第2 【事業の状況】

 

1 【事業等のリスク】

当第1四半期累計期間において、当四半期報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項の発生又は前事業年度の有価証券報告書に記載した「事業等のリスク」についての重要な変更はありません。

 

2 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

当第1四半期累計期間(2021年1月1日から2021年3月31日)において、当社独自の創薬開発プラットフォームシステムであるPDPS(Peptide Discovery Platform System)を活用した3つの事業戦略:①創薬共同研究開発契約、②PDPSの技術ライセンス、③戦略的提携による自社パイプラインの拡充を進めてまいりました。

 

当社では、2021年3月31日現在、121のプログラムが進行しております(2020年12月末比1プログラム増加)。

下表では、各創薬アプローチごとのプログラム数を記載しております。

【創薬アプローチごとのプログラム数】

2021年3月末時点

特殊ペプチド医薬品

81

低分子医薬品

ペプチド-薬物複合体(PDC医薬品)

40

121

 

 

下表では、各研究開発ステージにおけるプログラム数を2020年12月末時点のものと比較しております。

【研究開発ステージごとのプログラム数】

2020年12月末時点

2021年3月末時点

ターゲット検証 - ヒット化合物

39

38

ヒット化合物 - リード化合物(Hit-to-Lead)

58

58

リード化合物 - GLP安全性試験 (Lead-to-GLP-Tox)

13

14

GLP安全性試験 - IND申請(GLP-Tox-to-IND)

8

9

臨床試験 第1相(フェーズ1)

2

2

臨床試験 第2相(フェーズ2)

0

0

臨床試験 第3相(フェーズ3)

0

0

120

121

 

(注)上記のプログラム数は、PDPSの非独占的技術ライセンス先でのプログラムを含んでおりません。

 

1つ目の事業戦略であるPDPSを活用した国内外の製薬企業との創薬共同研究開発契約については、2021年2月17日に、当社はドイツ・バイエル社(以下 バイエル社)との間で進行中の創薬共同研究開発プログラムにおいて、2つ目のプログラムがヒットペプチドとして設定されていたクライテリア(共同研究開発先と合意している生物活性及び物性等の基準の総称)を達成したことを発表いたしました。本マイルストーン達成に伴い、当社はマイルストーンフィーを受領いたしました(金額は非開示)。当社はバイエル社と2017年11月16日に創薬共同研究開発契約、さらに2020年5月27日にその拡大契約を締結しております。今後も、バイエル社における非臨床及び臨床試験の進捗状況に合わせ、マイルストーンフィーや、製品化後には売上金額に応じたロイヤルティーが当社に支払われることになります。

当第1四半期においても、創薬共同研究開発を進めている複数のパートナー企業から研究開発支援金を継続的に受領しております。今後、現在進行しているプログラムについて、さらなるマイルストーンが達成され、パートナー企業の許諾を得た上で、新たな進捗の報告をできるものと考えております。また、当社は創薬共同研究開発に関心のある複数の企業との間で新たな契約締結に向けた交渉を継続的に進めております。

 

2つ目の事業戦略であるPDPSの技術ライセンスについては、2021年3月1日に、当社は小野薬品工業株式会社(以下 小野薬品)との間で、PDPSの自動化プラットフォームを用いた運用に関して、小野薬品に対する非独占的ライセンス許諾契約(以下 技術ライセンス契約)を締結いたしました。小野薬品はPDPSの技術ライセンス契約としては10社目となりますが、PDPSの自動化プラットフォームを用いた運用に特化した技術ライセンス契約としては2社目となります。

2021年3月31日現在、10社;米国ブリストル・マイヤーズ スクイブ社(2013年)、スイス・ノバルティス社(2015年)、米国リリー社(2016年)、米国ジェネンテック社(2016年)、塩野義製薬株式会社(2017年)、米国メルク社(2018年)、ミラバイオロジクス株式会社(2018年)、大鵬薬品工業株式会社(2020年)、ベルギー・ヤンセンファーマ社(2020年)、小野薬品工業株式会社(2021年)との間で技術ライセンス契約を締結しております。同事業においては、各ライセンス先企業から技術ライセンス料とともに開発プログラムの進捗ごとのマイルストーンフィーが当社に支払われます。なお、マイルストーンを達成するまでの間は、ライセンス先企業での研究内容や進捗について当社に知らされることはございません。また、当社はPDPSの技術ライセンス契約に関心をもつ複数の企業との交渉を継続的に進めております。

 

3つ目の事業戦略は、世界中の高い技術力を有する創薬企業・バイオベンチャー企業及びアカデミア等の研究機関と戦略的提携を組むことで、自社の医薬品候補化合物(パイプライン)の拡充を図ることが狙いです。同事業においては、当社の強力な製薬企業とのネットワークを活用し、これらのプログラムを少なくとも第Ⅰ相に入る段階もしくは、第Ⅰ相に入った後、場合によっては第Ⅱ相まで開発を進めることにより、通常の開発候補品よりも収益性の高い条件で大手製薬企業にライセンスアウト(導出)することを目標にしております。当社では、PDPS技術を用いて同定したヒット化合物を起点に、①特殊ペプチド医薬品、②低分子医薬品、③ペプチド-薬物複合体(PDC医薬品)の3つのカテゴリーの医薬品開発を進めていくために必要な能力の拡充を進めております。同事業では、戦略的パートナーの独自の技術・ノウハウと当社の技術を組み合わせることでより高い価値のプログラムが生み出されることに加え、開発費用を両社で負担することにより、開発に成功した場合には、従来の創薬共同研究開発プログラムと比べてより高い比率の売上ロイヤルティーが当社に支払われます。また、自社創薬についても、複数の創薬プログラムが進行しており、今後、臨床開発に向けた新たな進捗の報告ができるものと考えております。

当社はこれまで11社(JCRファーマ株式会社、モジュラス株式会社、英国ヘプタレス・セラピューティクス社、米国バイオヘイブン・ファーマシューティカル社、日本メジフィジックス株式会社、ポーラ化成工業株式会社、JSR株式会社、三菱商事株式会社(ペプチグロース株式会社)、米国レイズバイオ社、ペプチエイド株式会社、仏国アモライト・ファーマ社)との戦略的提携を発表しております。また、川崎医科大学とは難治性希少疾患に対するペプチド創薬に関する共同研究を実施し、ビル&メリンダ・ゲイツ財団からは結核に対する新規治療薬開発に関する研究支援金を受領しております。

JCRファーマ株式会社(以下 JCRファーマ)とは、2016年2月に開始した共同研究において、血液脳関門(Blood-Brain Barrier:BBB、以下「BBB」)を通過し脳組織へ医薬品候補化合物を届けることを可能とするキャリアペプチドの創製に成功しています。多くの薬物はBBBを容易に通過することができず、脳内への取り込み効率の低さが中枢神経疾患の医薬品開発において大きな課題となっております。今回創製したキャリアペプチドは、抗体を中心とするタンパク質、ペプチド、核酸、低分子化合物等、様々な種類の治療薬と結合し、PDCとすることで脳内への取り込み効率を向上させる効果を有しております。また、本キャリアペプチドは共通するメカニズムを介して筋組織への効率的な治療薬の輸送も実現いたします。神経筋疾患の医薬品開発においては、全身に存在する筋肉内標的組織に治療薬を届けることが大きな課題となっており、本キャリアペプチドはこうした課題を解決する手段としても応用可能です。第三者へのライセンス活動については、契約締結からキャリアペプチドの供給まで主として当社が担当しており、2020年12月22日には、武田薬品工業株式会社(以下 武田薬品)との間で神経筋疾患領域における包括的な共同研究及び独占的ライセンス契約の締結を発表いたしました。本キャリアペプチドのライセンス活動によって得られる収益は、当社とJCRファーマとの間で分配されます。

モジュラス株式会社(以下 モジュラス)とは、これまで開発が難しかった創薬ターゲットに対する低分子医薬品候補化合物の開発を進めております。モジュラスは最先端の計算科学を駆使した高速かつ効率的な低分子医薬品候補化合物のデザインに関する技術を有するベンチャー企業です。両社は開発コストを分担し、得られた成果も両社で共有いたします。当社はPDPSを用いてキナーゼの変化の影響を受けないATP-非競合型インヒビター(アロステリックインヒビター)であるキナーゼ阻害剤の候補となるヒットペプチドをすでに数多く同定しております。両社は得られたヒットペプチドと標的キナーゼとの複合体の結晶構造から計算科学を用いて低分子医薬品候補化合物をデザインする能力を高める取組みを進めております。当社はモジュラスに戦略的な出資を行い、戦略的な株主となっております。

英国ヘプタレス・セラピューティクス社(以下 ヘプタレス)とは、疼痛、がん、炎症性疾患など複数の適応症において既に検証されているGタンパク質共役受容体(GPCR)として知られるプロテアーゼ活性化受容体2(PAR2)を標的として新規治療薬の研究開発・商業化を目的とした戦略的共同研究を行っております。この共同研究では、両社のもつ業界屈指のプラットフォーム技術を融合いたします。両社で選択したGPCRターゲットに対して、ヘプタレス社のStaRプラットフォームを用いて安定化し、当社のPDPSを用いてヒット化合物を得ることで、新たな治療薬の開発を進めてまいります。本契約のもと両社はコストを分担し、得られたすべての成果を共有いたします。両社は既にPAR2に対して高い親和性と選択性を有するペプチド・アンタゴニストを同定しており、リード候補化合物の特定に向けた共同研究は順調に進捗しております。

米国バイオヘイブン・ファーマシューティカル社(以下 バイオヘイブン)とは、複数の適応症でがん免疫治療薬の共同研究開発を行っております。当社から2021年1月4日に発表いたしましたとおり、バイオヘイブンが当社の戦略的共同研究開発先であった米国クリオ・ファーマシューティカル社(以下 クリオ)と合併契約を締結したことで、当社がクリオと進めていた、クリオが有するAntibody Recruiting Molecules(ARMs)やSynthetic Antibody Mimics(SyAMs)等の新たながん免疫療法のプラットフォーム技術を用いたPDC医薬品候補化合物の創製に関するすべての研究開発プログラムはバイオヘイブンによって承継されました。当社は製品開発の貢献度に応じて、すべての製品から生じる収益の一定割合を得る権利を有しております。2017年7月に開始した両社の戦略的共同研究開発において、2つの臨床候補化合物(「KP1237 (ARM) + 自家NK細胞」と「KP1237 (ARM)」)が創製されております。いずれも骨髄腫細胞表面に発現しているCD38を標的とし、PDPSを用いて特定された特殊環状ペプチドにARMsを結合したPDC医薬品候補化合物(CD38-ARMs)で、多発性骨髄腫を適応症としております。ARMsは、体内に内在する骨髄腫細胞を認識する抗体と結合し、その抗体が腫瘍細胞への高い殺傷能力を有する免疫細胞を誘導することで骨髄腫細胞を攻撃する作用メカニズムをその特徴としております。CD38は多発性骨髄腫の標的として実証されていることに加えて、慢性リンパ性白血病やその他のがん細胞表面にも多く発現していることが知られております。「KP1237 (ARM) + 自家NK細胞」は短期間作用型の治療薬として幹細胞移植治療後の多発性骨髄腫患者向けに開発を行っており、「KP1237 (ARM)」は長期間作用型としてダラツムマブ治療後の再発/難治性症例を含むより広い多発性骨髄腫患者向けに使用される治療薬として開発を進めております。「KP1237 (ARM) + 自家NK細胞」は2020年2月7日にIND(新薬臨床試験開始届)が米国FDA(食品医薬品局)から承認されており、2020年9月8日に米国FDAよりオーファンドラッグ(希少疾患用医薬品)指定を受けております。今後は、当社とバイオヘイブンが共同で、コロナ禍の状況が落ち着き次第、CD38-ARMプログラムの臨床試験を開始してまいります。なお、「KP1237(ARM)+ 自家NK細胞」については、2021年第2四半期に第1相臨床試験の開始を予定しております。

日本メジフィジックス株式会社(以下 NMP)とは、特殊環状ペプチドにラジオアイソトープ(RI:放射性同位元素)を標識した治療薬及び診断薬の創製に向けた戦略的共同研究開発を行っております。当社はPDPS技術を活用し、特殊環状ペプチドを用いたPDCの研究開発を進めております。またNMPは「治療と診断の融合(セラノスティクス)」の実用化を目指しており、治療用及び診断用の放射性医薬品を開発するための新たな研究製造拠点の整備に着手しております。当社が持つ特殊環状ペプチドにNMPが持つ放射性核種を標識する技術を組み合わせることにより、セラノスティクスの実現につながる新たな治療薬及び診断薬の創製を進めてまいります。本取組みによって得られるRI標識ペプチドの開発及び製品化の技術は両社で共有し、日本を含むアジア、ならびに欧米等において共同開発又はライセンスアウトを進めてまいります。

ポーラ化成工業株式会社(以下 ポーラ化成工業)とは、ペプチドを用いた化粧品、医薬部外品、及び医薬品の研究開発を行っております。当社のPDPS技術を活用することで、ポーラ化成工業における医薬部外品や化粧品の素材開発に拡大するとともに、ポーラ化成工業との協業により、皮膚に効果のある医薬品シーズの創出などに取り組んでまいります。

川崎医科大学とは、難治性希少疾患であるデュシェンヌ型筋ジストロフィー(DMD)に対するペプチド医薬品の共同研究開発を行っております。DMDは進行性の筋力低下を特徴とする遺伝疾患であり、いまだ有効な治療法が確立されておりません。共同研究開発では、マイオスタチンを標的タンパク質としたペプチド医薬品候補化合物がDMDのモデル動物に投与した際に筋力低下を有意に改善することが確認されており、革新的な筋萎縮阻害剤の開発につながりうるものと期待しております。現在、非臨床試験を進めており、近い将来に臨床試験を実施できるよう全力で取り組んでまいります。

ビル&メリンダ・ゲイツ財団(以下 ゲイツ財団)とは、世界の最貧国において大きな問題となっている2つの感染症である結核、及びマラリアを治療するための新規特殊環状ペプチドを見出すことを目的とした複数のプログラムにつき、ゲイツ財団からの研究支援金を受けて研究開発を進めております。2019年11月1日に、当社はゲイツ財団から結核に対する新規治療薬開発に関して第2回目の研究支援金を受領することを発表いたしました。2017年11月に受領した初回の研究支援金による取り組みの結果、複数の有望なヒット候補化合物が特定され、次なる開発ステップに向けた検討を進めてまいりました。今回の新たな支援金は、結核治療薬として最も有望なヒット化合物を、非臨床試験を視野に入れて最適化を行い、リード化合物として開発することに充当されます。結核は、世界人口の約3分の1が潜伏感染しているといわれ、毎年1,040万人の新規感染症例と180万人の死亡例が報告されております。今回の支援金により開発される治療薬は、ゲイツ財団との合意に基づき、低中所得国(LMIC)においては安価で提供されることになっております。一方、先進国においては、当社が自社での商業化及びライセンス活動の権利を有しております。

JSR株式会社(以下 JSR)とは、抗体医薬品などのバイオ医薬品の精製過程で用いられるアフィニティクロマトグラフィーに適用可能な特殊環状ペプチドの共同研究を開始しております。医療現場で広く使われている抗体医薬品などのバイオ医薬品の製造は大きく、1)CHO細胞などを培養し目的とするタンパク質を作る工程と、2)その産生細胞を除去し、多くの不純物から目的タンパク質を精製する工程に分類されます。この精製工程に用いられるクロマトグラフィーは、プロテインAなどのタンパク質リガンドを用いたアフィニティクロマトグラフィーをはじめ、イオン交換クロマトグラフィー等、目的に応じて様々なクロマトグラフィーが使用されますが、特殊環状ペプチドを用いた新たなクロマトグラフィー担体の開発・商業化は、バイオ医薬品の精製プロセスの簡便化・低コスト化に貢献します。特殊環状ペプチドは化学合成が可能なため、従来のタンパク質リガンドと比べて均一な品質のリガンドをより安定的に大量製造できる利点があり、また物理的に小さい特殊環状ペプチドをリガンドとすることで精製効率そのものを向上させること、さらにこれまでアフィニティクロマトグラフィーでは精製が難しかったバイオ医薬品の精製も実現可能となります。

三菱商事株式会社(以下 三菱商事)とは、細胞治療・再生医療等製品の製造等に使用される、細胞培養向け培地の重要成分である、成長因子を代替するペプチド(以下 代替ペプチド)の開発・製造・販売を行う合弁会社・ペプチグロース株式会社(以下 ぺプチグロース)を設立いたしました。ペプチグロースに対する両社の出資比率は、三菱商事60.5%、ペプチドリーム39.5%となります。ペプチグロースは、両社が持つノウハウを利活用し、医薬品産業における細胞治療・再生医療等の発展に向け、取り組んでまいります。成長因子は、ヒトを含む動物の体内に広く存在し、細胞の成長・増殖や、またiPS細胞・ES細胞等の幹細胞を神経細胞や血液細胞等へと分化誘導させる際に重要な役割を担うタンパク質です。現在は、動物血清からの抽出物、あるいは遺伝子組み換え技術によって製造されたものが主に使用されていますが、不純物混入による安全性上のリスク、製造ロット間の品質のばらつき、高額な製造コスト等が、医薬品産業が直面する課題となっております。ペプチグロースは、当社のPDPSを用いて、成長因子と同等の機能を有する代替ペプチドを同定し、動物血清・遺伝子組み換え技術を用いない、化学合成による新規製造手法を開発いたします。また、商業ベースでの製造工程・体制を確立することで、品質面においては高純度で製造ロット間のバラつきも無くし、またコスト面の合理化も実現してまいります。現時点で数十種類を超える成長因子が知られており、完全ゼノフリー培地の実現を可能とする為には複数の成長因子を化学合成品によって代替していく必要があります。複数品目の成長因子について化学合成品(代替ペプチド)を包括的に開発する今回の取り組みは、史上初であり、細胞治療・再生医療の普及拡大に必要不可欠なものと考えております。三菱商事は、ペプチグロースに社長を含む経営幹部の人材を数名派遣し、同社の経営全般に携わる他、三菱商事グループが有する幅広いネットワーク・顧客基盤を活用することで、グローバル市場における代替ペプチドの販売及び市場拡大を図り、医薬品産業が抱える課題解決や細胞治療・再生医療の普及促進に貢献してまいります。

米国レイズバイオ社(以下 レイズバイオ)とは、2020年8月4日に、ペプチド-放射性核種(Radioisotope)薬物複合体(以下 ペプチド放射性医薬品)の創製に関する戦略的共同研究開発契約を締結いたしました。本契約に基づき当社は、両社で選定した複数の標的分子に対し、PDPSを用いて、PDCとして使用する新たなペプチドの同定及び最適化を行います。レイズバイオは、それらペプチドを用いたペプチド放射性医薬品に関する全世界での開発及び商業化の独占的な権利を有します。当社は非臨床段階までの研究開発を主導し、レイズバイオはその後のトランスレーショナルリサーチ、臨床開発及び商業化を主導いたします。本契約の締結に伴い、当社はレイズバイオから契約一時金としてレイズバイオの一部株式を受領いたしました。また今後、開発及び商業化の進捗に合わせてマイルストーンフィーや、製品化後は売上金額に応じたロイヤルティーが当社に支払われます。2020年10月15日(日本時間)に、レイズバイオは4,500万米ドルのシリーズAラウンドの資金調達の完了を発表いたしました。2020年12月9日(日本時間)には、1億500万米ドルのシリーズBラウンドの資金調達の完了も発表しております。また2020年11月24日に、当社はペプチド放射性医薬品の開発の進捗に伴うマイルストーンフィーとしてレイズバイオから同社の一部株式を受領いたしました。がん治療領域において放射性医薬品の高い抗腫瘍効果への関心が高まっております。当該領域において当社は、2018年に日本メジフィジックス株式会社との間で戦略的共同研究開発契約、2019年にはスイス・ノバルティス社との間でペプチドに放射線核種を結合させるPDCの共同研究開発契約を締結しております。今回のレイズバイオとの戦略的共同研究開発契約の締結は、当社が戦略的に取り組みを進めているペプチド放射性医薬品分野において、リーディングカンパニーとしての当社の優位性をさらに強化するものと考えております。

ペプチエイド株式会社(以下 ペプチエイド)は、新型コロナウイルス感染症治療薬の開発を目的として、2020年11月12日に富士通株式会社(以下 富士通)、株式会社みずほフィナンシャルグループの連結子会社であるみずほキャピタル株式会社(以下 みずほキャピタル)、株式会社竹中工務店(以下 竹中工務店)、及びキシダ化学株式会社(以下 キシダ化学)との間で設立した合弁会社です。当社は、PDPSを用いて、コロナウイルスがヒト細胞に侵入する際に必須となるスパイクタンパク質における複数の領域を創薬ターゲットとした、新型コロナウイルス感染症治療薬の開発候補化合物の同定を多方面から行ってまいりました。新会社では、新型コロナウイルス感染症に対する治療薬の候補化合物について当社から譲渡を受け、非臨床試験からヒトでの有用性確認(Proof of Concept)に必要となる前期の臨床試験までを最短で実施することを目指しております。ペプチエイドは、2021年3月23日に、新型コロナウイルス感染症治療薬の開発候補化合物の特定を完了し、開発候補品PA-001の非臨床試験を開始したことを発表いたしました。国立感染症研究所との共同研究で化合物の評価を進めてまいりましたが、PA-001は従来型のSARS-CoV-2だけでなくイギリス変異株にも同様に高い抗ウイルス活性を有する試験結果を確認しております。また、南アフリカ株及びブラジル株等の変異株に対しても高い抗ウイルス効果を有する可能性があるものと期待しております。ペプチエイドは現在、ペプチスター株式会社において非臨床GLP準拠原体及び臨床用GMP準拠原体の製造を進めており、2021年中の臨床試験開始を予定しております。ペプチエイドへの出資比率(2021年3月末時点)は、ペプチドリーム 25.0%、富士通 25.0%、みずほキャピタル 24.9%、竹中工務店 16.7%、キシダ化学 8.3%となります。

仏国アモライト・ファーマ社(以下 アモライト)とは、2020年12月8日に、内分泌系の希少疾患であり重篤な合併症を伴う先端巨大症(アクロメガリー)を適応症とする新たな治療薬の開発を目的とした、成長ホルモン受容体拮抗薬(GHRA)候補ペプチド化合物の最適化に関する戦略的共同研究開発及びライセンスオプション契約を締結いたしました。アモライトは、将来的な臨床開発の実施にあたり、当該候補化合物のライセンス受否の選択権(オプション)を有することとなります。本契約の締結に伴い、当社は今後、GHRA候補ペプチド化合物に関し、アモライトからライセンスオプション行使フィー、開発及び商業化の進捗に応じたマイルストーンフィー、及び製品化後は売上金額に応じたロイヤルティーを受領する可能性があります。

当社は、今後も特定の分野で世界をリードする優れた技術を有する創薬企業・バイオベンチャー企業及びアカデミア等の研究機関との戦略的提携を通じて、次世代のファーストインクラス(first-in-class)、及びベストインクラス(best-in-class)となる優れた治療薬の開発に向けた取組みをさらに加速してまいります。

当社は塩野義製薬株式会社、積水化学工業株式会社と合弁で特殊ペプチド原薬の製造プロセスに関する研究開発、製造及び販売を行うCDMO(Contract Development and Manufacturing Organization:医薬品開発製造受託機関)・ペプチスター株式会社(以下 ペプチスター)を2017年9月に設立いたしました。ペプチスターは国内の様々な会社が有する技術を融合し、高品質、高純度でしかも製造コストを大幅に低減する最先端技術を開発、提供することを目指しております。ペプチスターは当社の創薬共同研究開発企業だけでなく、戦略的提携により自社開発品の製造も請け負うことが予想されます。大阪府摂津市に建設を進めていた同社の工場は、当初の計画通り2019年10月から商業生産を開始しております。ペプチスターは2019年12月6日に、2017年10月に国立研究開発法人 日本医療研究開発機構(AMED)と委託環境整備契約を締結した医療研究開発革新基盤創成事業(CiCLE)における課題「特殊ペプチド原薬CMO創設」において、計画通り供給体制の基盤構築を達成したことを発表しております。ペプチスターは2020年12月1日に、第三者割当増資を実施し、総額1,790百万円の資金調達を行ったことを発表しております。

 

当社はサステイナビリティへの取り組みに関して、当社の基本方針、重点取組み、主要ポリシー/データについて自社WEBサイト上に専用ページ(https://www.peptidream.com/esg/data.html)を開設し、積極的な情報開示を行っております。当社は地球環境への配慮、社会・従業員に関する取り組み、企業統治(ガバナンス)に関して業界トップクラスの水準を目指して取り組んでまいります。当社は2020年6月22日に、FTSE4Good Index SeriesならびにFTSE Blossom Japan Indexの構成銘柄に選定されたことを発表いたしました。これらのインデックスはグローバル インデックスプロバイダーであるFTSE Russellが作成し、FTSE4Good Index Seriesは環境、社会、ガバナンス(ESG)について優れた対応を行っている企業のパフォーマンスを測定するために設計されたものです。FTSE4Good Index Seriesはサステイナブル投資のファンドや他の金融商品の作成・評価に広く利用されます。FTSE Blossom Japan Indexは、ESGの対応に優れた日本企業のパフォーマンスを反映するインデックスで、業種ニュートラルとなるよう設計されています。FTSE Russellの評価はコーポレートガバナンス、健康と安全性、腐敗防止、気候変動といった分野について行われており、FTSE4Good Index Series並びにFTSE Blossom Japan Indexの構成銘柄である企業は、ESGに関する様々な基準を満たすとされております。

当社の従業員は2021年3月31日現在で158名(派遣を含む。女性社員比率は約4割)となっております(2020年12月末比8人増)。取締役7名を含めると総勢165名の体制となりました。なお、中国でアミノ酸や低分子化合物の合成や製造等を委託しているCRO内には当社専属で20名が勤務しております。

以上の結果、当第1四半期累計期間における売上高は1,459,052千円(前年同四半期比1,065,269千円増加)、営業利益430,466千円(前年同四半期は営業損失481,278千円)、経常利益665,912千円(前年同四半期は経常損失488,296千円)、四半期純利益436,518千円(前年同四半期は四半期純損失340,700千円)となりました。

なお、当社の事業は単一のセグメントであるため、セグメント別の記載を省略しております。

 

 

 

(2)財政状態の分析

当第1四半期会計期間の総資産は24,154,565千円となり、前事業年度末と比べて2,112,163千円減少しました。その主な要因は、現金及び預金が4,396,466千円増加したものの、売掛金が4,932,284千円減少したこと等によるものです。

負債は2,402,295千円となり、前事業年度末と比べて2,647,429千円減少しました。その主な要因は、未払金が1,681,564千円、未払法人税等1,695,956千円減少したこと等によるものです。

純資産は21,752,269千円となり、前事業年度末と比べて535,265千円増加しました。その主な要因は、四半期純利益により利益剰余金が436,518千円増加したこと等によるものです。

 

(3)キャッシュ・フローの状況

当第1四半期累計期間における現金及び現金同等物は、前事業年度末に比べ4,396,466千円増加し、11,545,824千円となりました。

当第1四半期累計期間における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は、次のとおりであります。

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

営業活動によるキャッシュ・フローは、未払金の減少額1,780,067千円の計上等があったものの、売上債権の減少額4,932,284千円、未収入金の減少額1,738,052千円の計上等により、4,718,018千円の収入(前年同四半期比4,378,424千円の収入増加)となりました。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

投資活動によるキャッシュ・フローは、投資有価証券の売却による収入145,222千円等があったものの、関係会社貸付けによる支出414,097千円等により、415,896千円の支出(前年同四半期比148,950千円の支出増加)となりました。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

財務活動によるキャッシュ・フローは、新株予約権の行使による株式の発行による収入19,729千円により、19,729千円の収入(前年同四半期比13,160千円の収入増加)となりました。

 

(4)事業上及び財務上の対処すべき課題

当第1四半期累計期間において、当社が対処すべき課題について重要な変更はありません。

 

(5)研究開発活動

当第1四半期累計期間における研究開発費の総額は、339,257千円であります。

なお、当第1四半期累計期間において、当社の研究開発活動の状況に重要な変更はありません。

 

3 【経営上の重要な契約等】

該当事項はありません。