当社グループの経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、以下のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1)長期ビジョン「GROUP VISION 2030」について
2021年5月に長期ビジョン「GROUP VISION 2030」を策定、公表しました。将来の長期的な経営環境について、新型コロナウイルスのパンデミックや急激なデジタル化の加速、脱炭素社会の進展、生活スタイルの多様化など、「VUCA※」といわれる不確実で先が読みにくい時代が続くものと認識しています。このような環境認識のもと、サステナブルな成長を実現するため、従来型の積み上げ型による計画ではなく、バックキャスト発想で10年後の当社グループのありたい姿を見定め、長期ビジョン「GROUP VISION 2030」の策定と理念体系の再整理を行いました。
※Volatility(変動性)、Uncertainty(不確実性)、Complexity(複雑性)、Ambiguity(曖昧性)の頭文字をつなげた言葉で、予測不可能な社会経済環境を指す。
① 長期ビジョンスローガン「WE ARE GREEN」について
コーポレートカラーであるグリーンを基調に、当社グループの事業や人財の多様性をグラデーションで表し、多様なグリーンの力で、2030年にありたい姿を実現していく姿勢を表現しています。グリーンは環境への取り組みやサステナビリティの象徴であるとともに、当社グループがめざす「誰もが自分らしく、いきいきと輝ける未来」の象徴でもあります。「WE ARE GREEN」を旗印に、多様なグリーンの力を融合させ、魅力あふれる多彩なライフスタイルを創造していきます。
② 理念体系
当社グループの成り立ちを踏まえて理念体系を再定義し、「ありたい姿」、「社会との約束」、「創業の精神」を規定しております。
ありたい姿は、「価値を創造し続ける企業グループへ」を継続して掲げます。そして、「魅力あふれる多彩なライフスタイルの創造を通じて、誰もが自分らしく、いきいきと輝ける未来を実現すること」が、社会的使命(ミッション)です。
社会との約束では、6つのステークホルダーへの約束を定義しました。当社グループは、あらゆるステークホルダーの満足度の総和が企業価値になると考えています。
③ マテリアリティ
ありたい姿で規定した「誰もが自分らしく、いきいきと輝ける未来の実現」に向け、「個人」「社会」「環境」それぞれの未来の理想像を描き、それらを実現するための4つの取り組みテーマ「多彩なライフスタイルをつくる」、「ウェルビーイングな街と暮らしをつくる」、「サステナブルな環境をつくる」、「デジタル時代の価値をつくる」をマテリアリティとして定めています。
上記の4つの事業基盤に関するマテリアリティに加え、「多様な人財が活きる組織風土をつくる」、「成長を加速するガバナンスをつくる」の経営基盤に関するマテリアリティの2つを設定し、当社グループがめざす未来を実現するために、6つのマテリアリティに取り組んでまいります。
④ 「GROUP VISION 2030」の位置づけ
「GROUP VISION 2030」策定時の課題として4点を認識しております。順調な投資によるBS拡充の一方、新型コロナウイルス感染拡大の影響により収益水準が低下した事業もあり、「BSマネジメントによる効率性向上」と、「強固な事業ポートフォリオ構築」が課題です。管理運営等の人手に頼った事業では、人手不足等の影響に左右されにくい体質へ転換するため、「労働集約型からの脱却」を進めることや、デジタル化など事業の高度化、複雑化への対応が急務であり、「自前主義の脱却、人財育成」に取り組むことも重要な課題です。
4つの課題認識を踏まえ、2030年までの10年間のうち、前半期を「再構築フェーズ」として、アフターコロナの再成長に向けた稼ぐ力と効率性向上への取り組み期間とします。後半期では「強靭化フェーズ」として、新領域での事業育成など強固な事業基盤の確立を目指し、その後のサステナブルな成長につなげてまいります。
(2)長期経営方針について
「GROUP VISION 2030」では、現状の課題認識を踏まえ、長期視点であらゆる事業を見直すとともに、経営の羅針盤となる考え方を明確化することで、サステナブルな成長を実現してまいります。
幅広いアセット、豊富なお客さま接点など、グループの特色を強みに変えるため、全社方針として、「環境経営」と「DX」に取り組み、また、関与アセット拡大モデルの進化のため、知的資産の活用とパートナー共創を進め、強固で独自性ある事業ポートフォリオを構築します。ROE向上、EPS成長、ひいては株主価値・企業価値の向上を実現します。
① 全社方針
イ.環境経営
環境ビジョンに基づき、脱炭素社会、循環型社会の実現に向けた「クリーンエネルギー普及など、すべての事業を通じた環境負荷低減」と、「環境に寄与する快適な街と暮らしの創造」に取り組みます。
気候変動に関する目標については、自社のCO2排出については2025年カーボンマイナスへの貢献を実現します。カーボンマイナスについては、当社グループの強みである再生可能エネルギー事業によるCO2削減量が自社のCO2排出量を上回ることでグループ全体の2025年度の実現をめざす、当社独自の目標となっております。また、サプライチェーンのスコープ3まで含めたCO2については、科学的根拠に基づく削減目標のSBT1.5℃の認定を取得し2030年に実現、2050年ネットゼロエミッション達成をめざします。2100年に気候変動を1.5℃に抑える「1.5℃目標」は、パリ協定において「努力目標」とされるハードルの高い目標設定ですが、強い決意を持って取り組み、環境の取組みについては業界をリードしていきたいと考えております。
ロ.DX
もう一つの全社方針の「DX」では、3つの施策を推進します。
業務フローの電子化・業務自動化など「省力化推進による創造的業務への転換」、オンラインとオフラインの融合(いわゆるOMO)の推進など「顧客接点の高度化による感動体験の創出」、自社開発ツールやサービスモデルの提供など「知的資産活用による新しい価値創造」を通じて、デジタル活用による事業の変革に取り組みます。
当社グループは多くのBtoC事業を手掛けていることから豊富なお客さま接点を有しており、DXに取り組むことで新たな付加価値を提供できるものと考えております。BtoC事業を強みに変革するためにDXを推進いたします。
② 目標指標
2030年度の目標指標は、マテリアリティごとにそれぞれのKPIを定めております。
また財務指標としては、2030年度のありたい姿として、ROE10%以上、ROA5%以上、D/Eレシオ2.0倍以下、営業利益1,500億円以上、当期純利益750億円以上を参考指標として掲げました。なお、2030年度のありたい姿の具現化に向けて、「GROUP VISION 2030」に沿った中期経営計画を策定しています。
(3)「中期経営計画2025」について
2022年5月に2025年度を目標年度とする「中期経営計画2025」を策定、公表いたしました。
本計画は、長期経営方針における「再構築フェーズ」と位置付け、長期経営方針で定めた全社方針および事業方針に従い、アフターコロナの再成長に向けた稼ぐ力と効率性の向上を推進し、強固で独自性ある事業ポートフォリオの構築、ありたい姿の実現をめざします。
①中期経営計画2025の概要
長期経営方針で定めた全社方針「環境経営」「DX」を通じた独自性のある価値創出を図ります。資産活用型ビジネス(都市開発事業/戦略投資事業)では、「資金の効率的投資や共創型開発等を通じた資産効率性の向上」、人財活用型ビジネス(管理運営事業/不動産流通事業)では、「労働集約型からの脱却と知的資産の有効活用による生産性の向上」をそれぞれ推進しつつ、DXを通じてグループのサービスをつなぐことで新たな収益モデルの確立、環境を起点とした事業機会の拡大を図り、グループの特色を強みに変えてまいります。
②経営基盤の強化
長期ビジョン「GROUP VISION 2030」の達成に向けた経営基盤の強化を着実に推進いたします。財務資本戦略では、最適な財務資本構成のもと効率性を意識した利益成長の実現に向けた施策を実施していきます。人財・組織風土では、多様な人財が活躍できる組織づくりや健康経営の促進などによる働きがい・働きやすさの向上に加え、サプライチェーンの人権配慮にも取り組みます。ガバナンスでは、公正かつ透明性の高いガバナンス体制の構築に向けて、役員報酬制度の見直しや指名・報酬委員会の独立性強化などを推進します。
③事業ポートフォリオマネジメント
強固で独自性のある事業ポートフォリオの構築に向け、定量評価と定性評価の2軸で主要事業を評価し、各事業の方向性を「推進」「修正して推進」「抜本的再構築」に整理いたしました。「抜本的な再構築」と位置付けたハンズ事業は新しいパートナーへ株式を譲渡、レジャー事業は、TCFDシナリオなども踏まえ、アセットライト化を推進いたします。「修正して推進」とのボーダーに配置しているヘルスケア事業のフィットネス事業は、コロナ後の会員数回復は限定的となる想定のもと、店舗事業を中心に抜本的な再構築を進めます。商業施設事業は、EC化の進展に伴い、都心施設を中心に体験型消費・共感型消費に対応する施設への転換や、資産ポートフォリオの入れ替えを推進していく方針です。
※上記は中期経営計画策定時のものです。2023年3月期末までの進捗状況については、P22をご参照下さい)
④2025年度の目標指標
マテリアリティに基づき、財務・非財務を統合した目標指標を定めております。2025年度の財務指標は、効率性指標としてROE9%、ROA4%、EPS90円以上、利益目標として営業利益1,200億円、当期純利益650億円、財務健全性としてD/Eレシオ2.2倍以下、EBITDA倍率10倍以下の達成をめざします。
⑤キャピタルアロケーション
2025年度末のD/Eレシオは2.2倍以下を前提として、ネット投資額は5,700億円の計画としています。グロス投資額は2兆2,000億円、そのうち2兆円を資産活用型の都市開発および戦略投資事業に投下する計画です。資産活用型事業の期待リターン目線として、保有型事業ではNOI利回り5.0%前後、回転型事業ではIRR6.5%前後を目指します。なお、記載の投資額は2021年度~2025年度の5年累計の数値です。
(4)経営環境及び対処すべき課題
資産活用型ビジネスの都市開発事業及び戦略投資事業では、効率的投資や共創型開発等により資産効率性の向上を図りつつ、当社グループの強みである幅広いアセットの活用、事業プロデュース力を活かした施策を展開いたします。人財活用型ビジネスの管理運営事業及び不動産流通事業では、労働集約型からの脱却、知的資産の有効活用による生産性向上を図りつつ、当社グループの強みである豊富なお客さまとの接点、人財と運営ノウハウを活用した事業拡大を推し進めてまいります。
また、事業環境認識について、長期経営方針で示した長期的な環境認識の視点に加え、コロナ禍での影響も加味した事業環境の変化として、「脱炭素化の加速/環境課題の多様化」、「デジタル化の加速」、「金融・経済の動向」、「ライフスタイルの多様化」の4点に着目しております。
① 都市開発事業セグメント
都市開発事業セグメントでは、独自性ある施設づくりと事業推進力、再開発・エリアマネジメントのノウハウ、総合デベロッパーの強みを活かし、まちのにぎわいを創出して、社会課題や地域課題の解決に貢献する「再開発事業や複合開発の強化」と、ライフスタイルの変化をとらえた「CX(カスタマー・エクスペリエンス)を高める都市ライフの提案」を推進します。
② 戦略投資事業セグメント
戦略投資事業セグメントでは、既に1GW超の発電能力を有する再生可能エネルギー事業、業界トップクラスのREIT・私募ファンド運用資産額、海外における自社開発の実績とノウハウを活かし、エネルギー政策、産業構造の変化なども踏まえ、「再生可能エネルギー事業の拡大」、「物流・産業施設の高度化」、「投資領域および規模の拡大」を推進します。
③ 管理運営事業セグメント
管理運営事業セグメントでは、業界トップクラスの管理戸数と幅広い管理領域、専門性の高い人財と運営ノウハウ、豊富なお客さま接点・地域接点を活かし、デジタル基盤整備による「管理業のソリューション提供型モデルへの進化」、顧客体験価値向上に取り組みながら「新たなウェルネス事業モデルの構築」を推進し、労働集約型から知的資産集約型への転換を図ります。
④ 不動産流通事業セグメント
不動産流通事業セグメントでは、高いブランド力と豊富なお客さま接点、豊富な不動産流通情報と情報加工力、多様なニーズに対するオーナー提案力を活かし、情報の最有効活用・提案力の強化やオペレーションの効率化などを進め「情報価値の変化を見据えた不動産仲介事業モデルの進化」、DXによる生産性向上と付加価値提案強化により「賃貸住宅サービス事業の規模拡大および効率性向上」を推進いたします。
(5)中期経営計画の進捗状況
①中期経営計画の進捗状況(財務目標)
2023年3月期は、不動産売買マーケットの好調、コロナ収束化による国内及びインバウンド需要の回復等により、いずれの目標指標も通期業績予想を上回ることができ、営業収益1兆円・営業利益1,000億円の節目を超えました。
2024年3月期は、不透明な事業環境下ではあるものの、好調な不動産売買マーケットの継続、ホテル等のインバウンド需要の一層の回復などを見込み、営業利益や当期純利益は2023年3月期を上回る計画です。ROEは、2023年3月期は7.3%に改善し、さらに2024年3月期は8.8%となる計画です。中期経営計画の目標達成に向け、いずれの指標についても順調に進捗しております。
②事業ポートフォリオマネジメントの進捗状況
抜本的な再構築の対象とした「レジャー事業」「ヘルスケア事業」「商業施設事業」については、資産入替や資産売却によるアセットライト化、資本提携などにより、構造改革を実行しました。今後は、「修正して推進」と位置付けた事業を中心に、引き続き「稼ぐ力と効率性の向上」を主眼に各事業の変革と成長を進めてまいります。
③企業価値・市場評価向上に向けた取り組み
「中期経営計画2025」で掲げた取組みを着実に推進して、中期経営計画のテーマである「稼ぐ力と効率性の向上」を図り、株主資本コストを上回るROEを継続的に達成するとともに、「長期経営方針」で掲げた全社方針「環境経営」「DX」に取り組み、事業方針である知的資産活用、パートナー共創を進め、中長期にわたる持続的な成長を実現してまいります。これらを実現するために、財務資本戦略・人財組織風土・ガバナンス・株主の皆さまとの関係構築など、経営基盤を強化する考えです。以上の取り組みにより、企業価値・市場評価の向上を図ってまいります。
当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取り組みは、次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1)サステナビリティ戦略
当社グループは、グループの理念体系に基づき、事業活動を通じて社会課題を解決し、ステークホルダーとともに、サステナブルな社会と成長をめざします。2021年度に策定した長期ビジョン「GROUP VISION 2030」においては、ありたい姿「価値を創造する企業グループへ」の実現に向けて、非財務の取り組みを重要な経営課題と位置づけ継続的な強化を行いながら、持続的な企業価値向上を図り、次の世代、さらに次の世代を見据え、美しく豊かな環境の形成と、長く愛され続けるまちづくりを実現していきます。
また、当社は国連グローバル・コンパクトを支持し、「人権」「労働」「環境」「腐敗防止」からなる10原則に基づき責任ある経営を推進しており、「環境ビジョン」や「東急不動産ホールディングスグループ人権方針」(以下、人権方針)および「東急不動産ホールディングスグループサステナブル調達方針」(以下、サステナブル調達方針)を定めています。
<環境ビジョン>
・人権方針
URL human_rights_policy_J(non).pdf (sustainability-cms-tokyu-s3.s3-ap-northeast-1.amazonaws.com)
・サステナブル調達方針
URL procurement_policy_J.pdf (sustainability-cms-tokyu-s3.s3-ap-northeast-1.amazonaws.com)
①ガバナンス
環境・社会課題に対する迅速な意思決定に向け、健全で透明性のあるガバナンス体制の構築を進めています。環境・社会課題への全社横断的な対応を図るため、代表取締役社長を委員長とする「サステナビリティ委員会」および「リスクマネジメント委員会」を設置しており、年に2回定例会議を開催しています。また、各委員会においては、気候変動をはじめとする環境課題、社会貢献、DE&I、コンプライアンスなどの重要課題について、機会とリスクの評価・計画立案・実績確認を行ない、審議結果は取締役会に報告しています。
取締役会では、上記の重要課題について、各委員会の報告を受けて業務執行内容の監督を行っています。取締役の選任に際しては「環境・サステナビリティ」を含む7つの専門性と経験が考慮されており、業務執行取締役の報酬決定に際しては、ESGへの取り組み等が総合的に勘案されています。
<体制図>
②戦略
長期ビジョン「GROUP VISION 2030」の策定にあたり、重要な社会課題を抽出し、経営陣とステークホルダーの意向を踏まえ、6つのマテリアリティを特定しました。(※詳細はP12を参照)各マテリアリティは機会とリスクを整理し、2030年に目指す姿を定め、事業活動を通じて対応を行っています。
また、自らの事業だけでなく、サプライチェーンおよびバリューチェーン全体における、テーマに沿った施策の実行によりお客さまや社会に多様な価値を創出することで、あらゆるステークホルダーの満足度向上を図り、サステナブルな社会や当社グループの価値向上をめざします。
<価値創造への取り組みテーマと対応>
特に、マテリアリティのひとつである「サステナブルな環境をつくる」は、長期経営方針における全社方針「環境経営」において、「脱炭素社会」「循環型社会」「生物多様性」の3つを環境重点課題とし、注力して取り組んでいます。
<3つの環境重点課題>
さらに、「多様な人財が活きる組織風土をつくる」は、人的資本経営による人財戦略を推進することで、グループの価値の最大化をめざしています。また人権を尊重し、人権デュー・ディリジェンスを実施することで人権リスクの未然防止と軽減に努めています。
③リスク管理
気候変動リスクを含む8つの個別リスク(※詳細は
また長期ビジョン「GROUP VISION 2030」で定めた6つのマテリアリティに関連する重要リスクを特定し、「リスク管理基本規程」に基づき個別リスクごとの主管部署を定め、当該部署においてグループにおけるリスク管理体制および運用状況を統括しています。
8つの個別リスクのほかに、サステナビリティ委員会では、環境ビジョンにおける5つの環境課題や、人権・人的資本などに関する重要な課題について一体的に管理しています。
気候変動リスクについては、サプライチェーン全体における現行および新規の法規制をはじめとする移行リスク、および気候変動の進行による物理リスクの影響把握、ならびに各事業における戦略への反映を行っています。
また、人権および調達リスクについては、人権方針およびサステナブル調達方針に基づき、自社およびサプライチェーンを含むステークホルダーにおける人権リスク評価を行い、強制労働および児童労働などを重要な人権課題として特定しました。中でも、主に建設会社を重要なステークホルダーと捉え、サプライチェーンにおける優先すべき人権課題の解決に向け、人権デュー・ディリジェンスを実施しています。
<人権リスクマップ>
④指標と目標
長期ビジョン「GROUP VISION 2030」において、マテリアリティごとに2030年度のKPI目標を設定しています。財務および非財務KPI目標の双方達成に向け、進捗状況のモニタリングを行い、PDCAサイクルとともにグループ横断で取り組みを進めています。
<マテリアリティとKPI目標>
※2022年度の実績は、第三者検証取得前の実績も含まれており、概算値になります。
(2)気候変動への対応(TCFD提言への取組)
当社グループでは、環境への取り組みを企業価値向上につなげるため、長期経営方針において「環境経営」を全社方針に掲げ、環境ビジョンにおける環境課題のひとつ「気候変動」への取り組みを通じて、脱炭素社会の実現と環境に寄与するライフスタイル創造に取り組みます。
気候変動は、当社グループの事業活動にとってリスクであると同時に、新たな事業機会であると考えています。また、気候関連財務情報開示の重要性を鑑み、当社は2019年3月にTCFD提言に賛同し、TCFDの取り組みについて議論する国内組織である「TCFDコンソーシアム」にも参加しています。TCFDの提言を活用し、「ガバナンス」「戦略」「リスク管理」「指標と目標」の枠組みで各施策を推進しています。
①ガバナンス
②戦略
気候変動課題についてはTCFD提言に沿い、当社グループの幅広い事業領域において気候変動の重要課題を認識し、3つのシナリオ(1.5℃、3℃、4℃)による分析を通じて機会とリスクを特定しました。また、事業戦略および財務計画への影響を把握することで重要度の評価を行い、各事業における対応策への反映を図っています。
さらに、RE100(※1)、ZEB(Net Zero Energy Building)やZEH(Net Zero Energy House)の推進、建物環境認証の取得、インターナル・カーボン・プライシング(社内炭素税)の導入、再生可能エネルギー事業の拡大、グリーン資金調達などを実施しています。
(※1)世界で影響力のある企業や団体が、遅くとも2050年までに、自らの事業で使用する電力を再生可能エネルギー100%化することを目指す国際的イニシアチブ
<気候変動の重要課題>
<気候変動のシナリオ分析>
③リスク管理
④指標と目標
当社グループは、事業活動を通じて脱炭素社会の実現に貢献することをめざし、気候変動に関する中期・長期目標を掲げました。
・中期目標 2025年までに、自社(スコープ1・2)において、再生可能エネルギー事業などにおけるCO2削減量
が、CO2排出量を上回る「カーボンマイナス」をめざす。
・長期目標 自社およびサプライチェーン(スコープ1・2・3)において、科学的根拠に基づく削減目標であ
る「Science Based Targets(SBT)」の「1.5°C目標」を2030年までに実現し、2050年にはネットゼロエミッション達成をめざす。
中期目標に関しては、2021年度において、早期達成を果たしており、今後も継続を目指します。
また、東急不動産㈱では、自社で大規模展開する再生可能エネルギー事業の強みを活かし、国内事業会社では初めて(※1)、2022年12月に自社事業所及び保有施設(※2)における使用電力(※3)の再生可能エネルギー電力への切替が完了し、RE100の要件を達成しました。それにより、一般家庭約8万世帯分にあたる年間約15.6万トンのCO2排出量を削減します。
(※1)金融機関を除く
(※2)RE100の対象範囲とならない、売却又は取壊し予定案件及び当社がエネルギー管理権限を有しない一部の
共同事業案件を除く
(※3)RE100が認めるグリーンガスが国内市場に存在しないため、コジェネレーション自家発電による電力を除
く
<気候変動に関する目標>
当社グループのGHG(Greenhouse Gas)排出量は以下のとおりです。
<GHG排出量の実績および目標と削減率>
<GHG排出量スコープ3 カテゴリー別内訳>
(3)人的資本経営
当社グループにおける「人的資本経営」とは、「GROUP VISION 2030」及び「中期経営計画2025」の実現に向け、経営戦略と連動した人財戦略を策定及び実行することで、持続的な価値向上に取り組むことを指します。当社グループは100社超・約3万人の従業員の知識・スキルや意欲を「人的資本」と捉えて積極的に投資することで、「価値を創造し続ける企業グループ」と「誰もが自分らしく、いきいきと輝ける未来」を目指します。
<人的資本経営の考え方>
①ガバナンス
人財戦略を経営戦略と連動させるために、サステナビリティ委員会・リスクマネジメント委員会にて人財戦略の課題及びKPIの進捗を報告のうえ方針を経営層間にて討議し、その結果を取締役会にて報告しております。
人財戦略の推進にあたっては、当社のグループ人事部が主要5社の人事部を統率して管理しています。具体的なモニタリングの機能としては、グループ人財会議を年2回開催し、グループ各社の課題及びKPIの進捗について報告・共有を行っております。さらに、ダイバーシティ・採用・労務マネジメントといったテーマごとに個別の分科会を行い、人財戦略を着実に実行できる体制を整えています。
<人財戦略の推進体制>
②戦略
ありたい姿の実現に向け、当社グループは“すべての従業員が「挑戦するDNA」と「社会に向き合う使命感」をもち、サステナブルな社会づくりと成長を目指します”という人財理念を掲げました。その上で人財戦略として、『価値を創造する人づくり』『多様性と一体感のある組織づくり』『働きがいと働きやすさの向上』の3つの戦略を進めております。
1つ目の『価値を創造する人づくり』は、グループ理念と経営戦略に基づいた、人財の育成に関する方針です。長期ビジョン「GROUP VISION 2030」の実現に向けてグループ理念の浸透を図るとともに、全社方針と連動するDX人財の育成と環境経営に基づく人財育成を掲げております。
2つ目の『多様性と一体感のある組織づくり』は、グループの価値創造を支える社内環境整備に関する方針です。女性管理職比率向上をはじめとする女性の活躍推進や、DE&I(ダイバーシティ、エクイティ&インクルージョン)の取組による多様な人財の活躍推進に加えて、イノベーティブな組織風土の醸成が、「挑戦するDNA」の体現やグループの価値創造には不可欠と考えております。
3つ目の『働きがいと働きやすさの向上』は、従業員一人ひとりを支える社内環境整備に関する方針です。健康経営の推進や、ライフステージに応じた多様な働き方の支援に加え、働きがいという観点でのワークエンゲージメントの向上も重要な施策として取り組みモニタリングをしております。
これら3つの人財戦略に取り組むことで、グループ従業員に対して、心も身体も健康にモチベーションと志をもって働ける環境を実現するとともに、生産性が高く広く社会に貢献する人財を輩出します。当社グループは人的資本経営に取り組むことで、2030年「価値を創造し続ける企業グループ」という未来へとつなげて参ります。
<人財理念と人財戦略>
イ.価値を創造する人づくり
・グループ理念の浸透
長期ビジョン「GROUP VISION 2030」のグループスローガンとして、「WE ARE GREEN」を掲げました。「WE ARE GREEN」は、グループが展開する多様なグリーンの力を融合させ、新たな価値創造につなげていく姿勢を表現しています。TVCMなどの広報活動や、社内報での情報共有、全従業員向けのEラーニング、グループ合同新人研修の実施など、一貫したメッセージの発信と認知・浸透の向上に取り組んでいます。
特に、グループ各社の執行役員に対しては、2日間に渡る理念浸透・リーダーシップ研修を実施しています。計140名のグループ各社執行役員を対象としたEラーニングでは、どれだけ自身がグループ連携を実践できているかを示す「自分ゴト化」度を測定し、2022年度は84%の執行役員が実践していると回答しました。中期経営計画最終年度の2025年には、「自分ゴト化」度90%を目標として設定し、意識向上を図っております。
・DX人財の育成
全社方針である「DX」に基づき、DX事例の創出を目指して、グループ横断プロジェクトの実行と実践型学習・研修の両輪で人財基盤の構築を行っています。2022年2月にはTFHD digital株式会社を設立し、デジタル専門人財の採用を行い、グループ各社およびグループ全体のDX支援を行う体制を整えており、そうしたDX推進に向けた組織・制度の整備や既存・新規ビジネスの双方での具体的なDX事例などが評価され、2023年5月に経済産業省・東京証券取引所及び情報処理推進機構による「DX銘柄2023」に選出されました。
事業会社においてDX推進の中心的な役割を果たす人財を「ブリッジパーソン」と定義し、育成を強化している他、データ・AI活用やデジタルマーケティングなど様々なデジタルスキル習得のためのプログラムで育成にあたってます。また、開発事業を担うブリッジパーソン向けの実践型研修である「TLC-Xプログラム」では未来のデジタル事業構想を不動産開発の現場社員が参加してアイデア創出を行っています。
これらの取り組みを基盤に、「デジタル活用によるビジネス件数」は、2022年度実績で13件、累計43件に至りました。2030年度は、計100件以上という成果創出を目指している他、東急不動産㈱では全社員を対象にITパスポートの取得を促し、2030年度取得率100%を目指しています。
・環境経営に基づく人財育成
全社方針である「環境経営」に基づき、Eラーニングやサステナブル・アクション・アワードを通じて啓蒙を行っています。サステナブル・アクション・アワードは、事業活動を通じた環境・社会課題解決の具体的な取り組みを表彰し、そのアクションの輪をグループ全体に広げ、収益貢献に繋げることを目的に創設されました。2022年度は19社123案件の応募が寄せられ、当社グループの掲げるマテリアリティに応じた最も優れた取り組みとして合計12件を表彰しました。毎年応募50件、2025年度で累計応募300件を目指して継続していきます。
これらの取り組みを基盤に、「事業を通じた環境取り組み件数」は、2022年度実績で14件、累計36件に至りました。2030年度は、計100件以上という成果創出を目指して、環境経営に基づく人財育成に取り組み続けます。
<価値を創造する人づくり>
ロ.多様性と一体感のある組織づくり
・女性の活躍推進
女性の活躍推進については特に重要なテーマと捉え、女性の職業生活における活躍の推進に関する法律(女性活躍推進法)の基本理念に則り、性別にかかわらず個性と能力を十分に発揮できる環境づくりに取り組んでいます。KPIとして「新卒女性採用比率」「女性管理職比率」および「女性管理職候補比率」を設定し、目標達成に向けてグループ一体となって取り組んでおります。
「新卒女性採用比率」は2023年4月実績46%であり、採用面では多様な人財確保ができていると考えております。2030年度目標は50%と設定し、現状程度の採用を継続する予定です。「女性管理職比率」は2023年4月実績8%に対し、2030年度目標を20%以上、「女性管理職候補比率」は2023年4月実績18%に対し、2030年度目標を20%以上と設定しております。「女性管理職比率」は実績から一定の乖離がある目標値ではありますが、「女性管理職候補比率」の底上げを図るとともに、女性が活躍しやすい制度・風土づくりに取り組んで参ります。
具体的な活動としては、採用担当者の女性比率増(㈱東急コミュニティー)、産休・育休取得者に対応した昇格プログラム運用(東急不動産㈱)、育児サポート制度・パートナー制度による目標軽減・休日シフト・複数担当制(東急リバブル㈱)などに取り組んでいます。会社を越えたネットワーキングを行い、これらの各社制度や工夫をグループ内で横展開することで、グループ全体でのKPI達成を目指します。
・多様な人財の活躍推進
当社グループはDE&Iビジョンを策定しております。多様な属性の違いをお互いに認め、差別をなくすと共に公正な活躍機会を提供し、誰もが自分らしくいきいきと働ける環境作りを進めることで、イノベーションを生み出し、価値創造に取り組みます。「DE&I」の理解深化に向け、グループポータルサイトでの社長発信や、役員向け研修などを実施しています。従業員に対してはEラーニングを実施し、受講率をKPIとして設定、2030年度は受講率100%を目指しております。
また、多様性を担保するためのKPIとして、「キャリア採用者管理職比率」を設定しております。現状、主要事業会社の管理職のうちキャリア採用者が46%となっており、キャリアの観点からは既に多様な人財確保ができていると考えておりますが、引き続き登用を続ける方針として、2030年度50%という目標を定めております。
・イノベーティブな組織風土の醸成
「挑戦するDNA」を継承し、会社の枠を超えたイノベーションを創出するために、「STEP」というグループ共創型社内ベンチャー制度を設立しております。「STEP」は「S(Start/Sustainable/Shibuya)」+「TFHD(東急不動産ホールディングス)Entrepreneur Program」の略称です。2019年度にグループ従業員を対象として開始し、2023年度には第5期を迎えました。2022年度時点で応募累計253件、内3件が事業化決定しております。2021年に事業化第一弾としてTQコネクト株式会社、2022年にサステナブル・デザイン株式会社、K.627株式会社を設立。グループの幅広い事業リソースを活用し事業展開に取り組んでいます。「STEP」は中期経営計画における事業化件数をKPIとして設定し、2025年度まで毎年事業化1件以上を目標としております。
また、「外部知見の獲得とグループ内ノウハウ共有」を目的とした風土醸成イベントとして、「ナレッジ・フォーラム」等を定期的に開催しております。累計108回開催しており、2025年度まで毎年4回以上開催を中期経営計画期間中の目標とし、活動を継続していきます。
<多様性と一体感のある組織づくり>
ハ.働きがいと働きやすさの向上
・健康経営の推進
従業員の幸福と健康維持・増進を重要な経営課題と捉えて、心身の健康に繋がる様々な施策に取り組んでいます。2030年度の目標として、健康診断受診率100%・ストレスチェック受検率100%・男性育児休暇取得率100%を目標に掲げ、セミナーや啓蒙活動などに取り組んでいます。
ストレスチェックについては、グループ各社(一部除く)において、㈱イーウェルによる定期的なストレスチェックを実施し、当該ストレスチェックによるデータに基づき、従業員のメンタルヘルス状況を社外専門機関により検証・モニタリングしています。検証の結果を、従業員の健康と安全の改善に向けた取り組みに繋げています。
・柔軟な働き方の支援
効率性・生産性の向上とワーク・ライフ・バランスの実現のため、柔軟な働き方を支援しています。主要5社(東急不動産㈱、東急リバブル㈱、㈱東急コミュニティー、東急住宅リース㈱、㈱学生情報センター)ではテレワーク制度およびフレックス勤務制度(またはスライド勤務制度)を導入し、ITを活用して場所や時間にとらわれないフレキシブルな働き方を実現しています。多くの従業員が活用し、効率性・生産性および従業員満足度も向上しています。また、テレワーク制度およびフレックス勤務制度(またはスライド勤務制度)の規程整備率100%(主要5社対象)をKPIとして設定することで、柔軟な働き方の支援をアップデートし続ける姿勢を掲げております。
・ワークエンゲージメントの向上
グループ各社では定期的なストレスチェックと合わせて、ワークエンゲージメントの調査を行っております。さらに、各社の状況に応じた、個社ごとの従業員エンゲージメント・サーベイを定期的に実施しています。
東急不動産㈱では、年2回のサーベイを実施し、全社結果を社内外に開示しております。また、各組織単位(ユニット・本部・部・グループ)のサーベイ結果を各組織長にフィードバックすることで、各組織におけるPDCAを回しながら、エンゲージメントの維持・改善に取り組んでおります。2017年度より全社を対象に導入し、2022年度は上期がスコア58.5・レーティングA、下期がスコア61.9・レーティングAAという結果で、2030年度目標を前倒しで達成しました。今後も、継続的なスコアの維持・改善に取り組んで参ります。
なお、サーベイ結果を踏まえた東急不動産㈱の全社施策は、「理念の現場浸透度」の向上を図った長期ビジョン説明会や全社員面談、「部下への支援行動」の向上を図った1on1・360度フィードバック・ナナメンター(部門間メンター)制度などがあります。2022年度から新人事制度を導入、昇格を手上げエントリー制にすることで、多様な人財がより挑戦しやすい環境づくりを行っています。リーダーシップ開発・後継者育成の観点で設けたCDP(キャリア・デベロッピング・プログラム)は、多くの従業員のキャリア開発の機会になっています。
<働きがいと働きやすさの向上>
③リスク管理
人財戦略の推進におけるリスクとしては、経営戦略と実際の人財施策に乖離が生じることを想定しております。そのため、各施策に対応する人財KPI(後述)を指標として設定し、サステナビリティ委員会にて進捗を報告しております。経営層が人財戦略の方針について議論することで、経営戦略と現場の施策が一貫したものとなるよう担保しております。
④指標及び目標
<KPI表>
※2022年度及び2023年4月の実績は、第三者検証取得前の実績も含まれており、概算値になります。
当社グループの経営成績、財政状態等に関する事項のうち、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項には以下のようなものがあります。
なお、文中の将来に関する事項は、有価証券報告書提出日現在において当社グループが判断したものであり、実際の業績等はこれらの見通しとは異なることがあります。
(1)経営に重要な影響を及ぼすと想定されるリスク
当社グループでは、「リスク管理基本規程」において、グループ各社の経営目標の達成を阻害する事象として7つの個別リスク(投資リスク、財務資本リスク、人事労務リスク、法務コンプライアンスリスク、IT戦略リスク・デジタル戦略リスク、情報セキュリティリスク、危機管理対応)を定め、加えて、重要性の高いリスクとして気候変動リスクを重要リスクとして認識しております。
また「GROUP VISION 2030」において定めた6つのマテリアリティについて、機会及びリスクと、それに関連する重要リスクの特定を行いました。
|
マテリアリティ |
主な機会とリスク (○機会、●リスク) |
主な変動要因 |
重要リスク |
|
多彩なライフスタイルをつくる |
○あらゆる生活シーンの融合 |
・景気動向、不動産市況 ・競合企業動向 ・金融市場(金利、株価) ・消費者動向 |
投資リスク |
|
ウェルビーイングな街と暮らしをつくる |
○コミュニティ形成の重要性増大 |
||
|
サステナブルな環境をつくる |
○脱炭素・循環型社会への対応ニーズ 拡大 |
・移行リスク:炭素税など法 規制の厳格化等 ・物理リスク:建物被害や気 温上昇による施設運営影響等 |
気候変動リスク |
|
デジタル時代の価値をつくる |
○toC接点活用の重要性増大 |
・デジタル技術・企業等の動向 |
IT戦略リスク・ デジタル戦略リスク |
|
多様な人財が活きる組織風土をつくる |
○多様な人財によるイノベーション 創発 |
・人材の確保、育成 ・長時間労働 |
人事労務リスク |
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成長を加速するガバナンスをつくる |
○透明性向上によるステークホルダー との関係強化 による損失、信用低下 |
・サイバー攻撃 ・安全対策、BCPの不備 ・役職員の不正、法令違反 ・取締役会の実効性 |
情報セキュリティリスク リスク |
なお、これらのリスクが顕在化する可能性の程度や時期、顕在化した場合に当社グループの経営成績及び財務状況等に与える影響の定量的な内容については、合理的な予見が困難であるため記載しておりません。
各リスクについての考え方は以下のとおりとなります。
① 投資リスク
当社グループの事業の中で投資を伴う資産活用型の事業である都市開発事業セグメント、戦略投資事業セグメント等においては、国内外の景気動向や企業業績、個人消費動向、不動産市況、競合環境、政府や日本銀行の政策変更、東京都心を中心とした事業エリアの状況等の影響を受けやすい傾向があり、これらにより各事業における利益率の低下や収益性の悪化、保有資産の価値が下落する可能性があります。
当該リスクについては当社のグループ経営企画部を主管部署とし、投資対象アセットごとのリスクファクターを定めた上でVaR値を算出、継続的なモニタリングを行うことでリスク量の管理を行っております。
② 財務資本リスク
当社グループでは不動産の開発資金等を自己資本及び、金融機関からの借入金や社債発行による資金調達等で対応しております。今後金利が上昇した場合や株価が著しく下落した場合には、経営成績及び財務状況等に対して大きな影響を与える可能性があります。
金融機関等からの資金調達については、金利変動による影響を軽減するため、有利子負債の大部分を長期による借入とし、さらに金融情勢を踏まえながら一部のプロジェクト融資以外については大部分の金利を固定化し、今後金利が上昇した場合の経営成績に与える影響を最小限に抑える取り組みを行っております。なお、当連結会計年度末の有利子負債における長期比率は95.9%、固定比率は95.3%(長期比率・固定比率ともにSPC借入を除く)です。また、当社のグループ財務部を主管部署とし、金融市場の動向分析及び金利上昇時の当社への影響の定量的なシミュレーションを行っております。
自己資本については、資本市場の動向分析を行うとともに、IR活動による株主・投資家との対話内容の取締役会等へのフィードバック等を実施しており、引き続き株価の適正化を図ってまいります。
③ 気候変動リスク
当社グループでは1998年に定めた環境ビジョンに基づき、事業活動を通じて、継続的に環境課題への取り組みを推進しており、中でも気候変動については重要な課題であると認識しています。気候変動における移行リスクと物理リスクは、当社グループの事業への影響を及ぼす可能性があります。移行リスクとしては、炭素税など法規制の厳格化といった政策動向の変化、低炭素社会に対応できない企業に対する需要低下やレピュテーション悪化、物理リスクとしては、地球温暖化による降雪量減少によるスキー場運営事業への影響や、異常気象の激甚化による建物被害や工事期間の延長によるコスト増などが想定され、事業へ悪影響を及ぼす可能性があります。
当該リスクについては、当社のグループサステナビリティ推進部を主管部署とし、事業部門と協働してグループ横断的に取り組んでいます。取り組みの内容についてはサステナビリティ委員会で審議・協議し、必要に応じて取締役会に報告しています。
当社は「TCFD(気候関連財務情報開示タスクフォース)提言」に2019年より賛同し、その取り組みについて議論する「TCFDコンソーシアム」にも参加しております。気候変動の事業へのリスクと機会については、都市・リゾート・住宅・再生可能エネルギーの主要事業において、「1.5℃」「3℃」「4℃」の複数シナリオについて検証を実施し、経営戦略に反映しております。またTCFD提言に基づき、「ガバナンス」・「戦略」・「リスク管理」・「指標と目標」に分類した開示も実施いたしました。(詳細はhttps://tokyu-fudosan-hd-csr.disclosure.site/ja/themes/54をご参照ください)
④ IT戦略リスク・デジタル戦略リスク
当社グループ及び社会を取り巻くIT環境は目覚ましく進化しており、技術革新や顧客需要の変化に対して当社グループが適切かつ迅速に対応できなかった場合には、将来的に当社グループの経営成績及び財務状況等に影響を及ぼす可能性があります。
当該リスクについては当社のグループDX推進部を主管部署とし、新規技術の各事業への応用可能性等を検討しております。
⑤ 人事労務リスク
当社グループでは専門性の高い人財を強みの1つと認識しております。しかし、昨今の少子高齢化等の社会構造変化により人財の継続的な確保や育成が達成出来ない場合、当社グループの成長を阻害する大きな要因となる可能性があります。
当該リスクについては当社のグループ人事部を主管部署とし、長時間労働の削減や有給休暇の取得奨励はもちろん、テレワークや在宅勤務制度等、社員の多様な働き方に対応した施策で、従業員に選ばれる企業を目指しております。また、働き方や働く場所が多様化し、適正な労務マネジメントの重要性が高まっており、2023年度よりグループ重点対策として、「適正な労務マネジメント(労働時間の適正な把握・管理」を実施いたします。関係する各社の制度や運用、啓発活動の状況を網羅的に調査、把握し、リスクマネジメント委員会への報告を行う予定です。
⑥ 情報セキュリティリスク
当社グループでは、都市開発事業セグメントや管理運営事業セグメント、不動産流通事業セグメント等において多くのお客さまの個人情報を取り扱っております。サイバー攻撃や当社グループ従業員によって情報漏洩が発生した場合、当社グループの社会的信用やブランドイメージの低下、当社グループの経営成績及び財務状況等に影響を及ぼす可能性があります。
当該リスクについては当社のグループ総務部及びグループDX推進部を主管部署とし、セキュリティ対策等による情報システムの強化や、標的型攻撃メール訓練等の研修実施による社員のリテラシー向上施策等を行っております。
⑦ 危機管理対応
国内外の地震、暴風雨、洪水その他の天災地変、テロ、事故、火災、疫病その他の人災等が発生した場合や、環境問題、不動産の瑕疵が判明した場合又は人口の変動が極端に進んだ場合等には、保有資産の毀損や補償の義務履行等に関連して紛争が発生する等、当社グループの業績や財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
当該リスクについては当社のグループ総務部を主管部署とし、災害等発生時に必要となる安全対策やBCPの整備や、各種災害を想定した訓練の実施により、影響を最小限に抑えるべく取り組みを行っております。
⑧ 法務コンプライアンスリスク
当社グループの社員や事業活動において、法令等に抵触する事態が発生した場合や、発生した損害に対する賠償金の支払い等が必要となる場合には、当社グループの社会的信用やブランドイメージの低下、当社グループの経営成績及び財務状況等に影響を及ぼす可能性があります。
当該リスクについては当社のグループ法務部を主管部署とし、コンプライアンスを実現するための活動計画(コンプライアンス・プログラム)の策定・推進など、グループ各社においてコンプライアンス体制を構築し、コンプライアンス経営の徹底に努めております。具体的には、東急不動産ホールディングスグループの全役員及び従業員の行動の規範となる「東急不動産ホールディングスグループ行動基準」を定めるとともに、その理解・実践のための具体的マニュアルとして、「東急不動産ホールディングスグループ コンプライアンスマニュアル」を策定し、定期的に研修などを行うことで、全役員及び従業員に対しコンプライアンスの周知・徹底を図っています。
(2)リスク管理体制
個別の重要リスクはリスクの種類に応じてリスクマネジメント委員会及びグループ経営会議が各々管理し、リスク全体の統括的な管理はリスクマネジメント委員会が行い取締役会へ報告いたします。
リスクマネジメント委員会では、グループ横断的に管理が必要と考えられるグループ重点対策リスクの管理と、グループ各社のリスク管理状況の把握、評価を行います。
グループ重点対策リスクには、主管部署を定めて、リスク管理のPDCAを徹底いたします。また、グループ各社のリスク管理状況をリスクマネジメント委員会において把握、評価することによりグループ全体のリスク管理体制を強化いたします。
また、内部監査を通じて管理体制および管理業務の十分性を確認するとともに、重大リスクに関する監査を優先度に応じて計画的に実施しています。緊急かつ重大な損失の危険に対しては、「緊急時対応基本規程」に基づいて情報伝達および意思決定を行い、被害を最小限にとどめる対応を行います。
(1)経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
① 財政状態及び経営成績の状況
財政状態
当連結会計年度末の資産残高は2兆7,385億円となりました。資産の部では、販売用不動産への投資等の進捗により、前連結会計年度末から合計1,041億円増加しました。当連結会計年度末の負債残高については2兆378億円となり、有利子負債の増加等により、前連結会計年度末から合計467億円増加しております。当連結会計年度末の純資産残高については7,007億円となり、利益剰余金等の増加により、前連結会計年度末から合計574億円増加しております。
経営成績
当連結会計年度の業績は、売上高10,058億円(対前期+1.7%)、営業利益1,104億円(同+31.7%)、経常利益996億円(同+36.7%)と、堅調な不動産市場を背景とした売買マーケットや分譲マンションの好調、行動制限や水際対策の緩和によるホテル事業の回復等により増収増益となりました。
「中期経営計画2025」に基づき効率性向上に向けた事業構造改革を進めたこと等により、特別利益として関係会社株式売却益等19億円(前期は特別利益71億円)、特別損失として減損損失等313億円(前期は特別損失240億円)を計上し、親会社株主に帰属する当期純利益は482億円(同+37.3%)となりました。
当連結会計年度の売上高、営業利益、経常利益、親会社株主に帰属する当期純利益は、ホールディングス体制への移行前も含めて、過去最高となりました。
|
|
|
|
(単位:億円) |
|
|
前期 |
当期 |
比較 |
|
売上高 |
9,890 |
10,058 |
168 |
|
営業利益 |
838 |
1,104 |
266 |
|
経常利益 |
728 |
996 |
267 |
|
親会社株主に帰属する当期純利益 |
351 |
482 |
131 |
|
|
|
|
|
|
有利子負債 |
14,217 |
14,829 |
612 |
<セグメント別業績>
|
売上高 |
|
(単位:億円) |
|
営業利益 |
|
(単位:億円) |
||
|
|
前期 |
当期 |
比較 |
|
|
前期 |
当期 |
比較 |
|
合計 |
9,890 |
10,058 |
168 |
|
合計 |
838 |
1,104 |
266 |
|
都市開発 |
3,258 |
3,461 |
203 |
|
都市開発 |
519 |
586 |
67 |
|
戦略投資 |
670 |
788 |
118 |
|
戦略投資 |
147 |
152 |
5 |
|
管理運営 |
3,838 |
3,371 |
△466 |
|
管理運営 |
△1 |
123 |
124 |
|
不動産流通 |
2,345 |
2,630 |
284 |
|
不動産流通 |
261 |
337 |
75 |
|
全社・消去 |
△220 |
△191 |
29 |
|
全社・消去 |
△89 |
△94 |
△6 |
イ.都市開発事業
売上高は3,461億円(対前期+6.2%)、営業利益は586億円(同+12.9%)となりました。
下段売上高内訳の「住宅分譲」では、分譲マンションの計上戸数減少により減収となった一方で、「都市(賃貸オフィス)」では、「九段会館テラス」(東京都千代田区)の新規開業、「都市(賃貸商業施設)」では、東急プラザを始めとする当社グループの主要な商業施設の一定の回復、「都市その他」「住宅その他」でのアセット売却増等により増収となり、セグメント全体では増収増益となりました。
オフィスマーケットは、テレワーク等の働き方の多様化により、オフィスビルの需要縮小等が懸念されておりましたが、当社が数多く保有する渋谷エリアを中心に堅調に推移しており、空室率(オフィスビル・商業施設)は1.1%と低水準を維持しております。
分譲マンションの販売は、引き続き底堅い需要により堅調に推移しております。当期の分譲マンションは、「ブランズ上目黒諏訪山」(東京都目黒区)、「ブランズシティ南草津」(滋賀県草津市)を新規竣工引渡物件として計上した他、完成在庫の販売も進捗しております。なお、マンションの次期売上予想に対する契約済み割合は82%(同+24P)となっております。
|
|
|
|
|
|
|
(億円) |
|
|
前期 |
当期 |
比較 |
|
通期予想 (11月9日公表) |
対予想 |
|
売上高 |
3,258 |
3,461 |
203 |
|
3,480 |
△19 |
|
営業利益 |
519 |
586 |
67 |
|
513 |
73 |
|
売上高内訳 |
|
|
(億円) |
|
|
前期 |
当期 |
比較 |
|
都市 |
1,694 |
2,007 |
314 |
|
都市(賃貸オフィス) |
510 |
547 |
37 |
|
都市(賃貸商業施設) |
396 |
403 |
7 |
|
都市その他 |
788 |
1,058 |
270 |
|
住宅 |
1,564 |
1,453 |
△111 |
|
住宅分譲 |
1,399 |
955 |
△443 |
|
住宅その他 |
166 |
498 |
332 |
賃貸オフィス・賃貸商業施設:空室率
|
2020年3月期末 |
2021年3月期末 |
2022年3月期末 |
2023年3月期末 |
|
0.6% |
1.3% |
1.3% |
1.1% |
※新規竣工した「九段会館テラス」を除く2023年3月期末の空室率:0.7%
主な開業物件(2023年3月期開業物件)
|
|
用途 |
竣工時期 |
延床面積 |
|
九段会館テラス |
オフィス・商業 |
2022年7月 |
68千㎡ |
|
住宅分譲:分譲マンション |
(戸) |
|||
|
|
前期 |
当期 |
比較 |
|
|
計上戸数 |
2,194 |
1,369 |
△825 |
|
|
新規供給戸数 |
1,549 |
1,310 |
△239 |
|
|
契約戸数 |
1,833 |
1,562 |
△271 |
|
|
期末完成在庫 |
661 |
200 |
△461 |
|
ロ.戦略投資事業
売上高は788億円(対前期+17.6%)、営業利益は152億円(同+3.4%)となりました。
下段売上高内訳の「インフラ・インダストリー」は、物流施設のアセット売却や再生可能エネルギー事業の稼働施設の増加等により増収となり、セグメント全体で増収増益となりました。
再生可能エネルギー事業は、稼働施設が計画通り増加する等、順調に拡大しており、全施設稼働後の総定格容量(持分換算前)は、1,577MWの規模となります。
|
|
|
|
|
|
|
(億円) |
|
|
前期 |
当期 |
比較 |
|
通期予想 (11月9日公表) |
対予想 |
|
売上高 |
670 |
788 |
118 |
|
750 |
38 |
|
営業利益 |
147 |
152 |
5 |
|
118 |
34 |
|
売上高内訳 |
|
|
(億円) |
|
|
前期 |
当期 |
比較 |
|
インフラ・インダストリー |
528 |
633 |
106 |
|
投資運用 |
83 |
89 |
6 |
|
海外 |
59 |
65 |
6 |
再生可能エネルギー発電施設
|
|
2020年3月期末 |
2021年3月期末 |
2022年3月期末 |
2023年3月期末 |
|
稼働施設数(件) |
30 |
38 |
66 |
65 |
|
稼働済定格容量(MW) |
487 |
730 |
882 |
1,034 |
※稼働済定格容量は、持分換算前の容量を記載しております。
※2023年3月期末より、稼働施設数、稼働済定格容量からルーフトップ(屋根上太陽光発電設備)を除いておりま
す。
ハ.管理運営事業
売上高は3,371億円(対前期△12.1%)、営業利益は123億円(黒字転換)となりました。
前連結会計年度は、新型コロナウイルス感染拡大に伴い、一部の自治体において緊急事態宣言やまん延防止等重点措置が発令され、運営施設は休業や営業時間の短縮等の影響がありましたが、当連結会計年度は、行動制限や水際対策の緩和等もあり、ホテル事業を中心に需要の回復がみられました。
下段売上高内訳の「管理」は、マンション工事の増加等により増収、「ウェルネス」は、前期におけるアセット売却収益の反動減の一方でホテルを中心とした需要の回復等により増収、「ハンズ」は、株式譲渡に伴い前連結会計年度末より当社の連結範囲から除外されたため減収となり、セグメント全体では減収増益となりました。
|
|
|
|
|
|
|
(億円) |
|
|
前期 |
当期 |
比較 |
|
通期予想 (11月9日公表) |
対予想 |
|
売上高 |
3,838 |
3,371 |
△466 |
|
3,390 |
△19 |
|
営業利益 |
△1 |
123 |
124 |
|
114 |
9 |
|
売上高内訳 |
|
(億円) |
|
|
|
前期 |
当期 |
比較 |
|
管理 |
2,060 |
2,131 |
71 |
|
マンション管理 |
1,273 |
1,312 |
39 |
|
ビル管理 |
786 |
819 |
32 |
|
ウェルネス |
1,073 |
1,103 |
31 |
|
ホテル |
285 |
422 |
138 |
|
レジャー |
160 |
191 |
30 |
|
ヘルスケア |
238 |
265 |
27 |
|
ウェルネスその他 |
390 |
225 |
△165 |
|
ハンズ |
567 |
- |
△567 |
|
環境緑化等 |
138 |
137 |
△1 |
※ホテル :ハーヴェストクラブ、東急ステイ、リゾートホテル等
※レジャー :ゴルフ場、スキー場等
※ヘルスケア:シニア住宅、フィットネス施設等
※ハンズ :株式会社東急ハンズの全発行済株式の譲渡に伴い、前連結会計年度末より当社の連結範囲から除外
(2022年10月1日より株式会社ハンズに会社名を変更しています)
|
期末管理物件数 |
|
|
|
|
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|
2020年3月期末 |
2021年3月期末 |
2022年3月期末 |
2023年3月期末 |
|
マンション(戸) |
829,533 |
839,891 |
831,603 |
867,891 |
|
ビル等 (件) |
1,561 |
1,532 |
1,626 |
1,656 |
ニ.不動産流通事業
売上高は2,630億円(対前期+12.1%)、営業利益は337億円(同+28.9%)となりました。
下段売上高内訳の「売買仲介」は、活況な不動産流通市場を捉えた取扱件数・平均取扱価格の上昇により、また「不動産販売」は、開発案件および大型案件の計上増等により増収となり、セグメント全体で増収増益となりました。
|
|
|
|
|
|
|
(億円) |
|
|
前期 |
当期 |
比較 |
|
通期予想 (11月9日公表) |
対予想 |
|
売上高 |
2,345 |
2,630 |
284 |
|
2,630 |
△0 |
|
営業利益 |
261 |
337 |
75 |
|
310 |
27 |
|
売上高内訳 |
|
|
(億円) |
|
|
前期 |
当期 |
比較 |
|
仲介 |
1,467 |
1,642 |
175 |
|
売買仲介 |
690 |
800 |
110 |
|
不動産販売 |
706 |
772 |
66 |
|
販売受託等 |
71 |
70 |
△1 |
|
賃貸住宅サービス |
878 |
987 |
109 |
|
売買仲介 |
|
|
|
|
|
|
2020年3月期末 |
2021年3月期末 |
2022年3月期末 |
2023年3月期末 |
|
取扱件数(件) |
26,437 |
25,635 |
28,750 |
29,577 |
|
取扱高(億円) |
13,159 |
12,265 |
15,780 |
18,213 |
※リテール、ホールセールの合計値です。
② キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末における現金及び現金同等物の残高は1,706億円となり、前期末と比較して168億円の増加となりました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりです。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動によるキャッシュ・フローは、法人税等の支払△298億円等により資金減少の一方、税金等調整前当期純利益702億円、減価償却費445億円等により、947億円の資金増加となりました。
(投資活動におけるキャッシュ・フロー)
投資活動によるキャッシュ・フローは、有価証券及び投資有価証券の売却及び償還による収入125億円等の資金増加の一方、固定資産の取得△846億円、有価証券及び投資有価証券の取得△396億円等により、1,201億円の資金減少となりました。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動によるキャッシュ・フローは、長期借入金の返済△1,515億円、社債の償還△200億円等の一方で、長期借入金の調達2,091億円等により、428億円の資金増加となりました。
③ 生産、受注及び販売の実績
生産、受注及び販売の実績については、「① 財政状態及び経営成績の状況」における各セグメント業績に関連付けて示しております。
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであり、実際の業績等はこれらの見通しとは異なることがあります。
① 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものについては、「第5 経理の状況 1連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載のとおりであります。
② 経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
イ.財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容
当連結会計年度における我が国経済は、ウィズコロナのもと感染症対策等と経済活動との両立が進んだことで緩やかながらも回復基調となった一方、世界的な金融引き締め、地政学リスクの顕在化による供給面の制約等が事業環境に影響を及ぼしました。
このような状況のもと、当社グループは、「中期経営計画2025」に掲げる、「アフターコロナの再成長に向けた稼ぐ力と効率性の向上」の実現に向けて、事業ポートフォリオの再構築を着実に推進するとともに、全社方針である「環境経営」と「DX」を通じた独自性のある価値創出に取り組んでまいりました。当事業年度は、事業ポートフォリオマネジメントでは、「中期経営計画2025」において、「抜本的な再構築」の対象とした事業について、売却や外部連携等を含めて改革を推進し、その目処を付けることができました。今後は、事業環境の変化をしっかりと見据えながら、定量評価と定性評価の2軸で事業ポートフォリオを管理し、各事業の変革と成長を実現してまいります。
財政状態については、当期末の総資産は2兆7,385億円で、販売用不動産への投資等が進捗し対前期末1,041億円増加、当期末の総負債についても有利子負債の増加等により、2兆378億円と、対前期末467億円増加しております。当期末の純資産については利益剰余金等が増加し、7,007億円と、対前期末574億円増加しております。財務資本戦略として、「資産のコントロール」と「負債・自己資本のコントロール」を通じて、財務規律を維持しながら、効率性を意識した利益成長を実現し、ROE向上およびEPS成長、ひいては株主価値・企業価値向上を目指します。
セグメントごとの経営成績は、次のとおりであります。
・都市開発事業セグメント
都市事業では、2022年10月「九段会館テラス」の新規開業、東急プラザを始めとする当社グループの主要な商業施設の一定の回復、活況な不動産売買市況によるアセット売却の増加等によって増収増益となりました。住宅事業では、「住宅分譲」の分譲マンションの計上戸数減少の一方、賃貸住宅等のアセット売却が増加となり、セグメント全体では増収増益となりました。
オフィス市場は、テレワーク等の働き方の多様化により、オフィスビルの需要縮小等が懸念されておりましたが、当社が数多く保有する渋谷エリアを中心に堅調に推移しており、当社グループ保有物件における2023年3月末時点での空室率(オフィスビル・商業施設)は1.1%と、引き続き低水準を維持しております。
当社ポートフォリオにおいては、空室率及び賃料に大きな変化は見られませんが、東京都心における新規オフィスの供給状況、各テナント企業のアフターコロナのオフィス戦略には注視が必要です。またコロナ禍を受け従業員の働き方の多様化、企業の環境や健康経営への関心の高まりなど、社会から問われる課題は高度化している中、東急不動産㈱のオフィスでは、テナント企業に働く場所を提供するだけでなく、ハード・ソフトの両面で様々な付加価値サービスを提供するため、新しい働き方として「GREEN WORK STYLE」の提案を行っております。センターオフィスを中心にシェアオフィスなど様々なワークプレイスの提供や、再生可能エネルギーを活用した環境への取り組み、従業員の健康やライフスタイルを充実させる取り組みなど、当社グループのリソースを活用したワンストップでのご提案により、テナント企業の企業価値向上と従業員のウェルビーイングに貢献してまいります。
大型開発プロジェクトについては、2020年9月に開業した当社グループ最大規模のオフィスビルである「東京ポートシティ竹芝オフィスタワー」は開業時より満室で稼働しております。2022年10月に開業した「九段会館テラス」は、歴史的建造物の創建当時の貴重な技術や素材を活かして保存・復原を行った保存部分と、お濠を臨みIoTを活用した地上17階建ての最新鋭のオフィスとなる新築部分が融合した施設で、テナントリーシングは既に100%契約済みとなっております。今後の竣工物件としては、当社グループで最大規模となる「Shibuya Sakura Stage」(渋谷駅桜丘口地区再開発計画)が2023年11月に竣工予定で、その他にも2023年10月開業予定の「Forestgate Daikanyama」(代官山町プロジェクト)、2023年秋開業予定の「COCONO SUSUKINO」(札幌すすきの駅前複合再開発計画)の大型物件が順次開業を迎えます。引き続き「広域渋谷圏」の内外においても、複数の開発案件が進行しております。
商業施設については、東急プラザを始めとする当社グループの主要な施設は、新型コロナウイルス感染拡大影響から一定の回復をしております。インバウンド消費の回復、EC市場拡大継続など消費行動の変化に対応したリーシング活動の推進、新たな価値提供に向けたリニューアルの実施などを進めてまいります。
分譲マンション市場は、都心立地や利便性を重視する顧客志向、在宅勤務を契機とした住宅の質の改善、住宅ローン金利の低位安定等、購買環境が引き続き良好なこともあり、実需層を中心に、当社グループのマンション販売は堅調に推移しており、2024年3月期の期初時点での分譲マンションの通期売上予想に対する契約済割合は82%となっております。「BRANZ(ブランズ)」のブランドで首都圏や関西圏を中心に分譲マンション事業を行っており、高付加価値の再開発物件に重点を置いた事業の強化や、持続可能で心地よい暮らしと環境
貢献実現のために新たな発想や仕組みを取り入れた「環境先進マンション」の開発に注力しております。建築工事費については、資材価格の高騰や慢性的な人工不足によりコスト上昇傾向にありますが、引き続き状況を注視しながら、工事金のコントロールを図ってまいります。
2024年3月期の当セグメントにおいては、新規物件の取得環境が過熱する状況の中での厳選投資及び、「Shibuya Sakura Stage」をはじめとした大型開発案件の着実な推進が重点課題となっております。また、分譲マンションの市況は、堅調に推移しており、引き続き着実に販売を進める方針です。
環境対応として、2022年12月には東急不動産㈱の自社事業所やオフィスビル・商業施設をはじめとした全ての保有施設において、使用電力の再生可能エネルギー電力への切替を完了した他、2026年3月期に新築ビル(着工件数ベース)の約50%をZEB水準とすることを目標に掲げるなど、先駆的に取り組んでおります。住宅事業においては、中期経営計画からの目標を前倒して、2023年度以降に着工する分譲マンション「BRANZ」の全物件でZEH相当の環境性能とすることを決定、さらに「低炭素建築物」の認定も業界に先駆けて全棟にて取得いたします。また2025年度以降に着工する都市型賃貸レジデンス「COMFORIA(コンフォリア)」、学生レジデンス「CAMPUS VILLAGE(キャンパスヴィレッジ)」の全棟でも、ZEH相当の環境性能といたします。
・戦略投資事業セグメント
インフラ・インダストリー事業は、物流施設のアセット売却や再生可能エネルギー事業の稼働施設の増加等により、増収増益となりました。
当社グループが、近年事業規模を拡大させてきた再生可能エネルギー事業は、FIT制度によって売電価格が固定されており、景気変動等に対する影響が少なく、安定的に収益に寄与する事業です。「ReENE(リエネ)」のブランド名で太陽光発電所、風力発電所などの開発に注力しており、稼働案件も着実に増やしております。外部環境としては、政府が2030年度の電源構成において、再生可能エネルギーの割合を36~38%に増加させる方針に加え、2050年までに温室効果ガスの排出を0にする2050年カーボンニュートラルを掲げており、今後も市場が拡大していくと見込まれます。
再生可能エネルギー事業の重要性の高まりにより、案件の取得環境は過熱しておりますが、さらなる規模拡大に向け、開発の中心を従来の太陽光発電から風力発電にシフト、PPAモデルやソーラーシェア等の新たな事業モデルの検討、パートナー共創による事業領域の拡大を図っていきます。2023年3月末時点での定格容量は約1.6GW(持分換算前・開発中プロジェクト含む)で、2025年度には原子力発電所2基分相当となる2.1GWへ拡大させていく予定です。
物流施設は、EC市場の成長により引き続き需要拡大が見込める環境であり、再生可能エネルギーの活用やCASBEE認証取得等の環境配慮型施設など、当社グループならではの付加価値を創出し、他社との差別化を図りながら、回転型事業として今後も事業の拡大を進めてまいります。
海外事業においては、米国投資事業のさらなる成長、アジアにおける事業領域の拡大など、対象国を厳選した上で、関与資産を拡大して、管理やアセットマネジメントなどのグループノウハウを活用した事業機会を創出し、中長期的な「営業利益100億円体制」の構築を図ります。また、昨今の海外の政策金利上昇や銀行破綻による影響などを注視しつつ、事業リスク低減に向けた既存事業の見直し及び収益性向上に向けた取り組みを推進してまいります。
・管理運営事業セグメント
㈱東急コミュニティーにおける管理事業では、マンション工事の増加等により増収、東急不動産㈱のウェルネス事業では、行動制限や水際対策の緩和等もあり、「ホテル」を中心とした需要の回復等により増収、セグメント全体ではハンズ事業の連結除外等により減収の一方、増益となりました。
マンション管理やビル管理の管理事業における事業環境は、人材不足・採用難、資材・労務費高騰、マンション新規供給減、大型複合開発やPFI・コンセッション事業の案件増加、2023年3月期より開始となったマンション管理適正評価制度と管理計画認定制度への対応、環境対応やアフターコロナへの移行等の社会課題の顕在化などを課題として認識しております。重点課題としては、管理業においては、ストック拡大に頼った利益成長ではなく、「量」から「質」への転換及び質の向上により、生産性・収益性の改善及び事業ドメインの拡大を図ってまいります。工事業においては当社グループのシナジーを最大限活用した営業強化を進める方針です。
ウェルネス事業においては、2023年3月期はホテルを中心とした需要の回復がみられ、業績は改善しております。また、事業ポートフォリオの見直しを図り、抜本的な再構築が必要な事業については、構造改革の目途づけは完了しました。今後はホテル・レジャー事業では、国内及びインバウンド需要の回復を捉えた運営収益拡大に向けた取り組みの実施、会員制ホテル及びコンドミニアムの開発事業利益拡大に向けた事業推進、ヘルスケア事業では、業界大手のパートナーとの資本提携により、共同での販促、購買などの強化を促進し早期黒字化を目指してまいります。
・不動産流通事業セグメント
東急リバブル㈱における売買仲介のリテール部門・ホールセール部門は、活況な不動産流通市場により取扱件数及び平均取扱価格の上昇、また不動産販売における開発案件及び大型物件の計上増等により、セグメント全体で増収増益となりました。
仲介事業における事業環境は、低金利の継続、テレワークの普及等に伴う個人の土地・戸建の購買意欲の高まりを背景に、都心・郊外のエリアを問わず好調な取引が行われました。また、企業および投資家などによる不動産投資市場についても、円安、低金利を背景に海外ファンドの対日投資は旺盛な取引が行われました。今後も新築分譲マンション市場の縮小により中古住宅市場の拡大が見込まれるため、引き続き、店舗展開による収益基盤の拡大に注力する一方、長期的にはITの進化等による事業構造の変化への注視が必要と認識しております。DX活用による営業活動の効率化や、リテール部門における取引件数の更なる積み上げ、ホールセール部門における事業領域の拡大を目的とした法人戦略の強化等を重点課題として考えております。
DX活用による営業活動の効率化として、「マンション価格査定AI」を導入いたしました。実際の査定データとデータサイエンスを活用し、誤差率を低水準に抑えたAIの開発に成功しました。東急リバブルでは年間30,000件超のマンション査定を首都圏エリアで受託しており、このAIを活用することで約15,000時間の削減効果を見込んでいます。削減された時間は、人の力でしか出来ない顧客接点の深化・拡大業務に充てることで、人的資源の最大化を図る方針です。そして将来的には、本システムの外部提供も検討してまいります。また、販売受託業においても新しい取り組みとして、2022年5月には東急リバブル㈱の分譲マンションや受託物件を中心に、デジタル技術を活用し複数の物件を一拠点で販売できる事務所を開設いたしました。
ロ.キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報
「GROUP VISION 2030」で掲げた財務資本戦略として、「資産のコントロール」と「負債・自己資本のコントロール」を通じて、財務規律を維持しながら、効率性を意識した利益成長を実現し、ROE向上およびEPS成長、ひいては株主価値・企業価値向上を目指します。
「資産のコントロール」では、既存事業の効率性向上と事業ポートフォリオの最適化が課題です。既存事業の効率性向上の具体的な施策として、資産活用型事業においては、分譲事業、循環型再投資事業、高効率事業の拡大、大型開発プロジェクトの着実な稼働、外部資本活用やフィー収入の拡大、資産ポートフォリオ入替、低収益資産の売却などに取り組みます。人財活用型事業では、規模の成長と共に労働集約型からの脱却などにより効率性を向上します。
「負債・自己資本のコントロール」では、財務規律を維持しながら、市況悪化時にも耐えうる財務基盤を構築し、円滑な資金調達を目的とした格付維持向上を図ります。引き続き、期間利益の積上げによりD/Eレシオを改善してまいります。
なお、当連結会計年度におけるセグメントごとの資産、有形固定資産及び無形固定資産の増加額の内訳は以下のとおりです。
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|
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|
|
|
(単位:百万円) |
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都市開発 |
戦略投資 |
管理運営 |
不動産流通 |
調整額 |
連結 財務諸表 計上額 |
|
セグメント資産 |
1,644,082 |
537,028 |
407,569 |
223,015 |
△73,237 |
2,738,458 |
|
有形固定資産及び無形固定資産の増加額 |
44,646 |
18,890 |
13,181 |
5,754 |
1,500 |
83,974 |
当社グループの主要な資金需要は、都市開発事業セグメントにおけるオフィスビルや商業施設、分譲マンションや賃貸住宅等の取得・開発資金、戦略投資事業セグメントにおける再生可能エネルギー発電施設、物流施設等の取得・開発資金、海外事業への出資、管理運営事業セグメントのウェルネス事業におけるリゾート施設等の取得・開発資金等であります。これらの資金需要につきましては、営業活動によるキャッシュ・フローのほか、金融機関からの借入や社債発行による資金調達等にて対応していくこととしております。また、手許の運転資金につきましては、当社及び一部の連結子会社においてCMS(キャッシュ・マネジメント・システム)を導入することにより、各社における余剰資金を当社へ集中し、一元管理を行うことで、資金効率の向上を図っております。
当連結会計年度においては、営業活動によるキャッシュ・フローは、減価償却費の増加等により947億円の資金増加となりました。投資活動によるキャッシュ・フローは、固定資産の取得や有価証券及び投資有価証券の取得等により1,201億円の減少となりました。財務活動によるキャッシュ・フローは、有利子負債の増加等により428億円増加し、現金等の期末残高が1,706億円となりました。翌連結会計年度においても、オフィスビルや商業施設、再生可能エネルギー施設や物流施設等への投資が計画されておりますが、営業活動によるキャッシュ・フローのほか、借入金の調達等の財務活動によるキャッシュ・フローで対応していく予定です。
当社グループの当連結会計年度におけるキャッシュ・フローの実績及び、翌連結会計年度における予想は以下のとおりです。
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(単位:億円) |
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2023年3月期 |
2024年3月期 (予想) |
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営業活動によるキャッシュ・フロー |
947 |
1,127 |
|
投資活動によるキャッシュ・フロー |
△1,201 |
△2,215 |
|
財務活動によるキャッシュ・フロー |
428 |
1,470 |
(注)2024年3月期(予想)の棚卸資産への投資は、投資活動によるキャッシュ・フローに含みます。
該当事項はありません。
該当事項はありません。