文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において当社が判断したものであります。
なお、第1四半期連結累計期間より、「企業結合に関する会計基準」(企業会計基準第21号 平成25年9月13日)等を適用し、「四半期純損失」を「親会社株主に帰属する四半期純損失」としております。
(1)業績
京都大学の山中伸弥教授がノーベル医学生理学賞を受賞したことを契機として、iPS細胞の研究及び実用化促進へ向けた機運は高まっております。
一方、当連結会計年度におけるわが国経済は、政府の経済政策や金融政策の効果に加え、外国人観光客の増加や新規求人数の増加等、企業の良好な収益環境が持続しており、景気は緩やかながらも回復基調を維持しました。しかしながら、中国経済をはじめとする新興国の景気減速や世界的な原油安、不安定な欧州諸国情勢等、海外経済の動向による国内景気への影響が依然として懸念されております。
このような経済状況のもと、iPS細胞及び再生医療は政府の成長戦略の一つとして掲げられており、iPS細胞に関連した基礎及び臨床の研究者が増加しております。さらに、「再生医療等の安全性の確保等に関する法律」並びに「薬事法等の一部を改正する法律」が平成26年11月25日に施行されたことにより、大手製薬企業を含めた企業サイドによる再生医療の事業化に向けた取り組みがはじまる中で、当社グループも本格的な当該事業分野への進出に向け、事業化の準備を本格的に進めております。
当連結会計年度において、Biopta Limited(英国)とその子会社Biopta Inc.(米国)の2社が新たにグループ企業として加わることとなりました。現在、急速に拡大する創薬支援サービス事業は大きなポテンシャルを有しており、Biopta社は当該領域で、細胞・組織の調達から前臨床試験を一貫して行う創薬支援サービス(CRO サービス)を先駆的に展開しております。同社のサービスは高い技術力に裏打ちされた確固たる競争優位性と実績を有しており、当社グループ企業の販売チャネルを生かしたグローバルな事業展開を推し進めていく予定です。上記2社が加わることにより、当社の主なグループ企業は、当社、Stemgent, Inc.(米国)、BioServe Biotechnologies, Ltd.(米国)、Reinnervate Limited(英国)、Biopta Limited(英国)、Biopta Inc.(米国)の6社で構成されることとなりました。当社グループはこれまでにヒトiPS細胞/ヒト細胞に関わる研究試薬製品及び細胞製品を展開してまいりましたが、Biopta社の創薬支援サービスが新たにラインナップに加わることで、製薬メーカーを対象とするメインビジネスの製品提供と研究受託の両面をカバーできるようになります。
当社グループは世界各所にグループ企業を有しておりますが、各グループ企業が連携することにより、当社グループは3つの優位性を有しております。第1の優位性は、各グループ企業の得意分野を活かし、iPS細胞の元となるヒト細胞の供給からiPS細胞の樹立、さらにはiPS細胞を各種の機能性細胞への分化誘導サービスまでワンストップで提供できることであります。グループ企業内でのシナジー効果により競合との差別化と顧客利便性の向上を追求しております。第2は、東京大学や京都大学をはじめ、米国のハーバード大学・マサチューセッツ工科大学・英国のダーラム大学等との世界的な研究ネットワークを構築し、世界最先端の技術シーズを継続的に吸収して競争力の高い新製品を開発していることであります。第3は、日米欧にまたがる世界規模の販売チャネルと高効率のネット販売を活かし、各グループ会社製品の相互販売によるグローバル展開を推し進めていることであります。
当連結会計年度は、世界的な研究ネットワークにより10製品以上の新製品を発売することができました。これらの新製品は当社グループの販売網を活かし、世界中で販売を開始しております。さらには、味の素株式会社やAGCテクノグラス株式会社の製品の取扱いを開始することにより、既存顧客の利便性の向上だけではなく新たな顧客の幅を広げることができました。
また、今後本格的な事業化が期待される再生医療領域への参入へ向けた取り組みも活発化しております。当連結会計年度には、当社と日産化学工業株式会社が共同出願していた造血幹細胞の増幅方法に関する特許出願の米国での審査通過や、既存のiPS細胞研究用試薬の臨床応用へ向けた開発も進んでおります。今後はさらに再生医療領域への参入へ向けた動きを加速化させ、当該領域における世界的なプラットフォームを早期に構築してまいります。
一方、臨床検査事業では、主力検査である抗HLA抗体検査の検査数を順調に伸ばすとともに、当連結会計年度においては一般社団法人 日本血液製剤機構が実施する臨床試験に関わる臨床検査測定の受託業務にも取り組みました。
この結果、当連結会計年度の売上高は1,066,374千円(前期比 88.1%増)、営業損失は1,024,428千円(前期 740,654千円の損失)、経常損失は1,169,775千円(前期 456,920千円の損失)、親会社株主に帰属する当期純損失は1,961,351千円(前期 451,793千円の損失)となりました。
セグメントの業績を示すと、次のとおりであります。
a.iPS細胞事業
iPS細胞事業は研究試薬、創薬支援、再生医療の3つに分類されます。
研究試薬については、iPS細胞に関わる様々な研究試薬を大学や公的研究機関、製薬企業等に製造・販売しています。iPS細胞の研究に必要な、リプログラミング試薬、培養液、剥離液、凍結保存液、コーティング剤、抗体など、iPS細胞の研究に必要なほぼ全ての試薬を取り揃えております。このように世界最先端のiPS細胞技術を幅広く製品化することで、競合との差別化を図っております。その豊富な製品の中でも、当社が世界で初めて製品化に成功した、ヒトiPS細胞をより受精卵に近い理想的な状態にリプログラミングできる高品質iPS細胞用培養液「ReproNaïve(リプロナイーブ)」や、遺伝子を傷つけることなく安全なiPS細胞を作製することのできるRNAリプログラミング試薬、3次元環境を作り出し、より生体内に近い環境で細胞を培養できる培養機材「Alvetexシリーズ」等を主力製品として取り揃えております。
これらの製品は、大学及び公的研究機関を中心に継続的に販売実績を積み重ね、さらに新規顧客も増加傾向にあり、売上は堅調に推移しております。
一方、創薬支援については、製薬及び化学企業を顧客とし、製品とサービスの両方を提供しております。企業研究所内で研究を行う際に必要となる様々なヒトiPS細胞及びヒト細胞を販売しており、創薬スクリーニングや新薬の安全性試験等に使用されています。一方、サービスは企業研究所内で実施している研究の一部を外注受託するビジネスになります。当社グループとしては、細胞販売とサービスの両方を実施し、幅広い顧客ニーズに対応することで競合との差別化を図っております。また、iPS細胞を含む数多くのヒト細胞を取り揃えており、ヒト細胞に特化することで競争優位性を高めております。
細胞製品では、ヒトiPS細胞由来の機能性細胞に加えて様々な種類のヒト細胞を含めた生体試料の販売も行っており、ヒト細胞の豊富なラインナップを取り揃えております。また、今後製薬企業での創薬ツールとして注目されているヒトiPS細胞由来の疾患モデル細胞も販売しており、今後そのラインナップも強化していく予定です。
具体的にヒトiPS細胞由来の機能性細胞としては心筋・神経・肝臓の細胞製品が主力製品となっており、製薬企業等による創薬を支援する製品として製造・販売をしております。
これらの製品は製薬企業等において新薬候補化合物の薬効試験や毒性試験の実験材料として使用されます。当連結会計年度においては、新たに疾患型(遺伝子性の心臓病「QT 延長症候群」)iPS 細胞由来の心筋細胞を独占販売するライセンス契約の締結や、アルツハイマー病患者から集めた生体試料をもとに作成した疾患型iPS細胞由来の神経細胞製品「ReproNeuro AD-patient」の開発にも成功し、製造・販売を開始致しました。これらの細胞製品は製薬企業や大学の研究機関からの引き合いも増加傾向にあります。
そしてヒト細胞としては、健常者や特定の疾患患者のDNA・組織・血清サンプルといったヒト生体試料を販売しております。60万種類以上の細胞のあるバンクを保有しており幅広い顧客ニーズに対応しております。これらの生体試料は、販売だけでなく、iPS細胞を樹立するための材料としても利用しており、アルツハイマー病など様々な疾患型iPS細胞の開発も進めております。
次に、受託サービスとしては、要望に応じたカスタマイズが可能な疾患モデル細胞の作製受託等、顧客の要望にきめ細かく対応するための様々なサービスを提供しております。加えてiPS細胞培養の受託サービスやDNA等の抽出・遺伝子型判定等を行う前臨床分子解析サービスの提供や、ヒトiPS細胞における技術プロセスの上流から下流までを当社グループでカバーすることによって実現した豊富なカスタマイズサービスの提供など、顧客利便性が大きく向上しております。さらには、新たにグループ企業として加わったBiopta社では、GLP(Good Laboratory Practice)グレードの高品質なサービスを製薬企業に提供しております。世界大手製薬企業10社のうち8社を既に顧客とするなど、グローバルでその品質は認められております。Biopta社のグループ化により、さらに、創薬支援ビジネスを強化してまいります。
再生医療につきましては、ロードマップを策定し、今後の本格的な事業立ち上げを進めております。ロードマップは「再生医療向け培地・試薬製品」「体性幹細胞を活用した細胞医薬品」「iPS細胞を活用した細胞医薬品」の3ステップからなります。
「再生医療向け培地・試薬製品」につきましては、現在の研究試薬製品を臨床グレードにアップさせることで、より付加価値を高めます。具体的に、当事業年度は、再生医療に向けたな製品として、「bFGF Xeno-Free」、凍結保存液「ReproCryo DMSO Free」、ウイルスを使用せずに安全・効率的にiPS細胞を作製できる「RNAリプログラミングキット」など新規開発に成功し販売を開始しております。
「体性幹細胞を活用した細胞医薬品」に関しましては、新生企業投資株式会社との共同ベンチャーファンド「Cell Innovation Partners, L.P.」の投資を通じての技術提携などを通じて積極的に推進しております。また、当社と日産化学工業株式会社が共同出願している造血幹細胞の増幅方法に関する技術についても事業化の検討を進めております。「iPS細胞を活用した細胞医薬品」につきましては、当社が保有する世界最先端のiPS細胞技術を利用して進めてまいります。臨床応用での一番の課題となるiPS細胞の安全性について、積極的な研究開発を行っており、RNAリプログラミング技術やSBIファーマ株式会社と共同開発した残留 iPS細胞の除去技術など、競争力の高い独自技術を保有しております。
今後、上記の事業を積極的に推進していくと共に、新たな製品開発等も視野に入れ、再生医療分野への参入を本格化してまいります。
この結果、売上高は999,932千円、セグメント損失は257,584千円となりました。
b.臨床検査事業
腎臓移植や造血幹細胞移植の分野への適用の広がりを見せている抗HLA抗体検査(スクリーニング及びシングル抗原同定検査)を主力として、日本全国の100施設以上の病院から検査を受注しております。また、近年は、HLA抗体と移植成績や移植後のグラフト(移植片)生着成績の関連性が注目されており、移植の際にHLA関連検査を行う施設が増加傾向にあります。こうした検査業務を通じ同一患者様の全ての検査をまとめて行うことにより、整合性のとれた確度の高いデータを提供することで顧客ニーズに応えることができました。当連結会計年度においては一般社団法人 日本血液製剤機構が実施する臨床試験に関わる臨床検査測定の受託業務にも取り組んでおります。以上の内容により、売上は堅調に推移しております。加えて、近年は需要も拡大傾向にあることから、これらの引き合いを確実に事業に結び付けていくことが臨床検査事業の継続的な成長にとって不可欠であると認識しており、増床を行うことにより設備面で体制を整備致しました。
この結果、売上高は66,442千円、セグメント利益は21,962千円となりました。
なお、管理部門にかかる費用など各事業セグメントに配分していない全社費用が934,152千円あります。
(2)キャッシュ・フロー
当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は前連結会計年度末に比べて490,651千円増加し、4,415,887千円となりました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度において営業活動の結果使用した資金は614,376千円(前年同期は626,798千円の使用)となりました。これは主に、税金等調整前当期純損失1,979,439千円が発生した一方、減損損失809,664千円、為替差損失177,082千円、のれん償却費151,581千円等の発生によるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度において投資活動の結果使用した資金は568,828千円(前年同期は2,683,854千円の使用)となりました。これは主に連結の範囲の変更を伴う子会社株式の取得による支出441,363千円であります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度において財務活動の結果獲得した資金は1,700,107千円(前年同期は2,016,219千円の獲得)となりました。これは主に新株予約権の行使による株式の発行による収入1,693,577千円によるものであります。
(1) 生産実績
当連結会計年度の生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
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セグメントの名称 |
当連結会計年度 (自 平成27年4月1日 至 平成28年3月31日) |
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金額(千円) |
前年同期比(%) |
|
|
iPS細胞事業(千円) |
517,381 |
196.0 |
|
合計(千円) |
517,381 |
196.0 |
(注)1.金額は製造原価によっております。
2.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
3.臨床検査事業に生産実績はありません。
(2) 受注状況
当社は、主として需要予測に基づく見込生産を行っているため、該当事項はありません。
(3) 販売実績
当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
|
セグメントの名称 |
当連結会計年度 (自 平成27年4月1日 至 平成28年3月31日) |
|
|
金額(千円) |
前年同期比(%) |
|
|
iPS細胞事業(千円) |
999,932 |
197.2 |
|
臨床検査事業(千円) |
66,442 |
111.1 |
|
合計(千円) |
1,066,374 |
188.1 |
(注)1.最近2連結会計年度の主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりであります。
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相手先 |
前連結会計年度 (自 平成26年4月1日 至 平成27年3月31日) |
当連結会計年度 (自 平成27年4月1日 至 平成28年3月31日) |
||
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金額(千円) |
割合(%) |
金額(千円) |
割合(%) |
|
|
和研薬㈱ |
119,339 |
21.0 |
91,402 |
8.6 |
2.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
当社グループが持続的に成長して企業価値を高めるとともに、我々のビジョンやミッションを達成するために対処すべき課題を以下のように考えております。
1.全社的課題
(1) 人材の確保・育成
当社グループの事業は新しい領域であり、技術及びビジネスの両面で、主体的な取り組みが必要とされます。また、変化が非常に大きく、様々な局面への対応も求められます。このため、当社グループではポテンシャルの高い人材を確保し、当分野を牽引できるような優秀な人材に育成していくことに取り組んでまいります。
2.セグメント別課題
(1) iPS細胞事業
① 技術革新への対応とサービスの拡充
iPS細胞の研究は世界中で精力的に進められており、短期間で飛躍的な技術革新が進んでいます。画期的な技術革新が起こった場合、既存技術は陳腐化し競争力を失います。このため、当社としては、今後とも積極的に技術開発を推進し当分野のマーケットリーダーとなることを目指します。技術開発については自社開発に固執することなく、これまでと同様、大学、公的研究機関、民間企業との連携及び共同開発を中心に進めてまいります。当社グループとしては、顧客ニーズを把握しながらグループ会社間の技術シナジーを追求し、様々なタイプの患者由来の疾患型iPS細胞製品のような技術開発を積極的に推進することで当分野のマーケットリーダーとなることを目指します。技術開発についてはこれまで東京大学・京都大学をはじめとした日本の大学との連携を中心としておりましたが、グループ企業の買収を契機に米国のハーバード大学、マサチューセッツ工科大学、英国のダーラム大学等の世界最先端の技術を誇る欧米の大学との強固な研究ネットワークを構築することができ、これら世界的な研究ネットワークからの技術導入を積極的に推進しています。これまでも、大学や公的研究機関の世界最先端の研究成果を活用することで、最新鋭の製品開発に成功してきた実績があり、今後ともその方針を継続する予定です。
また、今後は製薬企業をメインターゲットとした受託サービスの拡充にもより一層力を入れて参ります。本連結会計年度に新たに当社グループとなったBiopta Limitedが展開するCROサービスを各国で展開することはもちろん、ヒト生体試料の販売や、カスタムメイドでヒトiPS細胞由来の分化細胞を作成するサービス等、より顧客のニーズに沿えるサービスを積極的に推進して参ります。
さらに、再生医療分野への進出を目指し、既存製品を再生医療に使用できる品質までグレードアップさせる事や、新しい技術の導入・製品化等も行っていく予定です。
この他、外部ネットワークを強化するため、国内外のiPS細胞・再生医療関連のバイオベンチャーとの協力関係の構築及び資金提供を目的として株式会社新生銀行と共同でベンチャーキャピタルファンド「Cell Innovation Partners, L.P.」の運営を開始しております。
今後とも当社グループは再生医療の実現と競争力の強化に向け、外部の大学・研究機関や技術シーズとの連携を当社グループの事業展開に積極的に取り入れ、技術革新への対応として意欲的、多角的に取り組んでまいります。
② 海外展開
iPS細胞事業は、日本、米国、欧州を中心にグローバルで成長しています。今後、当社グループの成長を促進するために、欧米市場での展開強化が重要となっています。また、将来的にはインドや中国などの新興国でも大きな市場を形成する可能性があります。
当社グループは、販路として既に日本、米国、英国の3拠点を有しており、それぞれの拠点のグループ企業を通じて、自社ルートまたは代理店網を通じて営業活動を行っております。さらに今年度は、米国、欧州での子会社の合併により、それぞれの地域で1つの営業チームを編成し、積極的な活動を行い、クロスセルをより一層進めてまいります。
この他、欧州では、フランス、イギリス、ドイツ、イタリア、オランダ、ベルギーなど、アジアでは、インド、中国、台湾、韓国、マレーシア、シンガポール、タイ、オーストラリア、ニュージーランドで、中南米ではブラジル、プエルトリコで販売代理店契約を締結し営業活動を進めております。今後、さらに販売代理店の対象国を広げるとともに、関係を強化することで営業活動を促進してまいります。
また、当社グループの新たな成長戦略として、グローバル化を更に加速するため、今後、当社グループの拠点による販路拡大のみならず、米国・欧州等の会社との協業あるいは資本提携・買収を行っていく予定です。
(2) 臨床検査事業
① 適用拡大
現在の主力検査である抗HLA抗体検査及びフロークロスマッチ検査は腎移植の分野では啓蒙が進み、当該検査が広く実施されていますが、肝臓移植や造血幹細胞移植の分野では、まだ十分に普及が進んでいるとは言えません。平成24年4月からは造血幹細胞移植における抗HLA抗体検査が保険適用になったため、今後検査が広がると期待されますが、現状の制度では造血幹細胞以外の臓器を移植する際の当該検査は保険適用外となっております。そのため、施設や患者にコスト面で多くの負担がかかってしまい、十分な検査を導入出来ていない施設も多くあります。今後、関係する学会と歩調を合わせ、当該検査の適用拡大を進めていきます。
② 検査精度の担保
移植関連の検査はその結果が臨床上の重要な診断や治療方針の決定に結びつくため、検査精度には細心の注意を払う必要があります。当社では、衛生検査所として義務づけられている精度管理基準に加え、学会が主催するQCワークショップなどにも積極的に参加し、検査精度の向上に力を入れております。
当社グループの事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項を以下に記載しております。あわせて、必ずしもそのようなリスクに該当しない事項についても、投資者の判断にとって重要であると当社が考える事項については、積極的な情報開示の観点から記載しております。また、本項の記載内容は当社株式の投資に関する全てのリスクを網羅しているものではありません。
当社グループは、これらのリスクの発生可能性を認識した上で、発生の回避及び発生した場合の迅速な対応に努める方針でありますが、当社株式に関する投資判断は、本項及び本項以外の記載内容もあわせて慎重に検討した上で行われる必要があると考えております。
なお、本項記載の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社が判断したものであります。
(1) 競合リスク
iPS細胞の分野は、世界中で精力的な研究開発が行われており、技術革新が速く、当該分野に参入する動きが活発となっているため、従来の技術が早期に陳腐化するリスクがあります。このため、当社グループは、世界的な大学や公的研究機関と連携し、常に世界最先端の技術開発に先行して取り組んでおります。
当事業領域に参入している企業は大手企業を含めて増加しており、研究開発を進めながら参入を検討している潜在的競合相手も少なくないと考えられます。さらに、後発参入製品は先発製品に比べ機能面やコスト面で少なからず優位性を有している可能性もあり、競争が激化することが想定されます。これら競合相手の中には、生産性や販売力、資金力で当社グループを上回る企業が含まれる可能性もあります。当社グループは今後とも、積極的に研究開発及び営業活動を行っていきますが、競合相手との競争状況によっては、計画どおりの収益を上げることができない可能性もあります。
(2) グループ経営体制の構築に関するリスク
当社グループでは、iPS細胞事業のグローバル展開を最優先事項の一つと位置付けております。平成26年7月に英国企業Reinnervate Ltd.を、平成26年9月に米国企業BioServe Biotechnologies Ltd.をそれぞれ株式取得により企業買収し、平成26年10月には米国企業Stemgent Inc.の事業を買収、さらに平成27年12月には英国企業Biopta Ltd.とその米国子会社を株式取得により企業買収し、当社グループのグローバル展開に向けた基盤を整備しています。今後、グループ7社一体となって経営する機能を確保し、海外展開を進める予定です。このようなグループ企業の運営にあたっては、各社に経営を委ねることで意思決定の迅速化と地域特性に合わせた営業・マーケティング展開を図ると共に、営業面並びに技術面での各社間の連携促進を図ることでグループ経営体制の運営効率化に努めておりますが、想定どおりにグループ経営体制の構築が進まない可能性もあります。このような場合、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(3) 研究開発活動に由来するリスク
当分野の競争が激化する中、当社では公的資金の有効活用や産学連携により、これまで研究開発に重点を置いた活動をしてまいりました。しかしながら、研究開発活動が常に計画どおりに進む保証はなく、当初の予定どおりに進まない場合、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(4) 知的財産権に関するリスク
1)特許にかかる事項
知的財産権に関して、当社グループの特許権が他社により侵害されるリスクがあります。このため、当社グループでは研究開発で得られた成果に関して、必要に応じて迅速に特許出願等を行っております。逆に、当社グループが他社の特許権を侵害するリスクも否定できないため、必要に応じて各種データベースや特許事務所を活用して情報収集を行い、可能な限り特許侵害リスクを軽減すべく対応しております。しかしながら、当社グループの調査範囲の及ばない抵触特許が存在した場合及び秘密裏に当社グループの特許が侵害された場合、当社グループの技術の優位性が損なわれ、多額の損害賠償を請求されるなど、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
2)職務発明にかかる事項
当社グループにおける職務発明の取扱に関しては、職務発明規程を作成し、運用しております。しかしながら、将来、発明者の認定及び職務発明の対価の相当性についての係争が発生した場合、当社グループの事業に影響を与える可能性があります。
(5) 外注製造への依存
一部の研究試薬製品では、製造を外注製造先一社に依存しております。外注製造先とは、中期的な製造計画を基に、安定した製造体制の確保に努めておりますが、何らかの理由により、外注先が当社の業務を継続することが困難になった場合には、外注先の選定変更に伴う一時的な製造の中断など、当社の業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(6) 経営上の重要な契約等に関するリスク
当社の経営上重要と思われる契約は、当社が実施許諾を受けているiPS細胞事業に関する特許ライセンス契約であります。当該契約が期間満了、解除、その他の理由に基づき終了した場合、もしくは当社にとって不利な改定が行なわれた場合、または契約の相手方の経営状態が悪化したり、経営方針が変更されたりした場合には、当社の事業戦略及び業績に影響を与える可能性があります。
(7) 人材の確保・育成等
当社グループの事業を推進していくためには、高度な専門的知識、技能及び経験を有する人材の確保及び育成が不可欠といえます。当社グループは、優秀な人材の確保とその育成に努めておりますが、このような人材の確保及び育成が計画通りに進まない場合には、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(8) 特定の人物への依存
代表取締役社長である横山周史は、平成17年以来、最高経営責任者として経営方針や戦略の決定、また業界内に持つ幅広い人脈に基づくアライアンスパートナーとの関係構築等、当社グループの事業活動において重要な役割を果たしております。当社グループでは、過度に特定の人物に依存しない組織的な経営体制の強化を進めておりますが、何らかの理由により、横山周史が当社の業務を継続することが困難になった場合には、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(9) 資金繰り及び資金調達等に関するリスク
当社グループでは、研究開発活動の進捗に伴い多額の研究開発費が先行して計上され、継続的な営業損失が生じております。今後も事業の進捗に伴って運転資金、研究開発投資及び設備投資等の資金需要の増加が予想されます。今後、株式市場からの資金調達や、国の公的補助金等の活用など、資金調達手段の多様化により継続的に財務基盤の強化を図ってまいりますが、収益確保または資金調達の状況によっては、当社グループの業績及び財政状態に影響を与える可能性があります。
(10) 為替変動リスク
iPS細胞事業においては、全世界の公的研究機関や民間研究機関が潜在的な対象顧客になっており、国内のみならず海外に対しても、当社グループの技術及び製品を紹介し、取引開始に向けた交渉を行っております。このため、必要に応じて為替リスクのヘッジ策を検討する方針でありますが、当社グループの想定以上に為替相場の変動が生じた場合、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(11) マイナスの繰越利益剰余金の計上
当社グループは、これまで、研究開発活動を重点的に推進してきたことから、多額の研究開発費用が先行して計上され、平成28年3月期には、△3,517,421千円の繰越利益剰余金を計上しております。当社グループは、安定的な利益計上による強固な財務基盤の確立を目指しておりますが、当社グループの事業が計画通りに進展せず、親会社株主に帰属する当期純利益を計上できない場合には、マイナスの繰越利益剰余金が計画通りに解消できない可能性があります。
(12) 税務上の繰越欠損金
当社には現在のところ税務上の繰越欠損金が存在しております。そのため、事業計画の進展から順調に当社業績が推移するなどして繰越欠損金による課税所得の控除が受けられなくなった場合には、通常の税率に基づく法人税、住民税及び事業税が計上されることとなり、親会社株主に帰属する当期純利益または親会社株主に帰属する当期純損失及びキャッシュ・フローに影響を与える可能性があります。
(13) レピュテーションに関するリスク
当社グループは、製品の品質・安全性の確保、法令遵守、知的財産権管理、個人情報管理等に努めております。しかしながら、当社グループ及び当社グループを取り巻く環境や競合他社及び競業他社を取り巻く環境において何らかのレピュテーション上の問題が発生した場合、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(14) 自然災害、事故、テロ、戦争等に関するリスク
当社グループが事業活動を行っている地域では、地震、台風等の自然災害の影響を受ける可能性があります。同様に火災等の事故災害、テロ、戦争等が発生した場合、当社グループの拠点の設備等に大きな被害を受け、その全部又は一部の操業が中断し、生産及び出荷が遅延する可能性があります。また、損害を被った設備等の修復のために多額の費用が発生し、結果として、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(15) 継続企業の前提に関する重要事象等
当社グループは、世界的な販売網の確立に向けた先行投資をし、iPS細胞及び再生医療等の研究開発費用が収益に先行して発生する等の理由から、継続的に営業損失が発生しており、継続企業の前提に重要な疑義を生じさせるような事象または状況が存在しております。
しかしながら、当社グループの当連結会計年度末の現金及び預金残高は3,409,059千円、短期的な資金運用を行っている有価証券が1,999,779千円あり、財務基盤については安定しており、継続企業の前提に関する重要な不確実性は認められないと判断しております。なお、当該状況の解消を図るべく、グローバル展開に向けた販売基盤の整備を行っています。また、グループ経営体制の運営効率化のため、投資及びランニング費用を最小限に抑えつつ、地域特性に合わせた営業・マーケティング展開、営業面ならびに技術面での各社間の連携促進を進め、早期の黒字化を目指しております。
当社の経営上の重要な契約は次のとおりであります。
当社が実施許諾を受けているiPS細胞事業に関する特許ライセンス契約
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契約相手 |
契約書名 |
契約締結日 |
契約期間 |
契約内容 |
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iPSアカデミアジャパン㈱ |
実施権許諾契約 |
平成21年3月31日 |
平成21年3月31日から本特許の全ての特許権の満了まで |
ヒトiPS細胞由来心筋細胞の製造・販売、並びに各種受託サービスを実施するための非独占的通常実施権の許諾に関する契約。 |
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iPSアカデミアジャパン㈱ |
第1次変更契約 |
平成22年8月1日 |
平成22年8月1日から本特許の全ての特許権の満了まで |
許諾特許及び許諾製品を追加するため、上記契約の一部を変更する契約。 |
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iPSアカデミアジャパン㈱ |
第2次変更契約 |
平成23年10月1日 |
平成23年10月1日から本特許の全ての特許権の満了まで |
許諾製品を追加するため、上記契約の一部を変更する契約。 |
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公益財団法人ヒューマンサイエンス振興財団 |
実施権許諾契約書 |
平成22年11月22日 |
平成22年11月22日から特定国における本特許の最終の特許権存続期間の満了する日まで |
多能性幹細胞由来肝細胞の製造・販売、並びに各種受託サービスを実施するための非独占的通常実施権の許諾に関する契約。 |
(注)上記についてはロイヤリティとして売上高の一定率を支払っております。
設立以来、iPS細胞事業に関しては積極的な研究開発を行っており、当連結会計年度の研究開発費の総額は289,344千円と、販売費及び一般管理費全体の約19%と大きな割合を占めています。当社の技術開発については自社開発に固執することなく、むしろ外部との連携及び共同開発を中心に進めています。これまでも、大学や公的研究機関の世界最先端の研究成果を活用することで、世界最先端の製品の開発に成功してきた実績があり、今後ともその方針を継続する予定です。また、今後とも補助金等の公的資金を有効活用することで、研究開発活動を加速しています。当連結会計年度末の当社グループの研究開発従事人員数は41名です。
(1) iPS細胞事業
iPS細胞の研究は世界中で精力的に進められており、短期間で飛躍的な技術革新が進んでいます。当社グループとしても、研究開発活動を最重点領域と位置付け、引き続き注力してまいります。研究開発は当社グループにとって重要なアクティビティと位置付け、グループ会社間の技術シナジーの追求を図りながら、研究開発を継続的に実施してまいります。技術開発については自社開発に加え、東京大学・京都大学をはじめとした日本の大学の他、米国のハーバード大学、マサチューセッツ工科大学、英国のダーラム大学等の欧米の技術導入を積極的に推進していきます。また、今後は再生医療に向けた研究開発に領域を広げながら、再生医療の事業化を前倒しで進めてまいります。iPS細胞に関しては、臨床応用に最適な新規技術の開発を既に行っております。当社グループは引き続き再生医療ビジネスの展開を図るための事業プラットフォームの整備を進めてまいります。
(2) 臨床検査事業
特に研究開発は実施しておりません。
当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの分析は、以下のとおりであります。なお、文中における将来に関する事項は、本書提出日現在において当社グループが判断したものであります。
(1) 財政状態の分析
(資産の部)
当連結会計年度末における流動資産は前連結会計年度末に比べて498,091千円増加し、5,857,600千円となりました。主な内訳は、現金及び預金の増加491,099千円であります。固定資産は前連結会計年度末に比べて18,045千円減少し、2,106,661千円となりました。主な内訳は、無形固定資産の減少203,396千円、投資その他の資産の増加62,008千円であります。
(負債の部)
当連結会計年度末における流動負債は前連結会計年度末に比べて157,091千円増加し、456,327千円となりました。主な内訳は、前受金の増加144,696千円であります。固定負債は前連結会計年度末に比べて34,318千円増加し、244,130千円となりました。主な内訳は、繰延税金負債の増加27,667千円であります。
(純資産の部)
当連結会計年度末における純資産は前連結会計年度末に比べて182,504千円増加し、7,267,672千円となりました。主な内訳は、資本金の増加1,097,429千円、資本剰余金の増加1,097,429千円、利益剰余金の減少2,046,063千円であります。
(2) 経営成績の分析
「第2 事業の状況 1 業績等の概要 (1) 業績」をご参照ください。
(3) キャッシュ・フローの状況
「第2 事業の状況 1 業績等の概要 (2) キャッシュ・フロー」をご参照ください。
(4) 経営成績に重要な影響を与える要因について
iPS細胞事業については、研究試薬製品、細胞製品ともに、積極的な研究開発を行っており、平成28年3月期における研究開発費の総額は289,344千円と、販売費及び一般管理費の約19%を占めています。今後も研究開発は積極的に推進する予定であり、継続的な研究開発費の支出を見込んでいます。
(5) 資金の財源及び資金の流動性について
当社グループは、これまで研究開発活動に集中的に資金を投下しておりますが、まだ、事業収益がこれらの資金需要を賄うには十分ではないことから、公的助成金、第三者割当増資による調達資金を利用しています。
(6) 経営戦略の現状と見通し
経営資源を有効活用して、スケジュールに沿った事業計画を達成するため、以下の4点を優先して進めてまいります。
① グローバル化の加速
iPS細胞事業の市場は、日本だけでなくグローバルで成長しています。現在、日本、米国、欧州が世界の主力市場となっており、当社グループの成長を加速すべく、子会社であるアメリカ2社(Stemgent Inc.、BioServe Biotechnologies Ltd.)、イギリス2社(Reinnervate Ltd.、Biopta Ltd.)をそれぞれ合併し、ReproCELL USA Inc. およびReproCELL Europe Ltd. とする予定です。日本・アジアにおいては当社が担当地域を受け持ち、米国はReproCELL USA Inc.が、英国はReproCELL Europe Ltd.がそれぞれの地域で営業活動を行ってまいります。今後はそれぞれの地域でグループ製品やサービスの販売拡大に取り組むことが重要と考えております。
営業体制として、米国では西部・中部・東部、欧州では英国だけでなく大陸側を担当する営業人員を配置し、北米・欧州の公的研究機関及び製薬企業の研究所への営業活動を強化することで売上拡大を推進します。また、アジアにおいても中国・インド等の将来性ある市場の営業展開を強化すべく、営業担当を増強し、当社グループの躍進的なグローバル展開に向けた基盤を整備します。
② グループシナジーの追求と技術開発の加速
iPS細胞の研究は世界中で精力的に進められており、短期間で飛躍的な技術革新が進んでいます。画期的な技術革新が起こった場合、既存技術は陳腐化し競争力を失います。このため、当社グループとしては、グループ会社間の技術シナジーを追求し、様々なタイプの患者由来の疾患型iPS細胞製品のような技術開発を積極的に推進することで当分野のマーケットリーダーとなることを目指します。技術開発については自社開発に加え、東京大学・京都大学をはじめとした日本の大学の他、米国のハーバード大学、マサチューセッツ工科大学、英国のダーラム大学等の欧米の技術導入を積極的に推進していきます。これまでも、大学や公的研究機関の世界最先端の研究成果を活用することで、世界最先端の製品開発に成功してきた実績があり、今後ともその方針を継続する予定です。
③ 早期の黒字化の達成
健全な財務体質を維持しながら、上記の2つの重要施策を推進するためには効率的な資金運用が必要になってきます。開発・製造機能や営業・マーケティング活動の統合・連携によって、グループ全体としての合理化を図り、投資及びランニング費用を最小限に抑え、早期の黒字化を目指します。また、開発・製造に関して、共同研究や外注製造など外部リソースを有効活用することで、効率的な運営を行っていきます。
④ 再生医療分野への進出
国内及び海外においてiPS細胞及び再生医療の研究開発及び事業化が進み、さらに「再生医療等の安全性の確保等に関する法律」並びに「薬事法等の一部を改正する法律」が平成26年11月25日に施行されたことで再生医療の基準や手続が明確化され、再生医療製品の早期承認化が認められる等の法整備が進み、事業環境は大きく変化しています。当社グループの新たな成長戦略として、グローバル化を更に加速し事業を拡大するとともに、新たに再生医療分野への研究開発を前倒しで進めたいと考えております。また、再生医療に関しては、iPS細胞や臍帯血(造血幹細胞)を用いた再生医療に関する製品化の研究開発を実施する予定です。
また、国内外の未上場のiPS細胞・再生医療関連のバイオベンチャーを投資対象とする、新生銀行との共同ベンチャーファンド「Cell Innovation Partners, L.P.」を通じ、世界中の革新的な技術シーズの確保と育成、そして連携を図ります。
(7) 経営者の問題意識と今後の方針について
「第2 事業の状況 3 対処すべき課題」をご参照ください。
(8) 継続企業の前提に関する事項について
当社は世界的な販売網の確立に向けた先行投資をし、iPS細胞及び再生医療等の研究開発費用が収益に先行して発生する等の理由から、継続的に営業損失が発生しており、継続企業の前提に重要な疑義を生じさせるような事象または状況が存在しております。
しかしながら、当社グループの当連結会計年度末の現金及び預金残高は3,409,059千円、短期的な資金運用を行っている有価証券が1,999,779千円あるため、財務基盤については安定しており、継続企業の前提に関する重要な不確実性は認められないと判断しております。
当該状況の解消を図るべく、子会社であるアメリカ2社(Stemgent Inc.、BioServe Biotechnologies Ltd.)、イギリス2社(Reinnervate Ltd.、Biopta Ltd.)をそれぞれ合併し、ReproCELL USA Inc. およびReproCELL Europe Ltd. とする予定です。これまでは、それぞれの会社が独自の営業チームで個別に営業を行っており、必ずしも効率的とは言えない状況にありました。そこで、米国、欧州での子会社の合併により、それぞれの地域で、1つの営業チームを編成し、積極的な活動を行い、クロスセルをより一層進めてまいります。具体的に、米国では、西海岸、東海岸、中部と各テリトリーで営業人員を配置し、全米を効率的にカバーする体制を作ります。欧州でも、英国、ドイツ、その他地域に営業人員を配置する体制を構築します。
一方、中国、インドを含むアジアに関しては、今後高い成長率が見込まれることから、当社としても営業活動を強化してまいります。具合的には、各国の販売代理店を通じて販路開拓を行うことになりますが、中国については、島津(香港)有限公司と平成28年4月に契約を締結しており、今後、共同して販売活動を行ってまいります。
一般管理費は、当社をはじめ、当社グループの子会社及び関連会社の内部管理体制の強化及び適時開示体制を確保するため、人員の増員及びシステムの導入を進めてまいります。ただし、一般管理費については、過度なコストの増大を生まないように、並行して効率化を進めてまいります。