第2【事業の状況】

1【事業等のリスク】

 当第2四半期連結累計期間において、新たに発生した事業等のリスクはありません。

 また、前事業年度の有価証券報告書に記載した事業等のリスクについて重要な変更はありません。

 

継続企業の前提に関する重要事象

 当社グループは、世界的な販売網の確立に向けた先行投資をし、iPS細胞及び再生医療等の研究開発費用が収益に先行して発生する等の理由から、継続的に営業損失が発生しておりますが、当該状況を解消又は改善するための対応策を講じることにより、継続企業の前提に重要な不確実性は認められないものと判断しております。当該状況を解消又は改善するための対応策は、3 財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (6)に記載しております。

 

2【経営上の重要な契約等】

 当社は、平成28年11月11日開催の取締役会において、台湾のバイオテクノロジー企業Steminent Biotherapeutics Inc.との間で細胞医薬品「Stemchymal®」の日本における共同開発および販売に関する契約を締結することを決議し、同日付で契約を締結いたしました。

 詳細は、「第4 経理の状況 1.四半期連結財務諸表 注記事項(重要な後発事象)」に記載のとおりであります。

 

3【財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

 文中の将来に関する事項は、当四半期連結会計期間の末日現在において当社グループ(当社及び連結子会社)が判断したものであります。

 

(1) 業績の状況

 平成19年に山中伸弥教授がヒトiPS細胞を発明して以来、iPS細胞に関連した研究は日本を含む世界中の研究施設で盛んに行われるようになっております。さらに、日本では「再生医療等の安全性の確保等に関する法律」並びに「薬事法等の一部を改正する法律」が平成26年11月25日に施行されたことにより、大手製薬企業を含めた企業サイドによる再生医療の事業化に向けた取り組みも活発化しております。

 一方、第2四半期連結累計期間(平成28年4月1日~平成28年9月30日)におけるわが国経済は、引き続き緩やかな回復基調にあるものの、先行きについては、引き続き海外経済や金融資本市場の動向などへの懸念が残る一方で、旅行・観光分野の回復、受注や求人増加の継続等への期待がみられております。

 このような経済状況のもと、当社グループはiPS細胞関連試薬の販売、創薬を支援する細胞製品やサービスの提供を行いながら、再生医療領域への本格的な参入に向け事業の立ち上げを行っております。

 当第2四半期連結累計期間においては、平成28年5月に行った当社連結子会社同士の合併に関する方針決議を踏まえ、アメリカ3社(Stemgent 社、BioServe 社、Biopta Inc.社)とイギリス2社(Reinnervate 社、Biopta 社)をそれぞれ合併し、ReproCELL USA Inc. および ReproCELL Europe Ltd.として再編いたしました。再編により、営業体制の強化や、技術開発の加速化、そして機能統合による効率化と販管費の削減を行い、各社のシナジー効果を最大限に引き出してまいります。

 また、島津(香港)有限公司との中国における販売業務提携を行うことにより販売網の更なる拡大を行ったほか、新しいサービスとして、尿中の細胞からiPS細胞を作製する次世代RNAリプログラミング技術を用いた受託サービスを開始し、様々な企業より関心を頂いております。

 新しい製品としては現在当社が日本で販売を行っている味の素社のiPS細胞用培養液「StemFit AK02N」の海外版である「StemFit Basic02」を当社のグループ企業であるReproCELL USAを通してアメリカにて販売を開始致しました。他にも、当社には無い技術を用いた他社製品の取扱いを開始することにより、既存顧客の利便性の向上だけではなく新たな顧客の幅を広げております。

 さらに、技術面においては京都大学と「srRNAを用いたヒトiPS細胞から特定の種類の体細胞への分化誘導法の開 発に関しての共同研究」や東京工業大学と「ヒトiPS細胞を用いた高効率な膵前駆細胞および膵β細胞の生産方法に 関する共同研究」に関して共同研究契約の締結を行うことにより外部の研究機関との連携を一層強化し、技術開発の 強化に向けた取り組みを促進しております。

 加えて、本格的な事業化が期待される再生医療領域への参入へ向けた取り組みも活発化しております。当第2四半期連結累計期間では、新生銀行との共同ベンチャーファンド「Cell Innovation Partners, L.P.」が第1号投資案件としてオーストラリア・シドニー大学発の皮膚病・皮膚創傷向け医療材料開発ベンチャーElastagen社へ1百万豪ドルの出資を実行し、優良な技術を保有する事業会社の再生医療分野への参入支援を本格的に開始しました。

今後はさらに再生医療領域への参入へ向けた動きを加速化させ、当該領域における世界的なプラットフォームを早期に構築してまいります。

 一方、臨床検査事業では、抗HLA抗体検査を主力検査とし、現在は新規案件の獲得や臨床検査項目の導入に向けた取り組みを行っております。

 この結果、当第2四半期連結累計期間の売上高は516,718千円(前年同四半期比23,067千円の減少)、営業損失は469,183千円(前年同四半期425,065千円の損失)、経常損失は601,974千円(前年同四半期406,728千円の損失)、親会社株主に帰属する四半期純損失は587,447千円(前年同四半期398,648千円の損失)となりました。

 

 セグメントの業績を示すと、次のとおりであります。

① iPS細胞事業

iPS細胞事業は研究試薬、創薬支援、再生医療の3つに分類されます。

 まず、研究試薬については、iPS細胞研究に関わる様々な研究試薬を大学や公的研究機関、製薬企業等に製造・販売しております。研究試薬は研究者(エンドユーザー)の研究課題に応じて必要となる試薬製品が異なるため、まず当社グループの製品を様々なエンドユーザーに広く認知して頂き、自身の研究課題にフィットする製品かどうか検討して頂く事が、販売を伸ばしていくためには重要と考えております。当社グループでは当第2四半期連結累計期間において10以上の海外や国内の学会やセミナーへ参加し、企業展示等の販促活動を行ってまいりました。また、国内や海外の販売代理店に対し、適宜当社グループ製品の説明会を行っており、既存取引のないエンドユーザー様へ情報をお届け出来るような体制を構築しております。

 他社製品の販売提携により、当第2四半期連結累計期間において新たに3つの製品の販売を開始しており、多くの関心を頂くとともに、販売数を伸ばしております。今後も様々な方法でエンドユーザー様へ情報発信をし、製品を理解頂けるよう、営業員を中心として努力してまいります。

 次に、創薬支援については、製薬及び化学系企業を顧客とし、製品とサービスの両方を提供しております。製品としましては、企業の研究所内で研究を行う際に必要となる様々なヒトiPS細胞及びヒト細胞を販売しており、主な用途として創薬スクリーニングや新薬の安全性試験等に使用されています。一方サービスは企業研究所内で実施している様々な試験の一部を受託するビジネスになります。

 当社グループでは、更なる成長を遂げるためには、まず予算規模の大きい創薬支援分野、特にサービスの提供を強化して案件数を積み上げる事が重要とし、現在最も力を入れて事業を推進しております。サービスの提供は基本的に数カ月単位の試験を行う事が多いため、製品の販売に比べて案件化から売上高として数字が反映されるまで時間を要する分、売上規模は大きくなる傾向にあります。

 現在、日本や海外を含め様々な企業に当社グループのiPS細胞作製サービスやiPS細胞を使った様々な受託試験、さらには医薬品開発をサポートするCROサービスを積極的に紹介し、ご検討を頂いております。今後はご検討いただいているお客様に対し、積極的に働きかけを行い、売上高につなげる事ができるよう、努力してまいります。

 最後に、再生医療につきましては、ロードマップを策定し、引き続き本格的な事業立ち上げを進めております。ロードマップは「再生医療向け培地・試薬製品」「体性幹細胞を活用した細胞医薬品」「iPS細胞を活用した細胞医薬品」の3ステップからなります。

 「再生医療向け培地・試薬製品」につきましては、現在の研究試薬製品を臨床グレードにアップさせることで、より付加価値を高めます。現在、すでに国の機関などの関係者と話を進めており、臨床用として使用できる試薬の開発を開始しております。

 「体性幹細胞を活用した細胞医薬品」に関しましては、引き続き新生企業投資株式会社との共同ベンチャーファンド「Cell Innovation Partners, L.P.」の投資を通じての技術提携などの推進や、当社と日産化学工業株式会社が共同出願している造血幹細胞の増幅方法に関する技術についても米国での特許化の目途が立ち、本格的な事業化に向けて活動を行っております。

 「iPS細胞を活用した細胞医薬品」につきましては、当社が保有する世界最先端のiPS細胞技術を利用して進めていく予定です。

 今後、上記の3つのステップを積極的に推進していくと共に、新たな製品開発等も視野に入れ、再生医療分野への参入を本格化してまいります。

この結果、iPS細胞事業にかかわる売上高は495,047千円、セグメント損失は71,415千円となりました。

 

② 臨床検査事業

 腎臓移植や造血幹細胞移植の分野への適用の広がりを見せている抗HLA抗体検査(スクリーニング及びシングル抗原同定検査)を主力として、日本全国の100施設以上の病院から検査を受注しております。また、近年は、HLA抗体と移植成績や移植後のグラフト(移植片)生着成績の関連性が注目されており、移植の際にHLA関連検査を行う施設が増加傾向にあります。

 現在は既存顧客からの依頼を受けながら、新規案件の受注獲得に向けた活動や新規検査項目の立ち上げに向けた活動を引き続き積極的に行っております。

この結果、売上高は21,670千円、セグメント利益は2,141千円となりました。

 

なお、管理部門にかかる費用など各事業セグメントに配分していない全社費用が532,699千円あります。

 

 

(2) 財政状態の分析

(資産の部)

 当第2四半期連結会計期間末における流動資産は前連結会計年度末に比べて547,711千円減少し、5,313,756千円となりました。これは主に、現金及び預金が615,236千円減少したことなどによります。固定資産は前連結会計年度末に比べて318,587千円減少し、1,788,074千円となりました。これは主に、無形固定資産が427,346千円減少したこと、投資有価証券が115,680千円増加したことなどによります。

 

(負債の部)

 当第2四半期連結会計期間末における流動負債は前連結会計年度末に比べて90,862千円減少し、365,464千円となりました。これは主に、前受金が123,239千円減少したことなどによります。固定負債は前連結会計年度末に比べて35,047千円減少し、209,083千円となりました。これは主に、繰延税金負債が35,489千円減少したことなどによります。

 

(純資産の部)

 当第2四半期連結会計期間末における純資産は前連結会計年度末に比べて740,389千円減少し、6,527,282千円となりました。これは主に、利益剰余金が587,447千円減少したこと、為替換算調整勘定が180,068千円減少したことなどによります。

 

(3) キャッシュ・フローの状況

 当第2四半期連結累計期間における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度末に比べて383,923千円増加し、4,799,810千円となりました。

 当第2四半期連結累計期間における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

 当第2四半期連結累計期間において営業活動の結果使用した資金は430,477千円(前年同四半期は224,100千円の使用)となりました。これは主に税金等調整前四半期純損失601,974千円、のれん償却額65,807千円、たな卸資産の増加額89,762千円によるものであります。

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

 当第2四半期連結累計期間において投資活動の結果獲得した資金は860,949千円(前年同四半期は44,572千円の使用)となりました。これは主に有価証券の償還による収入1,000,000千円、投資有価証券の取得による支出127,889千円によるものであります。

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

 当第2四半期連結累計期間において財務活動の結果獲得した資金は25,170千円(前年同四半期は398,217千円の獲得)となりました。これは主に新株予約権の行使による株式の発行による収入27,741千円によるものであります。

 

(4) 事業上及び財務上の対処すべき課題

 当第2四半期連結累計期間において、当社グループの事業上及び財務上の対処すべき課題に重要な変更はありません。

 

(5) 研究開発活動

 当第2四半期連結累計期間における研究開発活動の金額は、116,260千円であります。

 なお、当第2四半期連結累計期間において、当社グループの研究開発活動の状況に重要な変更はありません。

 

 

(6) 重要事象及び当該事象を解消しまたは改善するための対応策

当連結会計年度については、世界的な販売網の確立に向けた先行投資をし、iPS細胞及び再生医療等の研究開発費用が収益に先行して発生する等の理由から、継続的に営業損失が発生しております。

 しかしながら、当社グループの当第2四半期連結会計期間末の現金及び預金残高は2,793,823千円、短期的な資金運用を行っている有価証券が1,999,662千円あり、財務基盤については安定しており、当該状況の解消を図るべく、グローバル展開に向けた販売基盤の整備を行っています。グループ経営体制の運営効率化のため、投資及びランニング費用を最小限に抑えつつ、地域特性に合わせた営業・マーケティング展開、営業面ならびに技術面での各社間の連携促進を進め、早期の黒字化を目指して当該状況の解消を図っていきます。