの名称 |
売上高(千円) |
前年同期比(%) |
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住宅事業 |
20,189,237 |
97.0 |
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マンション事業 |
20,534,088 |
99.8 |
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その他 |
4,795,013 |
107.2 |
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合計 |
45,518,339 |
99.3 |
(注)セグメント間取引については相殺消去しております。
③受注残高
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セグメントの名称 |
受注残高(千円) |
前年同期比(%) |
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住宅事業 |
12,691,226 |
103.6 |
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マンション事業 |
12,197,464 |
109.0 |
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合計 |
24,888,690 |
106.2 |
(注)「その他」は売上高と同額を受注高としており、受注残高はありません。
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
①財政状態、経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容
当連結会計年度における売上高については、前連結会計年度と比較して341百万円減少の45,518百万円となりました。主として、住宅事業における売上高が前連結会計年度と比較して614百万円減少となったことによるものです。また、マンション事業における売上高は前連結会計年度と比較して47百万円の減少となりました。
営業利益については、前連結会計年度と比較して3百万円増加の956百万円となりました。住宅事業における営業利益が売上高の減少にもかかわらず原価率の改善により前連結会計年度と比較して489百万円改善となり営業利益5百万円となりました。マンション事業における営業利益は前連結会計年度と比較して491百万円減少し、販売費及び一般管理費の削減等に努めましたが、営業利益956百万円となりました。
経常利益については、前連結会計年度と比較して232百万円増加の1,167百万円となりました。主として、前連結会計年度と比較して違約金収入の増加等によるものです。
親会社株主に帰属する当期純利益については、前連結会計年度と比較し24百万円増加の673百万円となりました。主として、営業利益、経常利益の増加によるものです。
当連結会計年度末の財政状態については、総資産額は50,553百万円となり、前連結会計年度末と比較し4,146百万円の増加となりました。主な要因は、販売用不動産607百万円、仕掛販売用不動産4,900百万円の増加、現金及び預金1,207百万円の減少等によるものです。
負債総額は35,232百万円となり、前連結会計年度末と比較し3,730百万円の増加となりました。主な要因は、電子記録債務1,742百万円、長・短期借入金1,608百万円(純額)、未成工事受入金319百万円、前受金414百万円の増加、支払手形・工事未払金等413百万円の減少等によるものです。
純資産総額は15,321百万円となり、前連結会計年度末と比較し416百万円の増加となりました。主な要因は、利益剰余金375百万円の増加等によるもので、この結果により自己資本比率は30.3%となりました。
②キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報
当社グループのキャッシュ・フローの状況の分析・検討内容については、「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりです。
当社グループの運転資金需要のうち主なものは、マンション事業における開発土地及び建築資金のほか、販売費及び一般管理費等の営業費用であります。当社グループは、事業運営上必要な流動性と資金の源泉を安定的に確保することを基本方針としており、短期運転資金は自己資金及び金融機関からの短期借入を基本としており、長期運転資金の調達につきましては、金融機関からの長期借入金を基本としております。
③重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は我が国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成にあたり、見積りが必要となる事項につきましては、過去の実績や状況に応じて合理的と考えられる様々な要因に基づき、会計上の見積り及び判断を行っております。
該当事項はありません。
2024年度は、日本が抱えるエネルギー、高齢社会の課題に対し、それぞれ社会評価を受ける成果の年となりました。まず一つ目は、「ハウス・オブ・ザ・イヤー・イン・エナジー2024」において、戸建住宅商品「life style KURASI'TE~LCCM住宅水準モデル~)」が「特別優秀賞」並びに、企業表彰「省エネ住宅特別優良企業賞」とダブル受賞をし、このたび、10年連続の受賞となりました。二つ目は、昨年度から推進しております内閣府「戦略的イノベーション創造プログラム(SIP)第3期/人協調型ロボティクスの拡大に向けた基盤 技術・ルールの整備」において、テーマ6「超高齢社会における世代を超えた人々が直面する社会課題の解決に向けたHCPS融合人協調ロボティクスの社会実装技術開発」(学校法人藤田学園 藤田医科大学を中心とする、トヨタ自動車株式会社、当社の3者で構成する研究体制)について、超高齢社会におけるさまざまな生活シーンでの課題解決に向けて、ロボットやセンサーを導入しやすい住空間を設計し「我が家だけのロボットと共に暮らす住まい」を創り上げることができる人協調ロボティクスの社会実装を目指します。
当社グループは、経営理念及び指針に基づき「人と地球がよろこぶ住まい」をブランドに掲げ、社会課題を解決 すべく、お客様が持つお困り事を解決し、暮らし満足の向上と、地球環境に配慮した高性能・高品質・高付加価値 な住宅の供給を目指しており、その実現のため、暮らし提案力・デザイン力・工業化技術力に基づく品質の向上及びコスト削減を目的に研究開発活動を行っております。その中で、2009年より暮らし提案システム「life style KURASI'TE」を導入し、さまざまな暮らし方に応じて、より満足を得る“生活を演じる舞台”を提案することを基本とし、それぞれのご家族が、どのようなライフスタイルを送りたいのかを把握することで、お客様の希望を反映した住まいを提案することが当社の使命であると考えております。
今回、一般財団法人日本地域開発センターが主催する優れた省エネルギー住宅を表彰する制度「ハウス・オブ・ザ・イヤー・イン・エナジー2024」にて、「life style KURASI'TE~LCCM住宅水準モデル~」が受賞した提案は、これまで以上に進化させた「LCCM住宅水準モデル」として、製造・輸送や建設段階のアップフロントカーボン削減に取り組んでいることが「特別優秀賞」に繋がり、さらに当社が他の軽量鉄骨プレハブ住宅メーカーに先駆け、2016年にZEH、2019年に上位性能であるZEH+(ゼッチプラス)、2022年にはZEH水準を上回る基準の標準化を行い、政府が目指す2050年カーボンニュートラルの実現に向けた「ストック平均を改善する牽引役」とされる、ZEH水準を大きく上回る性能を有する「GX志向型住宅」を2023年から前倒しで実現していること、また、サーキュラーエコノミーに資する「スクラップ&ビルド」から「ストック活用型」の提案として、「災害時の安全性」(地震や災害)、「暮らし提案」(大空間や可変性)を行っていることなど、総合的な提案が5年連続の企業表彰「省エネ住宅特別優良企業賞」へとつながりました。今後も「エコ&セーフティ」という企業姿勢のもと、国際的な枠組みである2050年ライフサイクル全体でのカーボンニュートラルに向けた対策に積極的に取り組んでまいります。
世界に類を見ない超高齢社会を迎えている日本で「一人ひとりの多様な幸せ(well-being)が実感できる社会」を実現することができれば、国民の福祉に資することはもちろんのこと、その過程で創出されるさまざまな科学技術や社会的仕組みは、我が国同様に超高齢社会を迎えつつある他の多くの国々に貢献できると考えております。このような状況を鑑み、藤田医科大学、トヨタ自動車、当社の3者により、内閣府「戦略的イノベーション創造プログラム(SIP)人協調型ロボティクスの拡大に向けた基盤技術・ルールの整備/ヒトの活動を支え育むHCPS融合人協調ロボティクスの社会実装技術開発」を行っております。
我々の提案内容は、上記社会の実現にはAIロボット・情報系の先進技術を基づいた人協調ロボティクスの開発・活用に大きな期待がかけられるものの、開発を行うにあたり極めて重要なことは「一人ひとりの多様な幸せ(well-being)の実現」という真の目標に対して、さまざまな方策がある中での人協調ロボティクスが果たす役割を明確化し、盲目的なデバイスや技術の向上を目的とした開発ではなく、リアリティ(現場)の環境において、その役割・目的に従って、多様な人と物が相互に作用することを考慮し、社会に浸透するような設計・開発を行うことです。当社はこれまで「寄り添いロボット」の開発を提案する中、さまざまな病院に対し、住宅を模した体験コーナー (ADL施設)や大学・研究機関における住空間でのロボット実証スペースの設計・導入を行ってまいりました。これらの経験に加え、高齢者や障害を持つ方へのリハビリ・デイサービスの運営実績が評価され、実際にロボットが住空間へ導入される際の経験豊富な企業として一役を担っております。今後、藤田医科大学、トヨタ自動車に加え、内閣府のSIP事業に参加する多くの企業の実証の場、出口戦略の場づくりとして社会に貢献したいと考えております。
また当社は、事業コンセプトである「エコ&セーフティ」を主軸に置いた独自の技術開発をベースに、長寿命で環境性能に優れ、安心・安全で、快適に暮らして頂ける住宅を供給することが社会課題の解決に繋がると考えております。
その中で現在、地球温暖化の影響を受けての昨今の災害増加に伴う停電のリスク、産業全体での電力需要の増加を受けての再エネ出力制御の増加に対する平準化対策として蓄電池の重要性が高まっています。また電力需要の増加に限らず、昨今の光熱費の高騰も受けて、太陽光で発電した電力は売電するのではなく自家消費するスタイルが、今後当たり前の時代になってくると予想されます。その社会情勢を受けて、当社は2025年2月に家庭用蓄電池を標準設定しました。これにより、今後は蓄電池の普及を推し進め、社会全体の電力課題の解決に向けても取り組んでいきたいと考えております。
研究開発の方針については、これまで当社が持つ7つの事業領域を展開する中で、蓄積された経験、ノウハウを活かした新しい取り組みに挑戦してまいります。具体的には、住宅の製造段階から解体、再利用までを考えた、 ホール・ライフ・カーボンへの取組みや住宅流通事業でのリサイクルへの挑戦を行ってまいります。また戸建の新築、マンション、リフォーム、賃貸福祉、リニューアル流通等のハードに関わるところだけではなく、介護事業や 保育事業の運営、ロボット開発等を複合的に組み合わせ、これまでの住宅産業だけではなく、様々な事業と連携し た“住まいづくり”にチャレンジしてまいります。
なお、当連結会計年度の研究開発費の総額は
主要課題としては、以下のとおりであります。
1.エコロジー
(1)創エネルギー
①太陽光発電と連動した蓄電池や太陽熱利用等、自然エネルギー自給住宅の開発
②災害時に人を守る仕組みの構築、システム連携
(2)省エネルギー
①高断熱・高気密技術の導入による断熱等級6・LCCM住宅・RCCM住宅の開発
②HEMS(ホームエネルギーマネジメントシステム)を用いた遠隔見守りサービス
(3)ホール・ライフ・カーボン・マイナスへの取組み
①使用する住宅資材、建材、運搬まで踏み込んだ見直し
②空き家や中古流通住宅を活用したリニューアル・カーボン・マイナスの取組み
2.セーフティ
(1)安全
①30年後・60年後と強さが変わらない鉄骨軸組工法を活用しながら、地震だけではなく、津波や台風など による水害から、子どもや高齢者を守る技術開発
②ライフサイクル変化に対応できる住み替え、リニューアル流通の仕組みの提案
(2)安心
①快適な温熱環境、健康、災害、防犯など住まいの基礎技術と地域連携の開発
②見守り・健康介護・ヘルスケアなどライフサポートの提案
3.くらし提案
①ライフスタイルの変化に応じた住まい方・住替え提案(ラベリング住宅)
・住まう方の主観的価値を訴求する暮らし方提案
・コミュニティ賃貸住宅の提案
②シニア市場への対応
・ロボットと共存する見守り住宅(戸建、福祉施設、サービス付高齢者向住宅)
・既存住宅へのリニューアル、買取、賃貸などセット提案による価値の提案
③健康住宅の提案
・病院、大学との共同研究
・病院周辺の空き家を活用した見守り住宅
・保育園、介護施設と連携した健康促進
④AI/IoTへの対応
・センサーによる見えないものの見える化の研究
・センサー技術を活用した暮らしの提案
・センサーデータによる更なる快適な暮らしへの活用研究