第2 【事業の状況】

 

1 【事業等のリスク】

当第1四半期累計期間において、当四半期報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項の発生又は前事業年度の有価証券報告書に記載した「事業等のリスク」についての重要な変更はありません。

 

2 【経営上の重要な契約等】

平成29年8月7日に塩野義製薬株式会社、および積水化学工業株式会社との間で、特殊ペプチド原薬の研究開発、製造及び販売を行う新会社の設立に関する合弁契約を締結いたしました。

 

3 【財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

文中の将来に関する事項は、当四半期会計期間の末日現在において、当社が判断したものであります。

 

(1)業績の状況

当第1四半期累計期間(平成29年7月1日から平成29年9月30日)において、当社独自の創薬開発プラットフォームシステムであるPDPS(Peptide Discovery Platform System)を活用した3つの事業戦略:①創薬共同研究開発契約、②PDPSの技術ライセンス、③戦略的提携による自社パイプラインの拡充を進めてきました。

当社は平成29年9月30日現在、68のプログラムが進行しています。そのうち24プログラムがリード化合物のステージになり、うち8プログラムが前臨床試験対応化合物になっています。また3つが臨床候補化合物として選択されており、うち1つはフェーズⅠ試験が完了しています。

1つ目の事業戦略であるPDPSを活用した国内外の製薬企業との創薬共同研究開発契約については、第1四半期に新規契約の締結はありませんでしたが、契約締結企業17社(国内製薬企業6社、海外製薬企業11社)において、複数のプログラムで進捗がありました。これにより当社は研究開発支援金を受け取りました。当社は、パートナー企業とのこれらプログラムについて、創薬共同研究開発を通じてプログラム数の増加や開発ステージの進展が順調に進むと予想しています。それに加えて当社は、創薬共同研究開発に関心のある複数の会社と契約締結交渉を進めています。

2つ目の事業戦略であるPDPSの技術ライセンスについては、現在5社(米国ブリストル・マイヤーズ スクイブ社、スイス・ノバルティス社、米国リリー社、米国ジェネンテック社、塩野義製薬株式会社)と非独占的なライセンス許諾契約を締結しています。PDPS技術はこの5社のうち4社で技術移管が完了しており、移管先企業内で多数のプログラムに対する活発な使用が始まっています。同事業については、技術移管先企業がマイルストーンを達成するまでは、どのような発見が行われ、開発が進んでいるかについて当社は知らされませんが、これらのライセンス先企業から技術ライセンス料とともに開発プログラムの進捗ごとのマイルストーンが当社に支払われることになります。塩野義製薬についても平成29年度中に技術移転が完了し、使用が始まると予想しています。なお、当社はPDPSの非独占的ライセンス許諾に関心をもつ複数の企業と交渉を現在も進めております。

3つ目の事業戦略は、世界中の特別な技術を有する創薬企業・バイオベンチャー企業(アカデミア等の研究機関)と戦略的提携を組むことで、自社の医薬品候補化合物(パイプライン)の拡充を図ることです。この事業は当社の将来の業績をけん引すると予想しています。当社は平成29年7月に新しい本社・研究所が神奈川県川崎市に完成し移転したことで、必要とされていた研究スペースや新たな設備の問題が解決しました。平成29年9月30日現在、当社の同事業のプログラム数は大きく拡大しました。同事業の目標は、当社の強力な製薬企業とのネットワークを活用して、これらのプログラムを少なくとも第Ⅰ相に入る段階若しくは、第Ⅰ相に入った後、可能であれば第Ⅱ相に入った後まで開発することにより、通常の開発候補品よりも高額の契約条件で大手製薬企業にライセンスアウト(導出)することです。当社のPDPS技術を用いて同定したヒット化合物を①特殊ペプチド医薬品、②ペプチド-薬物複合体(PDC医薬品)、③低分子医薬品という3カテゴリーの医薬品群として開発する創薬能力は拡大しています。戦略的パートナーの独自の技術・ノウハウと当社の技術を組み合わせることで生まれたプログラムは、開発費用を両社で負担することにより、開発に成功した場合は、得られる収益のうちの多くを得ることができる契約となっています。

当社はすでに3社(JCRファーマ株式会社、モジュラス株式会社、英国Heptares Therapeutics社)と戦略的提携を発表しています。JCRファーマ株式会社とは血液脳関門(Blood-Brain Barrier:BBB)通過を可能とするキャリアペプチドの創製を行っています。開発されたペプチドに低分子医薬品やペプチド医薬品、抗体医薬品を中心とするタンパク製剤などを結合することにより、これまでBBBを通過できなかった薬を脳内に届けることができ、様々な新しい中枢系神経障害の治療薬となる可能性があります。JCRファーマと当社は疾患モデル動物を用いた試験により安全性や有効性の評価を計画しており、評価が得られた後に疾患ごとに製薬企業にライセンスアウトする計画です。当社はこれらペプチド‐薬物複合体(PDC)が脳を対象とした多くの疾患の治療薬となると考えています。

モジュラス株式会社(以下 モジュラス)とはこれまで開発が難しかった創薬ターゲットに対する低分子医薬品候補化合物の開発を目指しています。モジュラスは最先端の計算化学を駆使した高速かつ効率的な低分子医薬品候補化合物のデザインに関する技術を有する会社です。この戦略的パートナーシップはPDPSから得られるヒットペプチドを低分子医薬品候補化合物にデザインする機能を高め、当社の自社創薬の能力を拡大することにも応用できると思います。両社は開発コストを分担し、得られた成果も両社で保有します。すでに、10数種類のキナーゼに対するヒットペプチドの取得をスタートさせています。キナーゼ阻害剤はこれまでにも広く検討されており、がん分野で上市されている化合物も数多く存在しますが、そのほとんどがATP-競合型の低分子医薬品であり、その低い選択性やそれに伴う毒性発現の問題や、キナーゼ側の変異による薬効の減衰・消失に対応できないなど多くの問題を抱えているのが現状です。モジュラスと当社のアプローチの特徴は、キナーゼの変異の影響を受けないATP-非競合型の低分子医薬品の開発を目指し、その出発点となるATP-非競合型の特殊環状ペプチドの取得を行っています。

英国Heptares therapeutics(ヘプタレス・セラピューティクス、以下 ヘプタレス)とは炎症性疾患の治療において重要な役割を担っているGタンパク質共役受容体(GPCR)を標的とする新規治療薬の研究開発・商業化を目的とした戦略的共同研究を行います。この共同研究では、両社のもつ業界屈指のプラットフォーム技術を集結します。ヘプタレスは、両社で選択したGPCRターゲットに対して、同社のStaRプラットフォームを用いて構造を明確とし、当社のPDPSを用いてヒット化合物を得て両社が有する技術を最大限活用することで、臨床開発候補化合物へと最適化します。本契約のもと、両社はコストを分担し、得られたすべての成果を共同で保有します。

平成29年7月18日、当社は第4の戦略的提携となる米国Kleo Pharmaceuticals(クリオ・ファーマシューティカル、以下 クリオ)社との契約を発表しました。複数の適応症でがん免疫治療薬の共同研究開発を行います。クリオが選択した複数のがん細胞表面及び免疫細胞表面の受容体ターゲットに対して当社のPDPSを用いて特殊環状ペプチドを特定し、最適化を実施します。それらとクリオが有するAntibody Recruiting Molecule(ARM)及びSynthetic Antibody Mimic(SyAM)の技術を用いたPDC医薬品候補化合物を合成します。当社はがんを根絶するためにここ数年で注目されているがん細胞を患者自身の免疫システムで攻撃するという治療薬の市場規模が大きくなる可能性が高いと考えています。クリオはこれら候補化合物の前臨床および臨床試験を主導し、共同研究開発から生じるすべての化合物の開発及び製品化の権利を有しますが、当社は製品開発の貢献度に応じて、すべての製品から生じる一定の収益を得る権利を有しています。なお、当社は医薬品候補化合物の製造や前臨床試験に向けた費用として2,800千米ドル(314,804千円)の一時金をクリオに支払いました。

平成29年9月25日、当社はこれまで開示していなかった川崎医科大学との戦略的提携による共同開発で大きな進捗があったことを発表しました。川崎医科大学と当社は、デュシェンヌ型筋ジストロフィー(DMD)に対するペプチド創薬の開発を続けてきました。DMDは進行性の筋力低下を特徴とする遺伝疾患で、有効な治療法が確立されていません。今回発表した内容は、共同開発したペプチド医薬品候補をDMDのモデル動物に投与した際に筋力低下を有意に改善したことです。革新的筋萎縮阻害剤に向けて順調な進捗と評価されます。川崎医科大学と当社は近い将来の臨床試験に向けて前臨床試験を加速しています。

当社は今後も特定の分野で世界をリードする優れた技術を有するバイオベンチャー企業やアカデミア等の研究機関との戦略的提携を通じて、次世代のファーストインクラス(first-in-class)及びベストインクラス(best-in-class)となる優れた治療薬の開発に向けた取組みを加速してまいります。

当社は平成29年8月7日、塩野義製薬株式会社、積水化学工業株式会社と合弁で特殊ペプチド原薬の研究開発、製造及び販売を行うCMO(Contract Manufacturing Organization:医薬品製造受託機関)・ペプチスター株式会社(以下 ペプチスター)を設立することを発表しました。ペプチスターは日本の様々な会社の技術を基に高品質、高純度でしかも製造コストを大幅に下げる最先端技術を開発、提供することを目指しています。ペプチスターは当社の創薬共同研究開発企業だけでなく、戦略的提携による自社開発品の製造も請け負うことが予想されます。同社の工場は大阪に建設中で、平成31年に商業生産を開始する計画です。

当社は平成29年8月22日、当社の創業社長である窪田規一が代表取締役会長、常務取締役のパトリック・リードが代表取締役社長となる人事を発表し、平成29年9月27日開催の株主総会及びその後の取締役会で承認されました。当社の従業員は平成29年9月30日現在で71名(派遣社員を含む)となっております。取締役8名を含めると総勢79名の体制となりました。

以上の結果、当第1四半期累計期間における売上高は171,393千円(前年同四半期比624,816千円減少)、営業損失1,030,729千円(前年同四半期は営業利益380,548千円)、経常損失932,592千円(前年同四半期は経常利益398,866千円)、四半期純損失649,779千円(前年同四半期は四半期純利益279,265千円)となりました。売上高の減少の要因は、当第1四半期累計期間において、契約一時金およびマイルストーン収入が発生しなかったことによるものです。損失の計上の主な要因は、売上高の減少に加え、研究開発費が増加したことによるものです。研究開発費はクリオへの一時金314,804千円という特殊要因があったため510,943千円(前年同四半期比444,743千円増加)となっております。

なお、当社の事業は単一のセグメントであるため、セグメント別の記載を省略しています。

 

(2)財政状態の分析

当第1四半期会計期間末の総資産は 12,520,388千円となり、前事業年度末と比べて1,108,063千円減少しました。その主な要因は、建物(純額)が4,444,758千円増加、工具、器具及び備品(純額)が1,047,451千円増加したものの、現金及び預金が2,603,186千円減少、売掛金が1,662,104千円減少、建設仮勘定が3,540,685千円減少したこと等によるものです。

負債は928,776千円となり、前事業年度末と比べて518,874千円減少しました。その主な要因は、未払費用が281,232千円、未払法人税等が256,475千円減少したこと等によるものです。

純資産は11,591,612千円となり、前事業年度末と比べて589,189千円減少しました。その主な要因は、四半期純損失により利益剰余金が649,779千円減少したことによるものです。

 

(3)キャッシュ・フローの状況

当第1四半期累計期間における現金及び現金同等物は、前事業年度末に比べ2,603,186千円減少し、3,953,493千円となりました。
 当第1四半期累計期間における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は、次のとおりであります。

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

営業活動によるキャッシュ・フローは、売上債権の減少額1,662,104千円等があったものの、税引前四半期純損失935,185千円の計上、未払費用の減少額281,232千円、その他に含まれる未収消費税等の増加額492,027千円、法人税等の支払額208,267千円により、264,980千円の支出(前年同四半期は748,899千円の収入)となりました。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

投資活動によるキャッシュ・フローは、有形固定資産の取得による支出2,265,971千円、関係会社株式の取得による支出100,000千円等により2,391,092千円の支出(前年同四半期比2,361,545千円の支出増加)となりました。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

財務活動によるキャッシュ・フローは、新株予約権の行使による株式の発行による収入60,437千円等により、60,379千円の収入(前年同四半期比259,437千円の収入減少)となりました。

 

(4)事業上及び財務上の対処すべき課題

当第1四半期累計期間において、当社が対処すべき課題について重要な変更はありません。

 

(5)研究開発活動

当第1四半期累計期間における研究開発費の総額は、510,943千円であります。
 なお、当第1四半期累計期間において、当社の研究開発活動の状況に重要な変更はありません。