第2【事業の状況】

1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1)会社の経営の基本方針

当社グループは、「より多くの人々が幸せに暮らせる住環境を創造し、豊かな社会作りに貢献する」という経営理念のもと、「誰もが当たり前に家を買える社会」の実現を目指し、理想の住まいづくりを通じて社会の発展に貢献していくことを経営の基本方針としております。更に、今後展開を進める海外市場においては、「良質で安全、安価な住宅を供給して社会に貢献する」という経営方針を掲げ、「時代の変革をいち早く読み、素早く対応できる企業集団」として、常に変革に挑みながら、世界中により良い住まいを提供できるよう、更なる発展・成長を続けてまいります。

 

(2)目標とする経営指標

当社グループは株主資本の有効活用を目指しつつ、安定的に成長投資資金を調達できる強固な財務基盤の確保を目指すために、在庫回転率と営業利益率を重要な経営指標としており、下記の数値を目標として、高い資本効率と持続的なキャッシュ・フロー創出に取り組んでおります。

目標とする経営指標

目標値

在庫回転率(分譲戸建)(注)

年2回転

営業利益率

10%以上

(注)在庫回転率:365日/土地の仕入決済~物件のお客様への引渡しまでの日数

 

(3)経営環境

当社グループの主要な事業である不動産事業の経営環境は以下の通りです。

① マクロ環境

国内における人口・世帯数の減少、特に住宅の一次取得者層である生産年齢人口が減少することにより住宅市場の縮小が懸念されます。他方、長寿命化が進むことにより、住宅に求められる機能やニーズは変化していくことが予想されます。また世界全体を見ると、人口・世帯数の増加により住宅需要の拡大が見込まれる国や、市場規模が大きく安定的な需要が見込まれる国があります。

 

② 市場動向

中長期的には人口・世帯数の減少により住宅市場の縮小が懸念されますが、注文住宅市場、賃貸住宅市場、分譲マンション市場と比較すると、分譲戸建市場は安定的に推移しております。他方、優良な住宅ストック市場の拡大に伴い、今後は中古住宅市場とリフォーム市場の成長が予想されます。

 

③ 競合動向

戸建分譲業界は、中小事業者を含めた多数の競合企業が存在する業界構造です。また参入障壁が低いことから、他業界からの新規参入もあり競争環境は厳しくなっていくことが予想されます。

 

④ 当社グループの構造

当社グループは、持株会社である当社を中心に、戸建分譲事業を主業とする6つの事業会社と、機能別事業会社で構成されております。各事業会社は、グループ統一的な事業方針のもと、それぞれの自主性、独自性を尊重した事業運営を行っております。

 

⑤ 主要な製品・サービスの内容

戸建分譲事業では、「誰もが当たり前に家を買える社会」を実現するために、住宅の一次取得者を主要ターゲットとして、耐震性能や断熱性能などに優れた安全・安心な住宅を、お買い求めしやすい適正な価格で提供しております。また、住宅を購入して頂いたお客様に対しては、定期的なメンテナンスを行うことにより、住宅の性能を維持し、長く安心して快適に暮らして頂けるようなサービスも提供しております。

戸建分譲事業以外にも、マンション分譲事業、請負工事(注文住宅)事業、メンテナンス・リフォーム事業の他に、ホテル事業など幅広くお客様の人生や日常生活に寄り添う商品・サービスの提供を行っております。

 

⑥ その他

当連結会計年度においては、新型コロナウイルス感染症拡大による生産、販売、資金調達等に対する影響は限定的であり、むしろ同感染症をきっかけとして戸建住宅への関心が高まったことが住宅の販売を促進する結果となりました。しかしながら、同感染症の再拡大や、より感染力の強い変異株の発生による、建築資材工場の操業停止、物流の遅延・停滞、販売業者の営業自粛、金融機関や行政サービスの遅延などのマイナス影響も払拭することはできません。また、収束が長引けば、お客様の住宅購入意欲が低下することも考えられます。

 

(4)中期的な経営戦略

当社グループは、経営の基本方針に基づき、「経営統合による経営資源・ノウハウを結集させた新しい顧客価値の創造と、海外市場展開をはじめとする新たな収益源の確保により構築する新しいビジネスモデルで、総合不動産住宅メーカーとして成長する」ことを経営ビジョンとして掲げ、上記の経営環境に対応すべく、「コア事業の競争力強化」と「事業ポートフォリオの拡大」を基本戦略として取り組んでおります。

 

① コア事業の競争力強化

戸建分譲事業は当社グループの中核的事業であり安定的な収益を上げる事業と位置付けております。競争が厳しくなる事業環境の中で、土地仕入から設計、施工、販売、アフターサービスまで一貫して自社で行うというビジネスモデルを進化させ、お客様の求める商品をより高いコスト競争力を持って提供できる仕組みの構築を図ります。更に、長寿命化による人生100年時代の到来に備えて、お客様に長く安心して暮らして頂けるよう、当社グループが提供する分譲戸建住宅は、住宅性能表示制度8項目で全棟最高等級を取得する体制へと移行し、購入後は、定期的なメンテナンスを徹底する体制を構築することで時代の変化に対応したビジネスモデルへと強化・再構築を図る方針です。

マンション分譲事業では、土地仕入価格や工事原価の高騰等の市場環境を注視し、採算性を考慮しながら臨機応変に対処してまいります。

 

② 事業ポートフォリオの拡大

総合不動産住宅メーカーを目指し、不動産賃貸事業、メンテナンス・リフォーム事業、中古住宅(流通)、請負工事(注文住宅)事業等の事業育成に取り組むことで、安定的な収益構造の構築を図ります。戸建分譲事業の事業基盤、顧客基盤を活かした事業展開に加え、提携、M&Aなども選択肢として検討してまいります。また、海外市場においても中長期的に市場成長が見込まれるエリアをターゲットとして、事業展開を進めてまいります。

 

(5)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題

① 事業環境変化に対応できる財務健全性の維持

新型コロナウイルス感染症の収束が見通せない中、急激な事業環境の変化にも迅速かつ柔軟に対応できるように、資金流動性の維持を図ります。

 

② ビジネスモデルの更なる強化・再構築

人生100年時代の到来に向けて、提供する商品の品質向上と、お客様に引き渡した後のメンテナンス体制を強化することによって既存のビジネスモデルの強化、再構築を図ります。これを実現するために、住宅の品質基準の見直し(住宅性能表示制度8項目で全棟最高等級取得体制構築)、主要な建築資材における調達体制の再構築、工法や施工技術の研究開発、施工品質の管理強化、メンテナンスサービスの標準化などに取り組みます。また、商品・サービスの品質を訴求価値としたコミュニケーション展開を行い、グループのブランド価値向上を図ります。

 

③ 新興国を中心にその国にあったビジネスモデルの構築

国内で培ったビジネスモデルをベースに、進出国の事業環境に適合したビジネスモデルの構築を図ります。

 

2【事業等のリスク】

有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。

なお、これらのリスク情報につきましては、当連結会計年度末日現在の判断によるものであり、また、当社グループの事業等に関するリスクの全てを網羅するものではありません。

 

(1)新型コロナウイルス感染症の影響について

当連結会計年度における新型コロナウイルス感染症拡大による影響は、国内外の一部の地域において生産活動や営業活動の停滞を余儀なくされたものの、生活様式の変化等により戸建住宅への需要が高まり、当社グループの業績に与える影響は限定的でありました。しかしながら、同感染症の影響は現在も不透明な状況であり、今後さらに拡大・長期化した場合には、購買者の購入意欲の減退などにより、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

当社グループでは、今後の環境動向を踏まえ、急激な事業環境の変化にも迅速かつ柔軟に対応できるよう、土地仕入の厳選化や事業サイクルの短縮、原価抑制等ビジネスモデルの原点に立ち返り、事業効率と収益性の向上に努めております。また、一部の地域において従業員が出社できない等の状況が発生する可能性があるため、テレワークの実施やソーシャルディスタンスの確保できる勤務体制の整備など、従業員の安全確保と事業活動への影響の低減を図っております。

 

(2)国内人口、世帯数の減少について

日本国内における人口、世帯数は減少していくことが予測されております。特に、当社グループの不動産分譲事業の主要ターゲットでもある生産年齢人口が減少することにより、中長期的には当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

当社グループでは、「事業ポートフォリオの拡大」を経営戦略の一つとして掲げており、住宅周辺分野への事業領域の拡大と、今後経済成長が見込まれる海外市場への事業展開を推進しております。

また、人口減少による影響は業績のみに留まらず、事業運営に携わる人材獲得という点においても、影響を及ぼす可能性があります。

当社グループでは、優秀な人材を幅広く採用・育成することで、事業活動の推進と競争力の維持向上を図っておりますが、人材の獲得競争の激化や従業員の退職等によって十分な人材の確保及び育成ができなかった場合には、競争力の低下につながり、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

(3)原材料・資材価格・人件費、物流費、外注費等について

国内外の市場の動向等により、原材料・資材価格・人件費・物流費等の上昇、またそれによる外注先の原材料調達状況に起因する外注費の上昇は、その影響額を販売価格へ転嫁することが難しい場合に、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。最近では、米国や中国での活況な住宅需要により木材流通価格が高騰し、また足元では海上コンテナの不足も重なっており、海外からの木材調達が困難になることも予想されます。

このような資材調達リスクに対しては、当社グループのスケールメリットを活かし、競争原理を活用した調達を行っております。また木材をはじめとする主要な資材の調達に関しては、グループ内での内製化を進めており、品質・コスト両面での安定的な調達体制を構築すると共に、外部の調達先に対する交渉力を高める取り組みを行っております。

 

(4)住宅の需給動向について

当社グループの売上高の約9割を占める不動産分譲事業の業績は、景気動向、金利動向、地価動向及び税制等に基づく購買者の購入意欲や需要動向に影響を受けやすいため、景気の見通しの悪化や大幅な金利の上昇、地価の上昇、税制の変更等があった場合には、購買者の購入意欲が減退し、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。また、供給に対して極端に需要が少なくなる場合においては、大幅な価格引き下げによる対応が強いられる可能性があります。

住宅需給動向は常に変化していることから、当社グループでは、建物の工事進捗状況、仕掛・完成在庫の販売状況、他の住宅事業者の供給動向や市場在庫の先行き見通し等に関する分析を定常的に行い、事業用地の仕入れ価格及び住宅販売価格、供給戸数及び時期等について、グループ全体の対応方針を決定しております。各事業会社においては、このグループ対応方針に基づき、事業エリア毎に異なる環境に応じた事業運営を行っております。

 

(5)保有資産の価値下落について

当社グループが保有している販売用不動産等の棚卸資産(2021年3月期4,784億92百万円)や有形固定資産(2021年3月期1,046億98百万円)について、不動産市況の著しい悪化等によってそれらの価値が下落し、評価損の計上や減損処理を行うことになった場合、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

このような不動産市況によるリスクに対して当社グループでは、在庫回転率を重要な経営指標の一つとして事業運営を行っております。在庫回転率を高めることによって、市況変動による保有資産の価格下落の影響を極小化するべく対応を進めております。

 

(6)自然災害、事故等について

地震、台風、洪水等の大規模な自然災害のほか、当社グループの工場等において、火災・爆発等の産業事故が発生した場合、対応費用の発生や生産活動の停止による機会損失又は当社グループが所有する不動産価値の下落等により、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

これらの自然災害、事故等の発生の可能性を予想することは困難でありますが、事象が発生した場合には大きな影響を被る可能性があることから、当社グループでは損害保険等の加入により対応を行っております。また、事象発生時における事業継続性を担保するための計画立案も行っております。

一方、地震、台風、洪水等の大規模な自然災害は、当社が販売した住宅を損傷する可能性もあります。当社グループでは、グループで供給する分譲戸建住宅の品質基準を、住宅性能表示制度8項目で全棟最高等級を取得する体制を整備するとともに、住宅を引き渡した後のメンテナンス体制も強化しており、提供する住宅の基本性能の向上と維持に努めております。

 

(7)海外事業について

海外での事業活動には、経済状況の変化・景気の後退、為替レートの変動、法令・規制等の予期せぬ変更、政情の悪化、テロ・紛争・暴動等による社会的又は政治的混乱のリスクが存在するとともに、社会的慣習の違いが外国公務員等への贈賄等の法規制に問われるリスクも存在します。これらのリスクが顕在化した場合、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

海外事業の推進に当たって当社グループでは、事前の市場調査から把握されたリスク要因と想定する事業価値を総合的に考慮しながら事業推進の判断を行うとともに、現地のグループ会社と連携し、状況の的確な把握と速やかな対策の協議等、管理体制の向上に取り組んでおります。

 

(8)法的規制について

当社グループは、日本のみならず各国において事業活動を展開しており、各地域の法令・規制等の適用を受けております。当社グループでは法令遵守を極めて重要な企業の責務と認識のうえ、コンプライアンス体制を強化して法令遵守の徹底を図っております。

しかしながら、各種対策を行ったとしても、個人的な不正行為等を含めコンプライアンスに関するリスクを完全に回避することは出来ず、重大な法令違反等を起こした場合には、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。また、国内外の行政・司法・規制当局等による予期せぬ法令の制定・改廃が行われる可能性や、社会・経済環境の著しい変化等に伴う各種規制の大幅な変更の可能性も否定できません。

このような場合には、将来の当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

(9)情報セキュリティについて

当社グループは、事業を展開する上で多くの個人情報や機密情報を有しております。当社グループは、これら情報の管理や活用にあたり、管理体制の強化や必要な従業員教育を実施する等、適切なセキュリティ対策を行っておりますが、万一、情報の流出・漏洩が発生した場合には、対応に多額の費用負担が生じ、あるいは社会的信用が低下することにより、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

本項目については、近年サイバー攻撃が巧妙化している中で、新型コロナウイルスの感染拡大を契機にテレワークが急拡大したこともあり、情報流出などの脅威が増大していることから、重要度が上昇していると認識しております。

 

(10)M&Aについて

当社グループは、既存事業の規模拡大や新規事業進出に際し、事業戦略の一環としてM&Aを実施しております。M&A実施に当たっては、当社グループの既存事業とのシナジー効果、事業計画、財務内容及び契約関係等を慎重に調査・検討し、将来の当社グループの業績に貢献すると判断した場合に実行しておりますが、市場環境や競争環境の著しい変化等により当社グループとの期待されたシナジー効果が出ないことや、当初計画された事業が予定通り展開できなくなることも考えられ、その場合にはグループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

(11)住宅品質保証について

当社グループは、人生100年時代に向けた住宅品質の向上を経営戦略の一つとして掲げており、グループで供給する分譲戸建住宅全棟で住宅性能表示制度8項目の最高等級を取得する体制を整備する等、品質管理に万全を期しております。

しかしながら、万一、当社グループの販売した物件に重大な問題があることが判明した場合には、その直接的な原因が当社グループの責めに帰すべきものでない場合であっても、売主としての契約不適合責任を負わなければならない場合があります。その結果として生じる保証工事費の引当金の増加や、当社グループの信用力低下等により、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

(12)気候変動について

当社グループは、安全で高品質の住宅供給を通じて継続的に環境課題への取り組みを推進しており、中でも気候変動については重要な課題であると認識しております。気候変動における移行リスクとしては、炭素税など法規制の厳格化といった政策動向の変化、低炭素社会に対応できない企業に対する需要低下やレピュテーション悪化、物理リスクとしては、自然災害の激甚化や異常気象の深刻化、降雨や気象パターンの変化、平均気温の上昇等による対応費用の発生や生産活動の停止による機会損失、建設作業員の熱中症等による健康被害などが想定され、これらのリスクが顕在化した場合には、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

当社グループは、分譲戸建住宅全棟で住宅性能表示制度の「断熱等性能等級」最高等級を取得しており、これにより、一般の住宅に比べ年間1.5トンの温室効果ガス(CO2)排出削減に努めております。また、CO2を排出しないエネルギーシステムである人工光合成を利用した住宅の研究開発や、長く健康で暮らせるための未来型住宅の開発を推進する等、持続可能で豊かな社会づくりに貢献するサステナビリティ経営を推進しております。

しかしながら、将来において環境規制の変更や気候変動の影響等により、更に多くの対策コストが必要になった場合、あるいは想定外の経済・社会環境の変化が発生した場合には、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

(13)事業資金の調達について

事業用地の仕入資金の一部は金融機関からの借入金によって調達しております。事業資金の調達及び返済は、金融機関の経営状態や金利情勢その他の外的環境に左右されるため、これにより当社グループの業績及び財政状態に影響を受ける可能性があります。また、当社グループの信用力低下等何らかの理由により調達に制約を受けた場合には、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

これらのリスクが長期間にわたり顕在化する可能性は高くないと考えておりますが、仮にリスクが顕在化した場合、その影響の程度は相応に大きくなることを想定し、当社グループとしては経営戦略に基づく財務方針に従い財務安全性を最優先しつつ、持株会社である当社と事業会社である子会社が、資金使途に応じて一体的に事業資金の調達・運用を行っております。

 

3【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1) 経営成績等の状況の概要

 当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は以下のとおりであります。

① 財政状態及び経営成績の状況

当連結会計年度におけるわが国経済は、新型コロナウイルス感染症の世界的な拡大の影響により経済・社会活動が制限される厳しい状況となりました。4月の緊急事態宣言解除後は、政府主導による各種支援策のもと経済活動が段階的に再開されてきましたが、年度後半からは再び同感染者数が増減を繰り返すなど、景気の先行きに不透明感の残る状況が続いております。

当不動産業界におきましては、同感染症拡大をきっかけに、在宅時間の増加やリモートワークの普及など生活様式が変化したことにより、部屋数が多く、独立性の高い戸建住宅への需要が高まりました。低金利環境の継続や住宅ローン減税の再延長等の政府による各種住宅取得支援策の継続などにより、引き続き住宅需要は下支えされておりますが、同感染症の収束が長引けば、住宅購入意欲に影響を及ぼす可能性があります。

このような状況のもと、当社グループでは、急激な事業環境の変化にも迅速かつ柔軟に対応できるよう、土地仕入の厳選化や事業サイクルの短縮による適正なバランスシートの管理を最優先で行いました。

また、「誰もが当たり前に家を買える社会」の実現を目指し、新工法・新技術の開発、住宅関連事業の内製化、資材の共同購買などによる原価抑制策に取り組むと共に、販売面では、分譲戸建住宅全棟で住宅性能評価を取得し、販売した住宅へのメンテナンス体制の強化を図るなど、人生100年時代の到来に向けたビジネスモデルの強化を推進してまいりました。

その結果、当連結会計年度の売上収益は1兆4,561億99百万円(前期比3.9%増)、営業利益は1,212億63百万円(前期比45.2%増)、税引前利益は1,196億85百万円(前期比51.9%増)、親会社の所有者に帰属する当期利益は833億16百万円(前期比55.0%増)となりました。

 

セグメント別の業績は、以下のとおりであります。

セグメントの名称

件数

売上収益(百万円)

前期比(%)

一建設グループ

 

 

 

(区分)戸建分譲事業

12,289

325,050

6.4

マンション分譲事業

455

39,255

△1.6

請負工事事業

2,244

45,369

△3.4

その他

9,522

7.9

小計

14,988

419,198

4.5

飯田産業グループ

 

 

 

(区分)戸建分譲事業

7,383

236,924

1.9

マンション分譲事業

314

13,909

22.0

請負工事事業

291

6,658

△3.3

その他

9,486

△3.7

小計

7,988

266,978

2.4

東栄住宅グループ

 

 

 

(区分)戸建分譲事業

4,954

163,826

0.1

マンション分譲事業

1

3,040

請負工事事業

228

7,572

8.4

その他

1,672

30.3

小計

5,183

176,111

2.5

タクトホームグループ

 

 

 

(区分)戸建分譲事業

5,115

147,662

4.0

マンション分譲事業

5

86

△71.8

請負工事事業

49

958

△15.9

その他

1,604

△58.5

小計

5,169

150,312

2.0

 

 

セグメントの名称

件数

売上収益(百万円)

前期比(%)

アーネストワングループ

 

 

 

(区分)戸建分譲事業

12,673

289,045

6.5

マンション分譲事業

820

27,703

18.2

請負工事事業

401

9,117

23.4

その他

381

△2.2

小計

13,894

326,248

7.8

アイディホームグループ

 

 

 

(区分)戸建分譲事業

4,195

105,484

0.3

マンション分譲事業

請負工事事業

40

881

△41.9

その他

435

△5.1

小計

4,235

106,801

△0.4

その他(注)5

 

 

 

(区分)戸建分譲事業

11

376

9.7

マンション分譲事業

8

263

△28.4

その他

9,910

△5.2

小計

19

10,549

△5.5

(区分計)戸建分譲事業

46,620

1,268,369

3.9

マンション分譲事業

1,603

84,258

11.7

請負工事事業

3,253

70,559

△0.4

その他

33,013

△6.0

総合計

51,476

1,456,199

3.9

(注)1.セグメント間の取引については、相殺消去しております。

2.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。

3.戸建分譲事業には、戸建住宅のほか、宅地等が含まれます。マンション分譲事業には、分譲マンションのほか、マンション用地等が含まれます。請負工事事業には、注文住宅のほか、リフォームやオプション工事等が含まれます。

4.請負工事事業等の売上収益は、一定期間にわたり履行義務が充足されることに伴って認識される収益ですが、件数はいずれの区分も資産の引渡し件数を記載しております。

5.「その他」のセグメントは、報告セグメントに含まれない事業セグメントであり、ファーストウッド等の木材製造事業、ホームトレードセンター及び当社の事業に係るもの等であります。

 

② 財政状態

当連結会計年度末の資産合計は1兆4,749億31百万円となり、前連結会計年度末比で616億5百万円の減少となりました。

当連結会計年度末の負債合計は6,150億61百万円となり、前連結会計年度末比で1,268億35百万円の減少となりました。

当連結会計年度末の資本合計は8,598億69百万円となり、前連結会計年度末比で652億30百万円の増加となりました。

 

③ キャッシュ・フローの状況

当連結会計年度末の現金及び現金同等物(以下、「資金」という。)の残高は5,486億64百万円となり、前連結会計年度末比で1,643億29百万円の増加となりました。

当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は以下のとおりであります。

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

営業活動の結果獲得した資金は3,229億82百万円(前連結会計年度は173億92百万円の獲得)となりました。

これは主に、税引前利益1,196億85百万円、棚卸資産の減少額2,326億71百万円、営業債務及びその他の債務の減少額285億35百万円があったことによるものであります。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

投資活動の結果使用した資金は114億4百万円(前連結会計年度は302億44百万円の使用)となりました。

これは主に、有形固定資産の取得による支出63億10百万円、投資の取得による支出59億65百万円があったことによるものであります。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

財務活動の結果使用した資金は1,473億61百万円(前連結会計年度は600億96百万円の獲得)となりました。

これは主に、借入金の減少939億41百万円、社債の償還による支出300億円及び配当金の支払額178億83百万円があったことによるものであります。

 

④ 生産、受注及び販売の実績

(ⅰ)生産実績

当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、以下のとおりであります。

セグメントの名称

件数

金額(百万円)

前期比(%)

一建設グループ

 

 

 

(区分)戸建分譲事業

11,400

297,282

△3.5

マンション分譲事業

290

34,681

27.0

請負工事事業(注文住宅)

2,291

41,779

△6.6

小計

13,981

373,743

△1.6

飯田産業グループ

 

 

 

(区分)戸建分譲事業

6,571

211,867

△9.8

マンション分譲事業

204

8,838

△42.2

請負工事事業(注文住宅)

291

6,718

△2.5

小計

7,066

227,424

△11.5

東栄住宅グループ

 

 

 

(区分)戸建分譲事業

4,761

160,626

△0.9

マンション分譲事業

1

2,320

請負工事事業(注文住宅)

228

4,728

14.0

小計

4,990

167,674

0.9

タクトホームグループ

 

 

 

(区分)戸建分譲事業

4,320

128,788

△18.0

マンション分譲事業

△100.0

請負工事事業(注文住宅)

51

756

△18.3

小計

4,371

129,545

△18.1

アーネストワングループ

 

 

 

(区分)戸建分譲事業

11,534

266,659

3.2

マンション分譲事業

665

24,896

△16.1

請負工事事業(注文住宅)

404

5,128

21.1

小計

12,603

296,685

1.5

アイディホームグループ

 

 

 

(区分)戸建分譲事業

4,538

105,330

△8.5

マンション分譲事業

請負工事事業(注文住宅)

41

818

△43.3

小計

4,579

106,148

△8.9

その他

 

 

 

(区分)戸建分譲事業

11

376

9.7

マンション分譲事業

8

263

△28.4

小計

19

639

△10.0

(区分計)戸建分譲事業

43,135

1,170,930

△5.2

マンション分譲事業

1,168

71,000

△2.6

請負工事事業(注文住宅)

3,306

59,930

△4.0

総合計

47,609

1,301,861

△5.0

 

(注)1.セグメント間の取引については、相殺消去しておりません。

2.金額は、販売価額によっております。

3.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。

4.戸建分譲事業には、戸建住宅のほか、宅地等が含まれます。

 

(ⅱ)受注実績

当連結会計年度における受注実績をセグメントごとに示すと、以下のとおりであります。

セグメントの名称

受注高(百万円)

前期比(%)

受注残高(百万円)

前期末比(%)

一建設グループ

請負工事事業(注文住宅)

42,533

3.7

33,115

9.8

飯田産業グループ

請負工事事業(注文住宅)

7,799

11.8

4,711

30.2

東栄住宅グループ

請負工事事業(注文住宅)

5,164

15.4

3,877

14.1

タクトホームグループ

請負工事事業(注文住宅)

875

33.2

443

78.7

アーネストワングループ

請負工事事業(注文住宅)

5,285

11.6

2,889

6.8

アイディホームグループ

請負工事事業(注文住宅)

1,678

△18.2

788

26.4

合計

63,337

5.7

45,826

12.5

(注)1.セグメント間の取引については、相殺消去しておりません。

2.金額は、請負金額によっております。

3.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。

 

(ⅲ) 販売実績

当連結会計年度における販売実績につきましては、前述の「① 財政状態及び経営成績の状況」をご参照ください。

 

(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は以下のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。

 

① 当連結会計年度の財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容

当社グループの当連結会計年度の事業全体及びセグメントごとの経営成績等につきましては、「(1)経営成績等の状況の概要」に記載のとおりであり、経営者の視点によるこれらの経営成績等に関する認識及び分析・検討内容は以下のとおりであります。なお、当社グループのセグメントは、「第5.経理の状況 1.連結財務諸表等(1)連結財務諸表 連結財務諸表注記 7.セグメント情報」に記載のとおり、共通した事業を行う連結子会社単位等を報告セグメントとしているため、事業区分ごとに経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容を記載しております。

 

(ⅰ)戸建分譲事業

戸建分譲事業の業績は、売上収益が1兆2,683億69百万円(前期比477億68百万円増)、販売棟数が46,620棟(前期比847棟増)となりました。

当社グループの売上収益の大半を占める戸建分譲事業では、20~30代の一次取得者を主要ターゲットとして、値ごろ感のある住宅を供給しております。物件の値ごろ感は、販売エリアの相場、需給バランスに加え、主要ターゲット層の可処分所得や住宅ローンの返済額等によって常に変化するため、これらの動向を的確に捉え、販売価格に応じた土地の仕入れと、建物原価のコントロールを行うことが経営成績に重要な影響を与えます。

当連結会計年度は、新型コロナウイルス感染症拡大に伴い、経済・社会活動が大幅に制限される状態でのスタートとなりました。不動産流通機構が運営しているレインズによると、期初時点における新築戸建住宅の登録在庫数は、直近1年間で約15%増加しており、市中在庫は供給過剰な状態であったと推測されます。一方、当社においては、2020年3月末時点における棚卸資産の保有水準が、経営目標として掲げている在庫回転率「年2回転」と比較して過剰な状態であったことから、事業環境の悪化に備えて、在庫を削減し、新たに仕入れる土地の厳選化と事業サイクルの短縮化を最優先課題として取り組みました。4月の緊急事態宣言解除後は、経済活動が段階的に再開され、弊社物件サイト「すまいーだ」へのアクセス数、資料請求件数が急増いたしました。これは、同感染症拡大により、在宅時間の増加や、リモートワークの普及など生活様式が変化し、部屋数が多く、独立性の高い戸建住宅への関心が高まったことが要因であると推測されます。これらの需要動向に対して、オンラインによる商談など、感染防止に配慮しつつ積極的な販売活動を展開いたしました。

以上の結果、戸建分譲事業の棚卸資産は、期初5,710億4百万円から期末には3,575億10百万円と2,134億93百万円削減し、市況変動による在庫リスクを低減いたしました。また、土地仕入の厳選化と事業サイクルの短縮化の効果が徐々に表れ、戸建分譲事業の売上総利益率は前期比で1.8ポイント改善することが出来ました。

なお、新型コロナウイルス感染症の影響については、感染対策の徹底により一部制約はあるものの、お客様の戸建住宅に対する需要は高く、販売面における大きな問題はありません。しかしながら、同感染症の収束が長引くことにより実体経済が悪化するようなことになれば、ターゲット顧客層の住宅購入意欲の低減や、保有する販売用不動産の価値下落等の影響が出る可能性があります。

(ⅱ)マンション分譲事業

マンション分譲事業の業績は、売上収益が842億58百万円(前期比88億42百万円増)、販売戸数が1,603戸(前期比348戸減)となりました。

新築分譲マンション市場は、新型コロナウイルス感染症が拡大する中で、供給戸数は低水準で推移しましたが、建設コストの上昇を背景として販売価格は上昇しており、需要者に高い購買力が要求される状況が継続しております。

マンション分譲事業は、戸建分譲事業に比べ事業期間が長いことから、用地仕入を厳選し採算性の面から選択的に事業を推進することを基本スタンスとしておりますので、概ねその方針に沿った結果だったと考えております。

新型コロナウイルス感染症の影響については、戸建分譲事業で記載した内容と同様です。

(ⅲ)請負工事事業

請負工事事業の業績は、売上収益が705億59百万円(前期比3億6百万円減)、販売棟数が3,253棟(前期比333棟減)となりました。

当連結会計年度におきましては、戸建分譲事業に比べてお客様との商談回数が多い請負工事事業は、営業面において事業活動が制限されたことから販売棟数が減少しましたが、1棟当たりの平均価格が上昇したことで売上収益は概ね横ばいで推移いたしました。

当社グループの請負工事(注文住宅)事業については、基本戦略である「事業ポートフォリオ拡大」の対象事業の一つであり、将来的に業容拡大を目指しております。

(ⅳ)その他事業

その他事業の業績は、売上収益が330億13百万円(前期比21億23百万円減)となりました。

前連結会計年度に含まれていた不動産売却分が減収要因となりましたが、当連結会計年度におきましては、「コア事業の競争力強化」を目的として買収した住宅用内装建材会社であるオリエントが連結対象会社になりました。

 

当連結会計年度末の資産合計は1兆4,749億31百万円となり、前連結会計年度末比で616億5百万円の減少となりました。

流動資産については1兆964億46百万円となり、前連結会計年度末比で740億88百万円の減少となりました。これは主に、現金及び預金の増加1,635億84百万円、棚卸資産の減少2,307億47百万円等によるものであります。

非流動資産については3,784億85百万円となり、前連結会計年度末比で124億83百万円の増加となりました。これは主に、有形固定資産の増加24億39百万円、その他の金融資産の増加63億53百万円等によるものであります。

 

当連結会計年度末の負債合計は6,150億61百万円となり、前連結会計年度末比で1,268億35百万円の減少となりました。

流動負債については3,805億29百万円となり、前連結会計年度末比で1,291億5百万円の減少となりました。これは主に、社債及び借入金の減少1,206億60百万円、営業債務及びその他の債務の減少298億85百万円等によるものであります。

非流動負債については2,345億32百万円となり、前連結会計年度末比で22億69百万円の増加となりました。これは主に、社債及び借入金の減少21億87百万円等によるものであります。

 

当連結会計年度末の資本合計は8,598億69百万円となり、前連結会計年度末比で652億30百万円の増加となりました。これは主に、剰余金の配当179億47百万円に対し、当期利益837億70百万円を計上したこと等によるものであります。

 

上記の結果、在庫回転率(戸建)は年1.4回転、営業利益率は8.3%となり、いずれも前述の目標値には至りませんでしたが、引き続き、高い資本効率と持続的なキャッシュ・フローの創出に不可欠な羅針盤として位置づけ、「1.経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (4)中期的な経営戦略、(5)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題」に記載の経営戦略及び各種施策を推進してまいります。

 

② キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報

当社グループは、持続的な成長に必要な経営の健全性・効率性の観点から、経営環境の変化によって変動するリスクに見合った適正な資本水準と負債・資本構成を維持していくことを基本方針としております。

当社グループの資金需要は、その大部分が戸建分譲事業及びマンション分譲事業を行うための事業用土地購入費でありますが、不動産賃貸事業などのストックビジネスや海外展開といった事業ポートフォリオの拡大に関連した投資等に加え、コア事業の競争力強化に向けた営業拠点の展開や川上川下展開などに伴う設備投資でも資金需要が生じます。株主還元につきましては、経営体質の強化と将来を見据えた成長投資を考慮しつつ、安定的かつ継続的な配当を行うことを基本方針としております。

これらの資金需要につきましては、自己資金に加え、銀行借入を中心に、主要事業に対応する機動性と資金需要の性格に応じた長期安定性のバランスを重視した資金調達をグループ一体となって実施することとしております。

なお、当連結会計年度における資金調達の状況については「第5.経理の状況 1.連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 連結財務諸表注記 19.社債及び借入金(リース負債及びその他の金融負債含む)」をご参照ください。

また、重要な資本的支出の予定及びその資金の調達源につきましては、「第3.設備の状況 3.設備の新設、除却等の計画」をご参照ください。

 

③ 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

当社グループの連結財務諸表は、「連結財務諸表の用語、様式及び作成方法に関する規則」第93条の規定によりIFRSに準拠して作成しております。この連結財務諸表の作成にあたって、見積りが必要な事項につきましては、合理的な基準に基づき会計上の見積りを行っております。

重要な会計上の見積り及び見積りを伴う判断、見積りの方法及び仮定、並びにそれらの不確実性等につきましては、「第5.経理の状況 1.連結財務諸表等 連結財務諸表注記 5.重要な会計上の見積り及び見積りを伴う判断」に記載の各項目をご参照ください。

 

4【経営上の重要な契約等】

特記すべき事項はありません。

 

5【研究開発活動】

当連結会計年度のグループ全体の研究開発費は551百万円であります。

研究開発の主な内容は以下のとおりであり、主に報告セグメントに帰属しない当社において発生した研究開発費であります。

(1)IGパーフェクトエコハウスの研究開発

当社は「水素社会」実現に向け、独自の人工光合成技術により、二酸化炭素と水、または二酸化炭素由来の有機物から水素源となる蟻酸を生成・貯蔵し、更にこの蟻酸から生成した水素により発電した電気で家庭の消費電力の全てを賄うことができる住宅「IGパーフェクトエコハウス」の研究開発を行っております。

先般、沖縄県宮古島市のシーウッドホテル敷地内に建設した「IGパーフェクトエコハウス」研究棟に試験機器等を導入し、実証実験の開始を予定しております。

2024年の技術確立を目指し、大阪市立大学との共同研究を推進、現在、蟻酸及び水素生成効率の向上や、発電機構の構築、装置の耐久性向上等に取り組んでおります。

 

(2)独自工法の開発と活用

① 日本とは異なる高温多湿な地域での住宅建築向けに開発した「IGストロングCB工法」のインドネシアでの活用を開始し、現地に建設したブロック工場より供給されるオリジナルコンクリートブロックを用いた住宅の建築を行っております。

また現在、ブロックのスリム化や建築工程の削減等、インドネシア住宅建築への適合性向上を目的とした改善活動を行うとともに、住宅建築に留まらない活用範囲の拡大を図るべく、継続研究を行っております。

本工法に関する特許が日本、米国、ロシア、フィリピン、インドネシアにて登録され、他の国にも出願しております。

② 北米やオセアニアをはじめ、世界の広範囲で普及しているツーバイフォー工法の構造材を活用し、日本の在来工法の「軸組方式」「仕口接合」を作り出した「I.D.S-8型工法」を開発、ロシア連邦沿海州地域において本工法を採用した戸建住宅の建築・販売を行いました。本工法の特性に適合した地域戦略の検討、施工性向上を目的とした改善活動を行っております。

先般、工法の運用合理化等を目的とした「一般財団法人日本建築センターのBCJ評定」を取得しました。

本工法に関する特許が日本、ロシア、米国、カナダにて登録され、他の国にも出願しております。

 

(3)ウエルネススマートハウス・研究

当社は当社グループの飯田産業に委託して、大阪市立大学・大阪府立大学と、未来型住宅:ウエルネススマートハウス・の実現を目指し、『スマートライフサイエンスラボ』を新設、共同研究を昨年より開始しております。共同研究部門は、大阪市立大学健康科学イノベーションセンター(グランフロント大阪内)に新しく設置。阿倍野キャンパス医学部内にも共同研究ラボ『スマートライフサイエンスラボ』を開設し、5年間の予定で共同研究を行っております。

ウエルネススマートハウス・とは、AIバトラー(執事)が生活空間で健康データを収集し、自治体等が持つデータと連携することで、食事などのアドバイスとともに、AIなどで解析することにより、AIドクターが適切な健康アドバイスを行ない、また、AIトレーナーがオーダーメイドの運動プログラム等を作成して未病の改善につなげるなど、ライフステージやライフスタイルに応じ健康に豊かに暮らすことのできる未来の住空間です。

また、2022年4月に大阪市立大学と大阪府立大学の統合により開学予定の新大学、大阪公立大学(仮称)では、「スマートシティ」「パブリックヘルス/スマートエイジング」「バイオエンジニアリング」「データマネジメント」の4つの戦略領域を中心に取組みを重点化。特に、健康・医学領域では、健康科学、脳科学、先端予防医療学、医療統計学、工学、生活科学や人文社会学などと融合した高度な研究体制を構築していきます。

そして、2025年度を目途に、大阪府と大阪市は、都心メインキャンパスを大阪城東部地区(森之宮地区)に整備する予定であり、「次世代型キャンパスシティ」と位置づけ、新大学を先導役として、観光集客・健康医療・人材育成・居住機能の集積により、多世代・多様な人が集い、交流する国際色あるまち(スマートシティ)づくりを目指しており、その推進にも本研究は貢献して参ります。

 

(4)健康経営の開始と研究

飯田産業 先端医療科学研究機構は、健康経営の一環として、飯田グループ従業員が自身の身体について深く知り、健康寿命を延ばすことに繋げ、未病の改善と健康管理をサポートする健康増進モニターを、グループ各社より600名程を募集し、開始しております。

また、これらのデータ活用により、将来的には飯田グループが目指す未来型住宅:ウエルネススマートハウス・づくりや、社会のより多くの人々の健康寿命の延伸につながる研究を行っております。