(注) 1.売上高には消費税等は含まれておりません。
2.第11期以前の持分法を適用した場合の投資損益については、関連会社が存在しないため記載しておりません。
3.2015年6月9日開催の当社取締役会の決議に基づき、2015年7月1日付で普通株式1株につき4株の株式分割を行っております。第9期の期首に当該株式分割が行われたと仮定して1株当たり純資産額、1株当たり当期純利益金額及び潜在株式調整後1株当たり当期純利益金額を算定しております。
4.2017年6月13日開催の当社取締役会の決議に基づき、2017年7月1日付で普通株式1株につき2株の株式分割を行っております。第10期の期首に当該株式分割が行われたと仮定して1株当たり純資産額、1株当たり当期純利益金額及び潜在株式調整後1株当たり当期純利益金額を算定しております。
5.第11期より1株当たり当期純利益金額及び潜在株式調整後1株当たり当期純利益金額の算定上の基礎となる普通株式の期中平均株式については、資産管理サービス信託銀行株式会社(信託E口)が所有する当社株式を控除対象の自己株式に含めて算出しております。また、1株当たり純資産額の算定においては、期末発行済株式総数から控除する自己株式数に含めて算出しております。
6.従業員数は、就業人数であり、使用人兼務役員は含まれておりません。
7.最高株価及び最低株価は、東京証券取引所市場第一部におけるものであります。
8.最高・最低株価は、2015年12月16日より東京証券取引所第一部におけるものであり、それ以前は同取引所市場マザーズにおけるものであります。
9.※印は株式分割(2015年7月1日付で1株につき4株の割合で株式分割)による権利落後の最高・最低株価を示しております。
10.□印は株式分割(2017年7月1日付で1株につき2株の割合で株式分割)による権利落後の最高・最低株価を示しております。
2005年7月に、株式会社東京大学エッジキャピタル(UTEC)及び株式会社東京大学TLO(CASTI)の紹介にて、菅裕明(当社のコア技術・フレキシザイムの開発者であり、当社元社外取締役)と窪田規一(現当社代表取締役)が出会いました。技術的には伍していても、事業としては欧米の後塵を拝し、閉塞感のある日本のバイオ業界の現状に対し、新しい創薬の方向について語り合い、お互いに一つの夢を共有するに至りました。「日本発・世界初の新薬を創出し社会に貢献したい」という共通の夢から、バイオ創薬における独創的な製薬メーカーに成長することを標榜し、2006年7月に東京大学先端科学技術研究センターの国際・産学共同研究センターにて当社は設立されました。そして、「フレキシザイム技術」に始まる独自の知的財産の強みを最大限に生かしたビジネスモデルを構築することができました。
当社は、当社のモットーである"Our Dreams can come TRUE !"に沿って「日本発・世界初の新薬を創出し社会に貢献したい」という夢に向かって着実に歩んでおります。
当社設立以後の変遷は、以下のとおりであります。
当社は、当社独自の創薬開発プラットフォームシステム(*1)であるPDPS(Peptide Discovery Platform System)を活用して、国内外の製薬企業との共同研究開発のもと、新しい医薬品候補物質の研究開発を行っています。
当社の事業の系統図は、次のとおりです。なお、当社のセグメントはアライアンス事業のみの単一セグメントであります。
<事業系統図>

(注) 当社の各種売上金の詳細については後述「(4) 当社のビジネスモデルについて」に記載のとおりであります。
当社は、特殊ペプチドを基にした医薬品開発を中核とした事業を展開しております。「特殊ペプチド」とは、当社窪田(現当社取締役会長)の造語ですが、生体内タンパク質を構成する20種類のL体のアミノ酸だけではなく、特殊アミノ酸と呼ばれるD体のアミノ酸やNメチルアミノ酸等を含んだ特殊なペプチドをいいます。当社では、後述のとおり創薬に適していると考えられるこの特殊ペプチドから医薬品候補物質を創製することを主たる事業としております。
特殊ペプチドによって創薬開発を行うことを可能にするため、当社は創業以来、創薬開発基盤システムを創り上げることに注力してまいりました。その成果が、当社独自の創薬開発プラットフォームシステム(PDPS)です。当社は、このPDPSにより、多様性を持った特殊ペプチドのライブラリーを作製し、標的分子(ターゲットタンパク)に対して適した特殊ペプチドを短期間でスクリーニングすることができるようになりました。
当社の事業の概要は、次のとおりであります。(A)創薬共同研究開発:当社と製薬企業との間で創薬共同研究開発契約を締結すると、当社は、製薬企業から契約一時金、研究開発支援金等の売上金及び標的分子(ターゲットタンパク)を受領します。その後、当社では、PDPSを活用して多様性のある特殊ペプチドのライブラリーを作製し、標的分子に対してアフィニティ(他の分子との特異的な親和性)のある特殊ペプチドをPDPSにより高速でスクリーニングして製薬企業に提供します。提供された特殊ペプチドは、その後、製薬企業において創薬開発が進められることになりますが、製薬企業の創薬開発が成功裡に進めば、当社は創薬開発の進捗段階に応じて、当該特殊ペプチドに係る製品の上市に至るまで及び上市後においても契約に基づき種々の対価を受領することができます。(B)PDPS技術貸与(PDPS技術ライセンス):当社との創薬共同研究開発を通じて、製薬企業は当社のPDPSが持つ能力に関心を抱くようになり、製薬企業からPDPSを当該製薬企業内で使いたいとの要望が出てくるようになりました。これを受けて、当社では研究開発コラボレーションの一環として、共同研究開発先に対してPDPS技術の非独占的な実施許諾(技術ライセンス契約 、技術貸与)を行っています。(C)戦略的提携による自社パイプラインの拡充(戦略的提携/自社創薬):当社は、自社の医薬品候補化合物(パイプライン)を複数本有しており、これらの医薬品候補物質を医薬品にするため、自社内で研究開発を進めています。また、世界中の特別な技術を有する製薬企業やバイオベンチャー企業、アカデミア等の研究機関と戦略的提携を組むことで、自社のパイプラインの拡充を図っています。
創薬開発の歴史的スタートは、1897年にバイエル社の研究者によって開発されたアスピリン(*2)が市販された1899年だとされております。それから100年以上にわたり低分子医薬品(*3)が創薬の中心的なポジションを占めてきました。
1980年代には抗体(*4)を医薬品に利用するべく研究がすすめられましたが抗原性の問題(*5)等により、実用には至りませんでした。その後も、欧米の製薬企業が長期にわたり研究開発を進めた結果、1997年頃から抗体医薬(*6)が発売され、2000年代は抗体医薬が創薬開発の中心になっております。しかし、低分子医薬、抗体医薬とも医薬品として素晴らしい特性はあるものの、一方でそれぞれいくつかのウイークポイントも持っております。(下表<低分子医薬と抗体医薬の特徴>参照)
そのため現在、世界の多くの大手製薬企業は低分子医薬・抗体医薬に続く次世代の創薬開発を目指し、積極的な活動を行っております。
<低分子医薬と抗体医薬の特徴> ※当社見解に基づく/当社作成

<用語解説>
一般的にいわれるペプチド(*10)は、2個以上の天然型アミノ酸(*11)が結合して作られた化合物の総称であり、生体内においては、ホルモンや各種伝達物質として働く生体にとって不可欠なものです。ペプチドは生体内で重要な働きを担っていることから、古くから創薬の候補物質として注目されていました。しかしながら、少数の事例を除き、いくつかの問題点により創薬に結びつくまでには至っていませんでした。これに対し、当社が創出する新しい医薬品候補物質、すなわち特殊ペプチド(*12)は、下表<一般的なペプチドと特殊ペプチドの違い>(当社作成)のとおり、今までの一般的なペプチドの(医薬品候補物質としての)問題点の多くを解決することにより、医薬品候補物質としてよりふさわしい特徴を持つことができる可能性があると期待されています。
<一般的なペプチドと特殊ペプチドの違い> ※当社見解に基づく/当社作成
これまでの医薬品の中心である低分子医薬と抗体医薬は、医薬品としての優位点と共に問題点も併せ持っております。たとえば、低分子医薬は、下表<低分子医薬・特殊ペプチド医薬・抗体医薬の分子量比較>(当社作成)のとおり、分子量(*16)が相対的に小さく様々な種類のターゲット(標的分子)に対応できること(ターゲットの多様性)が優位点です。その一方で、ターゲットに対する結合力や特異性が劣り、標的とするターゲットに結合せずに結合すべきでない分子に結合してしまうことなどにより、多くの副作用を引き起こしてしまう(生体内毒性が低くない)リスクが相対的に高いことが問題点となります。
一方、抗体医薬は、低分子医薬に比べてその分子量が非常に大きいため、ターゲットの多様性は低いものの、ターゲットに対する結合力や特異性に優れていることが優位点になります。しかし、その大きさゆえに細胞内のターゲットに対応できず経口投与ができないことや、生体内で免疫反応を惹起してしまう(生体が異物と判断してしまう)リスクが相対的に高いことなどの問題点も数多く存在します。
低分子医薬や抗体医薬に比べて、特殊ペプチドは、分子量で評価すると低分子医薬よりやや大きい程度であることや、前述の物質的な特性から、下表<低分子医薬・抗体医薬・特殊ペプチド医薬の特性(能力)比較>(当社作成)のとおり、従来の低分子医薬や抗体医薬の問題点を低減しながら、同時に双方の優位点を実現できる可能性があります。
<低分子医薬・特殊ペプチド医薬・抗体医薬の分子量比較> ※当社作成
<低分子医薬・抗体医薬・特殊ペプチド医薬の特性(能力)比較> ※当社見解に基づく/当社作成
(注) 「○」は備える又は優れると思われる能力 / 「△」は備えると期待される能力
「×」は備えていない又は劣ると思われる能力
次に、このような特殊ペプチドのターゲットに対する強い結合力を視覚的に説明するために特殊ペプチドが創薬のターゲットとなるタンパク質に結合している状況を分析したデータに基づくイメージ画像(タンパク質X線結晶構造解析(*17))を掲示します。
医薬品は、創薬のターゲットとなるタンパクに結合し働くこと(生理活性)により、薬としての機能を発揮します。つまり、創薬のターゲットタンパクに強く特異的に結合することが重要になります。次の図は、その特殊ペプチドの特徴をよく表しております。
<特殊ペプチドの結合:複数点による結合> ※共同研究開発に伴う当社データ
特殊ペプチドのターゲットタンパクに対する結合の一様式は複数のアンカーを複数のポイントに対して打ち込んだ形であり、低分子医薬のようにターゲットに対して多くの多様性を持っているうえ、低分子医薬よりもはるかに強固な結合力を保持しております。そのことが、特異性の高さにも結び付いております。
<特殊ペプチドの結合:標的分子の表面に絡みついて結合している様子>

※Suga & Nureki Lab.データ
抗体医薬は、創薬のターゲットとなるタンパクの表面にしっかりと張り付く形で結合しております。低分子医薬が点(ポイント)で創薬ターゲットタンパクを捉えているのに対して、抗体医薬は面で創薬ターゲットタンパクを捉えていることになります。
前頁の図<特殊ペプチドの結合:標的分子の表面に絡みついて結合している様子>は特殊ペプチド(六角形の集まり)がターゲットタンパク(らせん状のリボン)に結合しているX線結晶構造解析結果です。抗体医薬と同じようにターゲットタンパクの表面にしっかりと絡みついて結合しています。
このことから、特殊ペプチドはまさにサイズの小さい抗体医薬といえます。小さいサイズながら抗体医薬とそん色のない特性を持っている理由はこのような結合の形によるものです。
<特殊ペプチドの結合:標的分子の内側に潜り込んで絡みついて結合している様子>

※Suga & Nureki Lab.データ
上図は先ほどの<特殊ペプチドの結合:標的分子の表面に絡みついて結合している様子>の図とは異なるターゲットタンパクに対する特殊ペプチドのX線結晶構造解析結果です。特殊ペプチドはターゲットタンパクの表面ではなく内側に潜り込み絡み付くように結合しているのがわかります。抗体医薬ではその大きさの問題からこのようにターゲットタンパクの内側に対する結合様式を持つことはできません。
特殊ペプチドは、創薬ターゲットタンパクの特徴に合わせて、特異性の高い強固な複数の結合形態をとることができる多様性を持った医薬品候補物質と言うことができます。
これまで説明してきたように、特殊ペプチドが結合したターゲットタンパクのX線結晶構造解析により、どのように特殊ペプチドが働いているのかを詳細に理解することができます。これらの情報をもとに、最先端の創薬技術を活用することで、近年では特殊ペプチドとターゲットタンパクとの結合のしかたを再現するような低分子医薬をデザインすることが可能となってきました。現在当社では特殊ペプチドのような結合力や特異性を有した低分子医薬の開発を進めております。
また、特殊ペプチドそのものを医薬品として利用するのではなく、結合力や特異性などの特徴を利用し、生体内の特定の部位や臓器に別の薬剤を送達するキャリアー(運び屋)として利用するPDC(*18)の開発をすることも可能であり、当社では自社パイプライン(*19)の一環としてPDCの研究開発を進めております。
<用語解説>
特殊ペプチドを医薬品候補物質として活用するためには、多くのハードルを越えなければなりませんでした。これまで、特殊ペプチドの特徴である特殊アミノ酸(*20)を組み込んで医薬品候補物質として活用するためには、多くの時間や労力を要し、容易ではありませんでした。
また、生体(細胞)がペプチドを作るときに組み込めるアミノ酸の種類は20種類の天然型アミノ酸に限られているため、無細胞翻訳系(*21)によっても合成することができませんでした。
当社は、それらの問題点を解決し、特殊ペプチドを大規模な創薬ライブラリー(*22)として構築できる技術・システムを開発しました。それが、フレキシザイム(Flexizyme)技術であり、FITシステム(Flexible In-vitro Translation system)であります。
フレキシザイムは、当社の創立者の一人である菅裕明・東京大学教授が、長期にわたる研究の結果、完成させた「多目的tRNA(*23)アシル化(*24)RNA触媒(*25)」です。
ペプチドが翻訳合成(*26)されるときアミノ酸ごとに1種類の特定のtRNAが結合します。これがアミノアシル結合と呼ばれる現象です。
アミノ酸とtRNAは特定の対の関係になっており、その対の組合せを基にアミノ酸とtRNAをアミノアシル結合させるのがARS(アミノアシルtRNAシンセテース)と呼ばれる酵素(*27)です。
ARSもアミノ酸とtRNAの対の組合せと同じように特定の対の関係があります。アミノ酸・tRNA・ARSの組合せは明確に特定されており、それは生物のルールであると考えられていました。さらにそれぞれのARSは20種類の天然型アミノ酸にのみ対応しており、特殊アミノ酸に対応するARSは存在しませんでした。
ところが、フレキシザイムは単体でARSに代わりすべてのアミノ酸(非天然型アミノ酸を含む)とtRNAを自由に組合せ結合することができるスーパー触媒ともいうべき特徴を持っております。
それにより、アミノ酸とtRNAの組合せは無限大に近くなりました。
当社のフレキシザイム技術は、今まで無細胞翻訳系により組み込むことが困難であった特殊なアミノ酸を簡単に、そして迅速にペプチド合成の中に組み込むことを可能にした独自の技術です。
特殊なアミノ酸を組み込んだペプチドを創製することが容易になったことで特殊ペプチドは生体内における安定性が増し、分解されにくいという特質を活かして医薬品としての作用を発揮する素地の一つを整えることになりました。そのほか、細胞膜の透過性を持つ特殊ペプチドも採れており、細胞内の標的をターゲットにすることもできるようになりました。
次にFITシステムですが、フレキシザイム技術で創製できるようになった特殊ペプチドを下表<医薬品候補物質の多様性の比較>(当社作成)のとおり、FITシステムにより多様性(数や種類)を持ったライブラリーとして構築することができるようになりました。
低分子医薬のライブラリーの多様性を1としたとき、おおよその値として、抗体医薬はその1万倍程度の多様性を持ち、特殊ペプチドは低分子医薬の1億倍程度の多様性を持っております。ライブラリーの多様性は、医薬品としての候補物質を含んでいる可能性を高めるため、多様性が大きくなればなるほど、医薬品候補物質発見の可能性も高くなります。この多様性の比較からも、当社の特殊ペプチドライブラリーは、まだ見ぬ医薬品候補物質を生み出す大きな可能性を持っているものと考えております。(現在、当社ではさらなる改良を加えて独自の翻訳合成系として活用しています。)
<医薬品候補物質の多様性の比較> ※当社作成
(注) 「多様性の比較」は左記「多様性」における下端の値をとっております。
RAPIDディスプレイシステムは、特殊ペプチドを短期間でスクリーニング(*28)できる高速のスクリーニングシステムです。
従来のライブラリーに比べて格段の多様性を持っている特殊ペプチドライブラリーを活用するためには、数千億から兆単位の数の特殊ペプチドを効率的かつ高速、正確にスクリーニングする必要があります。
当社は、FITシステムの特徴を最大限に生かし活用するために、独自にRAPIDディスプレイシステムを開発しました。RAPIDディスプレイシステムは、無細胞翻訳系において合成された特殊ペプチドの特徴を生かして、ターゲットタンパクに対して結合力・特異性・選択性の秀でた特殊ペプチドを短期間でスクリーニングできる高速のスクリーニングシステムです。(現在、当社ではさらなる改良を加えて独自のディスプレイシステムとして活用しています。)
当社は、フレキシザイム技術とFITシステムを組合せ、多様性を持つ特殊ペプチドライブラリーを構築することができるシステム:PDTS(Peptide Discovery Translation System)を作り上げ、さらに特殊ペプチドライブラリーを高速スクリーニングすることを目的として開発したRAPIDディスプレイシステムをPDDS(Peptide Discovery Display System)と位置付け、この3つの独自技術・システムを組み合わせた独自の創薬開発プラットフォームシステム:PDPS(Peptide Discovery Platform System)を構築しました。
<用語解説>
当社は先端研究開発型製薬企業であり、知的財産権の開発・維持・発展は重要な経営ポイントになります。
次の図は、当社の特許ポートフォリオの概念図です。この図のように当社の特許ポートフォリオは、③(及び①・②)の特許をコアにして、周囲を取り囲むように関連する複数の特許・発明(④・⑤・⑥・⑦)で固めることにより、特許(技術)が単独のものとして孤立することなく、当社の創薬開発プラットフォームシステム(PDPS)が「システム」として機能するように設計しております。
<当社の特許ポートフォリオの概念図>

(注) 上図の「特許」には特許登録されているものと出願中のものがあります。
さらに、この創薬開発プラットフォームシステム(PDPS)の特許・発明群を各種ライブラリーの発明が取り囲む形にすることにより、特許ポートフォリオを同心円状に強化することが可能になりました。
コアとなる7つの特許・発明の詳細は次の表のとおりです。①と②はニューヨーク州立大学が出願人であり、③・④・⑤・⑦は国立大学法人東京大学が出願人であり、⑥は当社が出願人であります。その他にライブラリー特許(発明)、ノウハウ特許(発明)、物質特許(発明)があり、それらについても随時権利化(出願)を進めております。
なお、当社は、ニューヨーク州立大学及び国立大学法人東京大学の上記特許について、第三者サブライセンス権(*29)付き独占実施・許諾権(*30)を取得しております。
<当社の特許ポートフォリオ(*31)>
①と②はフレキシザイム(Flexizyme)技術開発に関わる基本特許です。③はフレキシザイムそのものに関する特許であり、PDTS(Peptide Discovery Translation System)の中心となる特許であります。
⑥は特殊ペプチドライブラリーを高速スクリーニングすることができるRAPIDディスプレイシステムの特許であり、PDDS(Peptide Discovery Display System)の中心となる特許であります。(現在、当社ではさらなる改良を加えて独自のディスプレイシステムとして活用しています。)
⑦は翻訳合成系にて特殊ペプチドをライブラリー化するFITシステムの発明であり、PDTSの中心となる発明であります。(現在、当社ではさらなる改良を加えて独自の翻訳合成系として活用しています。)
④はペプチド、タンパクが翻訳合成されるとき、Met(メチオニン)というアミノ酸から合成が開始されるという生命の基本的なルールを書き換えることを可能にした技術特許です。この技術特許によりMet(メチオニン)以外のあらゆるアミノ酸から合成を開始することができるようになりました。当社は、この技術により、合成するペプチドの形状を自由に変えることができるようになり、特殊ペプチドに対し従来では考えられなかった多様性を持たせることが可能になりました。
⑤はペプチドを特殊な環状化構造(*32)にする発明です。この技術により特殊ペプチドが生体内での安定性や構造の安定性を確保することができるようになりました。
以上、①から⑦までの特許によって当社独自の創薬開発プラットフォームシステム:PDPS(Peptide Discovery Platform System)が構成されております。
さらに、概念図中「ライブラリー特許」とあるのは、各種、特殊ペプチドライブラリーを作成する技術であり、これらにより特殊ペプチドの可能性を拡大するとともにポートフォリオを強化することができます。ライブラリーの発明は、今後、研究開発の進展によりさらに増加させていくことが可能と考えております。
概念図中「ノウハウ特許」とあるのは、特定の機能を持った特殊ペプチドをスクリーニングする技術であり、各種機能を持ちうる特殊ペプチドを特定の機能に絞り込み、スクリーニングの段階で選別することが可能になりました。
概念図中「物質特許」とあるのは、研究途上で発見された特殊ペプチドの物質特許(発明)であります。当社の通常の共同研究活動では、特殊ペプチドの物質特許(発明)は、創薬開発権利金の支払いと引き換えに、クライアントに対し提供されますが、この発明はクライアントとは関係なく発生したものであります。
<用語解説>
当社の基本的な共同研究開発契約は、クライアントから標的分子(ターゲットタンパク)を受領し、その標的分子ごとにプロジェクトを設定し、順調に研究開発が進めば一連の複数カテゴリーの売上が立つように設計されております。
次の図(<当社における一般的な共同研究開発契約の内容と流れ>)は、当社がクライアント企業と共同研究開発契約を締結する場合の一般的な当社の売上カテゴリーの流れを示したものです。
当社では、当社の創薬開発プラットフォームシステム:PDPSを使うことに対する対価(テクノロジカルアクセスフィー)としてまず「契約一時金(A)」を受領することを原則としております。さらにその後の研究開発にかかる対価として標的分子ごとに「研究開発支援金(B)」を原則として前受にて受領しております。また、追加業務が発生する場合の対価として「追加研究開発支援金(C)」を標的分子ごとに設定しており、プロジェクトによっては(C)の売上が発生します。当社は、これらの金額を初期のディスカバリーステップ時に受領しているため、事業展開の早期から売上を生み出すことができます。
その後、クライアントでの評価により医薬品候補物質が特定され、クライアントが前臨床試験、臨床試験の段階に進む場合には、当該特殊ペプチドを当社がクライアントにライセンスアウトすることの対価として「創薬開発権利金(D)」が発生します。当社がクライアントに対し、あらかじめ定められた一定の条件をクリアした特殊ペプチドを提供した後(すなわち(B)・(C)より後のフェーズ)は、医薬品候補物質に係る開発の進捗はクライアントに委ねられており、当社でのコントロール及び売上予測は極めて困難になるという特徴があります。
<当社における一般的な共同研究開発契約の内容と流れ>

(D)以降も引き続き開発が進みクライアントでの評価ステップを経て、臨床試験等の段階に移行すれば、その段階に応じて、各「目標達成報奨金(E)」「売上ロイヤルティ(E)」を当社は受領することになります。「売上ロイヤルティ」では、最終的に上市された医薬品としての売上金額に対して、一定の料率を乗じて得られる額を「売上ロイヤルティ」として当社が受領します。加えて、上市された医薬品の売上高が所定の金額に達した場合には「売上達成報奨金(E)」も受領します。
当社の共同研究開発契約の特徴としては、このように初期のディスカバリーステップから、売上が発生する取り決めとなっていることのほかに、最初の契約締結時において契約一時金から売上ロイヤルティまでのすべての売上カテゴリー(P)に関して、それらの金額又は金額の計算方法が原則として確定的に規定されていることが挙げられます。
これまでのビジネスモデルでは、初期のディスカバリーステップは「フィージビリティースタディ」(*33)と評価され、売上が発生しないケースが多かったと認識しておりますが、当社のビジネスモデルでは、早期に売上を生み出すために上記の契約内容で契約を締結することに注力しております。
当社の事業セグメントは、上記のとおり製薬企業との共同研究開発契約をもとにした「アライアンス事業」1本です。共同研究開発の取り組みを通じて、共同研究開発先からの要望により、共同研究開発先との間で当社の創薬開発プラットフォームシステム:PDPS技術を貸与する(技術ライセンス契約の締結)ことがあります。当該契約を締結した場合、当社はその契約内容に応じて種々のライセンスフィーを共同研究開発先から受領します。
<用語解説>
(注) 有価証券届出書又は有価証券報告書を提出している会社はありません。
2019年6月30日現在
(注) 1.従業員数は、契約社員を含む就業人員であります。
2.全社(共通)と記載されている従業員数は、管理部門の従業員であります。
3.平均年間給与は、賞与及び基準外賃金を含んでおります。
4.単一セグメントであるため、事業部門別の人数を記載しております。
5.前事業年度末に比べ従業員数が21名増加しております。主な理由は業容の拡大に伴う期中採用によるものであります。
労使組合は結成されておりませんが、労使関係は円満に推移しております。