第2【事業の状況】

1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

当社グループの経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、以下のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1)会社の経営の基本方針

《経営理念》信頼と限りなき挑戦

 2018年に創業100周年を迎え、創業者である浅野総一郎の理念を踏まえ、当社の現代の存在意義と将来に向けた夢のある発展を追い求めるため、「信頼と限りなき挑戦」を経営理念に掲げました。2024年10月にグループ内企業3社の合併により事業会社体制へ移行していますが、これまでと変わらぬ理念を掲げてまいります。

 当社グループは、社会と人々に貢献することが使命と考えます。そのためには「継続ある事業基盤の確立」と「不朽なる技術の進展」は不可欠であります。ステークホルダーからの信頼確保を第一に、研究開発体制の整備、M&Aや海外進出を含む新規事業への積極的な展開を図りながら、新製品の開発と新規事業の開拓を行ってまいります。社員一同、世界に信頼される「カーリットグループ」となるよう、飽くなき挑戦を日々積み重ねてまいります。

 

 

(2)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題

 当社は、2024年度を最終年度とする中期経営計画「Challenge2024」を推進してまいりました。経営方針として「事業ポートフォリオの最適化により企業価値の向上を目指す」を掲げ、「成長事業の加速化」「研究開発の拡充」「既存事業の収益性改善」「ESG経営の高度化」「事業インフラの再構築」という5つの戦略を推進してまいりました。「成長事業の加速化」および「研究開発の拡充」では、今後も活況が続くと予想できる半導体・電子機器・5G関連材料の需要と、EV化を起点に市場の拡大が見込める自動車関連需要の2つに焦点を当て、生産設備の新設や増強、国内外マーケットに向けた販売促進、当社コア技術の発展・応用の模索を進めてまいりました。注力領域や成長事業については、新中期経営計画「Challenge2027」にて見直しを行っています。「既存事業の収益性改善」では、省エネ・省人化設備への更新や、事業ポートフォリオに基づいたリソースの適切な配分を進め、当社の利益を生み出す構造に改善してまいりました。「ESG経営の高度化」および「事業インフラの再構築」では、気候変動対策、カーボンニュートラルへの挑戦、ステークホルダーとのコミュニケーション、財務戦略の明確化、IT推進といった施策を進めてまいりました。加えて、経営環境の変化に柔軟に対応することで中期経営計画「Challenge2024」の達成をより確実とすることを目的に、ローリング方式にて中期経営計画の見直しを行い「ローリングプラン2023」や「グローアッププラン2024」を策定してまいりました。

 今後は2025年3月に公表した新中期経営計画「Challenge2027」を推進し、引き続き当社グループの社会貢献およびコーポレート・ガバナンスのさらなる充実を進めることで、「利益ある成長」と「ESG」を具現化し、社会に信頼される企業グループを目指してまいります。

 

 (中期経営計画「Challenge2027」より事業ポートフォリオの考え方を抜粋)

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 2025年度の世界経済は、米国による段階的な関税引き上げが下押し要因となり、緩やかな回復ペースにとどまると見通しています。自由貿易に対する逆風の中、日欧では輸出市場における対中競争激化も輸出回復の重石になる予想です。また、中国の不動産不況に起因する内需低迷は継続する見込みです。

2025年度の国内経済は、賃上げ機運の高まりを受けた個人消費の持ち直しが継続する見込みです。省力化等の投資需要も継続することで内需主導による緩やかな景気回復が期待されます。ただし、物価影響を除いた実質賃金の改善は鈍く力強い消費回復には至らないと予想しています。なお、国内外ともに米国政権交代ならびに関税政策による影響が懸念され、経済環境の不透明感が高まっています。

 

 これらの社会背景、経済環境を踏まえ2025年3月期の連結業績予想を以下のとおりとし、2025年5月15日付の「2025年3月期決算短信」にて開示いたしました。

 

 

(%表示は、通期は対前期、四半期は対前年同四半期増減率)

 

 

売上高

営業利益

経常利益

親会社株主に帰属

する当期純利益

1株当たり

当期純利益

 

百万円

百万円

百万円

百万円

円 銭

第2四半期(累計)

18,500

2.5

1,100

△7.9

1,200

△13.2

800

△15.9

34.68

通期

39,000

5.6

3,100

1.7

3,350

0.9

2,700

5.0

117.04

 

2【サステナビリティに関する考え方及び取組】

 当社グループのサステナビリティに関する考え方および取り組みは、以下のとおりです。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものです。

 『カーリットグループは《信頼と限りなき挑戦》という経営理念の下、モノづくりやサービスの提供を通じて社会課題の解決に貢献し、「持続可能な社会の実現」を目指します』というサステナビリティ基本方針を掲げて諸活動に取り組んでいます。

 

(1)ガバナンス

 当社グループは取締役会の監督のもと、代表取締役社長を委員長、取締役・執行役員の全員と常勤監査役を委員とするサステナビリティ委員会を設置し活動を推進しています。

 本委員会において、気候変動対策をはじめ、サステナビリティに関する方針・戦略・計画・施策の検討・立案、グループ各社の課題の抽出と強化・改善に向けた方策の明確化等の審議を行っています。2024年度は3回開催されました。審議された内容は適宜グループ経営戦略会議・経営会議・取締役会に報告され、取締役会においてサステナビリティ課題への積極的・能動的な議論を推進しています。

 また、サステナビリティ委員会の下にCSR推進責任者会議・CSR推進担当者会議を設置し、当社グループ全体でCSRの推進を図っています。

 

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(2)戦略

(気候変動に関するリスクと機会)

 当社グループのサステナビリティ基本方針および、TCFD提言にのっとり「4℃シナリオ」と「1.5℃/2℃未満シナリオ」についてリスク・機会の側面から分析しています。各シナリオにおける当社グループへの影響と主要インパクトについては以下のとおりです。今後も当社グループを取り巻く環境変化に合わせ更新してまいります。

 

シナリオ

分類

主要インパクト

リスク・機会

の概要

想定される

影響の概要

想定される

経済的影響

4℃

リスク

物理

リスク

(注)1.

急性

リスク

(注)2.

降水・気象パターンの変化

集中豪雨の増加など

風水害の激甚化

生産設備の損害、生産

停滞・効率低下、水害

対策費用の上昇

設備修繕コストの増加

製造コストの増加

平均気温の上昇

コーヒー、茶栽培適地減

少による供給原料の高騰

ボトリングセグメントの売上縮小

慢性

リスク

(注)3.

降水・気象パターンの変化

降水量変化に伴う水不足

水力発電所の稼働低下、代替水源の確保や水の再利用システムの導入に伴うコストの増加

エネルギーコストの

増加

製造コストの増加

平均気温の上昇

倉庫や工場などの空調

設備への影響

エネルギーコストの

増加

機会

市場・製品と

サービス

降水・気象パターンの変化

風水害の激甚化に適応する製品・サービスの需要増加

 

車両水没時脱出機能付き発炎筒の生産量増加

化薬分野の売上拡大

平均気温の上昇に伴う

製品・サービスの需要増加

ペットボトル飲料・缶飲料の需要増加

ボトリングセグメントの売上拡大

臭気抑制用工場用水処理剤の需要増加

化成品分野の売上拡大

1.5℃/2℃

未満

リスク

移行

リスク(注)4.

法・規制に関する

リスク

社会要求の変化

炭素税導入などの排出ガス規制の強化、厳格化

環境対応設備の導入、

排出権取引の本格的な

導入や炭素税の適用

設備投資コストの増加

操業コストの増加

原材料調達コストの

増加

テクノロジーリスク

低炭素排出技術の

進展と普及

低炭素排出技術に対する

社会的要求

低炭素技術への対応遅れによる競争力低下

設備投資コストの増加

販売先の縮小

レピュテーション

(評判)

リスク

社会要求の変化

気候変動への対応状況の

情報開示要請

取引判断基準・投資判断基準の厳格化、対応の遅れによる評判悪化

資金調達コストの増加

調達先、販売先の縮小

機会

市場・製品と

サービス

降水・気象パターンの変化

気候変動に適応する製品・サービスの需要増加

気象衛星の打ち上げ需要の増加

化成品分野の売上拡大

再生可能エネルギー

の普及

気候変動の緩和に

貢献する、製品・サービス

の需要増加

電気自動車の普及、

蓄電池需要の増加

受託評価分野、電子

材料分野の売上拡大

水素エネルギー、大容量蓄電池の普及

化成品分野の売上拡大

資源効率

省エネルギー環境の

普及

省エネルギーの生産設備の普及

再生可能エネルギーの

安定的な市場流通

エネルギー効率の高い生産体制の確立、水力発電所の活用、太陽光発電の拡大、非化石証書付電力利用促進

エネルギーコストの

削減

操業コストの削減

評判

社会要求の変化

気候変動への対応状況の

情報開示要請

気候変動への対応の充実により得られる外部評価の向上

資金調達コストの

削減

調達先・販売先の拡大

 (注)1. 物理リスク=気候変動によってもたらされる災害などの被害

       2. 急性リスク=台風や洪水、高潮などの異常気象の激甚化によって受ける影響

       3. 慢性リスク=降水パターンの長期的な変化や気象パターンの変動、平均気温や海面の上昇によって受ける影響

       4. 移行リスク=気候変動緩和を目的とした脱炭素社会への移行に向けて発生するリスク

 

 これらの気候変動は当社グループの事業へのリスクである一方で、製品・サービスの提供価値および企業価値を高める機会につながると認識しています。今後も脱炭素化に向けた当社製品・サービスの提供、新規事業の創出を促進します。

 

(人的資本)

 また当社グループは積み重ねた100年の経験と知識を活かしつつ、新たな教育や制度の拡充と職場環境の整備に挑戦し、「人への投資」を一層進めています。当社グループの多様な人財が皆様から信頼され「新たな100年へ」と積極果敢に挑戦し続けることのできるよう育成を続けてまいります。

中期経営計画「Challenge2024」のもとでは「従業員一人ひとりにとって、働きがいのある職場づくり」に注力し、人財の多様性の確保を含む人財の育成に関する方針および社内環境に関する方針は以下のとおりです。

 

①女性活躍の推進

 当社グループでは、男女区別なく多様な人財が活躍することが会社の成長に繋がると考え、積極的な女性採用や女性中核人財育成のための研修実施、女性管理職の登用を進めています。

 

②ダイバーシティの状況

 外国人採用や中途採用も継続的に進めており、2024年度までに外国人累計6名の新卒を採用しています。また管理職ポストにおける中途採用者割合は2024年度で30.9%となっております。今後も外国人採用や中途採用を進め従業員の多様性確保のための諸施策に取り組んでまいります。

 

③人的資本の拡充

 グループ横断的な教育制度を充実させることで、当社グループの未来を担う人財の育成に取り組んでいます。職位別研修を始め、財務・語学、自己啓発として通信教育やマネジメントスクール通学の支援を行っており、将来の経営者人財を含む中長期的な人財戦略を支える諸制度を拡充してまいりました。2024年度の当社グループ人財一人当たりの研修費用額は2020年度対比183%となっています。

 

④健康経営の推進

 当社グループはマテリアリティの最上位に「安心・安全で活き活きとした職場環境づくり」を掲げており、ストレスチェックの実施、産業医による定期的な面談機会を設けるなど、従業員の健康維持・増進をサポートする取り組みを推進しています。従業員とその家族が健康で元気でいることによる生産性向上を目指して健康経営の取組を強化し、2022年より3年連続で健康経営優良法人の認定を受けています。健康経営を進める体制については、代表取締役社長を「健康経営推進管理責任者」、人事担当役員を「健康経営推進責任者」、人事部を「健康経営推進部署」とし、健康保険組合・産業医・労働組合等と情報共有・意見交換を行いながら、今後も健康経営を強化・推進することで企業価値のさらなる向上を目指します。

 

(3)リスク管理

 当社グループは自然災害・感染症の発生等により経済環境に大きな影響を及ぼす可能性があり、また生産設備や人的資源への損害の発生、顧客の需要動向に大きな変化が起こる可能性があります。これらが当社の業績および財務状況に大きな影響を及ぼす重要なリスク要因の一つであると認識しています。

 経済環境への大きな影響は経営企画部、人的被害の大きな影響は人事部と総務部、生産活動や品質は生産・品質統括部が担当し、それらの情報をステークホルダーに適宜・適切に開示する役割を広報・IR推進室が担い重要なリスクの管理をより一層強化しています。

 また、代表取締役社長を委員長とするグループリスクマネジメント委員会を設置し、気候変動を含む総合的なリスク管理体制を構築し、グループ各社からのリスク情報がタイムリーに経営陣に集約・報告され、グループ全体への影響を検証し、速やかな経営判断による対策の実行など、リスクを最少化するための管理を強化しています。

 また、当社グループはサプライチェーン全体でサステナビリティに取り組むことが重要であると認識し、モノづくりやサービスの提供における範囲に加え、調達、輸送過程でも「カーリットグループサステナブル調達ガイドライン」によって、社内外関係者への周知・徹底を図ることで社会と環境に配慮した活動を促進しています。

 

(4)指標及び目標

 当社グループは、特に水資源等豊かな自然の恵みの上に成り立っていることから、気候変動は解決すべき重要な社会課題の一つと認識しています。

 2050年までにカーボンニュートラルの実現に向け、省エネルギー対策や再生可能エネルギーの活用などを促進し、温室効果ガスの排出量削減に積極的に取り組んでおり、エネルギー使用量、CO排出量データに加え、水セキュリティに関する情報などの開示範囲の拡大に努めています。

 

①サプライチェーン排出量

 当社グループは、気候変動に関するリスクと機会を測定・管理するための指標として、サプライチェーンCO排出量 (Scope1・2・3)を以下のとおり算定しました。排出量実績の可視化、定期的な管理体制を構築することで、温室効果ガスの排出量削減に取り組んでまいります。(下表算定値は2023年度実績)

 

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②サプライチェーン排出量削減目標

 Scope1・2は、そのマイルストーンとして2030年までに2013年度対比で46%削減することを目標として掲げています。目標の達成に向け、省エネルギーの促進、再生可能エネルギーの活用促進、関連するエネルギー使用量の情報開示範囲の拡大に取り組んでまいります。

 Scope3は当社グループの総排出量のうち8割を超えており、脱炭素社会の実現のためにはこのScope3排出量削減が不可欠であると認識しています。特に購入した製品・サービスに該当するカテゴリ1はScope3の約8割を占めています。サプライチェーンを通じた脱炭素の実現に向け、サステナブル調達アンケートや排出量算定システムを通じてサプライチェーンにおけるコミュニケーションを図り、削減に向けた取り組みを促進するとともに、2050年カーボンニュートラルを見据えた2030年までのScope3削減目標の設定についても具体化を進めてまいります。

 

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 また、当社グループでは上記「(2)戦略」において記載した、人財の多様性の確保を含む人財の育成に関する方針および社内環境整備に関する方針について、次の指標を用いています。当該指標に関する目標および実績は以下のとおりです。

 

③新卒の女性採用比率

 当社は、2015年度から専門卒・短大卒以上の新卒女性の採用比率目標を30%以上とし、2024年度までの累計新卒女性採用比率は39.4%となっています。今後も30%以上の新卒女性採用比率を維持してまいります。

 

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④女性管理職比率

 当社の2024年度の女性管理職比率は4.7%、女性の管理職候補層(係長・主任クラス)比率については19.4%となりました。2026年度には新卒女性採用比率は維持しつつ、女性管理職比率5%台、女性の管理職候補層比率20%台を目指し、将来的に経営の意思決定に関わる女性従業員を育成しています

 

2023年度

2024年度

2026年度(予)

女性管理職比率

2.6

4.7

5.0

女性管理職候補層比率

15.5

19.4

20.0

 

男女間賃金格差

 当社の2024年度男女間賃金格差は以下のとおりとなります。

工場を中心とした製造業務が主体であるため男性比率が高く、男性の採用が中心であったことを背景に、男性の管理職比率や年齢が高くなり、差異が生じています。女性活躍推進の研修や女性管理職比率の向上などの施策を行い、格差を縮めてまいります。

 

株式会社カーリット

すべての労働者

71.9

 うち正規雇用労働者

75.1

 うちパート・有期労働者

67.5

 

⑥男性の育児休業取得率

 当社では、労働環境整備の施策として育児休業の取得を制度面から整備してまいりました。特に男性従業員の育児休業取得率向上の為、出生時育児休業期間の有給化などを進めてまいりました。それらにより2週間以上の男性育児休業取得率は2023年度に100%を達成し、2024年度も90.9%と高い水準を維持しております。

 

2023年度

2024年度

男性育児休業取得者数

5

10

取得比率

100.0

90.9

 

3【事業等のリスク】

 有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。

 なお、文中における将来に関する事項は、提出日現在において当社グループが判断したものであり、事業のリスクはこれらに限られるものではありません。

 

1.技術革新のリスク

 当社グループの一部事業分野においては、技術革新のスピードと市場のニーズの変化が非常に速いことから、新しい技術やイノベーションの発生によって、既存の製品やサービスが陳腐化、競争力を失い、当社グループの業績および財務状況に影響を及ぼす可能性があります。これに対応するべく、市場調査や競合分析、技術トレンドなどの情報 収集を継続的に実施することに加え、製造・営業・開発が定期的に情報共有する体制を構築し、リスクを適切に管理 しています。

 

2.市場動向変動のリスク

 当社グループでは製品の需要や供給の変動、競合他社や取引先の戦略変更などにより、業績および財務状況に影響を及ぼす可能性があります。外部環境を常にモニタリングし、いち早く需要や競合状況を把握、市場動向の変化を捉え、適切な対策を講じることに加えて、当社は4つの事業セグメントを有することで事業領域を多角化し、リスクを分散することで管理しています。

 

3.原材料調達・価格変動のリスク

 原材料の調達中断、価格の上昇、品質の低下などにより、当社グループの製品の供給安定性や品質が低下し、業績 および財務状況に影響を及ぼす可能性があります。近年では運送業の労務環境改善に伴う物流キャパシティ減少、世界情勢の悪化に伴うエネルギー供給の不確実性など大きなリスクが生じており、重大なリスク要因として認識しています。原材料調達については、複数社購買を基本戦略とし、購入ルートを適切に確保、安定調達を図ることでリスクを分散し管理しています。

 

4.為替相場の変動リスク

 当社グループは国内販売を中心に営業活動を展開しておりますが、原材料の一部を輸入品により調達していることから、為替相場の変動による原価高騰によって影響を受ける可能性があります。また、海外での事業や輸出に関連した取引においての為替レートの急激な変動により影響を受ける可能性があります。これらに対し、複数購買による調達リスクの分散、為替予約により仕入れ価格をあらかじめ確定させるなど、変動の影響を極力軽減する方策を採っておりますが、近年は急激な円安局面にあることから、重要モニタリング項目として留意してまいります。

 

5.事故・災害のリスク

 当社グループでは、化学品セグメントにおいて、火薬類、塩素酸塩類などの危険物を数多く扱っており、重大事故等の発生可能性は極めて低いものの、万が一火災、爆発、化学的な漏洩などの重大な事故が発生した場合は、人命の危険や物的損害、環境破壊、それに伴い事業活動が中断する可能性があります。生産拠点ごとに妥当な安全基準を定め、適切な設備や保護装置の設置、工場の定期巡視実施による未然防止、消火訓練等の適切な教育の規程化などに取り組むことで、リスクを最小限に抑えています。

 

6.品質に関するリスク

 当社グループの事業は多岐にわたっており、各社の事業に合致した品質管理体制が要求されます。グループ各社において、原材料調達から製造・出荷まで、一貫した品質管理体制の構築・運用を行っていますが、予期せぬ事態により製品の品質問題が発生した場合には、該社のみならず当社グループの信用や顧客満足度が低下し市場シェアに影響を及ぼすこと、また製品の回収、手直し、代替製品の納入および製造に係わる費用の発生などにより、当社グループの業績および財務状況に影響を及ぼす可能性があります。当社グループにおいては、大きな品質問題として顕在化する前の兆候の段階から品質担当者間で情報を共有する会議体を設置し、異なる業種からの視点も参考にしつつ対応を検討して実施するとともに、グループ各社への水平展開により品質管理体制の向上を図っています。

 

7.法的規制のリスク

 当社グループの製品等に関する法的な制約や規制の変更、コンプライアンスの不備により、製造・販売や信頼・

評判に影響が生じた場合には、業績および財務状況に影響を及ぼす可能性があります。外部専門家などの助言を受けつつ、環境問題、化学物質、輸出等の業務に係る法規制改正動向を常に注視することに加え、コンプライアンスを

徹底し適正な業務運営を行っています。

 

8.訴訟のリスク

 当社グループが関わる契約違反、知的財産権侵害、労働問題、製品の欠陥などについて、訴訟、係争、その他法律的手続きの対象となる可能性があり、訴訟が提訴されることなどにより、当社グループの業績および財務状況に影響を及ぼす可能性があります。各所管部門が規程にもとづき、契約書の適正な作成と管理、知的財産権の保護、労働法の遵守、製品の品質管理などを実施することでリスクの低減を図っています。

 

9.資産評価の変動リスク

 当社グループは、時価のある株式や不動産、債権などを保有しているため、株式相場が大幅に下落した場合、また、固定資産について回収可能額を測定した結果が帳簿価額を下回る場合、これらの資産評価により、当社グループの業績および財務状況に影響を及ぼす可能性があります。保有資産の必要性を定期的に確認するなど、資産の評価と維持を適切に行うとともに、中長期的な計画の中で資本戦略を検討することで、リスクを適切に管理しています。

 

10.自然災害等によるリスク

 当社グループの事業拠点は国内を中心に分布しています。大地震や津波・台風・大雨等の自然災害の際には、当社グループの生産設備や人的資源への影響・損害や、顧客の需要動向に大きな変化が起こる可能性があります。気象情報などの兆候に注視するとともに、BCPの策定や従業員安否確認システムの導入、生産設備の災害保険加入など、災害に対するレジリエンス向上に取り組むことで、リスクを適切に管理しています。

 

11.情報セキュリティに関するリスク

 当社グループは、顧客および取引先の機密情報、開発・生産・販売などの情報ならびに会計、企業戦略等さまざまな情報を有しており、これらの情報は外部流出や破壊、改ざん等が無いようにグループ全体で管理体制の構築ならびに従業員教育、ITセキュリティ等の強化策を継続的に実施しています。しかしながら、不正アクセスやサイバー攻撃、内部の不正行為等により、情報資産の漏洩や破壊、改ざん、情報システムの停止が発生し、信頼や評判の損失に加え、業績および財務状況に影響を及ぼす可能性があります。組織的対策としてはサイバーセキュリティ管理体制の構築、技術的対策としてはセキュリティポリシーに則った技術導入の推進をそれぞれ取り組むことで、リスクを適切に管理しています。

 

12.金利変動のリスク

 当社グループは、事業運営に必要な資金調達を行っておりますが、金利の上昇もしくは下降による資本調達コストの変更により当社グループの業績および財務状況に影響を及ぼす可能性があります。適切な資金調達戦略や借入条件の見直しを実施し、リスクを分散することで管理しています。

 

13.海外拠点のガバナンス不全のリスク

 当社グループは、上海に販売拠点を保有しています。現地の法律や規制、社会文化の違い等に対応するためのガバナンスが行き届かなかった場合、法令違反や腐敗・不正、誤った経営判断等が発生し、信頼や評判の損失に加え、当社グループの業績および財務状況に影響を及ぼす可能性があります。適正な組織構造の確立と明確化、コンプライアンスプログラムの実施に加え、文化や法律の違いに対応するために外部専門家などの助言を受けることで、地域に適応した透明性の高い経営を行い、リスクを管理しています。

 

14.人員不足に関するリスク

 当社グループでは、生産や営業などの事業活動を少人数で行うことによる事業キャパシティの低下や、後継者不在による重要な技術およびノウハウの継承が断絶することで、製品の供給安定性、競争力および業績に影響を及ぼす可能性があります。従業員エンゲージメント向上や採用活動の強化などの人事活動を適切に行うとともに、中長期的な経営戦略の中で人的資本投資を検討することで、リスクを適切に管理しています。

 

4【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1)経営成績等の状況の概要

 当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」と

いう。)の状況の概要は次のとおりであります。

 

①財政状態及び経営成績の状況

a.財政状態

 当連結会計年度末の資産合計は530億1千2百万円となり、前連結会計年度末に比べ21億3千3百万円減少いたしました。

 当連結会計年度末の負債合計は155億3千3百万円となり、前連結会計年度末に比べ28億3千7百万円減少いたしました。

 当連結会計年度末の純資産合計は374億7千9百万円となり、前連結会計年度末に比べ7億4百万円増加いたしました。

 

b.経営成績

  当連結会計年度の業績につきましては、化学品セグメント(化薬分野、化成品分野、電子材料分野、セラミック材料分野)とエンジニアリングサービスセグメントが好調に推移しました。しかしながら、化学品セグメントのシリコンウェーハ分野は顧客の生産・在庫調整の影響、ボトリングセグメントは生産数量減少の影響を受け減益となりました。販売好調な事業セグメント・分野においても、人件費・エネルギーコスト上昇等の影響を受け利益率が低下していることから、当連結会計年度の経営成績は、連結売上高は369億1千4百万円(前年同期比0.9%増)、連結営業利益は30億4千6百万円(前年同期比9.1%減)、連結経常利益は33億2千万円(前年同期比7.8%減)となりました。

  これらにより、親会社株主に帰属する当期純利益は25億7千万円(前年同期比1.1%減)となりました。

 

  当社は、2024年10月1日付で当社の連結子会社であった日本カーリット㈱、㈱シリコンテクノロジーを消滅会社とする吸収合併をしたことにより持株会社から事業会社へ移行しました。これに伴い管理区分の見直しを行い、従来「その他」に含めていた当社の財務情報を「化学品」に含めています。前連結会計年度の数値は、変更後の報告セグメントの区分に組み替えた数値で比較分析しています。

 

(参考)                                          (単位:百万円)

区  分

連 結 売 上 高

連 結 営 業 利 益

前 期

当 期

増減額

前 期

当 期

増減額

化学品

20,865

22,423

1,558

1,521

1,478

△42

ボトリング

5,150

4,524

△625

609

345

△264

金属加工

7,304

7,230

△73

461

508

47

エンジニアリング

サービス

4,346

4,411

65

818

822

3

小 計

37,666

38,590

924

3,410

3,154

△255

消去

△1,089

△1,675

△586

△58

△108

△49

合 計

36,577

36,914

337

3,352

3,046

△305

 

②キャッシュ・フローの状況

  当連結会計年度末における現金及び現金同等物は、47億6千8百万円となり、前連結会計年度末に比べて20億1千5百万円増加いたしました。各キャッシュ・フローの状況は次のとおりであります。

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)
 営業活動によるキャッシュ・フローは、46億9千6百万円の純収入(前年同期は21億5千5百万円の純収入)となりました。これは、主に収入として税金等調整前当期純利益40億8百万円、減価償却費17億8百万円、売上債権の減少27億8千4百万円、支出として仕入債務の減少16億4千5百万円、法人税等の支払額12億1千万円等によるものです。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)
 投資活動によるキャッシュ・フローは、9億9千1百万円の純支出(前年同期は13億7千3百万円の純支出)となりました。これは、主に固定資産の取得による支出31億8千6百万円、固定資産の除却による支出4億3千3百万円、投資有価証券の売却による収入23億3千1百万円、利息及び配当金の受取額2億6千8百万円等によるものです。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)
 財務活動によるキャッシュ・フローは、16億9千9百万円の純支出(前年同期は18億3千9百万円の純支出)となりました。これは、主に借入金の減少額5億6千5百万円、配当金の支払額7億8千9百万円等によるものです。

 

③生産、受注及び販売の実績

a.生産実績

 当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

生産高(百万円)

前期比(%)

化学品

12,099

0.9

ボトリング

4,503

△12.3

金属加工

3,618

△0.3

エンジニアリングサービス

合計

20,221

△2.6

 (注)金額は、販売価格によっており、セグメント間の内部振替前の数値によっております。

 

b.受注実績

 当社グループは主として見込み生産によっているため記載すべき事項はありません。

c.販売実績

 当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

金額(百万円)

前期比(%)

化学品

21,692

7.3

ボトリング

4,524

△12.2

金属加工

7,079

△1.1

エンジニアリングサービス

3,618

△10.7

合計

36,914

0.9

 (注) 1.セグメント間の取引については相殺消去しております。

    2.当社は、2024年10月1日付で当社の連結子会社であった日本カーリット㈱及び㈱シリコンテクノロジーを消滅会社とする吸収合併をしたことにより持株会社から事業会社へ移行し、管理区分の見直しを行っております。これに伴い、当連結会計年度より従来「その他」に含めていた当社の財務情報を「化学品」に含めて記載する方法に変更しております。前期比は、組替後の数値により算定しております。

     3.主な相手先別の販売実績及び総販売実績に対する割合は、次のとおりであります。

相手先

前連結会計年度

当連結会計年度

金額(百万円)

割合(%)

金額(百万円)

割合(%)

㈱伊藤園

4,005

10.9

3,778

10.2

 

(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

 経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。

 文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末(2025年3月31日)現在において当社グループが判断したものであります。

 

①財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容

a.当社グループの当連結会計年度の財政状態及び経営成績

 1)財政状態

 (総資産)

 当連結会計年度末の総資産は530億1千2百万円となり、前連結会計年度末に比べ21億3千3百万円減少いたしました。

 資産の増減の主な内容は、投資有価証券の減少23億9千8百万円、受取手形、売掛金及び契約資産の減少23億9千3百万円、現金及び預金の増加20億2千4百万円、有形固定資産の増加3億6千6百万円等であります。

 流動資産は229億6百万円となり、前連結会計年度末に比べ6億1千1百万円減少いたしました。

 固定資産は301億5百万円となり、前連結会計年度末に比べ15億2千1百万円減少いたしました。

 

    (負債)

 当連結会計年度末の負債は155億3千3百万円となり、前連結会計年度末に比べ28億3千7百万円減少いたしました。

 負債の増減の主な内容は、支払手形及び買掛金の減少17億3百万円、繰延税金負債の減少11億3千1百万円、有利子負債の減少7億3千4百万円、未払法人税の増加6億6千7百万円等であります。

 流動負債は99億3千5百万円となり、前連結会計年度末に比べ12億1千3百万円減少いたしました。

 固定負債は55億9千7百万円となり、前連結会計年度末に比べ16億2千3百万円減少いたしました。

 

    (純資産)

 当連結会計年度末の純資産は374億7千9百万円となり、前連結会計年度末に比べ7億4百万円増加いたしました。

 純資産の増減の主な内容は、親会社株主に帰属する当期純利益の計上等による利益剰余金の増加17億7千9百万円、その他有価証券評価差額金の減少12億9千8百万円等であります。

 この結果、1株当たり純資産は、前連結会計年度末に比べて29.88円増加し1,590.20円となり、自己資本比率は前連結会計年度末の66.7%から70.7%となりました。

 株主資本は322億2千8百万円となり、前連結会計年度末に比べ17億7千9百万円増加いたしました。

 その他の包括利益累計額は52億5千1百万円となり、前連結会計年度末に比べ10億7千5百万円減少いたしました。

 

    2)経営成績

    (売上高)

 当連結会計年度の売上高は369億1千4百万円となり、前連結会計年度の365億7千7百万円から3億3千7百万円増加し、前年同期比0.9%増加いたしました。

 (売上原価、販売費及び一般管理費)

 当連結会計年度の売上原価は276億6千2百万円となり、前連結会計年度の270億7千5百万円から5億8千7百万円増加いたしました。売上に対する比率は74.9%となり、前年同期の74.0%から0.9ポイント増加いたしました。

 また、当連結会計年度の販売費及び一般管理費は62億5百万円となり、前連結会計年度の61億4千9百万円から5千5百万円増加いたしました。売上高に対する比率は16.8%となり、前年同期から微減いたしました。

 (親会社株主に帰属する当期純利益)

 当連結会計年度の営業利益は30億4千6百万円となり、前連結会計年度の33億5千2百万円から3億5百万円減少いたしました。当連結会計年度の営業外収益から営業外費用を差し引いた純額は2億7千3百万円の収益計上となり、前連結会計年度の2億4千8百万円の収益から2千5百万円増加いたしました。

 その結果、当連結会計年度の経常利益は33億2千万円となり、前連結会計年度の36億円から2億8千万円減少いたしました。

 当連結会計年度の特別利益から特別損失を差し引いた純額は6億8千7百万円の収益計上となり、前連結会計年度の1億6百万円の収益から5億8千万円増加いたしました。

 以上の結果、税金等調整前当期純利益は40億8百万円となり、前連結会計年度の37億7百万円から3億円増加いたしました。法人税、住民税及び事業税や法人税等調整額を差し引いた親会社株主に帰属する当期純利益は25億7千万円となり、前連結会計年度の25億9千8百万円から2千8百万円減少いたしました。

 

b.当社グループの経営成績に重要な影響を与える要因

 2025年度の世界経済は、米国による段階的な関税引き上げが下押し要因となり、緩やかな回復ペースにとどまると見通しています。自由貿易に対する逆風のなか、日欧では輸出市場における対中競争激化も輸出回復の重石になる予想です。また、中国の不動産不況に起因する内需低迷は継続する見込みです。

 2025年度の国内経済は、賃上げ機運の高まりを受けた個人消費の持ち直しが継続する見込みです。省力化等の投資需要も継続することで内需主導による緩やかな景気回復が期待されます。ただし、物価影響を除いた実質賃金の改善は鈍く力強い消費回復には至らないと予想しています。

 なお、国内外ともに米国政権交代ならびに関税政策による影響が懸念され、経済環境の不透明感が高まっています。上述の経済環境を踏まえ、各報告セグメントの今後の見通しは以下のとおりです。

 化学品セグメントは、半導体サイクルが回復基調であるものの、顧客の小口径シリコンウェーハの在庫消化が緩やかな進捗であるため、シリコンウェーハ分野の回復は2025年度下期以降に見込みます。一方、自動車向け製品や基礎化学品関連製品などの販売は前期同様に堅調に推移する見通しです。

 ボトリングセグメントは、2025年度に行う定期修繕工事に伴う費用が発生しますが、例年同様の費用規模となる想定であり、販売は堅調に推移する見通しです。

 金属加工セグメントおよびエンジニアリングサービスセグメントについては、国内経済動向にあわせ、前期同様堅調に推移すると予想しています。

 

c.経営方針、経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等

 当社は、2024年度を最終年度とする中期経営計画「Challenge2024」を策定し、経営方針として「事業ポートフォリオの最適化により企業価値の向上を目指す」を掲げ、「成長事業の加速化」「研究開発の拡充」「既存事業の収益性改善」「ESG経営の高度化」「事業インフラの再構築」という5つの戦略を推進してまいりました。これらに加え、経営環境の変化に柔軟に対応することで「Challenge2024」の達成をより確実にすることを目的にローリング方式にて中期経営計画の見直しを行い、「ローリングプラン2023」や「グローアッププラン2024」を策定してまいりました。

 今後は2025年3月に公表した新中期経営計画「Challenge2027」を推進し、引き続き企業価値の向上を目指してまいります。

 当社グループの経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標は、以下のとおりです。

 

 (中期経営計画「Challenge2027」より抜粋)

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d.セグメントごとの財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容

「化学品セグメント」

化薬分野 =増収減益

・産業用爆薬は、今期より適正価格が反映され、増収増益。

・自動車用緊急保安炎筒は、型式認証問題に伴う新車生産台数の減少の影響を受けたものの第4四半期で挽回を

 はかり、売上高はほぼ横ばい。しかし生産コスト増加の影響により、減益。

・高速道路用信号焔管は、自動車交通量等の変動は見られず需要は堅調に推移。また適正価格の反映が結実し、

 増収増益。

・煙火関連は、花火大会の増加等により需要が増え、増収増益。

 

受託評価分野 =増収増益

・各種研究開発市場の活況が継続し、危険性評価試験・電池試験ともに好調で増収。人件費やエネルギーコスト増

 の影響はあるものの大型特別試験の受注が増え、増益。

 

化成品分野 =増収増益

・塩素酸ナトリウムは、紙パルプ漂白用途の需要に対し安定した供給を進め、増収増益。

・過塩素酸アンモニウム(ロケット・防衛用推進薬原料)は、宇宙ロケット用途の販売が好調で、増収増益。

・電極は、酸素発生系電極の交換需要が好調に推移し、増収増益。

・過塩素酸は、国内主要ユーザーは堅調に推移したものの海外需要が低迷し、減収減益。

 

電子材料分野 =増収増益

・EV市場の成長鈍化の影響を受けるも、AIサーバー等の付随部品向け需要の好調により、増収増益。

 

セラミック材料分野 =増収増益

・国内砥石・研磨布紙メーカーの需要低迷が続くも、適正価格の維持と取り扱い品目の拡充および販売推進に

 より、増収増益。

 

シリコンウェーハ分野 =増収減益

・半導体市場低迷に端を発する顧客の在庫過多や生産調整が継続するも挽回をはかり、売上高は増収。しかし利益

 性の高い製品の販売が伸び悩み、減益。

 小口径ウェーハ市場の新規開拓とシェア拡大、既存製品群の生産性向上活動に引き続き注力していく。

 

これらの結果、当セグメント全体の売上高は224億2千3百万円(前年同期比 15億5千8百万円増、同 7.5%増)、営業利益は14億7千8百万円(前年同期比4千2百万円減 、同 2.8%減)となりました。

また資産は、前連結会計年度の485億7千9百万円から94億9千9百万円減の390億7千9百万円となりました。

 

「ボトリングセグメント」

・ペットボトル飲料は、第1四半期の定期修繕後の設備復旧の遅れ、および第3四半期の受注数量減少の影響に

 より、減収減益。

 

この結果、当セグメント全体の売上高は45億2千4百万円(前年同期比 6億2千5百万円減、同 12.2%減)、

営業利益は3億4千5百万円(前年同期比 2億6千4百万円減、同 43.3%減)となりました。

また資産は、前連結会計年度の58億1千6百万円から16億円減の42億1千5百万円となりました。

 

「金属加工セグメント」

・耐熱炉内用金物のアンカー、集じん機用リテーナは、販売が好調に推移し、増収増益。

・各種金属スプリングおよびプレス品は主要取引先(建設機械・自動車)の需要が落ち込み、減収減益。生産性

 向上、適正価格維持に向けた活動を継続する。

 

これらの結果、当セグメント全体の売上高は72億3千万円(前年同期比 7千3百万円減、同 1.0%減)、営業利益は5億8百万円(前年同期比 4千7百万円増、同 10.2%増)となりました。

また資産は、前連結会計年度の57億4千4百万円から2億1百万円減の55億4千2百万円なりました。

 

「エンジニアリングサービスセグメント」

・建築・設備工事は、外部工事獲得の競争環境激化が続いているものの設備工事の増加により、増収増益。

・塗料販売・塗装業務は、塗料・設備販売の好調により増収となったものの、利益性の高い塗装業務において

 建設機械向けの需要が落ち込み、減益。

・構造設計は、公共案件の獲得好調により増収増益。

 

これらの結果、当セグメント全体の売上高は44億1千1百万円(前年同期比 6千5百万円増、同1.5%増 )、

営業利益は8億2千2百万円(前年同期比 3百万円増、同 0.4%増)となりました。

また資産は、前連結会計年度の46億7千9百万円から5億4千2百万円増の52億2千1百万円となりました。

 

 

②キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報

  当社グループの当連結会計年度のキャッシュ・フローは、「(1)経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。

   当社グループの資本の財源及び資金の流動性

   当社グループの資金調達については安定的な事業運営を行うため、資本効率を高めつつ事業運営に必要な

   流動性と多様な調達手段を確保することとしています。

 

 

 

(契約債務)

 2025年3月31日現在の契約債務の概要は以下のとおりであります。

 

年度別要支払額(百万円)

契約債務

合計

1年以内

1年超3年以内

3年超5年以内

5年超

長期借入金

470

235

235

リース債務

809

149

651

8

 

(財務政策)

 当社グループは、営業活動から得られる自己資金、銀行等金融機関からの借入、増資などを資金の源泉としております。また、当社及び国内連結子会社間でキャッシュ・マネジメント・システム(CMS)を導入しており、各社の余剰資金を当社へ集中して一元管理を行うことで、資金の流動性の確保と資金効率の最適化に努めております。

 設備投資やM&Aなどに伴う長期的な資金需要については、資金需要が見込まれる時点で、内部留保に加え、金融機関からの長期借入(原則として5年以内)などを活用して対応しております。また、運転資金など短期の資金需要については、自己資金及び短期借入を充当しております。

 

③重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

 当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。これらの連結財務諸表の作成にあたり、開示すべき財政状態および経営成績の報告数値に影響を与える見積りや仮定設定を行わなければなりませんが、当社経営陣は、固定資産の減損会計、各種引当金の見積り計算、棚卸資産の評価、繰延税金資産の回収可能性等に関して継続してその妥当性の評価を行い、過去の実績や状況に基づき合理的な判断を行っております。

 連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものについては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載のとおりであります。

 当社グループの連結財務諸表で採用する重要な会計方針は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 (連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」に記載のとおりであります。

 

 

5【重要な契約等】

記載すべき重要な契約等はありません。

 

 

6【研究開発活動】

当連結会計年度の研究開発費の総額は847百万円となりました。

2024年10月1日付で当社の連結子会社でありました日本カーリット㈱および㈱シリコンテクノロジーを吸収合併したことに伴い、これまでの1研究所体制から、群馬研究所・赤城研究所・長野研究所の3研究所体制へと一新しました。これにより各研究所が相互に研究開発および技術を高め合い研鑽することで、より高次な研究開発を行える体制となりました。加えて研究開発本部内はもとより、営業部門や工場技術部門、その他関連部門と連携し研究開発業務の効率化を図ることにより、製品の早期上市と新事業の創出を加速しています。

また、株式会社カーリットの研究開発本部が中心となり、当社グループ会社の研究開発のサポート対応も引き続き行っています。当連結会計年度における研究開発活動の状況については以下のとおりです。

 

 

化学品セグメント:847百万円

当セグメントでは、群馬研究所で電極関連部材やコンデンサ関連材料、次世代機能性色素材料の研究開発を行いました。長野研究所ではカスタマイズウェーハの製品開発や、将来の通信高速化・省電力化に貢献するような半導体製品の研究開発を行いました。また、赤城研究所では宇宙・防衛分野向け固体推進薬の開発を、顧客と共同で進めています。

 

(中期経営計画「Challenge2027」より事業ポートフォリオにおける研究開発の考え方を抜粋)

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