第2 【事業の状況】

 

1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末において当社グループが判断したものです。

 

(1) 経営方針

当社グループは、2022年5月期より5ヶ年の中期経営計画「タマステップ2026」を進めています。「新築住宅着工棟数№1を目指し、4つの事業(注文住宅事業・戸建分譲事業・リフォーム事業・不動産事業)の柱を中心に成長する」という基本方針を着実に実行し、引き続き持続的な成長へ向けた強固な経営基盤の形成を促進していきます。

 

(2) 経営戦略等

当社グループは、中期経営計画において、「注文住宅事業で都道府県別シェア№1を目指す」「戸建分譲事業で販売棟数1,700棟を目指しシェア拡大を図る」「リフォーム事業で売上高120億円を目指し事業成長を図る」「不動産事業で売上高500億円を目指し事業成長を図る」を基本戦略に掲げております。

中期経営計画において、「受注棟数」「販売棟数」「売上高」「営業利益」「営業利益率」「当期純利益」をグループの成長を示す経営指標と位置づけており、最終年度となる2026年5月期における目標数値を、以下のように設定しております。

 

連結経営目標数値

 

2025年5月期
 実績

2026年5月期

当初計画

2026年5月期
 修正予想

受注棟数

8,836棟

15,000棟

10,500棟

販売棟数

6,946棟

12,500棟

8,700棟

売上高

2,008億円

3,200億円

2,350億円

営業利益

41億円

200億円

93億円

営業利益率

2.0%

6.2%

4.0%

当期純利益

14億円

120億円

60億円

 

 

(3) 経営環境並びに優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題

当社を取り巻く経営環境においては、短期的には、米国の通商政策による直接的な影響は軽微と想定される一方、継続する物価上昇が当社の主たる顧客である一次取得者の消費マインドに影響を及ぼす可能性があります。中長期的には人口減少による国内住宅市場の縮小およびそれに伴う住宅着工戸数の減少ならびに職人の高齢化や人手不足が深刻化するといった懸念があります。

このような状況の中、当社グループは注文住宅・戸建分譲・リフォーム・不動産の4つの事業の柱を中心に、早期受注・早期着工・早期売上を目標に掲げ、事業拡大、企業価値向上に取り組んでまいりました。そして、地域特性に合わせた販売戦略を策定・実施するとともに、変化するお客様の価値観・行動様式に柔軟に対応していくことで、中核事業である注文住宅事業の収益基盤をより一層強化するとともに、各事業における収益力の向上に努めました。引き続き、継続的な成長と強固な経営基盤の形成に向け取組みを推進していきます。住宅事業においては、より高い付加価値の商品展開を推進し、更なるシェアの拡大に努め、非住宅事業においては事業機会を適切に捉え収益性を高めることにより、売上高の伸長を目指します。

以上に鑑み、当社グループの2026年5月期の連結業績予想は、売上高235,000百万円(前連結会計年度比17.0%増)、営業利益9,300百万円(同126.1%増)、経常利益9,000百万円(同137.5%増)、親会社株主に帰属する当期純利益6,000百万円(同305.9%増)を見込んでおります。

 

2 【サステナビリティに関する考え方及び取組】

当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取組は、次のとおりであります。

なお、文中に関する将来の事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものです。

 

近年、気候変動の影響は地域や産業を問わず深刻化しており、企業活動や人々の暮らしにさまざまな形で影響を及ぼしています。世界では2015年のパリ協定以降、気温上昇を産業革命前と比べて2℃未満に抑え、さらに1.5℃以内に抑えることを目指した国際的な取り組みが進められています。こうした世界的な潮流を受け、日本でも2050年カーボンニュートラルの実現を目指す方針が掲げられ、企業には持続可能な成長と低炭素社会の実現に向けた取り組みが一層強く求められています。当社グループにおいても、こうした社会的要請を踏まえ、持続可能な住まいづくりを通じて気候変動への対応を進めるとともに、脱炭素社会の実現に貢献することを重要な責務と捉えています。

 

(1)気候変動関連等(TCFD提言に基づく情報開示)

①ガバナンス

・執行体制

当社グループでは、気候変動に関する事業への影響を適切に評価・管理するため、経営企画部や経理部など複数の部門が連携し、全社的なマネジメント体制を構築しています。

経理部は各部門と協力し、気候関連リスクや機会に伴う財務的影響の試算や関連情報の収集を担い、経営企画部は中期経営計画や長期ビジョンの策定において対応策を検討しています。こうした取り組みを通じて特定された重要な気候関連のリスクや機会は、半期ごとに取締役会へ報告されています。

また、事業審査会では新規事業の経済合理性(ビジネスモデル、事業計画、投資回収の見通し)を中心に事前審議を行い、関連部門で特定・評価した気候関連リスクや機会を含めた持続可能性の観点を踏まえて審議内容を整理します。これらの審議結果は案件に応じ、常務会または取締役会に付議され最終的に意思決定されます。

 

・監督体制

取締役会は原則として月1回開催され、サステナビリティ・環境対応方針の監督や木材流通に関する環境戦略の審議、開示状況のモニタリングを行っています。構成メンバーには独立性の高い社外取締役も含まれており、公正かつ迅速な意思決定を進めています。

こうした体制のもと、CSR基本方針「5つのHappy」で策定された内容の推進を目指し、国産材の活用、国内林業の活性化、森林資源の有効活用に貢献する木材流通システム「タマストラクチャー」の取り組みなど、気候変動を含む地球環境課題への対応を進めています。

 

 

 


 

②戦略

当社グループは、将来的な気候変動の不確実性を把握するため、国際機関が公表する複数のシナリオを活用し、2030年および2050年を見据えた事業活動への影響を分析しています。シナリオ分析結果を踏まえ、必要な設備投資や対応方針などを策定する予定です。

 

・シナリオ前提

選択シナリオ

4℃シナリオ:温室効果ガスの削減に向けた対策が不十分なまま、産業革命前と比べて気温が約4℃上昇し、自然災害の激甚化や海面上昇など、気候変動に伴う物理的リスクが高まる世界を指します。

1.5℃シナリオ:脱炭素化に向けた国際的な気候変動対策が積極的に進み、再生可能エネルギーの普及や炭素税など、温室効果ガス排出に対する規制が強化されることで、産業革命前と比べて気温上昇が1.5℃程度に抑えられた世界を指します。

主に参照したシナリオは下記の通りです。

4℃シナリオ

4℃:STEPS (Stated Policies Scenario)
 IEA World Energy Outlook 2024

4℃:RCP8.5
 IPCC Fifth Assessment Report

1.5℃(2℃)シナリオ

1.5℃:NZE (Net Zero Emissions by 2050 Scenario)

 IEA World Energy Outlook 2024

2℃:APS (Announced Pledges Scenario)
 IEA World Energy Outlook 2024

2℃:RCP2.6
 IPCC Fifth Assessment Report

対象時間軸

短期:1年(財務諸表報告期間)
中期:1~5年
長期:5年以上

 

 

本シナリオ分析では、当社グループ全体の事業活動を対象に、気候変動がもたらし得るリスクや機会がどの程度の財務的影響を及ぼす可能性があるかを整理・把握することを目的としています。シナリオ分析を通じて特定された気候変動に関する主要なリスクや機会については、以下の表に取りまとめています。

 

シナリオ分析:気候変動リスク

分類

時間軸

影響度

想定される影響

リスク

移行

政策・

規制

炭素価格

中期

・住宅建設やリフォームなどの事業活動に伴うCO2排出量に対して、炭素税の導入による費用が増加

・外部への建築作業を委託する場合、炭素税の導入により、委託費用が増加

リサイクル

規制

短期

・建築リサイクル法の規制強化に伴う建築廃棄物の廃棄対応費用が増加
・焼却処理における排ガス処理設備の導入など、産業廃棄物処理業者の処理費用が増加

省エネ規制

短期

・省エネ規制への対応による住宅価格の上昇及びそれに伴う一次取得者層の住宅購入意欲が低下し、受注が減少
・建築物の省エネ基準引き上げや省エネ性能適合義務化による素材・施工の選択肢制限及び建築費用が増加

技術

重要製品/商品価格の増減

中期~長期

・低炭素原材料への切り替えによる住宅建築に係る原価が増加
・建築費用増加による受注機会の損失

市場

エネルギー

費用の変化

中期

・エネルギーコスト上昇の影響でランニングコスト低減のニーズが高まり、省エネ設備や高機能素材の導入により、建築コストが増加

・燃料費高騰による取引先への業務委託料の上昇

重要商品の

需要変化

短期~長期

・持続可能で快適な生活を訴求する商品特性ニーズの増加に伴う費用増加及び施工期間の長期化
・省エネ基準適合義務化や耐震性・耐火性向上による住宅性能向上に伴う新築物件価格の高騰及び新築需要の縮小

顧客行動変化

短期~長期

・商品の脱炭素化対応不十分による他社比較での競争力低下及び販売機会の損失
・省エネ設備や高機能素材導入により建築費用が増加し、住宅価格が高騰し買い控えによる受注が減少

評判

投資家の評判変化

短期

・住宅価格高騰に伴う買い控えによる受注減少

物理

急性

異常気象の

激甚化

中期~長期

・気象災害激甚化による建築現場や事業拠点の罹災リスクが増加
・サプライチェーン寸断による損害及び営業停止による売上減少
・資材不足による現場停止及び工期長期化の発生

慢性

平均気温の

上昇

中期~長期

・工事の作業時間変更や作業効率低下による工期延長及び引渡し棟数減少による収益減少
・各拠点の冷房稼働量・稼働時間増加による電力費用が増加

 

 

 

シナリオ分析:気候変動機会

分類

時間軸

影響度

機会

事業機会

移行

技術

低炭素技術の進展

中期~長期

・低炭素化技術を活用した商品やビジネスの創出
・低炭素設備需要が増加による利益額が増加
・木造による低炭素アピール機会が増加

重要製品/商品価格の増減

中期~長期

・省エネ性能の高い商品による販売価格引き上げに伴い利益額が増加

顧客行動変化

短期~長期

・省エネ志向の浸透による将来のエネルギー価格高騰を見据えた脱炭素住宅需要が増加

評判

投資家の評判変化

短期

・木材利用の商品・流通仕組みのアピールによる評価の向上
・環境配慮・環境情報開示の進展による評価向上及び安定的な資金調達の実現

物理

急性

異常気象の

激甚化

中期~長期

・耐災害性に優れた住宅や建替え・リフォーム需要が高まり、受注が拡大
・商品改定に伴う火災保険料率の上昇による手数料売上が増加

慢性

平均気温の

上昇

中期~長期

・省エネ設備需要が増加、リフォーム需要が増加及び収益が増加

 

※ 影響度の定義:「大」営業利益の10%以上,「中」営業利益の1%以上~10%未満,「小」営業利益の1%未満

 

気候変動リスク・機会に対する対応策

当社グループは「より良いものをより安く提供することにより 社会に奉仕する」という経営方針のもと、事業活動そのものがサステナビリティへの取組みに繋がるものと認識したうえで、環境・社会・経済の各側面から、持続可能な社会形成に貢献しております。この経営方針の実現に向け、CSR基本方針「5つのHappy」を掲げており、そのうちの1つである「Happy Earth」では、地球環境に対して、私たちができることは何なのか考え、すべての人々が安心して暮らすことができるよう、環境保全活動に継続的に取り組むことを目指しています。

 

また、気候変動による事業への影響を見据え、リスクと機会の両面から対応するため、今後は以下の取り組みに重点的に注力してまいります。

 

■国産材を有効活用する独自の流通システム「タマストラクチャー」

当社グループでは、創業以来「木の家づくり」にこだわり、国内の森林環境の維持や木材の品質管理等の視点から、構造躯体に多くの国産材を使用しており、現時点においては一棟あたり約74.1%※の国産材を使用しています。また、材料品質の管理や、気候変動による低炭素原材料への置換えなどによる原材料価格のコスト対策として、独自の流通システム「タマストラクチャー」を構築しています。この仕組みにより、森林組合や林業者、製造・プレカット向上と直接つながることで中間マージンを削減しております。さらに、事前に建築棟数および木材使用量等を共有することで、市場価格や時期に左右されない、安定した価格での木材調達を実現しています。

今後も国産材を使用した住宅供給を通じ、地球温暖化防止・循環型社会の形成に貢献すると共に、顧客ニーズの一つである安心安全な住まいづくりへの取り組みをより一層進めてまいります。

※大安心の家・大安心の家[愛]・[暖]の構造躯体による国産材使用率。その他商品の国産材使用率は異なります。

 

■省エネルギー性能の高い住宅づくり

当社グループでは2025年4月からの新築住宅の省エネ基準適合の義務化に向け、ZEH(ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス)水準や省エネ基準遵守への対応を進めてきました。特に省エネ基準の最高レベルとなる「HEAT20・G3」水準※のUA値0.23W/(㎡・k)を確保した「笑顔の家」では、「外壁ダブル断熱」「基礎ダブル断熱」に加えて「樹脂サッシ+Low-Eトリプルガラス」を採用し、断熱性能と気密性能を向上させることで熱損失を防ぎ、また高効率な設備仕様でエネルギーコストを削減することで、住宅のエネルギー消費を抑えています。こうした取り組みが評価され「ハウス・オブ・ザ・イヤー・イン・エナジー2024」において、「特別優秀賞」及び「省エネ住宅特別優良企業賞」を受賞しており、日本国内での省エネ住宅の普及と質の向上に貢献しています。

※1. 断熱地域区分1・2・3地域はG2レベルに該当します。

※2. UA値は、プラン、その他諸条件により異なります。

※3. 出典:(一社)20年先を見据えた日本の高断熱住宅研究所

 

■耐災害性住宅とBCP対策の強化

当社グループでは、異常気象の激甚化や頻発化といった将来の気候リスクを重要課題と捉え、災害に強い住宅の開発を進めています。数百年に一度起こるとされる大地震、震度7を想定した揺れを与えての耐震実験を実施し、倒壊・崩壊しないことを確認しており、高いレベルの安全性と耐震性を確保していることが証明されています。さらに制震性能に加えて、耐震等級3の住宅に最も適した壁倍率5倍の強度を兼ね備えた「タマホームオリジナルダンパー」を積極的に採用し、地震や暴風での建物の変形を抑えることで、高い耐震性能を実現しています。ご家族様の安全を守るとともに住宅のレジリエンス性を高めています。

また、自然災害が発生した場合、ガイドラインに沿って即時災害対策本部を設置し、稼動現場及びお引き渡し住宅の状況、店舗稼動状況、社員の安否状況等を把握し、事業の継続または早期に復旧させるためのマニュアルを災害レベルに応じ設定しています。

 

③リスク管理

気候変動関連リスクの特定は、シナリオ分析を用いて実施しています。リスクは「移行リスク」と「物理リスク」に分類し、将来的に想定される規制・市場の動向や異常気象、気温上昇などの影響を把握しています。気候変動リスクの重要度は財務的影響の大きさに基づいて評価しており、特に営業利益の10%以上の影響を及ぼすものを重大なリスク・機会として定義し、優先的に対応することとしています。

評価された気候変動リスクは、財務的影響の規模を踏まえ、リスク管理プロセスに組み込まれています。リスク管理体制は各取締役が自身の職務分掌に基づいて構築され、各事業部門やグループ会社と連携しながら、定期的にリスクをモニタリングし、リスクの低減や対応に取り組んでいます。

さらに、代表取締役直轄の内部監査室(14名)が年間監査計画に基づき、リスク管理の運用状況を監査し、その結果を取締役会に報告することで、気候関連リスクを含む全社的なリスク管理を推進しています。必要に応じて改善を勧告し、その徹底を図ることで、重大な気候関連リスクが顕在化した場合にも迅速かつ適切に対応できる体制を維持しています。

 

④指標及び目標

当社グループは、気候関連リスクと機会を評価する主要な指標として、温室効果ガス(GHG)排出量(Scope1、Scope2)を管理しています。現時点では国内グループ会社と連携し、国内拠点を対象に算定を実施していますが、将来的には算定範囲を連結グループ全体に拡大する予定です。また、脱炭素化の重要性を認識しており、パリ協定水準(1.5℃目標)のGHG排出削減目標の策定を検討しています。

 

当社グループのCO2排出量

 

2024年度排出量(t-CO2e)

Scope1

5,484.90

Scope2(マーケット基準)

6,944.95

Scope2(ロケーション基準)

7,046.93

Scope1+2(マーケット基準)合計

12,429.86

 

※国内拠点を対象に分析を行っており、対象企業はタマホーム株式会社、タマ・アド株式会社、タマリビング株式会社、タマファイナンス株式会社、タマアグリ株式会社、在住ビジネス株式会社、株式会社九州新エネルギー機構、タマホーム有明メガソーラー合同会社、THオートリース株式会社です。

 

(2)人的資本に関する取り組み

①戦略

人財育成方針

当社グループでは、2022年5月度からの5ヵ年中期経営計画「タマステップ2026」の実行及び中長期的な企業成長において、人員を十分に確保していくことが重要な課題であると認識し、社員を最も大切な財産「人財」であると考えております。社員の教育は会社が成長していく上で重要な柱の一つと捉え、様々な教育・研修制度の構築を推進しております。社員一人ひとりの成長をサポートし、将来を担う人財の育成及び蓄積への取り組みを進めております。

 

社内環境整備方針

従業員が心身ともに健康であることが、当社グループの経営方針である「より良いものを より安く提供することにより 社会に奉仕する」を実現し、会社の持続的な発展に繋がると考えます。良質で低価格な商品を提供することによって、お客様に喜んでいただくことが当社グループの事業の原点です。この原点を常に実現するためには、働く従業員やその家族の健康こそが最も重要な基盤であり、第一の条件であると考えています。当社グループは従業員が安心して夢や目的を実現できる快適な職場環境をつくることを目標に、従業員の健康増進を含めたワークライフバランスの実現に積極的に取り組んでおります。

また、福利厚生の充実度向上の一環として、ワークライフバランスの整った働きやすい環境をつくり、社員の心身両面での健康増進を図ることを目的に、2023年6月より年間の休日数を107日から120日へ、2024年6月より120日から130日へと段階的に拡充いたしました。また、法定休暇に限らず、「アニバーサリー休暇」、「リフレッシュ休暇」、「ハローベイビー休暇」など、多様な休暇制度を導入し、2023年から2年連続で10日間の年末年始休暇を設けるなど、社員の健康管理や長時間労働の抑制に取り組んでおります。そのほか、「半日・時間単位有給休暇制度」も導入することで、個々の事情に応じて柔軟に休暇を取得できる勤務体制を整えております。

 

②主な取り組み

ダイバーシティ・エクイティ&インクルージョン(DE&I)の推進

当社グループでは、言語、文化、性別、国籍、年齢、障がいの有無などに囚われず、多様な人財の一人ひとりがお互いの価値観や考え方を尊重し、能力を最大限に発揮しながら成長できる充実した職場環境の整備を目指しております。今後は人権に対する理解を一層深めるとともに、職場環境のさらなる整備を進めてまいります。とりわけ、女性の活躍においては出産や育児に対するサポートを積極的に行うことで、継続的に活躍できる機会を提供します。また、シニア人財に対してもこれまでの一人ひとりの経験や能力に応じた職場環境を提供することで、多様な人財が活躍できる社内環境の形成に取り組んでまいります。

 

女性活躍推進

当社グループは、女性社員が安心して活躍できるよう、子育て世代の社員に対しては育児短時間勤務の利用可能期間を「小学校就学の始期に達するまで」とするルールを設け、仕事と育児の両立を支援しています。また、出産を控えた社員に対しては、産前の体調不良などにも柔軟に対応できるマタニティ休暇の利用を推奨し、社員の能力に応じた活躍ができるように積極的に取り組んでおります。2021年から2025年の5年間の育児休業から職場への復職率は89.9%であり、多くの女性社員が復職後も継続的に活躍しております。

また、育児中の社員が仕事と育児を両立できる働き方を支援することを目的として、2018年4月より「子ども同伴勤務制度」を導入いたしました。満2歳から小学校卒業までの子または孫をもつ社員を対象に、子どもの学校等の長期休暇・特別休暇時や社員の残業等により子どもの預け先が確保できない場合に、職場への同伴勤務を可能とするものです。社員の多様なライフステージに応じた柔軟な働き方を支援し、誰もが安心して働ける労働環境の整備に努めてまいります。

 

女性従業員の状況

2023年5月期

2024年5月期

2025年5月期

女性従業員比率(%)

24.4

25.3

26.1

 

集計対象は当社及び国内連結子会社の全従業員

 

シニア活躍推進

 当社グループは、65歳定年制を設定しております。本人の意思や健康状態を最優先に考え、定年後も積極的に再雇用を行い、2025年5月末現在83名の再雇用人財が在籍しております。シニア世代の知識、経験、技術は当社にとっての重要な財産であるとともに、若手世代への技能伝承という観点からも、日本社会全体にとって重要であると認識しております。今後も少子高齢化が進み労働人口の減少が見込まれる中で、シニア世代が活躍できる職場環境の整備を進め、多様な人財が活躍できる環境づくりに努めてまいります。

 

障がい者雇用と活躍の推進

 当社グループは、障がいのある方が社会で活躍できる場所を提供するために障がい者雇用に取り組んでまいりました。障がいの内容に応じて職場環境を選定し、2025年5月末現在は、64名の障がい者を雇用しております。障がいの内容を考慮した勤務日数や就業時間等の雇用条件を設定し、各自が無理なく業務が行えるよう、周りの従業員がサポートを行い、安心して働ける環境づくりを進めております。

 また、タマホームの特例子会社として2009年6月1日に「タマアグリ株式会社」を設立いたしました。農産物の生産・加工・販売、印刷業務、事務業務代行を行い、多くの障がい者の皆様が社会で活躍できる環境を提供しております。

 

③リスク管理

 労働環境の整備や人財育成・教育が疎かになることで、社員のエンゲージメントの低下や優秀な人財の流出のリスクが生じる可能性があると考えております。当社グループでは、社員一人ひとりの成長をサポートし、将来を担う人財を育成するため、教育研修の充実化を図っており、新入社員の入社時研修、フォローアップ研修、職種別研修、役職別研修等の各種研修制度を導入しております。研修及び教育を通して、社員のキャリアデザインを支援するとともに社員のエンゲージメント向上に努めてまいります。

 

 

3 【事業等のリスク】

本有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資家の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項には、以下のようなものがあります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

① 業績の季節性に関するリスク

当社グループでは、戸建住宅の建築請負を主な事業としていることから、新年度を控えた引越シーズンである3月から5月までの間に引渡しが集中する傾向にあります。そのため、当社グループでは、引渡し時期が第4四半期に収益が偏重する傾向にあります。

即ち、景気動向や自然災害等の外的要因により、第4四半期の引渡しに支障が生じた場合は、当該期間の売上高が減少し、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

その対策として当社グループでは着工時期の平準化を図ることにより、引渡棟数の季節変動を抑え、四半期毎にリスクの分散化を図っております。

 

② 個人消費動向等の住宅受注棟数への影響について

当社グループの主たる顧客は、個人の一次取得者のお客様であることから、景気や金利の変動、消費税率の改定、住宅ローン減税政策等の税制の変更などによる個人消費動向の変化の影響を受けやすく、国内の景気動向及び個人消費動向において、何らかの理由で住宅業界に不利な変化が生じた場合、これにより受注・売上が減少し当社グループの業績および財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

当社グループでは、市場環境の変化を的確に捉え、そうした環境変化や需要に対応した商品開発を迅速に行うことにより、受注減少への影響を低減する対策を講じております。

 

③  規制に関するリスク

当社グループは、住宅建築事業の他にも積極的に事業活動を行っており、遵守すべき法令・規則は多岐にわたります。特に建設業法に基づく建築工事業許可については、許認可の取消や更新が行えなくなった場合、住宅建築事業における営業活動に重大な支障を及ぼす可能性があります。

これらの法令等の規制についてやむを得ず遵守できなかった場合及びこれらの規制の改廃や新たな法的規制が設けられる場合には、当社グループの業績に影響を与える可能性があるため、当社グループではこれらの法令等を遵守し、許認可等の更新に支障が出ないよう、従業員に対するコンプライアンスに関する教育指導を継続的に実施しております。

 

④  資材価格・人件費等の高騰に関するリスク

当社グループでは、木造注文住宅の建築請負を主要な事業としていることから、住宅を構成する木材等の主要部材の急激な高騰等の局面においては材料の仕入価格が上昇することや、また、請負業務の遂行にあたっては一部外注先等の従業員が担っていることから労働力不足等の影響が想定よりも大きい場合、工事原価が上昇することが考えられ、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

当社グループは、原価変動の動向をモニタリングすることにより、事前の調達対応や代替策を行う体制を整え、原価の高騰が当社グループの業績に及ぼす悪影響を最小限に抑えるための取り組みを行っております。

 

⑤  大規模自然災害等に関するリスク

地震や台風などの大規模な自然災害が発生した場合、被災した当社保有設備や建築現場の修復に加え、建物の点検や応急措置などの初動活動や支援活動等により、多額のコストが発生する可能性があるため、当社ではこうした保有資産や管理物件ごとにそれぞれのリスク・運用形態に応じた損害保険を付保しております。

また、サプライチェーンの寸断や社会インフラの損壊による事業活動の中断、完成引渡しの遅延等により当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

当社グループは、人的な応援や代替調達ルートへの切り替え体制を整える等、自然災害等に伴う当社グループの業績に及ぼす悪影響を最小化するための対策を講じております。

 

⑥  不動産等の保有資産の評価損に関するリスク

当社グループでは、不動産事業に係る分譲・マンション事業用地およびオフィスビルの仕入に際して、立地条件、競合物件の動向、地中埋設物の有無、仕入価格変動等について十分な調査を行いその結果を踏まえて仕入を行っております。

しかしながら、不動産価格の急激な変動による販売価格の引き下げ、近隣の開発計画の遅れ、土壌汚染や地中埋設物の瑕疵が発見されることによる事業中止、延期が発生した場合には、事業計画の遂行に重大な問題が生じ、販売用不動産の評価損が発生する可能性があります。

また、当社グループが保有する販売用不動産以外の、その他有形固定資産、投資有価証券等の投資その他の資産についても、市場環境や経営環境等の変化により減損処理の必要が生じるリスクが考えられ、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

⑦  情報セキュリティに関するリスク

当社グループは、多数のお客様の個人情報をお預かりしております。個人情報保護につきましては「個人情報保護規程」を制定し全社的な対策を継続的に実施しておりますが、サイバー攻撃等により個人情報の漏洩等のセキュリティインシデントが発生した場合には、社会的信用を失うこととなり、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

⑧  海外拠点に関するリスク

当社グループでは、現在シンガポール、ベトナム等に子会社を設置し、一部海外エリアでの事業展開を行っております。当社グループは当社本社に海外事業室を設置し、事業展開を行う各国の経済・社会・政治情勢および法令規制の動向について、情報収集と対応の統括を行っておりますが、これらの国々でテロ活動、軍事クーデター、大規模な騒乱、法制度の大幅な変化等が生じた場合、事業活動が停滞し、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

⑨  訴訟に関するリスク

当社グループでは、現段階において業績に重大な影響を及ぼす訴訟を提起されている事実はありません。しかしながら、当社グループの販売する住宅、不動産において、契約不適合(瑕疵)等の発生、または工事期間中における近隣からの様々なクレーム等が発生した場合、これらに起因する訴訟その他の請求が発生する可能性があります。

当社グループでは、施工に関したお客様の満足度を高めるために徹底した品質管理に努めておりますが、重大な訴訟等が発生した場合には、当該状況に対応するために多額の費用が発生するとともに、当社グループの社会的信用を大きく喪失すると考えられ、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

⑩  感染症に関するリスク

当社グループの従業員や取引先に対し健康被害をもたらす感染症が蔓延した場合、事業所の閉鎖やサプライチェーンの停止等、当社グループの企業活動が制限されることが想定され、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

感染症への対策として、当社グループは当社本社に対策本部を設置し、感染症に関する情報収集及び感染症の拡大並びに感染拡大に伴う影響を最小限に留めるための体制を整えております。

 

 

4 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1)経営成績等の状況の概要

 

1.財政状態及び経営成績の状況

当連結会計年度におけるわが国経済は、堅調なインバウンド需要の回復が消費関連業種の景況感を押し上げ、賃金・雇用環境の改善なども加わり、緩やかな景気の回復が続いています。一方で、米国の関税政策等による不透明感が漂い、政策の影響による景気の下振れ懸念が高まっています。さらに個人消費については、持ち直しの傾向がみられるものの、物価上昇の長期化が悪影響を及ぼす可能性があり、国内の景気を下押しするリスクとなっています。また、金融資本市場の変動等の影響及び先行きに一層注意する必要があります。

当社グループの属する国内住宅業界におきましては、国土交通省が2025年4月に公表した2024年度の新設住宅着工戸数は、前年度比2.0%増となり、建築基準法改正前の駆け込み需要が寄与したものと想定されます。資材価格は落ち着きを見せている一方で、労務費は上昇傾向で推移しており、総合的な建設コストは緩やかに上昇しています。さらにインフレ下の物価上昇の長期化に伴う家計圧迫により個人消費の節約志向が強まり、消費者マインドを押し下げる状況が続いています。

このような事業環境の中で当社グループにおきましては、注文住宅・戸建分譲・リフォーム・不動産の4つの事業の柱を中心に成長する、2022年5月期よりスタートした5ヵ年計画「タマステップ2026」の中で、早期受注・早期着工・早期売上を目標に掲げ、事業拡大、企業価値向上に取り組んでまいりました。そして、地域特性に合わせた販売戦略を策定・実施するとともに、変化するお客様の価値観・行動様式に柔軟に対応していくことで、中核事業である注文住宅事業の収益基盤をより一層強化するとともに、各事業において収益力の向上に努めました。

その結果、当社グループの連結経営成績は、売上高200,817百万円(前年同期比18.9%減)となりました。利益につきましては営業利益4,113百万円(同67.3%減)、経常利益3,789百万円(同70.6%減)、親会社株主に帰属する当期純利益1,478百万円(同83.1%減)となりました。

また、当社グループの当連結会計年度末における資産総額は、92,302百万円(前連結会計年度比3.0%増)となりました。流動資産は、販売用不動産の減少5,772百万円等があったものの、現金及び預金の増加4,896百万円、仕掛販売用不動産の増加3,278百万円、営業貸付金の増加511百万円などにより67,570百万円(同5.1%増)となりました。なお、現金及び現金同等物は「2.キャッシュ・フローの状況」に記載のとおり、31,001百万円(同18.8%増)となりました。また、固定資産は、建物及び構築物の増加416百万円等があったものの、機械装置及び運搬具の減少552百万円などにより24,732百万円(同2.2%減)となりました。

負債総額は、58,027百万円(同13.2%増)となりました。流動負債は、支払手形・工事未払金等の減少3,053百万円があったものの、短期借入金の増加1,566百万円、1年内返済予定の長期借入金の増加2,394百万円、未成工事受入金等の増加804百万円などにより44,837百万円(同1.1%減)となりました。固定負債は、長期借入金の増加などにより13,189百万円(同122.1%増)となりました。

純資産は、親会社株主に帰属する当期純利益1,478百万円の計上等があったものの、配当金の支払5,507百万円等により4,052百万円減少し、34,275百万円(同10.6%減)となりました。

 

2.キャッシュ・フローの状況

当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度末に比べ4,896百万円増加し、当連結会計年度末には31,001百万円となりました。

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

当連結会計年度において営業活動による資金の増加は、2,248百万円(前連結会計年度は8,284百万円)となりました。これは主に、減価償却費2,487百万円(同2,289百万円)、棚卸資産の減少1,975百万円(同10,667百万円)、未成工事受入金等の増加804百万円(同9,548百万円の減少)等によるものであります。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

当連結会計年度において投資活動による資金の減少は、1,741百万円(同2,010百万円)となりました。これは、新規支店の開設等の有形固定資産の取得による支出1,720百万円(同1,944百万円)等によるものであります。

 

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

当連結会計年度において財務活動による資金の増加は、4,390百万円(同14,553百万円の減少)となりました。これは、長期借入れによる収入10,944百万円(同2,040百万円)等によるものであります。

 

3.生産、受注及び販売の実績

(1) 生産実績

当社グループ(当社及び連結子会社)が営む住宅事業、不動産事業、金融事業、エネルギー事業及びその他事業では生産実績を定義することが困難であるため「生産実績」は記載しておりません。

 

(2) 受注実績

当連結会計年度の受注状況をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

受注高(百万円)

前期比(%)

受注残高(百万円)

前期比(%)

住宅事業

138,183

△11.1

93,702

△6.2

合計

138,183

△11.1

93,702

△6.2

 

(注) 1  セグメント間取引については相殺消去しております。

2  金額は、販売価格によっております。

3  不動産事業、金融事業、エネルギー事業、その他事業では、受注活動を行っていないため記載しておりません。

 

(3) 販売実績

当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

金額(百万円)

前期比(%)

住宅事業

146,130

△ 21.1

不動産事業

47,816

△ 12.7

金融事業

916

△ 10.7

エネルギー事業

833

+ 7.9

その他事業

5,120

△ 14.9

合計

200,817

△ 18.9

 

(注) 1  セグメント間取引については相殺消去しております。

2  主たる販売先は不特定多数の一般消費者であり、相手先別販売実績の総販売実績に対する割合が100分の10以上の販売先はありません。

 

 

(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。

 

当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容

(当連結会計年度の経営成績等)

当社グループの売上高は、注文住宅事業及び戸建分譲事業における引渡棟数の減少により、200,817百万円(前連結会計年度比18.9%減)となりました。利益面は、営業利益4,113百万円(同67.3%減)、経常利益は3,789百万円(同70.6%減)、親会社株主に帰属する当期純利益は、1,478百万円(同83.1%減)と各段階利益において減益となり、1株当たり当期純利益は50円99銭(前連結会計年度は301円94銭)となりました。

住宅事業は、リフォーム事業が順調に推移するものの、当社グループの中核をなす注文住宅事業の受注棟数、引渡棟数が前期比で減少し、減収減益となりました。不動産事業は、建分譲事業の引渡棟数が減少した一方で、受注は回復傾向で推移いたしました。その他の不動産事業は、マンション事業が牽引したものの、サブリース事業における新規受託やオフィス区分所有権販売事業における決済区画が無く、減収減益となりました。事業全体としては、売上高及び各段階利益において減収減益となりました。引き続き、お客様のニーズにお応えできる様々な商品展開により注住宅の受注・売上を拡大させると共に、建分譲・リフォーム・不動産事業をそれぞれ大きく伸ばすことにより、注住宅に偏りすぎている収益を分散させ、業績の安定及び向上に努めてまいります。セグメントごとの経営成績等の詳細は、「(3)セグメントごとの経営成績等の状況に関する認識及び分析」に記載しているとおりであります。

 

(キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性について)

当社グループの事業活動における運転資金需要の主なものは、不動産事業における販売用不動産取得があります。また、設備投資資金需要の主なものとしては、注文住宅事業における展示場の新設および移転があります。当社グループの事業活動に必要な資金を安定的に確保するため、内部資金の活用、金融機関からの借入等を行っており、自己資本比率等の財務健全性指標を注視しながら、最適な選択を実施していきます。

なお、当連結会計年度における借入金及びリース債務等を含む有利子負債の残高は19,071百万円(前連結会計年度は9,148百万円)となっております。また、当連結会計年度末における現金及び現金同等物の残高は、31,001百万円となっております。

 

(3)セグメントごとの経営成績等の状況に関する認識及び分析

(住宅事業)

住宅事業においては、当連結会計年度における営業拠点は237ヶ所となりました。注文住宅の引渡棟数は5,598棟と前期比で27.6%減少しました。2025年5月期着工の案件において、お客様との打ち合わせ期間の延長及び着工までの確認申請業務に時間を要したため、工期の遅延が発生し、前期比で期内完工率が低下いたしました。現在は、工期のスケジュール管理体制を見直し、改善傾向となっております。また、2025年4月に建築基準法が改正され、当連結会計年度の当社事業における法改正の影響は概ね無いものの、今後、一部地域において建築確認申請の法定審査期間に遅れが発生する可能性があり、対応に備えています。

注文住宅事業について、住宅展示場への来場者数の増加を目的としたクオカード施策を実施した結果、展示場来場者は前期比113%となりました。また、オーナー様や協力業者様等を対象としたご紹介キャンペーンを活用し、紹介顧客数の増加に取り組みました。

当社の強みである高品質かつ適正な価格の商品ラインナップの拡充のため、令和6年度補正予算における「子育てグリーン住宅支援事業」に対応した低価格規格住宅の販売を開始しました。特にGX志向型住宅に対応する規格住宅は、商談開始への足掛かりとなる商品として、多数のお客様にご関心をお寄せいただいています。今後はさらに低価格規格商品のラインナップ拡充を図り、時代のトレンドに沿った新たなライフスタイルに対応する商品の開発を推進してまいります。リスク訴求の面では、2025年3月より「初期保証20年(構造躯体・防水・シロアリ・地盤)」の販売を開始しました。住宅への付加価値を高めていくため、さらなる保証の充実を図ってまいります。

リフォーム事業については、入居後10年を経過したお客様を中心に、保証延長を目的とした保証延長工事及び入居後15年以上を経過したお客様への継続的な保証延長工事のご提案を行い、築年数やお客様のニーズに応じた最適なリフォーム商品の提案と販売に努めた結果、保証延長契約率は前期比で増加しました。また、一般のお客様より当社WEBサイト経由でのリノベーション規模の大型リフォーム、住宅設備機器の入替、内装材や外壁塗装関連のお問い合わせが増加傾向にあります。さらに補助金及び電気料金の値上げに伴い、太陽光設備・蓄電池設備の引き合いが増加しており、引き続き提案、販売に努めてまいります。

以上の結果、当事業の売上高は146,130百万円(前年同期比21.1%減)、営業利益は330百万円(同95.8%減)となりました。

 

(不動産事業)

不動産事業においては、戸建分譲事業について、引き続き資金回転率を重視した10区画以下の小規模分譲地を中心とした仕入、販売に取り組みました。また、売り立て用地の仕入に注力しました。しかしながら、優良な土地の仕入については、依然として競争が厳しい状況が続いております。加えて競合他社との価格競争も影響し、引渡棟数は1,348棟と前期比で11.8%減少しました。引き続き、戸建住宅の需要動向を注視しつつ、マーケットニーズに対応した良質な住宅の供給及び優良な土地の仕入を強化することで、戸建分譲事業の伸長を図ってまいります。

マンション事業については、当連結会計年度における新築マンションプロジェクトであるグレンドール五反田の全36戸の販売及び引渡が完了しました。

サブリース事業については、東京23区内に所在する新規受託物件の獲得及び管理物件の稼働率の向上に注力しました。出社回帰企業の増加により、オフィス需要は増加基調となっています。当社の保有する物件の稼働率は年間を通し、99%以上の高稼働率で推移したため、前期比較で賃料収入が増加しました。一方で、当連結会計年度における新規物件の受託は無く、前期比較で売上高は増加したものの、セグメント利益は減少しました。

オフィス区分所有権販売事業については、引き続き保有物件の販売を進めるとともに、確実なオフィス需要の見込まれる東京主要5区を対象として仕入に取り組みました。一方、当連結会計年度における販売区画及び決済区画は無く、前期比で売上高及びセグメント利益は減少しました。

以上の結果、当事業の売上高は47,816百万円(前年同期比12.7%減)、営業利益は2,418百万円(同27.6%減)となりました。

 

(金融事業)

金融事業においては、引き続き、当社で住宅を購入されるお客様への保険販売及びフラット35の利用促進に取り組みました。当連結会計年度における受注棟数及び引渡棟数の減少に伴い、契約数は減少しました。長期金利上昇等の影響もあり、フラット35の利用率は前期比で1.5%上昇し、微増傾向で推移しています。

以上の結果、当事業の売上高は916百万円(前年同期比10.7%減)、営業利益は153百万円(同26.0%減)となりました。

 

(エネルギー事業)

エネルギー事業においては、福岡県大牟田市で商業運転するメガソーラー発電所の売電実績について、九州電力株式会社による出力制御の代理制御の仕組み導入及び天候の影響の結果、当事業の売上高833百万円(前年同期比7.9%増)、営業利益は266百万円(同29.3%増)となりました。

 

(その他事業)

その他事業においては、住宅周辺事業を中心に減収減益となり、当事業の売上高は5,120百万円(前年同期比14.9%減)、営業利益は909百万円(同7.7%減)となりました。

 

以上の結果、当社グループの連結経営成績は、売上高200,817百万円(前年同期比18.9%減)となりました。利益につきましては営業利益4,113百万円(同67.3%減)、経常利益3,789百万円(同70.6%減)、親会社株主に帰属する当期純利益1,478百万円(同83.1%減)となりました。

 

 

(4)重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づいて作成されております。この連結財務諸表の作成にあたり、見積りが必要な事項につきましては、合理的な基準に基づき会計上の見積りを行っていますが、見積り特有の不確実性が存在するため、実際の結果はこれらの見積りと異なる場合があります。

連結財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載しております。

 

5 【重要な契約等】

(資金調達に関する契約の締結)

当社は、安定的な事業用運転資金の調達を目的として、株式会社三井住友銀行をアレンジャーとするシンジケートローン契約を2024年12月23日付で締結いたしました。

 

当該契約の概要は以下のとおりです。

(1)契約形態

シンジケートローン方式による「ターム・ローン」

(2)組成金額

総額100億円

(3)アレンジャー

株式会社三井住友銀行

(4)エージェント

株式会社三井住友銀行

(5)参加金融機関

株式会社三井住友銀行、株式会社西日本シティ銀行、農林中央金庫、株式会社千葉銀行、株式会社足利銀行、株式会社富山銀行、株式会社八十二銀行、株式会社第四北越銀行

(6)資金使途 事業用運転資金

事業用運転資金

(7)担保・保証・コベナンツ

無担保・無保証・財務制限条項等(注)

(8)契約締結日

2024年12月23日

(9)弁済期限

2027年12月30日

 

 

(注)詳細は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 注記事項(連結貸借対照表関係)」に記載の通りです。

 

6 【研究開発活動】

(住宅事業)

当社グループは、経営方針である「より良いものをより安く 提供することにより 社会に奉仕する」に基づき、高品質・低価格の住宅を供給するための研究開発活動を行っております。当連結会計年度における研究開発費の総額は、137百万円であります。なお、当連結会計年度において、当社グループの研究開発活動の状況に重要な変更はありません。

 

(不動産事業、金融事業、エネルギー事業及びその他事業)

研究開発活動は特段行われておりません。