第2【事業の状況】

1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

(1)経営方針

当社グループは、「世界中の人と企業をつなぐ」というミッションのもと、自社開発のマーケティングSaaSツールの提供やSNS活用を中心としたソリューション提供等により、顧客企業のマーケティングを支援する事業を国内・海外で展開し、企業価値・株主価値の向上を目指しております。

 

(2)経営環境

現在、日本企業を取り巻く環境は、人口の減少及び市場の超成熟化、政府が推進するデジタルトランスフォーメーション(DX)による本格的なデジタル・ソーシャル時代の到来、インバウンド市場の拡大などを背景に、集客をグローバルに行う時代へと大きく変化しています。かかる変化に対応するため、当社グループが事業を行う企業のマーケティング領域においては、国内市場ではファンとの関係性を強化していくこと、デジタル・ソーシャルを積極的に活用していくこと、加えて国内市場のみならず越境・インバウンドも含めたグローバル市場からも新規顧客を獲得していくことが必要となっており、そのマーケティング手法やサービス形態が日々進化している段階であります。

当社グループは、デジタル・ソーシャル等を活用したマーケティング支援を行っており、当社の売上の多くは顧客企業における広告費予算のうち、インターネット広告費に区分されております。日本におきましては、2021年の日本の広告費全体が前期比で110.4%のところ、インターネット広告費は、2兆7,052億円と前期比121.4%増となっており、マスコミ四媒体広告費(2兆4,538億円、前期比108.9%)を初めて上回りました。さらに、インターネット広告費のうち、ソーシャル広告は前期比34.3%増の7,640億円となり、インターネット広告媒体費全体の35.4%を占めるまでに一段と成長しております。また、当社のSaaS事業における売上の一部は、物販系ECプラットフォーム広告費としても分類されますが、2021年の同広告費は前期比23.5%増となる1,631億円となりました。新型コロナウイルスの感染拡大を背景とした生活者の行動様式の変化に伴い物販系ECプラットフォームを持つ企業が増加し、ECでの購買活動が浸透しつつあることに連動して、EC内での商品購入を促す目的の広告も増加しております。(※1)

当社グループは、このような環境を踏まえ、マーケットのニーズに合わせて各種事業の展開を図る方針であります。具体的には、ソフトウェアの機能追加・改良、自社サービスの認知度向上等に加え、プロフェッショナル人材の獲得に積極的な投資を行い、サービス拡大に努めてまいります。また、基幹事業で得たマーケティングに関連したデータを適切に蓄積し、効果的に活用するサービスを展開し、事業領域の拡大及び事業進化を目指してまいります。更に、国内で蓄積したノウハウや開発技術力を生かし、グローバルへの展開も進めてまいります。

(※1)「2021年日本の広告費」(株式会社電通)、「2021年 日本の広告費 インターネット広告媒体費 詳細分析」(株式会社サイバー・コミュニケーションズ、株式会社D2C、株式会社電通、株式会社電通デジタル

 

(3)目標とする経営指標

当社グループは継続的な事業の発展と企業価値向上のため、売上高、粗利売上(※2)及び営業利益とそれぞれの成長率を重要な指標としております。

2022年12月期より企業会計基準第29号「収益認識に関する会計基準」及び会計基準適用指針第30号「収益認識に関する会計基準の適用指針」(以下、収益認識基準という)を適用する予定であります。これに伴い、粗利売上の概念を廃止し、売上高、営業利益とそれぞれの成長率を重要な指標とします。2022年2月10日に公表いたしました業績予想の数値を目標として設定しております。

(※2)粗利売上=(当社単体:売上高-直接原価)+(連結子会社:売上総利益)

 

 

2021年12月期(実績)

(百万円)

2022年12月期(予想)

(百万円)

前期比

売上高

6,217

売上高(収益認識基準適用後)

3,540

4,600

+29.9%

 ご参考:粗利売上

3,145

営業利益

798

850

+6.4%

経常利益

868

850

△2.1%

親会社株主に帰属する当期純利益

743

※親会社株主に帰属する当期純利益の業績につきましては、投資有価証券の評価損益をはじめとした特別損益の発生可能性に鑑み、現時点におきましては非開示とさせていただいております。

 

(4)対処すべき課題

①収益基盤の強化

グループ全体としての収益基盤を強化するうえで、各事業における対処すべき課題は次の通りと認識しております。

 

<SaaS事業>

デジタル・ソーシャル等を活用したマーケティングSaaSについては、新たなサービスや競合他社が次々と現れることから、他社とのサービスの差別化、競合優位性の確立のために、SaaSツールの機能強化や開発体制の構築・維持が課題と認識しております。

そのため、当社グループでは、日本、ベトナム等グローバルでの人材獲得及び開発体制を構築し、常に最新の技術を取り入れるとともに、優秀なエンジニアの確保を図ってまいります。

 

<海外SaaS事業>

連結子会社であるCreadits Pte. Ltd.において広告クリエイティブの制作・提供を行っておりますが、一段と高まる3D等の動画クリエイティブニーズに対し、高品質かつ低価格なクリエイティブをタイムリーに供給しうる能力の向上が課題と認識しております。

そのため、当社グループでは、顧客ニーズに十分に対応しうるクリエイターネットワークの拡大・強化及び3D動画制作ベンダーとの連携強化等を図ってまいります。

 

<ソリューション事業>

顧客企業におけるマーケティング課題に対するソリューションの立案から実行を支援するため、当社グループが持つ企画力及び技術力等を活かしたクオリティの高い人材の採用及び育成が課題であると認識しております。

このため、当社グループでは、マーケティング人材の採用の強化及び教育研修制度の拡充等による人材の育成により、戦略立案・提案力や実行力のあるマーケティング人材の増強を図ってまいります。

 

<中国進出支援事業>

日本企業の中国進出を支援するため、日本人・中国人のインフルエンサーを活用したプロモーションのサービスを提供しており、インフルエンサーネットワークの強化が課題であると認識しております。

このため、当社が独自に展開する在日中国人インフルエンサーネットワーク「BoJapan」の強化や、連結子会社である株式会社オセロ(旧 Vstar Japan株式会社)が支援するインフルエンサーの影響力向上及び提携人数の増加が課題であると認識しております。

 

②財務基盤の維持・強化

当社グループの財務の方針は、健全な財務基盤を維持しつつ、マーケティングDX支援事業の中長期的な成長のための投資を行うことを基本方針としております。2021年12月末時点において、現金及び預金残高は1,702,337千円、借入金残高は342,938千円であり、自己資本比率は63.4%となっております。

投資については、営業キャッシュ・フローの範囲内で行うことを目標としておりますが、企業価値を大きく向上させる投資が必要な場合に備え、金融機関との良好な関係の維持等、資金調達の環境を整えております。

また、投資有価証券の売却等、資産の効率的な運用に向けた対応を進めるとともに、負債を適正な水準に留め、資本コストを意識した経営を進めてまいります。

 

③内部管理体制の強化について

現在、当社グループは成長期にありますが、今後の持続的な成長と企業価値の向上を実現するため、コーポレート・ガバナンス体制の強化が重要な課題であると考えております。具体的には、経営の健全化、公正性の観点からコーポレート・ガバナンスの実効性を一層強化するため、リスク管理、内部統制の体制を強固なものとし、さらに、コンプライアンスへの取り組みを強化することが必要であると考えております。

これらの課題に対処するため、経営環境の変化に対応した投資戦略・財務管理の方針の策定や独立社外取締役の活用、取締役会の多様性など、信頼性の向上と自浄能力の増強に努めてまいります、加えて、改訂コーポレート・ガバナンス・コードに対応してまいります。

 

2【事業等のリスク】

 本書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資家の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項には、以下のようなものがあります。なお、文中における将来に関する事項は、提出日現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1)事業に関するリスク

① SNSに関するリスク

 当社グループでは、デジタル・ソーシャルに強いマーケティング支援を行っており、とりわけFacebook、Instagram、TwitterなどのSNSを活用したマーケティング支援を行っております。これらのSNSは、自社で運用しているものではないことから、1)新たなSNSの登場により既存のSNSの影響力が低下するリスク、2)SNS運営事業者の広告に関する方針変更により、当社グループが提供するサービスが突如として規制対象となるリスク、3)連携するSNSサービスの不具合により当社サービスが利用できなくなるリスクがあると認識しております。

当社グループは、これらのリスクに対応するため、SNS運営事業者との連携を強化するとともに、特定のSNSに依存し過ぎないサービスの設計等を進めておりますが、これらのリスクが急激に発生・拡大した場合には、当社グループの事業及び業績に影響を与える可能性があります。

 

② 人材の確保及び育成に関するリスク

 当社グループでは、SaaSツールの提供とデジタルマーケティング人材によるソリューションの提供を2つの柱として事業を展開しておりますが、事業の展開及び拡大にあたってはSaaSツールの開発人材、営業人材、SNSを利用したマーケティング施策の立案・実行が可能な人材が必要不可欠となります。

 当社グループは今後の事業拡大に応じて必要な人材の確保と育成に努めていく方針でありますが、必要な人材の確保が計画通り進まなかった場合には、競争力の低下や事業拡大の制約要因が生じる可能性があり、この場合、当社グループの事業及び業績に影響を与える可能性があります。

 

③ システム障害のリスク

 当社グループが提供するソフトウエアの不具合、連携するSNSサービスの不具合、サイトへのアクセスの急増等の一時的な過負荷や電力供給の停止、コンピューターウィルスや外部からの不正な手段によるコンピューターへの侵入、自然災害、事故等、当社グループの予測不可能な様々な要因によってコンピューター又は当社サービスのシステムがダウンした場合、当社グループの事業活動に支障を生ずる可能性があります。

 また、サーバーの作動不能や欠陥に起因して、当社グループの信頼が失墜し取引停止等に至る場合や、損害賠償請求が発生する場合には、当社グループの事業及び業績に影響を与える可能性があります。

 

(2)経営環境に関するリスク

① インターネット広告市場に関するリスク

 当社グループが対象とするインターネット広告市場は拡大を続けており、2021年にはインターネット広告費がマスコミ四媒体広告費を初めて上回るなど、今後も当該市場は拡大していくものと推測されます。

 しかしながら、企業の広告宣伝活動は景気動向や事業方針の影響を受け易いものであり、また、インターネット広告は今後も他の広告媒体との競合が継続していくと考えられることから、今後においてこれらの状況に変化が生じた場合、当社グループの事業及び業績に影響を与える可能性があります。

 また、昨今一部のクチコミサイトでのいわゆるやらせ問題及びステルスマーケティング(※)問題が表面化しております。当社グループでは、ガイドラインを作成し、適宜サイト内の確認を行う等の対応を図っておりますが、広告主の不安が高まった場合等には、ソーシャルメディアを利用した広告市場の拡大に悪影響を与え、当社グループの事業、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 (※)ステルスマーケティングとは、消費者に宣伝と気づかれないように宣伝行為をすること。

 

② グローバル化によるリスク

 当社グループが事業展開しているインターネット業界は、日本、米国、欧州及び中国の社会・経済動向に大きく左右されます。さらに、それらの国または地域における、新型コロナウイルスによる経済への影響、国家間の紛争や政治問題といった様々なリスク要因が常に存在しています。

 当社グループでは、日本、シンガポール、東南アジア地域、米国、欧州を中心に事業を展開していることから、これらのリスク動向を注視し適時に対策を講じておりますが、常に十分かつ適時の対策を講じられる保証はなく、またこのような経営環境の変化が予想を超えた場合等において、業績及び財政状態に大きな影響を及ぼす可能性があります。

(3)財務リスク

① 資金繰りに関するリスク

 当社グループは、営業活動から生じるキャッシュ・フローに加え、主として銀行からの借入金により手元資金を確保しております。取引銀行との間では良好な関係を築いておりますが、当社グループの財政状態・経営成績が悪化した場合には機動的な資金調達が困難となり、事業活動に支障が生じるリスクがあります。

 かかるリスクが顕在化した場合には、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

② 海外の連結子会社に対する貸付金に関するリスク

 当社は、海外の連結子会社Creadits Pte. Ltd.に対し、外貨建の貸付を行っております。

 当該子会社の業績は、足許では順調に推移しておりますが、将来の事業計画が想定どおりに進捗しなかった場合には、貸付金の全額が回収できないリスクがあります。また、当該貸付金に対し、為替相場の変動による影響を軽減すべく為替予約等によりリスクヘッジを行っておりますが、急激な為替変動があった場合には、多額の為替差損が生じるリスクがあります。

 これらのリスクが顕在化した場合には、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

③ 新株予約権行使による株式価値の希薄化に関するリスク

 当社では、取締役、従業員に対するインセンティブを目的としたストック・オプション制度を採用しております。

 今後においても同様の目的で新株予約権を活用していくことを検討しており、現在付与している新株予約権に加え、今後付与される新株予約権について行使が行われた場合には、保有株式の価値が希薄化する可能性があります。

 

(4)その他のリスク

① 個人情報管理に関するリスク

 当社グループはサービス提供にあたり、顧客、サービス利用会員等の個人に関連する情報を取得しております。これらの情報の取り扱いには、外部からの不正アクセスや内部からの情報漏洩を防ぐため、セキュリティ環境の強化、従業員に対する個人情報の取り扱いに対する教育等、十分な対策を行うと同時に、個人情報として管理すべき情報の範囲についても厳密な判断が必要であると考えております。

 しかし、今後何らかの理由により個人情報が漏洩した場合には、損害賠償や信用力の失墜により、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

② サイトの健全性に関するリスク

 当社グループが提供する「モニプラ」等のサービス上では不特定多数の利用者同士が独自にコミュニケーションを図っており、こうしたコミュニケーションにおいては、他人の知的財産権、名誉、プライバシーその他の権利等の侵害が生じる危険性が存在しております。

 このため、禁止事項を利用規約に明記するとともに、利用規約に基づいた利用がされていることを確認するためにユーザーサポート体制を整備し、利用規約に違反した利用者に対してはユーザーサポートから改善要請等を行っているため、一定の健全性は維持されているものと認識しております。

 なお、利用規約に明記されている禁止事項の内容は以下となっております。

(ア)当社、他の利用者もしくは第三者の著作権、商標権等の知的財産権を侵害する行為、又は侵害するおそれのある行為

(イ)他の会員もしくは第三者の財産、プライバシーもしくは肖像権を侵害する行為、又は侵害するおそれのある行為

(ウ)特定個人の氏名・住所・電話番号・メールアドレス等第三者が見て個人を特定できる情報の提供

(エ)一人の利用者が複数のメールアドレスを利用して重複してIDを取得する行為

(オ)IDの使用を停止ないし無効にされた利用者に代わりIDを取得する行為

 しかしながら、急速な利用者数の増加による規模拡大に対して、サイト内における不適切行為の有無等を完全に把握することは困難であり、サイト内においてトラブルが発生した場合には、規約の内容に関わらず、当社グループが法的責任を問われる可能性があり、この場合、当社グループの事業及び業績に影響を与える可能性があります。

 

 

③ 法的規制に関するリスク

 当社グループ事業を規制する主な法規制として、(ア)「特定電子メールの送信の適正化等に関する法律」、(イ)「特定電気通信役務提供者の損害賠償責任の制限及び発信者情報の開示に関する法律」(以下「プロバイダ責任制限法」という。)及び(ウ)「不正アクセス行為の禁止等に関する法律」(以下「不正アクセス禁止法」という。)があります。

 特定電子メールの送信の適正化等に関する法律については、無差別かつ大量に短時間の内に送信される広告等といった迷惑メールを規制し、インターネット等を良好な環境に保つものです。また、当社グループは、プロバイダ責任制限法における「特定電気通信役務提供者」に該当し、不特定の者によって受信されることを目的とする電気通信による情報の流通において他人の権利の侵害があった場合に、権利を侵害された者に対して、権利を侵害した情報を発信した者に関する情報の開示義務を課されております。また、権利を侵害した情報を当社グループが媒介したことを理由として、民法の不法行為に基づく損害賠償請求を受ける可能性もあり、これらの点に関し訴訟等の紛争が発生する可能性もあります。さらに、当社グループには、不正アクセス禁止法における「アクセス管理者」として、努力義務ながら不正アクセス行為からの一定の防御措置を講ずる義務が課されております。

 上記に加え、消費者庁より2011年10月28日に公表(2012年5月9日に一部改定)されている「インターネット消費者取引に係る広告表示に関する景品表示法上の問題点及び留意事項」、公正取引委員会より2001年4月26日に公表されている「インターネット上で行われる懸賞企画の取扱いについて」についても、業界に対して影響を及ぼす可能性があります。

 その他、インターネット上の情報流通や電子商取引のあり方等については現在も様々な議論がなされており、インターネット関連事業を規制する法令は徐々に整備されてきている状況にあり、今後、インターネットの利用や関連するサービス及びインターネット関連事業を営む事業者を規制対象として、新たな法令等の制定や、既存法令等の解釈変更等がなされた場合には、当社グループの事業及び業績に影響を与える可能性があります。

 

④ 自然災害・テロ・感染症等のリスク

 当社グループは、国内外に複数の事業拠点を有しております。各拠点では、不慮の災害や感染症発生等に対する防災・防疫対策等を施しておりますが、想定を超えた大規模な地震、台風や洪水等の自然災害やそれに起因する大規模停電、未知の感染症の流行、テロ等の犯罪行為等によって大きな被害を受ける可能性があります。

 それらの影響を受け、情報通信インフラの損壊・途絶及び中枢機能の障害もしくは顧客自身に大きな被害が生じた場合など、受注や供給が長期間にわたって滞り、業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

3【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1)経営成績等の状況の概要

①経営成績の状況

 新型コロナウイルス禍により大きく事業環境が変化する中、日本のみならず世界全体としてDX(デジタルトランスフォーメーション)推進の波が押し寄せ、本格的なデジタル・ソーシャル時代が到来しました。また当社グループが事業を展開するマーケティング領域におきましてもDXの流れは一気に加速しております。

 このような背景のもと、当社グループでは、企業のマーケティングDXへの対応を支援するため、自社開発のマーケティングSaaSツールの提供やSNS活用を中心としたソリューション提供といった『顧客企業と人をつなぐ』BtoBビジネスを展開しております。当社グループは、中期テーマとして『マーケティングDX支援企業として圧倒的ポジションの確立』を掲げており、2021年12月期は中期テーマ達成のための第1ステージと位置づけ、『SaaSの強化とデジタル人材の拡充』を推進いたしました。

 当連結会計年度におきましては、新型コロナウイルスによる業績へのマイナスの影響はなく、むしろコロナ禍をきっかけとしたマーケティングDXの需要拡大は当社にとって追い風となり、売上高の増加に伴い、すべての段階の利益が前年比で大幅に増加いたしました。

 当社の報告セグメントは、マーケティングDX支援事業の単一セグメントとしておりますが、事業区分ごとの概況は以下の通りであります。なお、当社グループでは、経営管理指標として「粗利売上※」を設定しており、売上高と共に収益性を図る指標として管理しております。

      ※粗利売上=売上高-直接原価

 

①国内SaaS事業

 自社開発のマーケティングSaaSツールの提供及びSaaSで補いきれないマーケティングDX施策の提供、さらにはカスタマーサクセス人員がサポートすることによって、顧客企業のマーケティング人材の質的・量的な不足を補い、効率的かつ効果的に成果を上げるための支援を行っております。

 当連結会計年度におきましては、コロナ禍をきっかけとしたマーケティングDXの需要拡大を背景に、既存ツールの新機能を複数追加し、アップセル強化を推進いたしました。月額課金型売上は、ダイレクトマーケティングの成果向上を実現するツール「Letro(レトロ)」の顧客企業の成果向上に伴い平均顧客単価が増加した他、動画作成ツール「LetroStudio(レトロスタジオ)」では順調に新規顧客数を伸ばすなど好調に推移しました。また、都度課金売上についても、キャンペーン案件の需要が高く、Twitterによるプロモーションを効率的に行うためのツール「echoes(エコーズ)」を中心に取引が拡大しました。

 これらの結果、四半期ベースの粗利売上が第3四半期、第4四半期と連続で過去最高を達成し、当連結会計年度におきましては、売上高・粗利売上ともに前期比で増加いたしました。

 

②海外SaaS事業

 シンガポールの連結子会社であるCreadits Pte. Ltd.は、欧米を中心としたグローバル市場において、高品質な広告クリエイティブ制作を低コストで効率的に行いたいゲーム会社を中心とした企業に対し、スキルの高い世界中のクリエイターネットワークを活用し、広告クリエイティブを制作・納品するサービス「Craft(クラフト)※」を提供しております。

 当連結会計年度におきましては、メタバース時代の先駆けとなるゲーム業界における3D動画クリエイティブのニーズが世界的に一層高まり、既存顧客との取引が拡大するなかで、都度発注から月額課金型の売上への移行を推進いたしました。また、2021年5月にリリースしたクリエイティブ制作を支援するプロジェクト管理ツール「Huddle(ハドル)」や、同年7月にリリースした動画の自動編集ツールである「Tune(チューン)」といった新サービスと主力サービス「Craft」とのクロスセル強化等により、月額顧客平均単価が増加いたしました。

 これらの結果、四半期ベースの粗利売上が全四半期で過去最高を更新するなど本格的な成長フェーズに突入し、当連結会計年度におきましては、売上高・粗利売上ともに前期比で大幅に増加いたしました。

  ※「CREADITS®」から名称変更

 

③ソリューション事業

 ファンの存在をマーケティングに活用し、ビジネスの成長を目指す概念が浸透しつつある中で、「SNS活用」や「ファンとの関係構築・強化」をキーワードに、顧客企業のマーケティングDX課題において企画立案から施策の実行までを包括的に支援する事業を行っております。本事業においてもコロナ禍でのDX加速の流れや消費者の商品やサービスを選ぶ際の意識の変化などを受けて、当社が強みを持つファンとSNSを掛け合わせたマーケティングニーズの高まりが追い風となっております。

 当連結会計年度におきましては、特にD2C企業や老舗企業の新規事業のプロジェクトにコンセプト設計から関与するなど、ファン関連施策の需要増加が新規顧客の獲得につながり、また既存顧客からの追加施策の依頼も増えるなど、月額顧客平均単価が増加いたしました。

 また、新規事業として、2021年4月、SNS時代に必要なマーケティングリソース(人材・ノウハウ・クリエイティブ)を提供する新会社「株式会社ネクストバッターズサークル」を設立し、2022年12月期の本格稼働に向けて体制整備を行いました。

 これらの結果、四半期ベースの粗利売上が第4四半期で過去最高を更新し、当連結会計年度において、売上高・粗利売上ともに前期比で大幅に増加いたしました。

 

④中国進出支援事業

 近年急速に市場が拡大している越境ECへの出店による中国進出をしたい日本企業等に対し、日本の商品に愛着のある在日中国人や中華圏で人気のある日本人インフルエンサーの発信力を活用したプロモーション等の支援を行っております。また、インバウンド市場において訪日外国人をターゲットに商品やサービスを提供したい企業への支援につきましては、新型コロナウイルス感染拡大に伴い人の往来が制限されていることから縮小しております。

 当連結会計年度におきましても中国越境EC進出支援の需要は堅調で、中国SNSアカウント運用とインフルエンサーによる拡散を合わせたビジネスモデルを強化した他、中国越境ECを実施したい企業や業種の開拓も推進いたしました。

 しかしながら、繁忙期の第4四半期において、中国の年間最大のEC商戦となる「独身の日」関連の売上が前年には届かず、当連結会計年度におきましては、売上高・粗利売上ともに前期比で減少いたしました。

 

以上の結果、当連結会計年度の売上高は6,217,338千円(前期比49.9%増)、売上総利益は2,759,541千円(前期比36.0%増)となりました。また、営業利益は、売上高及び売上総利益の増加に伴い798,854千円(前期比182.0%増)となりました。さらに、経常利益は営業利益の増加に加え、為替差益や持分法による投資利益を計上したこと等により868,645千円(前期比291.6%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は経常利益の増加に加え投資有価証券売却益を計上したこと等により743,344千円(前期比354.9%増)となりました。

 

②資産、負債及び純資産の状況

(資産)

当連結会計年度末における資産合計は、前連結会計年度と比べて662,037千円増加し3,844,710千円となりました。これは主に、現金及び預金が531,440千円、受取手形及び売掛金が82,624千円それぞれ増加したこと等によるものであります。

 

(負債)

当連結会計年度末における負債合計は、前連結会計年度末に比べて58,257千円減少し1,358,661千円となりました。これは主に、買掛金が81,955千円、未払法人税等が94,589千円、未払消費税等が114,577千円それぞれ増加した一方で、借入の返済に伴い、短期借入金が100,000千円、長期借入金(1年内返済予定長期借入金含む)が308,629千円それぞれ減少したこと等によるものであります。

 

(純資産)

当連結会計年度末における純資産は、前連結会計年度末に比べて720,295千円増加し2,486,048千円となりました。これは主に、親会社株主に帰属する当期純利益を計上したことにより利益剰余金が743,344千円増加したこと等によるものであります。

 

③キャッシュ・フローの状況

当連結会計年度末の現金及び現金同等物(以下「資金」という。)の残高は、前連結会計年度末に比べて531,440千円増加し、1,702,337千円となりました。

当連結会計年度におけるキャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次の通りです。

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

当連結会計年度において、営業活動により増加した資金は、849,363千円となりました(前年同期は195,767千円の増加)。これは主に、税金等調整前当期純利益を988,480千円計上したこと及び減価償却費を99,719千円計上した一方で、売掛債権が52,983千円増加したこと及び投資有価証券売却益を173,579千円計上したこと等によるものであります。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

当連結会計年度において、投資活動により増加した資金は、87,759千円となりました(前年同期は174,869千円の増加)。これは主に、投資有価証券の売却による収入が173,579千円等があった一方で、有形固定資産の取得による支出が22,950千円、無形固定資産の取得による支出が57,960千円があったこと等によるものあります。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

当連結会計年度において、財務活動により減少した資金は、423,937千円となりました(前年同期は146,817千円の収入)。これは主に、借入金の返済に伴い、短期借入金の返済による支出が100,000千円、長期借入金の返済による支出が308,629千円あったこと等によるものであります。

 

④生産、受注及び販売の実績

 当社グループの事業はマーケティングDX支援事業を主な事業とする単一セグメントであるため、以下の事項はサービス別に記載しております。

 

 生産実績

 当社グループの主たる事業は、インターネットを利用したサービスの提供であり、提供するサービスには生産に該当する事項がありませんので、生産実績に関する記載はしておりません。

 

 受注実績

 当連結会計年度の受注実績は、次のとおりであります。

サービス

受注高(千円)

前年同期比(%)

受注残高(千円)

前年同期比(%)

マーケティングサービス

5,339,024

148.3

375,205

100.7

CREADITSサービス

927,376

159.6

104,204

186.0

合計

6,266,400

149.9

479,409

111.8

(注)1.金額は、販売価格によっております。

2.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。

 

 販売実績

 当連結会計年度の販売実績は、次のとおりであります。

サービス

当連結会計年度

(自 2021年1月1日

至 2021年12月31日)

販売高(千円)

前年同期比(%)

マーケティングサービス

5,338,136

149.2

CREADITSサービス

879,202

154.6

合計

6,217,338

149.9

(注)1.最近2連結会計年度の主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりであります。

 

サービス

前連結会計年度

(自 2020年1月1日

  至 2020年12月31日)

当連結会計年度

(自 2021年1月1日

  至 2021年12月31日)

金額(千円)

割合(%)

金額(千円)

割合(%)

オイシックス・ラ・大地株式会社

1,143,044

18.4

株式会社ブルックス

653,885

10.5

2.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。

3.オイシックス・ラ・大地株式会社及びブルックス株式会社は、前連結会計年度においては、相手先別の販売実績の総販売実績に対する割合が100分の10未満であるため、記載を省略しております。

 

 

(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

①経営成績等の分析

当社グループでは、経営管理指標として「粗利売上」(※)を設定しており、売上高と共に収益性を図る指標として管理しております。

  (※)粗利売上=(当社単体:売上高-直接原価)+(連結子会社:売上総利益)

当連結会計年度の売上高は前期比49.9%増の6,217,338千円、粗利売上は前期比34.1%増の3,145,573千円となりました。

事業別の粗利売上は、SaaS事業が1,238,752千円(前期比17.3%増)、海外SaaS事業が668,486千円(前期比54.1%増)、ソリューション事業が1,046,802千円(前期比52.5%増)、中国進出事業が191,532千円(前期比13.3%増)となり、国内事業であるSaaS事業とソリューション事業がグループ全体の収益を支える柱として安定収益である一方、海外関連事業である海外SaaS事業及び中国進出支援事業がグループの成長を牽引しているものと考えております。

また、事業別の粗利売上の事業別の推移は以下の通りであります。

 

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②資本の財源及び資金の流動性

i)財務戦略

当社グループの財務の方針は、健全な財務基盤を維持しつつ、マーケティングDX支援事業の中長期的な成長のための投資を行うことを基本方針としております。そのため、当社グループの事業活動における主な資金需要は、各事業の事業規模拡大や新規事業推進に伴う国内外の子会社における運転資本等であります。

当社グループは、主として内部資金の活用及び金融機関からの借入により資金調達をおこなっており、これらの事業活動に必要となる資金の安定的な確保に努めております。内部資金については、国内事業で安定的に利益剰余金を積み重ねることで維持している現預金を活用しており、各種事業への機動的な投資の実行を可能にするとともに、自己資本比率をはじめとする各指標のもと、資金効率の向上に努めており、2021年12月末時点における自己資本比率は63.4%となっております。

 

ii)投資方針

投資については、営業キャッシュ・フローの範囲内で行うことを目標としており、手元に残る資金は企業価値を大きく向上させる投資が必要な場合に備え、社内に留保しております。また、合わせて過年度に投資した投資有価証券の売却等、資産の効率的な運用に向けた対応も進めてまいります。

 

iii)資金調達

資金調達においては、当社は、金融機関に十分な借入枠を有しており、市場環境を勘案しながら慎重な判断のもと借入を行っております。当連結会計年度におきましては、2021年3月に3億円のコミットメントライン契約を締結し、借入金を増やすことなく、機動的な資金調達ができる環境を整えております。今後も引き続き十分な手元資金を維持できるように努めてまいります。

なお、当連結会計年度末における現金及び預金残高は1,702,337千円、借入金残高は342,938千円となっております。

 

③経営方針・経営戦略、経営上の目標達成を判断するための客観的な指標等

当社グループは、2022年2月10日に公表した2022年12月期の業績予想である、売上高4,600百万円、営業利益850百万円、経常利益850百万円を目標としております。

 

④重要な会計上の見積り

i)繰延税金資産の回収可能性

⑴当連結会計年度の連結財務諸表に計上した金額

繰延税金資産           19,817千円

 

⑵会計上の見積りの内容について連結財務諸表利用者の理解に資するその他の情報

 繰延税金資産は、将来の事業計画に基づく課税所得の発生時期及び金額により見積もっております。当社は、過去の実績や直近の事業環境等に基づき、将来の顧客平均売上単価、新規顧客獲得数、顧客との契約の継続率及び顧客解約率等に一定の仮定を置いて売上高や営業費用を見積もっております。

 これらの見積りは、将来の不確実な経済状況の変動などによる影響を受けるため、実際に発生した課税所得の時期及び金額が見積りと異なった場合には、翌連結会計年度以降の連結財務諸表において、重要な影響を与える可能性があります。

 

ii)時価を把握することが極めて困難と認められる投資有価証券の評価

⑴当連結会計年度の連結財務諸表に計上した金額

関係会社株式           167,387千円

投資有価証券           516,369千円

 

⑵会計上の見積りの内容について連結財務諸表利用者の理解に資するその他の情報

 投資有価証券のうち、時価を把握することが極めて困難と認められる投資有価証券(関係会社株式を除く。)については、投資先の実質価額が著しく低下したときには、実質価額の回復可能性が、投資先の事業計画等の十分な証拠によって裏付けられる場合を除き、評価減を行っております。

 当社では、主要な投資先においては、定期的な面談等を通じて直近の事業環境や事業の進捗状況、今後の計画等を把握しており、これらの情報に基づき実質価額の回復可能性や事業計画の妥当性を慎重に判断しております。

 これらの見積りは、将来の不確実な経済状況の変動などによる影響を受けるため、投資先の事業が計画通りに進捗しない場合には、翌連結会計年度以降の連結財務諸表において、重要な影響を与える可能性があります。

 

iii)関係会社貸付金の評価

⑴当事業年度の財務諸表に計上した金額

関係会社貸付金           1,192,020千円

関係会社に対する貸倒引当金      501,504千円

 

⑵会計上の見積りの内容について財務諸表利用者の理解に資するその他の情報

 関係会社に対する貸付金の評価にあたっては、債務者である関係会社の財政状態が悪化し、債権の回収に重大な問題が発生する可能性が高い場合に、個別に貸倒引当金を計上することとしております。貸倒引当金の金額算定に当たっては、関係会社の財政状態及び中期計画に基づき将来の支払能力を検討し、回収可能と見込まれる額を合理的に見積もっております。また、中期計画の見積りにおける重要な仮定は、これに含まれる売上高、営業費用の見積りであり、これらは将来の顧客平均売上単価、顧客獲得数及び顧客解約数等を考慮して作成しております。

 これらの見積りは、将来の不確実な経済状況の変動などによる影響を受けるため、関係会社の事業が計画通りに進捗しない場合には、翌事業年度以降の財務諸表において、重要な影響を与える可能性があります。

 

4【経営上の重要な契約等】

 該当事項はありません。

 

5【研究開発活動】

 該当事項はありません。