第2【事業の状況】

1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1)経営方針

当社グループは、「仕事を通じて、仲間と共に人間性を高め、物心両面の幸福を追求すると同時に、地域社会の幸福に貢献する」という企業理念に基づき、「医・食・住」の環境が整った地域社会の形成を目指し、主力の駐車場事業、不動産事業及び駐車場等小口化事業を中心に、メディカルサービス事業、RV事業のほか、各種事業に取り組んでおります。

駐車場事業におきましては、人と街に優しい駐車場を数多く提供し、より安全で快適な交通社会の実現に貢献してまいります。

不動産事業におきましては、人へ、街へ、次世代へ末永く愛される快適な住環境を提供し、地域社会への貢献を目指しております。

駐車場等小口化事業におきましては、不動産特定共同事業を通じて、より多くのお客様に安心安全な駐車場等の小口化投資商品を提供し、お客様の長期安定的な資産運用をサポートし、ゆとりある未来を創造することを目指しております。

その他各種事業におきましても、「地域社会の幸福に貢献する」という企業理念の具現化を目指し、事業活動に取り組んでまいります。

 

(2)中長期的な会社の経営戦略

当社グループは、主力事業である駐車場事業、不動産事業及び駐車場等小口化事業のほか、各種事業に取り組んでおります。主力事業の収益拡大に加え、その他事業についても、顧客満足に努め着実に収益力を向上させるとともに、主力事業とのシナジーを高めてまいります。

主力事業の収益拡大を図るために、物件仕入力の強化に努めております。優良物件を確保し、不動産特定共同事業の活用により、解約リスクが小さく収益力の高い駐車場の拡大と、新築マンションの安定供給の継続に努めてまいります。

以上の重点施策と合わせて今後の業容拡大を図っていくために、優秀な人材の確保・育成に取り組むとともに、各人の人間力向上及びコンプライアンス意識の向上に努めてまいります。

 

(3)経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標

当社は、当社グループの業績拡大、持続的な事業成長、その他企業価値の向上のためには、収益力の向上が重要であると認識しております。そのため、売上高及び利益率を重要な指標と捉え、売上高経常利益率をKPIに定めております。

売上高については、主力である駐車場事業における「駐車場車室数」、駐車場等小口化事業における「預かり資産」、不動産事業における「新築マンション引渡戸数」を重要な指標とし、売上高の向上のため、中長期的に各指標の目標達成に向けた進捗管理を行ってまいります。利益率については、企業価値、競争優位性、付加価値等を測るための重要な指標となります。主力である駐車場事業における各駐車場の利益率の改善のほか、駐車場用地の借上及び駐車場機器の仕入れ、駐車場等小口化事業における不動産等の仕入れ、不動産事業におけるマンション用地の仕入れ及び建築コスト並びに各事業における資金調達コスト等を抑えることで、利益率の向上を図ってまいります。数値目標としましては、売上高経常利益率10%の達成を目標としております。

 

(4)経営環境、優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題

今後の我が国経済は、雇用や所得環境が改善する中で、緩やかな回復基調が続くものと期待される一方、急激な為替変動や慢性的な物価上昇に加えて、米国の関税政策の影響などにより、依然として先行き不透明な状態が続くと予想されます。

このような状況の中、当社グループは、地域社会の幸福に貢献するという理念のもと、主力の駐車場事業、不動産事業及び駐車場等小口化事業を中心にメディカルサービス事業、RV事業のほか、各種事業に取り組んでおります。

当社グループの継続的な成長を図るために、次に掲げる取り組みを強化してまいります。

 

①駐車場事業の拡大

駐車場事業につきましては、地代高騰が続く中、駐車場の利便性向上及び料金の最適化等に取り組むことで、各駐車場の持てるポテンシャルを最大限に引き出し、収益の確保、向上に努めてまいります。

また、新規駐車場の開発は、当社グループの将来の収益基盤になるということのみならず、慢性的な駐車場不足という社会問題の解決に貢献するという観点からも、最重要課題の一つと考えております。そのために、駐車場・不動産オーナーの収益の最大化を図るための提案能力・情報収集力等の更なる強化に取り組んでまいります。

 

②不動産(新築マンション)の販売強化

新築マンション販売につきましては、建築コスト高騰による住宅販売価格の高止まりや、住宅ローン金利上昇による消費マインドの低下等を要因とし、事業環境は不透明な状況となっております。このような環境の中、エリアの需給動向を的確に見極め、顧客の多様化、高度化する価値観・ニーズに対応できるマンション開発を行ってまいります。

また、販売にあたってはエリアの市場環境を熟知した販売代理会社と連携し、早期完売を目指すべく営業活動を行ってまいります。

 

③駐車場等小口化事業の拡大

駐車場等小口化事業につきましては、収益力の高い駐車場用地等の仕入れを継続的に行い、引き続き駐車場小口化商品「トラストパートナーズ」組成件数の拡大に努めてまいります。

また、本事業を一層強化するために小口化対象不動産の拡充を図り、当社グループの主力である駐車場事業及び不動産事業等の業績拡大にもつなげてまいります。

 

④メディカルサービス事業のサービス強化

メディカルサービス事業につきましては、当社の提供する財務コンサルティングに加え、外部パートナーとの連携を強化し、関与する医療機関の事業運営の最適化を支援することで、更なる付加価値の提供を行ってまいります。

 

⑤RV事業の収益力向上

RV事業につきましては、キャンピングカー市場が拡大する中、販売やカスタマイズ等の受注強化に取り組み、収益は改善基調にあります。引き続き、製造から、販売・カスタマイズまでワンストップでサービスが提供できる強みを活かし、安定した売上・利益の構築を図ってまいります。

 

⑥その他事業の収益力向上

当社グループでは、主力事業のほか、温浴施設の運営及び警備事業等、各種事業に取り組んでおります。各事業において顧客満足に努め、着実に収益力を高めるとともに、主力事業とのシナジーを高めてまいります。

 

当社グループは、各課題に取り組むにあたり、優秀な人材の確保・育成が重要であると考えております。人材採用から教育に至るまで、各事業課題に合わせ適正かつ充実したサポートを行い、社員の定着化・教育を図ってまいります。

また、企業倫理の徹底とコンプライアンス経営の確立になお一層努力してまいります。

 

2【サステナビリティに関する考え方及び取組】

 当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取組みは、次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末において当社グループが判断したものであります。

 

(1)サステナビリティに関する考え方及び取り組み

 当社グループのサステナビリティ基本方針は、「企業は社会の公器である」との基本的考えを念頭に、次のような企業理念の実践を通じて、持続的成長を通じて社会的課題を解決します。

 

1.企業経営の長期ビジョンを掲げ、事業の持続的成長を通じて社会的課題を解決します。

2.真のグローバル企業となることを目標に、公正かつ透明性の高い経営を実現します。

3.企業の持続的成長にはあらゆるステークホルダーとの対話が重要であると考え、全てのステークホルダーと責任ある対話を行い、強固な信頼関係を構築します。

 

 当社グループは、グループ共通の企業理念のもと、様々な事業を通じて、「人・街・社会をつなぎ、地域社会の幸福に貢献する」を実現すべく、付加価値の高いサービスや商品の提供により、社会の持続的な発展に努め、株主・投資家、お客様、取引先、従業員、地域社会など様々なステークホルダーの皆様の期待に応えることを重視しております。

 そのためには、人材の多様性の確保、雇用の拡大及び人材育成、すなわち「人的資本経営」は、最も重要な課題であると考えております。

 

(2)ガバナンス

 当社グループは、「企業理念」及び「社是」に掲げた基本理念を遵守し、企業価値の維持向上を図るために、株主の皆様を始め投資家、お客様、取引先及び地域社会を含めたあらゆるステークホルダーの皆様に信頼される経営を目指すことが大切であると認識し、この目的の達成のために、法令及び規程等の遵守に基づく企業倫理の重要性を全ての従業員が意識し、常に変化する社会環境及び経済環境に的確に対応した迅速な経営判断と健全性の向上を経営上の重要な課題と位置づけ、経営管理体制の整備並びに強化を図る方針としております。

 当社は、グループ各社のサステナビリティに関連する取り組みについて、リスク・コンプライアンス委員会やグループ会議等において、重要課題・リスク及び機会の特定を行うとともに、対応に係る具体策を策定の上、取締役会において当該報告内容に関する審議及び管理・監督を行ってまいります。

 

(3)戦略

 当社グループの人的資本経営については、「企業理念」及び「社是」に掲げた基本理念に加え、全従業員が誠実かつ適切な行動をするための共通の価値観・倫理観を示した行動規範を定めるとともに、多様な人材の能力と各人が個性を積極的に発揮できる企業風土の醸成のため、以下の基本方針を定めております。

 

1.企業風土の醸成

  社員一人ひとりがダイバーシティの重要性を理解し、多様な人材が活躍できる企業風土の醸成に努めます。

2.女性と外国人の活躍推進

  性別、年齢、国籍にとらわれず、女性や外国人の採用・育成・登用を推進するように努めます。

3.キャリア形成と能力開発の支援

  個人が持つ能力と個性の発揮を促すため、社員一人ひとりのキャリア形成と能力開発を支援します。

4.両立支援の充実

  社員一人ひとりの事情に合わせ、多様で柔軟な働き方ができるよう、両立支援を充実します。

 

 当社グループでは、これら方針のもと、人材の採用・育成及び社内環境整備に関する戦略について、経営企画部が中心となり企画・立案し、実施しております。

 

 具体的な取り組みについては以下のとおりです。

1.人材の採用についての取り組み

 採用人数にとらわれず、企業理念への共感のほか、積極性・リーダーシップ及び自社独自の選考基準にて採用活動を行っております。新卒採用においては、ジョブ型採用や内定者交流会を通じて、事業及び業務内容を十分に伝えるなどの施策を講じております。また、人事担当のみならず現場の管理職及び先輩社員もリクルーターとして積極的に参加し、入社後のミスマッチの防止を図っております。

2.社員育成のための取り組み

 新入社員研修では、人事担当者が自社独自の研修プログラムを構築し、当社経営陣との対話や人材育成を専門とする企業へのアウトソーシング等、幅広い内容にて実施しております。

 また、全社員を対象として「事業方針説明会」及び「キャリアデザインアンケート」を実施しております。

 「事業方針説明会」では、経営陣から会社の指針や考え方等について直接説明を行い、企業理念の浸透と次世代を担う社員の育成等に取り組んでおります。「キャリアデザインアンケート」では、今後のキャリアプランや希望業務等を伺い、一人ひとりが想い描く中長期的なキャリアや将来展望を実現できるように、社内制度の見直しやスキルアップに向けた資格取得の推進、研修の拡充等にも活用しております。

 

3.後継者育成のための取り組み

 後継者育成については、経営陣自らによる実務指導や経営者マインド醸成に向けた取り組み、経営陣候補者及び管理職に対する「企業経営」、「財務・会計」、「法務・ガバナンス」、「IT・デジタル」等の専門的スキルを養成する研修の実施、マネジメントの専門分野に長けた外部講師による研修の実施、グループ会社経営層への登用等育成に取り組んでおります。

 

4.多様性の推進

 当社では企業価値の向上のため、年齢や性別、学歴、価値観等の多様性を受け入れ、広く人材を活用することを重視しております。有能な人材の採用、発掘、斬新なアイデアの喚起、社会の多様なニーズへの対応を行うことは、生産性の向上、企業価値向上を図る上で不可欠であると考えております。

 女性従業員の活用についても、長期的に働きやすい環境を整えるため、育児休業の取得及び復帰の促進、時短勤務制度の拡充等を行っております。2025年6月末時点における実績は、従業員(臨時従業員を除く)に対する女性比率は38.8%となっており、女性管理職比率は7.7%となっております。今後も女性従業員の活躍を積極的に推進してまいります。

 一方、当社は事業基盤が国内であり外国人の採用及び管理職の登用実績はありませんが、今後、必要と判断とされる場合には、積極的に採用を行ってまいります。

 

5.社内環境の整備についての取り組み

 当社グループは、従業員が長期的に安心して働ける職場環境を作ることが重要であると考えております。従業員エンゲージメント及びワークモチベーション向上のため、当社グループ全社員参加対象の社員間交流イベントの実施、勤続年数に応じた表彰制度及び特別休暇の付与、従業員持株会制度、T-Lounge(リラクゼーションスペース)の設置等を行っております。

 今後も経営企画部が主体となり、更なる社内環境整備、福利厚生制度の拡充を目指してまいります。

 

(4)リスク管理

 当社グループでは、事業運営やサステナビリティに関するリスクに対して、各種規程の制定・整備により、リスクの抽出及び対応の検討・決定を行い適切なリスク管理を行うための体制を構築しております。当社グループは取締役会直轄の「リスク・コンプライアンス委員会」を設置しており、当委員会において、予測されるリスクを分析・評価した上で優先的に対応すべきリスクを抽出し、対応に係る具体策を策定の上、取締役会に報告し、取締役会において当該報告内容に関する審議及び管理・監督を行ってまいります。

 

(5)指標及び目標

 当社グループでは、上記「(3)戦略」において記載した人材の多様性の確保を含む人材の育成に関する方針について、次の指標を用いております。当該指標に対する目標及び実績は以下のとおりであります。

 

指標

目標

実績(当連結会計年度)

女性管理職の割合

30.0

7.7

(注)「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律」(2015年法律第64号)の規定に基づき算出したものであります。

 

   また、当社は障害者雇用にも積極的に取り組んでおり、法定雇用率を上回っております。

 

3【事業等のリスク】

有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。当社グループといたしましては、これらのリスクを認識し、リスクの予防、回避及び発生時の適切な対応に努める所存であります。なお、文中における将来に関する事項については、当連結会計年度末(2025年6月30日)現在において当社グループが判断したものであり、事業のリスクはこれらに限られるものではありません。

以下の各事項において、当該リスクが顕在化する可能性の程度や時期、当該リスクが顕在化した時に当社グループの経営成績等の状況に与える影響について合理的に予見することが困難な場合には、その可能性の程度や時期・影響についての記述は行っておりません。なお、当社グループはリスク管理の基本方針及び管理体制を「リスク管理規程」において定め、リスク管理の基盤としての内部統制システムと代表取締役を委員長とするリスク・コンプライアンス委員会において、事業を取り巻く様々なリスクに対して適切な管理を行い、リスク顕在化の予防を図っております。

 

①駐車場事業におけるリスク

(i)駐車場用地の確保

当社グループの駐車場事業を拡大するためには、採算の見込める駐車場用地の確保が必要となります。当社グループは、主に土地所有者と賃貸借契約を締結することによって駐車場用地を確保しております。しかしながら、地価の高騰による土地所有者の売却意向の増加や、有効な土地利用の選択肢が増加することで、当社グループの駐車場用地の確保が困難になる可能性があります。また、地価の高騰により賃借料が上昇した場合は、当社グループの業績及び財政状態に影響を与える可能性があります。

 

(ⅱ)土地所有者との賃貸借契約が解約される可能性

当社グループの直営店方式においては、駐車場用地の大部分を土地所有者との賃貸借契約にて確保しております。土地所有者との当該契約期間は原則1年間とし、期限到来後は1年毎の自動更新となっております。契約期間内に解約する場合には、原則として一方の当事者が相手方に3か月前に書面で通知することにより相手方の了承を得ることなく解約が成立する内容となっております。従いまして、当社グループの意思とは関わりなく、突発的な解約が発生する可能性があります。今後、収益性の高い駐車場の解約が多発した場合には、当社グループの業績及び財政状態に影響を与える可能性があります。

 

②不動産事業におけるリスク

(i)不動産市況及び金利動向等の影響

当社グループが行う不動産事業は、景気及び金利動向並びに住宅税制等の影響を受けやすいため、景気後退やそれに伴う企業収益の悪化及び個人消費の落ち込み、大幅な金利の上昇、税制の変化等が生じた場合には、顧客の購買意欲の減退等により販売価格の低下が発生し、当社グループの業績及び財政状態に影響を与える場合があります。また、経済情勢の変化により、土地仕入代金、建築費等の上昇並びに供給過剰による販売価格の下落が発生した場合は、当社グループの業績及び財政状態に影響を与える可能性があります。

 

(ⅱ)不動産引渡し時期等による業績の変動

当社グループの不動産事業における売上計上基準は、物件の売買契約締結時点ではなく、顧客へ物件を引渡した時点で売上を計上する引渡基準としております。そのため、四半期毎の業績については、物件の引渡し時期や規模等により売上高や利益が大きく変動するため、四半期毎の業績が大きく変動する可能性があります。また、天災その他予測し得ない事態による工事期間の遅延等、不測の事態により引渡時期が遅延することが考えられ、当社グループの業績及び財政状態に影響を与える可能性があります。

 

③駐車場等小口化事業におけるリスク

「トラストパートナーズ」の完売時期等による業績の変動

当社グループの「トラストパートナーズ」の売上計上基準は「特別目的会社を活用した不動産の流動化に係る譲渡人の会計処理に関する実務指針」(企業会計基準委員会 移管指針第10号2024年7月1日)に基づき、販売総額の概ね95%以上の契約となった時点で売上計上することとしております。これに対し、広告宣伝費等の販売費については、発生時の計上としております。そのため、四半期の業績については、完売時期(95%以上の契約時期)により、売上高や利益が変動するため、四半期毎の業績が大きく変動する可能性があります。

 

 

④メディカルサービス事業における貸倒リスク

当社グループは、メディカルサービス事業における営業貸付金に対して、十分な貸倒引当金を計上しておりますが、新たな感染症の流行による貸出先の経営不振等により、元本返済の猶予及び金利減免要請があった場合、引当金の大幅な積み増しが生じる可能性があります。それにより、当社グループの業績及び財政状態等に影響を及ぼす可能性があります。

 

⑤法的規制

当社グループが展開する事業は、駐車場事業においては「駐車場法」、不動産事業においては「国土利用計画法」「宅地建物取引業法」「建築基準法」「都市計画法」「住宅の品質確保の促進に関する法律」「特定住宅瑕疵担保責任の履行の確保等に関する法律」、駐車場等小口化事業においては「不動産特定共同事業法」「金融商品取引法」、その他の事業においては「警備業法」「公衆浴場法」「製造物責任法」「食品衛生法」「貸金業法」等の法規制を受けることになります。今後、これら法規制が変更された場合や新たな法規制が設けられた場合には新たな義務や費用負担が発生することがあります。特に、連結子会社が免許を取得している「宅地建物取引業法」では、第65条、第66条において、業務の停止、免許の取消等となる要件を定めており、これに該当した場合、連結子会社に対して業務の停止命令、免許の取消処分が行われることがあります。当社グループは法規制等の遵守を徹底しており、係る要件に該当する事実はないと認識しておりますが、今後、何らかの事由により法規制等の遵守が困難になった場合や規制の強化によりコスト負担が増加した場合は、当社グループの業績及び財政状態に影響を与える可能性があります。

 

⑥個人情報の漏洩

当社グループが保有する主な個人情報は、駐車場事業、不動産事業、駐車場等小口化事業、ウォーター事業、温浴事業等における各種顧客情報及び会員情報等の個人情報であります。これら個人情報の取扱いについては、プライバシーマークを取得し、情報管理に対する全社的な意識の向上を図るとともに、「個人情報保護基本規程」の定めに基づき、電磁データについては基幹業務システムにて一括管理し、基幹業務システムのセキュリティ強化のための対策を講じております。しかしながら、不測の事態により個人情報が外部に漏洩した場合には、当社グループの信用失墜により、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。

 

⑦有利子負債依存度

当社グループは、駐車場等小口化事業及び不動産事業における土地仕入及び建築資金の大部分を借入金で調達していることから、当連結会計年度末における連結有利子負債残高は5,418百万円(前年同期は5,171百万円)であり、有利子負債依存度は62.1%(前年同期は58.5%)となっております。今後、金利水準が上昇した場合には、支払金利負担が増加し、当社グループの業績及び財政状態に影響を与える可能性があります。

 

⑧固定資産の減損リスク

「固定資産の減損に係る会計基準」により、当社グループが保有する固定資産が、不動産市況または収益状況の悪化等の事由により、帳簿価額を回収可能価額まで減損処理を行う必要があり、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

⑨人材の確保

2025年6月末日現在において、当社グループが管理する駐車場車室数30,171車室のうち、8,050車室は有人駐車場であり、その割合は全体の26.7%を占めております。有人駐車場は、入出庫時の誘導等の利便性、不法侵入や車上荒しの防止等の安全性といった利点がある一方で、人的資本によって維持される要素が強いため、人員の確保と同時に人材の育成が必要不可欠となってまいります。また、温浴事業における温浴施設の運営や、警備事業の人的警備を運営する上でも、人材の確保が重要となってまいります。

当社グループといたしましては、計画的かつ積極的に採用活動を行ってまいりますが、求める人材が充分に確保できない場合又は在職している人材が流出し、必要な人員数を確保できなくなった場合には、当社グループの業績及び今後の事業展開に多大な影響を与える可能性があります。

 

⑩自然災害、人災等

地震、風水害その他の天災地変、事故、火災、戦争、暴動、テロその他の人災等が発生した場合、当社グループの業績及び財政状態に影響を与える可能性があります。

 

⑪ロシア・ウクライナ情勢の影響について

ロシア・ウクライナの軍事的対立の影響により、原油価格の高騰による原材料価格やガソリン価格の高止まり等のリスクが生じる可能性があり、当社グループの業績及び財政状態に影響を与える可能性があります。

 

4【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1)経営成績等の状況の概要

当連結会計年度における当社グループ(当社及び連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。

 

①財政状態及び経営成績の状況

当連結会計年度における我が国経済は、雇用や所得環境が改善する中で、緩やかな回復基調で推移いたしましたが、急激な為替変動や慢性的な物価上昇に加えて、米国の関税政策の影響などにより、依然として先行き不透明な状態が続いております。

このような状況の中、当社グループにおきましては、駐車場事業の収益力向上、不動産事業における新築マンションの販売強化及び駐車場等小口化事業における「トラストパートナーズ」の販売拡大のほか、各種事業の収益改善等に注力してまいりました。

また、昨今の物価上昇を踏まえ、賃金のベースアップなどを継続し、従業員の待遇改善を図りました。今後も引き続き、人材育成や働きがいのある職場環境を通じて、人への投資を推進してまいります。

以上の結果、売上高12,887,524千円(前年同期比5.9%減)、営業利益529,976千円(同21.6%減)、経常利益474,675千円(同21.8%減)、親会社株主に帰属する当期純利益は345,951千円(同2.3%増)となりました。

 

セグメントごとの経営成績は、次のとおりであります。

駐車場事業

駐車場事業につきましては、新紙幣対応機器への入れ替えや利便性向上を目的とした駐車場機器のリニューアル、料金変更等様々な施策に取り組み、安心・安全な車室の提供に努めてまいりました。

売上高は、大型の既存駐車場の解約により駐車場車室数が減少した一方で、新規駐車場の開発にも注力することで新規オープン数が順調に増加し、前年同期比で増収となりました。営業利益は、駐車場用地の地代や人件費の高騰により売上原価が増加し、前年同期比で減益となりました。

以上の結果、売上高7,002,314千円(前年同期比2.5%増)、営業利益263,026千円(同34.3%減)となりました。

なお、当連結会計年度末の駐車場数は928ヶ所(前年同期より24ヶ所増)、車室数は30,171車室(前年同期より1,020車室減)となっております。

 

不動産事業

不動産事業につきましては、既竣工マンションの販売に注力した結果、完売となりました。一方、当連結会計年度に竣工した新築マンション3棟「トラストレジデンス西鉄久留米駅(福岡県久留米市、44戸)」、「トラストレジデンス伊万里河畔(佐賀県伊万里市、44戸)」及び「トラスト博多南駅レジデンス(福岡市南区、23戸)」の販売においては、一部引渡し計画が未達となり、既竣工物件を含め100戸を引渡し(前連結会計年度は148戸の引渡し)、前年同期比で減収減益となりました。

以上の結果、売上高3,485,679千円(前年同期比25.1%減)、営業利益124,763千円(同49.6%減)となりました。

 

駐車場等小口化事業

不動産特定共同事業法に基づく駐車場小口化商品「トラストパートナーズ」の販売を中心として行う駐車場等小口化事業につきましては、当連結会計年度において、「トラストパートナーズ第34号(大分県大分市及び長崎県長崎市、販売総額175,000千円)」、「トラストパートナーズ第35号(福岡県久留米市及び高知県高知市、販売総額71,500千円)」、「トラストパートナーズ第36号(福岡県北九州市門司区、長崎県佐世保市及び宮崎県宮崎市、販売総額153,500千円)」及び「トラストパートナーズ第37号(長崎県長崎市、販売総額143,000千円)」を組成、完売いたしました。

以上の結果、売上高618,920千円(前年同期比15.4%増)、営業利益37,881千円(同48.5%増)となりました。

 

 

メディカルサービス事業

メディカルサービス事業につきましては、医療法人等からの不動産賃貸収入等は堅調に推移いたしました。また、医療法人への営業貸付金について、財政状態、経営成績等を考慮し、将来の回収可能性を個別に勘案した結果、回収の懸念が生じている営業貸付金については、貸倒引当金繰入額59,400千円を計上し、回収可能性が高まった営業貸付金の貸倒引当金については、149,833千円の戻入を行いました。

以上の結果、売上高277,342千円(前年同期比6.7%増)、営業利益83,351千円(前年同期は64,048千円の営業損失)となりました。

 

RV事業

RV事業につきましては、キャンピングカーの製造、販売及び修理・リノベーション等が順調に推移し、前年同期比では増収となりました。一方、原材料価格の高騰分を吸収するには至らず、減益となりました。

以上の結果、売上高502,068千円(前年同期比17.0%増)、営業利益27,398千円(同8.5%減)となりました。

 

その他

その他につきましては、温浴施設「那珂川清滝(福岡県那珂川市)」、「和楽の湯下関せいりゅう(山口県下関市)」の来館者数の更なる増加、商業施設等の常駐警備契約獲得等に努めてまいりました。

以上の結果、売上高1,001,198千円(前年同期比2.1%増)、営業利益6,023千円(前年同期は16,431千円の営業損失)となりました。

 

当社グループの当連結会計年度の財政状態の分析につきましては次のとおりであります。

(資産)

当連結会計年度末における流動資産は、前連結会計年度末と比較して274,192千円減少し、5,671,507千円となりました。主な増加要因は、販売用不動産の増加413,334千円、仕掛販売用不動産の増加89,350千円、営業貸付金の増加192,261千円であります。一方、主な減少要因は、現金及び預金の減少1,073,344千円であります。

固定資産は前連結会計年度末と比較して167,330千円増加し、3,059,446千円となりました。主な増加要因は、リース資産の増加99,932千円、建物及び構築物の増加64,943千円であります。

以上の結果、総資産は8,730,954千円となり、前連結会計年度末に比べ106,861千円減少しました。

 

(負債)

当連結会計年度末における流動負債は、前連結会計年度末と比較して520,884千円減少し、4,294,826千円となりました。主な増加要因は、社債から1年内償還予定の社債への振替300,000千円であります。一方、主な減少要因は、買掛金の減少487,945千円、1年内返済予定の長期借入金の減少108,612千円、未払法人税等の減少90,078千円であります。

固定負債は前連結会計年度末と比較して111,322千円増加し、3,218,271千円となりました。主な増加要因は、長期借入金の増加315,264千円、リース債務の増加85,404千円であります。一方、主な減少要因は、社債から1年内償還予定の社債への振替300,000千円であります。

以上の結果、負債合計は7,513,098千円となり、前連結会計年度末に比べ409,561千円減少しました。

 

(純資産)

当連結会計年度末における純資産は、前連結会計年度末と比較して302,700千円増加し、1,217,855千円となりました。主な増加要因は、親会社株主に帰属する当期純利益の計上による利益剰余金の増加345,951千円であります。一方、主な減少要因は、剰余金の配当65,841千円であります。

以上の結果、自己資本比率は13.9%(前連結会計年度末は10.4%)となりました。

 

②キャッシュ・フローの状況

当連結会計年度末における現金及び現金同等物は、前連結会計年度末と比べ1,027,426千円減少し、1,711,817千円となりました。

当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

営業活動によるキャッシュ・フローは、737,785千円のマイナス(前年同期は1,698,334千円のプラス)となりました。これは主に、税金等調整前当期純利益457,422千円、減価償却費374,878千円、棚卸資産の増加額477,361千円、仕入債務の減少額487,945千円、法人税等の支払額212,692千円によるものであります。

 

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

投資活動によるキャッシュ・フローは、225,524千円のマイナス(前年同期は137,881千円のマイナス)となりました。これは主に、有形固定資産の取得による支出278,486千円、敷金の回収による収入58,731千円によるものであります。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

財務活動によるキャッシュ・フローは、64,115千円のマイナス(前年同期は1,627,783千円のマイナス)となりました。これは主に、長期借入れによる収入1,507,000千円、長期借入金の返済による支出1,300,348千円、リース債務の返済による支出138,001千円によるものであります。

 

③生産、受注及び販売の実績

a.生産実績

当社グループの生産活動は、金額的重要性が乏しいため、記載を省略しております。

 

b.受注実績

当社グループは一般の不特定多数の顧客を相手とするサービス業が主であるため、記載を省略しております。

 

c.販売実績

当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

当連結会計年度

(自 2024年7月1日

    至 2025年6月30日)

前年同期比(%)

駐車場事業(千円)

7,002,314

2.5

不動産事業(千円)

3,485,679

△25.1

駐車場等小口化事業(千円)

618,920

15.4

メディカルサービス事業(千円)

277,342

6.7

RV事業(千円)

502,068

17.0

その他(千円)

1,001,198

2.1

合計(千円)

12,887,524

△5.9

(注)セグメント間の取引については、相殺消去しております。

 

(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。

 

①重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

 当社グループの連結財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められる会計基準に基づき作成しております。この連結財務諸表の作成にあたり、決算日における資産・負債の報告数値及び報告期間における収益・費用の報告数値に影響を与える事項について、過去の実績や状況に応じ合理的と考えられる様々な要因に基づき、見積り及び判断を行っております。

 当社グループの連結財務諸表で採用する重要な会計方針は「第5 経理の状況 1.連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載しておりますが、特に、貸倒引当金などの重要な会計方針が、当社グループの連結財務諸表作成における重要な判断と会計上の見積りに大きな影響を及ぼすと考えております。

 

②当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容

(売上高)

当連結会計年度の売上高は、12,887,524千円となり前連結会計年度の13,694,050千円から806,525千円の減少(前年同期比5.9%減)となりました。

セグメント別では、駐車場事業につきましては、収益性を重視した新規駐車場の開発及びタイムリーな料金改定等による既存駐車場の活性化に注力した結果、売上高は7,002,314千円(同2.5%増)となりました。

不動産事業につきましては、新築マンション3棟が竣工し、既竣工物件と合わせて100戸の引渡しを実施した結果、売上高は3,485,679千円(同25.1%減)となりました。

不動産特定共同事業法に基づく駐車場小口化商品「トラストパートナーズ」の販売を中心として行う駐車場等小口化事業は、4物件を組成し、完売した結果、売上高618,920千円(同15.4%増)となりました。

メディカルサービス事業につきましては、医療機関等からの賃貸収入を中心に安定した売上を計上した結果、売上高277,342千円(同6.7%増)となりました。

RV事業につきましては、キャンピングカーの製造、販売及び修理・リノベーション等に注力した結果、売上高502,068千円(同17.0%増)となりました。

また、その他につきましては売上高1,001,198千円(同2.1%増)となりました。

 

(売上総利益及び営業損益)

当連結会計年度の売上総利益は、2,513,037千円となり前連結会計年度の2,744,020千円から230,982千円減少(前年同期比8.4%減)した結果、売上総利益率は19.5%(同0.5ポイント減)となりました。

一方、販売費及び一般管理費は、1,983,060千円となり前連結会計年度の2,068,348千円から85,288千円減少(同4.1%減)しました。主な要因は、貸倒引当金の戻入によるものです。

以上の結果、当連結会計年度は529,976千円の営業利益(同21.6%減)となりました。

 

(営業外損益及び経常損益)

当連結会計年度の営業外収益は、受取賠償金24,903千円、受取利息2,374千円、投資有価証券売却益1,512千円、受取配当金1,382千円等の計上により70,250千円(前年同期比77.1%増)となりました。

また、営業外費用は、支払利息94,332千円等の計上により125,551千円(同16.2%増)となりました。

以上の結果、当連結会計年度は474,675千円の経常利益(同21.8%減)となりました。

 

(特別損益及び親会社株主に帰属する当期純損益)

当連結会計年度の特別損失は、減損損失17,253千円の計上により、前連結会計年度の62,665千円から45,411千円の減少(前年同期比72.5%減)となりました。以上の結果、当連結会計年度は345,951千円の親会社株主に帰属する当期純利益(同2.3%増)となりました。

 

③経営成績に重要な影響を与える要因について

経営成績に重要な影響を与える要因については、「第2 事業の状況 3.事業等のリスク」に記載のとおりであります。

 

④資本の財源及び資金の流動性についての分析

当社グループの資金需要の主なものは、駐車場事業、不動産事業、駐車場等小口化事業等における土地購入に加え、駐車場事業の設備投資等があります。

資金の調達手段としましては、駐車場事業及び不動産事業における土地購入、建築工事関連費用の資金については金融機関からの長期借入金、駐車場等小口化事業における土地購入については金融機関からの短期借入金、駐車場事業の設備投資については自己資金及びリース契約により調達しております。

また、運転資金の効率的な調達を行うため、取引銀行11行と当座貸越契約を締結することで手元流動性を確保しており、金融機関との間で総額32億円の契約を締結しております。本契約に基づく当連結会計年度末の借入実行残高は13億円であります。

次期につきましては、重要な設備投資等の計画はなく、運転資金や経常的に発生する設備投資及び設備更新につきましては、金利コスト等を勘案しながら、自己資金及び金融機関からの借入れ、リース契約によりまかなう予定であります。

 

 

⑤経営者の問題認識と今後の方針について

当社グループの経営陣は、現在の事業環境及び入手可能な情報に基づき最善の経営方針を立案するよう努めております。継続性のある優良企業となるため安定した収益を確保することが重要であるとの認識により、売上高経常利益率を重要視しております。数値目標としましては、売上高経常利益率10%の達成を目標としております。

当連結会計年度の売上高経常利益率は3.7%となっております。駐車場事業における時間貸駐車場及び月極駐車場の収益向上、不動産事業における土地の仕入及び販売の強化、駐車場等小口化事業における小口化商品の開発強化・拡充により目標達成に努めてまいります。

 

5【重要な契約等】

該当事項はありません。

 

6【研究開発活動】

該当事項はありません。