第2【事業の状況】

1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

 文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであり、実際の業績等はこれらの見通しとは異なることがあります。

 

(1)「Value Frontier 2020 Stage2 中期経営計画2017-2020」の振り返り

 当連結会計年度が最終年度となる「Value Frontier 2020 Stage2 中期経営計画2017-2020」は、新型コロナウイルス感染拡大の影響により、最終年度の財務目標は未達成となりましたが、渋谷再開発や「東京ポートシティ竹芝」など大型プロジェクトの稼働による賃貸事業基盤の拡充や、再生可能エネルギー事業などインフラビジネスの成長、仲介・管理事業などノンアセット型事業の成長など、一定の成果を得ることができました。

 

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(2)長期ビジョン「GROUP VISION 2030」の策定について

 将来の長期的な経営環境について、新型コロナウイルスのパンデミックや急激なデジタル化の加速、脱炭素社会の進展、生活スタイルの多様化など、「VUCA※」といわれる不確実で先が読みにくい時代が続くものと認識しています。このような環境認識のもと、サステナブルな成長を実現するため、従来型の積み上げ型による計画ではなく、バックキャスト発想で10年後の当社グループのありたい姿を見定め、長期ビジョン「GROUP VISION 2030」の策定と理念体系の再整理を行いました。

※Volatility(変動性)、Uncertainty(不確実性)、Complexity(複雑性)、Ambiguity(曖昧性)の頭文字をつなげた言葉で、予測不可能な社会経済環境を指す。

 

① 長期ビジョンスローガン「WE ARE GREEN」について

 コーポレートカラーであるグリーンを基調に、当社グループの事業や人財の多様性をグラデーションで表し、多様なグリーンの力で、2030年にありたい姿を実現していく姿勢を表現しています。グリーンは環境への取り組みやサステナビリティの象徴であるとともに、当社グループがめざす「誰もが自分らしく、いきいきと輝ける未来」の象徴でもあります。「WE ARE GREEN」を旗印に、多様なグリーンの力を融合させ、魅力あふれる多彩なライフスタイルを創造していきます。

 

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② 理念体系

 当社グループの成り立ちを踏まえて理念体系を改めて再定義し、「ありたい姿」、「社会との約束」、「創業の精神」を規定いたしました。

 ありたい姿は、「価値を創造し続ける企業グループへ」を継続して掲げます。そして、魅力あふれる多彩なライフスタイルの創造を通じて、誰もが自分らしく、いきいきと輝ける未来を実現することが、社会的使命(ミッション)です。

 社会との約束では、6つのステークホルダーへの約束を定義しました。当社グループは、あらゆるステークホルダーの満足度の総和が企業価値になると考えています。

 

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③ マテリアリティ

 ありたい姿で規定した「誰もが自分らしく、いきいきと輝ける未来の実現」に向け、「個人」「社会」「環境」それぞれの未来の理想像を描き、それらを実現するための4つの取り組みテーマ「多彩なライフスタイルをつくる」、「ウェルビーイングな街と暮らしをつくる」、「サステナブルな環境をつくる」、「デジタル時代の価値をつくる」をマテリアリティとして定めています。

 上記の4つの事業基盤に関するマテリアリティに加え、「多様な人財が活きる組織風土をつくる」、「成長を加速するガバナンスをつくる」の経営基盤に関するマテリアリティの2つを設定し、当社グループがめざす未来を実現するために、6つのマテリアリティに取り組んでまいります。

 

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④ 「GROUP VISION 2030」の位置づけ

 「Value Frontier 2020 Stage2 中期経営計画2017-2020」において、一定の成果を得た一方で、現状の課題として4点を認識しております。順調な投資によるBS拡充の一方、新型コロナウイルス感染拡大の影響もあり収益水準が低下しており、BSマネジメントによる効率性向上と、強固な事業ポートフォリオ構築が課題です。管理運営の人手に頼った事業では、人手不足等の影響に左右されにくい体質へ転換するため、労働集約型からの脱却も重要な課題です。また、デジタル化など事業の高度化、複雑化への対応が急務であり、自前主義の脱却、人材育成に取り組む必要があります。

 4つの課題認識を踏まえ、2030年までの10年間のうち、前半期を「再構築フェーズ」として、アフターコロナの再成長に向けた稼ぐ力と効率性向上への取り組み期間とします。後半期では「強靭化フェーズ」として、新領域での事業育成など強固な事業基盤の確立を目指し、その後のサステナブルな成長につなげてまいります。

 

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(3)長期経営方針について

 「GROUP VISION 2030」では、現状の課題認識を踏まえ、長期視点であらゆる事業を見直すとともに、経営の羅針盤となる考え方を明確化することで、サステナブルな成長を実現してまいります。

 グループの特色を強みに変えるため、全社方針として、環境経営とDXに取り組み、また、関与アセット拡大モデルの進化のため、知的資産の活用とパートナー共創を進め、強固で独自性ある事業ポートフォリオを構築します。ROE向上、EPS成長、ひいては株主価値・企業価値の向上を実現します。

 

① 全社方針

 イ.環境経営

 環境ビジョンに基づき、脱炭素社会、循環型社会の実現に向けた「クリーンエネルギー普及など、すべての事業を通じた環境負荷低減」と、ライフスタイル「環境に寄与する快適な街と暮らしの創造」に取り組みます。

 気候変動に関する目標については、自社のCO2排出については2025年カーボンマイナスへの貢献を実現します。カーボンマイナスについては、当社グループの強みである再生可能エネルギー事業によるCO2削減量が自社のCO2排出量を上回ることでグループ全体の2025年度の実現をめざす、当社独自の目標となっております。また、サプライチェーンのスコープ3まで含めたCO2については、科学的根拠に基づく削減目標のSBT1.5℃の認定を取得し2030年に実現、2050年ネットゼロエミッション達成をめざします。2100年に気候変動を1.5℃に抑える「1.5℃目標」は、パリ協定において「努力目標」とされるハードルの高い目標設定ですが、強い決意を持って取り組み、環境の取組みについては業界をリードしていきたいと考えております。

 

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ロ.DX

 全社方針の「DX」では、3つの施策を推進します。

 ビジネスプロセスでは業務フローの電子化・業務自動化など、「省力化推進による創造的業務への転換」、CX(カスタマーエクスペリエンス)では、オンラインとオフラインの融合(いわゆるOMO)の推進など「顧客接点の高度化による感動体験の創出」、イノベーションでは「知的資産活用による新しい価値創造」を通じて、デジタル活用による事業の変革に取り組みます。

 当社グループは多くのBtoC事業を手掛けていることから豊富なお客さま接点を有しており、DXに取り組むことで新たな付加価値を提供できるものと考えております。BtoC事業を強みに変革するためにDXを推進いたします。

② 事業方針

 従来から「関与アセットの拡大」を方針とし、自社保有資産にとどまらないグループの関与アセット拡大による収益の伸長を図ってまいりました。この方針を踏襲しつつ、さらに進化させるために、「知的資産の活用」と「パートナー共創」を進め、強固な事業ウイングを構築いたします。

 「知的資産の活用」については、関与アセットから得られるノウハウやデータを蓄積し、それらを活用することで、付帯収益の拡大やノウハウを活用した新たな収益機会の獲得を目指してまいります。

 「パートナー共創」では、資金や知見などの外部リソースを積極的に活用していくことで、事業価値の最大化を図ってまいります。

 

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③ 重点戦略

 長期経営方針のターゲットとする2030年がどのような時代に変化していくか、個人・社会・環境認識を踏まえ、4つの重点戦略を策定し、事業の変革とサステナブルな成長を実現してまいります。

 

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④ 経営基盤の強化

 経営基盤の強化として、「財務資本戦略」、「人財・組織風土」、「ガバナンス」に取り組みます。

 財務資本戦略では、「資産のコントロール」と「負債・自己資本のコントロール」を通じて、財務規律を維持しながら、効率性を意識した利益成長を実現し、ROE向上およびEPS成長、ひいては株主価値・企業価値向上を目指します。

 「資産のコントロール」では、既存事業の効率性向上と事業ポートフォリオの最適化が課題です。既存事業の効率性向上の具体的な施策として、資産活用型事業においては、分譲事業、循環型再投資事業、高効率事業の拡大、大型開発プロジェクトの着実な稼働、外部資本活用やフィー収入の拡大、資産ポートフォリオ入替、低収益資産の売却などに取り組みます。人財活用型事業では、規模の成長とともに労働集約型からの脱却などにより効率性を向上します。

 「負債・自己資本のコントロール」では、財務規律を維持しながら、市況悪化時にも耐えうる財務基盤を構築し、円滑な資金調達を目的とした格付維持向上を図ります。今後、期間利益の積上げによりD/Eレシオを改善してまいります。

 また、株主還元は、成長再投資を通じたEPS成長を基本方針といたしますが、当面の方針として配当性向30%以上に引上げ、安定的な配当の維持継続に努めてまいります。

 以上の施策により、ROEを向上してまいります。当連結会計年度のROEはコロナ影響により3.7%と大きく落ち込みましたが、株主資本コストを意識するとROE8%が早期に到達すべき目標であると考えております。2020年代半ばまでにROE8%目標の達成をめざします。

 さらに事業ポートフォリオマネジメントに関しては、全事業共通の定量評価と定性評価を踏まえて、評価区分を決定しモニタリング、最適資源配分等を通じて、収益性と効率性の向上をめざします。全てのグループの事業を評価対象事業とし、細分化された事業単位で評価をいたします。

 

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⑤ 目標指標

 2030年度の目標指標は、マテリアリティごとにそれぞれのKPIを定めております。

 また財務指標としては、2030年度のありたい姿として、ROE10%以上、ROA5%以上、D/Eレシオ2.0倍以下、営業利益1,500億円以上、当期純利益750億円以上を参考指標として掲げました。なお、2030年度のありたい姿の具現化に向けて、「GROUP VISION 2030」に沿った中期経営計画を策定することとしております。

 

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(4)経営環境及び対処すべき課題

 長期経営方針の策定に伴い、事業セグメントの変更を行いました。人財と資産活用の観点から事業を分け、社会的役割の親和性が高い事業領域に区分してセグメントを管理していきます。旧来の7セグメントを4セグメントに集約再編しました。

 資産活用型事業として、都市開発事業セグメントは開発機能を発揮する事業が中心であり、戦略投資事業セグメントは、インフラ・インダストリーや海外事業、投資運用事業など、投資機能を発揮する事業が中心となります。

 人財活用型事業としては、ビジネスモデルの類似性から管理運営事業セグメントと不動産流通事業セグメントに区分します。

 

① 都市開発事業セグメント

 都市開発事業セグメントは、街のにぎわいを創出するとともに、地域課題の解決に貢献する複合開発を強化していきます。

 オフィス市場は、オフィス需要の減退が不安視される中、当社グループ保有物件における2021年3月末時点での空室率(オフィスビル・商業施設)は1.3%と、引き続き低水準を維持しております。オフィスビルの平均賃料についても、「東京ポートシティ竹芝オフィスタワー」の新規寄与等によって前期末から上昇しております。当社ポートフォリオにおいては、新型コロナウイルス感染拡大による空室率及び賃料の大きな悪化影響は見られませんが、オフィス市場は一般的に景気や企業業績に遅行する傾向にあるため、今後の新型コロナウイルスによる影響については、注視が必要です。また、リモートワークの普及により、働き方の多様化が加速する中、センターオフィスに加え、当社グループの多様なアセットを活用したワークスペースを展開しております。

 大型開発プロジェクトについては、当連結会計年度には当社グループ最大規模のオフィスビルである「東京ポートシティ竹芝オフィスタワー」が満室で稼働しております。当社グループの重点エリアである「広域渋谷圏」をはじめ、複数のプロジェクトが進行しております。

 商業施設については、新型コロナウイルス感染拡大の影響により、第1四半期は施設の休館等により大幅な売上減となりました。以降は短期的な浮沈を繰り返しているものの、全体的には施設売上は回復基調にあります。また、今回のパンデミックによって商業施設の在り方の変化が予想される中、従来型のテナントに加え、体験型テナントの誘致にも注力しております。

 分譲マンション市場は、新型コロナウイルス感染拡大の発生直後は、今後のマーケットは不透明でしたが、都心立地や利便性を重視する顧客志向、在宅勤務を契機とした住宅の質の改善、住宅ローン金利の低位安定等、購買環境が引き続き良好なこともあり、実需層を中心に新型コロナウイルス発生前の水準に回復しております。当社グループのマンション販売は堅調に推移しており、2021年度期初時点での分譲マンションの通期売上予想に対する契約済割合は54%となっております。また、新型コロナウイルス感染拡大による住まいに対するニーズは多様化しており、在宅勤務のニーズに対応するため、専有部内や共用部内にワーキングスペースを確保するなど、当社の幅広い事業領域を活かし、新しい日常の提案を行い、様々な社会課題の解決にグループ全体で取り組んでまいります。さらに建築工事費は、東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会関連の工事が一段落した一方で、慢性的な人工不足により工事金の高止まりは継続すると想定しております。

 2021年度の当セグメントにおいては、新規物件の取得環境が過熱する状況の中での厳選投資及び、(仮称)九段南一丁目プロジェクトや渋谷駅周辺では最大規模の開発となる渋谷駅桜丘口地区再開発計画など、開発中の大型プロジェクトの着実な推進が重点課題となっております。また、分譲マンションの完成在庫は827戸と、従来より高水準であるものの、市況は堅調に推移しており、引き続き着実に販売を進める方針です。

 

② 戦略投資事業セグメント

 戦略投資事業セグメントは、インフラ・インダストリー事業や海外投資事業等における戦略的な投資を行ってまいります。特にインフラ・インダストリー事業では、政府のエネルギー政策、産業構造の変化などを踏まえ、強みを活かした事業展開を加速させていきます。

 当社グループが、直近で最も資産規模を拡大させてきた再生可能エネルギー事業は、FIT価格によって売電収益が固定されており、景気変動等に対する影響が少なく、コロナ禍においても事業への影響はなく、稼働案件も着実に増やしており、安定的に収益に寄与する事業です。外部環境としては、政府が2030年度の電源構成において、再生可能エネルギーの割合を22~24%に成長させる方針に加え、2050年までに温室効果ガスの排出を0にする2050年カーボンニュートラルを掲げており、さらに2015年の東京証券取引所でのインフラファンド市場の開設以降は資産の流動性も高まっており、今後も市場が拡大していくと思われます。

 重点戦略として「環境関連ビジネスの強化」を掲げており、環境経営だけではなく、事業活動を通じて自然と共生・調和したまちづくりの実現をめざします。再生可能エネルギー事業の拡大では、洋上風力など発電源の拡大と電力の地産地消など再生可能エネルギーの活用を進めるほか、事業拡大を支える共創関係や仕組みの整備を推進していきます。

 物流施設は、EC市場の成長により底堅い需要が見込める環境であり、東急スポーツオアシスや東急ハンズ等のグループ連携により、他社との差別化を図りながら、循環型再投資として今後も関与アセットの拡大を行ってまいります。

 海外事業においては、日本国内同様、新型コロナウイルス感染拡大の影響を受けましたが、対象国を厳選した上で、外部資金の積極活用により関与資産を拡大、管理やアセットマネジメントなどのグループノウハウを活用した事業機会を創出するとともに、循環型再投資モデルの深化・発展を促進してまいります。

 

③ 管理運営事業セグメント

 管理運営事業セグメントは、生産性向上とデータに基づく付加価値の高いサービス展開を行い、労働集約型から知的資産集約型事業へ転換していきます。

 マンション管理やビル管理の管理事業における事業環境は、管理民営化の拡大や管理難易度が高い複合施設管理の増加、改修及びリフォーム需要の拡大等が追い風である一方、新規物件管理受注環境の悪化や、近年の働き方の多様化等による人材確保難等については、対応すべき課題として認識しております。また、新型コロナウイルスの感染拡大の影響による、今後のデジタル化の進化を含めた省人化技術の活用等については、注視及び対応が必要です。重点課題としては、管理業における収益性や将来性を考慮した上でのストック拡大戦略の実行、工事業においては当社グループのシナジーを最大限利用した営業強化を進める方針です。

 ウェルネス事業においては、これまでは高齢者人口の増加及び健康寿命延伸への注目度の向上や、2012年以降の訪日外国人の増加等、好調な事業環境が継続しておりました。しかし、新型コロナウイルス感染拡大により、需要が大きく減退し、特に東急ステイ、東急スポーツオアシス、ハーヴェストクラブ等が影響を大きく受けました。ワクチン普及等の好材料がある一方で、インバウンドの回復には時間を要するため、お客さまに安心してご利用いただけるよう感染症対策の徹底に努めながら、各施設の運営に注力するとともに、顧客体験価値向上を追求した国内需要の取り込み強化と、スマート運営の実現など運営効率向上及びコスト構造改革に引き続き取り組んでまいります。

 小売事業の東急ハンズにおいても、新型コロナウイルス感染拡大の影響を大きく受けました。「新しい生活様式」による生活スタイルの変化に対応するため、プライベート商品の開発やEC事業等の強化、さらに費用の削減等にも引き続き取り組んでまいります。

 当セグメントでは、お客さまとの豊富な接点とノウハウ・データを活かすことで、BtoC領域の各事業を知的資産集約型事業へ変革してまいります。オンラインとオフライン融合による体験価値の創出、OMOを推進し、蓄積されたノウハウ・データに基づくソリューション提案力を強化します。また、蓄積したノウハウを外部パートナー企業等へ提供することにより、新たな収益機会を獲得していきます。

 

④ 不動産流通事業セグメント

 不動産流通事業セグメントは、DX活用による自動化・省力化への取り組みや知的資産活用によりビジネスモデルを変革し、新たな収益機会を拡大してまいります。

 仲介事業における事業環境は、新築分譲マンション市場の縮小により中古住宅市場の拡大が見込まれる一方で、長期的にはITの進化等による事業構造の変化への注視が必要と認識しております。新型コロナウイルス感染拡大により不動産流通市場の悪化懸念がありましたが、リテール・ホールセールともに新型コロナウイルス発生前までの水準に回復しております。今後はDX活用による営業活動の効率化や、リテール部門における取引件数の更なる積み上げ、ホールセール部門における事業領域の拡大を目的とした法人戦略の強化等を重点課題として考えております。

 

⑤ サステナビリティ戦略について

 E(環境)の分野においては、RE100への加盟やTCFDの提言への賛同を行い、気候変動についてのシナリオ分析に基づくリスクと事業機会の検証を実施しています。東急不動産は、2019年4月に不動産業では初となるRE100に加盟し、さらにRE100の達成目標を当初の2050年から2025年に大幅に前倒ししました。そして2021年4月から、「渋谷ソラスタ」を含む本社事業所及び「広域渋谷圏」のオフィスビル・商業施設の計17施設で使用する電力の再生可能エネルギーへの切り替えをスタートいたしました。当社グループは、今後も再生可能エネルギー事業への取り組みを通じ、サステナブルな社会の実現に取り組んでまいります。

 S(社会)の分野では、働き方改革の推進に加え、2019年度に「東急不動産ホールディングスグループ 人権方針」及び「東急不動産ホールディングス サステナブル調達方針」の策定を行いました。当社グループでは、2013年のホールディングス化以降、社会とともに、当社グループの持続的な成長を実現するため取り組みを進めています。

 G(ガバナンス)の分野では、サステナブルな成長に資するガバナンス体制へ継続的に改善しております。指名・報酬委員会の設置や、取締役会の実効性についての第三者評価を実施している他、2021年度より、独立社外取締役を2名増員し、比率が40%となりました。今後も適宜見直しを進め、2022年度移行が計画されているプライム市場創設に対応し、相応しい体制を構築してまいります。

 取り組みの社外評価として、GPIFが採用するESG銘柄全てに選定されているほか、ダウ・ジョーンズなど主要なESGインデックスに組み入れられており、高い評価を得ています。当連結会計年度は、GRESBについても初参加でGreen Starを獲得、さらに健康経営銘柄についても2期連続で選定を受けました。また、当社グループの拠点である「渋谷ソラスタ」が、健康・快適性に配慮した建物・室内環境評価システムであるWELL認証を国内デベロッパーで初めて取得しました。当社は引き続き、グループ全体でサステナブルな成長に向けて取り組みを進めてまいります。

 

2【事業等のリスク】

 当社グループの経営成績、財政状態等に関する事項のうち、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項には以下のようなものがあります。

 なお、文中の将来に関する事項は、有価証券報告書提出日現在において当社グループが判断したものであり、実際の業績等はこれらの見通しとは異なることがあります。

 

(1)経営に重要な影響を及ぼすと想定されるリスク

 当社グループでは、「リスク管理基本規程」において、グループ各社の経営目標の達成を阻害する事象として7つの個別リスク(投資リスク、財務資本リスク、人事労務リスク、法務コンプライアンスリスク、IT戦略リスク・デジタル戦略リスク、情報セキュリティリスク、危機管理対応)を定め、加えて、重要性の高い新たなリスクとして気候変動リスクを重要リスクとして認識しております。

 また「GROUP VISION 2030」において定めた6つのマテリアリティについて、機会及びリスクと、それに関連する重要リスクの特定を行いました。

 

マテリアリティ

主な機会とリスク

(○機会、●リスク)

主な変動要因

重要リスク

多彩なライフスタイルをつくる

○あらゆる生活シーンの融合
●消費者ニーズとのミスマッチ

・景気動向、不動産市況

・競合企業動向

・金融市場(金利、株価)

・消費者動向

投資リスク
財務資本リスク

ウェルビーイングな街と暮らしをつくる

○コミュニティ形成の重要性増大
○防災・減災ニーズの高まり
●都市間競争における劣後
●資産の維持管理不足により価値低下

サステナブルな環境をつくる

○脱炭素・循環型社会への対応ニーズ拡大
●気候変動・災害激甚化
●環境規制強化等によるコスト増

・移行リスク:炭素税など法規制の厳格化等

・物理リスク:建物被害や気温上昇による施設運営影響等

気候変動リスク

デジタル時代の価値をつくる

○toC接点活用の重要性増大
●既存事業のディスラプター出現

・デジタル技術・企業等の動向

IT戦略リスク・

デジタル戦略リスク

多様な人財が活きる組織風土をつくる

○多様な人財によるイノベーション創発
●人材獲得市場における競争激化

・人材の確保、育成

・長時間労働

人事労務リスク

成長を加速するガバナンスをつくる

○透明性向上によるステークホルダーとの関係強化
●法令違反、セキュリティ体制等不備による損失、信用低下

・サイバー攻撃

・安全対策、BCPの不備

・役職員の不正、法令違反

・取締役会の実効性

情報セキュリティリスク
危機管理対応
法務コンプライアンスリスク

 

 なお、これらのリスクが顕在化する可能性の程度や時期、顕在化した場合に当社グループの経営成績及び財務状況等に与える影響の定量的な内容については、合理的な予見が困難であるため記載しておりません。

 各リスクについての考え方は以下のとおりとなります。

 

① 投資リスク

 当社グループの事業の中で投資を伴う資産活用型の事業である都市開発事業セグメント、戦略投資事業セグメント等においては、国内外の景気動向や企業業績、個人消費動向、不動産市況、競合環境、政府や日本銀行の政策変更、東京都心を中心とした事業エリアの状況等の影響を受けやすい傾向があり、これらにより各事業における利益率の低下や収益性の悪化、保有資産の価値が下落する可能性があります。

 当該リスクについては当社のグループ経営企画部を主管部署とし、投資対象アセットごとのリスクファクターを定めた上でVaR値を算出、継続的なモニタリングを行うことでリスク量の管理を行っております。

② 財務資本リスク

 当社グループでは不動産の開発資金等を自己資本及び、金融機関からの借入金や社債発行による資金調達等で対応しております。今後金利が上昇した場合や株価が著しく下落した場合には、経営成績及び財務状況等に対して大きな影響を与える可能性があります。

 金融機関等からの資金調達については、金利変動による影響を軽減するため、有利子負債の大部分を長期による借入とし、さらに金融情勢を踏まえながら一部のプロジェクト融資以外については大部分の金利を固定化し、今後金利が上昇した場合の経営成績に与える影響を最小限に抑える取り組みを行っております。なお、当連結会計年度末の有利子負債における長期比率は97.0%、固定比率は93.6%です。また、当社のグループ財務部を主管部署とし、金融市場の動向分析及び金利上昇時の当社への影響の定量的なシミュレーションを行っております。

 自己資本については、資本市場の動向分析を行うとともに、IR活動による株主・投資家との対話内容の取締役会等へのフィードバック等を実施しており、引き続き株価の適正化を図ってまいります。

 

③ 気候変動リスク

 当社グループでは1998年に定めた環境ビジョンに基づき、事業活動を通じて、継続的に環境課題への取り組みを推進しており、中でも気候変動については重要な課題であると認識しています。気候変動における移行リスクと物理リスクは、当社グループの事業への影響を及ぼす可能性があります。移行リスクとしては、炭素税など法規制の厳格化といった政策動向の変化、低炭素社会に対応できない企業に対する需要低下やレピュテーション悪化、物理リスクとしては、地球温暖化による降雪量減少によるスキー場運営事業への影響や、異常気象の激甚化による建物被害や工事期間の延長によるコスト増などが想定され、事業へ悪影響を及ぼす可能性があります。

 当該リスクについては、当社のグループ経営企画部サステナビリティ推進室を主管部署とし、事業部門と協働してグループ横断的に取り組んでいます。取り組みの内容についてはサステナビリティ委員会で審議・協議し、必要に応じて取締役会に報告しています。また、当社は「TCFD(気候関連財務情報開示タスクフォース)提言」に2019年より賛同し、その取り組みについて議論する「TCFDコンソーシアム」にも参加しております。気候変動の事業へのリスクと機会の検証については、「1.5℃」「3℃」「4℃」の複数シナリオについて検証を実施しております。

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 さらに、「GROUP VISION2030」では環境経営を全社方針に位置付けました。気候変動に関する目標として、当社グループの強みである再生可能エネルギー事業によるCO2削減量が、自社のCO2排出量を上回るという、当社グループ独自のカーボンマイナスの実現を目指します。また、当社グループは2021年5月に国内デベロッパー初となるSBT認定1.5℃水準を取得しました。パリ協定で努力目標とされる高水準の1.5℃目標でのCO2削減を目指し、2030年度には、2019年度比で46.2%のCO2削減を目標としております。

 

④ IT戦略リスク・デジタル戦略リスク

 当社グループ及び社会を取り巻くIT環境は目覚ましく進化しており、技術革新や顧客需要の変化に対して当社グループが適切かつ迅速に対応できなかった場合には、将来的に当社グループの経営成績及び財務状況等に影響を及ぼす可能性があります。

 当該リスクについては当社のグループIT戦略部及びグループDX推進部を主管部署とし、新規技術の各事業への応用可能性等を検討しております。

 さらに、「GROUP VISION2030」においてはDXを全社方針と位置付け、3つの施策を推進します。まず、ビジネスプロセスでは業務フローの電子化・業務自動化などの「省力化推進による創造的業務への転換」、CX(カスタマーエクスペリエンス)では、オンラインとオフラインの融合(いわゆるOMO)の推進などの「顧客接点の高度化による感動体験の創出」、イノベーションでは「知的資産活用による新しい価値創造」を通じて、デジタル活用による事業の変革に取り組みます。当社グループは多くのBtoC事業を手掛けていることから豊富なお客さま接点を有しており、DXに取り組むことで新たな付加価値を提供できるものと考えております。BtoC事業を強みに変革するためにDXを推進いたします。

 

⑤ 人事労務リスク

 当社グループでは専門性の高い人財を強みの1つと認識しております。しかし、昨今の少子高齢化等の社会構造変化により人財の継続的な確保や育成が達成出来ない場合、当社グループの成長を阻害する大きな要因となる可能性があります。

 当該リスクについては当社のグループ人事部を主管部署とし、長時間労働の削減や有給休暇の取得奨励はもちろん、テレワークや在宅勤務制度等、社員の多様な働き方に対応した施策で、従業員に選ばれる企業を目指しております。なお、このような取り組みが評価され、経済産業省及び東京証券取引所が、従業員の健康管理を経営的な視点で考え、戦略的に取り組む上場企業を選定する「健康経営銘柄2021」に2期連続で選定されました。

 「GROUP VISION2030」においては人財と組織風土は経営基盤強化のテーマの1つとなっています。グループの変革・成長を実現するために最重要でありながら、外部から見えない資本が人財と組織風土であり、創業の精神である「挑戦するDNA」を継承し、一体感あるイノベーティブな組織風土の醸成を目指します。

 

⑥ 情報セキュリティリスク

 当社グループでは、都市開発事業セグメントや管理運営事業セグメント、不動産流通事業セグメント等において多くのお客さまの個人情報を取り扱っております。サイバー攻撃や当社グループ従業員によって情報漏洩が発生した場合、当社グループの社会的信用やブランドイメージの低下、当社グループの経営成績及び財務状況等に影響を及ぼす可能性があります。

 当該リスクについては当社のグループ総務部及びグループIT戦略部を主管部署とし、セキュリティ対策等による情報システムの強化や、標的型攻撃メール訓練等の研修実施による社員のリテラシー向上施策を行っております。

 

⑦ 危機管理対応

 国内外の地震、暴風雨、洪水その他の天災地変、テロ、事故、火災、疫病その他の人災等が発生した場合や、環境問題、不動産の瑕疵が判明した場合又は人口の変動が極端に進んだ場合等には、保有資産の毀損や補償の義務履行等に関連して紛争が発生する等、当社グループの業績や財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 当該リスクについては当社のグループ総務部を主管部署とし、災害等発生時に必要となる安全対策やBCPの整備や、各種災害を想定した訓練の実施により、影響を最小限に抑えるべく取り組みを行っております。

 

 なお、前連結会計年度以降、新型コロナウイルスの感染拡大が当社の業績に大きな影響を及ぼしています。当社グループでは、政府や自治体からの要請等も踏まえ、商業施設・運営施設・営業店舗の臨時休業や営業時間の短縮、従業員の在宅勤務等、感染拡大防止に努めております。

 

⑧ 法務コンプライアンスリスク

 当社グループの社員や事業活動において、法令等に抵触する事態が発生した場合や、発生した損害に対する賠償金の支払い等が必要となる場合には、当社グループの社会的信用やブランドイメージの低下、当社グループの経営成績及び財務状況等に影響を及ぼす可能性があります。

 当該リスクについては当社のグループ法務部を主管部署とし、コンプライアンスを実現するための活動計画(コンプライアンス・プログラム)の策定・推進など、グループ各社においてコンプライアンス体制を構築し、コンプライアンス経営の徹底に努めております。具体的には、東急不動産ホールディングスグループの全役員及び従業員の行動の規範となる「東急不動産ホールディングスグループ行動基準」を定めるとともに、その理解・実践のための具体的マニュアルとして、「東急不動産ホールディングスグループ コンプライアンスマニュアル」を策定し、定期的に研修などを行うことで、全役員及び従業員に対しコンプライアンスの周知・徹底を図っています。

 

(2)リスク管理体制

 リスク管理についてはグループ経営会議、取締役会を通じて運用するとともに、リスクマネジメント委員会において、当社グループ各社が担うリスクマネジメントを統括的に管理しています(下記体制図参照)。当社内に個別リスクを主管する部署を定め、当該部署においてグループにおけるリスク管理体制及び運用状況を把握・評価・分析しています。

 また、内部監査により、リスク管理体制及びリスク管理業務の十分性を確認するとともに、重大リスクに関する監査を優先度に応じて計画的に実施しています。

 緊急かつ重大な損失の危険が発生・発見された場合は、「緊急時対応基本規程」に基づき適切な情報伝達及び意思決定を行い、被害を最小限にとどめるなどの的確な対応を行っています。

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※1 インシデント:発生した、又は発生しかねない状況にある事件・事故・災害のこと

※2 東急不動産ホールディングス、東急不動産の各ユニット(都市、住宅、戦略、ウェルネス)、東急コミュニティー、東急リバブル、東急ハンズ、東急住宅リース、学生情報センター、石勝エクステリアが含まれます

 

3【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1)経営成績等の状況の概要

 当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。

 なお、当連結会計年度の決算数値は、変更前のセグメント区分で記載しています。

 

① 財政状態及び経営成績の状況

財政状態

 当連結会計年度末の資産残高は2兆6,523億円となりました。資産の部では、販売用不動産の増加や開発中のプロジェクトの進捗による固定資産の増加等から、前連結会計年度末から合計1,649億円増加しました。当連結会計年度末の負債残高については2兆436億円となり、有利子負債の増加等から前連結会計年度末から合計1,504億円増加しております。当連結会計年度末の純資産残高については6,087億円となり、利益剰余金等の増加により、前連結会計年度末から合計145億円増加しております。

 

経営成績

 当連結会計年度のわが国経済は、新型コロナウイルス感染拡大に伴い、2020年4月に日本国内で緊急事態宣言が発出され、外出自粛や訪日外国人の大幅な減少等により、経済活動が制限され甚大な影響を受けました。緊急事態宣言の解除に伴い、経済は持ち直しつつありましたが、引き続き外出を控える動きや渡航制限、さらには感染の再拡大に伴う2021年1月の緊急事態宣言の再発出等、終息時期の見通しが立たない中、経済全体の先行きは現在も不透明な状況が続いています。

 こうした環境下で、当社グループにおいては、主に第1四半期連結会計期間中は商業施設・運営施設・営業店舗の臨時休業や営業時間の短縮等により、全セグメントの事業活動に大きな制約が生じました。緊急事態宣言解除後は、順次営業を再開し、第2四半期連結会計期間以降、政府による各種政策等により、業績は回復基調にあるものの、新型コロナウイルス感染再拡大による外出を控える動き等、影響が続きました。

 当連結会計年度の業績は、都市事業は開発プロジェクトの新規稼働、投資家向けのビル等売却収益の増加、再生可能エネルギー事業の稼働案件の増加等により増収増益となったものの、ウェルネス事業やハンズ事業を中心に新型コロナウイルス感染拡大による影響を受け、売上高9,077億円(対前期△5.8%)、営業利益565億円(同△28.7%)、経常利益466億円(同△31.0%)、特別損失として新型コロナウイルス感染症による損失等を計上し、親会社株主に帰属する当期純利益217億円(同△43.9%)で減収減益となりました。

 

 

 

 

(単位:億円)

 

当期

比較

売上高

9,632

9,077

△555

営業利益

793

565

△228

経常利益

675

466

△209

親会社株主に帰属する当期純利益

386

217

△169

 

 

 

 

有利子負債

13,610

14,788

1,177

 

<セグメント別業績>

売上高

 

(単位:億円)

 

営業利益

 

(単位:億円)

 

当期

比較

 

 

当期

比較

合計

9,632

9,077

△555

 

合計

793

565

△228

都市

2,926

3,049

123

 

都市

525

550

25

住宅

1,363

1,463

100

 

住宅

85

84

△1

管理

1,908

1,848

△60

 

管理

87

66

△21

仲介

1,314

1,284

△30

 

仲介

152

123

△29

ウェルネス

1,145

876

△268

 

ウェルネス

35

△114

△149

ハンズ

966

632

△334

 

ハンズ

2

△44

△47

次世代・関連

352

167

△186

 

次世代・関連

△14

△28

△14

全社・消去

△343

△242

101

 

全社・消去

△81

△73

8

 

イ.都市事業

 売上高は3,049億円(対前期+4.2%)、営業利益は550億円(同+4.7%)となりました。

 第1四半期連結会計期間は、新型コロナウイルス感染拡大に伴う緊急事態宣言を受け、東急プラザを始めとする当社グループの主要な商業施設において休館し、それに伴い一部のテナントに対してテナント支援のための賃料減免を実施しました。緊急事態宣言解除後も営業時間の短縮や、新型コロナウイルス感染拡大による外出を控える動きが長期化する等、第2四半期連結会計期間以降においても事業活動に影響を受けましたが、開発プロジェクトの新規稼働、投資家向けビル等売却収益の増加、再生可能エネルギー事業の稼働案件の増加等により増収増益となりました。

 テレワーク等の働き方の多様化によるオフィスビル需要縮小等が懸念されておりますが、空室率(オフィスビル・商業施設)は1.3%と低水準を維持しております。

 なお、新規開業物件の「東京ポートシティ竹芝オフィスタワー」(東京都港区)は、2020年9月に満室で開業しました。また、再生可能エネルギー事業は稼働施設が計画通り増加する等、順調な進捗となっております。

(単位:億円)

 

当期

比較

 

通期予想

(11月9日公表)

対予想

売上高

2,926

3,049

123

 

3,000

49

営業利益

525

550

25

 

500

50

 

売上高内訳

 

 

(単位:億円)

 

 

比較

 

賃貸(オフィスビル)

405

461

57

 

賃貸(商業施設)

429

376

△53

 

資産運用等

1,123

1,297

174

(投資家向けのビル等売却、資産運用事業、

再生可能エネルギー事業、物流施設事業等)

住宅賃貸等

969

915

△54

 

 

賃貸床面積・空室率(オフィスビル・商業施設)

 

2018年3月期末

2019年3月期末

2020年3月期末

2021年3月期末

賃貸床面積(㎡)

910,774

883,975

920,935

1,003,926

空室率

0.5%

0.4%

0.6%

1.3%

 

再生可能エネルギー発電施設

 

2019年3月期末

2020年3月期末

2021年3月期末

稼働施設数(件)

16

30

38

定格容量(MW)

246

487

730

※定格容量は、稼働済み発電施設の持分換算前の容量を記載しております。

 

ロ.住宅事業

 売上高は1,463億円(対前期+7.3%)、営業利益は84億円(同△1.3%)となりました。

 分譲マンションの計上戸数の増加等により増収の一方、販売費用の増加等により減益となりました。販売については堅調に推移しており、マンションの次期売上予想に対する契約済み割合は54%(+4P)となっております。

 なお、当期において分譲マンションは「ブランズタワー大船」(神奈川県横浜市)、「コスギ サード アヴェニュー ザ・レジデンス」(神奈川県川崎市)、「ブランズシティあざみ野」(神奈川県横浜市)、「ブランズシティ蓮田」(埼玉県蓮田市)等を計上いたしました。

 

(単位:億円)

 

 

当期

比較

 

通期予想

(11月9日公表)

対予想

売上高

1,363

1,463

100

 

1,400

63

営業利益

85

84

△1

 

55

29

 

売上高内訳

(単位:億円)

 

 

当期

比較

マンション

1,680戸

961

1,777戸

1,060

99

戸建

17戸

7

△7

その他

396

403

7

 

 

供給販売戸数

 

 

 

前期

当期

完成在庫数

新規供給

契約戸数

新規供給

契約戸数

2020年3月期末

2021年3月期末

マンション

2,260戸

2,008戸

1,797戸

1,767戸

453戸

827戸

戸建

9戸

16戸

※完成在庫数は、未供給住戸を含んで記載しております。

 

ハ.管理事業

 売上高は1,848億円(対前期△3.1%)、営業利益は66億円(同△24.2%)となりました。

 ビル管理業務は、「渋谷フクラス」、「渋谷ソラスタ」、「渋谷スクランブルスクエア第Ⅰ期(東棟)」、「東京ポートシティ竹芝オフィスタワー」等が寄与した一方で、新型コロナウイルス感染拡大による営業活動の自粛に伴う工事受注減や前年の大型ビル工事の反動等工事の減により、減収減益となりました。なお、当期より㈱東急ホームズの新築工事請負事業は、次世代・関連事業セグメントから移管されており、下記売上高内訳では「マンション」に含まれております。

 また、2021年3月末のマンション管理ストックは840千戸(うち総合管理戸数526千戸)となっております。

 

(単位:億円)

 

 

前期

当期

比較

 

通期予想

(11月9日公表)

対予想

売上高

1,908

1,848

△60

 

1,850

△2

営業利益

87

66

△21

 

60

6

 

売上高内訳

 

 

(単位:億円)

 

比較

マンション

1,258

1,227

△31

ビル等

650

621

△29

 

期末管理物件数

 

 

 

 

 

2018年3月期末

2019年3月期末

2020年3月期末

2021年3月期末

マンション(戸)

822,231

831,684

829,533

839,891

ビル (件)

1,500

1,540

1,561

1,532

 

ニ.仲介事業

 売上高は1,284億円(対前期△2.3%)、営業利益は123億円(同△19.1%)となりました。

 東急リバブル㈱における売買仲介は、第1四半期連結会計期間の新型コロナウイルス感染拡大に伴う、店舗の休業や営業時間短縮等による取引件数の減少で減収、前期における不動産販売の高利益率物件売却の反動減等により、減益となりました。

 なお、不動産流通市場は回復基調にあり、第4四半期連結会計期間は売買仲介のリテール部門・ホールセール部門ともに前年を上回る取引件数となっています。

 

(単位:億円)

 

 

当期

比較

 

通期予想

(11月9日公表)

対予想

売上高

1,314

1,284

△30

 

1,200

84

営業利益

152

123

△29

 

95

28

 

 

売上高内訳

 

 

(単位:億円)

 

比較

売買仲介

598

556

△42

販売受託

33

40

7

不動産販売

664

668

4

その他

20

21

1

 

ホ.ウェルネス事業

 売上高は876億円(対前期△23.4%)、営業損失は114億円となりました。

 当セグメントは、新型コロナウイルス感染拡大の影響を最も大きく受けました。第1四半期連結会計期間においては、東急ステイ、東急スポーツオアシス、ハーヴェストクラブ等の運営施設の休業、営業時間の短縮や需要の減退等がありました。第2四半期連結会計期間以降は、回復基調にあるものの、新型コロナウイルス感染拡大による外出を控える動きが長期化、また第4四半期連結会計期間は、緊急事態宣言の再発出により、スキー、東急ステイ、東急スポーツオアシス等の需要の減退等、減収減益となりました。

 リゾートホテルの新規施設として、2020年11月に「nol kyoto sanjo」(京都府京都市)が開業しました。また、シニア住宅の新規施設として、2020年7月に「グランクレール芝浦」(東京都港区)、9月に「グランクレール立川」(東京都立川市)が開業、9月に「光が丘パークヴィラ」(東京都練馬区)の増築工事が完成し、サービスを開始いたしました。

 またホテル事業は、「デイユースプラン」や「ワーケーションプラン」等の国内需要の取り込み強化や、スマートチェックイン等の省人化による費用削減等、収益構造の見直しを図っております。

 

(単位:億円)

 

 

当期

比較

 

通期予想

(11月9日公表)

対予想

売上高

1,145

876

△268

 

900

△24

営業利益

35

△114

△149

 

△125

11

 

売上高内訳

 

 

(単位:億円)

 

 

比較

 

リゾート運営

418

307

△111

(ゴルフ場、ハーヴェストクラブ、スキー場、

リゾートホテル等)

オアシス

187

138

△49

(フィットネスクラブ等)

シニア住宅

97

95

△2

 

東急ステイ

143

56

△86

(都市型ホテル)

福利厚生代行

101

98

△3

 

販売

110

111

2

 

その他

90

70

△20

 

 

ヘ.ハンズ事業

 売上高は632億円(対前期△34.6%)、営業損失は44億円となりました。

 第1四半期連結会計期間においては、新型コロナウイルスの感染拡大に伴う店舗の休業や営業時間の短縮等の影響を受けました。第2四半期連結会計期間以降は、回復基調にあるものの、引き続き店舗の営業時間の短縮や、新型コロナウイルス感染拡大による外出を控える動きが長期化、また第4四半期連結会計期間は、緊急事態宣言の再発出により、全国的な客数減少等が影響し、減収減益となりました。なお「新しい生活様式」による生活スタイルの変化に対応するため、EC事業等の強化の他、営業費用の削減等にも取り組んでいます。

 店舗編成の見直しに伴い、「東急ハンズ三宮店」(兵庫県神戸市)の閉店等、低収益店舗の整理を行いました。一方で新規店舗として、2020年9月「ハンズビーグランエミオ所沢店」(埼玉県所沢市)、2020年11月フランチャイズ形態の「東急ハンズ宮崎店」(宮崎県宮崎市)と、より好立地へのリプレイスを行った「東急ハンズ心斎橋店」(大阪府大阪市)が開業いたしました。

 

(単位:億円)

 

 

当期

比較

 

通期予想

(11月9日公表)

対予想

売上高

966

632

△334

 

700

△68

営業利益

2

△44

△47

 

△35

△9

 

ト.次世代・関連事業

 売上高は167億円(対前期△52.7%)、営業損失は28億円となりました。

 海外事業では、インドネシアの分譲マンション「BRANZ SIMATUPANG」や「BRANZ BSD」等の計上戸数減等により、減収減益となりました。国内同様、新型コロナウイルスの感染拡大に伴い、マンションギャラリーを一時営業休止、営業再開後も来場制限を行う等、事業活動に影響を受けております。

 なお、東急ホームズの注文住宅事業は前期をもって終了し、新築工事請負事業は当期より管理事業セグメントに移管しております。

 

(単位:億円)

 

 

前期

当期

比較

 

通期予想

(11月9日公表)

対予想

売上高

352

167

△186

 

150

17

営業利益

△14

△28

△14

 

△35

7

 

売上高内訳

 

 

(単位:億円)

 

比較

注文住宅

86

△86

造園建設

134

121

△13

海外事業等

133

46

△87

 

② キャッシュ・フローの状況

 当連結会計年度末における現金及び現金同等物の残高は1,895億円となり、前連結会計年度末と比較して925億円の増加となりました。

 当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりです。

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

 営業活動によるキャッシュ・フローは、法人税等の支払△123億円により資金減少の一方、税金等調整前当期純利益418億円、減価償却費398億円等による資金増加により、1,004億円の資金増加となりました。

(投資活動におけるキャッシュ・フロー)

 投資活動によるキャッシュ・フローは、有価証券及び投資有価証券の売却及び償還270億円等の資金増加の一方、固定資産の取得△1,003億円、有価証券及び投資有価証券の取得△404億円等により、△1,160億円の資金減少となりました。

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

 財務活動によるキャッシュ・フローは、長期借入金の返済△1,141億円、コマーシャル・ペーパーの減少△900億円、社債の償還△200億円等による資金減少の一方、長期借入金の調達2,496億円、社債の発行900億円等により、1,083億円の資金増加となりました。

 

③ 生産、受注及び販売の実績

 生産、受注及び販売の実績については、「① 財政状態及び経営成績の状況」における各セグメント業績に関連付けて示しております。

 

(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

 経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであり、実際の業績等はこれらの見通しとは異なることがあります。

 

① 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

 連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものについては、第5 経理の状況 1連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)に記載のとおりであります。

 

② 経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容

イ.財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容

 当連結会計年度のわが国経済は、新型コロナウイルス感染拡大に伴い、2020年4月に日本国内で緊急事態宣言が発出され、外出自粛や訪日外国人の大幅な減少等により、経済活動が制限され甚大な影響を受けました。緊急事態宣言の解除に伴い、経済は持ち直しつつありましたが、引き続き外出を控える動きや渡航制限、さらには感染の再拡大に伴う2021年1月の緊急事態宣言の再発出等、終息時期の見通しが立たない中、経済全体の先行きは現在も不透明な状況が続いています。

 こうした環境下で、当社グループにおいては、主に第1四半期連結会計期間中は商業施設・運営施設・営業店舗の臨時休業や営業時間の短縮等により、全セグメントの事業活動に大きな制約が生じました。緊急事態宣言解除後は、順次営業を再開し、第2四半期連結会計期間以降、政府による各種政策等により、業績は回復基調にあるものの、新型コロナウイルス感染再拡大による外出を控える動き等、影響が続きました。

 不動産業におきましては、オフィス市場は、テレワーク等の普及によりオフィス需要の減退が不安視されておりましたが、当社ポートフォリオにおいては空室率及び賃料に大きな影響は見られていないものの、引き続き企業業績の動向には注視が必要です。投資家向け売買マーケット市場では、アセットによる濃淡はあるものの、買主の旺盛な需要や低金利を背景に売買マーケットの活況は継続しております。市況の変動に十分注視が必要ですが、当社グループではBSマネジメントを意識した売却活動を推進してまいります。分譲住宅市場では、実需を中心に新型コロナウイルス発生前の水準に回復しております。コロナ禍による在宅勤務等の経験が、住まいについて再検討をする要因となっていることが市況回復要因の1つになっていると考えられます。一方、ホテルなどのBtoC事業では新型コロナウイルスの影響を受けており、インバウンドの回復には時間を要するため、国内需要の取り込み強化と、運営効率向上及びコスト構造改革に引き続き注力してまいります。

 当連結会計年度の業績は、都市事業は開発プロジェクトの新規稼働、投資家向けのビル等売却収益の増加、再生可能エネルギー事業の稼働案件の増加等により増収増益となったものの、ウェルネス事業やハンズ事業を中心に新型コロナウイルス感染拡大による影響を受け、売上高9,077億円(対前期△5.8%)、営業利益565億円(同△28.7%)、経常利益466億円(同△31.0%)、特別損失として新型コロナウイルス感染症による損失等を計上し、親会社株主に帰属する当期純利益217億円(同△43.9%)で減収減益となりました。

 

 また、財政状態については、当期末の資産残高は2兆6,523億円で、販売用不動産の増加や開発中プロジェクトの進捗による固定資産の増加等から、対前期末1,649億円増加、当期末の負債残高についても2兆436億円、有利子負債の増加等から、対前期末1,504億円増加しております。期末の純資産残高については6,087億円、利益剰余金等が増加し、対前期末145億円増加しております。

 当社グループでは、2017年5月に策定した中期経営計画「Value Frontier 2020 Stage2 中期経営計画2017-2020」での「関与アセット拡大」及び「新たな需要創出」といった基本方針のもと、事業環境の変化に対応した以下3つの成長戦略を推進してまいりました。

成長戦略① ライフスタイル提案型の街づくり

成長戦略② 循環型再投資事業の領域拡大

成長戦略③ ストックの活用強化

 本計画を終了した当連結会計年度末において、新型コロナウイルスの感染拡大による影響を受け、最終年度の財務目標は未達成となりましたが、渋谷再開発や「東京ポートシティ竹芝」など大型プロジェクトの稼働による賃貸事業基盤の拡充や再生可能エネルギー事業などインフラビジネスの成長、仲介・管理事業などノンアセット型事業の成長など、一定の成果を得ることができました。各事業セグメントにおける本計画の達成状況及び経営成績の状況については以下のとおりです。

 

・都市事業セグメント

 第1四半期連結会計期間は、新型コロナウイルス感染拡大に伴う緊急事態宣言を受け、東急プラザを始めとする当社グループの主要な商業施設において休館し、それに伴い一部のテナントに対してテナント支援のための賃料減免を実施しました。緊急事態宣言解除後も営業時間の短縮や、新型コロナウイルス感染拡大による外出を控える動きが長期化する等、第2四半期連結会計期間以降においても事業活動に影響を受けましたが、当連結会計年度の業績は、開発プロジェクトの新規稼働、投資家向けビル等売却収益の増加、再生可能エネルギー事業の稼働案件の増加等により増収増益となりました。

 また当連結会計年度は、当社グループ最大規模となる「東京ポートシティ竹芝オフィスタワー」が2020年9月に満室で開業する等、開発中の大型プロジェクトを着実に進捗させることができました。また成長戦略②の循環型再投資事業の領域拡大についても、再生可能エネルギー施設や物流施設といったインフラ関連物件が複数竣工し、本計画での成長戦略への取り組みが進捗しております。

 

・住宅事業セグメント

 当連結会計年度の業績は、分譲マンションの計上戸数の増加等により増収の一方、販売費用の増加等により減益となりました。

 住宅ブランド「BRANZ(ブランズ)」の浸透に取り組むほか、本計画における成長戦略①ライフスタイル提案型の街づくり(世代循環型の街づくり)として、複合再開発案件の「ブランズタワー大船」が竣工いたしました。また、成長戦略②の循環型再投資事業の領域拡大についても、2016年10月より連結子会社となった㈱学生情報センターとのシナジーを活かして学生レジデンスの開発事業も強化し、成長戦略への取り組みが進捗いたしました。

 

・管理事業セグメント

 当連結会計年度の業績は、東急コミュニティーにおけるビル管理業務では、「渋谷フクラス」、「渋谷ソラスタ」、「渋谷スクランブルスクエア第Ⅰ期(東棟)」、「東京ポートシティ竹芝オフィスタワー」等が寄与した一方で、新型コロナウイルス感染拡大による営業活動の自粛に伴う工事受注減や前年の大型ビル工事の反動等工事の減により、減収減益となりました。

 管理事業においては、マンションやビル・商業施設、公共施設・公営住宅など、さまざまな建物の管理・運営・改修をトータルサポートしています。良質な社会ストックの形成を通じて、お客さまの生活環境と資産価値の維持向上に貢献しています。

 

・仲介事業セグメント

 当連結会計年度の業績は、東急リバブル㈱における売買仲介では、第1四半期連結会計期間の新型コロナウイルス感染拡大に伴う、店舗の休業や営業時間短縮等による取引件数の減少で減収、前期における不動産販売の高利益率物件売却の反動減等により、減益となりました。

 仲介事業においては、不動産の売買仲介・販売受託・販売など、不動産流通に関するあらゆる需要に対して、先進的なサービスや最適なソリューションで応えています。不動産情報マルチバリュークリエーターとして、さらなる進化をめざします。

 上記の管理事業セグメントと併せて、当社グループではフロー型社会からストック型社会への環境変化を捉え、お客さまとの接点をもとにしたストックからの事業機会を最大限に取り込むべく、成長戦略③としてストックの活用強化を掲げ、管理・仲介事業の強化を図ってまいりました。

 

・ウェルネス事業セグメント

 当セグメントは、新型コロナウイルス感染拡大の影響を最も大きく受けました。第1四半期連結会計期間においては、東急ステイ、東急スポーツオアシス、ハーヴェストクラブ等の運営施設の休業、営業時間の短縮や需要の減退等がありました。第2四半期連結会計期間以降は、回復基調にあるものの、新型コロナウイルス感染拡大による外出を控える動きが長期化、また第4四半期連結会計期間は、緊急事態宣言の再発出により、スキー、東急ステイ、東急スポーツオアシス等の需要の減退等、当連結会計年度の業績は減収減益となりました。

 お客さま及び従業員の安全確保最優先の施設運営を徹底しつつ、収益構造の見直しによる事業耐性の強化、インバウンド回復の遅れを前提とした国内需要取り込み強化に努めてまいります。

 

・ハンズ事業セグメント

 第1四半期連結会計期間においては、新型コロナウイルスの感染拡大に伴う店舗の休業や営業時間の短縮等の影響を受けました。第2四半期連結会計期間以降は、回復基調にあるものの、引き続き店舗の営業時間の短縮や、新型コロナウイルス感染拡大による外出を控える動きが長期化、また第4四半期連結会計期間は、緊急事態宣言の再発出により、全国的な客数減少等が影響し、連結会計年度の業績は減収減益となりました。

 なお「新しい生活様式」による生活スタイルの変化に対応するため、EC事業等の強化の他、営業費用の削減等にも取り組んでいます。さらに、店舗編成の見直しに伴い、「東急ハンズ三宮店」(兵庫県神戸市)の閉店等、低収益店舗の整理を行いました。

 ハンズ事業においては、ECの拡大などにより競争が激化する中、「モノ(信頼できる豊富な品ぞろえ)」「コト(ワクワクするヒントがみつかる場)」「ヒト(商品知識が豊富な頼れるスタッフ)」という3つの強みを活かしたコンサルティングセールスを展開し、「ライフスタイル創造提案No.1ブランド」の構築をめざしています。

 

・次世代・関連事業セグメント

 当連結会計年度の業績は、海外事業における、インドネシアの分譲マンション「BRANZ SIMATUPANG」や「BRANZ BSD」等の計上戸数減等により、減収減益となりました。国内同様、新型コロナウイルスの感染拡大に伴い、マンションギャラリーを一時営業休止、営業再開後も来場制限を行う等、事業活動に影響を受けております。

 次世代・関連事業においては、海外事業や造園・緑化事業など、新たなビジネスフィールドを創造・拡大しています。インドネシア及びアメリカを中心とする海外事業においては、総合デベロッパーとしてのプレゼンス発揮をめざした事業を展開しています。

 

 また、当連結会計年度における、新型コロナウイルス感染拡大による業績への影響は、以下のとおりです。第1四半期は、BtoCの事業を中心として事業活動に大幅な制約が生じました。

 

当連結会計年度における新型コロナウイルス感染拡大による主な影響

セグメント

事業への影響

業績への影響

都市事業

主要商業施設の休館

貸会議室の営業休止

歩合賃料の減少、固定賃料の減免

貸会議室収入の減少

住宅事業

マンションギャラリーの営業休止

計上戸数の減少

管理事業

工事業の新規営業活動縮小

管理業務の一部停止

工事収益及び管理収益の減少

仲介事業

仲介店舗の営業縮小

売買仲介事業の収益の減少

ウェルネス事業

フィットネスクラブや各種ホテルの休館

時間短縮等による営業縮小

運営収益の減少

ハンズ事業

店舗の休業及び時間短縮等による営業縮小

売上の減少

次世代・関連事業

マンションギャラリーの営業休止(インドネシア)

計上戸数の減少(インドネシア)

 

 新型コロナウイルス感染拡大により、その終息時期が見通せない状況が継続しております。2021年4月には3回目となる緊急事態宣言が発出され、翌連結会計年度における新型コロナウイルス感染拡大の影響を合理的に見積もることが難しい状況にありますが、商業施設、ホテル事業等のウェルネス事業、小売のハンズ事業等は引き続き影響を受けているため、仮定による影響を織り込み、算出しております。なお、新型コロナウイルスの感染拡大の終息時期等により、実際の業績等は変動する可能性があります。

 

ロ.キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報

 「Value Frontier 2020 Stage2 中期経営計画2017-2020」では、財務規律を維持しつつ収益力強化を図ることで、EPSの成長及びROE向上を目指す方針を掲げておりました。財務規律については、KPIとしてD/Eレシオ及びEBITDA倍率を採用しており、この数値をコントロールした上で固定資産やたな卸資産への成長投資を行ってまいりました。なお、当連結会計年度におけるセグメントごとの資産、有形固定資産及び無形固定資産の増加額の内訳は以下のとおりです。

 

 

 

 

 

 

 

 

(単位:百万円)

 

都市

住宅

管理

仲介

ウェルネス

ハンズ

次世代・関連事業

調整額

連結

財務諸表

計上額

セグメント資産

1,791,452

284,148

117,838

99,213

272,540

32,870

134,765

△80,531

2,652,296

有形固定資産及び無形固定資産の増加額

87,398

975

1,415

1,970

9,932

1,662

1,956

658

105,970

 

 当社グループの主要な資金需要は、都市事業セグメントにおけるオフィスビルや商業施設、再生可能エネルギー発電施設、物流施設等の取得・開発資金、住宅事業セグメントにおけるマンション用地の取得・開発資金、ウェルネス事業セグメントにおけるリゾート施設等の取得・開発資金、次世代関連事業セグメントにおける海外物件への出資等であります。これらの資金需要につきましては、営業活動によるキャッシュ・フローのほか、金融機関からの借入や社債発行による資金調達等にて対応していくこととしております。また、手許の運転資金につきましては、当社及び一部の連結子会社においてCMS(キャッシュ・マネジメント・システム)を導入することにより、各社における余剰資金を当社へ集中し、一元管理を行うことで、資金効率の向上を図っております。

 当連結会計年度においては、営業活動によるキャッシュ・フローは、減価償却費の増加等により1,004億円の資金増加となりました。投資活動によるキャッシュ・フローは、固定資産の取得や有価証券及び投資有価証券の取得等により1,160億円の減少となりました。これらの投資資金を補うために、財務活動によるキャッシュ・フローは、有利子負債増加等により1,083億円増加し、現金等の期末残高が1,895億円となりました。翌連結会計年度においても、オフィスビルや商業施設、再生可能エネルギー施設や物流施設等への投資が計画されておりますが、営業活動によるキャッシュ・フローや調達済みの現預金で対応する予定です。

 当社グループの当連結会計年度におけるキャッシュフローの実績及び、翌連結会計年度における予想は以下のとおりです。

 

 

 

(単位:億円)

 

2021年3月

2022年3月期

(予想)

営業活動によるキャッシュ・フロー

1,004

1,050

投資活動によるキャッシュ・フロー

△1,160

△1,050

財務活動によるキャッシュ・フロー

1,083

0

(注)2022年3月期(予想)のたな卸資産への投資は、投資活動によるキャッシュ・フローに含みます。

 

 

 

 

4【経営上の重要な契約等】

 該当事項はありません。

 

5【研究開発活動】

 該当事項はありません。