当第2四半期連結累計期間において、新たな事業等のリスクの発生、または、前事業年度の有価証券報告書に記載した事業等のリスクについての重要な変更はありません。
文中の将来に関する事項は、当四半期連結会計期間の末日現在において判断したものであります。
(1)経営成績に関する説明
新型コロナウイルス禍を乗り越えつつある現在、日本のみならず世界全体としてDX(デジタルトランスフォーメーション)推進の波は一段と強くなり、本格的なデジタル・ソーシャル時代が到来し、当社グループが事業を展開するマーケティング領域においてもDXの流れは加速しております。
このような背景のもと、当社グループでは、企業のマーケティングDXへの対応を支援するため、自社開発のマーケティングSaaSツールの提供やSNS活用を中心としたソリューション提供といった『顧客企業と人をつなぐ』BtoBビジネスを展開しております。
中期テーマとして「マーケティングDX支援企業として圧倒的ポジションの確立」を掲げており、2023年12月期のグループ方針といたしましては、『2025年の連結売上高100億円突破に向けて、新規顧客獲得強化とグループの総合力による更なる成長』を掲げております。
前連結会計年度に引き続き、当第2四半期連結会計期間においてもマーケティングDXの需要拡大は当社にとって追い風となっております。国内SaaS事業、ソリューション事業及び中国進出支援事業につきましては、計画通り推移しております。
しかしながら、海外SaaS事業につきましては、メインターゲットであるゲーム業界におけるマーケット変化(新型コロナ情勢の落ち着きによる巣ごもり需要の減少・iOS/アンドロイドのプライバシー強化に伴うターゲティング精度の低下などにより2022年後半に売上が鈍化したことを受けて、2023年に入って不採算タイトルや人員の整理を行う企業が多く、広告予算を大幅に縮小する動き)によって、第1四半期(1-3月)において複数の継続顧客(約10社)から広告制作の一時休止要請が発生いたしました。第2四半期(4-6月)では、一時休止顧客のうち半数以上の取引再開を想定していたものの、担当者・決裁者の変更によってコミュニケーションが仕切り直しとなった企業が多く、早期取引再開は2社に留まり、また新規獲得についても苦戦する結果となりました。
それに伴い、当第2四半期連結累計期間における売上高・営業利益を2023年8月9日にそれぞれ下方修正し、売上高は5月予想値を4.7%下回る2,000,574千円(前年同期比4.4%減)、営業利益は海外SaaS事業が第1四半期に続いて第2四半期も営業赤字となったことを受けて5月予想値を55.7%下回る70,809千円(前年同期比83.1%減)での着地となりました。
当社の報告セグメントは、マーケティングDX支援事業の単一セグメントとしておりますが、事業区分ごとの概況は以下の通りであります。
①国内SaaS事業
自社開発のマーケティングSaaSツールの提供及びSaaSで補いきれないマーケティングDX施策の提供、さらにはカスタマーサクセス人員がサポートすることによって、顧客企業のマーケティング人材の質的・量的な不足を補い、効率的かつ効果的に成果を上げるための支援を行っております。ダイレクトマーケティングの成果向上を実現するツール「Letro(レトロ)」、動画作成ツール「LetroStudio(レトロスタジオ)」、X(旧Twitter)によるプロモーションを効率的に行うためのツール「echoes(エコーズ)」が主要ツールとなっております。
2023年戦略としては、引き続き競争優位性を確立した「Letro」の成長に注力し、提案メニューの強化(早期立ち上げ)・営業人材の拡充等によって新規獲得を強化する方針です。当第2四半期連結累計期間におきましては、「Letro」の新機能として2023年2月より「UGC薬機法チェック機能」を業界に先駆けて提供開始いたしました。プロダクト強化・提案メニュー拡充等により新規・既存顧客ともに単価が向上しております。
その結果、当第2四半期連結累計期間の売上高は712,746千円(前年同期比8.8%増)となり、上期過去最高売上を達成いたしました。
②海外SaaS事業
シンガポールの連結子会社であるCreadits Pte. Ltd.(以下、「Creadits」という。)は、3D広告クリエイティブ制作における高品質・ハイスピード・低価格を実現する仕組みを提供するサービス「Craft(クラフト)」をグローバルに展開しております。顧客企業はメタバース時代を牽引する欧米のゲーム会社中心で、新興国分業体制による「リモートでつながったマイクロファクトリー(小型制作工場)」を構築していることが最大の強みとなっています。
当第2四半期連結累計期間におきましては、メインターゲットであるゲーム業界において、新型コロナ情勢の落ち着きによる巣ごもり需要の減少およびiOS/アンドロイドのプライバシー強化に伴うターゲティング精度の低下などにより2022年後半に売上が鈍化したことを受けて、第1四半期(1‐3月)に不採算タイトルや人員の整理を行う企業が多く、広告予算を大幅に縮小する動きが見られました。そのようなマクロ環境を踏まえ、顧客との長期的な関係性を考慮した結果、第1四半期において複数の継続顧客(約10社)からの広告制作の一時休止の要望を受け入れる判断をいたしました。また、当第2四半期(4‐6月)では、一時休止顧客のうち半数以上の取引再開を想定していたものの、担当者・決裁者の変更によってコミュニケーションが仕切り直しとなった企業が多く、早期取引再開は2社に留まり、また新規獲得についても苦戦する結果となりました。
その結果、当第2四半期連結累計期間の売上高は483,496千円(前年同期比36.7%減)となりました。
今後につきましては、ゲーム会社の稼働タイトルは減少しているものの、収益性の高い既存タイトル・新規タイトルへのマーケティング投資は徐々に活発化していくことが期待され、第1四半期での一時休止顧客のうち2~3社が下期に取引再開見込みである他、新規獲得も強化する方針です。また、ゲーム会社のマーケティング広告制作はマーケット不況時に削られやすい予算であるため、安定的な需要が見込まれる『ゲーム制作支援』を下期から追加する予定です。
③ソリューション事業
ファンの存在をマーケティングに活用し、ビジネスの成長を目指す概念が浸透しつつある中で、「SNS活用」や「ファンとの関係構築・強化」をキーワードに、顧客企業のマーケティングDX課題において企画立案から施策の実行までを包括的に支援する事業を行っております。売上成長の柱として顧客企業のSNS活用を支援する受託プロジェクト(SNSアカウント運用とデジタル広告運用)を中心に展開しており、昨今では、受託プロジェクトの業務効率や企画制作力を向上させるSaaSツールの開発・提供、Z世代のデジタル人材育成も推進しております。
2023年戦略としては、企画提案の強化・営業人材の拡充によって受託プロジェクトのアカウント数の増加を目指す他、低額SaaSツールをドアノック商材として業種・社数を拡大させる方針です。強みであるクリエイティブ制作力をベースにTikTokやYouTubeなど広告媒体を拡大させており、成果・企画提案力が向上しております。第1四半期に続き第2四半期においてもデジタル広告運用のアカウントが増加傾向にあり、売上高の増加に寄与しております。
その結果、当第2四半期連結累計期間の売上高は688,993千円(前年同期比15.1%増)となり、上期過去最高売上を達成いたしました。
④中国進出支援事業
近年急速に市場が拡大している越境ECへの出店による中国進出をしたい日本企業等に対し、日本の商品に愛着のある在日中国人や中華圏で人気のある日本人インフルエンサーの発信力を活用したプロモーション等の支援を行っております。インバウンド市場において訪日外国人をターゲットに商品やサービスを提供したい企業への支援については、新型コロナウイルス禍において需要が縮小していたものの、人の往来制限が緩和されたことにより需要回復傾向となっております。
2023年の戦略としては、営業人員の拡充・WEBセミナーなど露出増加によって新規獲得を強化し、インバウンド支援中心にプロジェクト数の増加を目指しております。第2四半期においては訪日旅行者の増加等により、インバウンド支援の需要が第1四半期より更に拡大し、プロジェクト数・売上高が増加いたしました。
その結果、当第2四半期連結累計期間の売上高は115,337千円(前年同期比55.8%増)となり、上期過去最高売上を達成いたしました。
以上の結果、当第2四半期連結累計期間の売上高は2,000,574千円(前年同期比4.4%減)となり、売上総利益は1,478,625千円(前年同期比6.6%減)、営業利益は70,809千円(前年同期比83.1%減)、経常利益は185,361千円(前年同期比66.4%減)、親会社株主に帰属する四半期純損失は17,767千円(前年同期は親会社株主に帰属する四半期純利益351,571千円)となりました。
(2)財政状態の分析
(資産)
当第2四半期連結会計期間末における資産合計は、前連結会計年度末に比べて232,546千円減少し4,228,733千円となりました。これは主に、現金及び預金が22,952千円、その他流動資産が25,415千円増加した一方で、保有していた非上場株式(1社)を売却したことにより、投資有価証券が267,840千円減少したこと、また受取手形及び売掛金が33,464千円減少したこと等によるものであります。
(負債)
当第2四半期連結会計期間末における負債合計は、前連結会計年度末に比べて192,689千円減少し、1,152,400千円となりました。これは主に、1年内返済予定の長期借入金が73,352千円、その他流動負債が63,839千円、長期借入金が41,813千円減少したこと等によるものであります。
(純資産)
当第2四半期連結会計期間末における純資産は、為替換算調整勘定が66,577千円減少したこと等により前連結会計年度末に比べて39,857千円減少し、3,076,332千円となりました。
(3)キャッシュ・フローの状況
当第2四半期連結会計期間末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)の残高は、前連結会計年度末に比べ22,952千円増加し、2,138,748千円となりました。
当第2四半期連結累計期間におけるキャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果減少した資金は、809千円となりました(前年同期は262,607千円の増加)。これは主に、税金等調整前四半期純利益を113,617千円計上したこと等により資金が増加した一方、為替差益を125,805千円計上したこと、法人税等の支払により124,219千円資金が減少したこと等によるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果増加した資金は、115,816千円となりました(前年同期は25,873千円の減少)。これは主に、投資有価証券の売却による収入が199,967千円あった一方、無形固定資産の取得による支出が67,134千円、投資有価証券の取得による支出が10,000千円、有形固定資産の取得による支出が7,016千円となったことによるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果減少した資金は、126,648千円となりました(前年同期は94,364千円の減少)。これは主に、長期借入金の返済による支出が115,165千円あったこと等によるものであります。
(4)事業上及び財務上の対処すべき課題
当第2四半期連結累計期間において、当社グループが対処すべき課題について重要な変更はありません。
(5)研究開発活動
該当事項はありません。
当第2四半期連結会計期間において、経営上の重要な契約等の決定又は締結等はありません。