第2 【事業の状況】

 

1 【事業等のリスク】

当第1四半期累計期間において、当四半期報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項の発生又は前事業年度の有価証券報告書に記載した「事業等のリスク」についての重要な変更はありません。

 

2 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

文中の将来に関する事項は、当四半期会計期間の末日現在において、当社が判断したものであります。

 

(1)経営成績の状況

当第1四半期累計期間(2018年7月1日から2018年9月30日)において、当社独自の創薬開発プラットフォームシステムであるPDPS(Peptide Discovery Platform System)を活用した3つの事業戦略:①創薬共同研究開発契約、②PDPSの技術ライセンス、③戦略的提携による自社パイプラインの拡充を進めてまいりました。

 

 【当社の事業戦略】                         2018年9月末時点パートナー数

創薬共同研究開発契約

19社

PDPSの非独占的技術ライセンス許諾

6社

戦略的提携による自社パイプラインの拡充

4社及び1アカデミア、1機関

 

    

当社では、2018年9月30日現在、89のプログラムが進行しております(2018年6月末比5プログラム増加)。下表は、各研究開発ステージにおけるプログラム数を2018年6月末時点のものと比較したものです。

 【プログラム数の推移】

 

2018年6月末時点

2018年9月末時点

進行プログラム数

84

89

リード化合物(Hit-to-Lead Stage)

34

34

前臨床試験対応化合物

8

8

臨床候補化合物(Clinical candidates)

4

4

臨床試験 第1相(フェーズ1)

2

2

臨床試験 第2相(フェーズ2)

0

0

臨床試験 第3相(フェーズ3)

0

0

 

 

1つ目の事業戦略であるPDPSを活用した国内外の製薬企業との創薬共同研究開発契約については、2018年9月25日に、当社は参天製薬株式会社(以下 参天製薬)との間で、複数の創薬標的タンパク質に対して特殊環状ペプチド医薬品を創製する包括的創薬共同研究開発契約を締結いたしました。本契約は、参天製薬が開発を目指す複数の眼科疾患を創薬ターゲットとして、当社がPDPSを用いて特殊環状ペプチドを創製し、化合物の最適化、および前臨床試験の一部を実施した後に、参天製薬において当該特殊環状ペプチドに係る前臨床試験および臨床試験を行う内容になっております。両社の包括的かつ戦略的な特殊環状ペプチド医薬品創製の取組みにより、眼科領域に特化したスペシャリティ・カンパニーである参天製薬の新規医薬品開発がより一層加速されることを期待しております。本契約の締結に伴い、当社は参天製薬から契約一時金および研究開発支援金を受領いたします。また今後、前臨床および臨床試験の進捗状況に合わせてマイルストーンフィーや、製品化後の売上金額に応じたロイヤルティーが当社に支払われることになります。

また、第1四半期においても創薬共同研究開発契約企業から複数のプログラムに対し研究開発支援金を受け取りました。当社は、現在進行しているプログラムにおいて、さらなるマイルストーンが達成され、パートナー企業の許諾を得た上で、新たな進捗の報告をできるものと考えております。それに加えて当社は、創薬共同研究開発に関心のある複数の企業と新たな契約締結交渉を進めております。

2つ目の事業戦略であるPDPSの技術ライセンスについては、2018年9月30日現在、6社;米国ブリストル・マイヤーズ スクイブ社(2013年)、スイス・ノバルティス社(2015年)、米国リリー社(2016年)、米国ジェネンテック社(2016年)、塩野義製薬(2017年)、米国メルク社(2018年)と非独占的なライセンス許諾契約を締結しております。同事業については、技術移管先企業がマイルストーンを達成するまでは、どのような発見が行われ、開発が進んでいるかについて当社は知らされませんが、これらのライセンス先企業から技術ライセンス料とともに開発プログラムの進捗ごとのマイルストーンが当社に支払われることになります。なお、当社はPDPSの非独占的ライセンス許諾に関心をもつ複数の企業との交渉を継続的に進めております。

3つ目の事業戦略は、世界中の特別な技術を有する創薬企業・バイオベンチャー企業及びアカデミア等の研究機関と戦略的提携を組むことで、自社の医薬品候補化合物(パイプライン)の拡充を図ることです。この事業は当社の将来の業績をけん引するものと予想しております。当社は新しい本社・研究所が神奈川県川崎市に完成し、2017年8月に移転したことで、必要とされていた研究スペースや新たな設備の問題が解決し、当社の同事業のプログラム数は大きく拡大いたしました。同事業の目標は、当社の強力な製薬企業とのネットワークを活用して、これらのプログラムを少なくとも第Ⅰ相に入る段階もしくは、第Ⅰ相に入った後、可能であれば第Ⅱ相に入った後まで開発することにより、通常の開発候補品よりも収益性の高い契約条件で大手製薬企業にライセンスアウト(導出)することです。当社では、PDPS技術を用いて同定したヒット化合物を、①特殊ペプチド医薬品、②ペプチド-薬物複合体(PDC医薬品)、③低分子医薬品という3カテゴリーの医薬品群として開発する創薬能力を拡充しております。戦略的パートナーの独自の技術・ノウハウと当社の技術を組み合わせることで生まれたプログラムは、開発費用を両社で負担することにより、開発に成功した場合は、得られる収益のより多くを得ることができる契約となっております。

自社創薬については、ヘマグルチニン(HA)を標的タンパク質とした抗インフルエンザウイルス特殊環状ペプチド「PD-001」に加えて、抗自己免疫疾患・抗アレルギー性炎症(関節リュウマチ、乾癬、多発性硬化症、喘息、ドライアイなど)に関与するIL17を標的タンパク質とした特殊環状ペプチドを用いた医薬品の研究開発など、複数のプログラムが進行しております。当社が研究開発を進めるIL17阻害ペプチドでは、経口剤、塗り薬、吸入剤などの投与経路を採用できる可能性があり、既存の抗体医薬品の投与経路が静脈注射であることに比べて、患者さんにとって利便性向上につながりうるものと期待されます。今後、臨床開発に向けた新たな進捗の報告ができるものと考えております。

戦略的提携による創薬については、当社はこれまで4社(JCRファーマ株式会社、モジュラス株式会社、英国Heptares Therapeutics社、米国Kleo Pharmaceuticals社)との戦略的提携を発表しております。また、川崎医科大学とは難治性希少疾患に対するペプチド創薬に関する共同研究を実施し、ビル&メリンダ・ゲイツ財団からは結核及びマラリア感染症の新規治療薬に関する研究開発助成金を受けております。

JCRファーマ株式会社(以下「JCRファーマ」)とは、血液脳関門(Blood-Brain Barrier:BBB)通過を可能とするキャリアペプチドの創製を行っております。開発されたペプチドに低分子医薬品やペプチド医薬品、抗体医薬品を中心とするタンパク製剤などを結合することにより、これまでBBBを通過できなかった薬を脳内に届けることができ、様々な新しい中枢系神経障害の治療薬となる可能性があります。JCRファーマと当社は疾患モデル動物を用いた試験により安全性や有効性の評価を計画しており、評価が得られた後に疾患ごとに製薬企業にライセンスアウトする計画です。当社はこれらペプチド-薬物複合体(PDC医薬品)が神経疾患や骨格筋疾患の有力な治療薬となると考えております。BBB通過を可能とするキャリアペプチドに関心を持つ企業から数多く問い合わせを受けており、JCRファーマとライセンスアウト戦略に関する詳細検討を進めてまいります。

モジュラス株式会社(以下 モジュラス)とは、これまで開発が難しかった創薬ターゲットに対する低分子医薬品候補化合物の開発を目指しております。モジュラスは最先端の計算科学を駆使した高速かつ効率的な低分子医薬品候補化合物のデザインに関する技術を有する会社です。両社は開発コストを分担し、得られた成果も両社で保有します。当社はPDPSを用いてキナーゼの変化の影響を受けないATP-非競合型インヒビター(アロステリックインヒビター)であるキナーゼ阻害剤の候補となるヒットペプチドをすでに数多く同定しております。両社は得られたヒットペプチドを計算科学を用いて低分子医薬品候補化合物にデザインする能力を高める取組みを進めております。当社は2018年8月9日にモジュラスに対して出資することを決議し、モジュラスの資金調達(シリーズA)に当社は2億円を出資いたしました。当社以外では株式会社ファストトラックイニシアティブ、DBJキャピタル株式会社が出資しております。モジュラスは、今回の資金調達によって、当社との共同研究を含む創薬研究基盤をさらに強化し、研究開発チームの人員増強やモジュラスの持つプラットフォームと強力な相乗作用を期待できる企業やアカデミアのパートナーとグローバルな協力関係を構築していくことを計画しています。

英国Heptares Therapeutics社(以下 ヘプタレス)とは、疼痛、がん、炎症性疾患など複数の適応症において既に検証されているGタンパク質共役受容体(GPCR)として知られるプロテアーゼ活性化受容体(PAR2)を標的として新規治療薬の研究開発・商業化を目的とした戦略的共同研究を行っております。この共同研究では、両社のもつ業界屈指のプラットフォーム技術を集結します。両社で選択したGPCRターゲットに対して、ヘプタレス社のStaRプラットフォームを用いて安定化し、当社のPDPSを用いてヒット化合物を得ることで、両社が有する技術の強みを融合します。本契約のもと、両社はコストを分担し、得られたすべての成果を共同で保有します。2018年5月24日に報告いたしましたとおり、両社はPAR2に対し、高い親和性と選択性を有するペプチド・アンタゴニストを同定しており、このプログラムは現在、Hit-to-Leadのステージに入っております。

米国Kleo Pharmaceuticals(クリオ・ファーマシューティカル、以下 クリオ)とは、複数の適応症でがん免疫治療薬の共同研究開発を行っております。クリオが選択した複数のがん細胞表面及び免疫細胞表面の受容体ターゲットに対して当社のPDPSを用いて特殊環状ペプチドを特定し、最適化を実施します。それらとクリオが有するAntibody Recruiting Molecule(ARM)及びSynthetic Antibody Mimic(SyAM)の技術を用いたPDC医薬品候補化合物を合成します。当社は製品開発の貢献度に応じて、すべての製品から生じる一定の収益を得る権利を有しております。両社はすでにARM及びSyAMの技術を用いたいくつかの化合物の合成が完了し、それらを用いた機能試験の結果は極めて良好で、治療薬としての有望性を示唆するものとなっております。

川崎医科大学とは、難治性希少疾患であるデュシェンヌ型筋ジストロフィー(DMD)に対するペプチド創薬の共同研究開発を続けています。DMDは進行性の筋力低下を特徴とする遺伝疾患で、有効な治療法が確立されていません。共同開発したマイオスタチンを標的タンパク質としたペプチド医薬品候補は、DMDのモデル動物に投与した際に筋力低下を有意に改善しており、革新的筋萎縮阻害剤に向けて順調に進捗しております。川崎医科大学と当社は現在前臨床試験を加速しており、近い将来に臨床試験に入れるよう全力で取り組んでおります。

ビル&メリンダ・ゲイツ財団(以下 ゲイツ財団)とは、世界の最貧国において大きな問題となっている2つの感染症である結核及びマラリアを治療するための新規特殊環状ペプチドを見出すことを目的とした複数のプログラムにつき、ゲイツ財団からの助成金による研究開発を行っております。この助成金により開発される治療薬は、ゲイツ財団との合意に基づき、貧しい国においては安価で提供されます。一方、先進国においては、ペプチドリームが自社での製品化及び自由なライセンス活動の権利を有しております。

当社は今後も特定の分野で世界をリードする優れた技術を有するバイオベンチャー企業やアカデミア等の研究機関との戦略的提携を通じて、次世代のファーストインクラス(first-in-class)及びベストインクラス(best-in-class)となる優れた治療薬の開発に向けた取組みを加速して参ります。

当社は塩野義製薬、積水化学工業株式会社と合弁で特殊ペプチド原薬の研究開発、製造及び販売を行うCMO(Contract Manufacturing Organization:医薬品製造受託機関)・ペプチスター株式会社(以下 ペプチスター)を設立いたしました。ペプチスターは日本の様々な会社の技術を基に高品質、高純度でしかも製造コストを大幅に下げる最先端技術を開発、提供することを目指しております。ペプチスターは当社の創薬共同研究開発企業だけでなく、戦略的提携により自社開発品の製造も請け負うことが予想されます。同社の工場は大阪府摂津市に建設中で、2019年に商業生産を開始する計画です。

2018年7月19日に、当社はサステイナビリティへの取り組み(ESG)に関して、当社の基本方針、重点取組み、主要データ/指標についての情報開示を目的に、自社WEBサイト上に専門ページを開設したことを報告いたしました。当社は地球環境への配慮、社会・従業員に関する取り組み、企業統治(ガバナンス)に関して業界トップクラスの水準を目指して取り組んでまいります。

当社の従業員は2018年9月30日現在で96名(派遣を含む。女性社員比率は約4割)となっております(2018年6月末比5人増)。取締役7名を含めると総勢103名の体制となりました。なお、中国でアミノ酸や低分子化合物の合成や製造等を委託しているCRO内には当社専属で15名が勤務しております。

以上の結果、当第1四半期累計期間における売上高は555,634千円(前年同四半期比384,241千円増加)、営業損失128,143千円(前年同四半期比902,585千円減少)、経常利益54,536千円(前年同四半期は経常損失932,592千円)、四半期純利益33,300千円(前年同四半期は四半期純損失649,779千円)となりました。

なお、当社の事業は単一のセグメントであるため、セグメント別の記載を省略しております。

 

 

(2)財政状態の分析

当第1四半期会計期間の総資産は15,823,995千円となり、前事業年度末と比べて678,268千円減少しました。その主な要因は、現金及び預金が2,094,357千円増加したものの、売掛金2,465,992千円減少したこと等によるものです。

負債は1,073,032千円となり、前事業年度末と比べて720,517千円減少しました。その主な要因は、未払法人税等が606,253千円、前受金が76,410千円減少したこと等によるものです。

純資産は14,750,963千円となり、前事業年度末と比べて42,248千円増加しました。その主な要因は、四半期純利益により利益剰余金が33,300千円増加したこと等によるものです。

 

(3)キャッシュ・フローの状況

当第1四半期累計期間における現金及び現金同等物は、前事業年度末に比べ2,094,357千円増加し、5,599,706千円となりました。

当第1四半期累計期間における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は、次のとおりであります。

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

営業活動によるキャッシュ・フローは、法人税等の支払額555,133千円等があったものの、税引前四半期純利益54,536千円の計上、売掛債権の減少額2,465,992千円等により、2,175,725千円の収入(前年同四半期は264,980千円の支出)となりました。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

投資活動によるキャッシュ・フローは、投資有価証券の取得による支出199,997千円等により、214,189千円の支出(前年同四半期比2,176,902千円の支出減少)となりました。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

財務活動によるキャッシュ・フローは、新株予約権の行使による株式の発行による収入9,051千円により、9,051千円の収入(前年同四半期比51,328千円の収入減少)となりました。

 

(4)事業上及び財務上の対処すべき課題

当第1四半期累計期間において、当社が対処すべき課題について重要な変更はありません。

 

(5)研究開発活動

当第1四半期累計期間における研究開発費の総額は、222,204千円であります。

なお、当第1四半期累計期間において、当社の研究開発活動の状況に重要な変更はありません。

 

3 【経営上の重要な契約等】

2018年9月25日に参天製薬株式会社との間で、複数の創薬標的タンパク質に対して特殊環状ペプチドを創製する包括的創薬共同研究開発契約を締結いたしました。