第2 【事業の状況】

 

1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当グループが判断したものであります。

 

(1) 経営方針

当グループは企業理念を次のとおり定めております。


  創業企業  つねに社会にとって必要な事業を創造しつづける
   日々創業・・・初心を大切に日々創業精神で仕事をする
   歴代創業・・・代々初代の志を持って新事業を創造する
   全員創業・・・全社員が自分に合う第一人者の道を拓く
  循環企業  助け合い、活かし合い、分かち合う喜びの環を回しつづける
   快  労・・・助け合い、補い合って気持ちよく働く
   活  財・・・あらゆるもののいのちを活かして使い回す
   還  元・・・利益や喜びを共に生きる人たちと分かち合う
  求道企業  永遠につづく企業の道、人の道を追求しつづける
   選難の道・・・安易な道を選ばず求められる道を歩む
   独自の道・・・特質を生かし人のやらないことをやる
   感謝の道・・・生かされていることに感謝し慢心をしない
 
 社会にとって求められている事業を創造し続け、顧客、株主、従業員を含むステークホルダーの期待に応えることはもとより、事業活動を通じて良い世の中を作ることを目指してまいります。

 

(2) 経営環境及び対処すべき課題

当グループの事業環境においては、世界の脱炭素に向けた動きの中で、サーキュラーエコノミーの概念がサプライチェーン全般に及び始めており、今後もリサイクル原料への需要は一層高まるものと考えております。

このような環境の中、当グループは「持続可能社会実現の一翼を担う」のミッションステートメントのもと、事業コンセプトを「サーキュラーエコノミーの具体的な事例の実現」、構築すべき組織イメージを「創発的能力を備えた自律した個人の規律ある集団」とし、「脱炭素社会」、「循環型社会」、「分散型社会」実現に向けた課題解決を事業機会としてチャレンジしていきます。加えて、今後の成長を根底から支えるために企業理念の共有レベルを高め、さらに環境整備や安全管理、人的資本への積極的投資等の内部体制を一層強化していきます。

当グループは事業そのものとプロセスの両面で持続可能社会の実現に寄与するために、2018年7月にリサイクル業界としては世界で初めて「RE100」に加盟しました。現時点では再生可能エネルギー電力100%というRE100目標のうち2022年6月期においては97%を達成しております。

この方針に基づき、2022年8月に更新した5カ年の中期経営計画(サステナビリティ戦略)の最終年度である2027年6月期の連結目標、売上高750億円、経常利益50億円、ROE13%の達成に向けて邁進してまいります。

今後当グループが、同戦略に基づいて事業を推進していく上での課題は下記のとおりです。

 

①資源循環事業領域の課題

・リユース、リサイクル、リマニュファクチャリングまでを一貫して行い、Q(品質)C(コスト)D(納期)でハイレベルな製造業への変革を目指します。その上で、C(カーボンニュートラル)の要素を加えた製造プロセスにより、静脈サプライチェーンモデルを構築しサーキュラーエコノミーの実現を目指します。

・原材料を安定的に確保するために、広域での解体・片付け案件等による全国規模での集荷体制を構築してまいります。加えて、これまでに蓄積したノウハウ・技術・設備の深堀により、未利用資源活用に向けた研究開発を継続して進めてまいります。

・資源価格の変動に対する取り組みとして廃棄物処理事業を強化いたします。社会課題である廃プラスチックリサイクルにおいて、既存のサーマルリサイクルに、マテリアルリサイクル・ケミカルリサイクルを組み合わせた高度な資源循環の仕組みを構築してまいります。

 

②グローバルトレーディング事業領域の課題

・金属スクラップの取扱量を増やしスケールメリットを実現させるために、国内外の集荷拠点を拡張し、営業活動を強化いたします。

・鉄スクラップの輸出と並ぶ売上の柱を作るために、輸出品目の増加、輸入商材の増加、三国間貿易などの施策を強化いたします。

・日本企業の進出が少ない国に事業拠点がある事を強みに、これまでに培ったインフラを活用した新たな商材開拓を行ってまいります。

 

③リチウムイオン電池リサイクル事業領域の課題

・収益源の多様化並びに継続的な成長には、リチウムイオン電池等の今後市場が急速に拡大する様な成長分野の新規事業開発と推進が必要と認識しております。新事業領域へ積極的に経営資源を投下し、一方で、限られたリソースを有効に活用し最大限の成果を発揮する体制の構築に取り組んでまいります。

・既存ブラックマス製造工場に加え、新たに数カ所の工場建設による製造能力の拡大を予定しております。処理するリチウムイオン電池の集荷量の確保、安全で効率的な製造プロセスの確立、化学の専門性を有した人材の確保を進めてまいります。

・2025年以降に予定する湿式製錬工場の稼働や、その後の前駆体製造を含めた電池to電池のクローズドループリサイクルシステムの構築には、多額の投資が必要になります。他社との資本・業務提携等のあらゆる可能性を模索しながら事業領域の拡大に取り組んでまいります。

 

④その他の事業領域の課題

・環境経営コンサルティング事業においては、同領域における当グループの優位性を強化するために、既存の気候変動関連コンサルティングサービスの拡大に加えて、資源循環事業と連携したサーキュラーエコノミーのソリューション&コンサルティングサービスの拡大に注力いたします。

・障がい福祉サービス事業においては、事業基盤を強化するために、専門性の強化、既存事業所におけるサービス品質の向上に取り組みます。また、当グループの各種事業とのシナジーを高める取り組みを実施いたします。

 

⑤経営基盤と成長基盤の強化

・事業セグメントごとに迅速で適切な経営判断を実現するための体制を構築いたします。

・コア技術の研究促進のために設立した研究室を活用し、グループ各社の既存事業の生産性向上や、新規事業の側面支援を行います。

・生産性の向上のため、管理部門、営業部門、生産部門等会社のあらゆる場面でIT化を強く推進してまいります。

・創発的能力を備えた自律した個人の規律ある集団を目指し、社員一同が生き生きと働く良質なエネルギーに満ちた「場」を作るために、採用と人材開発及び目標管理含めた人材教育の強化を図ります。また、働き方の多様化等の環境改善にも取り組んでまいります。 

 

 

2 【事業等のリスク】

 

本書に記載した当グループにおける事業概況、経理の状況等に関する事項のうち、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項には、以下のようなものがあります。

なお、当グループはこれらのリスク発生の可能性を認識したうえで、発生の回避及び発生した場合の対応に努める方針でおりますが、記載内容及び将来に関する事項は当連結会計年度末現在において当グループが判断したものであり、不確実性を内在していること、並びに投資に関連するリスク全てを網羅するものではありませんのでご留意ください。

 

(1) 原材料、製・商品の相場変動リスク

当グループにおける原材料、製・商品である鉄スクラップや非鉄金属の価格は、鉄鉱石や銅鉱石といった資源価格や金属製品価格等の影響を受けます。

当グループの原材料、製・商品の仕入価格と販売価格は、基本的には相場に連動いたしますが、相場の急激な変化の影響を受けて、契約内容によっては利益の減少や損失が発生する場合があります。また、同様に製・商品在庫価値についても相場の影響を受ける可能性があります。

1トン当たりの鉄スクラップ価格(東京製鐵田原海上特級価格の平均)の推移は、下表のとおりであります。

 

 鉄スクラップ価格
  単位:円/トン

第1四半期

第2四半期

第3四半期

第4四半期

通期

第11期 2019.7~2020.6

25,364

23,239

22,203

20,934

22,943

第12期 2020.7~2021.6

23,225

30,438

40,866

47,565

36,054

第13期 2021.7~2022.6

49,461

55,070

56,738

60,895

55,520

 

(注) 鉄スクラップ価格は、東京製鐵田原海上特級の日々の価格を合計し各四半期会計期間の日数で除して算出しております。

 

(2) 原材料・商品の調達環境リスク

当グループにおける原材料・商品は、主に工場の生産工程から発生する金属スクラップ及び産業廃棄物や市中発生の老廃屑(解体工事や工場ライン撤去に伴い発生する鉄スクラップや非鉄金属)となり、工場の生産動向、最終製品の消費動向等の影響により発生が減少する可能性があります。こうした原材料・商品の減少は、売買数量、生産設備の稼働率に影響を与え当グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

(3) 業績の変動リスク

当グループでは、原材料、製・商品の相場変動、為替変動、原材料・商品の増減等、各種要因により業績が大きく変動する可能性があります。
 当グループの業績は、下表のとおりであります。

第13期(自 2021年7月1日  至 2022年6月30日)

 

第1四半期

第2四半期

第3四半期

第4四半期

通期

金額
(百万円)

比率
(%)

金額
(百万円)

比率
(%)

金額
(百万円)

比率
(%)

金額
(百万円)

比率
(%)

金額
(百万円)

比率
(%)

売上高

14,292

24.9

12,950

22.6

13,372

23.3

16,703

29.2

57,319

100.0

経常利益

921

22.1

838

20.1

1,007

24.2

1,399

33.6

4,166

100.0

 

(注) 比率は、通期に対する四半期の割合であります。

 

(4) 特定の販売先への集中リスク

当グループの2022年6月期の売上高に占める上位三社である国内、韓国及びベトナムの鉄鋼メーカーを合わせた売上高比率は28.2%であります。各社とは円滑な取引関係を継続しておりますが、取引先の個別の事情や相手国の事情、法規制や関税率の変化といった理由により、取引条件の悪化や取引関係の解消又は契約内容の大幅な変更等が生じる場合には、当グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

(5) 物流リスク

当グループでは鉄スクラップ等の調達、加工、販売の流通において主に車両及び船舶を利用しております。原油価格や人件費の高騰、需給逼迫等による配車、配船難等により物流コストが上昇する可能性があります。また、船舶会社から傭船し販売する場合、一船あたりの販売量は1,500トンから5,000トン単位となり、売上高は数千万円から1億円以上となります。船舶を利用した販売において、悪天候等の不測の事態により適時に傭船が行えない可能性があります。これらにより当グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(6) 法的規制等について

    当グループの事業活動の前提となる事項に係わる主要な法規制は以下に記載のとおりであります。

   ・廃棄物の処理及び清掃に関する法律

    ・使用済自動車の再資源化等に関する法律

    ・フロン類の使用の合理化及び管理の適正化に関する法律

    ・古物営業法

    ・特定家庭用機器再商品化法

    ・使用済小型電子機器等の再資源化の促進に関する法律

    ・建設業法

    ・建設工事に係る資材の再資源化等に関する法律

    ・労働安全衛生法

    ・消防法

    ・道路交通法

    ・貨物自動車運送事業法

    ・外国為替及び外国貿易法

    ・輸出入取引法

    ・安全保障貿易管理におけるキャッチオール規制

    ・計量法

    ・特定有害廃棄物等の輸出入等の規制に関する法律

    ・各種環境法令

     

 

当グループが事業活動を営むにあたり、事業会社又は役員等が廃棄物処理法等で定める欠格要件等に該当し、事業の停止命令や許認可が取り消されることになった場合、当グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。また、その廃棄物の中間処理等で、様々な環境関連法令に対応していますが、異常気象などの不測の事態により廃棄物の飛散、流出などが起きてしまった場合に、賠償責任が発生する可能性があります。

 この他、外国との貿易取引においては、バーゼル法の規制や、その国の許認可を要する場合もあり、大幅な法改正、制度変更があった場合など、既存事業がこれらの規制に抵触してしまう可能性があります。

 

(7) カントリーリスク

当グループは、海外売上高比率が高く、輸入や三国間貿易を実施しております。また、アラブ首長国連邦及びチリ等に現地子会社が存在することから、取引先の各国の経済情勢に加え、貿易・通商規制、税制、予期しない法律又は規制の変更並びにそれらの解釈の相違、あるいは政変、戦争、感染症の流行等により、当グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

(8) 為替変動リスク

当グループの貿易取引では、円建のほか外貨建も含めて取引を行っている子会社も存在することから、取引、在庫価値並びに外貨預金残高について為替変動の影響を受けております。

このため外貨取引については、為替予約規程により為替予約等を利用することを規定し運用することで、為替変動リスクの低減に努めております。また、連結財務諸表を作成するにあたって在外子会社の財務諸表を円換算しており、現地通貨における価値に変動がなくても、円換算後の価値が影響を受けます。しかしながら、事業活動において為替変動リスクを完全に排除することは困難でありますので、今後著しい為替変動があった場合、当グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

(9) M&A戦略及びM&Aシナジーが十分に発揮されないリスク

当グループでは、事業の拡大を図る手段としてM&Aを実施してまいりました。対象企業については、当該企業の財務内容や契約関係等について詳細なデューデリジェンスを行うことによって、極力リスクを回避するよう努めております。しかしながら、M&Aを行った後に偶発債務や未認識債務が判明する場合等が考えられます。

また、M&Aの対象会社が外部環境の変化等各種の要因により、当初の期待どおりの成果をあげられない可能性もあります。これらの場合には、当グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

(10) 競合リスク

当グループの事業分野には大きなシェアを持つ全国的な企業が存在せず、地域別に中小企業が多数存在し、それぞれの得意分野・地域を持ち、価格、サービスを競っております。

今後は、法的規制を背景にした環境対応や廃棄物リサイクルへの社会的ニーズの高まりにより、より高度な廃棄物処理と再資源化が求められることから、全国一括受託のためのサービス提供地域の拡大や大規模な設備等を設置できる財務的な体力、ノウハウ、あるいは廃棄物の排出事業者から廃棄物由来のリサイクル品やリユース品を利用する企業までをも巻き込んだ総合的な廃棄物の循環処理サービス体制を構築することが重要になってくると予想しております。

当グループではこれらの社会的ニーズを取り込んだ事業展開をめざしておりますが、海外企業や異業種からの新規参入や業界再編成といった事業環境の変化によっては業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(11) 有利子負債リスク

2022年6月期末において、当グループの有利子負債は8,230百万円、総資産に対する割合は28.4%となっております。引き続き財務バランスを総合的に勘案してまいりますが、今後の経済情勢・金融環境の変化・市中金利動向等によって当グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

(12) 潜在株式による株価変動リスク

当社は、役員の退職慰労金の目的並びに役員と従業員等へのインセンティブを目的として、新株予約権を付与しております。2022年6月末現在における潜在株式数は1,261,800株であり、2022年6月末の発行済株式総数の4.2%に相当いたします。この新株予約権が行使された場合には、1株当たりの株式価値が希薄化する可能性があります。また、株式市場で同時期に大量に売却された場合は、需給バランスに変動を生じ、株価形成に影響を及ぼす可能性があります。

 

(13) 人材確保・育成に係るリスク

    当グループは、企業価値向上に向けて優秀な人材の確保・育成が不可欠であると認識しております。そのため、

  当グループの企業理念に基づき、コンセプトを「社員一同が生き生きと働く良質なエネルギーに満ちた場を作

  る」、また組織イメージ「創発的能力を備えた自律した個人の規律ある集団」を掲げ、企業文化及びサステナビ

  リティ戦略に基づいた人事制度を導入しております。しかしながら、いずれも継続的な人材の確保を保証するもの

  ではなく、適格な人材を十分確保できなかった場合、当グループの成長や業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(14) 労働災害に係るリスク

 当グループでは、多くの生産設備、重機等を使用して業務を行っており充実した安全管理が不可欠であると認識しております。そのため、内部統制委員会の下部組織として環境安全推進委員会を設置し、従業員への安全教育、危険予知活動といった啓発活動並びにチーム活動等による点検パトロールの継続的な実施を通じ、事故を防止するための安全管理を徹底しております。しかしながら、万一、重大な事故・労働災害等が発生した場合、一時的に復旧費用、補償金等の負担が生じ、当グループの業績や財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

(15) 自然災害・火災・事故等のリスク

 当社並びに当グループの中核企業である株式会社エコネコルの資源リサイクル工場は、静岡県富士宮市の富士山の麓に位置しており、富士山が噴火した場合、火山弾等による社屋や設備の損壊、周辺道路の寸断による孤立化及び電気や水道等の供給停止による操業停止の可能性があります。また、静岡県や愛知県においては東海大地震の発生、全世界的には気候変動に伴う異常気象の発生が懸念されております。当グループの株式会社NEWSCON、株式会社クロダリサイクル並びに株式会社3WM においては、船積みヤード(在庫保管基地)を有しておりますので、地震による津波や気候変動に伴う異常気象等による風水害により製・商品在庫においても大きな被害が出る可能性があります。

 また、当グループの主要生産設備であるシュレッダー(大型破砕機)は、破砕資材からの発火等による爆発や火災のリスクが比較的高い設備であるため、自動消火装置や24時間自動監視システム等のセキュリティ対策を施しておりますが、同主要設備の稼動が火災や重大な事故損傷により長期間停止した場合には、当グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

  当グループではこのような自然災害、火災、重大事故、損傷といった非常事態に備え、グループ各社において災害・事故発生時の緊急体制・手順を整備し被害を最小限にとどめる対応を準備しております。しかしながら有事の際の被害状況は想定を超える場合があり、当グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

(16) 環境汚染等に係るリスク

当グループでは、産業廃棄物等を扱っており、中間処理過程で騒音、振動、粉塵、排水が発生いたしますが吸音、防振、集塵、水質浄化設備等の環境対策設備を設置し環境汚染を防止しております。しかしながら、不測の事態により流出漏洩等の事態が生じた場合、汚染防止、汚染除去等の環境汚染防止のための改修費及び損害賠償や設備の修復等に多額の支出が発生し、当グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

(17) ITシステムにおけるリスク

 当グループでは、主要ITシステムであるスケールシステム(計量システム)については、各拠点にサーバーを設置しておりバックアップデータを都内データセンターに保存しています。また、会計、人事、給与、就業、通関書類作成等のサブシステムについては、関東某所のクラウドサーバにて集中管理し総合的な対策を講じている状況にあります。

 しかしながら自然災害等により関東拠点が壊滅的な被害を受けた場合には当グループの事業が停止することとなりますので、当グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

(18) 新規事業に対するリスク

当グループは、事業規模の拡大と収益源の多様化を進めるため、今後も引き続き、積極的に新規事業に取り組んでいく考えであります。これにより先行した設備投資、人件費やその他の経費等の追加的な支出が発生し、利益率が低下する可能性があります。また、新サービス、新規事業を開始した際には、そのサービス、事業固有のリスク要因が加わると共に、予測とは異なる状況が発生する等により新サービス、新規事業の展開が計画どおりに進まない場合、投資を回収できず、当グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

(19)情報セキュリティにおけるリスク

当グループは、事業の過程で入手した個人情報や取引先等の機密情報を保有しています。そのため、内部統制委員会の下部組織としてIT化推進委員会を設置し、これらの情報管理に関する規程の整備や従業員等への周知・徹底を図るなど、情報セキュリティを強化しております。しかしながら何らかの理由で紛失、破壊、漏洩等が生じた場合、当グループの社会的信用の低下や失墜、損害賠償責任の発生等と、社内情報システムへの外部から想定した防御レベルを上回る技術によるサイバー攻撃等などにより、社内システム停止等が引き起こされる可能性もあります。これらの事態が起きた場合には、適切な対応を行うための費用負担が生じ、当グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

 (20)固定資産の減損損失リスク

 当グループが保有する固定資産について、経営環境の著しい悪化により事業の収益性が低下して投資額の回収が見込めなくなった場合や時価が著しく下落した場合には、固定資産の減損損失の計上により、当グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

 (21)債権回収リスク

 当グループの事業活動の中で発生する売掛債権等については与信管理の強化に努めておりますが、取引先の財政状態が悪化し、支払遅延や売掛債権等の回収が行えない場合、当グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

 (22)労務に対するリスク

 当グループは、ダイバーシティ経営を推進し労働力を確保していく考えであります。そのため、内部統制委員会の下部組織として人事労務改革委員会を設置し、雇用形態や勤務体制の整備、従業員への教育を実施し心理的安全性の高い職場を目指しております。

 しかしながら、人種・宗教・性別・国籍・障がい等、個人の多様な価値観の相違により人格を無視するハラスメント行為が発生し、関連する法規制違反や社会的責任が果たせなかった場合には当グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

 (23)知財・特許のリスク

 当グループは、焼却灰やASRからの高度な選別技術による金銀滓回収事業や、スクラップ等から再生原料を製造するリマニュファクチャリング事業などを推進しており、その選別技術や、その他の新規事業の技術開発等には、他者の特許権その他の知的財産権に抵触する可能性があります。一方、第三者が当グループの特許権、知的財産権を侵害する場合には、その保護のため訴訟提起等をすることがあります。

 

 (24)ダスト処理費に関するリスク

 当グループの資源リサイクルの処理工程において、受け入れた廃棄物等の原料は価値ある資源と当グループでは再生処理することのできない廃棄物(ダスト)に分かれます。諸外国における使用済プラスチック等の輸入禁止措置等の影響を受け、最終処分場の処理能力が逼迫しており、ダストの出荷先である管理型最終処分場、又は焼却処分場において受入の制限や処理費の値上げが発生する可能性が高い状況になります。市場環境の悪化により受け入れが制限される場合には、処理費の上昇や、遠隔地の処分場への輸送が必要となり費用が増加する場合があります。また、当グループ事業場のダストの保管容量の関係から生産量が制限される場合もあり、当グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

  (25)気候変動に係るリスク

  世界各国で脱炭素に向けた取り組みが進められる中、当グループではTCFD提言に沿ったリスクと機会の特定及

び、適切な情報開示に努めております。気候変動による自然災害の増加などの物理的リスクのみならず、炭素税の導入や再生可能エネルギー電力への切り替えに伴う経費の増大なども、炭素社会への移行に係るリスク要因となりえます。今後、気候変動課題に関連した様々な分野で新たな規制が導入された場合や、気候変動に伴う市場や情勢の変化があった場合には、当グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

  (26)感染症流行のリスク

 感染症等の流行があった場合には、サプライチェーンの停滞や事業環境の悪化により、当グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。感染症の拡大時期や収束の予測は非常に困難と考えられます。移動の制限や就業の規制に伴う生産体制の縮小、直接対面での営業活動の制約などによる事業への影響を最小限にとどめるため、当グループでは、テレワーク、フレックスタイム制、WEB会議等の活用に取り組んでおります。

 

3 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

 

(経営成績等の状況の概要)

当連結会計年度における当グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という)の状況の概要は次のとおりであります。

なお、「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号 2020年3月31日)等を当連結会計年度の期首から適用しております。詳細は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 (会計方針の変更)」に記載のとおりであります。

 

(1) 財政状態及び経営成績の状況

当グループの事業領域においては、コロナ禍におけるサプライチェーンの停滞に加えて、一部地域でのロックダウンや中国経済の景気減速懸念等により不透明な状況で推移しました。一方、金属スクラップの輸出需要は増加と減少を繰り返しながらも、金属スクラップ価格は、脱炭素を背景としたリサイクル原料の評価の高まりや下期の円安の進展等により、底堅く推移しました。

これらのことから、当連結会計年度の鉄スクラップ平均価格(東京製鐵田原海上特級価格)は55,520円と、前期の36,054円を上回って推移しました。また、非鉄金属等においても、銅、アルミ、ニッケル及びコバルトの平均価格は、前期を上回って推移しました。

このような環境の中で、当連結会計年度においては「持続可能社会実現の一翼を担う」のミッションステートメントのもと、「脱炭素社会」、「循環型社会」、「分散型社会」実現に向けた課題解決を事業機会としてチャレンジしていくことを戦略コンセプトに、「サーキュラーエコノミーの具体的な事例の実現」、「創発的能力を備えた自律した個人の規律ある集団」の構築に向けた取り組みを進めてまいりました。

以上の結果、当連結会計年度の業績は、売上高は57,319百万円前期比40.0%増)、営業利益は3,343百万円前期比56.9%増)、経常利益は4,166百万円前期比66.1%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は3,111百万円前期比108.6%増)となりました。

 

セグメント別の業績は以下のとおりであり、売上高についてはセグメント間の内部売上高又は振替高を含めた売上高で表示しております。

 

セグメント別業績の概要

≪売上高≫                                       (単位:百万円)

 

第12期

 (前連結会計年度)

第13期

 (当連結会計年度)

増減比(%)

資源循環事業

14,216

20,397

43.5

グローバルトレーディング事業

31,033

42,989

38.5

リチウムイオン電池リサイクル事業

356

1,347

277.8

その他

354

443

25.0

調整額

△5,026

△7,857

-

合 計

40,933

57,319

40.0

 

 

≪セグメント利益又は損失(△)≫                             (単位:百万円)

 

第12期

(前連結会計年度)

第13期

(当連結会計年度)

増減比(%)

資源循環事業

2,080

2,752

32.3

グローバルトレーディング事業

711

1,147

61.2

リチウムイオン電池リサイクル事業

△80

478

-

その他

84

120

43.4

調整額

△287

△332

-

合 計

2,508

4,166

66.1

 

(注)セグメント利益又は損失(△)は連結損益計算書の経常利益と調整を行っております。

 

①資源循環事業

金属スクラップ価格が前期を上回って推移し、物理的選別技術を背景とした資源リサイクルの収益性はより一層高まりました。加えて、前連結会計年度より続いた大型解体物件からの鉄スクラップ取扱量の増加もあり、持分法による投資利益の増加とも相まって、増収増益となりました。

以上の結果、資源循環事業の売上高は20,397百万円前期比43.5%増)、セグメント利益は2,752百万円前期比32.3%増)となりました。

また、当期に静岡県富士市に新工場建設を決定し、来期稼働に向けて建設を開始しております。

 

②グローバルトレーディング事業

金属スクラップの輸出環境は、海外情勢が刻々と変化する中、国内外の需給は不安定に推移し、さらに、配船難による海上運賃高騰も継続する厳しい環境となりました。その中で、金属スクラップの取扱量は減少したものの、国内需要の取り込みや価格変動を活用した販売、円安による為替差益等により収益を確保し、増収増益となりました。

以上の結果、グローバルトレーディング事業の売上高は42,989百万円前期比38.5%増)、セグメント利益は1,147百万円前期比61.2%増)となりました。

 

③リチウムイオン電池リサイクル事業

大手電池メーカー等からの仕入や、処分業許可を活用した廃電池の処理受託等により取扱量は増加しました。加えて、ロシア・ウクライナ情勢の影響等によりコバルト、ニッケル価格が上昇したことで、資源リサイクルの収益性は高まりました。前連結会計年度の固定資産の減損損失による減価償却費の減少もあり、増収増益となりました。

以上の結果、リチウムイオン電池リサイクル事業の売上高は1,347百万円前期比277.8%増)、セグメント利益は478百万円(前期はセグメント損失80百万円)となりました。

 

④その他

環境経営コンサルティング事業は、CDP評価向上支援、カーボンニュートラル戦略立案、TCFD対応支援及びサーキュラーエコノミー等のコンサルティングの受注が堅調に推移したことにより、増収増益となりました。

障がい福祉サービス事業は、事業所の一部閉鎖による利用者数の減少、報酬改定による収益性の悪化や待遇改善による人件費の増加もあり、減収減益となりました。 

以上の結果、その他事業の売上高は443百万円前期比25.0%増)、セグメント利益は120百万円前期比43.4%増)となりました。

 

 

  財政状態の状況は次のとおりであります。

 

当連結会計年度末の資産合計は28,963百万円(前連結会計年度末比2,414百万円の増加前連結会計年度末比9.1%増)となりました。流動資産は18,448百万円(前連結会計年度末比947百万円の増加前連結会計年度末比5.4%増)となりました。これは、商品及び製品が1,224百万円減少したものの、現金及び預金が1,798百万円、受取手形及び売掛金が300百万円増加したこと等によるものであります。固定資産は10,515百万円(前連結会計年度末比1,467百万円の増加前連結会計年度末比16.2%増)となりました。これは、建物及び構築物が44百万円減少したものの、建設仮勘定が836百万円、投資有価証券が409百万円増加したこと等によるものであります。

当連結会計年度末の負債合計は12,744百万円(前連結会計年度末比471百万円の減少前連結会計年度末比3.6%減)となりました。流動負債は9,968百万円(前連結会計年度末比202百万円の増加前連結会計年度末比2.1%増)となりました。これは、支払手形及び買掛金が419百万円減少したものの、短期借入金が530百万円、1年内返済予定の長期借入金が140百万円増加したこと等によるものであります。固定負債は2,776百万円(前連結会計年度末比674百万円の減少前連結会計年度末比19.5%減)となりました。これは、長期借入金が700百万円減少したこと等によるものであります。

当連結会計年度末の純資産合計は16,219百万円(前連結会計年度末比2,885百万円の増加前連結会計年度末比21.6%増)となりました。これは、利益剰余金が2,741百万円増加したこと等によるものであります。

 

(2) キャッシュ・フローの状況

 

当連結会計年度末における現金及び現金同等物は、前連結会計年度末に比べ1,796百万円増加し、8,913百万円(前連結会計年度末比25.2%増)となりました。

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

営業活動によるキャッシュ・フローは、法人税等の支払額1,005百万円、持分法による投資利益523百万円、仕入債務の増減額426百万円等の支出があったものの、税金等調整前当期純利益4,176百万円、棚卸資産の増減額1,065百万円、減価償却費707百万円等の収入により、3,873百万円の収入(前年同期は252百万円の支出)となりました。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

投資活動によるキャッシュ・フローは、有形固定資産の売却による収入29百万円等の収入があったものの、有形固定資産の取得による支出1,388百万円等の支出により、1,404百万円の支出(前年同期は15百万円の支出)となりました。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

財務活動によるキャッシュ・フローは、短期借入金の純増加額530百万円、長期借入金の借入による収入135百万円等の収入があったものの、長期借入金の返済による支出874百万円、配当金の支払額369百万円等の支出により、765百万円の支出(前年同期は2,866百万円の支出)となりました。

 

 (3)生産、受注及び販売の状況

① 生産実績

当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメント名称

金額 (千円)

前期比 (%)

資源循環事業

11,787,364

42.0

リチウムイオン電池リサイクル事業

538,711

73.4

その他

20,006

△8.1

調整

△542,256

合計

11,803,826

38.7

 

(注) 金額は、製造原価によっております。

 

② 仕入実績

当連結会計年度における仕入実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメント名称

金額 (千円)

前期比 (%)

資源循環事業

4,216,952

89.5

グローバルトレーディング事業

36,469,601

25.4

リチウムイオン電池リサイクル事業

330,060

510.3

調整

△7,307,413

合計

33,709,201

27.3

 

(注) 金額は、仕入価格によっております。

 

③ 受注実績

当社は、主に基準在庫量及び販売の実需見込に基づいた生産方式を採用しておりますので、該当事項はありません。

 

④ 販売実績

当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

 セグメント名称

金額 (千円)

前期比 (%)

 資源循環事業

20,397,013

43.5

 グローバルトレーディング事業

42,989,903

38.5

 リチウムイオン電池リサイクル事業

1,347,248

277.8

 その他

443,035

25.0

 調整

△7,857,955

合計

57,319,245

40.0

 

(注) 最近2連結会計年度の主な相手先の販売実績及び総販売実績に対する割合は、次のとおりです。

 

相手先

前連結会計年度

当連結会計年度

販売高(千円)

割合(%)

販売高(千円)

割合(%)

東京製鐵株式会社

1,804,269

4.4

6,306,672

11.0

SEAH BESTEEL

1,359,682

3.3

5,739,080

10.0

 

 

 

(経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容)

経営者の視点による当グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。

 

(1) 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

当グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる企業会計の基準に基づき作成しております。この連結財務諸表の作成に当たり、必要と思われる見積りについては、過去の実績等を勘案し合理的に判断しておりますが、これらは不確実性を伴うため、将来生じる実際の結果と異なる可能性があります。

当グループの連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものについては、「第5 経理の状況 1.連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載しております。

 

なお、新型コロナウイルス感染症の影響については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項(追加情報)」にて記載しております。

 

(2) 当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容

「(経営成績等の状況の概要)(1)財政状態及び経営成績の状況」に記載しております。また、当グループの経営成績に重要な影響を与える要因については、「2  事業等のリスク」に記載のとおりであります。

 

(3) キャッシュ・フローの状況の分析、検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報

当グループの資金調達としては、運転資金に関しては、手元流動性資金を勘案の上不足が生じる場合には短期借入金による調達で賄っております。設備資金に関しては、手元資金(利益等の内部留保金)、長期借入金及び無担保社債による調達を基本としております。ただし、設備資金の不足が生じる期間が短期間である場合には、短期借入金による調達で賄っております。

長期資金の調達に際しては、金利動向並びに発行費用等の調達コストも含めて総合的に検討し、銀行借入に比較して有利な条件に限り社債発行を行うこととしております。また、株式の発行に関しては、資本政策に基づき株式価値の希薄化や配当金の負担等を考慮して実施しております。

資金の流動性については、財務部が適時に資金繰り計画を作成・更新するとともに手元流動性の維持等により流動性リスクを管理しております。なお、当グループのキャッシュ・フローの状況につきましては、「第2 事業の状況 (経営成績等の状況の概要) (2)キャッシュ・フローの状況」に記載しております。

 

(4) 経営者の問題認識と今後の方針について

経営者の問題認識と今後の方針につきましては、「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載しております。

 

4 【経営上の重要な契約等】

該当事項はありません。

 

5 【研究開発活動】

当連結会計年度における研究開発活動の金額は、39百万円であります。主な活動の内容はリチウムイオン電池等のレアメタルを含んだ廃棄物からの効率的な分離精製技術の開発であります。