第2 【事業の状況】

 

1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。

 

当社は「人と技術を育て、人と家と森を守る」を経営理念として、シロアリ対策・地震対策などでお客様に安全・安心・快適を提供し、既存住宅の長寿命化を推進することによって、環境問題などの社会課題解決にも貢献します。

 

(1)経営方針

(お客様満足度の向上)

お客様に喜ばれる最高のサービスと卓越した技術の提供に努めます。

(環境と社会に貢献)

既存住宅の長寿命化を推し進め、環境問題などの社会課題の解決に取り組み、持続可能な社会の実現を目指します。

(誠実な経営の推進)

あらゆるステークホルダーから厚い信頼を得られるよう、コンプライアンスを重視し、誠実を旨とする企業経営を実践します。

(優秀な人材の育成)

経営理念を共有し、社会に貢献できる優秀な人材をより多く育成し、事業全体の質を高めます。

(従業員満足度の向上)

一人ひとりの従業員がイキイキと働ける環境を実現し、やる気を高め、組織力を向上させます。

(持続的な発展の実現)

営業エリアやサービス分野を拡大しつつ、経営効率を高め、中長期的な企業価値の向上を目指します。

 

(2)業績予想

2026年3月期の売上高は前期比875百万円増加(6.2%増)の14,900百万円を見込んでおります。

営業費用は前期比782百万円増加(6.1%増)して、営業利益は同93百万円増加(7.6%増)の1,320百万円、営業利益率は同0.1ポイント上昇して8.9%と予想しております。

経常利益は前期比148百万円増加(12.8%増)の1,310百万円、親会社株主に帰属する当期純利益は同132百万円増加(19.2%増)の820百万円と予想しております。

また、2026年3月期を初年度とする中期経営計画において、2028年3月期に売上高160億円、営業利益18億円、親会社株主に帰属する当期純利益11億円を目標としております(当社の中期経営計画は、毎期見直すローリング方式)。

 

 

(3)対処すべき課題

当社グループは、経営理念「人と技術を育て、人と家と森を守る」の実現に向けて、白蟻防除を主軸としたサービスの提供を通じて、お客様と社会が抱える課題解決に貢献し、社会とともに持続的な成長を実現することを目指しております。

当社グループを取り巻く環境は、資源価格をはじめとする物価高による事業コストの増加と個人消費の低迷や、労働市場の逼迫等が予想される一方、既存住宅の長寿命化とメンテナンスを促進する政策は、今後も継続されることが見込まれます。加えて、国内には約2,600万戸の莫大な木造家屋が潜在需要として存在しております。

このような事業環境下において、当社グループが持続的な成長を実現するために、以下の項目を優先的に対処すべき課題と認識して取り組んでおります。

 

(営業推進基盤・体制の強化)

当社グループは、既存木造住宅を主要サービスの対象としておりますので、業績拡大のためにはその対象先を増加させることが重要となります。そのため、JAとの提携を基本とした既存エリアのさらなる深耕と新規エリアの開拓や、白蟻防除の必要性啓発と当社認知度の向上に繋がるPR活動の強化、企業提携先との関係強化と新規開
拓による販売ルートの拡充、販売促進の強化による申込件数の増加に取り組んでまいります。また、M&Aによる業績拡大と事業領域の拡大等、多様な手段で営業推進基盤及び営業体制の強化を図ってまいります。

(生産性の向上)

当社グループは持続的な成長に向け、売上高の拡大とともに利益率の向上を目指しております。そのため、営業面においては、営業力の強化に資するデジタル化、業務の合理化、省力化等に取り組んでまいります。また、施工面においては、施工の効率向上に繋がる研究開発や機器の導入、労働生産性と安全性の向上に資する技術と手法の開発等を推し進め、生産性の向上を図ってまいります。

(お客様視点に立ったサービスの拡充)

住宅メンテナンス意識が高まり、お客様のニーズが多様化する中、当社グループはお客様のニーズ並びに評価の把握・分析を強化するためにお客様データ管理の高度化に取り組み、お客様の視点に立ったサービスの拡充を推し進めてまいります。新たなサービスの設計においては、木造家屋が抱える課題を解決し、お客様の安全・安心・快適な暮らしを支える高付加価値なサービスを設計し、多くのお客様に提供してまいります。また、保証期間中のお客様には、期待に応える充実したアフターサービスを提供し、お客様満足度のさらなる向上に努めてまいります。

(人的資本の開発・活用)

当社グループは、主要サービスに携わる営業から施工、アフターメンテナンスに至る業務のほとんどを自社従業員で行なっており、人材は最も重要な資本です。従って、人的資本の開発及び活用が重要な課題であると認識し、人材教育体制の拡充並びに職場環境の整備を推し進めてまいります。人材教育においては、スキル向上、マネジメント能力の開発等に向けた研修制度を充実させ、意欲溢れる優秀な人材の育成を図ってまいります。また、職場環境の整備においては、従業員満足度の向上に資する多様性確保、就労環境の改善、人事制度の拡充等により、多様な人材が心身健康で活躍できる企業風土や職場環境づくりに取り組んでまいります。

(事業活動を通じた社会課題解決への貢献)

当社グループは、木造住宅の長寿命化と減災に寄与し、環境に配慮したサービスの拡充に取り組み、環境保護や災害時の人的被害抑制等の社会課題解決に貢献してまいります。また、当社グループでは業務における使用燃料や使用電力の抑制並びに電気自動車の導入等を推し進め、事業活動に伴うCO2排出量の削減に努めてまいります。

 

2 【サステナビリティに関する考え方及び取組】

当社グループは「人と技術を育て、人と家と森を守る」という経営理念に基づき、持続可能な社会の実現に向け、事業活動を通じてさまざまな社会課題の解決に取り組み、企業価値の向上に努めていきます。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。

 

(1)サステナビリティ全般に関するガバナンス

当社グループでは、サステナビリティ活動全体を統括するサステナビリティ推進担当取締役を任命し、経営企画部にサステナビリティ推進事務局を設置しております。事務局は、担当取締役の指揮の下、重要課題の取り組みを実行する各部門と連携のうえ、取り組み状況を管理するとともに諸施策を立案・実施し、担当取締役が進捗を取締役会に報告することによって、グループ全体のサステナビリティを推進しております。

 

(2)サステナビリティ全般に関するリスク管理

当社グループでは、リスク管理規程に基づきリスク管理担当取締役を任命し、担当取締役を委員長とするリスク管理委員会を設置し、その下に事務局を設置し、組織横断的リスク状況の監視並びに全社的対応を行なっております。 各部門は、所管業務に付随するリスク管理を行ない、事務局へ定期的にリスク管理状況を報告し、連携を図っております。

 

(3)重要なサステナビリティ項目

① 気候変動への対応

<戦略>

当社グループは、マテリアリティの1つに「事業を通じた地球環境への貢献」を掲げており、住宅の長寿命化に資する事業をさらに発展させるとともに、気候変動対応を経営上の重要課題と認識しております。将来の気候変動が当社グループの主力であるHA事業へもたらす影響について、シナリオ分析の手法を用いて、2030年時点の外部環境変化を予測し、分析いたしました。

 

ⅰ)シナリオ分析の前提

シナリオ分析では、国際エネルギー機関(IEA)や、気候変動に関する政府間パネル(IPCC)公表の複数シナリオを参照し、「厳しい気候変動に対する対策をとれば、産業革命時期比で0.9~2.3℃上昇」を想定したシナリオ(2℃シナリオ)、および「現状を上回る温暖化対策をとらなければ産業革命時期比で3.2~5.4℃上昇」を想定したシナリオ(4℃シナリオ)にて分析いたしました。

 

選定シナリオ

分析

時間軸

出所

2℃

RCP2.6

2030年

IPCC「AR5」

SDS(Sustainable Development Scenario)

IEA「World Energy Outlook 2021」

4℃

RCP8.5

IPCC「AR5」

SSP5

Kriegler et al. (2017), Fossil-fueled development (SSP5): an emission, energy and resource intensive reference scenario for the 21st century. Glob. Environ. Change

 

 

ⅱ)シナリオ分析に基づく対応策の検討

シナリオ分析に基づき、気候変動による当社グループの事業及び財務へのリスク・機会について整理し、対応する施策を下表のように抽出いたしました。今回抽出した施策を実行することで、持続可能な社会の実現と当社グループの持続的な成長の両立を目指してまいります。なお、開示内容につきましては、今後の更なる分析等を実施のうえ、継続的な充実を進めてまいります。

 

(気候変動によるリスクおよび機会に対する施策)

対象とするリスク・機会

施策

移 

行2

リ℃

スシ

クナ

・リ

機オ

会 

炭素価格

リスク

薬剤・資材・エネルギーの調達コストが増加

・低炭素素材への切替

投資家の

評判変化

リスク

環境対策に積極的でないと評価される事による株価の低迷

・省エネ車両等への切替等、CO2排出量削減の取り組み

・CO2排出量削減に向けた活動実績の外部報告・PR

機会

ESG投資家層の拡大(株価上昇)を通じた資金調達基盤強化

顧客の

評判変化

リスク

現在と同水準の化石燃料使用によって環境に負荷を与える企業としてのイメージ悪化

機会

化石燃料使用の抑制によって環境への負荷を低減する企業としてイメージ良化

物2

理℃

的&リ4

ス℃

クシ

・ナ

機リ

会オ

平均気温の

上昇

リスク

作業者の熱中症等の増加や酷暑時間帯回避による生産性低下

・熱中症対策装備を活用した生産性向上

熱中症対策としての装備品等導入によるコスト増加

機会

白蟻の生息地の拡大による白蟻防除相談件数の増加

・白蟻の生息地拡大に合わせた営業地域の拡大

降水・気象

パターンの変化

機会

湿気対策需要の増加

・湿気対策導入に関する積極的な営業活動

 

 

 

<指標・目標>

当社グループは2019年3月期よりScope1・2、2022年3月期よりScope3の算定に取り組んでおります。

 

・CO2排出量実績(Scope1・2・3)※1

Scope

カテゴリ

排出量実績(t-CO2)実績

2022年3月期

2023年3月期

2024年3月期

2025年3月期

Scope1

3,911

3,743

3,652

3,521

Scope2

946

920

907

808

Scope3

カテゴリ1:購入した製品・サービス ※2

9,838

10,130

9,705

10,292

カテゴリ2:資本財

(非該当)

(非該当)

(非該当)

(非該当)

カテゴリ3:Scope1,2に含まれない燃料及びエネルギー関連活動

1,396

1,400

1,346

1,268

カテゴリ4:輸送、配送(上流)※2

313

330

307

555

カテゴリ5:事業から出る廃棄物

1,192

1,312

1,208

1,207

カテゴリ6:出張

142

198

149

130

カテゴリ7:雇用者の通勤

983

984

979

1,177

カテゴリ8:リース資産(上流)

(非該当)

(非該当)

(非該当)

(非該当)

カテゴリ9:輸送、配送(下流)

(非該当)

(非該当)

(非該当)

(非該当)

カテゴリ10:販売した製品の加工

(非該当)

(非該当)

(非該当)

(非該当)

カテゴリ11:販売した製品の使用

429

468

534

397

カテゴリ12:販売した製品の廃棄

(非該当)

(非該当)

(非該当)

(非該当)

カテゴリ13:リース資産(下流)

(非該当)

(非該当)

(非該当)

(非該当)

カテゴリ14:フランチャイズ

(非該当)

(非該当)

(非該当)

(非該当)

カテゴリ15:投資

(非該当)

(非該当)

(非該当)

(非該当)

Scope3 合計

14,292

14,822

14,228

15,025

Scope1+2 合計

4,858

4,663

4,559

4,329

Scope1+2+3 合計

19,150

19,485

18,787

19,354

 

※1 提出会社(単体)の実績であり、連結子会社分は不算入

※2 2024年3月期までは、白蟻防除、湿気対策、地震対策の主力サービスの主要材料を対象に算定

  2025年3月期より、主力サービスに加え高断熱施工の主要材料を対象に算定

 

・CO2排出量の削減目標

当社グループにおけるCO2排出量削減の取り組みについて実行可能性を十分に検討のうえ、売上高1億円当たりScope1及び2の2031年3月期削減目標を2019年3月期対比21%削減に設定いたします。Scope3につきましては、開示に向けて算定範囲の拡大を進めてまいります。

 

2023年3月期

2024年3月期

2025年3月期

2031年3月期

(目標)

当社単体売上高(億円)

132.67

128.91

130.98

Scope1+2(t-CO2)※1

4,663

4,559

4,329

売上高1億円当たりCO2排出量(t-CO2)

35.1

35.4

33.1

31.4

 

※1 提出会社(単体)の実績であり、連結子会社分は不算入

 

 

② 人的資本への対応

<戦略>

当社グループは、「人と技術を育て、人と家と森を守る」を経営理念とし、サービス品質の向上とそれを支える人材を育成することが、お客様の安全で安心な暮らしを守ることにつながると考え、マテリアリティの1つに「人材育成と働きがいのある職場づくり」を掲げております。こうした理念に基づき、多様な人材がやりがいを持って健康的に働き、個々の能力を発揮できる職場づくりを実現し、社会課題の解決に貢献するために、人材育成並びに社内環境整備に取り組んでおります。

ⅰ)人材育成

・方針

社員のキャリア形成を促す機会と教育体系・環境を整備し、意欲にあふれ自律的に活躍できる人材の育成に取り組んでまいります。

・施策

職種別・階層別のスキル向上、マネジメント能力の開発など、各種育成プログラムを拡充させ、社員の自律的な成長の機会を提供します。また、社員がその能力を最大限に発揮し活躍できるよう研修の主体的・積極的な受講を支援します。

ⅱ)社内環境整備

・方針

多様な人材が、やりがいを感じて、イキイキと働き続けることができる健全な組織風土と職場環境の整備に取り組んでまいります。

・施策

人権を尊重し、自律的で多様な働き方を可能とする就労環境の整備や人事制度の充実を進め、特に重要な課題として女性社員数の拡大など、多様性の確保に取り組みます。

 

<指標・目標>

当社グループは、社員が受講する研修時間の増加並びに女性活躍推進に取り組み、社員1人当たり研修時間の2026年3月期目標を2023年3月期対比13%増加、女性社員数の2026年3月期目標を2023年3月期対比15%増加に設定いたします。また、人材育成並びに社内環境整備に関する施策を推し進め、開示指標の拡大を進めてまいります。

 

2024年3月期

2025年3月期

2026年3月期(目標)

社員1人当たり研修時間 ※1

12.8時間

11時間

15.6時間

女性社員数 ※2

158人

156

183

 

※1 提出会社の社員を対象範囲としているため、連結子会社は含まない

※2 当社グループの主力サービスである白蟻防除、湿気対策、地震対策を取り扱う提出会社を対象としており、外壁リフォームを取り扱い、当社グループ内における社員数の割合が低い連結子会社は含まない

 

3 【事業等のリスク】

当社グループは、事業活動に影響を与える可能性のあるリスクを的確に把握し、適切な対策を講じております。有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項には、以下のようなものがあります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。

 

(1)災害等の発生について

当社グループは、地震、台風、洪水等の自然災害や火災等の事故、及び感染症等の流行の発生を想定し、必要とされる安全対策や安否確認体制の構築等、事業継続計画を策定して影響の回避に努めております。しかしながら、大規模な災害、事故等による全ての影響を回避することは困難であり、また、感染症等の流行時においては事業活動が制限される場合があり、財政状況及び業績等に影響を及ぼす可能性があります。

 

(2)情報セキュリティについて

当社グループは営業上、技術上の機密情報や、事業活動においてお客様の個人情報やプライバシーに関する情報を保有しております。これらの情報の取り扱いについては、規程に基づく厳重な管理・運用、及びセキュリティ対策を行なっておりますが、システムの不正アクセスやサイバー攻撃等により、外部への機密情報・個人情報の漏洩、業務の遅滞等の影響が発生する可能性があります。情報セキュリティ対策においては、情報セキュリティ基本方針を制定し、情報システム管理規程に基づき情報システム担当取締役のもと、部門を横断したインシデント対応体制を整備しております。また、セキュリティ対策の高度化並びに社員への定期的なセキュリティ教育や、インシデントを想定した訓練等、情報セキュリティ対策の強化に努めております。しかしながら、万一、何らかの理由で外部に流出した場合、損害賠償責任を負う可能性がある上、当社グループの社会的信用を失うことにより、財政状況及び業績等に影響を及ぼす可能性があります。

 

(3)人材確保と育成について

当社グループにとって「人材の確保と育成」は経営基盤の維持、拡大の上で不可欠であります。そのため、当社グループでは、人材を重要な資本と捉え、職場環境の整備による社員の満足度向上、新卒・中途採用活動や能力・成果主義を基軸とした人事制度の構築や、社員教育体系の充実等に積極的に取り組んでおります。また、当社グループの営業活動は訪問販売を主とすることから、コンプライアンスについて徹底した人材育成と質の向上を図っております。労働需給関係の逼迫等により人材獲得競争が激化する中、社員の生産性を高める取り組みも推し進めておりますが、必要な人材を確保できない場合には、事業展開が制約され、業績等に影響を及ぼす可能性があります。

 

(4)市場について

当社グループの主力商品である白蟻防除施工等のサービスは、全国に約26百万戸現存する木造戸建住宅を主な販売対象としておりますが、ユーザーが日常生活を営む上で目に付き難いところで被害を及ぼす白蟻の防除を主目的としているため、その需要の多くは潜在化しております。そして、当社グループのユーザーの大半が個人顧客であるため、個人の消費マインド軟化、可処分所得の減少等によっても需要が顕在化し難くなる場合があります。したがって、これら個人顧客向けサービスの販売動向は、国内並びに地方における経済状況、景気動向、雇用環境等により大きく変動いたします。これらの諸要因が当社グループにとって有利に作用しない場合、財政状況及び業績等に影響を及ぼす可能性があります。

 

(5)法規制について

当社グループは、商取引、建築、薬品取扱、個人情報保護、金融取引、労務並びに内部統制上、各種法律の規制を受けております。また、当社グループは訪問販売による営業活動を行なっていることから、特定商取引に関する法律の規制を受けております。同法は主に、訪問販売等の特定の販売形態を公正にし、消費者が受けることのある損害の防止を図ることにより、消費者の利益を保護することを目的として制定された法律であります。当社グループは福島県、静岡県に総合研修センターを設置し、集合研修による社員教育並びに実際の業務を通しての職場内教育(OJT)を組み合わせ、高いレベルのコンプライアンス体制の構築に努めております。しかしながら、万が一、当社グループが各種法規制に抵触した場合、または改廃、新たな法令等の制定があった場合には、財政状況及び業績等に影響を及ぼす可能性があります。

 

(6)主要提携先について

当社グループは、農協等との間で販売等に関する業務提携を行ない、当該提携先農協等の取扱業者として営業活動を行なっております。また、多様な企業、団体と業務提携し、各提携先から顧客の紹介等を受けて白蟻防除施工等を提供しており、これらの提携が期間満了、解除、その他の理由に基づき終了した場合や、当社グループに不利な契約内容の改定が行なわれた場合には、財政状況及び業績等に影響を及ぼす可能性があります。

 

(7)資材・燃料価格の高騰について

当社グループは、サービスの提供に必要な資材を外部から調達しております。また、営業活動及び施工において自動車を使用しております。そのため、当社グループは資材・燃料コストの低減に取り組んでおりますが、資材の仕入れ価格やガソリン価格が著しく上昇した場合、財政状況及び業績等に影響を及ぼす可能性があります。

 

(8)重大事故の発生について

当社グループは、業務上の事故を防止するため、各種業務における安全教育を徹底するとともに、車輛や機材、安全装備などの点検を定期的に実施しております。また、事故が発生した場合の金銭的な損失に備え、各種損害保険にも加入しております。しかしながら、重大な事故を発生させてしまった場合は、補償や対策費用の発生に加え、社会的信用が低下し、財政状況及び業績等に影響を及ぼす可能性があります。

 

(9)クレームについて

当社グループの事業は、営業形態や取扱商品の性質上、クレームの発生を避けては通ることができない業態であります。このため、全てのお客様から信頼される営業姿勢と法令を遵守した営業活動の徹底はもちろんのこと、提携先農協等との連携体制強化、お客様相談室を中心とした対応・再発予防体制の強化、消費生活センター等との関係強化、公益社団法人日本訪問販売協会からの情報収集により、クレームの減少と早期対応に努めております。しかしながら、重要なクレーム或いは訴訟等が発生した場合、財政状況及び業績等に影響を及ぼす可能性があります。

 

(10)業績の季節的変動について

当社グループの業績(特に利益)は、第2四半期連結累計期間に偏重する傾向があります。これは、例年5月をピークとして4月から7月頃まで、白蟻の活動が活発化し、白蟻防除関連の受注件数が増加するためであります。当社グループでは、白蟻防除の需要が潜在化する時期における需要喚起及び、季節変動の比較的少ない他サービスの受注拡大に注力するなどして業績の平準化に努めておりますが、業績の季節性変動は今後も続くと見込んでおり、該当期間の販売動向が通期業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(11)業界イメージの低下について

当社グループは、訪問販売による営業活動を行なっております。法規制の強化により一部の業者による悪質な訪問販売は減少しておりますが、昨今でも法令違反による業務停止処分等が報道で取り上げられることがあります。当社グループでは従来より社員教育を充実させ、コンプライアンス体制の強化とサービス品質の向上に取り組むとともに、各種PR等により業界イメージの向上に努めておりますが、悪質リフォーム報道等による業界の信用低下があった場合、当社グループの業績等にも影響が及ぶ可能性があります。

 

(12)気候変動・異常気象について

当社グループは、既存住宅の長寿命化を推進することによって、環境問題の解決に貢献するとともに、気候変動への対応に取り組んでおります。しかしながら、将来的に炭素価格の上昇、当社グループの環境対策への評判変化などにより、当社グループの収益にマイナス影響を及ぼす場合があります。また、白蟻防除施工の対象となる白蟻の活動は、気象状況の影響を受けるという特徴があります。加えて、当社グループの営業活動は訪問販売を主体としておりますので、屋外での活動を含みます。したがって、気候変動に伴う猛暑、大雪、暴風雨などの天候不順や異常気象により、白蟻の活動や営業活動などにマイナス影響を及ぼす場合があり、当社グループの財政状況及び業績等に影響を及ぼす可能性があります。

 

(13)減損会計について

将来、保有資産の時価の下落や将来キャッシュ・フローの状況により、減損会計の適用を受けた場合、財政状況及び業績等に影響を及ぼす可能性があります。

 

(14)システム障害、ネットワーク遅延について

当社グループにおいては、各種業務の効率化に資するシステムの積極導入を進めておりますが、システム障害や大規模なネットワーク遅延が発生し、且つ長期化した場合、業務に遅滞が生じ、当社グループの財政状況及び業績等に影響を及ぼす可能性があります。

 

4 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要並びに経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。

また、当社グループは単一セグメントであるため、セグメント別の記載を省略しております。

 

当連結会計年度におけるわが国経済は、雇用・所得環境が改善するなかで、企業収益も改善しており、景気は緩
やかな回復基調で推移しました。また、個人消費は持ち直しの動きが見られるものの、物価上昇、金融資本市場の
変動等の影響には注意すべき状況が続いております。

当社グループの市場におきましては、住宅に関する国策の「既存住宅の長寿命化とメンテナンスを重視する方針」は不変で、莫大な潜在需要規模もそのまま存在するものと見ております。

このような状況下において、当社グループは持続的な成長を目指し、「営業推進基盤・体制の強化」「生産性の向上」「お客様視点に立ったサービスの拡充」「人的資本の開発・活用」「事業活動を通じた社会課題解決への貢献」に取り組んでまいりました。

「営業推進基盤・体制の強化」並びに「生産性の向上」につきましては、2024年4月1日付で企業提携先の拡大を目的とした部署を新設し、紹介ルートの拡充を図りました。また、マーケティング強化に取り組みながら、テレビCM・新聞折込・WEB広告等の積極的な広告宣伝を展開し、白蟻防除の必要性を幅広くアピールしてまいりました。第3四半期からは「おうちながもちプロジェクト」と題した、当社サービスが防災・減災に繋がることを訴求する企画を展開し、お客様の需要喚起に努めました。さらに、営業効率向上に資する業務のデジタル活用も推進しました。その結果、白蟻防除の調査依頼が増加するなど市場からの反響が得られたことに加え、新規・既存顧客向け営業における売上高が増加しました。

また、「お客様視点に立ったサービスの拡充」につきましては、既存のお客様への情報発信を強化するとともに、お客様ニーズに沿ったサービスラインアップの充実に努めてまいりました。

「人的資本の開発・活用」につきましては、多様な働き方を検討し、職場環境を整備することで、従業員の一層の業務意欲向上に取り組んでまいりました。

 

(1)財政状態

当連結会計年度末における資産は、前期末比1,780百万円減少し、14,346百万円となりました。主な要因は、現金
及び預金の減少であります。

負債は、前期末比217百万円増加し、4,601百万円となりました。主な要因は、退職給付に係る負債の増加と、未
払法人税等の増加であります。

純資産は、前期末比1,998百万円減少し、9,744百万円となりました。主な要因は、買付けによる自己株式の増加
であります。

この結果、自己資本比率は67.8%となりました。

 

(2)経営成績

売上高は前期比330百万円増加(2.4%増)の14,024百万円となりました。

売上原価は、前期比64百万円増加(1.5%増)しました。その結果、売上総利益は同266百万円増加(2.8%増)の9,705百万円となり、売上総利益率は同0.3ポイント上昇して69.2%となりました。

営業利益は、同279百万円増加(29.5%増)の1,226百万円となり、営業利益率は同1.8ポイント上昇して8.7%となりました。経常利益は、同176百万円増加(17.9%増)の1,161百万円となりました。親会社株主に帰属する当期純利益は、同146百万円増加(27.1%増)の687百万円となりました。

 

(3)キャッシュ・フロー

当連結会計年度末における現金及び現金同等物は、前期末比1,612百万円減少して7,106百万円となりました。

 

営業活動により増加した資金は1,120百万円となりました。主な増加要因は、税金等調整前当期純利益1,133百万
円であります。なお、前期の増加した資金は448百万円でした。

 

投資活動により減少した資金は61百万円となりました。主な減少要因は、固定資産の取得による支出70百万円で
あります。なお、前期の増加した資金は384百万円でした。

 

財務活動により減少した資金は2,671百万円となりました。主な減少要因は、自己株式の取得による支出1,969百
万円であります。なお、前期の増加した資金は1,228百万円でした。

 

(参考) キャッシュ・フロー関連指標の推移

 

2024年3月

2025年3月

自己資本比率(%)

72.7

67.8

時価ベースの自己資本比率(%)

113.0

109.9

キャッシュ・フロー対有利子負債比率(年)

0.8

0.3

インタレスト・カバレッジ・レシオ(倍)

95.4

178.0

 

自己資本比率:自己資本/総資産

時価ベースの自己資本比率:株式時価総額/総資産

キャッシュ・フロー対有利子負債比率:有利子負債/キャッシュ・フロー

インタレスト・カバレッジ・レシオ:キャッシュ・フロー/利払い

 

(注)  1.株式時価総額は、期末株価終値×期末発行済株式数により算出しております。

2.キャッシュ・フローは、キャッシュ・フロー計算書の営業活動によるキャッシュ・フローを使用しております。

3.有利子負債は、貸借対照表に計上されている負債のうち利子を支払っているすべての負債を対象としております。

4.利払いは、キャッシュ・フロー計算書の利息の支払額を使用しております。

 

(4)生産、受注及び販売の状況

①生産実績

当連結会計年度における生産実績は、次のとおりであります。

区分

当連結会計年度

(自  2024年4月

至  2025年3月)

生産高(千円)

前年同期比(%)

HA事業

315,563

99.6

合計

315,563

99.6

 

(注) 金額は、製造原価によっております。

 

②受注実績

当社の施工は、受注から施工完了まで通常短期間で完了し、各事業年度末における受注残高の金額が僅少なため記載を省略しております。

 

③販売実績

当連結会計年度における販売実績は、次のとおりであります。

区分

当連結会計年度

(自  2024年4月

至  2025年3月)

販売高(千円)

前年同期比(%)

HA事業

13,809,597

102.6

その他

214,483

92.4

合計

14,024,081

102.4

 

 

(5)重要な会計方針及び見積り及び当該見積りに用いた仮定

当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる企業会計の基準に基づいて作成しております。この連結財務諸表の作成にあたりましては、資産・負債及び収益・費用の報告額に影響を及ぼす見積り及び仮定を用いております。

連結財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等(1)連結財務諸表 注記事項 (重要な会計上の見積り)」に記載しております。

  

 

5 【重要な契約等】

(1)販売等に関する提携

当社グループは、全国農業協同組合連合会をはじめとする農協等と業務提携をしております。

当連結会計年度末における契約の状況については次のとおりであります。

契約先

全国農業協同組合連合会

全国農業協同組合連合会県本部

協同会社(全国農業協同組合連合会県本部関係会社)

農業協同組合

生活協同組合

主な契約内容

期間:1ヵ年間若しくは2ヵ年間の自動更新となっております。

内容:1)農協等は、当社が農協等の管轄地域内等において農協等の名称を使用して営業活動を行なうことを許諾する。

2)当社がお客様に対して施工を行ない、農協等は、お客様から施工代金を受領する。

3)お客様が施工代金の支払を遅滞したときは、農協等は当社に対し、同債権の回収業務に対する協力を依頼することができる。

4)農協等は、当社発行の請求書に基づいて施工費用を精算する。

 

(2)割賦業務提携契約

当社グループは、お客様に対する施工代金の割賦業務に関する契約を締結しております。

当連結会計年度末における契約の状況については次のとおりであります。

契約先

㈱オリエントコーポレーション

三井住友カード㈱

主な契約内容

期間:㈱オリエントコーポレーションについては、特に契約期間の定めはありません。

      三井住友カード㈱については、1ヵ年間の自動更新となっております。

内容:1)当該契約先による信用調査を経て、承認されたお客様に対して施工を行なう。

2)当該契約先はお客様に代わり、施工代金を立替えて当社に支払う。

3)お客様は、当該契約先に、分割等、契約時に取り決めた方法により支払いを行なう。

 

6 【研究開発活動】

当社グループにおける研究開発活動につきましては、安全性及び環境負荷の軽減、効果を兼ね備えた施工方法並びに製品・商品の開発を目指しております。そうしたことにより、お客様の多様なニーズに的確に対応したサービスの提供を行ない、業界においてリーダーシップを発揮していくことを、研究開発を行なう上での基本方針としております。

研究開発活動につきましては、営業企画部が主体となり研究開発テーマごとに各部門と協働して推進する開発体制をとっております。

この結果、当連結会計年度における当社グループが支出した研究開発費の総額は13百万円となりました。

なお、当社グループは単一セグメントであるため、セグメント別の記載を省略しております。

 

研究開発課題

具体的な内容

成果

シロアリ探知機の開発

シロアリ特有のにおいを機械的に感知するセンサーの開発。

シロアリが有する特異的におい物質の特定にかかわる研究の実施。

シロアリ食害材の樹脂補強方法の開発

蟻害等により強度低下した木材の強度回復を図る樹脂充填剤の開発。

蟻害材への樹脂充填剤の充填方法や劣化診断方法の確認。充填木材の強度試験の実施。