文中の将来に関する事項は、当四半期連結会計期間の末日現在において判断したものであります。
(1)経営成績に関する説明
新型コロナウイルス禍を乗り越えつつある現在、日本のみならず世界全体としてDX(デジタルトランスフォーメーション)推進の波は一段と強くなり、本格的なデジタル・ソーシャル時代が到来し、当社グループが事業を展開するマーケティング領域においてもDXの流れは加速しております。
このような背景のもと、当社グループでは、企業のマーケティングDXへの対応を支援するため、自社開発のマーケティングSaaSツールの提供やSNS活用を中心としたソリューション提供といった『顧客企業と人をつなぐ』BtoBビジネスを展開しております。
中期テーマとして「マーケティングDX支援企業として圧倒的ポジションの確立」を掲げており、2023年12月期のグループ方針といたしましては、『2025年の連結売上高100億円突破に向けて、新規顧客獲得強化とグループの総合力による更なる成長』を掲げております。
当第3四半期連結会計期間においては、国内SaaS事業が好調に推移し、第3四半期(7-9月)で四半期過去最高売上を更新いたしました。一方、同四半期において、ソリューション事業は季節性等により売上高が伸び悩み、中国進出支援事業では原発処理水放出問題の発生によって、中国で日本商品が売れにくくなり中国向け越境EC支援の需要が大幅減となったことで苦戦した格好となりました。海外SaaS事業については同四半期で契約社数が拡大するなど売上高は回復基調を見せているものの、営業利益は赤字幅縮小に留まる結果となりました。
それに伴い、当第3四半期連結累計期間の売上高は3,050,993千円(前年同期比7.1%減)となり、売上総利益は2,274,556千円(前年同期比9.3%減)、営業利益は153,579千円(前年同期比77.8%減)、経常利益は305,931千円(前年同期比66.7%減)、親会社株主に帰属する四半期純利益は46,272千円(前年同期比92.8%減)で着地いたしました。
当社の報告セグメントは、マーケティングDX支援事業の単一セグメントとしておりますが、事業区分ごとの概況は以下のとおりであります。
①国内SaaS事業
自社開発のマーケティングSaaSツールの提供及びSaaSで補いきれないマーケティングDX施策の提供、さらにはカスタマーサクセス人員がサポートすることによって、顧客企業のマーケティング人材の質的・量的な不足を補い、効率的かつ効果的に成果を上げるための支援を行っております。ダイレクトマーケティングの成果向上を実現するツール「Letro(レトロ)」、動画作成ツール「LetroStudio(レトロスタジオ)」、X(旧Twitter)によるプロモーションを効率的に行うためのツール「echoes(エコーズ)」が主要ツールとなっております。
2023年戦略としては、引き続き競争優位性を確立した「Letro」の成長に注力し、提案メニューの強化(早期立ち上げ)・営業人材の拡充等によって新規獲得を強化する方針です。当第3四半期連結累計期間におきましては、「Letro」の新機能として、業界に先駆けて提供を開始した2023年2月の「UGC薬機法チェック機能」に続き、2023年7月に「UGC景表法チェック機能」を追加いたしました。プロダクト強化・提案メニュー拡充等により新規・既存顧客ともに単価向上を続けております。また、「Letro」+「LetroStudio」のアカウント数も四半期ごとに順調な増加を続けております。
その結果、当第3四半期連結累計期間の売上高は1,095,595千円(前年同期比11.6%増)となり、第3四半期で四半期過去最高売上を更新いたしました。
②海外SaaS事業
シンガポールの連結子会社であるCreadits Pte. Ltd.(以下、「Creadits」という。)は、3D広告クリエイティブ制作における高品質・ハイスピード・低価格を実現する仕組みを提供するサービス「Craft(クラフト)」をグローバルに展開しております。顧客企業はメタバース時代を牽引する欧米のゲーム会社中心で、新興国分業体制による「リモートでつながったマイクロファクトリー(小型制作工場)」を構築していることが最大の強みとなっています。
当第3四半期連結累計期間におきましては、メインターゲットであるゲーム業界において、新型コロナ情勢の落ち着きによる巣ごもり需要の減少およびiOS/アンドロイドのプライバシー強化に伴うターゲティング精度の低下などにより2022年後半に売上が鈍化したことを受けて、第1四半期に不採算タイトルや人員の整理を行う企業が多く、広告予算を大幅に縮小する動きが見られ、複数の継続顧客(約10社)からの広告制作の一時休止が発生いたしました。その後、一時休止顧客のうち第2四半期では2社、第3四半期では3社が取引再開となるなど、ゲーム会社において収益性の高い既存タイトル・新規タイトルへのマーケティング投資は徐々に活発化してきております。
また、第3四半期において、営業体制・手法を改善させ積極的に新規獲得を目指した結果、世界トップ300のゲーム会社における継続契約の顧客数が大幅に増加いたしました。さらに、同四半期で追加した『ゲーム制作支援』につきましては、マーケット不況時においてもマーケティング広告制作の予算に比べて削られにくく底堅い需要が見込まれるため、既存顧客のアップセルや継続率の向上にもつながる施策と考えております。
その結果、売上高は第1四半期をボトムに回復基調となっているものの、当第3四半期連結累計期間の売上高としては793,503千円(前年同期比37.2%減)となりました。
③ソリューション事業
ファンの存在をマーケティングに活用し、ビジネスの成長を目指す概念が浸透しつつある中で、「SNS活用」や「ファンとの関係構築・強化」をキーワードに、顧客企業のマーケティングDX課題において企画立案から施策の実行までを包括的に支援する事業を行っております。売上成長の柱として顧客企業のSNS活用を支援する受託プロジェクト(SNSアカウント運用とデジタル広告運用)を中心に展開しており、昨今では、受託プロジェクトの業務効率や企画制作力を向上させるSaaSツールの開発・提供、Z世代のデジタル人材育成も推進しております。
2023年戦略としては、企画提案の強化・営業人材の拡充によって受託プロジェクトのアカウント数の増加を目指す他、低額SaaSツールをドアノック商材として業種・社数を拡大させる方針です。強みであるクリエイティブ制作力をベースにTikTokやYouTubeなど広告媒体を拡大させており、成果・企画提案力が向上しております。第3四半期は季節性等により売上高は伸び悩む形となりましたが、今後の売上成長につながるアカウント数は増加しております。
その結果、当第3四半期連結累計期間の売上高は984,530千円(前年同期比9.0%増)となり、顧客企業の年度末需要が旺盛な第1四半期に過去最高の四半期売上高を記録しています。
④中国進出支援事業
近年急速に市場が拡大している越境ECへの出店による中国進出をしたい日本企業等に対し、日本の商品に愛着のある在日中国人や中華圏で人気のある日本人インフルエンサーの発信力を活用したプロモーション等の支援を行っております。インバウンド市場において訪日外国人をターゲットに商品やサービスを提供したい企業への支援については、新型コロナウイルス禍において需要が縮小していたものの、2023年以降は人の往来制限が緩和されたことにより需要回復傾向となっております。
2023年の戦略としては、営業人員の拡充・WEBセミナーなど露出増加によって新規獲得を強化し、インバウンド支援中心にプロジェクト数の増加を目指しております。第3四半期においてもインバウンド支援の需要は堅調だったものの、原発処理水放出問題の発生によって、中国で日本商品が売れにくくなったことで中国向け越境EC支援の需要が大幅減となり売上高が減少しました。一方で、プロジェクト数については、第3四半期において越境EC支援の企業案件は減少したものの、単価が低い個人クリエイター支援が増加したため、インバウンド支援を含めた総数は安定的な四半期推移となっています。
その結果、第3四半期の業績は苦戦したものの、当第3四半期連結累計期間の売上高としては177,363千円(前年同期比29.6%増)と、インバウンド支援の売上が大幅増となった第2四半期の伸びにより前年同期を上回る結果になりました。
(2)財政状態に関する説明
(資産)
当第3四半期連結会計期間末における資産合計は、前連結会計年度末に比べて360,747千円減少し4,156,005千円となりました。これは主に、売上債権が200,998千円増加した一方で、現金及び預金が291,068千円、投資有価証券が275,160千円減少したこと等によるものであります。
(負債)
当第3四半期連結会計期間末における負債合計は、前連結会計年度末に比べて369,456千円減少し、1,001,303千円となりました。これは主に、未払法人税等が95,516千円、1年内返済予定の長期借入金が103,304千円、その他流動負債が25,252千円、長期借入金が64,051千円減少したこと等によるものであります。
(純資産)
当第3四半期連結会計期間末における純資産は、親会社株主に帰属する四半期純利益46,272千円を計上したこと等により、前連結会計年度末に比べて8,709千円増加し、3,154,702千円となりました。
(3)事業上及び財務上の対処すべき課題
当第3四半期連結累計期間において、当社が対処すべき課題について重要な変更はありません。
(4)研究開発活動
該当事項はありません。