1.経営成績等の概況 ……………………………………………………………………………………2
(1)当期の経営成績の概況 …………………………………………………………………………2
(2)当期の財政状態の概況 …………………………………………………………………………12
(3)当期のキャッシュ・フローの概況 ……………………………………………………………12
(4)連結業績予想などの将来予測情報に関する説明 ……………………………………………13
(5)利益配分に関する基本方針及び当期・次期の配当 …………………………………………13
2.経営方針 ………………………………………………………………………………………………14
(1)会社の経営の基本方針 ……………………………………………………………………………14
(2)中長期的な会社の経営戦略及び対処すべき課題 ………………………………………………14
3.会計基準の選択に関する基本的な考え方 …………………………………………………………17
4.連結財務諸表及び主な注記 …………………………………………………………………………18
(1)連結財政状態計算書 ……………………………………………………………………………18
(2)連結損益計算書及び連結包括利益計算書 ……………………………………………………20
(3)連結持分変動計算書 ……………………………………………………………………………22
(4)連結キャッシュ・フロー計算書 ………………………………………………………………23
(5)連結財務諸表に関する注記事項 ………………………………………………………………24
(継続企業の前提に関する注記) …………………………………………………………………24
(セグメント情報) …………………………………………………………………………………24
(1株当たり情報) …………………………………………………………………………………26
(重要な後発事象) …………………………………………………………………………………26
(初度適用) …………………………………………………………………………………………27
当連結累計期間(2022年1月1日から2022年12月31日)において、当社独自の創薬開発プラットフォームシステムであるPDPS(Peptide Discovery Platform System)を活用した創薬開発事業、及び当社の100%子会社であるPDRファーマ株式会社による放射性医薬品事業を実施しております。
1. 創薬開発事業
当社では、創薬開発事業において①創薬共同研究開発、②PDPSの技術ライセンス、③戦略的提携による自社パイプラインの拡充という3つの事業戦略を進めており、2022年12月31日現在、126のプログラムが進行しております(2022年9月末比0プログラム増加)。
下表では、各創薬アプローチごとのプログラム数を記載しております。
下表では、各研究開発ステージにおけるプログラム数を2022年9月末時点のものと比較しております。
(注)上記のプログラム数は、PDPSの非独占的技術ライセンス先でのプログラム及び放射性医薬品事業のプログラムを含んでおりません。
下表では、主要なプログラムの開発状況を記載しております。
1つ目の事業戦略であるPDPSを活用した国内外の製薬企業との創薬共同研究開発については、第4四半期において、2022年12月に当社は、Merck &Co., Inc., Rahway, N.J., U.S.A.(「Merck社」)との間で、新規ペプチド-薬物複合体(PDC)の創製・開発に関する複数の創薬ターゲットに対する共同研究開発およびライセンス契約を締結いたしました。本契約に基づき、当社は独自の創薬開発プラットフォーム技術である PDPS(Peptide Discovery Platform System)を用いて同定されたペプチド候補化合物を、Merck社が興味を持つターゲットに対するPDCとして提供することとなります。MSD 社は、細胞傷害性ペイロードと結合するペプチド候補化合物について独占的使用権を取得し、本取り組みから創製されるPDC製品の開発の全てを担います。本契約において、当社はMerck社から契約一時金を受領いたしました(金額非開示)。また、今後開発、承認、販売マイルストーンフィーとして総額で最大21億ドルを受け取る可能性があります。当社は上記に加え製品化後の売上高に応じたロイヤルティーを受領する権利を有します。なお、Merck社とは2015年4月に複数ターゲットに対する創薬共同研究開発契約を締結しております。
2022年12月に当社は、Eli Lilly and Company(「Lilly社」)との間で、新規ペプチド-薬物複合体(PDC)に関する共同研究およびライセンス契約を締結いたしました。本契約において、当社はPDPSを活用し、目的とする細胞・組織にペイロードを送達するためLilly社が選定した複数のターゲットに対し、高い結合性を有する特殊環状ペプチドを同定します。当社がペプチドの創製・最適化を、Lilly社がペイロードの創製・最適化を実施いたします。本契約において、当社はLilly社から契約一時金を受領いたしました(金額非開示)。また、今後開発、承認、販売マイルストーンフィーとして総額で最大12.35億ドルを受け取る可能性があります。当社は上記に加え製品化後の売上高に応じたロイヤルティーを受領する権利を有します。なお、Lilly社とは2013年12月に創薬共同研究開発契約を締結しております。
また、第4四半期においても、創薬共同研究開発を進めている複数のパートナー企業から研究開発支援金を継続的に受領しております。今後、現在進行しているプログラムについて、プログラムの進行に応じた開発マイルストーンフィー、販売マイルストーンフィー及び販売製品の売上高に応じたロイヤルティーの受領の可能性がございます。今後、新たなマイルストーンフィーを受領した際には、パートナー企業の許諾を得た上で進捗の報告をできるものと考えております。また、当社は創薬共同研究開発に関心のある複数の企業との間で新たな契約締結に向けた交渉を継続的に進めております。
2つ目の事業戦略であるPDPSの技術ライセンスについては、2022年12月31日現在、11社;Bristol-Myers Squibb社(2013年)、Novartis社(2015年)、Eli Lilly社(2016年)、Genentech社(2016年)、塩野義製薬株式会社(2017年)、Merck社(2018年)、ミラバイオロジクス株式会社(2018年)、大鵬薬品工業株式会社(2020年)、Janssen社(2020年)、小野薬品工業株式会社(2021年)、富士レビオ株式会社(2022年)との間で非独占的技術ライセンス契約を締結しております。同事業においては、各ライセンス先企業から技術ライセンス料とともに開発プログラムの進捗ごとのマイルストーンフィーが当社に支払われます。なお、マイルストーンを達成するまでの間は、ライセンス先企業での研究内容や進捗について当社に知らされることはございません。また、当社はPDPSの技術ライセンス契約に関心をもつ複数の企業との交渉を継続的に進めております。
3つ目の事業戦略は、世界中の高い技術力を有する創薬企業・バイオベンチャー企業及びアカデミア等の研究機関と戦略的提携を組むことで、自社の医薬品候補化合物(パイプライン)の推進・拡充を図ることが狙いです。同事業においては、これらのプログラムを少なくともリード化合物/臨床候補化合物の選定完了まで、場合によっては第1相臨床試験あるいは第2相臨床試験完了まで自社開発又は戦略的パートナーとの共同開発を進めることにより、通常の開発候補品よりも収益性の高い条件で大手製薬企業にライセンスアウト(導出)することを目標にしております。当社では、PDPS技術を用いて同定したヒット化合物を起点に、①特殊ペプチド医薬品、②低分子医薬品、③ペプチド-薬物複合体(PDC医薬品)、④多機能ペプチド複合体(MPC医薬品)の4つのカテゴリーの医薬品開発を進めていくために必要な能力の拡充を進めております。同事業では、戦略的パートナーの独自の技術・ノウハウと当社の技術を組み合わせることでより高い価値のプログラムが生み出されることに加え、開発費用を両社で負担することにより、開発に成功した場合には、多くの場合従来の創薬共同研究開発プログラムと比べてより高い比率で当社に収益が分配されます。また、自社創薬についても、複数の創薬プログラムが進行しており、今後、臨床開発に向けた新たな進捗の報告ができるものと考えております。
当社は現在10社(JCRファーマ株式会社、モジュラス株式会社、Sosei Heptares、Biohaven社、ポーラ化成工業株式会社、JSR株式会社、三菱商事株式会社(ペプチグロース株式会社)、RayzeBio社、ペプチエイド株式会社、Amolyt Pharma社)との戦略的提携を実施しております。また、川崎医科大学とは難治性希少疾患に対するペプチド創薬に関する共同研究を実施し、ビル&メリンダ・ゲイツ財団からは結核に対する新規治療薬開発に関する研究支援金を受領しております。
JCRファーマ株式会社(以下 JCRファーマ)とは、2016年2月に開始した共同研究において、血液脳関門(BBB)を通過し脳組織及び筋肉組織へ医薬品候補化合物を届けることを可能とするトランスフェリン受容体(TfR)結合ペプチド(キャリアペプチド)の創製に成功しています。多くの薬物はBBBを容易に通過することができず、脳内への取り込み効率の低さが中枢神経疾患の医薬品開発において大きな課題となっております。今回創製したキャリアペプチドは、抗体を中心とするタンパク質、ペプチド、核酸、低分子化合物等、様々な種類の治療薬と結合し、PDCとすることで脳内への取り込み効率を向上させる効果を有しております。また、本キャリアペプチドは共通するメカニズムを介して筋組織への効率的な治療薬の輸送も実現いたします。神経筋疾患の医薬品開発においては、全身に存在する筋肉内標的組織に治療薬を届けることが大きな課題となっており、本キャリアペプチドはこうした課題を解決する手段としても応用可能です。JCRファーマと当社は第三者へのライセンス活動に注力しており、契約締結からキャリアペプチドの供給まで当社が主導しております。2020年12月22日には、両社から最初の導出となる、武田薬品工業株式会社(以下 武田薬品)との間での神経筋疾患領域における包括的な共同研究及び独占的ライセンス契約の締結を発表いたしました。2021年7月27日には、武田薬品との共同研究及び独占的ライセンスの枠組みを中枢神経系(CNS)疾患にも拡大させました。両社は、キャリアペプチドと武田薬品が選択した医薬品候補化合物を組み合わせ、神経筋疾患領域、CNS領域で多くの医薬品を生み出していきたいと考えております。また、当社は、TfRキャリアペプチドに関して、様々な企業とのさらなる共同研究やライセンス契約について引き続き協議しております。本キャリアペプチドのライセンス活動によって得られる収益は、当社とJCRファーマとの間で分配されます。
モジュラス株式会社(以下 モジュラス)とは、これまで開発が難しかったキナーゼターゲットに対し、PDPSを用いて同定したヒットペプチド化合物を基に低分子医薬品候補化合物の開発を進めております。モジュラスは最先端の計算科学を駆使した高速かつ効率的な低分子医薬品候補化合物のデザインに関する技術を有する創薬企業です。両社は開発コストを分担し、得られた成果も両社で共有いたします。両社はアレルギー疾患に関与するとされているチロシンキナーゼの一種であるKITに対して高い選択的結合能を有する低分子リード化合物を同定し、リード化合物の有効性を検証するためのin vivo POC試験を完了いたしました。両社は、引き続き非臨床試験を実施し、導出の可能性を積極的に協議しております。モジュラスへの当社の出資比率は5%未満となっております。
Sosei Heptaresとは、疼痛、がん、炎症性疾患等への関与が既に検証されているGタンパク質共役受容体(GPCR)として知られるプロテアーゼ活性化受容体2(PAR2)をターゲットとして新規治療薬の研究開発・商業化を目的とした戦略的共同研究を行っております。この共同研究では、両社のもつ業界屈指のプラットフォーム技術を融合いたします。両社で選択したGPCRターゲットに対して、Sosei HeptaresのStaRプラットフォームを用いて安定化し、当社のPDPSを用いてヒット化合物を得ることで、新たな治療薬の開発を進めてまいります。本契約のもと両社はコストを分担し、得られたすべての成果を共有いたします。2021年5月12日に発表いたしました通り、両社は既にPAR2に対して高い親和性と選択性を有するペプチド・アンタゴニストを同定しておりましたが、その後の最適化により経口投与でも消化器内での安定性が見込まれるリード候補化合物の特定に成功いたしました。現在、非臨床試験を実施しており、炎症性腸疾患(IBD)をはじめとする消化器領域における炎症性・疼痛性の疾患に対する新たな経口ペプチド医薬品としての開発を目指します。両社は、最速でのGLP-IND準備試験の開始を目指すとともに、様々なパートナリングや導出の可能性を積極的に協議しております。
Biohaven社とは、ヘテロ2量体ペプチド複合体である二重特異性化合物であるBHV-1100(KP1237またはCD38-ARMTM)の開発を進めており、多発性骨髄腫を適応症としております。BHV-1100はCD38に結合するペプチドと免疫グロブリンに結合するペプチドの複合体であり、体内の免疫細胞を誘導することで体内の免疫反応を活性化し、骨髄腫細胞を攻撃する作用メカニズムを特徴としております。「BHV-1100 + 自家NK細胞」は2020年9月8日に米国FDAよりオーファンドラッグ(希少疾患用医薬品)指定を受けております。現在、BHV-1100と自己サイトカイン誘導記憶用(CIML)NK細胞を投与する第1a/1b相臨床試験(オープンラベル、1施設(Dana-Farber Cancer Institute)、ClinicalTrials.gov Identifier:NCT04634435)を実施しております。この臨床試験では、造血幹細胞移植前に測定可能残存病変(MRD)が陽性である多発性骨髄腫の被検者において、安全性、忍容性、探索的有効性に関する評価を実施しております。主要評価項目は、投与100日後の用量制限毒性および投与90日~100日後における薬剤に関連する副作用の発現率と重症度と規定されております。
ポーラ化成工業株式会社(以下 ポーラ化成工業)とは、ペプチドを用いた化粧品、医薬部外品、及び医薬品の研究開発を行っております。当社のPDPS技術を活用することで、ポーラ化成工業における医薬部外品や化粧品の素材開発に拡大するとともに、ポーラ化成工業との協業により、皮膚に効果のある医薬品シーズの創出等に取り組んでまいります。両社は、in vitro及びex vivoモデルにおける有効性や化粧品用途での活用可能性確認されている、複数の有望なリード化合物について取得を完了しております。
川崎医科大学とは、難治性希少疾患であるデュシェンヌ型筋ジストロフィー(DMD)を含む様々な筋ジストロフィーに対する革新的マイオスタチン阻害剤の共同研究開発を行っております。DMDは、進行性の筋力低下を特徴とする遺伝性疾患である筋ジストロフィーの内、最も多くみられる型の疾患です。ジストロフィン遺伝子変異により、筋肉細胞の維持に重要なジストロフィンが欠損又は異常をきたし、主に幼少期から成長とともに急速な筋力低下、特に骨格筋や横隔膜の筋線維の変性・壊死と不完全再生から線維化・脂肪化が生じ、歩行困難等の運動障害が生じるとともに進行に伴い心筋や呼吸筋に影響がおよび、急性呼吸不全を引き起こします。このような患者さんの生活の質(Quality of Life、QOL)が著しく低下する致死性の難治性希少疾患です。これまで複数の作用機序に対する抗体薬や核酸薬(遺伝子治療薬、エキソンスキッピング薬、ストップコドンリードスルー薬、遺伝子修復薬等)の研究開発が行われてきましたが、幅広い患者さんに提供可能でかつ高い有効性をもつ治療薬が存在せず、第一選択薬となる新たな治療薬の開発が期待されています。GDF8(growth differentiation factor8、増殖分化因子8)とも言われているマイオスタチンは、筋細胞で産生・放出されるタンパク質で、筋細胞に働きかけ筋細胞の増殖を抑制します。健常時において横紋筋(横隔膜や四肢筋を含む)の肥大を抑制する因子(サイトカイン)として血液中及び筋組織内に多く分布しており、近年の研究ではマイオスタチン欠損、あるいはマイオスタチン阻害剤を投与した動物において有意に筋肉量・筋力の増強が見られたという結果が得られています。このようにマイオスタチンはDMDおよび他の筋肉量の低下をもたらす疾患において筋肉の分解を抑制し、筋肉増強や筋力の改善をもたらすターゲットとして期待されています。当社は、現在開発を進めている開発化合物はジストロフィン遺伝子変異部位に限定されず、幅広いDMD患者さんを対象にすることができ、その結果患者さんのQOLを大きく向上させることができるのではないかと期待しております。これまでマイオスタチン阻害剤の研究開発では抗体医薬品によるアプローチが多く、これらは動物実験では有望な結果を示していますが、様々な理由から未だにヒトでの有効性を示せていないという状況です。一方、マイオスタチン阻害剤の開発においては、血液中での安定性のみならず、筋組織への高い移行性が重要な鍵となることから、当社では中分子であるペプチドならではの特徴を活かした化合物の最適化を重ねてまいりました。現在、複数のキーオピニオンリーダー(KOL)との議論を通じ臨床開発の選択肢について検討するとともに、ライセンス/提携活動を進めております。
ビル&メリンダ・ゲイツ財団(以下 ゲイツ財団)とは、世界の最貧国において大きな問題となっている3つの感染症である結核、非結核性抗酸菌症及びマラリアを治療するための新規特殊環状ペプチドを見出すことを目的としたプログラムにつき、ゲイツ財団からの研究支援金を受けて研究開発を進めております。細菌感染は全世界の死因の中で上位に位置しており、結核は世界人口の約3分の1が潜伏感染しているといわれ毎年1,040万人の新規感染症例と180万人の死亡例が報告されております。2017年11月に研究支援金を受領し、結核に対する複数の有望なヒット候補化合物が特定されました。2019年11月に、当社はゲイツ財団から結核に対する新規治療薬開発に関して第2回目の研究支援金を受領し、結核治療薬として最も有望なヒット化合物を、将来的な臨床開発を視野に入れて最適化を行い、リード化合物の同定を行いました。2022年、これらのリード化合物に経口投与でのバイオアベイラビリティを向上させる最適化を実施し、動物モデルでの薬効検証を継続しております今回の支援金により開発される治療薬は、ゲイツ財団との合意に基づき、低中所得国(LMIC)においては安価で提供されることになっております。一方、先進国においては、当社が自社での商業化及びライセンス活動の権利を有しており、導出/提携に関する協議を進めております。
JSR株式会社(以下 JSR)とは、抗体医薬品等のバイオ医薬品の精製過程で用いられるアフィニティクロマトグラフィーに適用可能な特殊環状ペプチドの共同研究を開始しております。医療現場で広く使われている抗体医薬品等のバイオ医薬品の製造は大きく、1)CHO細胞等を培養し目的とするタンパク質を作る工程と、2)その産生細胞を除去し、多くの不純物から目的タンパク質を精製する工程に分類されます。この精製工程に用いられるクロマトグラフィーは、プロテインA等のタンパク質リガンドを用いたアフィニティクロマトグラフィーをはじめ、イオン交換クロマトグラフィー等、目的に応じて様々なクロマトグラフィーが使用されますが、特殊環状ペプチドを用いた新たなクロマトグラフィー担体の開発・商業化は、バイオ医薬品の精製プロセスの簡便化・低コスト化に貢献します。特殊環状ペプチドは化学合成が可能なため、従来のタンパク質リガンドと比べて均一な品質のリガンドをより安定的に大量製造できる利点があり、また物理的に小さい特殊環状ペプチドをリガンドとすることで精製効率そのものを向上させること、さらにこれまでアフィニティクロマトグラフィーでは精製が難しかったバイオ医薬品の精製も実現可能となります。
三菱商事株式会社(以下 三菱商事)とは、細胞治療・再生医療等製品や成長市場である培養肉等の製造等に使用される、細胞培養向け培地の重要成分である、成長因子を代替するペプチド(以下 代替ペプチド)の開発・製造・販売を行う合弁会社・ペプチグロース株式会社(以下 ぺプチグロース)を設立いたしました。ペプチグロースは、両社が持つノウハウを活用し、医薬品産業における細胞治療・再生医療等の発展に向け、取り組んでおります。成長因子は、ヒトを含む動物の体内に広く存在し、細胞の成長・増殖や、またiPS細胞・ES細胞等の幹細胞を神経細胞や血液細胞等へと分化誘導させる際に重要な役割を担うタンパク質です。現在は、動物血清からの抽出物、あるいは組み換え技術によって製造されたものが主に使用されていますが、不純物混入による安全性上のリスク、製造ロット間の品質のばらつき、高額な製造コスト等が、医薬品産業が直面する課題となっております。当社がPDPSを用いて、成長因子と同等の機能を有する代替ペプチドを同定し、動物血清・組み換え技術を用いない、化学合成による新規製造手法を開発いたします。ペプチグロースが商業ベースでの製造工程・体制を確立することで、品質面においては高純度で製造ロット間のバラつきも無くし、またコスト面の合理化も実現してまいります。また、三菱商事グループが有する幅広いネットワーク・顧客基盤を活用することで、グローバル市場における代替ペプチドの販売及び市場拡大を図ってまいります。2021年に、HGF代替ペプチド(PG-001)とTGFβ1阻害ペプチド(PG-002)の販売を、2022年4月よりBDNF代替ペプチド(PG-003)の販売を、2022年7月よりBMP4,7阻害ペプチド(PG-004)の販売を、2022年12月よりBMP7選択的阻害ペプチド(PG-005)とBMP4選択的阻害ペプチド(PG-006)の販売を開始いたしました。今後も順次新たな製品の開発・上市を計画しております。当社は、独占的にこれら代替ペプチドの医薬品としての開発・販売権を有し、複数のパートナー候補先と医薬品開発の協議を実施しております。2022年5月、PG-001の医薬品としての開発に関して、Genentech社と創薬共同研究開発契約を締結いたしました。ペプチグロースへの出資比率は、ペプチドリーム39.5%、三菱商事60.5%となっております。
RayzeBio社とは、2020年8月4日に、ペプチド-放射性核種複合体(以下 ペプチド放射性医薬品)の創製に関する戦略的共同研究開発契約を締結いたしました。本契約に基づき当社は、両社で選定した複数のターゲット分子に対し、PDPS及び当社の研究開発機能を用いて、PDCとして使用する新たなペプチドの同定及び最適化を行います。RayzeBio社は、それらペプチドを用いたペプチド放射性医薬品の開発を進めます。当社は非臨床段階までの研究開発を主導し、RayzeBio社はその後のトランスレーショナルリサーチ、臨床開発を主導いたします。当社は契約一時金として2020年8月に、またマイルストーンフィーとして2020年11月、2021年6月、2022年9月にRayzeBio社の一部株式を受領いたしました。当社は将来さらにマイルストーンフィーや日本国外の売上高に対するロイヤルティーを受領する可能性がございます。2022年8月9日には、共同開発プログラムを新たに追加することを目的とした戦略的提携期間の延長、及び両社が共同開発するペプチド放射性医薬品プログラムについて当社が日本での開発・商業化を行うことができるオプション権をRayzeBio社から当社に付与することを合意いたしました。2022年12月、当社とRayzeBio社の戦略的提携プログラムから一つ目となる、ペプチド-放射性核種複合体(RI-PDC)の開発候補化合物を選定いたしました。RayzeBio社への当社の出資比率は5%となっております。
ペプチエイド株式会社(以下 ペプチエイド)は、新型コロナウイルス感染症治療薬の開発を目的として、2020年11月12日に富士通株式会社(以下 富士通)、株式会社みずほフィナンシャルグループの連結子会社であるみずほキャピタル株式会社(以下 みずほキャピタル)、株式会社竹中工務店(以下 竹中工務店)、及びキシダ化学株式会社(以下 キシダ化学)との間で設立した合弁会社です。当社は、PDPSを用いて、コロナウイルスがヒト細胞に侵入する際に必須となるスパイクタンパク質を創薬ターゲットとした、新型コロナウイルス感染症治療薬の開発候補化合物の同定を実施し、PA-001を見出しました。ペプチエイドは、2021年3月23日に、新型コロナウイルス感染症治療薬の開発候補化合物の特定を完了し、開発候補品PA-001の非臨床試験を開始したことを発表いたしました。国立感染症研究所等と共同で化合物の評価を進めてまいりましたが、PA-001は従来型のSARS-CoV-2だけでなく現在同定されているすべての変異株(アルファ株、ベータ株、ガンマ株、デルタ株、オミクロン株)に対しても同様に高い抗ウイルス活性を有することを確認しております。また、現在緊急使用許可承認を得ている新型コロナウイルス感染症治療薬との併用において、in vitro試験での高い相乗効果を確認しております。各種一般毒性、安全性薬理、遺伝毒性試験等から構成されるPA-001の非臨床試験が予定通りのスケジュールで完了し、PA-001の高い安全性が確認されました。2022年2月より、臨床研究法に基づく早期探索的臨床研究(以下、「臨床研究」)を実施いたしました。臨床研究では、健常人に対するPA-001の用量漸増単回投与を静脈内注射により実施し、有害事象の有無・注射部位反応・バイタルサイン等の評価を行いました。2022年8月10日に公表した通り、PA-001の投与による有害事象等は確認されず、良好な安全性プロファイルが確認されました。また、PA-001の用量依存的な血中濃度プロファイルの相関を確認する結果が得られました。現在、ペプチエイドは、米国を中心とした臨床試験の開始を含め新型コロナウイルス感染症の拡大状況の変化を見据えた今後の方向性を検討しております。また、PA-001に関心をもつ製薬企業との間でパートナリングや導出の可能性を並行して協議しております。ペプチエイドは、2021年9月に約8億円の増資を行い、当社の出資比率は39.4%となっております。
Amolyt Pharma社(以下 Amolyt社)とは、2020年12月8日に、内分泌系の希少疾患であり重篤な合併症を伴う先端巨大症や神経内分泌腫瘍を適応症とする新たな治療薬の開発を目的とした、成長ホルモン受容体拮抗薬(GHRA)候補ペプチド化合物の最適化に関する戦略的共同研究開発及びライセンスオプション契約を締結いたしました。2021年9月9日に、Amolyt社がGHRA候補ペプチド化合物に関するライセンスオプションを行使し、当社は、Amolyt社に対して全世界を対象とする開発・商業化の権利をライセンスいたしました。当社は今後、GHRA候補ペプチド化合物に関し、Amolyt社から開発及び商業化の進捗に応じたマイルストーンフィー、及び製品化後は売上金額に応じたロイヤルティーを受領する可能性があります。最適化に成功した先端巨大症に対する治療薬候補化合物(AZP-3813)は、既存薬であるソマトスタチンアナログによる治療で十分な効果が得られない患者さんに対して、同剤との併用を想定した開発が実施されます。AZP-3813は同様に成長ホルモン受容体拮抗薬であるPfizer社のペグビソマントと比較して血中IGF-1濃度のコントロールに優れているという動物実験の結果が得られており、Amolyt社は2022年5月の欧州内分泌学会(ECE)と2022年6月の米国内分泌学会(ENDO)においてその結果を発表いたしました。Amolyt社は、IND準備試験を開始しており、2023年上期中の臨床入りを目標にしています。また、2021年9月にAmolyt社は80百万ドルのシリーズB資金調達を、2023年1月に138百万ドルのシリーズⅭ資金調達を実施し、調達資金の一部をAZP-3813の開発に充てることを発表しております。
当社は、引き続き、多くの自社プログラムに取り組んでおります。特に、がん治療のため放射性核種と結合させRI-PDCを開発するにあたり、様々な重要ながん特異的ターゲットに結合するペプチド候補化合物を同定し最適化する活動に重点を置いております。昨年PDRファーマ株式会社の事業を取得したことにより、有望な候補化合物をin vivoバイオイメージング研究に迅速に移行することが可能となりました。当社は2023年に1つ以上の開発候補化合物を同定することを目標に複数のプログラムの優先順位付けを行っております。今後は、これらのRI-PDCプログラムの日本における権利を保持しつつ、興味を持った製薬企業に対して日本以外の権利を導出する方針です。また、これらのがんをターゲットとしたペプチドを、既存の様々なパートナーや新規パートナーとの共同研究開発により他のペイロードで活用する点についても積極的に検討を進めております。二つ目の重点領域は多機能ペプチド複合体(MPC)の創薬開発です。当社では、MPCが二重特異性抗体をはじめとする他の多機能分子より優れたモダリティーである可能性があると考えております。がん特異的ターゲットに結合するペプチドと組み合わせることが可能なT細胞・NK細胞に結合する新規ペプチドの同定に注力しており、これまでにないT細胞・NK細胞Engagerを創製することで新たな治療の選択肢が増えることを期待しております。また、当社ではT細胞やNK細胞のEngagerに加えて、IL17をはじめとする様々な炎症誘発性サイトカインに対する選択的な候補化合物を有しております。複数の炎症誘発性経路を同時に阻害することがより良い治療戦略となる可能性を示す臨床エビデンスが増えつつあることから、様々な化合物をMPCとして組み合わせた開発の可能性を積極的に検討しております。さらに、重点領域以外でも社内プログラムを数多く実施しております。H5N1株を含むインフルエンザ1型株に対して幅広い有効性を示すPD-001プログラムにおいては、タミフル等の既存のインフルエンザ治療薬との併用による効力の一層の強化が動物モデルで示されており、COVID-19パンデミック終息後インフルエンザの症例数が世界的に再増加することが見込まれることから、様々な提携/導出を継続して検討しております。
当社は、塩野義製薬株式会社、積水化学工業株式会社と合弁で特殊ペプチド原薬の製造プロセスに関する研究開発、製造及び販売を行うCDMO(Contract Development and Manufacturing Organization:医薬品開発製造受託機関)であるペプチスター株式会社(以下 ペプチスター)を2017年9月に設立いたしました。ペプチスターは国内の様々な会社が有する技術を融合し、高品質、高純度でしかも製造コストを大幅に低減する最先端技術を開発、提供することを目指しております。ペプチスターは当社の創薬共同研究開発企業だけでなく、戦略的提携により自社開発品の製造も請け負うことが予想されます。大阪府摂津市に建設を進めていた同社の工場は、当初の計画通り2019年10月から商業生産を開始しております。ペプチスターは2017年10月に国立研究開発法人日本医療研究開発機構(AMED)と委託環境整備契約を締結した医療研究開発革新基盤創成事業(CiCLE)における課題「特殊ペプチド原薬CMO創設」において計画通り供給体制の基盤構築を達成したことを2019年12月6日に発表しております。ペプチスターは2020年12月1日に、第三者割当増資を実施し、総額1,790百万円の資金調達を行いました。ペプチスターへの当社の出資比率は15%未満となっております。
2. 放射性医薬品事業
当社は、2022年3月28日に100%子会社化したPDRファーマ株式会社(以下 PDRファーマ)を通じて、放射性医薬品等の研究・開発・製造・販売を行っております。現在、PDRファーマでは放射性診断薬として、22品目のSPECT(Single Photon Emission Computed Tomography)製剤と、2品目のPET(Positron Emission Tomography)製剤、及び8品目(3製品カテゴリー)の放射性治療薬を販売しております。また、放射性診断薬の画像読影の支援を目的とした画像解析ソフトウェアの開発・提供も行っております。
PDRファーマが販売する主な放射性医薬品は下表のとおりです。
PDRファーマでは、今後の中長期での成長最大化に向けて、開発パイプラインの拡充を図っていきたいと考えております。現時点においては、下表の4つの臨床開発プログラムを実施しております。
2022年11月、PDRファーマはLilly社との間で、アルツハイマー型認知症のPET診断薬であるflortaucipir(18F)(米国での商品名:TauvidⓇ)の日本における共同開発契約を締結いたしました。PDRファーマは、これまでにLilly社との間で脳内アミロイドβプラーク可視化を行うPET診断薬であるアミヴィッド®静注の日本における共同開発・商業化に関して提携関係を構築してまいりました。アミヴィッド®(18F)は2016年に日本での承認を取得し、現在、PDRファーマが販売しております。Flortaucipir(18F)は、PETを用いて脳内の異常蓄積タウタンパク質による神経原線維変化(NFTs)を可視化する放射性診断薬です。タウタンパク質は、アルツハイマー型認知症等において神経細胞死よりも先行して凝集・蓄積がみられることから神経変性疾患の進行に大きく関わると考えられております。Flortaucipir(18F)は、2020年5月に米国で承認されており、日本での承認取得後はPDRファーマが製造および販売を実施する予定です。PDRファーマは、これまでフルデオキシグルコース(18F)およびアミヴィッド®(18F)に関してPET診断薬の開発・製造・販売の実績を有しており、今後さらにFlortaucipir(18F)が承認されることでアルツハイマー型認知症領域におけるPET診断薬の活用範囲がより一層拡大していくことを期待しております。
当社は、これまで放射性診断薬/放射性治療薬に用いるRI-PDCに関して、自社プログラムならびにBristol-Myers Squibb社(放射性診断薬)やBayer社(放射性診断薬)、Novartis社(放射性診断薬/放射性治療薬)、RayzeBio社(放射性診断薬/放射性治療薬)との間で多くの研究開発プログラムを進めてきており、RI-PDC創薬における主要プレーヤーの1社としての地位を確立してまいりました。
当社グループでは、当社及びPDRファーマの技術、ノウハウ及びネットワークを融合することにより、新たな放射性医薬品の創出、海外からの有望な放射性医薬品の導入などを進めることで放射性医薬品事業の拡大を図ってまいります。
当社グループは、2021年9月17日に、独立行政法人都市再生機構が実施した川崎市殿町国際戦略拠点(キングスカイフロント)の川崎市川崎区殿町三丁目地区(2-11・2-12画地)の土地譲渡人の公募入札に参加し、落札いたしました。キングスカイフロントは、世界的な成長が見込まれるライフサイエンス分野を中心に、世界最高水準の研究開発から新産業を創出するオープンイノベーション拠点として「国家戦略特区」及び「京浜臨海部ライフイノベーション国際戦略総合特区」として指定を受けております。今回落札された土地には、当社の本社・研究所の増設を念頭に建設準備を進めておりましたが、その後、2022年3月に放射性医薬品事業を取得したことに伴い、放射性医薬品事業の機能強化のために活用するニーズが出てきたことから、現在、設計の一部見直しを進めております。今後の建設計画につきましては、詳細が決定次第すみやかな公表を予定しております。なお、すでに土地については手元資金により購入しており、今後の建設費用については手元資金ならびに金融機関からの借入による充当を予定しております。
当社グループは、サステナビリティへの取り組みに関して、当社の基本方針、重点取組み、主要ポリシー/データを自社WEBサイト上での専用ページやサステナビリティレポート等にて積極的に情報開示を行っております。またグループとしてのサステナビリティへの取り組みをより推進するため、2022年7月より、PDRファーマでのサステナビリティへの取り組みを検討・推進する「サステナビリティ推進委員会」をPDRファーマ内に新設いたしました。当社グループは、地球環境への配慮、社会・従業員に関する取組み、企業統治(ガバナンス)に関して業界トップクラスの水準を目指して取り組んでまいります。
当社の事業活動におけるGHG排出量(Scope1及びScope2)は主に電力消費に由来しており、これまで再生可能エネルギーへのシフトを積極的に推進する電力会社から電力供給を受けておりました。この取り組みをさらに推進するため、当社本社・研究所で消費する電力を実質CO2(二酸化炭素)フリーとなる電力として2022年1月より導入いたしました。これにより、自社事業活動における「カーボンニュートラル」実現の中期目標を4年前倒しで達成いたしました。
当社は、研究開発型のイノベーション企業として、多様性が競争優位性やイノベーションを生み出し、我々のミッション実現につながることを確信しています。特に、従業員一人一人の有する専門性やサイエンティフィックな感性の多様性を重視しており、研究開発及び経営の中核を担う管理職・上級専門職層において、年齢や性別・文化背景に捉われないサイエンスベースの議論や意思決定ができる体制の確保が重要と考えております。その前提となる、中核人材(※1)の多様性を構成する要素として、「博士号 (Ph.D.)取得者比率(2022年12月末:51.2%、2030年目標:50%以上)」、「女性マネージャー比率(同:18.6%、同:30%以上)」、「外国人又は海外勤務経験者(※2)比率(同:32.6%、同:30%以上)」、「20~30代比率(同:16.3%、同:30%以上)」の4つの定量指標を設定し、これらの現状及び2030年までの目標数値を定めております。
※1:管理職・上級専門職(役員を除く)
※2:海外での研究・就労経験を有する者(半年未満、または留学を除く)
当社は、サステナビリティに関する継続的な取組みにより各評価機関から高い評価を受けております。2022年1月には、グローバルな ESG評価機関である Sustainalytics社から、ESGの取り組みに関して業界最高水準にある(評価対象となっているバイオテック企業439社中、世界第二位)との高い評価を受け、「TOP-RATED ESG PERFORMER 2022」を受賞いたしました。2022年4月には、グローバルインデックスプロバイダーである FTSE Russellにより構築されたFTSE Blossom Japan Sector Relative Indexの構成銘柄として選定されました。なお、FTSE Blossom Japan Sector Relative Indexは、公的年金を運用する年金積立金管理運用独立行政法人 (GPIF) の国内株式を対象とするESG総合指数としても新たに採用されたことが 2022年3月30日付で発表されております。また、環境情報開示に取り組むCDP(カーボン・ディスクロージャー・プロジェクト)の「気候変動プログラム」に2021年から参加し、CDP気候変動レポート2022において最上位レベルのリーダーシップレベルである「A-(A マイナス)」評価を取得いたしました。
当社グループの従業員は2022年12月31日現在で668名(ペプチドリーム株式会社:196名、PDRファーマ株式会社:472名、派遣を含む。女性社員比率は約26.2%)となっております。当社グループは取締役及び監査役12名を含めると総勢680名の体制となりました。
以上の結果、当連結会計年度における創薬開発事業の経営成績については、売上収益15,406,109千円(前年同期比5,983,895千円増加)、セグメント利益9,179,911千円(前年同期比5,086,789千円増加)、放射性医薬品事業の経営成績については、売上収益11,446,321千円、セグメント利益235,908千円となり、当社グループ全体としては売上収益は26,852,430千円(前年同期比17,430,216千円増加)、Core営業利益9,637,433千円(前年同期比5,544,311千円増加)、営業利益8,980,196千円(前年同期比4,913,949千円増加)、税引前利益6,653,325千円(前年同期比2,849,560千円増加)、親会社の所有者に帰属する当期利益7,554,358千円(前年同期比4,981,126千円増加)となりました。
当社グループは、IFRS業績に加えて、会社の経常的な収益性を示す指標として非経常的な項目をNon-Core調整として除外したCoreベースの業績を開示しています。当該Coreベースの業績は、IFRS業績から当社グループが定める非経常的な項目を調整項目として除外したものです。
Core営業利益は営業利益から企業買収に係る会計処理の影響及び買収関連費用、有形固定資産、無形資産及びのれんに係る減損損失、損害賠償や和解等に伴う損益、非経常的かつ多額の損益、個別製品又は開発品導入による無形資産の償却費を控除して算出しております。
なお、Core営業利益から営業利益への調整は以下のとおりです。
(単位:千円)
当社は第4四半期連結会計期間において1,978,850千円の金融費用を計上いたしました。2022年3月に実施したPDRファーマ株式会社の株式取得に際し、2024年4月30日までに脳内アミロイドβプラーク可視化を行うPET診断薬であるアミヴィッド®の軽度認知障害(MCI)への適用拡大が日本国内で承認された場合、4,000,000千円の追加支払いが発生する旨の条件付対価が設定されておりました。昨今、認知症領域における治療薬の開発状況が大きく進展したことに伴い、関連する診断薬であるアミヴィッド®の適用拡大承認の可能性が高まったことから、第4四半期連結会計期間において将来の支払予定額の50%相当分について公正価値評価額を引き当てることが合理的と判断いたしました。なお、2022年3月22日の当社開示資料において条件付対価として最大6,000,000千円の追加支払いが発生する可能性があると記載いたしましたが、現時点での追加支払いの最大額は4,000,000千円と見込んでおります。
また、当社は当連結会計年度末においてPDRファーマ株式会社における繰延税金資産を計上いたしました。その結果、法人所得税費用が2,625,227千円減少し、当連結会計期間における法人所得税費用は△901,033千円となりました。PDRファーマ株式会社が当社グループに参画する以前は当該事業の赤字が続いていたこともあり、事業取得当初から繰延税金資産を計上するのは適切ではないとの判断でしたが、当連結会計年度において当該事業が黒字化したこと、また第4四半期連結会計期間においてPDRファーマ株式会社が新たに策定した中長期事業計画に基づく再評価の結果、繰延税金資産の回収可能性が高まったことから繰延税金資産を計上することが合理的と判断いたしました。
当連結会計年度の総資産は63,865,200千円となり、前連結会計年度末と比べて36,830,604千円増加しました。その主な要因は、現金及び現金同等物が6,498,864千円減少したものの、営業債権及びその他の債権が15,778,049千円増加、有形固定資産が11,688,263千円増加したこと等によるものです。資産の増加には、PDRファーマ株式会社の新規連結による増加が含まれております。
負債は31,823,734千円となり、前連結会計年度末と比べて30,139,388千円増加しました。その主な要因は、借入金が21,048,451千円増加したこと等によるものです。負債の増加には、PDRファーマ株式会社の新規連結による増加が含まれております。
資本は32,041,465千円となり、前連結会計年度末と比べて6,691,215千円増加しました。その主な要因は、当期利益により利益剰余金が7,554,358千円増加したこと等によるものです。
当連結会計年度末における現金及び現金同等物は、前連結会計年度末に比べ6,498,864千円減少し、5,247,665千円となりました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は、次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動によるキャッシュ・フローは、税引前利益6,653,325千円の計上等があったものの、営業債権及びその他の債権の増減額11,286,614千円の計上等により、82,929千円の支出(前年同期は6,654,708千円の収入)となりました。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動によるキャッシュ・フローは、子会社の取得による支出23,460,335千円等により、27,377,217千円の支出(前年同期比25,093,766千円の支出増加)となりました。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動によるキャッシュ・フローは、長期借入れによる収入22,400,000千円等により、20,789,451千円の収入(前年同期比20,723,383千円の収入増加)となりました。
主要な連結経営指標は下表のとおりです。
【業績の推移】
※2022年12月期第1四半期連結会計期間よりIFRSを適用しております。そのため、2021年12月期の数値についても、IFRSに準拠して表示しております。
【主要な経営指標】
(注)1.設備投資額は、実際に支払う金額を表示しております。
2.2021年12月期実績の設備投資額には土地の取得に要する前払金(640百万円)を含んでおります。
3.2022年12月期の設備投資額には土地の取得に要する残金(2,586百万円)を含んでおります。
当社グループは、株主の皆様に対する利益還元を重要な経営課題と認識しており、経営成績及び財政状態を勘案しつつ利益配当を検討してまいります。一方、現状においては各種研究開発プログラムを加速していくことの重要性が高いものと判断し、必要な研究開発資金を確保する観点から内部留保を優先しております。
当社グループでは、「医療のあり方や患者さんの人生に変革をもたらす次世代医薬品の創出」をグループ全体のミッションとして掲げております。当社の独自技術である世界最先端の創薬プラットフォームシステムPDPS(Peptide Discovery Platform System)を基盤に、革新的医薬品の研究開発を先導するとともに、放射性医薬品領域におけるPDRファーマの有する専門性を融合することで人々の健康と医療の発展に貢献し、全世界の病気で苦しんでいる方に「ありがとう」と言ってもらえる仕事に取り組んでまいります。
1. 創薬開発事業
当社グループの創薬開発事業においては、①創薬開発パイプラインのステージアップおよび臨床開発入り、②PDCプログラムおよびMPCプログラムのさらなる拡大、の2つを戦略フォーカスとしております。
当社は創薬開発に注力しており、前臨床・臨床パイプラインを拡充することが当社の価値向上に重要であると考えております。現在、当社では4件の臨床プログラムが進行しております。2022年4月には、Bristol Myers Squibb(BMS社)との間で進めている次世代PD-L1阻害剤の第1相試験が新たに開始いたしました。当プログラムは、両社が進めているPD-L1のイメージング剤(RI-PDC)と同時に開発が実施されております。BHV-1100(CD38-ARMTM)では、Biohaven社と共同で現在多発性骨髄腫の患者を対象に第1a/1b相臨床試験を実施しております。また、2022年8月には、2022年2月に開始した新型コロナウイルス感染症治療薬候補であるPA-001プログラムでは、国内での臨床研究において安全性・薬物動態に関する良好な結果が確認されております。臨床プログラムをさらに拡大するためには、当社の前臨床段階のパイプラインから新たな臨床/開発候補化合物を選定することが重要と考えております。2022年5月にAmolyt社は成長ホルモン受容体拮抗薬のプログラムの開発候補化合物について研究成果を発表しました。Amolyt社は当プログラムの2023年上期中の臨床入りを計画しております。2022年12月に当社はRayzeBio社と共同開発を行っているRI-PDCプログラムの1つにおいて開発候補化合物を選定したことを発表いたしました。今後、当プログラムの臨床開発を進めていく計画です。また、リード化合物-GLP安全性試験ステージのプログラム数が対前年同期比で7個増加し、現在25個のプログラムが進められております。これらのプログラムの中から新たな臨床候補化合物の選定を進めていきたいと考えております。また今後は、新たなプログラム数の拡大は最小限としつつ、研究後期プログラムのステージアップ加速にリソースを重点的に配分していくことを計画しております。
前臨床段階パイプラインの臨床入りを加速していくことに加え、PDCプログラムおよびMPCプログラムを自社開発および提携を通じて推進していくことも重要と考えております。全世界的に当該領域への関心が高まっていることから、この戦略フォーカスにより当社のさらなる成長が見込めると考えております。2022年12月には、新たに2つのPDCプログラムの共同研究およびライセンス契約締結を発表いたしました。これまでの核酸PDCやRI-PDCに加えて、新たに細胞傷害性ペイロードとの組み合わせによるPDCプログラムを開始し、PDCアプローチの幅が着々と拡大しつつあります。これらの提携は、短期的な企業価値向上に資するとともに中長期的な成長にも貢献するものと期待しております。さらに、放射性医薬品事業とのシナジーを最大化するため、当社は複数のRI-PDCプログラムの前臨床試験を実施し、早期の臨床入りに向けた取り組みを進めております。
当社の創薬開発事業では、下表の中期目標達成に向けて各種取組みを進めております。これらの目標達成に向けて、当社は前臨床プログラムを拡大し推進するための継続的な取組みとリソース投入を行っております。戦略的提携パートナーや共同研究開発パートナーとの連携により臨床入りを加速するとともに、当社のプログラムに関心を持つパートナー候補先との新たな提携を構築してまいります。また、こうした取組みを支える高い専門性をもつ人財についても積極的な採用を継続してまいります。当社は、こうした取組みを通じて「Drug Discovery Powerhouse」としての立ち位置を強固なものとし、グローバルな創薬エコシステムの中心的ハブであり続けることが重要と考えております。
※1 PDRファーマのパイプラインは含みません
※2 治療薬以外の製品、及び診断薬は含みません
また、今後の5年間で「Drug Discovery Powerhouse」としての基盤をしっかりと確立していくため、以下の5つの重点目標に向けた取組みを推進してまいります。
①ペプチド創薬におけるエコシステム&パートナーネットワークの発展拡大をリードし、その中心的ハブとしての当社の役割を継続的に拡大
②「世界で最も広く活用される創薬基盤技術」として、当社独自のペプチド創薬開発プラットフォームシステム(PDPS)のライセンス先を継続的に拡大
③安全安心でかつ多様性を尊重し合う職場環境の中、すべての社員が新たなチャレンジへの機会を与えられ、その能力を最大限発揮できる「最高の場」を実現
④機動性の高い経営体制を推進するとともに、規範遵守や執行の監督機能とのバランス、及び社内外ステークホルダーとの継続的対話による透明性の高い経営を実現
⑤社会全体の持続的成長に向けて事業活動の効率化を促進し、水や廃棄物の環境負荷を最小化するとともに、2026年までに自社事業活動の「カーボンニュートラル」を実現
2. 放射性医薬品事業
当社グループの放射性医薬品事業においては、①既存製品の価値最大化、②今後成長が期待される中枢神経領域での事業拡大、③がん領域を中心に中長期的な成長を牽引する新たな放射性治療薬の開発、の3つを戦略フォーカスとしております。
既存のSPECT製品では、効能追加や剤形追加、および診断支援ソフトウェアの機能強化等による価値最大化を進めてまいります。2022年11月には、Lilly社との間でアルツハイマー型認知症のPET診断薬であるflortaucipir(18F)に関する日本における共同開発契約の締結を発表いたしました。既存の脳内アミロイドβプラーク可視化を行うPET診断薬であるアミヴィッド®静注に加えて、脳内の異常蓄積タウタンパク質による神経原線維変化(NFTs)を可視化するPET診断薬であるflortaucipir(18F)は、アルツハイマー領域のPET診断の2大分野とも言われており、両製品を有することで、認知症の恐れがある患者さんの病態把握に有用な情報を患者さんならびに医療関係者に提供することが可能となります。また、放射性医薬品事業において今後中枢神経領域での事業範囲を拡大していく上でも重要な布石になるものと考えております。
中長期では、がん領域を中心とする新たな放射性治療薬の開発が成長を牽引していくものと考えております。当社グループは、日本国内で放射性医薬品を開発・製造・販売するためのインフラや専門性、新規の放射性治療薬を創製・開発する技術や専門性、さらにこれまでに構築してきた強力なグローバルネットワークを活用し、継続的に開発パイプラインや製品ポートフォリオを拡大していくビジネスモデルを構築しております。これまでは、放射性医薬品市場は製品間の差別化要素が大きくないとされる診断薬が市場の多くを占めていたこともあり、同質製品間でのシェア争奪競争が中心でした。新たな放射性医薬品の時代に入り、特に治療薬を中心に有効性等の製品力による市場競争が中心になってくるものと考えております。当社グループは、革新的治療薬・診断薬の開発を積極的に進めていくことで、当該分野における医療の進歩に大きく貢献し、国内放射性医薬品No.1企業を目指してまいります。
当該事業は、2022年3月にPDRファーマが当社グループに参画する以前は継続的に赤字が続いていたこともあり、初年度となる2022年12月期では、継続赤字からの脱却と成長性の高いビジネスモデルへの転換を戦略フォーカスとして実行してまいりました。次の5年間は「投資期」と位置づけ、既存製品の価値最大化やPET新製品による一次成長を実現するとともに、収益増分は中長期的な成長最大化に向けて治療薬開発や設備/人財などへの再投資に回していくことが重要と考えております。また6年目以降は「収穫期」と位置づけ、治療薬新製品による二次成長とともに、当社グループの独自性でもあるパイプライン拡充モデルによるシナジーの本格的な具現化を進めていきたいと考えております。
当社グループ全体の中長期プランでは、短期的には300億円の連結売上収益を達成し、中長期的には1,000億円規模のグループ売上収益を目指してまいります。現行の経営体制に移行した2018年度以降、当初の4年間は共同研究開発プログラム数の拡大を軸に、安定的な成長を実現しながらも100億円超の売上収益の達成に必要な足場づくりを着々と進めてまいりました。今後は、化合物のライセンス収入や研究後期プログラムの進捗に伴う臨床/承認マイルストーン収入、売上ロイヤルティなど、創薬開発パイプラインからのより直接的な収益貢献によって成長を加速していくことが重要と考えております。また、当社がこれまで注力してきたPDCプログラムに関して、放射性医薬品事業(PDRファーマ)とのシナジー最大化も重要な成長の柱になっていくものと考えております。
3.会計基準の選択に関する基本的な考え方
当社グループは資本市場における財務情報の国際的な比較可能性の向上や、経営管理レベルのさらなる向上等を目的とし、2022年12月期第1四半期より、国際財務報告基準(IFRS)を任意適用しております。
(注) 上記の計算書の項目は税引後で開示しております。
該当事項はありません。
(1)報告セグメントの概要
前連結会計年度においては、当社グループは、創薬開発事業のみの単一セグメントであるため、報告セグメント別の記載を省略しております。なお、当第1四半期連結会計期間より、従来の「アライアンス事業」のセグメント名称を「創薬開発事業」に変更しております。当該変更は、より事業の内容を明確にするため、名称のみの変更であり、セグメント情報に与える影響はありません。これに伴い、前連結会計年度につきましても、変更後の名称で記載しております。
また、当社は、当第1四半期連結会計期間の2022年3月28日において、富士フイルム富山化学株式会社から放射性医薬品事業を吸収分割により承継する新会社であるPDRファーマ株式会社の株式を100%取得したことに伴い、当第2四半期連結会計期間以降において、当社の取締役会は、経営資源の配分の決定及び業績の評価をするために、「創薬開発事業」と「放射性医薬品事業」の2つの報告セグメントを定期的にモニタリングしております。そのため、当第2四半期連結会計期間以降当社グループは、「創薬開発事業」と「放射性医薬品事業」の2つの報告セグメントに区分しております。
【報告セグメントの内容】
(2)セグメント収益及び業績
当社グループの報告セグメントによる収益及び業績は以下のとおりであります。なお、セグメント間の売上収益は、市場実勢価格に基づいております。
前連結会計年度(自 2021年1月1日 至 2021年12月31日)
前連結会計年度における当社グループは創薬開発事業のみの単一セグメントのため、記載を省略しております。
当連結会計年度(自 2022年1月1日 至 2022年12月31日)
(注1)企業結合関連費用には、企業結合による取得関連費用368,122千円及び企業結合により新たに取得した無形資産の償却費67,500千円が含まれております。
基本的1株当たり当期利益及び希薄化後1株当たり当期利益は、次の情報にもとづいて算定しております。
(1)基本的1株当たり当期利益の算定上の基礎
(2)希薄化後1株当たり当期利益の算定上の基礎
該当事項はありません
(初度適用)
当社グループは、当連結会計年度からIFRSに準拠した連結財務諸表を開示しております。日本基準に準拠して作成された直近の財務諸表は2021年12月31日に終了する事業年度に関するものであり、IFRSへの移行日は2021年1月1日です。
IFRSでは、IFRSを初めて適用する会社(以下、初度適用企業)に対して、原則として、IFRSで要求される基準を遡及して適用することを求めております。ただし、IFRS第1号「国際財務報告基準の初度適用」(以下、IFRS第1号)では、IFRSで要求される基準の一部について強制的に免除規定を適用しなければならないものと任意に免除規定を適用するものを定めております。これらの規定の適用に基づく影響は、IFRS移行日において利益剰余金、又はその他の資本の構成要素で調整しております。当社グループが日本基準からIFRSへ移行するにあたり、採用した免除規定は以下のとおりです。
IFRS第1号では、初度適用企業は、IFRS移行日時点で存在する契約にリースが含まれているかどうかを、同日時点で存在する事実及び状況に基づいて判定することが認められております。また、リース負債を、残りのリース料を移行日現在の借手の追加借入利子率で割り引いた現在価値で測定し、使用権資産を、リース負債と同額とすることが認められております。リース期間が移行日から12ヶ月以内に終了するリース及び原資産が少額であるリースについて、費用として認識することが認められております。
IFRS第1号では、IFRS第9号「金融商品」(以下、「IFRS第9号」)における分類について、当初認識時点で存在する事実及び状況ではなく、移行日時点の事実及び状況に基づき判断することが認められております。また、移行日に存在する事実及び状況に基づき資本性金融商品をその他の包括利益を通じて公正価値で測定する金融資産として指定することが認められております。
当社グループは、IFRS第9号における分類について、移行日時点で存在する事実及び状況に基づき判断を行っており、資本性金融商品についてその他の包括利益を通じて公正価値で測定する金融資産として指定しております。
IFRS第9号の金融資産及び負債の当初認識時における公正価値測定及び利得又は損失の認識に関する規定について、当社グループは将来に向かって適用することを選択しております。
IFRS第15号「顧客との契約から生じる収益」(以下,「IFRS第15号」という。)では、初度適用企業に対して、最初の報告期間の期首現在で完了している契約及び期首以前に条件変更された契約については修正再表示しないことが認められています。当社グループは、当該実務上の便法を適用し、最初の報告期間の期首である2021年1月1日現在で完了している契約及び同日よりも前に条件変更された契約については修正再表示を行っておりません。
・株式に基づく報酬
IFRS第1号では,2002年11月7日以後に付与され,IFRS移行日より前に権利確定した株式報酬に対して,IFRS第2号「株式に基づく報酬」(以下,「IFRS第2号」という。)を適用することを奨励しておりますが,要求はされておりません。
当社グループは,移行日よりも前に権利確定した株式報酬に対しては,IFRS第2号を適用しないことを選択しております。
IFRS第1号では、「見積り」、「金融資産及び金融負債の認識の中止」、「ヘッジ会計」、「非支配持分」及び「金融資産の分類及び測定」等について、IFRSの遡及適用を禁止しております。当社グループはこれらの項目について移行日より将来に向かって適用しております。
当社グループは、IFRSに基づく連結財務諸表の作成において、日本基準に基づく単体財務諸表で報告していた金額を調整しております。IFRSの初度適用において開示が求められる調整は以下のとおりであります。なお、当社グループには日本基準に準拠して公表された直近の連結財務諸表がないため、日本基準に準拠して作成された単体財務諸表上の金額からの調整を表示しております。また、当該単体財務諸表には、その他の包括利益が表示されないため、その他の包括利益に対する調整は表示しておりません。
当該調整が当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に与える影響は、以下のとおりです。なお、調整表の「表示組替」には利益剰余金及び包括利益に影響を及ぼさない項目を、「認識・測定の差異」には利益剰余金及び包括利益に影響を及ぼす項目を含めて表示しております。
IFRS移行日(2021年1月1日)現在の資本に対する調整
(注)1.有形固定資産及び無形固定資産について、従来の日本基準では固定資産の種類ごとに取得原価と減価償却累計額を総額で開示しておりましたが、当該調整表上は、有形固定資産及び無形固定資産に集約し、帳簿価額で表示しております。
前連結会計年度(2021年12月31日)現在の資本に対する調整
(注)1.有形固定資産及び無形固定資産について、従来の日本基準では固定資産の種類ごとに取得原価と減価償却累計額を総額で開示しておりましたが、当該調整表上は、有形固定資産及び無形固定資産に集約し、帳簿価額で表示しております。
資本の調整に関する注記
(連結範囲の変更)
当社グループについて、日本基準ではBBT、J-ESOPの株式給付信託を連結しておらず、単体財務諸表を開示しておりましたが、IFRSでは、株式給付信託を連結しているため、連結財務諸表を開示しております。
(表示の組替)
① 現金及び現金同等物
日本基準では区分掲記していた「現金及び預金」について、IFRSでは「現金及び現金同等物」に組替えております。
② 営業債権及びその他の債権
日本基準では流動資産の「未収入金」について、IFRSでは「営業債権及びその他の債権」に組替えております。
③ その他の金融資産の振替
日本基準では区分掲記していた「投資有価証券」「長期貸付金」及び「関係会社長期貸付金」については、IFRSでは「その他の金融資産(非流動)」に振替えて表示しております。
④ 営業債務及びその他の債務
日本基準では区分掲記していた「買掛金」「未払金」及び「未払費用」について、IFRSでは「営業債務及びその他の債務」に組替えております。
⑤ 契約負債
日本基準では区分掲記していた「前受金」について、IFRSでは「契約負債」として表示しております。
(認識・測定の差異)
A)収益認識時点の変更に伴う契約負債等の調整
日本基準では一時点で収益を認識していた一部の取引について、IFRSでは履行義務の充足に応じて収益認識するように変更したことにより、契約負債の金額を調整しております。
B)その他の金融資産に対する調整
非上場株式について、日本基準では取得原価を基礎として計上し、発行会社の財政状態の悪化に応じて減損処理を行っておりましたが、IFRSではその他の包括利益を通じて公正価値で測定しております。
C)賦課金に関する調整
日本基準では納税通知書等に基づき計上していた固定資産税等の賦課金について、IFRSでは支払義務が発生した時点で支払見込額を認識しております。
D)持分法に関する調整
日本基準では上記にも記載のとおり連結財務諸表を開示しておらず、関連会社について持分法を適用しておりませんでしたが、IFRSでは、連結財務諸表を開示したうえで、関連会社について持分法を適用しております。
E)繰延税金資産及び繰延税金負債に対する調整
IFRSの適用に伴い、全ての繰延税金資産の回収可能性を再検討しております。また、日本基準からIFRSへの調整に伴い一時差異が発生したことにより、繰延税金資産及び繰延税金負債の金額を調整しております。
F)未払有給休暇の計上額の調整
日本基準では会計処理が求められていなかった未消化の有給休暇について、IFRSでは未払有給休暇として計上したうえで、「その他の流動負債」として認識しております。
G)株式報酬
株式報酬制度(BBT及びJ-ESOP)について、日本基準では要給付見込額を引当金として認識しておりましたが、IFRSでは公正価値に基づいて費用を認識するとともに、持分決済型の株式報酬として同額を資本の増加として認識しております。
有償ストック・オプションについては、日本基準では費用を認識しておりませんでしたが、IFRSでは権利確定条件の付されたストック・オプションのうち株式市場条件以外の条件が付されたストック・オプションについては、株式市場条件以外の権利確定条件を反映した権利確定すると見込まれる数及び公正価値に基づいて測定した金額を費用処理しております。
H)取得関連費用
企業結合に係る取得関連費用は、日本基準では単体財務諸表において資産として計上しておりましたが、IFRSにおいては、発生時に費用処理しております。
I)利益剰余金に対する調整
前連結会計年度(自 2021年1月1日 至 2021年12月31日)に係る純損益に対する調整
純損益に対する調整に関する注記
(表示の組替)
日本基準では「販売費及び一般管理費」に含めて表示していた「研究開発費」について、IFRSでは「研究開発費」として独立掲記しております。
日本基準では「営業外収益」、「営業外費用」、「特別利益」及び「特別損失」に表示していた項目について、IFRSでは財務関係損益を「金融収益」及び「金融費用」に、それ以外の項目を「その他の収益」、「その他の費用」に組替えております。
(認識・測定の差異)
A) 収益認識時点の変更に伴う売上収益の調整
日本基準では一時点で収益を認識していた一部の取引について、IFRSでは履行義務の充足に応じて収益認識するように変更したため、「売上収益」を調整しております。
B) その他の金融資産に対する調整
日本基準では資本性金融商品の売却損益を純損益として認識しておりましたが、IFRSではその他の包括利益を通じて公正価値で測定すると指定した資本性金融商品については、公正価値の変動額をその他の包括利益として認識し、売却時に直接利益剰余金へ振り替えております。
C) 賦課金に関する調整
日本基準では納税通知書等に基づき計上していた固定資産税等の賦課金について、IFRSでは支払義務が発生した時点で支払見込額を認識しております。
D) 持分法に関する調整
日本基準では連結財務諸表を開示しておらず、関連会社について持分法を適用しておりませんでしたが、IFRSでは関連会社について持分法を適用しております。
E) 繰延税金資産及び繰延税金負債に対する調整
IFRSの適用に伴い、全ての繰延税金資産の回収可能性を再検討しております。また、日本基準からIFRSへの調整に伴い一時差異が発生したことにより、繰延税金資産及び繰延税金負債の金額を調整しております。
F) 未払有給休暇の計上額の調整
日本基準では会計処理が求められていなかった未消化の有給休暇について、IFRSでは未払有給休暇として計上したうえで、費用として認識しております。
G) 株式報酬
株式報酬制度(BBT及びJ-ESOP)について、日本基準では要給付見込額を引当金として認識しておりましたが、IFRSでは公正価値に基づいて費用を認識するとともに、持分決済型の株式報酬として同額を資本の増加として認識しております。
有償ストック・オプションについては、日本基準では費用を認識しておりませんでしたが、IFRSでは権利確定条件の付されたストック・オプションのうち株式市場条件以外の条件が付されたストック・オプションについては、株式市場条件以外の権利確定条件を反映した権利確定すると見込まれる数及び公正価値に基づいて測定した金額を費用処理しております。
H) 取得関連費用
企業結合に係る取得関連費用は、日本基準では単体財務諸表において資産として計上しておりましたが、IFRSにおいては、発生時に費用処理しております。
前連結会計年度(自 2021年1月1日 至 2021年12月31日)に係るキャッシュ・フローに対する調整
日本基準に基づくキャッシュ・フロー計算書と、IFRSに基づく連結キャッシュ・フロー計算書に重要な差異はありません。