第2 【事業の状況】

 

1 【業績等の概要】

(1) 業績

 

平成28年3月期

(千円)

平成29年3月期

 (千円)

増減率

(%)

売上高

15,011,612

15,444,767

2.9

営業利益

1,963,951

1,906,646

△2.9

経常利益

1,958,461

1,997,288

2.0

親会社株主に帰属する
当期純利益

361,824

795,068

119.7

 

 

当連結会計年度におけるわが国経済は、各種金融政策等の効果により、企業収益並びに雇用・所得環境は緩やかに回復しつつあるものの、新興国経済の減速や英国のEU離脱問題及び米国の政権交代等に起因する新たな地政学的リスクによる世界経済への不安等により、依然として先行き不透明な状況が続いております。

当社グループを取り巻くデジタル関連市場においては、スマートフォンやタブレット端末の普及によるデバイスの複雑化並びにインターネット環境の飛躍的な進歩により、コンテンツ及びサービス等の変化に伴うビジネスモデルの多様化が急速に進んでおり、この流れを受け、当社グループの収益機会も増加するものと見込んでおります。

特に、当社グループの主力事業であるデバッグ事業と関連するソフトウェア・コンテンツ市場においては、高品質な製品開発に対する社会的ニーズが高まっていることから、開発会社では、高品質かつ迅速な製品の開発に経営資源を集中させることを目的として、デバッグ工程をアウトソーシングする傾向が強くなっております。

このため、当社グループでは、デバッグの国内拠点の拡張や前期より導入した正社員登用制度の活用等を通じて、引き続きテスター人員の確保・育成に注力し、受注体制の強化を図るとともに、平成28年7月に中国に新たに子会社を設立し、ゲーム開発が旺盛な中国ゲーム市場における積極的な営業活動に注力するなど、デバッグ事業の海外展開を推進して参りました。

また、新技術の進展に伴い多様化する顧客ニーズに対応するため、新サービスの開発や外部パートナーとの共同研究を推進して参りました。その取り組みの一環として、開発の活発化が見込まれるVR(仮想現実)分野においては、VRコンテンツに特化した独自のデバッグサービスの提供を行うとともに、VRの安全性について国立研究開発法人産業技術総合研究所との共同研究を開始し、さらに、多様な分野で実用化が進む人工知能分野においては、HEROZ株式会社と業務提携を締結し、ソフトウェア検証と人工知能技術を融合した新サービスの実用化に向けた取り組みを推進して参りました。

加えて、メディア事業及びクリエイティブ事業においても、独自性を追求したサービスを提供すべく、積極的なチャレンジを行うことで、収益機会の拡大を図って参りました。

以上の結果、当連結会計年度の売上高は、主にデバッグ事業が業績を牽引したことにより15,444,767千円(前期比2.9%増)、営業利益は1,906,646千円(前期比2.9%減)、経常利益は1,997,288千円(前期比2.0%増)となりました。親会社株主に帰属する当期純利益は、のれん及び固定資産の減損損失等を計上した一方、前期に発生した特別損失の反動により795,068千円(前期比119.7%増)となりました。

 

 

セグメント別の状況は、以下のとおりであります。

 

平成28年3月期

(千円)

平成29年3月期

(千円)

増減率

(%)

売上高

15,011,612

15,444,767

2.9

 デバッグ事業

11,138,089

12,283,285

10.3

 メディア事業

512,674

554,203

8.1

 クリエイティブ事業

1,729,228

1,465,765

△15.2

 その他

1,701,861

1,193,875

△29.8

 調整額

△70,242

△52,362

営業利益又は営業損失

1,963,951

1,906,646

△2.9

 デバッグ事業

2,555,519

2,740,427

7.2

 メディア事業

35,660

△24,789

 クリエイティブ事業

△224,162

△115,955

 その他

83,379

57,036

△31.6

 調整額

△486,445

△750,072

 

 

なお、各セグメントの売上高については、セグメント間の内部売上高又は振替高を含めて記載しており、セグメント利益又は損失は営業利益ベースとなっております。

 

① デバッグ事業

当セグメントにおいては、顧客企業が求める不具合のない高品質な製品開発に貢献すべく、製品の品質保持及び品質向上に必要不可欠な最終チェックを行うデバッグ工程のアウトソーシングサービスを提供しております。

デバッグ事業におけるリレーション別の売上高は以下のとおりであります。

 

平成28年3月期

(千円)

平成29年3月期

(千円)

増減率

(%)

コンシューマゲームリレーション

3,449,378

3,483,529

1.0

デジタルソリューションリレーション

5,676,620

7,021,574

23.7

アミューズメントリレーション

2,012,090

1,778,180

△11.6

デバッグ事業 合計

11,138,089

12,283,285

10.3

 

 

(ⅰ) コンシューマゲームリレーション

主に、コンシューマゲームソフト向けのデバッグサービスを提供している当該リレーションの関連市場であるコンシューマゲーム市場では、新型ハードである「Nintendo SwitchTM」が平成29年3月に発売され、同ハードに向けたタイトルの開発が活発化するなど、今後の市場のさらなる盛り上がりが期待されています。

このような状況のもと、当連結会計年度においては、積極的な営業活動に注力し、年末商戦期に発売された「PlayStation® 4」向けのタイトルのデバッグ案件を獲得するとともに、今後増加が見込まれるVRコンテンツに特化した付加価値の高いサービスの開発・提供を開始するなど、競争優位性の向上に努めて参りました。

さらに、新規参入した中国ゲーム市場においては、ソニー・インタラクティブエンタテインメント ジャパンアジアが主導する中国ゲーム開発サポートプロジェクト「China Hero Project」に品質管理パートナーとして参画するなど、中国におけるデバッグの重要性の啓発及びアウトソーシングの促進に努めて参りました。

その結果、当連結会計年度のデバッグ事業のうちコンシューマゲームリレーションの売上高は3,483,529千円(前期比1.0%増)となりました。

 

(ⅱ) デジタルソリューションリレーション

主に、モバイルコンテンツ向けのデバッグサービスを提供している当該リレーションの関連市場であるモバイルコンテンツ市場では、多種多様なスマートフォンアプリの充実化が進んでおり、特にネイティブアプリゲームをはじめとするソーシャルゲーム市場を中心に、引き続き安定的な市場の成長が見込まれております。

このような状況のもと、ソーシャルゲームの開発においては、コンテンツの競争優位性を確保することを目的に、ゲーム性豊かな、不具合のない高品質なコンテンツの開発に注力する傾向が高まっていることから、デバッグの重要性が増しております。また、リリース後の運営フェーズにおいても、人気タイトル同士のコラボレーションやゲーム内容の刷新等、ユーザーを継続的に魅了するための大規模なアップデートに係る開発が活発化していることから、運営フェーズにおけるデバッグの工数も増加しております。

このため、当社グループでは、前期より導入した正社員登用制度等を活用した中長期的な視点に基づく人材育成に注力することで、サービス品質の向上を図るとともに、付加価値の高いサービスを提供することで、増加するデバッグ需要を確実に受注へとつなげて参りました。

また、業務システムやECサイト等を対象としたシステム検証分野においては、提案力の向上及び積極的な営業活動に注力することで、新規案件や継続案件を獲得するとともに、HEROZ株式会社との業務提携により、人工知能技術を活用した新サービスの研究・開発を実施することで、さらなる成長に向けた取り組みを確実に推進して参りました。

さらに、自動車業界向けデバッグサービスにおいても、北米での走行テストを実施するなど、ビジネスのグローバル化を図り、平成28年11月には、自動車走行テストにおける走行距離の累計が10万Kmを突破するなど、そのノウハウを蓄積するとともに、それらを活かし、サービス品質のさらなる向上に努めて参りました。

以上の結果、当連結会計年度のデバッグ事業のうちデジタルソリューションリレーションの売上高は、7,021,574千円(前期比23.7%増)となり、デバッグ事業の成長を牽引する中核リレーションとして力強い成長を継続致しました。

 

(ⅲ) アミューズメントリレーション

主に、パチンコ及びパチスロ向けのデバッグサービスを提供している当該リレーションの関連市場である遊技機市場では、日本遊技機工業組合等をはじめとする業界団体を中心に射幸性を抑制した新基準機への移行が進められるなど、遊技産業のさらなる健全化に向け業界を取り巻く環境が大きく変化しており、これに伴い、顧客企業における開発スケジュールも依然として流動的な状態が継続しております。

このような状況のもと、当社グループでは、引き続き顧客企業との関係強化に取り組むとともに、効率的なデバッグ体制を提案することで、受注拡大に努めて参りました。

その結果、当連結会計年度のデバッグ事業のうちアミューズメントリレーションの売上高は1,778,180千円(前期比11.6%減)となりました。

 

以上の結果、当連結会計年度のデバッグ事業の売上高は12,283,285千円(前期比10.3%増)、セグメント利益は2,740,427千円(前期比7.2%増)となりました。

 

② メディア事業

当セグメントにおいては、日本最大級の総合ゲーム情報サイト「4Gamer.net」等の運営を通じ、サイト上でゲームメーカーをはじめとする顧客企業に広告サービスの提供を行い、プロモーション活動を支援しております。

当連結会計年度においては、ニュースメディアの枠を越えた新しいサービスの創造に注力しており、当社グループと相互補完的な事業領域を有している松竹ブロードキャスティング株式会社との資本業務提携を通じ、両社事業のさらなる拡大及び両社の企業価値向上に向けた取り組みを積極的に推進して参りました。

その一環として、世界最大級の格闘ゲーム大会「Evolution Championship Series」の日本開催に向け、有限責任事業組合を設立するなど着実に準備を進めるとともに、ゲーム音楽コンサート等のイベントの企画及び運営にも積極的に取り組み、新たな事業展開を図って参りました。

当連結会計年度のメディア事業の売上高は554,203千円(前期比8.1%増)、新たな事業展開に係る先行投資の実施によりセグメント損失は△24,789千円となりました。

 

③ クリエイティブ事業

当セグメントでは、ゲーム開発やCG映像制作等、コンテンツ制作におけるクリエイティブ領域全般にわたる制作サポートサービスを提供しております。

当連結会計年度においては、これまで培ってきた技術力を活かし、位置情報やSNSと連動するAR(拡張現実)アプリを開発するなど、着実な実績を積むとともに、前期に引き続き効率的な事業運営に努めて参りました。また、より一層の利益拡大を図るべく、新たな施策にも積極的に取り組んでおり、その一環として、他社との協業運営を軸としたレベニューシェアモデル案件を受注した一方、その開発スケジュールが大幅に遅延した影響を受け、営業損失となりました。

当連結会計年度のクリエイティブ事業の売上高は1,465,765千円(前期比15.2%減)、セグメント損失は△115,955千円となりました。

 

④ その他

その他の事業では、主にコンテンツプログラムから基幹システムまで幅広い開発を行う「システム開発事業」を展開しております。

当連結会計年度では、システム開発事業において、主要顧客の需要減少の影響を受け当連結会計年度のその他の事業の売上高は1,193,875千円(前期比29.8%減)、セグメント利益は57,036千円(前期比31.6%減)となりました。

 

(2) キャッシュ・フローの状況

当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下、「資金」という。)は、3,344,688千円となり、前連結会計年度における資金2,197,856千円に対し、1,146,832千円の増加となりました。

当連結会計年度における各キャッシュ・フローとそれらの要因は次のとおりであります。

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

営業活動の結果得られた資金は1,825,268千円(前連結会計年度は1,080,191千円の収入)となりました。

これは、主として税金等調整前当期純利益1,441,356千円及び減価償却費118,817千円並びにのれん償却費112,011千円等の資金増加項目が、法人税等の支払額772,732千円等の資金減少項目を上回ったことによるものであります。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

投資活動の結果支出した資金は610,152千円(前連結会計年度は17,005千円の支出)となりました。

これは、主として投資有価証券の取得による支出212,002千円及び連結の範囲の変更を伴う子会社株式の取得による支出200,136千円並びに敷金及び保証金の差入による支出119,566千円等の資金減少項目によるものであります。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

財務活動の結果支出した資金は69,677千円(前連結会計年度は1,913,392千円の支出)となりました。

これは、主として短期借入金の返済による支出1,399,564千円及び自己株式の取得による支出652,877千円等の資金減少項目が短期借入れによる収入1,700,000千円及び社債の発行による収入1,015,398千円の資金増加項目を上回ったことによるものであります。

 

 

2 【生産、受注及び販売の状況】

(1) 生産実績

事業の特性上、該当事項はありません。

(2) 受注実績

当連結会計年度における受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

受注高
(千円)

前期比
(%)

受注残高
(千円)

前期比
(%)

クリエイティブ事業

1,458,876

△12.8

211,829

△1.7

 

(注) 1.セグメント間の取引については相殺消去しております。

2.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。

3.当社グループの「デバッグ事業」及び「メディア事業」は、受注から役務提供までの所要日数が短く、期中の受注高と販売実績とがほぼ対応するため、記載を省略しています。

(3) 販売実績

当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

区分

当連結会計年度
(自 平成28年4月1日
 至 平成29年3月31日)

金額(千円)

前期比(%)

デバッグ
事業

コンシューマゲームリレーション

3,483,529

1.1

デジタルソリューションリレーション

7,015,048

23.8

アミューズメントリレーション

1,778,180

△11.4

小    計

12,276,759

10.4

メディア事業

554,203

8.2

クリエイティブ事業

1,462,494

△15.4

その他

1,151,311

△30.4

合    計

15,444,767

2.9

 

(注) 1.セグメント間の取引については相殺消去しております。

2.当連結会計年度における主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は、次のとおりであります。なお、前連結会計年度の株式会社スクウェア・エニックスについては、当該割合が100分の10未満のため記載を省略しております。

相手先

前連結会計年度

(自 平成27年4月1日

 至 平成28年3月31日)

当連結会計年度

(自 平成28年4月1日

 至 平成29年3月31日)

金額(千円)

割合(%)

金額(千円)

割合(%)

株式会社スクウェア・エニックス

1,990,902

12.9

株式会社ディー・エヌ・エー

1,540,454

10.3

1,986,271

12.9

 

3.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。

 

3 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

当社グループは、収益基盤の強化を図るとともにさらなる成長を実現するため、下記4点を主要な課題として認識し、その対応に取り組んで参ります。

 

(1) 人材の確保及び育成

当社グループが継続的に企業価値を向上させていくためには、高い専門性を有する優秀な人材の確保及び将来を担う人材の育成が経営上の重要な課題であると認識しております。

特に、当社グループの主力事業であるデバッグ事業においては、高品質なサービスをスピーディかつ継続的に提供できる組織体制を整備するため、多数の臨時従業員であるテスターを常時確保するとともに、人材育成を通じデバッグスキルの向上を図ることが不可欠となっております。

そのため、当社グループでは、株式会社デジタルハーツを中心に、人材確保を目的としたLab.(ラボ)の戦略的な全国展開や、正社員登用制度等を通じて、優秀な人材基盤の構築に継続的に取り組んで参ります。

また、海外子会社においては、株式会社デジタルハーツとの連携を通じ現地のテスターの教育研修活動を実施することで、グローバルなデバッグサービスの運営体制の基盤強化を図って参ります。

 

(2) サービスの付加価値向上について

当社グループを取り巻くデジタル関連市場においては、スマートフォンをはじめとするデバイスの高機能化に伴い、新たなコンテンツ及びサービスの開発が活発化しているため、それらの市場環境の変化及び顧客ニーズの多様化に柔軟に対応することが経営上の重要な課題であると認識しております。

当社グループでは、デバッグ事業を中心に培ってきた競争優位性及び多様性を原動力としつつ、事業及び地域の垣根を越えたグループ全体のノウハウを結集することで、開発からプロモーションまでの幅広い工程において包括的なサービスを顧客ニーズにあわせて提供するとともに、新サービスの開発にも積極的に取り組むことで、付加価値の高いサービスの提供に取り組んで参ります。

 

(3) サービスの海外展開について

当社グループは、海外へのサービス展開も長期持続的な成長を遂げていくためには取り組まねばならない経営上の重要な課題であると認識しております。

そのため、当社グループではデバッグ事業を、北米、韓国、タイ及び中国の海外子会社を通じて展開し、長期持続的な成長に向けた海外事業基盤の構築に努めて参りました。

今後も、高い収益性と成長性が期待される市場に対してサービスを提供することを基本方針とし、当社グループの事業運営をグローバルに推進致します。

 

(4) 事業領域の拡大及び新規事業の推進について

当社グループでは、デバッグ事業を収益の軸としつつも多様な収益源による安定的な成長を遂げていくためには、既存の事業領域を拡大するとともに新規事業を推進することが経営上の重要な課題であると認識しております。

そのため、M&A等を活用した多角的な事業規模の拡大や独自性を追求した新規サービスの開発に積極的に取り組んで参りました。今後も、新たな事業領域の開拓や新規事業の創出・発展に注力するとともに、多様な収益源による安定的な事業ポートフォリオの形成を目指して参ります。

 

4 【事業等のリスク】

当社グループの経営成績及び財政状態等に影響を及ぼす可能性があるリスク要因として考えられる主な事項には、以下のものがあります。

当社グループは、これらリスク要因を認識した上で、その発生自体の回避、あるいは発生した場合の対応に努める方針でありますが、これらはすべてのリスクを網羅したものではなく、予見しがたいリスク要因も存在するため、投資判断については、本項以外の記載内容もあわせて、慎重に検討した上で行われる必要があると考えております。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

(事業の内容についてのリスク要因)

(1) デバッグ業務のアウトソーシングの動向について

当社グループは、メーカーや開発会社等の顧客企業に対して、ソフトウェアの動作テストを通じて不具合を消費者的視点から検出し、その不具合情報を報告するという、ユーザーデバッグサービスを主に提供しております。

従来、不具合を検出するというデバッグ業務は、主にメーカーや開発会社の自社内において行われておりました。しかしながら、当社グループでは、消費者的視点で行われるユーザーデバッグサービスへの有用性の認識の向上や、自社内におけるデバッグ要員を常時雇用することによるコスト負担の増加等により、近年アウトソーシングが進んでいるものと考え、今後もデバッグ業務のアウトソーシングが進展することを前提とした事業計画を策定しておりますが、その歴史はまだ浅く、将来性を予測するには不透明な部分もあります。

そのため、当社グループの期待どおりにデバッグ業務のアウトソーシングが進展しなかった場合には、当社グループの事業や業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(2) 特定市場への依存度について

現在、当社グループの売上及び利益の多くの部分は、コンシューマゲーム、モバイルコンテンツ及びパチンコ・パチスロといった娯楽市場を対象としたユーザーデバッグサービスに依存しており、当社グループではこうした特定の市場への過度な依存を回避するため、娯楽市場以外の市場への進出を企図しております。

しかしながら、当社グループの娯楽市場以外の市場への進出前に、娯楽市場に大規模な減衰が生じた場合、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(3) 市場環境の変化について

当社グループは、ユーザーデバッグサービスにおいて、そのノウハウの蓄積や人材育成等、他社との差別化に努めております。

しかしながら、今後デバッグ業務のアウトソーシングが進むことにより、業界の市場規模が拡大し、新規参入企業が増加する可能性が高まることに伴い、人材流出等による当社グループのノウハウ等が流出し、外部の第三者が当社グループの技術及びノウハウ等を模倣して当社グループと類似するサービスの提供を行う可能性があります。

また、当社グループの関連市場である娯楽市場は技術革新の進歩も早く、それに応じた新製品も相次いで登場することより、顧客ニーズが恒常的に変化する傾向があり、これら進歩し続ける技術等への対応が遅れた場合、当社グループの提供するサービスが陳腐化し、競争力の低下を招く可能性があります。そのため、このような市場環境の変化やそれに伴う競争の激化が生じ、高い顧客満足度を与えられる水準のサービス提供ができなくなった場合、当社グループの事業や業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(4) 業績の変動要因について

当社グループのユーザーデバッグサービスは、基本的に顧客企業の開発・制作活動が完了した後に提供しており、顧客企業の開発案件単位で受注する形態であるため、顧客企業の開発・制作計画の大幅な変更または突発的な受注量の増減があった場合、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(5) サービスの瑕疵等について

当社グループが主に提供するユーザーデバッグサービスは、主として顧客企業から受託する、顧客企業の開発したソフトウェア等の検証業務であります。

当社グループは、一般的にソフトウェア等から不具合を完全に除去することはできず、ユーザーデバッグサービスは不具合の発見を主眼とするもので、製品の品質を保証するものではない旨を、顧客企業に理解してもらうことに努め、これまで顧客企業と良好な関係を築いてきております。しかしながら、何らかの理由により瑕疵担保責任等の責任の追及を受ける可能性は否定できません。この場合、当社グループの事業や業績に影響を及ぼす可能性があります。

また、当社グループでは、昨今、ユーザーデバッグサービスに付随するコンテンツのローカライズ、映像コンテンツ制作や開発案件等、当社グループで提供しうるサービスが拡大しており、それに伴い一部業務委託先からのサービス提供も受けております。

当社グループは、グループ各社に過大な責任が及ばないよう、当該責任を限定する取引条件になるよう努め、また、顧客企業へ高品質なサービスを提供するため、適切な業務委託先を選定しております。

しかしながら、全ての顧客企業と当該条件で取引することは難しく、当社グループの責任により、顧客企業より損害賠償責任等を追及される可能性は否定できず、また、これら業務委託先との契約が何らかの理由で終了し、またはこれらの業務委託先企業の倒産等の予期せぬ事態が生じた場合、当社グループの事業や業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(6) 人材の安定確保について

当社グループの提供するユーザーデバッグサービスの実作業は、多数の臨時従業員であるテスターに拠っております。そのため、テスターの確保は非常に重要であり、当社グループは、定期的にテスターを募集・採用し、また、テスターとのコミュニケーションも強化することで、人材の流出を防止するための諸施策を講じております。

しかしながら、何らかの理由で業務上必要とされる十分なテスターを雇用することができなかった場合には、円滑なサービス提供や積極的な受注活動が阻害され、当社グループの事業や業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(7) 機密情報及び個人情報の漏洩の危険について

当社グループは、デバッグ事業、メディア事業、クリエイティブ事業及びその他の事業を行う上で、顧客企業及びその他の関係者より機密情報を預かるため、当該機密情報の外部漏洩のないよう従業員と秘密保持契約を締結するとともに、とりわけ発売前の製品を取り扱うユーザーデバッグ事業においては、指紋認証システムによる入室管理、監視カメラによる24時間365日の監視等、様々な漏洩防止施策を講じ、情報の適正な取扱いと厳格な管理を進めております。

しかしながら、これらの施策にもかかわらず、何らかの理由により機密情報や個人情報が外部に漏洩した場合には、当社グループへの損害賠償責任の追及や社会的信用の喪失等により、当社グループの業績や財務状況に影響を及ぼす可能性があります。

 

(8) システム障害によるサービスの中断や停止について

当社グループは、顧客企業へのサービスの提供や営業活動においてインターネット環境に依存しているため、自然災害、戦争、テロ、事故、その他通信インフラの破損や故障、コンピュータウイルスやハッカーの犯罪行為等により、大規模なシステム障害が生じた場合には、当社グループの事業や業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(9) 他社との業務提携について

当社グループは、既存サービスによる売上の増加やコスト削減が見込まれる場合、また、新サービスを提供すること等により将来的な成長が見込まれると判断した場合には、相互に協力体制を構築できる企業と、積極的に業務提携によるパートナーシップを強化し、取引深耕を図っていく方針であります。

しかしながら、提携先との友好的な協力関係に変化が生じ、または期待したほどの相乗効果を得ることができない等の理由により、業務提携関係を維持することが困難となった場合、当社グループの事業や業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(10) 新規事業等の業容拡大について

当社グループは、ユーザーデバッグサービスの提供事業を軸として、幅広いビジネス展開を積極的に行っていく方針であります。そのため、進出先の市場動向の調査や参入形態の考慮を十分に行い、事業リスクの軽減を図りながら、国内外において市場のニーズに呼応した新規事業への進出、子会社の設立等を推進しております。

しかしながら、これら事業展開等の状況を正確に予測することは困難であり、当該事業展開に係る投融資額を回収することが困難となった場合には、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

(11) 企業買収による事業拡大について

当社グループは、事業規模の拡大及び多様な収益源の確保を目的として、ユーザーデバッグサービスの提供事業を軸としつつ幅広いビジネス展開を積極的に行う考えであり、そのための有効な手段の一つとして企業買収を活用していく方針であります。企業買収においては、対象となる企業の財務内容、契約関係及び事業の状況等について事前にデューデリジェンスを実施し、可能な限りリスクの低減に努めております。

しかしながら、企業買収後に、事業環境に急激な変化が生じた場合やその他予期し得ない理由により当初の計画通りに事業が進展しない場合には、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

(12) 海外における事業展開について

当社グループは引き続き積極的に海外におけるサービス展開の拡大を図っていく方針であります。しかしながら、海外での事業活動においては、予期せぬ法律または規制の変更、大規模な自然災害の発生、政治経済の変化、為替変動、商習慣の相違、雇用制度や労使慣行の相違、不利な影響を及ぼす租税制度の変更等により、当社グループの事業や業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(13) 著作権に関するリスクについて

当社グループは、運営するメディアにおいて多くの記事、図版等のコンテンツを掲載しており、それらのコンテンツが第三者の権利を侵害しないよう厳格な管理を実施しております。

しかしながら、何らかの理由により、それらのコンテンツが第三者の権利を侵害した場合には、当社グループへの損害賠償責任の追及や社会的信用の失墜等により、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

(法的規制について)

(1) 最低賃金法について

当社グループの提供するユーザーデバッグサービスの実作業は、多数の臨時従業員であるテスターに拠っているため、最低賃金法による「各都道府県の地域別または産業別の最低賃金」等の法的規制やその他の要因により、テスターの賃金が高騰した場合、当社グループの事業や業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(2) 労働者派遣法について

当社グループの事業収益には人材派遣によるものが含まれており、国内においては「労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の保護等に関する法律」(以下、「労働者派遣法」という。) に基づき、厚生労働大臣の「労働者派遣事業」の許可を取得し、人材派遣を行っております。

当社グループは、労働者派遣法を遵守し、派遣事業を運営しておりますが、万一法令に抵触するような事態が生じた場合、または関連法令やその解釈が変更された場合には、当社グループの事業や業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(3) 社会保険について

当社グループの多数の臨時従業員であるテスターのうち、一定の条件を満たしたテスターは、社会保険に加入しておりますが、関連法令やその解釈の変更により、社会保険加入の適用範囲が拡大され、現在加入義務のないテスターにも加入が義務付けられた場合には、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(4) 下請法について

当社グループは、サービスの拡大により、一部の業務を業務委託先に外注しており、当該業務委託先の一部は「下請代金支払遅延等防止法」(以下、「下請法」という。)の適用対象となります。

当社グループは、下請法を遵守しておりますが、万一法令に抵触するような事態が生じた場合、または関連法令やその解釈が変更された場合には、当社グループの事業や業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(その他)

資金調達について

当社グループは、第1回無担保転換社債型新株予約権付社債を平成28年6月9日に発行しました。当該新株予約権が行使された場合、株式へ転換される割合に応じて、当社の1株当たりの株式価値は希薄化し、その希薄化が株価形成に影響を及ぼす可能性があります。

 

5 【経営上の重要な契約等】

該当事項はありません。

 

 

6 【研究開発活動】

当連結会計年度の研究開発活動は、新技術の進展に伴い多様化する顧客ニーズに対応するため、新サービスの開発や外部パートナーとの共同研究を推進して参りました。

当連結会計年度における当社グループが支出した研究開発費の総額は3,419千円であります。

   (1) デバッグ事業 コンシューマゲームリレーション

 開発の活発化が見込まれるVR(仮想現実)分野においては、VRコンテンツに特化した独自のデバッグサービスの提供を行うとともに、VRの安全性について国立研究開発法人産業技術総合研究所との共同研究を開始し新サービスの実用化に向けて成果をあげております。当連結会計年度における研究開発費の金額は1,901千円であります。

(2) デバッグ事業 デジタルソリューションリレーション

多様な分野で実用化が進む人工知能分野においては、HEROZ株式会社と業務提携を締結し、人工知能を活用したソフトウェア検証の実用化に向けた取り組みを推進し、サービスの品質向上や業務の効率化及び独自の新サービスの開発について成果をあげております。当連結会計年度の研究開発費の金額は1,518千円であります。

 

7 【財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

本項に記載した将来事象に関する予測・見通し等は、当連結会計年度末現在において当社が判断したものであり、それらには不確実性が内在し将来の結果とは大きく異なる可能性があります。

 

(1) 重要な会計方針及び見積り

 当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている企業会計の基準に基づき作成されております。

この連結財務諸表の作成にあたりましては、部分的に資産・負債、収益・費用の数値に影響を与えるような見積り等の介在が不可避となりますが、当社グループの経営陣は過去の実績や提出日現在の状況等を勘案し、会計基準の許容する範囲内かつ合理的にそれらの判断を行っております。

なお、重要な会計方針につきましては、「第5 経理の状況 1連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 (連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」に記載しております。

 

(2) 経営成績の分析

(売上高)

当連結会計年度における売上高は15,444,767千円となり、前連結会計年度に比べ433,155千円の増加(前期比2.9%増)となりました。

これはデバッグ事業のデジタルソリューションリレーションが好調であったことに加え、メディア事業、クリエイティブ事業及びその他の事業も堅調に推移したことによるものであります。

 

(売上原価、売上総利益)

売上原価は10,938,558千円となり、前連結会計年度に比べ247,669千円の増加(前期比2.3%増)となりました。また、売上総利益は4,506,208千円となり、前連結会計年度に比べ185,485千円の増加(前期比4.3%増)となりました。

これは売上高が増加したことによるものであります。 

 

(販売費及び一般管理費、営業利益)

販売費及び一般管理費は2,599,562千円となり、前連結会計年度に比べ242,791千円の増加(前期比10.3%増)となりました。その主な内訳と致しましては、給与手当831,732千円及び役員報酬242,218千円であります。

この結果、営業利益は1,906,646千円となり、前連結会計年度に比べ57,305千円の減少(前期比2.9%減)となりました。 

 

 

(営業外損益、経常利益)

営業外収益は128,216千円となり、前連結会計年度に比べ84,328千円の増加(前期比192.1%増)となりました。その主な内訳と致しましては、助成金収入90,927千円であります。また、営業外費用は37,574千円となり、前連結会計年度に比べ11,803千円の減少(前期比23.9%減)となりました。その主な内訳と致しましては、支払手数料11,725千円であります。

この結果、経常利益は1,997,288千円となり、前連結会計年度に比べ38,826千円の増加(前期比2.0%増)となりました。

 

(税金等調整前当期純利益、親会社株主に帰属する当期純利益)

 税金等調整前当期純利益は1,441,356千円となり、前連結会計年度に比べ309,301千円の増加となりました。また、親会社株主に帰属する当期純利益は795,068千円となり、前連結会計年度に比べ433,244千円の増加(前期比119.7%増)となりました。

 

(3) 財政状態の分析

当連結会計年度末における資産、負債及び純資産の状況は次のとおりであります。

(資産)

流動資産の残高は6,221,222千円となり、前連結会計年度末における流動資産5,064,709千円に対し、1,156,513千円の増加(前期比22.8%増)となりました。

これは、主として受取手形及び売掛金が288,275千円減少した一方で、現金及び預金が1,146,832千円増加したことによるものであります。

固定資産の残高は1,430,380千円となり、前連結会計年度末における固定資産1,469,139千円に対し、38,759千円の減少(前期比2.6%減)となりました。

これは、主として、投資有価証券が170,092千円増加した一方で、のれんが236,467千円減少したことによるものであります。

 

(負債)

流動負債の残高は3,759,464千円となり、前連結会計年度末における流動負債3,374,484千円に対し、384,980千円の増加(前期比11.4%増)となりました。

これは、主として短期借入金が331,276千円増加したことによるものであります。

固定負債の残高は1,033,638千円となり、前連結会計年度末における固定負債69,792千円に対し、963,846千円の増加となりました。

これは、主として転換社債型新株予約権付社債が1,017,200千円増加したことによるものであります。

 

(純資産)

純資産の残高は2,858,499千円となり、前連結会計年度末における純資産3,089,572千円に対し、231,073千円の減少(前期比7.5%減)となりました。

これは、主として親会社株主に帰属する当期純利益の計上により利益剰余金が795,068円増加した一方で、子会社株式の追加取得により資本剰余金が90,498千円減少したこと及び期末配当及び中間配当の実施に伴い利益剰余金が234,941千円減少したこと並びに自己株式を取得したことにより純資産が652,877千円減少したことによるものであります。

 

(4) 経営戦略と今後の見通しについて

当社グループは、引き続き今後も需要の拡大が見込まれるデバッグ事業において、国内外の需要の取り込み及び新分野における潜在的なニーズの開拓に注力することで、地域や領域を越えたデバッグ事業の成長を追求して参ります。

また、デバッグサービスに留まらずプロモーションや開発等の工程におけるサービス提供を通じ、顧客企業の開発等を総合的にサポートするとともに、独自性を活かした新規サービスの開発にも積極的に取り組んで参ります。

さらに、グループシナジーを追求し、当社グループの経営資源を戦略的かつ最大限に活用することで、継続的な成長と収益力の最大化を図って参ります。

 

(5) 資本の財源及び資金の流動性の分析

①キャッシュ・フローの状況

「第2 事業の状況 1 業績等の概要 (2)キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。

(参考) キャッシュ・フロー関連指標の推移

 

 

平成28年3月期

平成29年3月期

自己資本比率(%)

43.1

34.4

時価ベースの自己資本比率(%)

445.0

472.7

キャッシュ・フロー対有利子
負債比率(%)

126.6

90.2

インタレスト・カバレッジ・
レシオ(倍)

90.7

474.0

 

(注) 1.各指標の算出方法は以下のとおりであります。

・自己資本比率:自己資本/総資産

・時価ベースの自己資本比率:株式時価総額/総資産

・キャッシュ・フロー対有利子負債比率:有利子負債/キャッシュ・フロー

・インタレスト・カバレッジ・レシオ:キャッシュ・フロー/利払い

2.株式時価総額は期末株価終値×期末発行済株式数により算出しております。

3.キャッシュ・フローは、営業キャッシュ・フローを使用しております。

4.有利子負債は、連結貸借対照表に計上されている負債のうち利子を支払っているすべての負債(リース債務を含む)を対象としております。また、利払いについては、連結キャッシュ・フロー計算書の利息の支払額を使用しております。

5.各指標は連結ベースの財務数値により計算しております。

②資金需要について

当社グループの運転資金のうち主なものは臨時従業員に係る人件費等であります。

 

(6) 経営成績に重要な影響を与える要因について

「第2 事業の状況 4 事業等のリスク」に記載のとおりであります。