第2 【事業の状況】

1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1) 経営の基本方針

 当社グループでは、「SAVE the DIGITAL WORLD ~私たちは、確かな技術と人の力で、ITイノベーションの安全品質を支え、高度デジタル社会に歓びと安心を生み、進歩発展に貢献します~」を企業理念として掲げております。この企業理念のもと、主力のソフトウェアテストサービスを中心に、受託開発や保守・運用、セキュリティ等、様々なサービスの提供を行うことで、増加するデジタルサービスの品質・安全性向上への貢献を目指しております。

 

(2) 経営戦略

 当社グループでは、主力事業であるエンターテインメント事業のさらなる成長の追求及びエンターテインメント事業に続く収益の柱を育てるべくエンタープライズ事業の拡大に注力しております。

 エンターテインメント事業においては、国内ゲームデバッグのマーケットリーダーとしての確固たる地位を維持するとともに、テストセンターであるLab.の業務改革を推進し、さらなる収益性の向上を図って参ります。また、2021年3月に新たに子会社化したMetaps Entertainment Limitedとのグループシナジーを追求し、コンテンツを海外展開する際に必要となる翻訳・カルチャライズ・マーケティング等の“総合ローカライゼーションサービス”の提供に注力することで、グローバル領域での成長を目指して参ります。

 一方、エンタープライズ事業においては、社内エンジニア、フリーランスエンジニア、ベトナムオフショアエンジニア、セキュリティエンジニア等、多様な人材プールの拡大に努め、急増する顧客ニーズに対応できる受注体制の構築に努めて参ります。また、社内教育体制の充実化やM&A、アライアンスの積極活用等を推進することで、当社グループ全体の技術力の向上を図るとともに、変化の速い顧客ニーズに合わせたサービスの拡充等に努めることで、エンタープライズ事業における競争優位性の確立を目指して参ります。

 

(3) 経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等

 当社グループが属するデジタル関連市場は、環境変化のスピードが著しく速く、その変化に即した迅速かつ柔軟な経営判断を行う必要があることから、当社では、単年度毎の売上高・営業利益・経常利益・親会社株主に帰属する当期純利益を経営指標としております。

 

(4) 当社グループを取り巻く経営環境

① 市場環境

 当社グループが事業を展開しているデジタル関連市場においては、IoTの進展やDXの加速等を背景に、コンテンツやサービスの多様化が急速に進んでいる一方、各企業においては、その開発及び運用を支えるIT人材が慢性的に不足しています。このため、ソフトウェアの開発、テスト、保守・運用等の支援サービスを提供している当社グループの収益機会は、今後も引き続き増加するものと見込んでおります。

 なお、直近の市場環境といたしましては、新型コロナウイルス感染拡大の影響により、顧客企業において開発スケジュールに一部遅延が発生したこと等から、当社へのアウトソース需要が一時的に縮小したものの、現在は回復傾向にあり、中長期的に需要は拡大すると見込んでおります。

 

② 主要サービス

 当社グループでは、ソフトウェアの開発、テストから、保守・運用、プロモーション支援まで幅広いサービスを提供しておりますが、そのなかでも、以下3つを事業の柱となる主要サービスとして位置付けております。

サービス名

概要

デバッグ

ゲームソフト、パチンコ・パチスロの不具合検出サービス

システムテスト

業務システムやWebシステム、IoT機器等エンタープライズシステムの不具合検出サービス

セキュリティ

脆弱性診断やペネトレーションテスト、セキュリティ監視等のサービス

 

 

③ 顧客動向

 主要顧客であるゲームメーカーにおいては、デバッグ工程のアウトソースが既に進んでいることから、今後も安定的な受注が見込めます。一方、ゲームメーカー以外の顧客企業においては、テスト工程を自社内で行っていることが多く、今後IT人材不足等を背景にアウトソースが急速に加速していくことが見込まれております。

 

④ 競合他社の状況

 デバッグにおいては、創業以来顧客企業と強固なリレーションを構築しており、また豊富なデバッグ専用機材を有していること等から参入障壁は高く、寡占市場のなかで当社は圧倒的なシェアを有しております。一方、システムテストにおいては、SIerやシステムの受託開発会社等、市場には多数の競合が存在しています。しかし、当社のようなテスト専門企業は少なく、市場が黎明期であり、今後爆発的な成長が見込まれていることから、当社ではシステムテスト市場をブルーオーシャンと認識しております。

 

(5) 優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題

 当社グループは、収益基盤の強化を図るとともにさらなる成長を実現するため、以下5点を主要な課題として認識し、その対応に取り組んで参ります。

 

① 人材の確保及び育成

 当社グループが継続的に企業価値を向上させていくためには、高い専門性を有する優秀な人材の確保及び将来を担う人材の育成が経営上の重要な課題であると認識しております。

 特に、主力のデバッグサービス及びシステムテストサービスにおいては、高品質なサービスをスピーディかつ継続的に提供できる組織体制を整備するため、多数の臨時従業員であるテスターを常時確保するとともに、人材育成を通じ技術力及び専門性の向上を図ることが不可欠となっております。

 このため、当社グループでは、株式会社デジタルハーツを中心に、テストセンターであるLab.(ラボ)を戦略的に展開することで、豊富なテスターを確保しております。また、独自の教育プログラムを整備することで、年間数十名程度テスターからテストエンジニアやセキュリティ人材といった専門人材へと育成しております。なお、豊富な知見や経験を有するハイレイヤのエンジニア人材については、中途採用の強化やM&Aを活用することで、社内人材を増強するとともに、フリーランスエンジニア等社外リソースも積極的に活用することで確保に努めて参ります。

 今後も、当社グループでは、多様な人材に合わせた働き方や教育体制等を整備することで、人材プールの拡大に継続的に取り組んで参ります。

 

② サービスの付加価値向上について

 当社グループを取り巻くデジタル関連市場においては、IoTの進展やDXの加速等を背景に、新たなコンテンツ及びサービスの開発が活発化しているため、それらの市場環境の変化及び顧客ニーズの多様化に柔軟に対応することが経営上の重要な課題であると認識しております。

 当社グループでは、エンターテインメント事業を中心に培ってきた競争優位性及び多様性を原動力としつつ、事業及び地域の垣根を越えたグループ全体のノウハウを結集することで、開発から保守・運用までの幅広い工程において包括的なサービスを顧客ニーズにあわせて提供して参ります。また、新サービスの開発にも積極的に取り組むことで、付加価値の高いサービスの提供に取り組んで参ります。

 

③ サービスの海外展開について

 当社グループは、持続的な成長を遂げていくためには海外へのサービス展開も取り組まねばならない経営上の重要な課題であると認識しております。

 そのため、当社グループでは、米国、中国、韓国、台湾及びベトナムの海外子会社を通じて、ゲームのデバッグ及び翻訳サービスや、エンタープライズシステムのテストサービス等の事業を展開しております。また、2021年3月には、中国における強固な顧客基盤を有するMetaps Entertainment Limitedを子会社化し、コンテンツの海外展開時に必要な翻訳・カルチャライズ・マーケティング等の“総合ローカライゼーションサービス”をワンストップで提供できる体制の構築に努めるなど、グローバル領域での事業成長を加速させる取り組みを開始致しました。

 今後も、高い収益性と成長性が期待される市場に対してサービスを提供することを基本方針とし、持続的な成長に向けた海外事業基盤の構築に努めて参ります。

 

 

 

④ 事業領域の拡大及び新規事業の推進について

 当社グループでは、エンターテインメント事業を収益の軸としつつも、多様な収益源による安定的な成長を遂げていくためには、既存の事業領域を拡大するとともに新規事業を推進することが経営上の重要な課題であると認識しております。

 そのため、M&A等を活用した多角的な事業規模の拡大や独自性を追求した新サービスの開発に積極的に取り組んで参りました。今後も、新たな事業領域の開拓や新規事業の創出・発展に注力するとともに、多様な収益源による安定的な事業ポートフォリオの形成を目指して参ります。

 

⑤ 安定的な財務基盤の維持について

 当社グループでは、強いキャッシュ・フロー創出力を有するエンターテインメント事業を中心に高い収益性を維持しており、安定的な配当や自社株買い等の株主還元を実施しつつ健全な財務体質を維持して参りました。

 当社グループでは、エンターテインメント事業を収益の軸としつつも、多様な収益源による安定的な成長を遂げていくためには、既存の事業領域を拡大するとともに新規事業を推進することが経営上の重要な課題であると認識しております。

 そのため、M&A等を活用した多角的な事業規模の拡大や独自性を追求した新サービスの開発に積極的に取り組んで参りました。今後も、新たな事業領域の開拓や新規事業の創出・発展に注力するとともに、多様な収益源による安定的な事業ポートフォリオの形成を目指して参ります。しかしながら、新型コロナウイルスの感染拡大を背景とする世界的な経済の長期低迷リスク等、外部環境が激変するなか、財務基盤の強化は従来以上に経営上の重要な課題になっていると認識しております。引き続きキャッシュ・フローマネジメントを強化するとともに、必要に応じて金融機関からの資金調達を含めた機動的な対応を実施するなど、今後も安定的な財務基盤の確保に努めて参ります。

 

2 【事業等のリスク】

 当社グループの経営成績及び財政状態等に影響を及ぼす可能性があるリスク要因として考えられる主な事項には、以下のものがあります。

 当社グループは、これらリスク要因を認識した上で、その発生自体の回避、あるいは発生した場合の対応に努める方針でありますが、これらはすべてのリスクを網羅したものではなく、予見しがたいリスク要因も存在するため、投資判断については、本項以外の記載内容もあわせて、慎重に検討した上で行われる必要があると考えております。

 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1) システムテストサービスのアウトソーシングの動向について

 当社グループは、ソフトウェアテストを主力事業として展開しており、ゲームソフトの不具合を検出するデバッグサービス及びWebシステムや業務システム等のエンタープライズシステムの不具合を検出するシステムテストサービスを提供しております。

 従来、システムテスト業務は、主にソフトウェア開発会社の社内で行われてきましたが、近年、慢性的なエンジニア不足が深刻化していることに加え、テストに求められる知見が多様化し専門性も高まっていることから、精度の高いテストを効率的に実施できる専門会社にアウトソーシングする傾向が高まっております。当社グループでは、今後もシステムテスト業務のアウトソーシングが進展することを前提とした事業計画を策定しておりますが、当社グループの期待通りにシステムテスト業務のアウトソーシングが進展しなかった場合には、当社グループの事業や業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(2) 業務の受託について

 当社グループは、ソフトウェア開発業務等を顧客企業の開発案件単位で受託する形態で行っており、プロジェクト管理者が品質、納期、コスト、リスク等の管理を行っております。

 しかしながら、受託案件においては、顧客企業の都合による開発途中での大幅な仕様変更や、納品物に対する顧客企業との認識の不一致等により生じるリスクを完全に排除することは困難であり、そのような事象が発生し、当初計画していた品質・コスト・納期を維持できずに案件が不採算化した場合、その規模によっては当社グループの事業や業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(3) 市場環境の変化について

 当社グループは、ソフトウェアテストサービスにおいて、そのノウハウの蓄積や人材育成等、他社との差別化に努めております。

 しかしながら、今後テスト業務のアウトソーシングが進むことにより、業界の市場規模が拡大し、新規参入企業が増加する可能性が高まることに伴い、人材流出等による当社グループのノウハウ等が流出し、外部の第三者が当社グループの技術及びノウハウ等を模倣して当社グループと類似するサービスの提供を行う可能性があります。

 また、デジタル関連市場においては技術革新の進歩も早く、テスト業務に求められる知見が多様化し専門性が高まっていることから、これら進歩し続ける技術等への対応が遅れた場合、当社グループの提供するサービスが陳腐化し、競争力の低下を招く可能性があります。そのため、このような市場環境の変化やそれに伴う競争の激化が生じ、高い顧客満足度を与えられる水準のサービス提供ができなくなった場合、当社グループの事業や業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(4) 特定業種への依存について

 当社グループは、現在、エンタープライズ事業の拡大に注力しているものの、依然として、ゲーム業種向けにサービスを提供しているエンターテインメント事業の売上高が高い割合を占めております。

 そのため、当社グループのゲーム業種以外への充分な売上拡大の前に、ゲーム業種に大規模な減衰が生じた場合、当社グループの事業や業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(5) 人材の安定確保と育成について

 当社グループは、継続的に企業価値を向上させ、高品質なサービスをスピーディかつ継続的に提供していくために、多数の臨時従業員であるテスターを常時確保することが非常に重要であり、当社グループでは、採用活動への積極的な取り組み、人材の育成と実務能力の向上を目的とした教育制度を充実させるとともに、コミュニケーションを強化することで人材の流出を防止するための諸施策を講じております。

 しかしながら、テスターの確保が難しい場合や育成が進まない場合には、円滑なサービス提供や積極的な受注活動が阻害され、当社グループの事業や業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

 

(6) 他社との業務提携について

 当社グループは、既存サービスによる売上の増加やコスト削減が見込まれる場合、また、新サービスを提供すること等により将来的な成長が見込まれると判断した場合には、相互に協力体制を構築できる企業と、積極的に業務提携によるパートナーシップを強化し、取引深耕を図っていく方針であります。

 しかしながら、提携先との友好的な協力関係に変化が生じ、期待したほどの相乗効果を得ることができない等の理由により、業務提携関係を維持することが困難となった場合、当社グループの事業や業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(7) 新規事業等の業容拡大について

 当社グループは、ソフトウェアテストサービスの提供を事業の軸としつつ幅広いビジネス展開を積極的に行っていく方針であります。そのため、進出先の市場動向の調査や参入形態の考慮を十分に行い、事業リスクの軽減を図りながら、国内外において市場のニーズに呼応した新規事業への進出、子会社の設立等を推進しております。

 しかしながら、これら事業展開等の状況を正確に予測することは困難であり、当該事業展開に係る投融資額を回収することが困難となった場合には、当社グループの事業や業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(8) 企業買収による事業拡大について

 当社グループは、事業規模の拡大及び多様な収益源の確保を目的として、ソフトウェアテストサービスの提供を事業の軸としつつ幅広いビジネス展開を積極的に行う考えであり、そのための有効な手段の一つとして企業買収を活用していく方針であります。企業買収においては、対象となる企業の財務内容、契約関係及び事業の状況等について事前にデューデリジェンスを実施し、可能な限りリスクの低減に努めております。

 しかしながら、企業買収後に、事業環境に急激な変化が生じた場合やその他予期し得ない理由により当初の計画通りに事業が進展しない場合には、当社グループの事業や業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(9) 海外における事業展開について

 当社グループは、引き続き積極的に海外におけるサービス展開の拡大を図っていく方針であります。しかしながら、海外での事業活動においては、予期せぬ法律又は規制の変更、大規模な自然災害の発生、政治経済の変化、為替変動、商習慣の相違、雇用制度や労使慣行の相違、不利な影響を及ぼす租税制度の変更等により、当社グループの事業や業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(10) 情報の漏洩等について

 当社グループは、事業を行う上で、顧客企業及びその他の関係者より機密情報を預かるため、当該機密情報等の外部漏洩のないよう従業員と秘密保持契約を締結するとともに、とりわけ未公表の情報や顧客企業の情報を主に取り扱うソフトウェアテストサービスにおいては、指紋又は静脈認証システムによる入室管理、監視カメラの設置等、様々な漏洩防止施策を講じ、情報の適正な取扱いと厳格な管理を進めております。

 しかしながら、これらの施策にもかかわらず、何らかの理由により機密情報が外部に漏洩した場合には、当社グループへの損害賠償責任の追及や社会的信用の喪失等により、当社グループの事業や業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(11) 知的財産権について

 当社グループは、事業活動を行う過程において、第三者の知的財産権を侵害しないように、可能な限り調査を行うとともに、厳格な管理を実施しております。

 しかしながら、意図せずに第三者の知的財産権を侵害した場合には、当社グループへの損害賠償責任の追及や社会的信用の失墜等により、当社グループの事業や業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(12) 自然災害等について

 当社グループは、施設の安全対策には万全の注意を払っておりますが、地震、水害、火災、爆発、テロ、汚染、コンピューターウイルスへの感染等の災害が発生した場合には、当社グループの事業や業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

 

(13) 法規制について

 当社グループは、事業活動において、様々な法的規制の適用を受けております。特に、人材派遣においては、「労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の保護等に関する法律」に基づき、厚生労働大臣の「労働者派遣事業」の許可を取得し、人材派遣を行っております。

 当社グループは、これらの法的規制を遵守し事業活動を行っておりますが、万一法令に抵触するような事態が生じた場合、又は関連法令やその解釈が変更された場合には、当社グループの事業や業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(14) 社会保険について

 当社グループは、多数の臨時従業員であるテスターを雇用しており、一定の条件を満たしたテスターは、社会保険に加入しておりますが、関連法令やその解釈の変更により、社会保険加入の適用範囲が拡大され、現在加入義務のないテスターにも加入が義務付けられた場合には、当社グループの事業や業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(15) 新型コロナウイルス感染症拡大に係る事業等のリスク

①従業員の感染リスクと事業継続リスクについて

 当社では、社内外への感染被害抑止及び日本国内各拠点に勤務する従業員の安全確保の観点から、バックオフィスメンバーを中心に在宅勤務に移行しております。また、多数のテスターが勤務するテストセンターであるLab.においては、発熱時の出勤停止、時差出勤等の推進による出社人数の調整、アルコール消毒液及びマスクの配布等の感染防止策を徹底しております。しかしながら、従業員が新型コロナウイルスに感染し、従業員同士の接触等により社内での感染が拡大した場合には、Lab.の一時閉鎖等により当社の事業運営に影響を及ぼす可能性があります。当社グループでは、全国13か所にLab.を展開し、このようなリスク分散を進めるとともに、在宅でデバッグ業務に対応できる「リモートデバッグ」を推進するなど、継続的にサービスを提供できる体制の構築に努めて参ります。

②需要減少による当社グループ財政状態の悪化リスクについて

 顧客企業内におけるリモートワークの増加等により、ソフトウェア開発の一時中断や延期が発生した場合、当社の主力サービスであるデバッグ及びシステムテストの収益が悪化する可能性があります。そのような状況下においても当社グループは、生産性の向上やコストダウン等の対策を継続し、収益減少を最小限に抑えるよう努めて参ります。

 

3 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1) 経営成績等の状況の概要

 当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。

① 財政状態及び経営成績の状況

 

2020年3月期

(千円)

2021年3月期

(千円)

増減率

(%)

売上高

21,138,200

22,669,577

7.2

営業利益

1,394,065

1,908,694

36.9

経常利益

1,372,376

1,975,394

43.9

親会社株主に帰属する当期純利益

792,130

974,492

23.0

 当社グループでは、2018年3月期以降「第二創業期」として、主力事業であるエンターテインメント事業のさらなる成長を追求するとともに、エンターテインメント事業に続く第二の収益の柱を育てるべくエンタープライズ事業の拡大に注力して参りました。当連結会計年度において、エンターテインメント事業では、テストセンターであるLab.の統廃合をはじめとする収益性の改善に向けた取り組みを推進致しました。さらに、中国ゲームメーカー向けにマーケティング支援サービスを提供するMetaps Entertainment Limitedを2021年3月に子会社化し、次なる成長領域であるグローバル事業の基盤強化にも着手致しました。また、エンタープライズ事業においては、第二創業期の先行投資として実施してきた人材の強化や提供サービスの拡充、効率的なオペレーション体制の構築等の効果が徐々に発現し、新規顧客開拓が進むとともに、1社当たりの取引規模拡大を実現致しました。また、さらなる専門性の向上や技術力の強化を目的に、システムコンサルティングに強みを持つ企業の子会社化や、オフショア開発に強みを持つ企業との合弁会社設立等を推進致しました。

 その結果、当連結会計年度の売上高は、エンタープライズ事業が高い成長を継続し、22,669,577千円(前期比7.2%増)となりました。また、利益については、エンターテインメント事業が収益性の改善により増益を確保するとともに、エンタープライズ事業が第二創業期以降初の通期黒字化を達成したことにより、営業利益は1,908,694千円(前期比36.9%増)、経常利益は1,975,394千円(前期比43.9%増)と大幅な増益を達成致しました。また、親会社株主に帰属する当期純利益も、減損損失等特別損失の計上があったものの、974,492千円(前期比23.0%増)と増益を達成致しました。

 総資産は、前連結会計年度末に比べ3,701,778千円増加し、14,338,792千円となりました。

 負債は、前連結会計年度末に比べ2,825,494千円増加し、8,024,039千円となりました。

 純資産は、前連結会計年度末に比べ876,283千円増加し、6,314,752千円となりました。

 

 セグメント別の経営成績は、以下のとおりであります。

 

2020年3月期

(千円)

2021年3月期

(千円)

増減率

(%)

売上高

21,138,200

22,669,577

7.2

エンターテインメント事業

16,115,937

15,647,967

△2.9

エンタープライズ事業

5,022,262

7,021,610

39.8

調整額

営業利益又は営業損失

1,394,065

1,908,694

36.9

エンターテインメント事業

2,964,423

3,077,109

3.8

エンタープライズ事業

△67,115

188,452

調整額

△1,503,242

△1,356,867

 

 なお、セグメント別の売上高については、セグメント間の内部売上高又は振替高を含めて記載しており、セグメント別の利益又は損失は営業利益ベースとなっております。

 

 

Ⅰ.エンターテインメント事業

 当セグメントでは、主に、コンソールゲーム、モバイルゲーム、アミューズメント機器のデバッグ、ゲームの受託開発、プロモーション活動支援等のサービスを提供しております。

 エンターテインメント事業におけるサービス別の売上高は以下のとおりであります。

 

2020年3月期

(千円)

2021年3月期

(千円)

増減率

(%)

デバッグ

13,823,219

13,058,366

△5.5

クリエイティブ

1,226,232

1,449,679

18.2

メディア及びその他

1,066,485

1,139,920

6.9

エンターテインメント事業 合計

16,115,937

15,647,967

△2.9

 

(ⅰ)デバッグ

 デバッグサービスでは、主に、コンソールゲーム、モバイルゲーム、アミューズメント機器を対象に、ソフトウェアの不具合をユーザー目線で検出し顧客企業に報告するデバッグサービスや翻訳・ローカライズサービス等を提供しております。

 当連結会計年度は、上期を中心に新型コロナウイルス感染拡大の影響を受けたものの、下期以降は、2020年11月に発売された新型ハード「PlayStation®5」を対象とした新規タイトル等コンソールゲーム向けを中心にデバッグ需要が回復致しました。また、増加する翻訳・ローカライズの需要獲得のため海外子会社の体制強化や国内外のグループ連携の推進にも努めて参りました。さらに、テストセンターであるLab.の統廃合や、経費削減等により、収益性のさらなる向上を図って参りました。

 しかしながら、アミューズメント機器の厳しい市場環境の影響等を受け、当連結会計年度のデバッグサービスの売上高は、13,058,366千円(前期比5.5%減)となりました。

 

(ⅱ)クリエイティブ

 クリエイティブサービスでは、ゲーム開発や2D/3Dグラフィック制作等、コンテンツ制作におけるクリエイティブ領域全般にわたる制作サポートサービスを提供しております。

 当連結会計年度は、営業力や提案力の向上に努め、コンソールゲーム向けの新規大型ゲーム開発案件を獲得致しました。また、各プロジェクトの採算管理を徹底することで、大幅な収益改善を実現致しました。

 その結果、当連結会計年度のクリエイティブサービスの売上高は、1,449,679千円(前期比18.2%増)と2桁成長を達成致しました。

 

(ⅲ)メディア及びその他

 メディア及びその他サービスでは、日本最大級の総合ゲーム情報サイト「4Gamer.net」等の運営やカスタマーサポートサービス等を提供しております。

 当連結会計年度は、新型コロナウイルス感染拡大の影響を受け、国内イベント関連の案件受注が減少したものの、「4Gamer.net」への広告掲載は下期以降、前年を上回る水準まで需要が回復致しました。また、カスタマーサポートサービスにおいても順調に案件を獲得致しました。

 その結果、当連結会計年度のメディア及びその他サービスの売上高は、1,139,920千円(前期比6.9%増)となりました。

 

 以上の結果、当連結会計年度のエンターテインメント事業の売上高は、一部新型コロナウイルス感染拡大の影響等を受けたものの、15,647,967千円(前期比2.9%減)と前期並みを維持致しました。一方、セグメント利益は、クリエイティブサービスやメディア及びその他サービスの収益性が改善したことから、3,077,109千円(前期比3.8%増)と増益を達成致しました。

 

Ⅱ.エンタープライズ事業

 当セグメントでは、主に、エンタープライズシステムを対象とするシステムテスト及び受託開発サービスや、ヘルプデスクをはじめとするITサポート、セキュリティ等のサービスを提供しております。

 エンタープライズ事業におけるサービス別の売上高は以下のとおりであります。

 

2020年3月期

(千円)

2021年3月期

(千円)

増減率

(%)

システムテスト

2,414,064

3,581,870

48.4

ITサービス・セキュリティ

2,608,197

3,439,739

31.9

エンタープライズ事業 合計

5,022,262

7,021,610

39.8

 

(ⅰ)システムテスト

 システムテストサービスでは、主に、エンタープライズシステムの不具合を検出するサービスを提供しております。

 当連結会計年度は、「第二創業期」以降実施してきた先行投資の効果が発現し、行政関連システムや企業の基幹業務システム等、専門性の高い案件の獲得が進み、取引規模の拡大及び収益性の大幅改善を実現致しました。また、グループ連携やテスト自動化ツール企業とのアライアンスを積極的に推進したほか、SAPのサービスパートナー認定も取得するなど、テスト自動化や開発工程全般にわたる品質向上支援といった多角的なサービスを提供できる体制の構築に努めて参りました。さらに、新設したCTO室を中心に、当社グループの技術力向上や人材強化にも取り組んで参りました。

 その結果、当連結会計年度のシステムテストサービスの売上高は、前期に連結子会社化したLogiGearグループの業績寄与の影響もあり、3,581,870千円(前期比48.4%増)と大幅な増収を達成致しました。

 

(ⅱ)ITサービス・セキュリティ

 ITサービス・セキュリティサービスでは、システムの受託開発やITサポート、セキュリティ等のサービスを提供しております。

 当連結会計年度は、システムの受託開発、保守・運用、セキュリティサービスすべてにおいて増収を達成致しました。特に、セキュリティサービスにおいては、検査・監視・運用・緊急対応支援と、網羅的にサービスを提供できる体制が構築できたことに加え、100名を超えるセキュリティ人材を社内育成するなど、受注体制の強化が図れたことから、業種や規模を問わず様々な企業や官公庁等の新規顧客開拓が進みました。

 その結果、当連結会計年度のITサービス・セキュリティサービスの売上高は、3,439,739千円(前期比31.9%増)と大幅に前年を上回る結果となりました。

 

 以上の結果、当連結会計年度のエンタープライズ事業の売上高は、7,021,610千円(前期比39.8%増)と前期に続き高い成長を継続するとともに、セグメント利益は、188,452千円(前期は67,115千円のセグメント損失)と第二創業期以降初の通期黒字化を実現致しました。

 

■新型コロナウイルス感染症の影響

 新型コロナウイルス感染症が当連結会計年度に与えた影響は下記のとおりです。

セグメント

新型コロナウイルス感染症の影響

エンターテインメント事業

新規ゲームタイトル開発の一部遅延や開発体制の変更等によるデバッグサービスへの影響に加え、各国のロックダウンにより、ゲームの翻訳やローカライズ等の海外企業向けサービスが一時的に縮小

エンタープライズ事業

直近で大きな影響はないものの、顧客企業におけるリモートワークの拡大や新規システム投資の縮小・延期等による環境変化には注視が必要

 なお、現時点においては、新型コロナウイルス感染症による当社の業績への影響は、当期上期に一部影響を受けたものの、当期下期以降回復し、今後大きな影響はないと認識しております。

 

② キャッシュ・フローの状況

 当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下、「資金」という。)は、5,041,396千円となり、前連結会計年度における資金3,704,104千円に対し、1,337,292千円の増加となりました。

 当連結会計年度における各キャッシュ・フローとそれらの要因は次のとおりであります。

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

 営業活動の結果得られた資金は1,416,917千円の収入(前連結会計年度は1,086,745千円の収入)となりました。

 これは、主として税金等調整前当期純利益1,504,385千円の資金増加項目が、売上債権の増減額701,207千円等の資金減少項目を上回ったことによるものであります。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

 投資活動の結果支出した資金は1,813,519千円の支出(前連結会計年度は1,018,402千円の支出)となりました。

 これは、主として連結の範囲の変更を伴う子会社株式の取得による支出1,309,417千円等の資金減少項目によるものであります。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

 財務活動の結果得られた資金は1,730,291千円の収入(前連結会計年度は515,831千円の支出)となりました。

 これは、主として短期借入金の増減額2,026,750千円等の資金増加項目が、配当金の支払額302,026千円等の資金減少項目を上回ったことによるものであります。

 

③ 生産、受注及び販売の実績

(ⅰ)生産実績

 事業の特性上、該当事項はありません。

 

(ⅱ)受注実績

 当連結会計年度における受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

受注高

(千円)

前期比

(%)

受注残高

(千円)

前期比

(%)

エンターテインメント事業

クリエイティブ

2,919,586

229.7

1,613,600

1,113.9

(注)1.セグメント間の取引については相殺消去しております。

2.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。

3.当社グループの「エンターテインメント事業」に含まれる「デバッグ」、「メディア及びその他」及び「エンタープライズ事業」は、受注から役務提供までの所要日数が短く、期中の受注高と販売実績とがほぼ対応するため、記載を省略しております。

 

(ⅲ)販売実績

 当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

 区分

 当連結会計年度

(自 2020年4月 1日

  至 2021年3月31日)

金額(千円)

前期比(%)

エンターテインメント事業

デバッグ

13,058,366

△5.5

クリエイティブ

1,449,679

18.2

メディア及びその他

1,139,920

6.9

小計

15,647,967

△2.9

エンタープライズ事業

システムテスト

3,581,870

48.4

ITサービス・セキュリティ

3,439,739

31.9

小計

7,021,610

39.8

合計

22,669,577

7.2

(注)1.セグメント間の取引については相殺消去しております。

2.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。

 

(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

 経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。なお、本項に記載した将来事象に関する予測・見通し等は、当連結会計年度末現在において当社が判断したものであり、それらには不確実性が内在し将来の結果とは大きく異なる可能性があります。

 

① 財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容

 財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討結果につきましては、「(1)経営成績等の状況の概要」に記載の通りであります。また、当社グループの経営成績に重要な影響を与える要因については「2 事業等のリスク」に記載しております。
 セグメントごとの財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容につきましては、「(1)経営成績等の状況の概要 ① 財政状態及び経営成績の状況」に記載のとおりであります。

② キャッシュフローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報

 当社グループの当連結会計年度のキャッシュフローの状況の分析・検討内容は「(1)経営成績等の状況の概要 ② キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。

 当社グループの資本の財源及び資金の流動性につきましては次のとおりであります。

 当社グループは、事業運営上必要な流動性と資金の源泉を安定的に確保することを基本方針としております。短期運転資金は自己資金及び金融機関からの短期借入を基本としており、長期運転資金の調達につきましては、金融機関からの長期借入を基本としております。

 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

 当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている企業会計の基準に基づき作成されております。

 この連結財務諸表の作成にあたりましては、部分的に資産・負債、収益・費用の数値に影響を与えるような見積り等の介在が不可避となりますが、当社グループの経営陣は過去の実績や提出日現在の状況等を勘案し、会計基準の許容する範囲内かつ合理的にそれらの判断を行っております。

 なお、会計上の見積り及び当該見積りに用いた重要なものにつきましては、「第5 経理の状況 1.連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 (重要な会計上の見積り)」に記載しております。

 

4 【経営上の重要な契約等】

 当社は、2021年5月11日開催の取締役会において、株式会社アイデンティティーの発行済株式のすべてを取得して子会社化することを決議し、2021年5月13日付けで株式譲渡契約を締結致しました。
 詳細は、「第5 経理の状況 1.連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 (重要な後発事象)」をご参照ください。

 

5 【研究開発活動】

 重要な記載事項はありません。