当第3四半期連結累計期間において、新たに発生した事業等のリスクはありません。
また、前事業年度の有価証券報告書に記載した事業等のリスクについて重要な変更はありません。
継続企業の前提に関する重要事象
当社グループは、世界的な販売網の確立に向けた先行投資をし、iPS細胞及び再生医療等の研究開発費用が収益に先行して発生する等の理由から、継続的に営業損失が発生しておりますが、当該状況を解消又は改善するための対応策を講じることにより、継続企業の前提に重要な不確実性は認められないものと判断しております。当該状況を解消又は改善するための対応策は、3 財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (5)に記載しております。
(重要な契約の締結)
当社は、平成28年11月11日開催の取締役会において、台湾のバイオテクノロジー企業Steminent Biotherapeutics Inc.(以下、ステミネント社)との間で細胞医薬品「Stemchymal®」(ステムカイマル)の日本における共同開発および販売に関する契約を締結することを決議し、同日付で契約を締結いたしました。なお、契約の概要は以下のとおりであります。
1.契約の目的
① Stemchymal®を脊髄小脳変性症に対する細胞医薬品として開発および販売する権利(独占)の取得
② Stemchymal®を脊髄小脳変性症以外の疾患に対する治療薬として扱う際の優先交渉権の取得
2.契約の相手先の名称
Steminent Biotherapeutics Inc.
3.契約の締結時期
平成28年11月11日
4.契約の内容
本契約により、当社は新たな事業として日本において独占的にStemchymal®を脊髄小脳変性症の治療薬として開発すると共に、上市後も日本においてその治療薬を独占的に販売する権利を得ることとなりました。また、本権利に付随して、Stemchymal®の脊髄小脳変性症以外の適応疾患についての開発や販売に関する優先交渉権も有しております。
日本では、平成26年11月25日に「再生医療等の安全性の確保等に関する法律」並びに「薬事法等の一部を改正する法律」が施行されました。これにより、日本においては治験において一定の安全性や効能が認められた場合に、治験を実施しながらも条件付きで販売を行う事が出来る「条件・期限付き承認」を得る事が可能となり、再生医療に関連した医薬品の開発を加速化する事が可能となっております。今後、当社は前述の制度を活用し、日本の法規制に沿ったStemchymal®の製品開発と臨床試験を通して早期の上市を目指す一方、ステミネント社は随時その開発をサポートしてまいります。Stemchymal®は当社が医薬品として取扱う初めての製品となり、本契約は当社にとって本格的な再生医療分野参入への大きな第一歩となります。
5.今後の見通し
当事業開始に伴い、当社はステミネント社が行う第三者割当増資を約1億円引き受けるとともに、開発のマイルストーンに応じて段階的に報酬を支払う事となり、最終的にステミネント社へ支払う報酬金額の合計は4億円を予定しております。加えて上市後は条件に応じたロイヤリティをステミネント社へ支払う事となります。また、その他に治験費用が発生する見込みです。
(合弁会社の設立)
当社は平成28年11月7日開催の取締役会において、株式会社キレートジャパン(本社:東京都豊島区、代表取締役 佐藤美次、以下、キレート社)および株式会社昇陽(本社:東京都渋谷区、代表取締役会長 谷田大輔、以下、昇陽社)との間で、共同出資による合弁会社、株式会社リプロキレート(以下、リプロキレート社)を設立することについて決議いたしました。
1.設立の目的
当社は、これまでに培ったiPS細胞などの幹細胞の培養技術を応用し、キレート社と共同で新規化粧品の開発を開始いたします。キレート社は「フリーズドライ(凍結真空乾燥)」技術とカプセル化技術「ナノソーム」の最先端技術を有しており、新たな化粧品の企画、開発において長い実績があります。今後、当社の幹細胞技術とキレート社の化粧品開発技術を組み合わせ、新たな化粧品の開発を行ってまいります。
化粧品関連の市場規模は、2015年で1兆5千億円を超えており、その中でも「頭髪用化粧品」「皮膚用化粧品」「仕上用化粧品」が全体の9割以上を占めております。最近では、幹細胞の培養液を加工した化粧品も登場しており、幹細胞は再生医療だけではなく化粧品業界においても注目が高まっています。
当社グループは、現在ヒトiPS細胞の技術を基盤とし、試薬製品、創薬支援および再生医療の事業展開を進めておりますが、本化粧品事業を新規事業として立ち上げてまいります。
今回、キレート社と化粧品等に関する共同開発を進めると同時に、開発した製品の販売会社としてリプロキレート社を設立いたします。リプロキレート社は、キレート社、当社、昇陽社の3社が出資し、昇陽社の代表取締役会長である谷田大輔氏も本合弁会社の取締役として経営に参画します。谷田氏は、1985年に株式会社タニタ株式会社の代表取締役社長に就任し、世界初の家庭用体脂肪計・体組成計を開発・販売し、ヘルスメーター売上世界No1企業へと成長させた経歴を有しており、谷田氏のこれまでの経営実績をリプロキレート社にも活かすことで、新規化粧品の事業展開を加速させてまいります。
当社としましては、今まで培ってきた幹細胞の培養技術を活かして化粧品市場に参入することにより、今まで法人をメインとしていた顧客層を一般消費者にまで広げてまいります。
2.合弁会社の概要
① 商号:株式会社リプロキレート
② 所在地:東京都豊島区
③ 資本金:30百万円
④ 出資比率:当社35%、株式会社キレートジャパン40%、株式会社昇陽25%
文中の将来に関する事項は、当四半期連結会計期間の末日現在において当社グループ(当社及び連結子会社)が判断したものであります。
(1) 業績の状況
当第3四半期連結累計期間(平成28年4月1日~平成28年12月31日)におけるわが国経済は、国内において雇用情勢の改善がみられるなど緩やかな回復基調にあるものの、米国の政権移行や英国のEU離脱の問題など世界情勢は大きく変化しており、先行きは依然として不透明な状況となっております。
一方、iPS細胞に関連した研究は、平成19年に山中伸弥教授がヒトiPS細胞を発明して以来、日本を含む世界中の研究施設で盛んに行われるようになっております。さらに、日本では「再生医療等の安全性の確保等に関する法律」並びに「薬事法等の一部を改正する法律」が平成26年11月25日に施行されたことにより、大手製薬企業を含めた企業サイドによる再生医療の事業化に向けた取り組みも活発化しております。
このような経済状況のもと、当社グループはiPS細胞関連試薬の販売、創薬を支援する細胞製品やサービスの提供を行いながら、再生医療領域への本格的な参入を開始いたしました。
当第3四半期連結累計期間においては、主に海外子会社であるReproCELL Europeの創薬支援サービスの寄与により、役務収益が前年同期と比べて増加いたしました。当社グループの成長戦略においては、現在は企業向けの創薬支援分野を伸ばす時期としており、より重点的に営業活動を行っております。今後も、より多くの顧客獲得を目指し、営業活動を強化してまいります。
事業進捗としまして、日本では再生医療分野において細胞医薬品の開発に関する契約締結を行い、さらに創薬支援分野ではファンケル社との細胞開発の契約締結、臨床検査事業ではヘリオス社との受託契約の締結、そして幹細胞培養技術を応用した化粧品類の開発事業をスタートするなど、多岐の分野にわたり多くの進展がありました。
また、世界の市場動向といたしましては、アメリカの幹細胞分野において幹細胞の臨床応用へ向けた研究が広がりを見せており、医薬品などの製造において守るべき製造管理・品質管理の基準であるGMP(Good Manufacturing Practice)に準拠している試薬製品の需要が高まってきております。現在ReproCELL USAで取り扱っております培養液「NutriStem」および、リプログラミング試薬「StemRNA -NM Reprogramming Kit」はすでにGMP準拠の製品となっており、現在引き合いは増加傾向にあります。
さらにヨーロッパでは、臨床応用可能なiPS細胞のバンキングに向けた研究開発が進んでおり、安全性の高いiPS細胞の樹立方法として当社グループのRNAリプログラミング技術が注目されております。これを機に、今後の大きな売上へと繋ぐことが出来るよう、積極的に活動を行っております。
これらの事業活動や市場動向は、短期的、または長期的に当社グループの業績へプラスとなるものであり、早期収益化を目指して精力的に事業を推進しております。
また、細胞医薬品の開発や治験に関する費用への充当を目的として、メリルリンチ日本証券を割当先とした第12回新株予約権の発行を決議いたしました。当新株予約権の発行によって約26億円の資金調達を予定しております。
この結果、当第3四半期連結累計期間の売上高は860,467千円(前年同四半期比69,913千円の増加)、営業損失は624,062千円(前年同四半期710,467千円の損失)、経常損失は565,113千円(前年同四半期679,510千円の損失)、親会社株主に帰属する四半期純損失は544,112千円(前年同四半期667,795千円の損失)となりました。
セグメントの業績を示すと、次のとおりであります。
① iPS細胞事業
研究試薬分野については、iPS細胞研究に関わる様々な研究試薬を大学や公的研究機関、製薬企業等に製造・販売しております。
当第3四半期連結累計期間においては、新製品として尿中の細胞からiPS細胞を作製する次世代RNAリプログラミング技術を製品化した「StemRNA -NM Reprogramming Kit」の販売を開始いたしました。本製品はGMP準拠となっており、同じReproCELL USA社の培養液「NutriStem」と組み合わせて使用することにより、将来的には再生医療グレードのiPS細胞を作製することも可能です。アメリカでは現在、幹細胞の臨床応用へ向けた研究が増えており、今後GMPに準拠した試薬製品は、需要が高まってくると予想しております。
新製品をはじめ、当社グループ製品の認知度を向上させて売上へとつなげることができるよう、営業員を中心として、引き続き努力してまいります。
次に、創薬支援分野については、製薬及び化学系企業を顧客とし、製品とサービスの両方を提供しております。製品としましては、企業の研究所内で研究を行う際に必要となる様々なヒトiPS細胞及びヒト細胞を販売しており、主な用途として創薬スクリーニングや新薬の安全性試験等に使用されています。一方、サービスは企業研究所内で実施している様々な試験の一部を受託するビジネスとなります。
当第3四半期連結累計期間においては、ファンケル社とヒトiPS細胞由来のモデル細胞の開発に関する契約を締結いたしました。今後当社では、ファンケル社の要望に沿った細胞をiPS細胞から作製し、提供してまいります。売上は細胞の開発状況に応じて段階的に計上される予定です。
さらに、ヨーロッパでは、臨床応用可能なiPS細胞のバンキングに向けた研究開発が進められており、従来の方法と比べてより安全性の高いRNAリプログラミング法を用いたiPS細胞の樹立が注目されております。今後は樹立サービスの需要も高まってくると考えており、ニーズに応えられるような体制を整えて参ります。
現在、ヒトiPS細胞は再生医療への応用のみならず、様々な分野の製品開発におけるツールとしての活用も期待されており、現在iPS細胞を活用した事業を取り入れようとする動きが活発化しているため、今後も精力的に営業活動を行い、売上を拡大してまいります。
再生医療分野につきましては、当第3四半期連結累計期間において、再生医療領域への本格的な第一歩となる細胞医薬品Stemchymalに関する共同開発および販売契約を、台湾のSteminent Biotherapeutics Inc.と締結いたしました。本契約により、新たな事業として日本において独占的にStemchymalを脊髄小脳変性症の治療薬として開発すると共に、上市後も日本においてその治療薬を独占的に販売する権利を得ることとなりました。今後は、約1年をかけて当社とステミネント社の両社が協力して治験の準備を進め、2017年秋~冬ごろより日本での治験を実施する予定です。2020年頃に条件・期限付承認を取得して条件付き販売を開始することにより収益化が見込まれ、2023年頃の本承認および上市により収益の最大化を目指してまいります。
再生医療事業では、「再生医療向け培地・試薬製品」「体性幹細胞を活用した細胞医薬品」「iPS細胞を活用した細胞医薬品」の3ステップからなるロードマップを策定しており、事業を推進しております。
「再生医療向け培地・試薬製品」につきましては、現在の研究試薬製品を臨床グレードにアップさせることで、より付加価値を高めます。現在、すでに国の機関などの関係者と話を進めており、臨床用として使用できる試薬の開発を開始しております。
「体性幹細胞を活用した細胞医薬品」に関しましては、引き続き新生企業投資株式会社との共同ベンチャーファンド「Cell Innovation Partners, L.P.」の投資を通じての技術提携などの推進を進めており、当第3四半期連結累計期間においては、第1号投資案件Elastagen社に続き、第2号投資案件として、肝疾患を対象とした他家・細胞医薬品の開発を行うベルギーのPromethera社へ1百万ユーロの投資を実行いたしました。また、当社と日産化学工業株式会社が共同出願している造血幹細胞の増幅方法に関する技術についても米国や欧州での特許化の目途が立ち、本格的な事業化に向けて活動を行っております。
「iPS細胞を活用した細胞医薬品」につきましては、当社が保有する世界最先端のiPS細胞技術を利用して進めていく予定です。
今後、上記の3つのステップを積極的に推進していくと共に、新たな製品開発等も視野に入れ、再生医療分野への参入を本格化してまいります。
最後に、当社では幹細胞培養技術を応用した化粧品類の販売を行う合弁会社として「リプロキレート社」を設立し、化粧品事業への参入を開始いたしました。
化粧品関連の市場規模は、2015年で1兆5千億円を超えている非常に大きな市場です。近年、幹細胞は再生医療だけではなく化粧品業界においても注目が高まっており、最近では幹細胞の培養液を加工した化粧品も登場しております。
当社グループでは、今まで培ってきた幹細胞の培養技術を活用して化粧品市場に参入することにより、今まで法人をメインとしていた顧客層を一般消費者にまで広げていく予定です。現在では、平成29年度中の製品化を目指して活動を進めております。
この結果、売上高は825,857千円、セグメント損失は100,176千円となりました。
② 臨床検査事業
腎臓移植や造血幹細胞移植の分野への適用の広がりを見せている抗HLA抗体検査(スクリーニング及びシングル抗原同定検査)を主力として、日本全国の100施設以上の病院から検査を受注しております。また、近年は、HLA抗体と移植成績や移植後のグラフト(移植片)生着成績の関連性が注目されており、移植の際にHLA関連検査を行う施設が増加傾向にあります。
当第3四半期連結累計期間では、ヘリオス社と新たに再生医薬品の治験における検査業務受託に関する契約を締結いたしました。今後は、ヘリオス社の実施する治験の進捗度合いに応じて、順次検査業務を行っていく予定です。
再生医薬品や細胞医薬品といった、細胞を活用した医薬品は、他人の細胞を体内に入れるという観点から移植と類似しており、治験には臨床検査が必要とされるであろうと認識しております。
今後は臓器移植だけではなく、再生医療とも関連させた新規案件の受注獲得も視野に入れた営業活動や、新規検査項目の立ち上げに向けた活動を引き続き積極的に行ってまいります。
この結果、売上高は34,609千円、セグメント利益は3,305千円となりました。
なお、管理部門にかかる費用など各事業セグメントに配分していない全社費用が468,242千円あります。
(2) 財政状態の分析
(資産の部)
当第3四半期連結会計期間末における流動資産は前連結会計年度末に比べて643,623千円減少し、5,217,845千円となりました。主な内訳は、現金及び預金の減少734,912千円、仕掛品の減少72,270千円、原材料及び貯蔵品の増加122,049千円であります。固定資産は前連結会計年度末に比べて219,320千円減少し、1,887,340千円となりました。主な内訳は、無形固定資産の減少400,682千円、投資その他の資産の増加177,667千円であります。
(負債の部)
当第3四半期連結会計期間末における流動負債は前連結会計年度末に比べて181,019千円減少し、275,308千円となりました。主な内訳は、買掛金の増加7,471千円、未払法人税の減少16,017千円、前受金の減少180,504千円であります。固定負債は前連結会計年度末に比べて35,097千円減少し、209,033千円となりました。
(純資産の部)
当第3四半期連結会計期間末における株主資本は前連結会計年度末に比べて430,239千円減少し、6,760,936千円となりました。主な内訳は、資本金の増加72,008千円、資本剰余金の増加41,863千円、利益剰余金の減少544,112千円であります。
(3) 事業上及び財務上の対処すべき課題
当第3四半期連結累計期間において、当社グループの事業上及び財務上の対処すべき課題に重要な変更はありません。
(4) 研究開発活動
当第3四半期連結累計期間における研究開発活動の金額は、195,841千円であります。
なお、当第3四半期連結累計期間において、当社グループの研究開発活動の状況に重要な変更はありません。
(5) 重要事象及び当該事象を解消しまたは改善するための対応策
当連結会計年度については、世界的な販売網の確立に向けた先行投資をし、iPS細胞及び再生医療等の研究開発費用が収益に先行して発生する等の理由から、継続的に営業損失が発生しております。
しかしながら、当社グループの当第3四半期連結会計期間末の現金及び預金残高は2,674,146千円、短期的な資金運用を行っている有価証券が1,999,739千円あり、財務基盤については安定しており、当該状況の解消を図るべく、グローバル展開に向けた販売基盤の整備を行っています。グループ経営体制の運営効率化のため、投資及びランニング費用を最小限に抑えつつ、地域特性に合わせた営業・マーケティング展開、営業面ならびに技術面での各社間の連携促進を進め、早期の黒字化を目指して当該状況の解消を図っていきます。