第2【事業の状況】

1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

当社の経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、以下のとおりであります。

文中の将来に関する事項は、当事業年度末現在において当社が判断したものであります。

(1)経営方針

 当社は「水を通じて健康づくりに貢献する」という経営理念に基づき、スイミングスクールの運営を中心とした経営を行っております。スクール会員の構成は子供会員が89.5%、大人会員が10.5%となっております。中でも大人の殆どが中高齢者となっております。

 そこで、これらのことを見据え、子供に関してはスクールの全ての活動を教育事業の一環と捉え、装置産業化したフィットネスクラブとは異なる成長を目指しております。また、大人に関しましては水の物理的特性を生かした水中マシンの開発と水中マシンプログラムの制作を進め、水中運動をより楽しく、効果の高いものにすることにより、シニア会員の拡大を図りたいと考えております。

 

(2)経営戦略等

 当社は、日本の経済成長戦略の一環として示されたいわゆる「コーポレートガバナンス・コード」の趣旨を踏まえ、同コードの基本原則で示された事項について、ひとつひとつ真摯に取締役会を中心に議論を行い、企業の持続的成長と株主価値の向上を図ってまいる所存です。

 具体的な戦略としましては、競泳、飛び込み競技に7名の選手を輩出した2021年「東京五輪」に続き、来年に迫った「パリ五輪」、そして2028年「ロサンゼルス五輪」、更には2032年「メルボルン五輪」においても複数の選手を送り込み、1つでも多くのメダルが獲得出来るように更なる選手強化を図りたいと考えております。

 また、シニア会員の増員を図るべく、水中マシンの開発や、水中バイク、水中トランポリンを使ったプログラムの制作、また、水中ウォーキングプログラムの質的向上を図ることにより、少子高齢化社会への対応を進めてまいります。

 

(3)経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等

 当社は、企業価値向上のためには、財務の健全性を維持しながら資本の効率性を高めていくことが重要だと考えております。中長期的には、内部留保を新規事業所の設備投資に充当し、利益の最大化を目指してまいりますが、同時に資本効率を高め、企業価値の向上を図ることを基本方針としております。

 したがって、株主資本利益率いわゆるROEと配当性向を経営上目標とする重要な経営指標としてまいります。

 また、上記重要な経営指標を実現するため、当社売上高の約8割が会費売上高であり、収益性指標として会員数を具体的な経営指標とし、既存事業所の会員数の底上げと新規出店により会員数の増大を図ってまいります。

 

(4)経営環境

 スイミングスクール業界の経営環境は、財務体質の弱い企業の施設の閉鎖は今後も続いて行くと思われます。

 しかし、現在の様な不確実な社会においては子供の育成に対する意識の高まりによって、少子化による影響があったにせよ、潜在会員の大きな落ち込みはないと思われます。

 このようなことから、スイミングスクール施設の減少は業界規模において多少の縮小を招きますが、この10年余りは明らかにオーバーストア状態であり、需要と供給の面から見れば正常な状態に戻っていると見ることができると思われます。

 

(5)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題

 今後の見通しにつきましては、コロナ禍収束による社会活動の正常化を想定しております。このような環境の下、当社は業績の回復および更なる成長に向けて、下記の経営施策を行ってまいります。

 ① WEB会議システムを活用した社員教育や会議の推進による経費節減とスピードアップの実現

 当社の事業所は全国に点在しており、社員研修や運営会議の招集には移動に要する時間とコストが大きな課題でした。

 これらを改善するためにWEB会議システムを有効に利用し、経費節減とスピードアップの実現を図ります。

 ② オリジナル水中運動器具「水中トランポリン」とプログラムの開発・普及

 当社開発の水中バイクおよび当社オリジナルの水中ウォーキングプログラムに加え、新たに水中トランポリンを導入することでオリジナル性の高い水中運動プログラムを提供し、大人会員の集客にも注力してまいります。これらのプログラムは高齢者特有の関節痛の緩和、改善にも効果が期待でき、高齢者の健康増進、健康寿命の延伸にも役立てることで社会に貢献いたします。

 ③ オフィシャルサイトの充実によるブランディングと広告宣伝効率化

 SEO対策(サーチエンジン最適化)やコンテンツマーケティング(オフィシャルサイト内にコラム掲載)などの施策により潜在顧客の掘り起こしを行います。

 上記の他、各事業所ウェブサイト内容の充実を図り、WEBによる認知拡大とブランディングを推進します。

 

 ④ MEO対策(マップエンジン最適化)の推進

 現在、企業HPのおよそ10倍のユーザー数があると言われるGoogleマップ内の情報(営業時間・キャンペーン情報・施設画像など)を充実させ、評価の引き上げや関連ワード検索に対して同業他社より上位表示させることで当社事業所の認知度向上を目指します。

 これらの施策によりジュニアクラスの親世代や、成人会員のターゲットとなるシニア世代のスマホユーザーへのWEBアプローチを強化します。

 

 

2【サステナビリティに関する考え方及び取組】

 当社のサステナビリティに関する考え方及び取組は次のとおりであります。

 

(1)ガバナンス

 当社は、持続可能な社会の実現のためには長期継続的に企業価値を高めることを目指し、健全で透明性の高い経営を行い、コンプライアンスとタイムリー・ディスクロージャーを徹底することにより、株主やお客様など当社を取り巻く全てのステークホルダーの利益を守ることが重要であると考えております。

 当社事業としましては、経営理念である「水を通じて健康づくりに貢献する」のもと、青少年の健全育成を願うとともに、将来への高齢社会、健康志向、余暇の有効利用という社会問題に取り組んでいくことでJSSグループとして地域社会への貢献を目指してまいります。

 

(2)人的資本・多様性への取り組み

 当社は中期経営計画の人事戦略として「教育・研修の充実」「評価制度・昇格制度の改革」「女性社員の職域拡大、活用の高度化」のもと人材獲得競争が激化するスイミングスクール業界において、求職者および従業員に対し、スイミングスクール運営企業で唯一の上場企業としての強みを生かした魅力ある労働環境の整備や教育環境の強化に努め、求職者及び従業員に対してより魅力ある労働環境を整備し働き方改革を推進するとともに、「成長が見える」教育システム・評価制度の導入により、人材育成強化に一層注力しております。

 また、現状の女性の雇用割合等を踏まえつつ、女性の活躍促進を含む社内の多様性の確保を図るとともに、全社員へ向けた福利厚生の充実を図っております。

 

(3)リスク管理

 当社は、サステナビリティを巡る課題への対応は重要なリスク管理の一部であると認識しております。

 これらの課題に対し当社は、リスク管理規程に基づき取締役会の直属機関として代表取締役を委員長とするリスク管理委員会を設置し、経営に対する影響と顕在化の可能性が高いリスクについては、重点リスクとして全社的な対策を検討しております。

 

(4)指標及び目標

 当社では上記「(2)人的資本・多様性への取り組み」において記載した、人材の多様性の確保を含む人材の育成に関する方針及び社内環境整備に関する方針について、次の指標を用いております。

 〇「女性活躍推進法に基づく一般事業主行動計画」における指標、目標および実績

 (計画期間:2021年12月1日~2026年11月30日)

  目標1:計画期間内に、女性の社員に占める比率を40%以上にする。(2022年度 35.9%)

  目標2:計画期間内に、社員の有給取得率を50%以上にする。   (2022年度 54%)

 

 

3【事業等のリスク】

 以下において、当社の事業展開上のリスク要因となる可能性がある主な事項を記載しております。また、必ずしもそのようなリスク要因に該当しない事項であっても、投資家の投資判断上又は当社の事業をより理解していただく上で重要であると考えられる事項については、積極的な情報開示の観点から記載しております。

 なお、文中における将来に関する事項は、本書提出日現在において入手した情報を基に当社が判断したものであります。

 

(1)当社の事業について

① 経済状況等の影響について

 当社は、スイミングスクールの運営を主たる業務としております。

 売上高の多くは直営事業所のスイミングスクール会員の会費、民間・公共施設からの運営受託に伴う受託料及びスキースクール等の企画課外売上収入であり、その合計金額は2023年3月期で7,452百万円と、売上高の92.3%を占めております。

 スイミングスクールの対象顧客は一般個人であることから、経済状況、雇用情勢、嗜好の変化や、消費税増税による買い控え、あるいはゆとり教育の見直しによる授業時間の増加による習い事時間(余暇時間)の減少などが生じた場合、当社の業績に影響を及ぼす可能性があります。

② 会員数の動向と会員の構成について

 当社は子供会員に対する指導教本及び水中健康運動教本等の創業以来の指導経験を織り込んだ各種マニュアルや教本に基づく専門的な指導が強みであるため、子供会員の構成比が89.5%と高いことが特徴となっています。一方、総務省の発表による人口推計(2023年4月1日現在の概算値)によると、子供(0歳から14歳)の数は1,436万人であり、総人口に占める割合は11.5%と最低を更新しております。このような状況の中、当社の子供会員数は近年増加傾向ではありますが、大人会員数については水泳指導のないフリー会員からより単価の高いスクール会員へのシフトを進めたこともあり減少しております。

 今後、会員の獲得及び収益力の向上のために様々な施策を実施していきますが、子供人口の減少及び予測しない事態の発生による信用の失墜等により、当初想定していた会員数の獲得ができなかった場合には、当社の業績に影響を及ぼす可能性があります。

③ 競合等の影響について

 高齢化社会と医療費削減の流れの中で、生活習慣病などに対する国民の健康意識の高まりとともに、フィットネス業界における施設数は現在コロナ禍で一時的な店舗数の減少は生じているものの、近年の傾向としては増加しており、異業種からの参入や多店舗展開などその競争はより厳しいものになってきております。当社は、他のスポーツクラブと差別化を図るため、スイミングスクールに特化した事業戦略と地域密着型・教育重視の経営を行っておりますが、当社施設の地域内に競合施設が進出した場合や顧客ターゲットの重複など競争の激化によっては、売上高の低下又は販売活動・広告宣伝費の増加によるコストアップが収益の悪化を招き、当該施設の撤退など当社の業績に影響を及ぼす可能性があります。

(2)事業所の出店について

 当社は、2023年3月末日現在、直営事業所64事業所、受託事業所21事業所を開設しております。今後も地域に密着した、低コストでコンパクトタイプのスイミングスクール施設等を基本として開設を行う方針でありますが、当社の希望する開設予定地が確保できない場合や、事業所の地代家賃、建物等の建設費用の上昇により出店コストが上昇した場合、開業後の新規事業所の収支が計画通りに進まない場合には業績に影響を及ぼす可能性があります。

 また、新規事業所の開設が特定の時期に集中するような場合には、開業経費等の計上が先行して発生するため業績へ影響を及ぼす可能性があります。

(3)施設の補修修繕や広告宣伝について

 事業所については集客力の向上と会員サービスの更なる充実を図るために、施設のリニューアルや広告宣伝等を随時実施する方針であります。しかしながら、当社の資金的制約や、受託事業所はオーナーの意向や経営状況により、集客に必要な施設の補修修繕や広告宣伝等の施策が進まない場合や、受託料等の債権の回収が進まない場合には、業績に影響を及ぼす可能性があります。

 また、施設のリニューアル工事が特定の時期に集中するような場合にも、修繕維持費等の費用が増加し業績へ影響を及ぼす可能性があります。

(4)電力料金や燃料価格について

 スイミングスクールの施設の空調や、プール水温等の管理、会員の送迎バスの運行に係る費用等は、電力料金や燃料価格の影響を受けるため、これらの料金や価格が上昇した場合には業績に影響を及ぼす可能性があります。

(5)課外活動について

 スイミングスクールの会員に対して行っているスキースクール等の課外活動は学校の長期休暇のある夏季、冬季に集中して実施しているため、これらの時期に天候不順や災害等発生した場合には業績に影響を及ぼす可能性があります。

(6)特定地域への依存について

 当社は全国を営業エリアとしておりますが、関西地区での売上高が全体の約四分の一を占めているため、特に関西地区で大規模災害、流行性疾患等の感染症が発生した場合や、大規模な震災等の発生により事業所の業務を停止せざるを得ない状況や、建物や設備が損傷し、その修復に多大な費用が必要となった場合、当社の業績に影響を与える可能性があります。

(7)法的規制について

① 事業に関する法的規制について

 当社はスイミングスクールを開設、営業するに際して、消防法、浄化槽法、下水道法、建築基準法、道路交通法等の法令並びに地方自治体の条例、各種行政指導による規制を受けております。また、事業所などにおける水着等の商品販売は、不当景品類及び不当表示防止法の規制を受けております。

 当社においては、これらの法令等の遵守を徹底しており、厳格な業務マニュアルに基づいて運営を行っており、現在までに重大な事故、訴訟、行政等の指導を受けた事実はありません。しかしながら、法令違反が起きた場合は営業停止等の行政処分によって、当社の業績に大きな影響が出ることが予想されます。

 また、これらの規制が強化された場合、自主的な規制を促す風潮が強まったりした場合等においては、当社が負担すべきコストが上昇し、業績へ影響が及ぶ可能性もあります。

② スイミングスクールの開設に際しての規制等について

 スイミングスクールの開設に関しましては、行政当局からの許認可が必要であるほか、各種の公的許認可書、申請書が必要であります。

 開設に際しては当局に対して十分に事前の打合せ、問い合わせを行い、開設準備を進めておりますが、万が一、営業許可が下りなかった場合、もしくは承認が長引いた場合は、当初の出店計画の修正を余儀なくされる可能性があります。

 また、これらの規制は都道府県、市町村などの条例に基づく行政指導として行われることが多いため指導内容は地域ごとに異なり、統一した基準、指導が必ずしも見られません。したがって、その内容については物件ごとに対応せざるを得ない場合が多く、その対応によって営業開始時期がずれ込んだり、事業所施設の内容に制限が加えられる可能性があります。

③ プールの安全衛生に関する規制について

 プールは、利用者が遊泳等を楽しみながら、心身の健康の増進を期待して利用する施設であり、そのようなプールが安全であることは、利用者にとって当然の前提となっております。プールの安全確保は当社の責任で行われるものでありますが、プールの排(環)水口に関する安全確保の不備による事故をはじめとしたプール事故を防止するため、プールの施設面、管理・運営面で配慮すべき基本的事項等について、2007年3月に文部科学省及び国土交通省が「プールの安全標準指針」として統一的に指針を示しております。また、本指針を受け2007年5月に厚生労働省より通達された「遊泳用プールの衛生基準について」で衛生面を中心に統一的指針がなされております。当社では、これらの規制のもと水質基準・施設基準・維持管理基準を遵守する必要があります。

 当社はコンプライアンスの重要性を十分認識し、従業員への法令遵守の教育を徹底するとともに、リスク管理規程に基づき取締役会の直属機関として当社代表取締役が委員長を勤めるリスク管理委員会を設置し、リスク管理の推進及びコンプライアンスの徹底を図っておりますが、当社の事業を規制するその他関係法令等を根拠として損害賠償請求等の訴訟を提起されたり、これらの規制の違反により施設の営業停止などの処分を受けた場合には、当社の業績に影響を与える可能性があります。

④ 旅行業登録について

 当社は、スイミングスクール会員に対する課外活動としてスキースクール、キャンプ等を行っているため、旅行業登録を行っております。当社では、当該登録の諸条件や各法令の遵守に努めており、現時点において、登録の取消事由に該当する事実はないと認識しております。

 しかしながら、万一法令違反等によって登録が取り消された場合、当社の業績に影響を与える可能性があります。

(8)人材の確保について

 当社は、今後も積極的に事業を拡大していく方針であり、これに伴いスイミングを指導する人材の確保が必要であると認識しております。新卒採用はもとより即戦力となる中途採用についても積極的に行うとともに、今後は教育研修等による人材の育成についても注力していく方針であります。しかしながら、計画通りに優秀な人材の確保や育成ができなかった場合には、当社の業績に影響を与える可能性があります。

(9)有利子負債への依存について

 当社は、出店のための設備投資の一部を主に金融機関からの借入により調達しております。2023年3月期末の総資産6,997百万円に対し有利子負債の合計は2,192百万円、総資産に対する有利子負債の割合は31.3%となっております。

 今後の事業展開によってはさらに借入金残高が増加することも予想され、金利の上昇等の金融情勢や取引金融機関の方針等に変化が生じた場合には、当社の業績に影響を与える可能性があります。

(10)固定資産の減損処理について

 当社は、事業所の建物等の固定資産を保有しておりますが、会員数の減少など事業所の収益性の低下により投資額の回収が見込まれず、固定資産の減損を認識する必要があると判断した場合や、一部保有している遊休資産の時価が下落した場合、当社の業績に影響を与える可能性があります。

(11)敷金・保証金について

 2023年3月期末の敷金及び保証金の金額は683百万円となっております。今後の新規出店にあたっては、極力土地・建物の所有を行わず、賃貸借契約に基づく出店を考えておりますが、賃貸人の経営状況により敷金・保証金の回収に疑義が生じた場合、貸倒引当金の計上や貸倒損失が発生する可能性があります。

 また、当社側の理由により土地建物賃貸借契約を中途解約した場合に全額返還されない敷金及び保証金は2023年3月31日現在、22物件で232百万円あり、これらの契約を契約期間満了前に解約した場合、当社の業績に影響を及ぼす可能性があります。

(12)個人情報管理について

 当社は業務上の必要により、会員の氏名、住所、電話番号等の個人情報を保有し管理しております。これらの個人情報の取扱いについては、個人情報の保護に関する法律に基づき「個人情報保護規程」を定め、アクセス管理をするなど管理体制の充実に細心の注意を払っております。

 しかしながら、外部からの不正アクセスや社内管理体制の不手際等から個人情報が外部に漏洩し、会員等に何らかの損害が発生した場合や従業員等により個人情報の不正利用が行われた場合、個人情報の保護に関する法律に基づく勧告、命令、罰則等を受けるような事態が生じた場合には、当社への損害賠償請求や社会的信用の低下により当社の業績に影響を及ぼす可能性があります。

(13)事業所内や課外活動中の安全性及び健全性について

 事業所内や課外活動中に事故及び学童保育時の食中毒や食品アレルギーが発生した場合、賠償請求を受ける可能性があります。当社は賠償責任保険に加入しておりますが、賠償額が保険金額を上回るような重大な事故や従業員、業務委託先等による不適切な行為、もしくは企業倫理に反する行為等が発生した場合には直接業績に影響を及ぼすとともに、信用毀損やネガティブな風評の発生により二次的に業績に影響を及ぼす可能性があります。

4【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

 

 (1)経営成績等の状況の概要

 当事業年度における当社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。

 

① 財政状態及び経営成績の状況

 当事業年度における我が国経済は、新型コロナウイルス感染症に係る行動制限が緩和されたことに伴い、経済活動が正常化しつつあったものの、7月以降変異株による感染者急増により人の流れや個人消費に落ち込みが見られ、さらに原材料価格や光熱費の上昇およびウクライナ情勢の長期化など、依然として先行き不透明な状況が続いております。

 このような状況の中、当社におきましては、季節ごとの入会キャンペーンおよび短期教室、体験会等により、休会者の復帰促進および退会防止、入会者の確保に努めたものの、依然当社事業への影響が払拭できない状況が続きました。

 また、近年の水道光熱費および燃料費高騰への対応として、2022年10月から燃料代として、1会員につき月額400円の徴収を実施し、収益の改善を図りました。

 企画課外活動につきましては、行動制限がない状況において、旅行企画および選手強化合宿等、宿泊を伴うイベントを再開した他、自社施設内で行う練習会等を地域の感染状況に応じて実施することで収益の確保に努めました。

 その他の営業施策につきましては、大人会員集客の施策として、国内特許を取得した自社開発の水中バイク「Jパドルバイク」に水中トランポリン、水中ウォーキングプログラムを合わせたオリジナルの水中運動プログラム「バイポリン&ウォーク」について、体験会等の販促および一部事業所において有料プログラムの提供を行いました。

 また、2022年4月に中高生を対象とした、楽しく水泳に取り組むことで仲間づくりを支援し、ストレス解消により勉強への集中力を高める事などをコンセプトとしたクラス「JSS部」を開設し、小学校卒業を機に退会する傾向がある高学年の在籍延長と、既にスイミングを卒業した元会員に対する再入会へ向けた取り組みを進めました。

 選手強化面におきましては、2022年6月にハンガリー・ブダペストで開催された、第19回世界水泳選手権大会において、競泳では難波実夢選手(JSS)が出場し、200mリレーで8位入賞となりました。

 飛込においては、玉井陸斗選手(JSS宝塚)、荒井祭里選手(JSS宝塚)、板橋美波選手(JSS宝塚)が出場し、玉井陸斗選手が高飛込で史上最年少での銀メダル、荒井祭里選手が高飛込で6位入賞、また同選手と板橋美波選手のペアが10mシンクロナイズドで4位入賞となりました。

 また、2022年8月の第98回日本選手権水泳競技大会飛込競技において、玉井陸斗選手が、高飛込で優勝、3m飛板飛込で3位、荒井祭里選手が高飛込で優勝、板橋美波選手が高飛込で準優勝、また同選手と荒井祭里選手とのペアが10mシンクロナイズドで優勝、伊熊扇李選手(JSS宝塚)が1m飛板飛込で優勝、3m飛板飛込で5位、伊藤洸輝選手(JSS宝塚)が3m飛板飛込で6位、また同選手と伊熊扇李選手とのペアが10mシンクロナイズドで準優勝となりました。

 2022年12月の第16回FINA世界水泳選手権(25m)においては、競泳の難波実夢選手(JSS/近畿大学)が800m自由形3位で日本新記録、1500m自由形で準優勝となりました。

 発達支援事業(JSS水夢)につきましては、2014年9月に開設、2021年4月にJSS山本スイミングスクール(大阪府八尾市)の隣接地へ移転を行って以降、児童発達支援および放課後等デイサービス事業を通じ、子供達に対する個別支援を行う事で地域に貢献をしながら順調な運営を行い、2022年12月には2事業所目となるJSS水夢北神戸(神戸市北区)を開設しました。

 人材の育成および確保につきましては、近年人材獲得競争が激化するスイミングスクール業界において、求職者および従業員に対し、スイミングスクール運営企業で唯一の上場企業としての強みを活かした魅力ある労働環境の整備や教育環境の強化に努めました。

 また、人材確保の取り組みとして、専門学校でスポーツ産業への従事を目指す学生に対し、当社事業の大人向け水中運動プログラムを体験する機会を設ける等、将来の当社就職希望者の発掘に向けた取り組みを実施いたしました。

 日本テレビホールディングス株式会社との業務提携の状況につきましては、同社100%子会社である株式会社ティップネス(以下「ティップネス」)との協業について、両社のノウハウ・経営資源を持ち寄ることで、両社の企業価値向上に資する効果的なシナジーをさらに強力に推進するため、以下の施策を進めてまいりました。

 

 

<ティップネスとの主な協業内容>

〇JSS&Tipness関西マスターズ大会の開催

新たな取り組みとして、2022年10月29日に当社とティップネス社2社合同によるJSS&Tipness関西マスターズ大会を開催いたしました。

〇オンラインフィットネス配信サービス「トルチャ」の提供

ティップネスが持つオンラインフィットネス配信サービス「トルチャ」を当社会員およびその家族向けに提供し、顧客満足度向上とコロナ禍における施設に頼らない収益確保策の一つとしました。

〇JSSキッズファミリープラン

両社が近隣に商圏を持つ事業所において当社子供会員の家族が割引価格でティップネスの事業所を利用出来る「JSSキッズファミリープラン」を設定し、顧客満足度向上につながるものとしました。

〇水中バイク、水中トランポリン体験会の実施

当社開発の水中バイクおよび水中トランポリン、水中ウォーキングプログラムを合わせた、オリジナル性の高い水中運動プログラムの体験会をティップネスの事業所にて実施。ティップネス大人会員へ当社の新たな大人向けプログラムを提供する事で、当社に対する意見を収集し、更なるサービス力の向上を図り、今後の社外販売に向けた取り組みといたしました。

〇協業会議および分科会の定期開催

当社とティップネスとの情報交換の機会として、協業会議および各業務、テーマに沿ったより細分的な会議体としての分科会を実施しております。

〇その他

商材や備品、電力等エネルギーの共同購入によるコスト削減や人事採用の情報交換等、両社の強みとスケールメリットを活かした様々な分野におけるシナジー効果を生み出す取り組みを協議し、実施するとともに、更なる施策の準備を進めてまいりました。

 

 このような営業施策により、当事業年度末の会員数は88,173人(前期比3.0%減)となりました。子供、大人別会員内訳では、子供会員数が78,902人(前期比3.0%減)、大人会員数が9,271人(前期比2.6%減)となっております。

 

 以上の結果、当事業年度の売上高は8,073百万円(前期比6.9%増)、営業利益は425百万円(前期比47.0%増)、経常利益は430百万円(前期比50.7%増)、当期純利益は234百万円(前期比108.9%増)となりました。

 なお、当社はスイミングスクール運営事業の単一セグメントであるため、セグメント別の記載を行っておりません。

 当事業年度末の資産合計は、前事業年度末に比べ258百万円減少し、6,997百万円となりました。これは主に、有形固定資産が253百万円減少したことによるものであります。

 負債合計は、前事業年度末に比べ447百万円減少し、4,348百万円となりました。これは主に、長期借入金が551百万円減少したことによるものであります。

 純資産合計は、前事業年度末に比べ188百万円増加し、2,649百万円となりました。これは主に、利益剰余金が当期純利益の計上等により188百万円増加したことによるものであります。

 

② キャッシュ・フローの状況

 当事業年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前事業年度末に比べ、27百万円減少し、当事業年度末は1,276百万円となりました。当事業年度中における各キャッシュ・フローは次のとおりであります。

 (営業活動によるキャッシュ・フロー)

 当事業年度において営業活動により得られた資金は802百万円となりました。これは主に、税引前当期純利益367百万円、減価償却費233百万円によるものであります。また、前事業年度に比べ得られた資金は82百万円増加しておりますが、主に税引前当期純利益が190百万円増加した一方で、新型コロナウィルス感染症による損失が65百万円減少したことによるものであります。

 (投資活動によるキャッシュ・フロー)

 当事業年度において投資活動により使用した資金は42百万円となりました。これは主に、有形固定資産の取得による支出32百万円によるものであります。また、前事業年度に比べ使用した資金は179百万円減少しておりますが、主に有形固定資産の取得による支出が195百万円減少したことによるものであります。

 (財務活動によるキャッシュ・フロー)

 当事業年度において財務活動により使用した資金は787百万円となりました。これは主に、長期借入金の返済による支出578百万円、短期借入金の純減少額150百万円によるものであります。また、前事業年度に比べ使用した資金は645百万円増加しておりますが、主に長期借入れによる収入が500百万円減少したことによるものであります。

③ 生産、受注及び販売の実績

 当社は、スイミングスクールの運営を主たる事業としているため、生産及び受注の実績については記載しておりません。

a. 販売実績

当社は、スイミングスクール運営事業の単一セグメントのため、当事業年度の販売実績を売上種類別に示すと、次のとおりであります。

 

 

売上種類別

当事業年度

(自 2022年4月1日

至 2023年3月31日)

前年同期比(%)

 

 

 

 

 

直営事業収入      (千円)

6,335,704

105.2

受託事業収入      (千円)

736,273

106.7

企画課外売上収入    (千円)

380,148

158.4

スイミングスクール運営収入(千円)

7,452,126

107.2

 

 

 

 

 

直営商品売上      (千円)

254,145

99.3

その他商品売上     (千円)

336,022

109.1

商品売上         (千円)

590,167

104.7

 

  その他の営業収入     (千円)

30,828

90.7

 

合計(千円)

8,073,122

106.9

 

 

 

(2)経営者の視点による当社の経営成績等の状況に関する分析・検討内容

 経営者の視点による当社の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。

 なお、文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において判断したものであります。

 

 ① 重要な会計方針及び見積り

 当社の財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この財務諸表の作成に当たりまして、事業年度末における財政状態、報告期間における経営成績及び開示に影響を与える見積り・予測を必要としております。当社はこれらの見積り・予測について、過去の実績や現在の状況を考慮し、合理的と考えられる基準に基づき判断しております。しかしながら、見積り・予測は不確実性が伴うため、実際の結果と大きく異なる可能性があります。

 なお、新型コロナウィルス感染症の影響等不確実性が大きく将来事業計画等の見込数値に反映させることが難しい要素もありますが、期末時点で入手可能な情報を基に検証等を行っております。

 

(繰延税金資産)

 当社は、繰延税金資産について、将来の利益計画に基づいた課税所得が十分に確保できることや、回収可能性があると判断した将来減算一時差異について繰延税金資産を計上しております。繰延税金資産の回収可能性は将来の課税所得の見積りに依存するため、その見積りの前提とした条件や仮定に変更が生じ減少した場合、繰延税金資産が減額され税金費用が計上される可能性があります。

(固定資産の減損損失)

 当社は、固定資産のうち減損の兆候がある資産グループについて、当該資産グループから得られる割引前将来キャッシュ・フローの総額が帳簿価額を下回る場合には、帳簿価額を回収可能価額まで減額し、当該減少額を減損損失として計上しております。減損の兆候の把握、減損損失の認識及び測定に当たっては慎重に検討しておりますが、事業計画や市場環境の変化により、その見積り額の前提とした条件や仮定に変更が生じ減少した場合、減損処理が必要となる可能性があります。

 

 ② 財政状態の分析

a. 流動資産

 当事業年度末における流動資産の残高は、1,583百万円となり、前事業年度末と比べて6百万円の増加となりました。これは主に、売掛金が12百万円増加したことによるものであります。

b. 固定資産

 当事業年度末における固定資産の残高は、5,414百万円となり、前事業年度末と比べて265百万円の減少となりました。これは主に、有形固定資産が253百万円、投資その他の資産が7百万円減少したことによるものであります。

c. 流動負債

 当事業年度末における流動負債の残高は、2,352百万円となり、前事業年度末に比べて113百万円の増加となりました。これは主に、未払消費税等が122百万円増加したことによるものであります。

d. 固定負債

 当事業年度末における固定負債の残高は、1,996百万円となり、前事業年度末に比べて560百万円の減少となりました。これは主に、長期借入金が551百万円減少したことによるものであります。

e. 純資産

 当事業年度末における純資産の残高は、2,649百万円となり、前事業年度末に比べて188百万円の増加となりました。これは主に、利益剰余金が当期純利益の計上等により188百万円増加したことによるものであります。

 ③ 経営成績の分析

a. 売上高

 当事業年度における売上高は、8,073百万円となり、前事業年度と比べて523百万円の増加となりました。これは主に、スイミングスクール運営収入が499百万円、商品売上高が26百万円増加したことによるものであります。

b. 売上原価

 当事業年度における売上原価は6,695百万円となり、前事業年度と比べて309百万円の増加となりました。これは主に、スイミングスクール運営原価が294百万円増加したことによるものであります。

c. 売上総利益

 上記の結果、当事業年度における売上総利益は、前事業年度と比べて213百万円増加し、1,377百万円となり、売上高総利益率は17.1%となりました。

d. 販売費及び一般管理費

 当事業年度における販売費及び一般管理費は951百万円となり、前事業年度と比べて77百万円の増加となりました。これは主に、支払手数料が28百万円増加したことによるものであります。

e. 営業利益

 上記の結果、当事業年度における営業利益は425百万円となり、前事業年度と比べて135百万円の増加となりました。

f. 営業外収益

 当事業年度における営業外収益は13百万円となり、前事業年度と比べて1百万円の増加となりました。これは主に、受取事務手数料が3百万円増加したことによるものであります。

g. 営業外費用

 当事業年度における営業外費用は9百万円となり、前事業年度と比べて7百万円の減少となりました。これは主に、解約違約金が5百万円減少したことによるものであります。

h. 経常利益

 上記の結果、当事業年度における経常利益は430百万円となり、前事業年度と比べて144百万円の増加となりました。

i. 当期純利益

 減損損失62百万円等を計上した結果、特別損失が62百万円となり、税引前当期純利益は367百万円となりました。また、法人税、住民税及び事業税101百万円、法人税等調整額30百万円を計上しております。

 以上の結果、当事業年度における当期純利益は234百万円となり、前事業年度と比べて122百万円の増加となりました。

 ④ 経営成績に重要な影響を与える要因について

 当社の主力であるスイミングスクール事業については、医療制度改革の中で2008年4月から健診・保健指導の義務化が実施されるなど、国民の健康意識の高まりとともにスイミングに対するニーズも拡大する方向にありますが、国内経済動向、個人消費、流行、原油価格等の外的要因が変動することにより大きく影響を受けます。

 また、同業他社による多店舗展開、異業種からの参入など競争はより激しくなってきており、出店地域における当社の優位性の確保状況により影響を受けます。

 ⑤ 経営戦略の現状と見通し

 当社は、総合フィットネスを展開する同業他社と差別化を図るため、スイミングスクール事業を「教育」として指導教本及び水中健康運動教本等の創業以来の指導経験を織り込んだ各種マニュアルや教本に基づく専門性の高い指導を実施し、当社ブランド力の強化と各事業所の収益力向上を進めております。今後の見通しについては、直営事業所として低コスト運営が可能なコンパクトタイプ施設(会員数1,000名程度)の展開を進め、買収、合併等を利用した事業譲受や既存施設の新築移転も含め、年間2事業所程度の出店を計画しております。

 ⑥ 資本の財源及び資金の流動性についての分析

 当社の運転資金需要の主なものは、スイミングスクール事業の指導者の人件費、水道光熱費等の販売費及び一般管理費であり、また、設備資金需要としては新規事業所の開設費用及びプール施設の維持管理に関する設備投資資金であります。

 そのような資金需要を安定的に確保するため、内部資金の活用及び金融機関からの借入により資金調達を行っております。

 また、資金の流動性に関しては、現在の複数の金融機関からの借入は円滑に行われており、十分な借入余力があり、流動性の補完にも対応が可能となっております。

 当事業年度における資金状況は、営業活動によるキャッシュ・フローでは802百万円の現金及び現金同等物を取得しております。投資活動によるキャッシュ・フローにおいては、主に有形固定資産の取得による支出32百万円がありました。財務活動によるキャッシュ・フローにおいては、主に長期借入金の返済による支出578百万円がありました。その結果、現金及び現金同等物の期末残高は1,276百万円となり、前事業年度末と比べて27百万円減少しました。

 

 

5【経営上の重要な契約等】

 該当事項はありません。

 

 

6【研究開発活動】

 該当事項はありません。