該当事項はありません。
文中の将来に関する事項は、当四半期会計期間の末日現在において、当社が判断したものであります。
(1)業績の状況
当第3四半期累計期間(平成29年7月1日から平成30年3月31日)において、当社独自の創薬開発プラットフォームシステムであるPDPS(Peptide Discovery Platform System)を活用した3つの事業戦略:①創薬共同研究開発契約、②PDPSの技術ライセンス、③戦略的提携による自社パイプラインの拡充を進めてきました。
当社は、平成30年3月31日現在、83のプログラムが進行しております(第2四半期終了時は82プログラム)。そのうち33プログラムがHit-to-Leadのステージ(第2四半期終了時は29プログラム)となり、うち8プログラムが前臨床試験対応化合物となっております。また4つが臨床候補化合物として選択されており、うち2つは臨床開発ステージに入っております。
1つ目の事業戦略であるPDPSを活用した国内外の製薬企業との創薬共同研究開発契約については、平成30年2月15日に、当社は米国ブリストル・マイヤーズ スクイブ社(以下「BMS社」)との共同研究開発プログラムにおいて、BMS社がバイオイメージング剤の臨床開発を開始したことを発表しました。これは両社の共同研究開発プログラムから臨床開発入りした初めてのペプチド-PET(陽電子放射断層撮影法)プログラムです。PDPSにより同定された生物活性を有するリード特殊環状ペプチドに放射性リガンドを結合したPDC(Peptide Drug Conjugate)をPETトレーサーとして、BMS社が臨床開発を進めております。PETトレーサーの特殊環状ペプチド部分は、腫瘍細胞や腫瘍浸潤免疫細胞上に過剰発現している抗原に結合し、腫瘍部分に集積します。トレーサー部分である放射性リガンドから放出される微弱な放射線を観測することで、患者体内における腫瘍の分布等を非侵襲(外科的処置を要しない)で視覚化・映像化することができます。BMS社は、本PETトレーサーの独占開発権及び販売権等を保有し、当社は臨床開発におけるクライテリア達成に応じてマイルストーンフィーを、さらに上市後には売上高に対する段階的なロイヤルティーを受け取る内容になっております。バイオイメージング剤が臨床開発に入ったことは、当社が生み出す特殊環状ペプチドが、医薬品のみならず、PETトレーサーとして診断薬にも幅広く応用できることを示したものと考えております。
平成30年2月15日に、当社は帝人ファーマとの間で実施している創薬共同研究開発において、見出された特殊環状ペプチドが、あらかじめ設定していたクライテリア(共同研究開発先とそれぞれ合意している生物活性及び物性等の基準の総称)を満たしたことから、マイルストーンフィーを帝人ファーマから受け取りました。これは帝人ファーマとの共同研究開発プログラムにおいて2つ目のクライテリア達成となります。このプログラムはHit-to-Leadのステージに入っており、臨床候補化合物の同定に向けた研究開発を進めております。
第3四半期においても創薬共同研究開発契約企業から複数のプログラムに対し研究開発支援金を受け取りました。当社は、現在進行しているプログラムにおいて、さらなるマイルストーンが達成され、パートナー企業の許諾を得た上で、新たな進捗の報告をできるものと考えております。それに加えて当社は、創薬共同研究開発に関心のある複数の企業と新たな契約締結交渉を進めております。
2つ目の事業戦略であるPDPSの技術ライセンスについては、平成30年3月31日現在、5社(米国ブリストル・マイヤーズ スクイブ社、スイス・ノバルティス社、米国リリー社、米国ジェネンテック社、塩野義製薬)と非独占的なライセンス許諾契約を締結しております。PDPS技術はこの5社のうち4社で技術移管が完了しており、移管先企業内で多数のプログラムに対する活発な運用が始まっております。同事業については、技術移管先企業がマイルストーンを達成するまでは、どのような発見が行われ、開発が進んでいるかについて当社は知らされませんが、これらのライセンス先企業から技術ライセンス料とともに開発プログラムの進捗ごとのマイルストーンが当社に支払われることになります。塩野義製薬についても平成29年度中に技術移転が完了し、運用が始まると予想しております。なお、当社はPDPSの非独占的ライセンス許諾に関心をもつ複数の企業との交渉を継続的に進めております。
3つ目の事業戦略は、世界中の特別な技術を有する創薬企業・バイオベンチャー企業及びアカデミア等の研究機関と戦略的提携を組むことで、自社の医薬品候補化合物(パイプライン)の拡充を図ることです。この事業は当社の将来の業績をけん引するものと予想しております。当社は平成29年7月に新しい本社・研究所が神奈川県川崎市に完成し、移転したことで、必要とされていた研究スペースや新たな設備の問題が解決しました。当社の同事業のプログラム数は大きく拡大しました。同事業の目標は、当社の強力な製薬企業とのネットワークを活用して、これらのプログラムを少なくとも第Ⅰ相に入る段階もしくは、第Ⅰ相に入った後、可能であれば第Ⅱ相に入った後まで開発することにより、通常の開発候補品よりも収益性の高い契約条件で大手製薬企業にライセンスアウト(導出)することです。当社では、PDPS技術を用いて同定したヒット化合物を、①特殊ペプチド医薬品、②ペプチド-薬物複合体(PDC医薬品)、③低分子医薬品という3カテゴリーの医薬品群として開発する創薬能力を拡充しております。戦略的パートナーの独自の技術・ノウハウと当社の技術を組み合わせることで生まれたプログラムは、開発費用を両社で負担することにより、開発に成功した場合には、得られる収益のより多くを得ることができる契約となっております。
平成30年2月7日に、当社は自社創薬品として開発を進めてきました、新規のインフルエンザ治療薬「PD-001」について前臨床試験の結果を発表しました。PD-001は、インフルエンザウイルスがヒト細胞内に侵入する際に必要な、ウイルス表面に発現するヘマグルチニン(HA)の働きを阻害する特殊環状ペプチドです。外部機関に委託したGLP準拠の原体合成に予定以上の時間がかかったことから毒性試験の開始が遅れましたが、試験は無事に終了し、現在データ解析を進めております。これまでに得られたデータ解析の結果は極めて良好で、さらなる開発に問題となる点はないことが判明しております。当社は現在、いくつかの大手製薬企業と共同開発もしくはライセンスアウトに向けた協議を継続的に行っております。
当社はこれまで、4社(JCRファーマ株式会社、モジュラス株式会社、英国Heptares Therapeutics社、米国Kleo Pharmaceuticals社)との戦略的提携を発表しております。また、川崎医科大学とは難治性希少疾患に対するペプチド創薬に関する共同研究を実施し、ビル&メリンダ・ゲイツ財団からは結核及びマラリア感染症の新規治療薬に関する研究開発助成金を受けております。
JCRファーマ株式会社(以下「JCRファーマ」)とは、血液脳関門(Blood-Brain Barrier:BBB)通過を可能とするキャリアペプチドの創製を行っております。開発されたペプチドに低分子医薬品やペプチド医薬品、抗体医薬品を中心とするタンパク製剤などを結合することにより、これまでBBBを通過できなかった薬を脳内に届けることができ、様々な新しい中枢系神経障害の治療薬となる可能性があります。JCRファーマと当社は疾患モデル動物を用いた試験により安全性や有効性の評価を計画しており、評価が得られた後に疾患ごとに製薬企業にライセンスアウトする計画です。当社はこれらペプチド-薬物複合体(PDC医薬品)が神経疾患や骨格筋疾患の有力な治療薬となると考えております。BBB通過を可能とするキャリアペプチドに関心を持つ企業から数多く問い合わせを受けており、ライセンスアウト戦略についてJCRファーマとの協議を進めております。
モジュラス株式会社(以下 モジュラス)とは、これまで開発が難しかった創薬ターゲットに対する低分子医薬品候補化合物の開発を目指しております。モジュラスは最先端の計算化学を駆使した高速かつ効率的な低分子医薬品候補化合物のデザインに関する技術を有する会社です。両社は開発コストを分担し、得られた成果も両社で保有します。当社はPDPSを用いてキナーゼの変化の影響を受けないATP-非競合型インヒビター(アロステリックインヒビター)であるキナーゼ阻害剤の候補となるヒットペプチドをすでに数多く同定しております。両社は得られたヒットペプチドを計算化学を用いて低分子医薬品候補化合物にデザインする能力を高める取組みを進めております。これらの取り組みは順調に進捗しており、両社は今後の創薬ターゲット拡大に関する議論を進めております。
英国Heptares Therapeutics社(以下 ヘプタレス)とは、炎症性疾患の治療において重要な役割を担っているGタンパク質共役受容体(GPCR)を標的とする新規治療薬の研究開発・商業化を目的とした戦略的共同研究を行っております。この共同研究では、両社のもつ業界屈指のプラットフォーム技術を集結します。両社で選択したGPCRターゲットに対して、ヘプタレス社のStaRプラットフォームを用いて安定化し、当社のPDPSを用いてヒット化合物を得ることで、両社が有する技術の強みを融合します。本契約のもと、両社はコストを分担し、得られたすべての成果を共同で保有します。両社での取組みは着実に進んでおり、近く進捗状況の報告が提供できるものと考えております。
米国Kleo Pharmaceuticals(クリオ・ファーマシューティカル、以下 クリオ)とは、複数の適応症でがん免疫治療薬の共同研究開発を行っております。クリオが選択した複数のがん細胞表面及び免疫細胞表面の受容体ターゲットに対して当社のPDPSを用いて特殊環状ペプチドを特定し、最適化を実施します。それらとクリオが有するAntibody Recruiting Molecule(ARM)及びSynthetic Antibody Mimic(SyAM)の技術を用いたPDC医薬品候補化合物を合成します。当社は製品開発の貢献度に応じて、すべての製品から生じる一定の収益を得る権利を有しております。両社はすでにARM及びSyAMの技術を用いたいくつかの化合物の合成が完了し、それらを用いた機能試験の結果は極めて良好で、治療薬としての有望性を示唆するものとなっております。
川崎医科大学とは、難治性希少疾患であるデュシェンヌ型筋ジストロフィー(DMD)に対するペプチド創薬の共同研究開発を続けています。DMDは進行性の筋力低下を特徴とする遺伝疾患で、有効な治療法が確立されていません。共同開発したマイオスタチンを標的タンパク質としたペプチド医薬品候補は、DMDのモデル動物に投与した際に筋力低下を有意に改善しており、革新的筋萎縮阻害剤に向けて順調に進捗しております。川崎医科大学と当社は現在前臨床試験を加速しており、近い将来に臨床試験に入れるよう全力で取り組んでおります。
ビル&メリンダ・ゲイツ財団(以下 ゲイツ財団)とは、世界の最貧国において大きな問題となっている2つの感染症である結核及びマラリアを治療するための新規特殊環状ペプチドを見出すことを目的とした複数のプログラムにつき、ゲイツ財団からの助成金による研究開発を行っております。この助成金により開発される治療薬は、ゲイツ財団との合意に基づき、貧しい国においては安価で提供されます。一方、先進国においては、ペプチドリームが自社での製品化及び自由なライセンス活動の権利を有しております。
当社は今後も特定の分野で世界をリードする優れた技術を有するバイオベンチャー企業やアカデミア等の研究機関との戦略的提携を通じて、次世代のファーストインクラス(first-in-class)及びベストインクラス(best-in-class)となる優れた治療薬の開発に向けた取組みを加速していきます。
当社は塩野義製薬、積水化学工業株式会社と合弁で特殊ペプチド原薬の研究開発、製造及び販売を行うCMO(Contract Manufacturing Organization:医薬品製造受託機関)・ペプチスター株式会社(以下 ペプチスター)を設立しました。ペプチスターは日本の様々な会社の技術を基に高品質、高純度でしかも製造コストを大幅に下げる最先端技術を開発、提供することを目指しております。ペプチスターは当社の創薬共同研究開発企業だけでなく、戦略的提携により自社開発品の製造も請け負うことが予想されます。同社の工場は大阪府摂津市に建設中で、平成31年に商業生産を開始する計画です。平成30年3月30日に、当社はペプチスターに対し18億円の追加出資をすることを発表しております。ペプチスターへの追加出資後の出資比率は当社、塩野義製薬、積水化学工業の3社ともに17.3%になる予定です。
平成30年1月12日に、当社は金城聖文博士を当社のエグゼクティブ・ヴァイスプレジデントとして迎え入れることを発表しました。金城氏は、前職のボストン・コンサルティング・グループ(BCG)では、パートナー&マネージングディレクターとして製薬業界、医療機器業界を中心に多くのクライアント企業との間で実績を重ねてきました。全社成長戦略、M&A戦略、新規事業立ち上げ、R&D生産性改善と、11年超のキャリアの中で幅広いテーマのプロジェクトを手掛けています。また、平成30年2月21日に、当社は新たな組織体制を発表しました。舛屋圭一博士と金城聖文博士がエグゼクティブ・ヴァイスプレジデントとしてサイエンス、戦略の方針決定をはじめ、ビジネスのあらゆる取り組みに関して代表取締役社長であるリード・パトリックを支える役割を担います。一方、平成30年2月13日に、当社は取締役経営管理部長の関根喜之の退任を発表しております。関根氏は平成25年6月の東証マザーズ市場への上場や平成27年12月の東証1部への上場で重要な役割を果たしました。今回の退任は、これまでの経験を活かして新たな未公開企業の株式公開を支援したいという本人の強い意向を受けたものです。
平成30年2月1日に、当社は一般社団法人 東京ニュービジネス協議会が主催する第12回「IPO大賞」において、グロース部門で大賞に選出されたことを発表しております。
当社の従業員は平成30年3月31日現在で84名(派遣を含む。女性社員比率は約4割)となっております(第2四半期末比8人増)。取締役7名を含めると総勢91名の体制となりました。なお、中国でアミノ酸や低分子化合物の合成や製造等を委託しているCRO内には当社専属で15名が勤務しております。
以上の結果、当第3四半期累計期間における売上高は1,137,215千円(前年同四半期比280,134千円減少)、営業損失1,328,643千円(前年同四半期は営業利益107,899千円)、経常損失1,192,287千円(前年同四半期は経常利益239,865千円)、四半期純損失831,384千円(前年同四半期は四半期純利益164,512千円)となりました。損失の計上の要因は、売上高の減少に加え、研究開発費が増加したこと、新本社・研究所が完成し移転したことによる一時的な移転関連費用の発生及び減価償却費の増加によるものです。研究開発費はクリオへの一時金314,804千円という特殊要因があったため771,438千円(前年同四半期比507,955千円増加)となっております。新本社・研究所に関する費用につきましては、すべて手元資金で行っております。
なお、当社の事業は単一のセグメントであるため、セグメント別の記載を省略しております。
(2)財政状態の分析
当第3四半期会計期間の総資産は12,236,024千円となり、前事業年度末と比べて1,392,428千円減少しました。その主な要因は、建物(純額)が4,362,422千円増加、工具、器具及び備品(純額)が928,069千円増加したものの、現金及び預金が3,182,544千円、建設仮勘定が 3,488,283千円減少したこと等によるものです。
負債は693,910千円となり、前事業年度末と比べて753,740千円減少しました。その主な要因は、未払費用が275,859千円、未払法人税等が264,807千円、前受金が124,347千円減少したこと等によるものです。
純資産は11,542,114千円となり、前事業年度末と比べて638,687千円減少しました。その主な要因は、四半期純損失により利益剰余金が831,384千円減少したことによるものです。
(3)キャッシュ・フローの状況
当第3四半期累計期間における現金及び現金同等物は、前事業年度末に比べ3,182,544千円減少し、3,374,135千円となりました。
当第3四半期累計期間における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は、次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動によるキャッシュ・フローは、売掛債権の減少額1,629,509千円等があったものの、税引前四半期純損失1,195,110千円の計上、法人税等の支払額544,287千円、前受金の減少額124,347千円、未払費用の減少額275,859千円等により、778,336千円の支出(前年同四半期は129,367千円の収入)となりました。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動によるキャッシュ・フローは、有形固定資産の取得による支出2,394,021千円、関係会社株式の取得による支出100,000千円等により、2,537,608千円の支出(前年同四半期比664,972千円の支出増加)となりました。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動によるキャッシュ・フローは、新株予約権の行使による株式の発行による収入88,936千円、新株予約権の発行による収入82,660千円により、171,537千円の収入(前年同四半期比125,957千円の収入増加)となりました。
(4)事業上及び財務上の対処すべき課題
当第3四半期累計期間において、当社が対処すべき課題について重要な変更はありません。
(5)研究開発活動
当第3四半期累計期間における研究開発費の総額は、771,438千円であります。
なお、当第3四半期累計期間において、当社の研究開発活動の状況に重要な変更はありません。