文中の将来に関する事項は、当事業年度末現在において当社が判断したものであります。
当社は、以下を経営理念として定めております。
ANAPは、常にお客様目線を大切にし、おしゃれを楽しみたい女性のニーズに応えるため、欲しいものが手頃な価格でいつでも手に入る、ファッションを「オンタイム」で楽しめる「現在(いま)」を提案します。
これらの経営理念の下、カジュアルファッションを扱うアパレル企業として継続的な成長、企業価値の拡大、経営の安定化を重要な経営責務であると認識しております。また、株主の皆様をはじめ顧客、取引先、従業員、地域社会など、すべてのステークホルダーの利益を遵守しつつ、公正で透明性の高い経営、経営監視機能の強化、経営効率の向上、法令遵守の徹底に努めております。
当社は、本業における営業活動の成果を示す営業利益を特に重視しております。
当社のビジネスモデルを支える「①ブランド力・ブランド認知度、②魅力ある店舗づくり、③オンラインショッピングサイトの販売力」の更なる強化により、売上高営業利益率の向上を目指してまいります。
当社は、ネットプライス社をスポンサーとする事業再生ADR手続の成立を受けて、事業再生計画に基づきANAP2.0を策定し、ブランド戦略の再構築、組織改革、販売力の強化、ANAP Second Foundationとして、かつてのギャル文化をANAP2.0風に復活させて、店舗戦略、EC戦略を積極的に進め、収益改善の直接的な鍵となる直房取引による原価率低減と商品回転率の向上、差別化製品の小ロット短納期戦略、中期的にはブランド力の向上(品質、価格、ターゲット)を進めてまいります。
強固な収益体質の抜本的な改善を図り、ブランド力を活かした新事業にも積極的に取り組んでまいります。
当社が属するカジュアルファッション業界におきましては、人流の増加やインバウンド需要の回復が見られた一方で、仕入れコストの上昇や近年の異常気象など、引き続き経営環境へのマイナス要因に注視が必要な状況が続いております。
当社が対処すべき課題は、このような経営環境の変化に対応し、事業再生に向けた強固な収益体質の確立と財務体質の抜本的な改善を図ることであり、以下の施策に基づいて、全力で取り組んでまいります。
① コスト削減
海外での直接仕入れを増加させることで原価率低減を図ってまいります。同時に海外工場との直接取引への取り組みも積極的に行ない、当社独自の商品を増やすことで他社との差別化も図ってまいります。事業効率の改善については引き続き、重点的に取り組んでまいります。
② オンラインショッピングサイトの販売力回復
当社の基幹事業であるANAPオンラインショップについては、近年来訪客数が伸び悩んでおり、売上高が減少傾向にあります。この状況を打破すべく、SNSなど新たな広告手法への積極的な取り組みやECシステムの見直しなどを図り、より快適な、お客様に選んでいただけるサイト作りに取り組んでまいります。
③ ブランド力の向上
対象とする顧客の年齢層やテイスト等でブランド戦略を再構築、よりターゲットを明確にした商品展開を図ってまいります。また、海外のテイストを取り入れた新ブランドの展開も積極的に行ってまいります。このような新たな戦略でブランド力の向上に努め、販売力の向上に繋げてまいります。
④ 社員教育による全社統制の強化及びお客様満足度の向上
管理職を含めた全社員に対する社内研修制度をより一層充実させ、全社統制の強化を図るとともに、各事業運営、経営体制を支える人材の早期育成及びレベルアップを達成し、企業価値向上に努めてまいります。
⑤ 新規販売チャネルの展開
当社は、継続的な成長及び企業価値の拡大を図り、より多くの消費者ニーズに応えるため、新規販売チャネルの開拓を推進してまいります。消費者の購買行動の変化に対して、適時・適切に対応するとともに、事業拡大に伴う新たな顧客層の獲得を通じて、経営の安定化に取り組んでまいります。
当社は、2020年8月期以降、5期連続で赤字を計上し、2023年8月期において債務超過となり、継続企業の前提に関する重要事象が存在しております。2024年7月31日付の「事業再生ADR手続の成立及び債務免除等の金融支援に関するお知らせ」で公表しておりますとおり、産業競争力強化法に基づく特定認証紛争解決手続において事業再生ADR手続が成立し、今後の事業再生に向けた強固な収益体質の確立と財務体質の抜本的な改善を目指しております。このような中、サステナビリティに関しては、事業に関連する領域での取り組み実績はあるものの、全社的に体系的な取組みを行うことはできておりません。
今後、中長期的な成長や持続可能性を確保するために、前述のとおり、まずは収益体質の確立と財務体質の改善に取り組んでまいります。
なお、文中の将来に関する事項は、当事業年度末現在において当社が判断したものであります。
当社では、サステナビリティに関するリスクと機会を識別し、監視・管理するための体制の構築ができておりません。現時点では、取締役会を中心としたガバナンス体制を構築しておりますが、重大なリスクが発生する際には、リスクに対して適切な処置を講じるべく、適宜取締役会へ報告・提言を行う体制の構築をしてまいります。
当社は、創業時より女性向けのファッション・アパレルを主たる事業としており、店舗、商品企画をはじめ女性の従業員が多く活躍してまいりました。しかしながら、一般的な企業との比較においては女性管理職の比率が高いものの、上席になるほどその比率は低下し、女性管理職の育成に関しては改善の余地があると考えております。
当社は、事業の発展を担う人材の獲得を最優先として、経営戦略・事業戦略に基づいて必要な人材像を特定し、即戦力となる社会人採用を積極的に行ってまいりました。これに加えて、長期的かつ安定的な人材確保を目的として、2024年4月入社の従業員を対象に、服飾系専門学校や高等学校との連携を深め、技術的な専門性を持った若手人材の採用を進める取り組みを開始しております。新たに採用した人材の育成を通じて、若年層の人材が長期的に活躍するための課題となりうると認識し、管理職に関する以下の指標を定めております。
また、女性の従業員に限らず、フレックスタイム制の導入、育児短時間勤務の期間延長など、勤務面におけるワーク・ライフバランスの改善に取り組んでまいりましたが、就業時間管理の精度を高め、長時間労働の削減や年次有給休暇の取得促進に努めて、より働きやすい職場環境の整備を図ることで、優秀な人材の確保を目指してまいります。
有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、本有価証券報告書提出日現在において当社が判断したものであります。
当社が扱うカジュアルファッションは、流行の変化により商品のライフサイクルが短い傾向にあります。消費者ニーズを満たすよう様々なブランドを並行展開することによって、当該リスクを低減しておりますが、急激な景気悪化や顧客嗜好の変化に伴って、当社の業績に影響を及ぼす可能性があります。
当社は、路面店、ファッションビル、ショッピングモール等において商品を展開しており、近隣において競合企業が数多く出店しています。大都市近郊や集客力が高いショッピングモールへの出店方針に加えて、同業他社とは異なる店舗コンセプトに基づいて運営しておりますが、当社出店エリアにおいて有力な競合他社が出店した場合、当社の業績及び事業展開に影響を与える可能性があります。
また、インターネット販売事業においては、商品の提供に特化するのみならず、消費者ニーズへの機動的な対応等に基づいて、競合企業との差別化を図っております。しかし、近年においては、インターネット通信販売市場の拡大に伴うさらなる競争激化が予想され、新規参入事業者による新たな高付加価値サービスの提供等が行われた場合、当社における競争力が低下する可能性があります。この場合、当社の業績に影響を与える可能性があります。
当社は、ショッピングモールを中心にテナントとして店舗展開しております。そのため、ショッピングモールにおける集客力の変化により影響を受ける可能性があります。また、当社における新規出店形態は、①新設されたショッピングモールへの出店、②既存のショッピングモールにおけるテナント入れ替えの2つに大別されます。両者において、ショッピングモール運営会社が店舗展開方針を変更するなどの事情により、計画に沿って新規出店を行うことができない場合があり、その結果、当社の業績及び事業展開に影響を与える可能性があります。
2024年8月31日現在、当社が展開している31店舗中、イオングループが開発運営するショッピングモール等において21店舗出店しております。そのため、イオングループにおけるショッピングモールへの出店が集中している状況です。
現時点において、同グループのショッピングモール等は高い集客力を保持していますが、今後における同グループを取り巻く事業環境の変化や業界再編等により、影響を受ける可能性があります。また、同グループにおける経営方針、出店政策等により、新規出店計画など当社の業績及び事業展開に影響を与える可能性があります。
当社における主な物流業務に関して、株式会社イー・ロジットに外注委託しており、具体的には、一部の事業セグメントにおける商品保管業務、入出庫業務を委託しております。同社とは、各業務に関連するデータの授受について、システム及び通信回線を通じて行っており、システム障害や通信障害によってデータの授受が困難となった場合、当社の物流業務に支障が生じる可能性があります。また、大規模な震災等に加えて、その他不可抗力により同社からのサービス提供が中断・停止され、物流業務が機能しない場合、当社の業績に影響を及ぼす可能性があります。
当社は、全て賃貸借契約による店舗展開を行っております。
一部の賃貸借契約における契約期間は、5年を超える長期間にわたっております。また、賃貸借契約においては、一定期間の事前予告をもって解約できるものと定められており、当該撤退制約に反した場合は、中途解約に係る違約金などの支払いが必要となるため、当社の業績及び事業展開に影響を及ぼす可能性があります。
当社における店舗販売事業は、気象状況による影響を受けやすく、自然災害のみならず記録的な大雨・大雪や度重なる台風などの天候不順によって販売不振となり、当社の業績に影響を及ぼす可能性があります。
当社が出店している店舗施設の周辺地域において、大地震や津波、台風、洪水等の自然災害あるいは予期せぬ事故や戦争・紛争等が発生した場合、店舗施設に物理的な障害が生じる可能性があります。また、自然災害、事故や戦争・紛争、感染症の発生等によって当社の販売活動や物流、仕入活動において支障が発生した場合のみならず、人的被害等が生じた場合、通常の事業活動が困難となり、当社の業績及び事業展開に影響を与える可能性があります。
当社は、中国を中心とした海外から商品を仕入・生産しております。そのため、地域性に基づく市場リスク、信用リスク、地政学的リスクによって当社の業績に影響を及ぼす可能性があります。
「③ カントリーリスク」に記載のとおり、当社は輸入商品を取り扱っており、海外からの直接買付けを含めて為替相場の影響を受けております。そのため、為替相場の大幅な変動に基づいて、仕入価格・仕入数量に影響を及ぼす可能性があり、その結果、当社の業績に影響を与える可能性があります。
当社が取り扱う商品の多くは、中国を始めとする海外において生産されており、仕入原価は直接又は間接的に、当該仕入国における経済情勢による影響を受けております。そのため、現地における原材料費や人件費が大幅に上昇した場合、生産コスト・商品供給に影響を及ぼし、当社の業績に影響を与える可能性があります。
当社が主に取り扱う商品は、①10代後半~20代までの客層をターゲットとしたレディスカジュアル、②3歳~中学生までをターゲットとしたキッズ・ジュニアに大別されます。少子化が急激に進行し、キッズ・ジュニア市場が著しく縮小した場合、当社の業績に影響を与える可能性があります。
当社は、個人情報を含む多くの顧客情報及び機密情報を取得し管理しております。当社では、個人情報の取扱い及びその管理に細心の注意を払い、情報管理の重要性を周知させるよう全従業員に対して研修等を行い、社内でのルール化やその手続の明確化を徹底しております。
また、情報セキュリティについては外部からの不正アクセス、コンピュータウイルスの侵入防止について、システム対策を講じております。
しかしながら、外部からの不正アクセス、システム運用における人的過失、従業員による故意的な顧客情報の漏洩、消失、改竄又は不正利用等が生じる可能性があります。また、当該事態に適切に対応することができず、信用の失墜又は損害賠償請求によって損失が発生した場合、当社の業績及び事業展開に影響を及ぼす可能性があります。
当社における各事業は、「知的財産法」「製造物責任法」「家庭用品品質表示法」「不当景品類及び不当表示防止法」「公正競争規約」「特定商取引に関する法律」等による法的規制を受けております。
社内管理体制の充実によってこれら法令を遵守する体制を整備しており、また個人を含む取引先に対しては契約内容に基づいて当該法令の遵守を徹底しております。しかし、これら法令に違反する行為が行われた場合、若しくは法令の改正又は新たな法令の制定が行われた場合、当社の事業展開に影響を与える可能性があります。
当社が運営する店舗は全て賃貸物件であり、出店に際して敷金及び保証金を差入れております。また、ファッションビル及びショッピングモール運営会社との賃貸借契約により、入店している店舗の一部売上金を一定期間預け入れることとなっております。
2024年8月31日現在において、ファッションビル及びショッピングモールに対する敷金及び保証金の残高は194,022千円(総資産に対する比率は23.6%)であり、売掛金の残高は56,916千円(同6.9%)であります。
したがって、当社が賃貸借契約を締結しているファッションビル及びショッピングモール運営会社の業績等によって、上記債権の全部又は一部が貸倒れる可能性があります。
2024年11月27日の提出日現在、潜在株式数は2,892,500株となり、発行済株式総数16,274,800株の17.77%となります。当該新株予約権の行使により、株式価値の希薄化や株式売買需給への影響が発生し、株価形成に影響を及ぼす可能性があります。
当社は今後の事業拡大に伴い、継続して人材を確保する必要があると考えており、優秀な人材の育成に努めていく方針であります。しかし、採用計画が予定通りに進まなかった場合、又は在籍する人材の多くが流出する等の状況が発生した場合、競争力の低下や事業拡大計画の変更等を余儀なくされ、当社の業績及び事業展開に影響を及ぼす可能性があります。
当社は、オンラインショップのサイト運営においてコンピューターシステムを利用しており、自然災害や事故等によって通信ネットワークが切断された場合、また、設備の不備、開発運用ミス、電力供給の停止など予測不能な様々な要因によってコンピューターシステムが停止した場合、当社の事業及び業績に影響を与える可能性があります。
また、当社のコンピューターシステムは、適切なセキュリティ手段を講じて、外部からの不正アクセスを回避するよう取り組んでおりますが、コンピューターウイルスやハッカーの侵入等によってシステム障害が発生した場合、当社の業績及び事業展開に影響を与える可能性があります。
当社は、固定資産の減損会計を適用しております。2024年8月期事業年度において、当社が保有する固定資産について減損損失を計上し、当面減損会計の適用リスクは限定的と考えておりますが、今後も経営環境の変化や収益性の低下等により減損損失を計上することになる場合、当社の事業、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
継続企業の前提に関する重要事象等
当社は、2020年8月期以降5期連続で、営業損失・経常損失・当期純損失を計上しており、当事業年度末時点においては純資産が△2,077,147千円の債務超過となりました。
このような状況において、当社は、継続企業の前提に重要な疑義を生じさせる事象又は状況であるとの認識であり、早期に是正すべく以下の施策を実施しております。
(資金繰りについて)
当社は、2024年7月31日付「事業再生ADR手続の成立及び債務免除等の金融支援に関するお知らせ」にて公表した通り、事業再生ADR手続が成立し、対象債権者による金融支援及びスポンサー企業による資本増強も含めた事業再生計画の承認を得るに至りました。2024年10月3日開催の臨時株主総会において、代表取締役の異動及び取締役の刷新を行い、新たな体制のもとで事業再生にむけた強固な収益体質の確立と財務体質の抜本的な改善を進めてまいります。また、2024年10月17日付「第三者割当による普通株式及び第三者割当による第6回新株予約権(行使価額修正条項付)の発行及び、その他関係会社及び主要株主である筆頭株主の異動に関するお知らせ」にて公表したとおり、2024年10月17日開催の取締役会及び2024年11月26日開催の株主総会にて第三者割当による普通株式及び第三者割当による第6回新株予約権の発行をおこなうことを決議し、2024年11月27日に本株式及び本新株予約権の払込が完了しました。これに加えて、前述の事業再生にむけた改善策を進めていくことにより、引き続き資金繰りの安定と自己資本の充実を図ってまいります。
(自己資本の脆弱性について)
当社は、当事業年度末時点で、純資産残高が△2,077,147千円の債務超過となっております。上述のとおり2024年7月31日に事業再生ADR手続が成立し、2024年7月31日付「事業再生ADR手続の成立及び債務免除等の金融支援に関するお知らせ」にて公表した通り、取引金融機関を含む6社に対する債務1,399,999千円の債権放棄が行われることに加え、第三者割当増資等の資金調達により債務超過からの脱却を図ります。また、新たな経営体制のもとで、今後の事業再生に向けた強固な収益体質の確立と財務体質の抜本的な改善を図り、本業の再生についても事業再生計画の基となる施策を実施することで収益体質の改善に努めてまいります。
(売上高減少や収益力の低下について)
当社の業績は、2020年以降の世界的な新型コロナウイルス感染症の流行により、政府・自治体の施策等で行動制限がなされ人流が滞ったことや、商品調達における海外サプライチェーンが停滞したこと、インターネット販売への新規参入が増加し競争が激化したこと、長期に亘る行動制限により消費者のアパレル需要が変容したことなどの複合的な要因から継続的に厳しい状況にありました。当事業年度においても事業再生ADR成立までの間、積極的な営業戦略を抑えたことなどから、事業の立て直しは滞っている状況にありました。当社は、2024年10月3日開催の臨時株主総会において、代表取締役の異動及び取締役の刷新を行い、新たな体制のもとで事業再生にむけた強固な収益体質の確立と財務体質の抜本的な改善を進めてまいります。年々低下している売上高と収益力を回復させるために、ブランド戦略の再構築と店舗並びにインターネットにおける販売力の強化及び、商品企画を強化し、新たな仕入チャネルの確立によるコスト削減に取り組んでまいります。
上記のとおり、事業再生に向けた取り組みを行っているものの、これらの対応策は実施途上であり、現時点においては、継続企業の前提に関する重要な不確実性が認められます。財務諸表は継続企業を前提として作成されており、継続企業の前提に関する重要な不確実性の影響を財務諸表には反映しておりません。
2024年2月9日付で連結子会社であった株式会社ANAPラボが清算結了したことに伴い、第1四半期累計期間までは連結決算でありましたが、第2四半期会計期間より非連結決算へ移行いたしました。
当事業年度における当社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
当事業年度(自 2023年9月1日 至 2024年8月31日)における我が国経済は、社会活動の正常化が進む中、雇用・所得環境が改善し、経済活動は緩やかな回復基調で推移しました。一方で、金融引締めに伴う海外景気の下振れや資源価格の高騰による国内経済への影響が懸念される等、依然として先行き不透明な状況が続いております。
当社が属するカジュアルファッション業界におきましては、人流の増加やインバウンド需要の回復が見られた一方で、仕入れコストの上昇や近年の異常気象など、引き続き経営環境へのマイナス要因に注視が必要となっています。
このような状況のもと、当社は、ブランドターゲット層に人気のタレントやアニメ・キャラクターなどの人気コンテンツとのコラボレーション企画への取り組み、卸売りやライセンス販売などの展開を行いました。また、イベントや催事出店などによる在庫の適正化やコスト削減を目的とした倉庫の移転にも取り組みましたが、事業再生ADR申請に伴い事業再生計画策定に取り組む中、新規の仕入れを抑制し積極的な事業展開を控えたことで、売上・利益ともに厳しい状況が継続しました。
資本政策の取り組みとしては、2024年7月31日付「事業再生ADRの成立および債務免除等の金融支援に関するお知らせ」にて公表した通り、事業再生ADR手続が成立し、対象債権者による金融支援及びスポンサー候補企業による資本増強も含めた事業再生計画の承認を得るに至りました。
以上の結果、当社の当事業年度は、売上高2,709百万円(前年同期比35.7%減)、売上総利益は1,296百万円(前年同期比42.2%減)売上高総利益率は47.9%(前年同期比5.3%減)となりました。一方、販売費及び一般管理費は、2,293百万円(前年同期比23.2%減)と、前事業年度から継続して行ってきた収益体質への転換のための費用削減の取組みに加えて人員の減少の影響により前年同期比で691百万円圧縮したものの、営業損失996百万円(前年同期比255百万円悪化)、経常損失1,076百万円(前年同期比287百万円悪化)となり、当期純損失1,187百万円(前年同期比27百万円悪化)となりました。
なお、事業再生ADR成立に伴う2024年10月3日の臨時株主総会において、新スポンサーによる経営体制の一新が行われ、代表取締役の異動及び取締役の刷新を行い、新たな体制のもとで事業再生にむけた強固な収益体質の確立と財務体質の抜本的な改善を進めてまいります。また、資金繰りの安定と自己資本の充実を図るため、2024年10月17日開催の取締役会及び2024年11月26日開催の株主総会にて第三者割当による普通株式及び第三者割当による第6回新株予約権の発行をおこなうことを決議し、2024年11月27日に本株式及び本新株予約権の払込が完了しました。
セグメント別の経営成績は次のとおりであります。
なお、当事業年度より非連結決算へ移行したことから、セグメント別の業績について、前事業年度との比較分析は行っておりません。
(店舗販売事業)
店舗販売事業につきましては、不採算店舗の閉店などを実施し収益の改善を図ったものの、期を通じて新規の仕入れを抑え在庫消化に注力したことにより、売上・利益ともに厳しい結果となりセグメント損失は拡大しました。
以上により、売上高は1,892百万円、セグメント損失は433百万円となりました。
(インターネット販売事業)
インターネット販売事業につきましては、不採算の他社サイトからの撤退を進め、自社サイト及び収益性の高い他社サイトに厳選する施策を実施いたしましたが、その効果は限定的となり、売上高、セグメント損失ともに前事業年度から悪化する結果となりました。
以上により、売上高は687百万円、セグメント損失は174百万円となりました。
(卸売販売事業)
卸売販売事業につきましては、店舗販売事業同様に仕入れを制限したことにより新たな商品の販売が伸ばせず、売上高は、54百万円、セグメント利益は2百万円となりました。
(ライセンス事業)
ライセンス事業につきましては、期を通じて国内メーカーへの提案営業を継続し、前事業年度売上を維持しております。以上により、売上高は42百万円、セグメント利益は28百万円となりました。
(メタバース関連事業)
メタバース関連事業につきましては、新規事業として当社が獲得した同事業に関する知見を他社に展開するコンサルティング業務を中心に収益化を進めておりましたが、主力事業の立て直しを優先する為に撤退いたしました。
以上により、売上高は1百万円、セグメント利益は0百万円となりました。
前事業年度まで連結キャッシュ・フロー計算書を作成しておりましたが、当事業年度からキャッシュ・フロー計算書を作成しているため、前期との比較は行っておりません。
当事業年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前事業年度末に比べ254百万円減少し、170百万円となりました。当事業年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当事業年度において営業活動の結果支出した資金は747百万円となりました。これは税引前当期純損失1,179百万円に、主として減損損失41百万円、棚卸資産の減少額377百万円、売上債権の減少額113百万円、仕入債務の減少額142百万円、未払金の減少額23百万円を加減した結果であります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
当事業年度において投資活動の結果支出した資金は28百万円となりました。これは主に、有形固定資産の取得による支出42百万円による結果であります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
当事業年度において財務活動の結果得られた資金は523百万円となりました。これは主に、短期借入金が600百万円増加した一方、支払手数料の支払額61百万円があった結果であります。
当社における事業は、提供するサービスの性格上、生産実績及び仕入実績についてセグメント別の記載になじまないため、記載しておりません。なお、仕入実績につきましては、種別に区分して記載しております。また販売実績につきましては、セグメント別及び種別に区分して記載しております。
当社は2024年2月9日付で連結子会社であった株式会社ANAPラボが清算結了したことに伴い連結子会社がなくなり、第2四半期会計期間より非連結決算に移行しましたので、前事業年度は記載しておりません。
当事業年度における生産実績はなく、記載を省略しております。
当事業年度の仕入実績については、次のとおりであります。
c.受注実績
当社は、受注後遅滞なく出荷を行うため、受注残高の金額は僅少であり、当該記載を省略しております。
当事業年度の販売実績については、次のとおりであります。
(セグメント別販売実績)
(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当事業年度末現在において判断したものであります。
当社の財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成しております。この財務諸表を作成するにあたって、見積りが必要な事項につきましては、過去の実績や状況に応じて合理的と考えられる要因に基づき、見積りや判断を行っております。しかしながら、見積り及び判断は不確実性を伴うため、実際の結果と異なる可能性があります。
重要な会計方針は「第5 経理の状況 1 財務諸表等 (1) 財務諸表 注記事項 (重要な会計方針)」に記載のとおりであります。
財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは「第5 経理の状況 1 財務諸表等 (1) 財務諸表 注記事項 (重要な会計上の見積り)」に記載しております。
1) 財政状態
(流動資産)
当事業年度末における流動資産の残高は496百万円となり、前事業年度末に比べ778百万円減少いたしました。これは主に、原材料及び貯蔵品が4百万円増加した一方で、現金及び預金が254百万円、商品及び製品が382百万円それぞれ減少したことによるものです。
(固定資産)
当事業年度末における固定資産の残高は326百万円となり、前事業年度末に比べ67百万円減少いたしました。これは主に、関係会社株式が25百万円、投資有価証券が41百万円それぞれ減少したことによるものです。
(流動負債)
当事業年度末における流動負債の残高は2,721百万円となり、前事業年度末に比べ883百万円増加いたしました。これは主に、買掛金が142百万円、未払金が19百万円、リース債務が4百万円それぞれ減少した一方で、短期借入金が600百万円、1年内返済予定の長期借入金が462百万円それぞれ増加したことによるものです。
(固定負債)
当事業年度末における固定負債の残高は178百万円となり、前事業年度末に比べ537百万円減少いたしました。これは主に、長期借入金が462百万円、退職給付引当金が49百万円それぞれ減少したことによるものです。
(純資産)
当事業年度末における純資産の残高は△2,077百万円となり、前事業年度末に比べ1,192百万円減少いたしました。これは主に、当期純損失計上に伴い利益剰余金が1,187百万円減少したことによるものです。
2) 経営成績
当事業年度の経営成績は、売上高2,709百万円、営業損失996百万円、経常損失1,076百万円、当期純損失1,187百万円となりました。
(単位:百万円)
(売上高)
当事業年度は、事業再生ADR申請に伴い事業再生計画策定に取り組む中、新規の仕入れを抑制し積極的な事業展開を控えたことで、店舗販売事業及びインターネット販売事業並びに卸売販売事業において厳しい状況が継続したことから減収となり、前事業年度比35.7%減となりました。
(単位:百万円)
(注) 1 「その他」の区分は、報告セグメントに含まれていない事業セグメントであり、重要性が乏しい構成単位であります。
2 当事業年度より非連結決算に移行したことから、セグメント別の業績についての前事業年度との比較はおこなっておりません。
・店舗販売事業
当事業年度は、1,892百万円となりました。
・インターネット販売事業
当事業年度は、687百万円となりました。
・卸売販売事業
当事業年度は、54百万円となりました。
・ライセンス事業
当事業年度は、42百万円となりました。
・メタバース関連事業
当事業年度は、1百万円となりました。
(営業損失)
コストダウンは進めましたが、収益率の悪化等により、営業損失は996百万円となりました。
(経常損失)
上記の営業損失の計上に加え、事業再生ADR手続に関連する支払手数料等の計上により、経常損失は1,076百万円となりました。
(当期純損失)
上記の経常損失の計上、また、営業店舗に係る固定資産について減損損失を計上したことに伴い、当期純損失は1,187百万円となりました。
当社は、売上高、収益性に関する経営戦略上の指標として売上高営業利益率を重要な指標として位置付けており、「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (2)目標とする経営指標」に記載しております。
当事業年度の売上高は2,709百万円(前事業年度比35.7%減)、営業損失は996百万円(前事業年度は営業損失740百万円)となり、売上高営業利益率は△36.8%(前事業年度は△17.6%)となりました。当事業年度は、事業再生ADR申請に伴い事業再生計画策定に取り組む中、新規の仕入れを抑制し積極的な事業展開を控えたことで、各指標が前事業年度を下回る結果となりましたが、引き続きこれらの指標について、改善・向上されるよう経営に取り組んでまいります。
c.経営成績に重要な影響を与える要因
「3 事業等のリスク」に記載のとおりであります。
当事業年度末の現金及び現金同等物の残高は、170百万円となりました。当事業年度の区分ごとのキャッシュ・フローは、営業活動によるキャッシュ・フロー△747百万円、投資活動によるキャッシュ・フロー△28百万円、財務活動によるキャッシュ・フロー523百万円であります。
当社の主な資金需要は、仕入先等の売上原価の支払、販売費及び一般管理費の支払、新規出店に対する投資、借入金の返済及び法人税等の支払等であります。
当社は、これまで事業活動に必要な資金は営業活動によるキャッシュ・フローから生み出される自己資金により賄うことを基本原則としておりましたが、当事業年度における営業活動によるキャッシュ・フローは、5期連続のマイナスを計上するに至りました。
なお、事業再生ADR成立に伴う2024年10月3日の臨時株主総会において経営体制の一新が行われ、代表取締役の異動及び取締役の刷新を行い、新たな体制のもとで事業再生にむけた強固な収益体質の確立と財務体質の抜本的な改善を進めてまいります。また、資金繰りの安定と自己資本の充実を図るため、2024年10月17日開催の取締役会及び2024年11月26日開催の株主総会にて第三者割当による普通株式及び第三者割当による第6回新株予約権の発行をおこなうことを決議し、2024年11月27日に本株式及び本新株予約権の払込が完了しました。
当社の経営上、重要な契約は以下のとおりです。
当社は、EC運営支援事業において業務効率化を実現させる独創的なAI関連サービス開発を継続的に行っておりましたが、主力事業の立て直しを優先する為に撤退いたしました。
その結果、当事業年度の研究開発費の総額は
なお、当事業年度に実施した研究開発活動は、事業の種類別セグメントに明確な関連付けができないため、セグメント別の記載を省略しております。