当第1四半期連結累計期間において、新たな事業等のリスクの発生、または、前事業年度の有価証券報告書に記載した事業等のリスクについての重要な変更はありません。
文中の将来に関する事項は、当四半期連結会計期間の末日現在において判断したものであります。
(1)経営成績に関する説明
コロナ禍収束により経済は回復基調ではありながら、為替動向、物価上昇、人件費高騰などの影響により、景気の先行きは依然として不透明な状況が続く中で、DX(デジタルトランスフォーメーション)の推進がますます重要な経営戦略として認識されています。当社グループが事業を展開するマーケティング領域においてもDXの流れが加速しており、デジタル・ソーシャル時代の本格的な到来は、当社グループの事業展開に追い風となっております。
このような背景のもと、当社グループでは、企業のマーケティングDXへの対応を支援するため、自社開発のマーケティングSaaSツールやSNS活用を中心としたソリューションの提供といった『顧客企業と人をつなぐ』BtoBビジネスを展開しております。中期テーマとして「マーケティングDX支援企業としての圧倒的なポジションの確立」を目指しておりますが、2023年12月期の業績が予想を大きく下回ったことを踏まえ、2024年12月期は「国内3事業の加速と海外事業の再構築」をグループ方針に設定し、事業展開を進めております。
当第1四半期連結累計期間においては、プロダクト事業(旧国内SaaS事業)がほぼ計画通り進捗いたしましたが、ソリューション事業とクロスバウンド事業(旧中国進出支援事業)は季節性収益が獲得できず、海外事業(旧海外SaaS事業)は事業構造の抜本的改革に取り組むも売上回復までには至りませんでした。
その結果、当第1四半期連結累計期間における売上高は827,201千円(前年同期比19.1%減)となり、売上総利益は557,181千円(前年同期比27.3%減)、営業損失は229,884千円(前年同期は営業利益33,555千円)、経常損失は137,994千円(前年同期は経常利益42,938千円)、親会社株主に帰属する四半期純損失は208,737千円(前年同期は親会社株主に帰属する四半期純損失10,626千円)となりました。
当社の報告セグメントは、マーケティングDX支援事業の単一セグメントとしておりますが、事業区分ごとの概況は以下のとおりであります。
①プロダクト事業(旧国内SaaS事業)
自社開発のマーケティングSaaSツールの提供及びSaaSで補いきれないマーケティングDX施策の提供、さらにはカスタマーサクセス人員がサポートすることによって、顧客企業のマーケティング人材の質的・量的な不足を補い、効率的かつ効果的に成果を上げるための支援を行っております。顧客体験を大きく進化できる余地があるWeb制作・LP領域に特化し、ダイレクトマーケティングの成果向上を実現するツール「Letro(レトロ)」、動画作成ツール「LetroStudio(レトロスタジオ)」、X(旧Twitter)によるプロモーションを効率的に行うためのツール「echoes(エコーズ)」が主要ツールとなっております。
2024年は引き続き、競争優位性を確立した「Letro」の成長に注力し、事業成長を目指しております。当第1四半期連結累計期間では、2024年3月からWebサイトのコンテンツ実装・検証におけるコスト削減・速度向上を実現する新機能「LetroEditor(レトロエディター)」を正式に提供開始しました。「Letro」にWebサイトの編集機能である「LetroEditor」を追加したことで、「運用型制作(データを基に改善サイクルを継続し、マーケティング成果を向上させる当社提唱のクリエイティブ運用モデル)」という独自性の高い手法を用いた顧客体験向上支援をさらに強化しております。
その結果、当事業の当第1四半期連結累計期間の売上高は409,791千円(前年同期比13.4%増)となり、期末目標に向けて順調なスタートとなりました。
②ソリューション事業
ファンの存在をマーケティングに活用し、ビジネスの成長を目指す概念が浸透しつつある中で、「SNS活用」や「ファンとの関係構築・強化」をキーワードに、顧客企業のマーケティングDX課題において企画立案から施策の実行までを包括的に支援する事業を行っております。売上成長の柱として顧客企業のSNS活用を支援する受託プロジェクト(SNSアカウント運用とデジタル広告運用)を中心に展開しており、昨今では、受託プロジェクトの業務効率や企画制作力を向上させるSaaSツールの開発・提供、Z世代のデジタル人材育成も推進しております。
2024年は強みであるクリエイティブ制作力をベースに、企画提案力・営業力を強化し、新規顧客獲得の増加を目指しております。しかし、当第1四半期連結累計期間は季節性の収益機会である顧客企業の広告宣伝費の期末残予算獲得が不調となり、当事業の第1四半期連結累計期間の売上高は277,617千円(前年同期比22.4%減)となりました。
③クロスバウンド事業(旧中国進出支援事業)
近年急速に市場が拡大している越境ECへの出店による中国進出をしたい日本企業等に対し、日本の商品に愛着のある在日中国人や中華圏で人気のある日本人インフルエンサーの発信力を活用した越境ECプロモーション等の支援を展開しております。また、インバウンド市場において訪日外国人をターゲットに商品やサービスを提供したい企業への支援を行っております。
2024年も営業人員の拡充・Webセミナー開催、自社メディアでの情報発信などを強化し新規顧客を獲得、インバウンド支援を中心にプロジェクト数の増加を目指して事業を推進いたします。
当第1四半期連結累計期間においてはインバウンド支援が大きく成長し、活発化してきた需要を確実に取り込めております。一方、越境EC支援は処理水放出問題に起因した日本企業の中国向け越境プロモーションの抑制傾向が継続していることから、引き続き苦戦となりました。その結果、当第1四半期連結累計期間の売上高は84,164千円(前年同期比20.6%増)となりました。
④海外事業(旧海外SaaS事業)
シンガポールの連結子会社であるCreadits Pte. Ltd.(以下、「Creadits」という。)は、3D広告クリエイティブ制作における高品質・ハイスピード・低価格を実現する仕組みを提供するサービス「Craft(クラフト)」をグローバルに展開しております。顧客企業はメタバース時代を牽引する欧米のゲーム会社中心で、新興国分業体制による「リモートでつながったマイクロファクトリー(小型制作工場)」を構築していることが最大の強みとなっています。
しかし、メインターゲットであるゲーム業界において、新型コロナ情勢の落ち着きによる巣ごもり需要の減少及びiOS/アンドロイドのプライバシー強化に伴うターゲティング精度の低下などを発端として、不採算タイトルや人員の整理、広告予算の大幅縮小を実施するゲーム企業が増加、2023年は継続顧客を中心とした解約が続出しました。そのため、2024年12月期は商材、提供方法、営業手法等の見直しに留まらない、抜本的な事業構造改革に取り組んでおります。
当第1四半期連結累計期間においては、経営チームの刷新、新体制への移行に伴う人員配置の最適化、並びに既存顧客と契約内容の精査を実施いたしました。これらの取り組みにより営業パフォーマンスは改善傾向にあり、新規顧客の獲得においても順調な進展を遂げています。しかしながら、これらの成果が売上高に反映されるには時間を要するため、当第1四半期連結累計期間の売上高は55,627千円(前年同期比76.2%減)に留まりました。
(2)財政状態に関する説明
(資産)
当第1四半期連結会計期間末における資産合計は、前連結会計年度末に比べて307,658千円増加し、4,271,303千円となりました。これは主に、受取手形及び売掛金が299,212千円減少した一方で、現金及び預金が473,318千円、無形固定資産が81,966千円それぞれ増加したこと等によるものであります。
(負債)
当第1四半期連結会計期間末における負債合計は、前連結会計年度末に比べて588,591千円増加し、1,638,773千円となりました。これは主に、新規借入により長期借入金が384,387千円、1年内返済予定の長期借入金が101,686千円増加したこと等によるものであります。
(純資産)
当第1四半期連結会計期間末における純資産は、前連結会計年度末に比べて280,932千円減少し、2,632,530千円となりました。これは主に、親会社株主に帰属する四半期純損失208,737千円を計上したこと及び為替換算調整勘定が82,927千円減少したこと等によるものであります。
(取得による企業結合)
当社は、2024年1月29日開催の取締役会において、Book & Entries Capital Pte. Ltd.の株式を取得して子会社化することを決議し、2024年3月18日に株式を取得いたしました。
詳細は「第4 経理の状況 1 四半期連結財務諸表 注記事項(企業結合等関係)(取得による企業結合)」に記載しております。